(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段により検出された前記原稿の端部の有無に応じて、前記原稿に形成された特定画像の当該原稿における位置を算出する位置算出式を切り替える他の切替手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記原稿に形成された特定画像の位置を測定する基準となる当該原稿の端部が前記検出手段により検出されない場合に、基準となる当該端部と対向する当該原稿の端部を基準として当該特定画像の位置を測定する測定手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
前記読取手段は、前記画像形成部が前記用紙に前記画像を形成する位置を調整するための前記原稿である位置調整原稿を読み取る際に、当該位置調整原稿以外の予め定めた原稿を読み取る際の読み取り範囲を、一方向に予め定めた距離ずらし、かつずらされた当該読み取り範囲内に当該位置調整原稿の端部を含めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
前記読取手段は、前記読み取り範囲を前記一方向に前記予め定めた距離ずらすことができない場合に、当該一方向とは反対方向に当該読み取り範囲をずらすことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成例を示したものである。
図1に示すように、画像形成装置1は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能などを備えた複合機である。図示の例の画像形成装置1は、用紙供給部3と、画像形成部5と、ユーザインタフェース(UI)7と、画像読取部9と、総合制御部10とを備える。
【0009】
用紙供給部3は、画像形成部5によって画像が形成される用紙Sを搭載するとともに、画像形成部5に向けて用紙Sを一枚ずつ搬送する。図示の例においては、用紙供給部3は、それぞれ用紙Sを積載(搭載)する第1トレイ(積載部)31、第2トレイ32および第3トレイ33を備える。さらに説明すると、第1トレイ31、第2トレイ32および第3トレイ33には、それぞれ用紙サイズ、厚み、あるいは紙種などが互いに異なる用紙Sを搭載し得る。
【0010】
画像形成部5は、画像データを取得するとともに、取得した画像データに基づき、トナーやインクなどの画像形成材を用いて、用紙Sなどの記録媒体上に画像を形成する。本実施の形態において、画像形成の方式は特に限定せず、電子写真方式やインクジェット方式、静電誘導方式など、様々な方式に対して適用可能である。画像データは、図示しない通信手段(ネットワークインターフェイスなど)を介して外部装置から受信しても良いし、画像読取部9により読み取った画像を用いてもよい。また、画像形成部5は、用紙Sの両面(第1面、第2面)の各々に画像を形成するよう、第1面に画像が形成された用紙Sを反転させながら搬送し用紙Sの第2面に画像を形成させる反転搬送路(不図示)を有する。
UI7は、表示パネルにより構成され、ユーザからの指示を受け付けるとともにユーザに対してメッセージなどを表示する。
【0011】
<画像読取部9>
画像読取部(自動原稿送り装置)9は、画像が形成された用紙S(原稿)を順次送りこみながら、この用紙Sに形成された画像を読み取る。
図示の例においては、画像読取部9は、用紙Sが積載される第1原稿トレイ(積載部)90と、第1原稿トレイ90に積載された用紙Sを一枚ずつ送り出す搬送ロールを有する用紙搬送部(送り手段)91と、用紙搬送部91により搬送される用紙Sの第1面からの光を受けながらこの第1面に形成された画像を読み取る第1画像センサ(読取手段)92と、用紙搬送部91により搬送される用紙Sの第1面とは反対側の面である第2面からの光を案内するミラー93と、ミラー93によって案内された第2面からの光を受けこの第2面に形成された画像を読み取る第2画像センサ94とを備える。
【0012】
また、画像読取部9は、第1画像センサ92が画像を読み取る領域に設けられ搬送される用紙Sを支持する第1支持部材95と、第2画像センサ94の領域に設けられ搬送される用紙Sを支持する第2支持部材96と、画像が読み取られた用紙Sが積載される第2原稿トレイ97とを備える。さらに、画像読取部9は、第1原稿トレイ90に設けられ搬送される用紙Sの位置を規定する用紙ガイド98(後述)を備える。
