(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための活動量測定装置10の概略構成を示すブロック図である。活動量測定装置10は、利用者(ユーザ)の体に装着されて使用される。この活動量測定装置10は、1つだけを体に装着して用いることができるほか、複数個を体に装着して用いることも可能になっている。
【0022】
活動量測定装置10は、検出部1と、全体を統括制御する制御部2と、通信部3と、操作部4と、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を含む記憶部5と、各種情報を表示するための表示部6と、音や光等でユーザへの報知を行う報知部7と、を備える。
【0023】
検出部1は、活動量測定装置10が装着されたユーザの体の部位の動きに応じた情報を検出するものであり、体動検出部11と、高度検出部12と、を備える。
【0024】
体動検出部11は、活動量測定装置10が装着されたユーザの体の部位の動き(加速度、角速度等)を検出するものであり、加速度センサ及び角速度センサ等の各種センサと、各種センサから出力された信号を処理する信号処理部とを含む。体動検出部11は少なくとも1つのセンサとこのセンサからの信号を処理する信号処理部を含んでいればよい。
【0025】
高度検出部12は、気圧センサを含み、気圧センサの検出信号を処理して、活動量測定装置10が装着されている部位の高度を検出する。なお、高度検出部12は省略してもよい。活動量測定装置10の装着部位の高度は、ユーザの動き(例えば、階段昇降)によって変化する。したがって、この高度の情報も、活動量測定装置10を装着した部位の動きに応じた情報となる。
【0026】
制御部2は、記憶部5のROMに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを主体に構成される。
【0027】
通信部3は、他の活動量測定装置10と通信を行うためのインターフェースを含む。このインターフェースとしては、ANTに準拠した通信インターフェース、ブルートゥースに準拠した通信インターフェース等の近距離無線通信インターフェースが用いられる。
【0028】
操作部4は、制御部2に各種指示を入力するためのデバイスであり、ボタンや表示部6に搭載されたタッチパネル等により構成される。
【0029】
記憶部5は、検出部1によって検出された検出情報を記憶したり、制御部2によって測定される活動量を記憶したり、通信部3を介して受信した情報を記憶したり、活動量測定装置10の動作に必要な情報を記憶したりする。
【0030】
図2は、
図1の活動量測定装置10の記憶部5に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより制御部2によって実現される機能ブロックを示す図である。
【0031】
図2に示すように、制御部2は、装着数判定部20と、装着部位識別部21と、マスター装置判定部22と、情報送信制御部23と、活動量測定部24と、行動識別部25と、を備える。
【0032】
装着数判定部20は、複数個の活動量測定装置10がユーザの体に装着されているか否かを判定する。判定方法としては例えば以下の2つが挙げられるがこれに限定されない。
【0033】
(装着数判定方法1)
操作部4によって、活動量測定装置10を1つだけ装着している状態と、複数個の活動量測定装置10を装着している状態とを入力可能にしておく。そして、装着数判定部20は、操作部4を介して入力された情報により、複数個の活動量測定装置10がユーザの体に装着されているか否かを判定する。
【0034】
(装着数判定方法2)
装着数判定部20は、通信部3によって他の活動量測定装置10との通信が確立された場合に、複数個の活動量測定装置10が装着されていると判定する。装着数判定部20は、通信部3によって他の活動量測定装置10との通信が確立されていない場合に、活動量測定装置10が1つだけ装着されていると判定する。
【0035】
装着部位識別部21は、自装置が装着されているユーザの体の部位を識別する。識別方法としては例えば以下の2つが挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
(装着部位識別方法1)
操作部4によって装着部位を選択できるようにしておく。そして、装着部位識別部21は、操作部4を介して入力された装着部位を示す情報により装着部位を識別する。
【0037】
(装着部位識別方法2)
各装着部位による動き情報の特徴データを記憶部5に予め記憶しておく。そして、装着部位識別部21は、複数個の活動量測定装置10の装着がされてから、しばらくの間、検出部1から検出情報を取得し、取得した検出情報と各特徴データとのマッチングを行って装着部位を特定する。