【0013】
なお、第1画像センサ92としてはラインセンサを用いることが例示され、第2画像センサ94としてはCCD(Charge Coupled Device)センサを用いることが例示される。また、図示の例においては、第1画像センサ92が用紙Sの第1面の画像を読み取る際に、第2画像センサ94が用紙Sの第2面の画像を読み取る。このことにより、用紙Sを用紙搬送部91によって1方向に1回搬送することにより、用紙Sの両面(第1面、第2面)の画像が読み取られる。
【0014】
<用紙ガイド98>
図2は、本実施の形態が適用される用紙ガイド98の構成例を示したものである。
次に、
図2を参照しながら、用紙ガイド98の構成について説明をする。
図2に示すように、用紙ガイド98は、用紙Sの搬送方向(送り方向。図中矢印A参照。以下、搬送方向とすることがある)と交差する方向(以下、交差方向とすることがある)において、第1原稿トレイ90に積載された用紙Sを挟む位置に設けられた一組の板状部材981,982を有する。この板状部材981,982は、各々の面が搬送方向に沿って設けられ、用紙Sの搬送方向に沿う端部を揃える。また、板状部材981,982は、各々の面が搬送方向に沿った状態を維持しながら交差方向において移動可能である(図中矢印B参照)。
【0015】
さて、板状部材981,982は、用紙Sを中央寄せ、すなわちセンターレジストレーションで搬送するように配置される。
具体的には、板状部材981,982は、搬送される用紙Sの通過する領域の交差方向における中線CLを挟み、かつ中線CLから等しい距離に各々配置される。また、上記のように板状部材981,982が交差方向において移動する(図中矢印B参照)際には、中線CLからのそれぞれの距離が等しい状態を維持しながら移動する。このことにより、第1原稿トレイ90に積載され、板状部材981,982によって挟まれた用紙Sは、この用紙Sにおける交差方向中央を基準位置としながら搬送される。さらに説明をすると、用紙Sの用紙サイズが異なる場合であっても、用紙Sの交差方向中央が通過する位置は互いに一致する。
【0016】
<総合制御部10>
図3は、本実施の形態が適用される総合制御部10の機能構成例を示したものである。
次に、
図3を参照しながら、画像形成装置1が備える総合制御部10について説明をする。
総合制御部10は、画像形成装置1を構成する機能構成部材(例えば、用紙供給部3、画像形成部5、UI7、画像読取部9)を制御する。この総合制御部10は、その機能として、用紙供給制御部13と、画像形成制御部15と、UI制御部17と、画像読取制御部19と、アライメント調整部21とを備える。
【0017】
用紙供給制御部13は、用紙供給部3の動作を制御する。具体的には、用紙供給制御部13は、印刷指示に従って、第1トレイ31乃至第3トレイ33のいずれかから画像形成部5に向けて用紙Sを供給するよう用紙供給部3を制御する。
画像形成制御部15は、画像形成部5の動作を制御する。具体的には、画像形成制御部15は、印刷指示に従って、用紙供給部3から供給される用紙Sに対して画像を形成するよう画像形成部5を制御する。
UI制御部17は、UI7の動作を制御する。UI制御部17は、ユーザに予め定めたメッセージを表示する画面を表示させるとともに、これらの画面に基づくユーザの指示を受け付けるようUI7を制御する。
画像読取制御部19は、画像読取部9の動作を制御する。具体的には、読取指示に従って、画像読取部9に搭載された用紙Sの画像を読み取るよう画像読取部9を制御する。
【0018】
アライメント調整部(調整手段)21は、用紙Sに形成される画像の位置(アライメント)を調整する際における用紙供給部3、画像形成部5、UI7、画像読取部9の動作を、用紙供給制御部13、画像形成制御部15、UI制御部17、画像読取制御部19を介して制御する。
このアライメント調整部21は、その機能として、テストチャート出力部22と、テストチャート読取部23と、トリム位置決定部24と、画像解析部25と、マーク画像記憶部26と、読取画像記憶部27と、補正量記憶部28とを備える。
【0019】
テストチャート出力部22は、ユーザからのテストチャートTC(後述)を出力する指示(テストチャート出力指示)に従い、用紙供給部3に用紙Sを供給させるとともに、マーク画像記憶部26に記憶された情報に従って画像形成部5に画像形成を実行させる。
テストチャート読取部23は、ユーザからのテストチャートTCを読み取る指示(テストチャート読取指示)に従い、画像読取部9にテストチャートTCの画像を読み取らせる。