【0038】
マスター装置判定部22は、装着数判定部20により複数個の活動量測定装置10がユーザに装着されていると判定された場合に、複数個の活動量測定装置10の中からマスター装置となる活動量測定装置10を判定する。判定方法としては例えば以下の3つが挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
(マスター装置判定方法1)
操作部4によって装置の属性情報としてマスター装置とスレーブ装置のいずれかを入力可能にしておく。そして、マスター装置判定部22は、他の活動量測定装置10の操作部4によって入力されたその活動量測定装置10の属性情報を通信部3を介して取得し、更に、自装置の操作部4から入力された属性情報を取得する。そして、マスター装置判定部22は、これらすべての属性情報にしたがって、どの活動量測定装置10がマスター装置なのかを判定する。
【0040】
(マスター装置判定方法2)
マスター装置判定部22は、通信部3を介して他の活動量測定装置10の電池残量の情報を取得し、自装置の電池残量の情報を取得し、電池残量が最も多い活動量測定装置10をマスター装置として判定する。つまり、マスター装置判定部22は、ユーザに装着されている全ての活動量測定装置10の各々の電池残量に基づいてマスター装置を判定する。
【0041】
この方法によれば、電池残量の最も多い活動量測定装置10がマスター装置となるため、電池に余力のある装置に、電力を必要とする作業をさせることができ、電力資源を効率的に利用することができる。また、マスター装置が自動的に決定されるため、ユーザ操作を不要として使い勝手を向上させることができる。
【0042】
(マスター装置判定方法3)
記憶部5には、ユーザの体の特定部位に装着された活動量測定装置10をマスター装置とすることを定めた情報を予め記憶しておく。そして、マスター装置判定部22は、装着部位識別部21によって識別された装着部位を示す情報と記憶部5の情報とを比較し、該装着部位が上記特定部位と一致する場合は、自装置がマスター装置であると判定する。一方、該装着部位が上記特定部位と一致しない場合は、自装置がスレーブ装置であると判定する。
【0043】
そして、マスター装置判定部22は、ユーザに装着されている全ての活動量測定装置10から、マスター装置判定部22によって判定された各活動量測定装置10の属性情報(マスター装置orスレーブ装置)を通信部3を介して取得し、取得した情報にしたがってマスター装置を判定する。つまり、マスター装置判定部22は、ユーザに装着されている全ての活動量測定装置10の各々の装着部位に基づいてマスター装置を判定する。
【0044】
この方法によれば、例えば、上記特定部位として手首を設定しておくことで、表示部6を最も見やすい活動量測定装置10をマスター装置とすることができ、マスター装置による活動量測定結果の確認が容易となる。また、マスター装置が自動的に決定されるため、ユーザ操作を不要として使い勝手を向上させることができる。
【0045】
情報送信制御部23は、ユーザの体に活動量測定装置10が複数個装着されていると装着数判定部20により判定された場合に、自装置の検出部1で検出される検出情報に、自装置の装着部位識別部21で識別された装着部位を示す情報を関連付けた行動識別用情報を、マスター装置として判定された活動量測定装置10の行動識別部25に送信する。
【0046】
情報送信制御部23は、自装置がマスター装置である場合には、行動識別用情報を自装置内の行動識別部25に送信する。情報送信制御部23は、自装置がスレーブ装置である場合には、通信部3を介して、マスター装置である他の活動量測定装置10内の行動識別部25に行動識別用情報を送信する。
【0047】
活動量測定部24は、検出部1で検出される検出情報に基づいてユーザの活動量(例えば歩数)を測定し記憶する。活動量測定部24による活動量測定結果は、表示部6に表示したり、外部の機器に転送したりすることでユーザに提示可能である。活動量測定部24は、後述する行動識別部25により行動識別が行われた場合には、この行動識別結果に基づいて、測定した活動量を補正する処理を行う。
【0048】
本明細書において、行動とは、歩いている、走っている、座っている、立ち止まっている、階段を昇降している、寝ている等の人の動作状態のことを言う。例えば、階段の昇降は、高度検出部12で検出される高度情報の変化によって識別することができる。歩いている、走っている、座っている、立ち止まっている、寝ている等の状態は、体動検出部11で検出される情報によって識別することができる。
【0049】
行動識別部25は、ユーザの体に活動量測定装置10が複数個装着されていると装着数判定部20により判定された場合に、装着されている複数個の活動量測定装置10の各々の検出部1で検出される検出情報とこれに関連付けられた装着部位を示す情報に基づいてユーザの行動を識別する。なお、行動識別部25は、自装置がマスター装置である場合にのみ動作する。行動識別部25による行動識別結果は、表示部6に表示することでユーザに提示可能である。
【0050】
以上のように構成された活動量測定装置10の動作について説明する。
【0051】
図3は、
図1に示す活動量測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0052】
活動量測定装置10の電源が投入されると、制御部2は、自装置が装着されているユーザに複数個の活動量測定装置10が装着されているか否かを判定する(ステップS1)。制御部2は、ステップS1の判定がNOであれば、自装置の検出部1で検出される検出情報に基づいて活動量の測定及び記録を行う(ステップS9)。
【0053】
一方、制御部2は、ステップS1の判定がYESであれば、ユーザに装着されている複数個の活動量測定装置10の中からマスター装置となる活動量測定装置10を判定する(ステップS2)。マスター装置であると判定した活動量測定装置10では、制御部2が、自装置がマスター装置であることを、報知部7を動作させてユーザに報知してもよい。
【0054】
次に、制御部2は、自装置の装着部位を識別し(ステップS3)、検出部1から検出情報を取得する(ステップS4)。
【0055】
次に、制御部2は、ステップS2の判定の結果、自装置がマスター装置であれば(ステップS5:YES)、ステップS6の処理を行う。
【0056】
ステップS6において、制御部2は、ユーザに装着されている自装置とは別の各活動量測定装置10(スレーブ装置)から、この各活動量測定装置10の検出部1で検出された検出情報及びこの各活動量測定装置10の装着部位識別部21で識別された装着部位情報を含む行動識別用情報を、通信部3を介して取得する。
【0057】
そして、制御部2は、スレーブ装置から取得した行動識別用情報と、自装置で生成された行動識別用情報とに基づいて、ユーザの行動を識別する(ステップS7)。行動識別方法の具体例については後述する。続いて、制御部2は、検出部1により検出される検出情報に基づく活動量を、ステップS7による行動識別結果に基づいて補正する(ステップS7a)。例えば、活動量として歩数を測定する場合、制御部2は、識別された行動によっては、その行動のなされている期間中に測定した歩数をゼロとする。例えば、行動が上半身運動や体幹運動や下半身運動であれば、行動中に測定した歩数はゼロとし、全身運動であれば、行動中に測定した歩数はそのまま記録する。
【0058】
ステップS7aの後、制御部2は、ユーザの体への複数個の活動量測定装置10の装着が継続されているか否かをステップS1と同様に判定し、複数個の活動量測定装置10の装着が継続されているときは(ステップS8:YES)ステップS6に処理を戻す。制御部2は、複数個の活動量測定装置10の装着が継続されていないとき、すなわち、ユーザの体に1つだけ活動量測定装置10が装着されている場合に変化したとき(ステップS8:NO)にはステップS9の処理を行う。すなわち、行動識別結果に基づく活動量の補正は行わない。
【0059】
ステップS5の判定結果がNOであれば、制御部2は、検出部1で検出された検出情報及び装着部位識別部21で識別された装着部位情報を含む行動識別用情報を、通信部3を介して、マスター装置として判定した活動量測定装置10に送信する(ステップS10)。
【0060】
ステップS10の後、制御部2は、ユーザの体への複数個の活動量測定装置10の装着が継続されているか否かをステップS1と同様に判定し、複数個の活動量測定装置10の装着が継続されているときは(ステップS11:YES)ステップS10に処理を戻す。制御部2は、複数個の活動量測定装置10の装着が継続されていないとき、すなわち、ユーザの体に1つだけ活動量測定装置10が装着された状態に変化したとき(ステップS11:NO)にはステップS9の処理を行う。
【0061】
図4は、
図3のステップS7の行動識別処理の具体例を説明するためのフローチャートである。
図4では、
図5に示しように、ユーザUの手首と腰と足首に活動量測定装置10が装着されている状態の処理を示している。以下では、
図5において手首に装着された活動量測定装置10を“装置A”とし、腰に装着された活動量測定装置10を“装置B”とし、足首に装着された活動量測定装置10を“装置C”として説明する。