トリム位置決定部24は、第1画像センサ92および第2画像センサ94が検出した画像である検出画像Q(後述する
図7(a)参照)から読取画像R(後述する
図7(b)参照)として切り取る範囲を定め、切り取りを実行する。
【0020】
画像解析部25は、読み取られたテストチャートTCの画像を解析し、エッジ検出マークG(後述)に基づいてテストチャートTCの第1端部S1、第2端部S2、第3端部S3、第4端部S4(後述)を検出するとともに、格子マークH(後述)などに基づいて、画像形成部5によって用紙Sに形成される画像のアライメントずれ量を算出する。
この画像解析部25は、その機能として、測定点検出部251と、端部欠け判定部252と、ずれ量算出部253と、補正量算出部254とを備える。
【0021】
測定点検出部251は、読み取られたテストチャートTCの画像における、エッジ検出マークGや格子マークHなどを検出する。
端部欠け判定部(検出手段、切替手段、他の切替手段、測定手段)252は、読取画像RにおいてテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれが含まれているか(いずれが含まれていないか)を判定する。また、読取画像RにおいてテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれが含まれているかに応じて、アライメントのずれ量算出式(後述)、テストチャートTCのレジ基準端部(後述)、および補正量算出式(後述)を決定する(切り替える)。
【0022】
ずれ量算出部253は、端部欠け判定部252により決定されたアライメントのずれ量算出式およびテストチャートTCのレジ基準端部に従い、アライメントのずれ量を算出する。
補正量算出部254は、端部欠け判定部252により決定されたアライメントの補正量算出式に従い、アライメントの補正量を算出する。
【0023】
マーク画像記憶部26は、テストチャートTCに形成されるマーク画像、すなわち、エッジ検出マークG、格子マークH、2次元バーコードJと、補助画像Kと、補助線M(後述)などの予め定めた画像を記憶する。
【0024】
読取画像記憶部27は、画像読取部9によって読み取られトリミングされたテストチャートTCの画像を記憶する。ここで、読取画像記憶部27は、テストチャートTCの画像を、そのテストチャートTCが第1トレイ31乃至第3トレイ33のうちのいずれから供給されたものであるかを示す情報(トレイ識別情報)と関連付けて記憶する。また、読取画像記憶部27は、テストチャートTCの画像を、テストチャートTCにおける第1面および第2面のいずれの画像であるかを示す情報(表裏識別情報)と関連付けて記憶する。また、読取画像記憶部27は、複数枚分のテストチャートTCの画像を記憶することができる。
【0025】
補正量記憶部28は、補正量算出部254によって算出されたアライメントの補正量を記憶する。ここで、補正量記憶部28は、アライメントの補正量を、そのアライメントの補正量を算出したテストチャートTCについてのトレイ識別情報および表裏識別情報と関連付けて記憶する。
【0026】
さて、図示は省略するが、総合制御部10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶手段であるメインメモリおよび磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)とを備える。ここで、CPUは、OS(Operating System)やアプリケーションなどの各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリは、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータなどを記憶する記憶領域である。また、磁気ディスク装置は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データなどを記憶する記憶領域である。
【0027】
<アライメントずれ>
さて、画像形成装置1が画像形成動作を繰り返し行うと、経時変化として、例えば画像形成装置1を構成する機能構成部材が摩耗することや、機能構成部材の位置がずれることがある。そして、これらのことにともない、用紙Sに形成される画像の位置が、用紙Sに対してずれる(ばらつく)ことがある。