【0062】
マスター装置の制御部2は、装置A,B,Cの各々で検出された検出情報をモニタリングし、検出情報に大きな変化がある装置を動きがある装置として判定する。なお、検出情報がどの装置から取得されたものかは、その検出情報に関連付けられた装着部位を示す情報により把握することができる。
【0063】
制御部2は、動きがある装置が装置Aのみか否かを判定し(ステップS70)、ステップS70の判定がYESであれば、ユーザが上半身運動を行っていると判断する(ステップS71)。
【0064】
制御部2は、ステップS70の判定がNOであれば、動きがある装置が装置Bのみか否かを判定する(ステップS74)。ステップS74の判定がYESであれば、制御部2は、ユーザが体幹運動を行っていると判断する(ステップS75)。
【0065】
制御部2は、ステップS74の判定がNOであれば、動きがある装置が装置Cのみか否かを判定する(ステップS76)。ステップS76の判定がYESであれば、制御部2は、ユーザが下半身運動を行っていると判断する(ステップS77)。
【0066】
制御部2は、ステップS76の判定がNOであれば、動きがある装置が装置Aと装置Bのみか否かを判定する(ステップS78)。ステップS78の判定がYESであれば、制御部2は、ユーザが上半身・体幹運動を行っていると判断する(ステップS79)。
【0067】
制御部2は、ステップS78の判定がNOであれば、動きがある装置が装置Aと装置Cのみか否かを判定する(ステップS80)。ステップS80の判定がYESであれば、制御部2は、ユーザが上半身・下半身運動を行っていると判断する(ステップS81)。
【0068】
制御部2は、ステップS80の判定がNOであれば、動きがある装置が装置Bと装置Cのみか否かを判定する(ステップS82)。ステップS82の判定がYESであれば、制御部2は、ユーザが体幹・下半身運動を行っていると判断する(ステップS83)。
【0069】
制御部2は、ステップS82の判定がNOであれば、動きがある装置が装置Aと装置Bと装置Cであるため、ユーザが全身運動を行っていると判断する(ステップS84)。
【0070】
ステップS71、ステップS75、ステップS77、ステップS79、ステップS81、ステップS83、ステップS84のそれぞれで運動識別を行った後、この運動識別結果と、動きがあると判定した活動量測定装置10で生成された検出情報とに基づき、詳細な行動を識別する(ステップS72)。
【0071】
例えば、運動識別結果が「上半身運動」の場合、装置Aの検出部1で検出される検出情報に基づく手の動きによって、「パソコン作業」や「皿洗い」等の行動を識別することができる。この場合、装置Aがマスター装置であるとすると、装置Aの活動量測定部24は、この行動が行われている期間において測定した歩数をゼロに補正する。
【0072】
また、運動識別結果が「下半身運動」の場合、装置Cの検出部1で検出される検出情報に基づく足首の動きによって、「貧乏揺すり」等を識別することができる。この場合、装置Aがマスター装置であるとすると、装置Aの活動量測定部24は、この行動が行われている期間において測定した歩数をゼロに補正する。
【0073】
また、運動識別結果が「上半身・体幹運動」の場合、装置A,Bの各検出部1で検出される検出情報に基づく腰と手の動きによって、「洗濯干し」等を識別することができる。この場合、装置Aがマスター装置であるとすると、装置Aの活動量測定部24は、この行動が行われている期間において測定した歩数をゼロに補正する。
【0074】
また、運動識別結果が「体幹・下半身運動」の場合、装置B,Cの各検出部1で検出される検出情報に基づく腰と足の動きによって、「機織り」等を識別することができる。この場合、装置Aがマスター装置であるとすると、装置Aの活動量測定部24は、この行動が行われている期間において測定した歩数をゼロに補正する。
【0075】
また、運動識別結果が「上半身・下半身運動」の場合、装置A,Cの各検出部1で検出される検出情報に基づく足と手の動きによって、「電子オルガン演奏」等を識別することができる。この場合、装置Aがマスター装置であるとすると、装置Aの活動量測定部24は、この行動が行われている期間において測定した歩数をゼロに補正する。
【0076】
また、運動識別結果が「全身運動」の場合、装置A,B,Cの各検出部1で検出される検出情報に基づく腰と手と足の動きによって、「歩行」、「走行」等を識別することができる。この場合、この場合、装置Aがマスター装置であるとすると、装置Aの活動量測定部24は、この行動が行われている期間において測定した歩数をそのまま記録する。
【0077】
以上のように、活動量測定装置10によれば、1つの活動量測定装置10だけがユーザに装着されている状態では、この1つの活動量測定装置10の検出部1で検出される検出情報に基づいてユーザの活動量が測定され記録される。一方、複数個の活動量測定装置10がユーザに装着されている状態では、この複数個の活動量測定装置10のいずれかがマスター装置となり、マスター装置が、この複数個の活動量測定装置10の各々で生成された行動識別用情報に基づいてユーザの行動識別を行う。そして、この行動識別結果により、検出部1の検出情報に基づく活動量の補正が行われる。このため、活動量測定装置10を1つだけ装着している場合と比較して、高精度に活動量の測定を行うことができるようになる。
【0078】
このように、ユーザが体に装着する活動量測定装置10の数を単数又は複数のいずれかに選択可能にすることで、ユーザの要望にあった精度で活動量の測定が可能となる。歩行や走行以外の行動をするユーザだけが活動量測定装置10を複数個購入すればよく、全てのユーザに対して複数個の活動量測定装置10を購入させる必要がないため、ユーザにかかる経済的負担を減らすことができる。
【0079】
また、複数個の活動量測定装置10を所有しているユーザであっても、その日にとる行動によって装着個数を単数にするか複数にするかを選択することができ、常に複数個の活動量測定装置10を装着しなくてすむ。これにより、活動量測定装置10の装着が煩わしくなるのを防ぐことができる。
【0080】
ここまでの説明では、ユーザが体に装着する複数個の活動量測定装置10は全て同じ構成としているが、検出部1と制御部2の機能ブロックの構成が少なくとも一致していればよく、その他の部分では違いがあってもよい。例えば、表示部6を搭載していない活動量測定装置10と、
図1に示す構成の活動量測定装置10とを体に装着して用いることも可能である。
【0081】
この場合は、表示部6を搭載する活動量測定装置10をマスター装置として設定するシステム構成にすることが好ましい。このようにすることで、複数個の活動量測定装置10の情報に基づいた行動識別結果やこの行動識別結果によって補正された活動量の測定結果をマスター装置にてすぐに確認可能となる。
【0082】
なお、表示部6を搭載しない活動量測定装置10がマスター装置になったとしても、この活動量測定装置10による活動量の測定結果や行動識別結果のデータを、スマートフォン等の電子機器に転送して、スマートフォンのアプリで閲覧可能にするシステムとすれば問題はない。このように活動量や行動識別結果を別の電子機器で閲覧する形態であれば、各活動量測定装置10には表示部6が含まれていなくともよい。
【0083】
以上の説明では、活動量測定装置10における制御部2の情報送信制御部23は、検出部1で検出された検出情報を全てマスター装置の行動識別部25に送信する構成とした。この変形例として、活動量測定装置10の検出部1で検出された検出情報のうち、この活動量測定装置10の装着部位に応じた情報だけを抽出して、マスター装置の行動識別部25に送信する構成としてもよい。
【0084】
例えば、ユーザの手首と腰に活動量測定装置10が装着されている場合を考える。この場合、手は複雑な動きをする可能性があるため、検出部1で検出される情報のうち、加速度情報と角度速度情報を抽出して行動識別部25に送信する。また、腰はそれほど複雑な動きはしないため、検出部1で検出される情報のうち、加速度情報だけを抽出して行動識別部25に送信する。
【0085】
このように装着部位に応じて行動識別部25に送る情報を制御することで、無駄な情報の送信を省くことができる。マスター装置では、必要最小限の情報を用いて行動識別を行うことができるため、行動識別アルゴリズムを簡略化することができる。また、マスター装置のメモリ容量を削減することもできる。
【0086】
ここまでは、ユーザに装着された複数個の活動量測定装置10のうちのいずれかがマスター装置となって行動識別を行うものとした。しかし、複数個の活動量測定装置10とは別の電子機器(例えばスマートフォン)をマスター装置とし、複数個の活動量測定装置10を全てスレーブ装置として機能させる構成であってもよい。以下、この構成について説明する。
【0087】
図6は、
図1に示す活動量測定装置10の制御部2の変形例である制御部2Aの機能ブロック図である。
図6に示す制御部2Aは、
図2の制御部2において、マスター装置判定部22と行動識別部25を削除した点を除いては、制御部2と同じ構成である。
【0088】