さらに説明をすると、例えば用紙Sの両面に画像が形成される場合には、第1面と第2面とで形成される画像の位置(表裏レジ)が揃わずに、互いにずれた位置となる場合がある。また、用紙Sを搬送する際の搬送抵抗などが変化するなどの理由により、用紙Sの用紙サイズ、紙種、あるいは厚さなど用紙Sの種別に応じて、あるいは、用紙Sが第1トレイ31乃至第3トレイ33のうちのいずれから供給されたものであるかに応じて、用紙Sに形成される画像の位置が用紙Sに対してずれる(ばらつく)ことがある。
【0028】
そこで、本実施の形態においては、用紙Sにおける画像の位置ずれ、所謂アライメントずれの調整を行う調整モードを画像形成装置1が有する。この調整モードにおいては、アライメントのずれ量を算出し、このずれ量を相殺するようアライメントの補正を行う。なお、この調整モードは、読み取った画像の画像情報を解析し、画像の補正情報を生成するモードとして捉えることができる。
【0029】
以下において、このアライメントずれを調整する処理について説明をする。なお、以下では、まず、アライメントずれの要素およびその補正方法について説明をする。次に、アライメントずれを測定するために用いられるテストチャートTCを説明する。その後に、テストチャートTCと読取画像Rとの関係について説明し、最後にアライメントずれを補正する処理について具体的に説明をする。
【0030】
<アライメントずれの要素および補正方法>
図4(a)乃至(f)は、アライメントずれの要素および補正方法を説明する図である。なお、
図4(a)乃至(f)においては、用紙Sと、アライメントずれ補正前に形成される画像である補正前画像Fと、アライメントずれ補正完了後に形成される補正後画像Tとの関係を各々示す。なお、補正後画像Tの位置は、用紙Sにおいて画像が形成されることが望まれる理想位置として捉えることができる。
【0031】
図4(a)乃至(f)に示すように、本実施の形態におけるアライメントずれは、以下に示す成分(要素)に分類することが例示される。すなわち、本実施の形態におけるアライメントずれは、以下の6つの成分の1つまたは複数の組み合わせ、言い替えると、6種類の幾何学的な画像変形の組み合わせにより表わされる。なお、以下の成分は例示であり、他の成分を含むものであってももちろんよい。
【0032】
図4(a)に示すように、リードレジとは、補正前画像Fの位置が、搬送方向においてずれることを示す尺度である。リードレジは、図中矢印で示すように、搬送方向に沿って補正前画像Fを移動させることにより補正される。
図4(b)に示すように、サイドレジとは、補正前画像Fの位置が、交差方向においてずれることを示す尺度である。サイドレジは、図中矢印で示すように、交差方向に沿って補正前画像Fを移動させることにより補正される。
図4(c)に示すように、副走査倍率とは、搬送方向における補正前画像Fの伸び縮みを示す尺度である。副走査倍率は、用紙Sの予め定めた箇所(図中用紙Sの上辺)を基準に搬送方向における補正前画像Fを伸縮させることにより補正される。
図4(d)に示すように、主走査倍率とは、交差方向における補正前画像Fの伸び縮みを示す尺度である。主走査倍率は、用紙Sの予め定めた箇所(図中用紙Sの左辺)を基準に搬送方向における補正前画像Fを伸縮させることにより補正される。
【0033】
図4(e)に示すように、リードスキューとは、交差方向に対する補正前画像Fの傾きを示す尺度である。図示の例においては、リードスキューは、距離Aと距離Bとの差により算出される。また、図示の例におけるリードスキューは、図中矢印で示すように、距離Aと距離Bとの差をなくすよう補正前画像Fを回転させることにより補正される。
図4(f)に示すように、サイドスキューとは、搬送方向に対する補正前画像Fの傾きを示す尺度である。図示の例においては、距離Aと距離Bとの差により算出される。また、図示の例におけるサイドスキューは、図中矢印で示すように、距離Aと距離Bとの差をなくすよう補正前画像Fを回転させることにより補正される。
【0034】
<テストチャートTC>
図5は、本実施の形態が適用されるテストチャートTCを説明する図である。
次に、
図3および
図5を参照しながら、本実施の形態におけるテストチャートTCについて説明をする。
まず、テストチャート(原稿、位置調整原稿)TCは、用紙供給部3から供給される用紙Sに対して、マーク画像記憶部26に記憶された画像が、画像形成部5によって形成されたものである。このテストチャートTCの画像を画像読取部9によって読み取り解析することにより、アライメントずれ量が把握される。
なお、本実施形態の画像読取部9は、例えば画像形成装置1がコピー機能を実現する際と、アライメントずれ量を把握する際とで共通して利用される。このことにより、アライメントずれ量を把握するため専用の画像読取装置(スキャナ)を設けることが不要となる。
【0035】
図5に示すように、テストチャートTCは、用紙Sに形成された画像として、エッジ検出マークGと、格子マークHと、2次元バーコードJと、補助画像Kと、補助線Mと、エッジ点Nとを備える。
ここで、図示は省略するが、テストチャートTCは
図5に示す面とは反対側の面(裏面)にも、
図5に示す画像に対応する画像が形成されている。すなわち、テストチャートTCは、両面(第1面、第2面)に対して、各々
図5に対応する画像が形成されている。そして、テストチャートTCを画像読取部9によって読み取ることにより、第1面および第2面それぞれについてのアライメントずれ量が把握され得る。なお、テストチャートTCは、第1面および第2面の一方の面(片面)に
図5に対応する画像が形成される構成であってももちろんよい。
【0036】
エッジ検出マークGは、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4を検出(識別)するための検出用画像である。このエッジ検出マークGは、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4に各々形成されている。具体的には、テストチャートTCにおいては、エッジ検出マークG1,G2,G3,G4が計4つ形成されている。なお、エッジ検出マークG1〜G4の形状については、後述する。
エッジ検出マークG1〜G4は、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4の中線C1,C2に対して予め定めた位置に形成されている。さらに説明をすると、エッジ検出マークG1〜G4は、中線C1,C2に対する予め定めた側であって、中線C1,C2から予め定めた距離Laに配置される。この距離Laは、用紙Sの用紙サイズに関わらず一定である。言い替えると、用紙サイズが異なる場合であっても、各々テストチャートTCに形成されるエッジ検出マークG1〜G4の中線C1,C2からの距離は、互いに一致する。
【0037】
なお、図示の例においては、中線C1,C2から、各々の第1端部S1〜第4端部S4に沿う方向におけるエッジ検出マークG1〜G4の中心までの長さが、距離Laとなっている。また、エッジ検出マークG1〜G4の各々は、そのエッジ検出マークG1〜G4が形成される第1端部S1〜第4端部S4側からみて、その第1端部S1〜第4端部S4の中線C1あるいは中線C2に対する右側に位置する。さらに、エッジ検出マークG1とエッジ検出マークG2とは中線C1,C2をそれぞれ挟んで互いに反対側に設けられており、エッジ検出マークG3とエッジ検出マークG4とは中線C1,C2をそれぞれ挟んで互いに反対側に設けられている。
【0038】
また、エッジ検出マークG1〜G4は、そのエッジ検出マークG1〜G4が形成される第1端部S1〜第4端部S4から予め定めた距離Lbに配置される。この距離Lbは、用紙Sの用紙サイズに関わらず一定である。言い替えると、用紙サイズが異なる場合であっても、各々テストチャートTCに形成されるエッジ検出マークG1〜G4の第1端部S1〜第4端部S4からの距離は、互いに一致する。
【0039】
さらに説明をすると、用紙Sにおける対向する第1端部S1〜第4端部S4どうしのエッジ検出マークG(エッジ検出マークG1およびG2の組み合わせ,エッジ検出マークG3およびG4の組み合わせ)は、中線C1および中線C2の交点C3を中心として、点対称の位置に配置されている。なお、交点C3は、用紙Sの重心として捉えることができ、エッジ検出マークG1〜G4は、用紙Sの重心を中心として点対称の位置に配置されているものと捉えることができる。
【0040】