図7は、マスター装置として機能する活動量測定装置10とは別の電子機器としてのスマートフォンの構成を示す図である。スマートフォン30は、通信部31と、プロセッサを主体に構成される制御部32と、表示部33と、を備える。
【0089】
通信部31は、活動量測定装置10と通信可能な通信インターフェースにより、活動量測定装置10と通信を行う。
【0090】
制御部32は、プロセッサを主体に構成されており、このプロセッサが所定のアプリケーションプログラムを実行することにより、
図2の制御部2の行動識別部25として機能する。
【0091】
表示部33は、制御部32による行動識別結果等を表示するためのものである。
【0092】
以上のように構成された制御部2Aを含む活動量測定装置10とスマートフォン30とからなるシステムの動作について説明する。
【0093】
図8は、制御部2Aを含む活動量測定装置10とスマートフォン30とからなるシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0094】
活動量測定装置10の電源が投入されると、制御部2Aは、検出部1により検出された検出情報に基づいて活動量の測定及び記録を開始する(ステップS20)。測定開始後、制御部2Aは、自装置が装着されているユーザに複数個の活動量測定装置10が装着されているか否かを判定する(ステップS21)。制御部2Aは、ステップS21の判定がNOであれば、ステップS20に処理を戻す。
【0095】
一方、制御部2Aは、ステップS21の判定がYESであれば、自装置の装着部位を識別し(ステップS22)、検出部1から検出情報を取得する(ステップS23)。
【0096】
ステップS22では、スマートフォン30のアプリで各活動量測定装置10の装着部位を入力可能としておき、スマートフォン30から、この入力情報を各活動量測定装置10に送信することで、各活動量測定装置10がこの入力情報から装着部位を識別することもできる。
【0097】
次に、制御部2Aの情報送信制御部23は、検出部1から取得した検出情報と、自装置の装着部位を示す情報とを含む行動識別用情報を、通信部3を介してスマートフォン30に送信する(ステップS24)。
【0098】
スマートフォン30では、通信部31を介して、制御部32が行動識別用情報を受信する(ステップS27)。そして、制御部32は、各活動量測定装置10から受信した行動識別情報に基づいて、各活動量測定装置10が装着されているユーザの行動を識別する(ステップS28)。
【0099】
ステップS24の後、制御部2Aは、ユーザの体への複数個の活動量測定装置10の装着が継続されているか否かをステップS21と同様に判定し、複数個の活動量測定装置10の装着が継続されているときは(ステップS25:YES)ステップS23に処理を戻す。一方、複数個の活動量測定装置10の装着が継続されていないとき、すなわち、ユーザの体に1つだけ活動量測定装置10が装着されている場合に変化したとき(ステップS25:NO)、制御部2AはステップS20に処理を戻す。
【0100】
ユーザは、運動等を終了すると、1つの活動量測定装置10とスマートフォン30を接続した状態で、スマートフォン30のアプリに対して活動量の表示を指示する。この指示に応じて、スマートフォン30の制御部32は、活動量測定装置10から、測定された活動量の情報及びその活動量が測定された期間の情報を取得する。
【0101】
そして、制御部32は、取得した期間における行動識別結果に基づいて、取得した活動量を補正し、補正後の活動量を表示部33に表示させる。例えば、活動量測定装置10により1時間で測定された歩数が1000であり、この1時間の間の30分間は下半身運動がなされ、残りは全身運動がなされていた場合、制御部2Aは、1000から、下半身運動がなされていた期間中の歩数をマイナスした値を最終的な歩数として表示させる。
【0102】
ここでは、スマートフォン30が活動量を補正して表示するものとしたが、スマートフォン30から行動識別結果を活動量測定装置10に送信し、活動量測定装置10が、この行動識別結果に基づいて活動量を補正して表示するようにしてもよい。また、各活動量測定装置10が活動量を測定中に、スマートフォン30がこの活動量情報をリアルタイムに取得し、行動識別結果に基づいて補正して記録しておくようにしてもよい。或いは、各活動量測定装置10が活動量を測定中に、スマートフォン30から各活動量測定装置10に行動識別結果をリアルタイムに送信し、各活動量測定装置10が受信した行動識別結果に基づいて活動量を補正して記録しておくようにしてもよい。
【0103】
以上のように、
図2に示した行動識別部25の機能を、活動量測定装置10ではなく、活動量測定装置10と通信可能な別の電子機器によって実現することも可能である。