格子マーク(特定画像)Hは、画像形成位置あるいは画像のアライメントずれ量を検出するための画像である。格子マークHは、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4にそれぞれが沿う2本の直線が直交して形成される十字形状、所謂トンボである。図示のテストチャートTCにおいては、格子マークH1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8,H9の計9つ形成されている。格子マークH1〜H4は、用紙Sの四隅に形成されており、格子マークH5〜H8は、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4側であって、中線C1,C2上に形成されている。これら格子マークH1〜H8は、各々が近接する第1端部S1〜第4端部S4に対する予め定めた位置に形成される。具体的には、各々が近接する第1端部S1〜第4端部S4から予め定めた距離Lcに配置される。また、格子マークH9は、中線C1および中線C2の交点C3に形成されている。
【0041】
2次元バーコードJは、予め定めた情報を保持する画像である。図示の例においては、2次元バーコードJ1,J2が、用紙Sの第3端部S3側および第4端部S4側に計2つ形成されている。この2次元バーコードJ1,J2は、その用紙Sの用紙サイズ(A3,B5など)、用紙Sが第1トレイ31乃至第3トレイ33のいずれのトレイから供給されたか、複数枚のテストチャートTCが連続して形成された場合は何枚目のテストチャートTCであるか、用紙Sにおける面が第1面および第2面のいずれであるかについての情報を保持する。
【0042】
補助画像K(K1,K2,K3)および補助線M(M1,M2)は、例えば形成画像の色ごとの濃度を検知するためなど、上記のエッジ検出マークG、格子マークH、2次元バーコードJが保持する以外の情報を検出するための検出画像である。
エッジ点Nは、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4上の測定点である。図示のテストチャートTCにおいて、エッジ点Nは、格子マークH1〜H8にそれぞれ対応する位置に設けられたエッジ点N1,N2,N3,N4,N5,N6,N7,N8の計8点が存在する。さらに説明すると、エッジ点N1〜N8は、各々用紙Sの格子マークH1〜H8から用紙Sの外縁に向けて距離Lc離れた位置にそれぞれ存在する。なお、図示の例においては、エッジ点Nは、テストチャートTCにおいて特定の画像(マーク)として形成されていないが、画像と形成されてももちろんよい。
【0043】
<エッジ検出マークG1〜G4>
図6(a)乃至(d)は、本実施の形態が適用されるエッジ検出マークGを説明する図である。
次に、
図6(a)乃至(d)を参照しながら、本実施の形態におけるエッジ検出マークG(G1〜G4)について説明をする。
本実施の形態におけるエッジ検出マークG1〜G4は、上述のように用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4に各々設けられるとともに、それぞれの形状は互いに異なる。そして、各々のエッジ検出マークG1〜G4の形状を識別することで、そのエッジ検出マークG1〜G4が形成された第1端部S1〜第4端部S4を認識することができる。また、検出されたエッジ検出マークG1〜G4の位置を基準として、第1端部S1〜第4端部S4を探索する領域を調整しながら、第1端部S1〜第4端部S4の検出が実行される。
【0044】
図6(a)乃至(d)に示すように、エッジ検出マークG1〜G4は、開始線G11、終了線G12、および識別線G13,G14,G15の組み合わせにより構成されている。これら開始線G11、終了線G12および識別線G13〜G15は、それぞれ用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4に沿って延びる略長方形(直線、線)の画像である。
また、開始線G11は近接する用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4側に配置され、終了線G12は開始線G11よりも用紙Sの紙面中央側に配置される。さらに、識別線G13〜G15は、開始線G11および終了線G12の間に設けられる。
【0045】
ここで、開始線G11は、後述するように、エッジ検出マークGを走査しながら検出する処理を行う際(図中矢印参照)に、エッジ検出マークGを通過し始めることを示す。この開始線G11は、終了線G12および識別線G13〜G15よりも線幅が広い(太い)。
終了線G12は、エッジ検出マークGを走査しながら検出する処理を行う際に、エッジ検出マークGを通過し終えることを示す。終了線G12は、開始線G11よりも線幅が狭く、識別線G13〜G15よりも線幅が広い。
【0046】
識別線G13〜G15は、各1端部S1〜第4端部S4を識別するための画像である。識別線G13〜G15は、各々同一の線幅であるとともに、開始線G11および終了線G12よりも線幅が狭い(細い)。
ここで、
図6(a)乃至(d)に示すように、エッジ検出マークG1は識別線G13〜G15を有さず(0本)、エッジ検出マークG2は識別線G13を有し(1本)、エッジ検出マークG3は識別線G13,G14を有し(2本)、エッジ検出マークG4は識別線G13〜G15を有する(3本)。本実施の形態においては、開始線G11および終了線G12に挟まれる識別線G13〜G15の本数を計数することにより、エッジ検出マークG1〜G4のいずれであるかが認識される。
【0047】
<テストチャートTCと読取画像R>
<トリミング>
図7(a)乃至(c)は、検出画像Qと読取画像Rの関係を説明する図である。
次に、
図1および
図7(a)乃至(c)を参照しながら、画像読取部9において用紙Sの画像が読み取られることにともない行われるトリミングについて説明をする。
ここでは、画像形成装置1において、画像読取部9の第1画像センサ92によって用紙Sの画像を読み取り、その読み取った画像の画像を画像形成部5によって形成する、いわゆるコピー機能を実行する場合を説明する。
【0048】
図7(a)に示すように、用紙搬送部91により用紙Sを搬送しながら第1画像センサ92により読み取られた(検出された)画像は、検出画像Qとなる。ここで、交差方向において、検出画像Qの長さ、言い替えると第1画像センサ92によって検知される領域の長さは、搬送される最大幅の用紙Sの長さよりも長い。このことから、
図7(a)に示すように、検出画像Qの画像は、用紙S周囲の用紙外領域(背景)を含んだ画像となる。
【0049】
一方で、コピー機能を実行する場合、用紙S周囲の背景は不要である。そこで、読み取り画像を用紙サイズに切り取り、用紙外領域を削除する。具体的には、
図7(b)に示すように、検出画像Qにおける用紙Sに対応する領域を残し、それ以外の領域を削除する(トリミングする)。その結果、読取画像Rは用紙Sに対応する領域と一致する(
図7(c)参照)。さらに説明をすると、交差方向における読取画像Rの画像データ幅が、用紙Sの幅と一致する。
このように、検出画像Qをトリミングし読取画像Rとすることにより、読取画像Rの画像データの転送速度が高速化し、あるいはバッファメモリの量が低減される。
【0050】
なお、ここでは、第1画像センサ92によって用紙Sの画像を読み取ることを説明したが、第2画像センサ94によって用紙Sの画像の読取を行う場合も同様である。
また、ここでは、コピー機能を実行することを例に説明をしたが、例えば画像形成装置1においてスキャナ機能を実行する場合も同様である。なお、コピー機能やスキャナ機能を実行するモードを、上記の調整モードとの対比として、通常モードということがある。また、この通常モードは、読み取られた画像の画像情報を記憶手段へ保存するモードとして捉えることができる。
付言すると、検出画像Qは、センサ読み込み可能最大エリアとして捉えることができ、読取画像Rは、読み込み画像最大エリアとして捉えることができる。
【0051】
<トリミング位置の初期設定>
図8(a)および(b)は、初期設定におけるトリミング位置の調整を説明する図である。
次に、
図1、
図8(a)および(b)を参照しながら、初期設定におけるトリミング位置の調整について説明をする。
【0052】
まず、
図8(a)に示すように、例えば画像形成装置1の製造工程におけるばらつきなどにより、検出画像Qにおける読取画像Rの位置と、用紙Sに対応する領域の位置とに、ずれが生じることがある。そこで、例えば画像形成装置1の出荷時あるいは設置時などに、検出画像Qにおける読取画像Rの位置を調整する初期設定が行われる。
具体的には、
図8(b)に示すように、検出画像Qにおける読取画像Rの位置を移動(調整)し、読取画像Rの位置を、用紙Sに対応する領域の位置に一致させる。なお、図示の例においては、交差方向の一方側(図中右側)に向けて、読取画像Rを初期設定前の位置(
図8(a)参照)から移動させている。
なお、図示の例における読取画像Rの移動距離は、距離d1である。また、この初期設定時の読取画像Rの移動を、単に初期移動ということがある。
【0053】
<通常モードおよび調整モードにおけるトリミング位置>
図9(a)乃至(c)は、通常モードおよび調整モードにおけるトリミング位置の調整を説明する図である。