【0104】
このシステムによれば、各活動量測定装置10において、マスター装置の判定処理、複数の活動量測定装置10からの情報を用いた行動識別処理を省略可能なため、消費電力を減らすことができ、活動量測定装置10の電池寿命を延ばすことができる。
【0105】
本実施形態の制御部2,制御部2A,制御部32が行う各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記録媒体に記録されて提供可能である。
【0106】
このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0107】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0108】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0109】
開示された活動量測定装置は、利用者の体に装着されて使用される活動量測定装置であって、前記利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、複数個の前記活動量測定装置が前記利用者の体に装着されているか否かを判定する装着数判定部と、前記検出部で検出される情報に基づいて前記利用者の活動量を測定する活動量測定部と、自装置が装着されている前記利用者の体の部位を識別する装着部位識別部と、前記利用者の体に前記活動量測定装置が複数個装着されていると前記装着数判定部により判定された場合に、装着されている複数個の前記活動量測定装置の各々の前記検出部で検出される情報及び前記装着部位識別部で識別された装着部位を示す情報に基づいて前記利用者の行動を識別する行動識別部に、自装置の前記検出部で検出され、前記装着部位識別部で識別された装着部位を示す情報が関連付けられた行動識別用情報を送信する情報送信制御部と、備え、前記行動識別部によって識別された行動に基づいて、前記活動量測定部により測定された活動量が補正されるものである。
【0110】
開示された活動量測定装置は、前記情報送信制御部が、前記行動識別用情報として、前記検出部で検出される情報のうち前記装着部位識別部で識別された装着部位に応じた情報を前記行動識別部に送信するものである。
【0111】
開示された活動量測定装置は、他の前記活動量測定装置と通信するための通信部と、前記行動識別部と、前記利用者の体に前記活動量測定装置が複数個装着されていると前記装着数判定部により判定された場合に、前記複数個の活動量測定装置の中からマスター装置となる活動量測定装置を判定するマスター装置判定部と、を更に備え、前記情報送信制御部は、自装置が前記マスター装置以外の活動量測定装置である場合に、前記行動識別用情報を前記通信部を介して前記マスター装置に送信し、前記行動識別部は、自装置が前記マスター装置である場合に、自装置で生成された前記行動識別用情報と、前記マスター装置以外の活動量測定装置から前記通信部を介して送信されてきた前記行動識別用情報とに基づいて、前記利用者の行動を識別するものである。
【0112】
開示された活動量測定装置は、前記マスター装置判定部が、前記複数個の活動量測定装置の各々の電池残量又は装着部位に基づいて前記マスター装置を判定するものである。
【0113】
開示された活動量測定装置は、前記行動識別部が、前記活動量測定装置と通信可能な、前記活動量測定装置とは別の電子機器に設けられているものである。
【0114】
開示された活動量の測定方法は、利用者の体に装着されて使用され、前記利用者の動きに応じた情報を検出する検出部を有する活動量測定装置による活動量の測定方法であって、複数個の前記活動量測定装置が前記利用者の体に装着されているか否かを判定するステップと、前記検出部で検出される情報に基づいて前記利用者の活動量を測定するステップと、前記活動量測定装置が装着されている前記利用者の体の部位を識別するステップと、前記利用者の体に前記活動量測定装置が複数個装着されていると判定した場合に、装着されている複数個の前記活動量測定装置の各々の前記検出部で検出される情報及び前記各々の装着部位を示す情報に基づいて前記利用者の行動を識別する行動識別部に、自装置の前記検出部で検出され、前記識別した装着部位を示す情報が関連付けられた行動識別用情報を送信するステップと、前記行動識別部によって識別された行動に基づいて、前記活動量を測定するステップにより測定された活動量を補正するステップと、を備えるものである。
【0115】
開示された活動量測定装置は、前記活動量の測定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。