次に、
図5および
図9(a)乃至(c)を参照しながら、本実施の形態における通常モードおよび調整モードにおける各々のトリミング位置について説明をする。
【0054】
まず、
図9(a)に示すように、通常モードにおいては、検出画像Qにおける読取画像Rの位置は、用紙Sに対応する領域の位置と一致する。なお、この通常モードにおける読取画像Rの位置は、上述のように初期設定にともない、距離d1だけ初期移動された後の位置とする。
一方、
図9(b)に示すように、調整モードにおいては、読取画像Rの位置を、通常モードの読取画像Rの位置からずらす。なお、調整モードにおける読取画像Rの位置の移動は、総合制御部10のトリム位置決定部24(
図3参照)により実行される。
【0055】
このように、調整モードにおいて読取画像Rの位置をずらすのは次の理由による。まず、アライメントずれを調整する際には、上述のようにテストチャートTCを用いて行う。そして、このテストチャートTCの画像を読み取った読取画像Rを解析し、印字位置測定用の特徴点(格子マークHなど)の座標や、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4(エッジ点N1〜N12)の座標を取得する。そして、第1端部S1〜第4端部S4の座標を基準に、それぞれの特徴点座標の位置を測定することにより、アライメントのずれ量を算出する。
【0056】
このとき、通常モードのように、読取画像Rの位置を、テストチャートTCに対応する領域の位置と一致させると、例えばテストチャートTCの用紙サイズが大きい場合、さらに説明をするとテストチャートTCの交差方向長さが大きい場合に、第1画像センサ92や第2画像センサ94、テストチャートTCの搬送位置(走行位置)のばらつきなどの影響により、読取画像R内に第1端部S1〜第4端部S4を収めることができなくなること(像欠け)がある。その結果、読取画像Rから第1端部S1〜第4端部S4の座標を取得することができなくなり得る。
【0057】
そこで、本実施の形態の調整モードにおいては、
図9(b)に示すように、読取画像Rの位置を、通常モードの読取画像Rの位置(テストチャートTCに対応する領域の位置)からずらすことにより、第1端部S1〜第4端部S4のうちの一部の端部が読取画像R内に収まらなくなることを許容しつつ、他の端部を確実に読取画像Rに収める。図示の例においては、交差方向の一方側(図中左側)に向けて、読取画像Rの位置を通常モードの位置から距離d2移動させている。
【0058】
さて、特にテストチャートTCの用紙Sが薄紙である場合など、テストチャートTCとその背景との境界のコントラストが低くなる条件において、読取画像R内における用紙外領域(背景)の領域が狭いと、第1端部S1〜第4端部S4の検出が誤検知されることがある。あるいは、第1端部S1〜第4端部S4の検出そのものが困難になり得る。これは、背景領域が狭いと、例えば読取画像Rに写り込んだ汚れやゴミなど、誤差要因となるテストチャートTC以外の画像を検出した場合に、その影響が大きくなるためである。
【0059】
そこで、本実施の形態においては、テストチャートTCに対応する領域の位置から、読取画像Rの位置をずらすことにより、読取画像R内に収められた第1端部S1〜第4端部S4のいずれかの端部(図示の例においては第4端部S4)の周囲の背景を広げる。この背景の領域を広げることにより、第4端部S4の検出が容易となる。また、読取画像Rの位置をずらすことにより、読取画像R全体の範囲を大きく広げることが不要となり、第1画像センサ92(
図7(a)参照)などの交差方向長さが抑制される。
【0060】
さらに説明をすると、テストチャートTCが搬送可能な最大幅の用紙である場合であっても、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のうちの一部の端部が読取画像R内に収まらなくなることを許容しつつ、他の端部を確実に読取画像Rに収める。付言すると、例えば用紙サイズがA4の長手端部の長さが搬送可能な最大幅の用紙である場合に、A4の長手端部を搬送方向先端としながら用紙を搬送し、画像の読み取りを行うことが可能となる。このことにより、A4の長手端部の長さを搬送方向に沿う向きに搬送する場合と比較して、読取時間が短縮される。
【0061】
なお、
図9(b)に示す例においては、読取画像Rの位置を通常モードの位置から距離d2移動することを説明した。この距離d2は、読取画像Rを移動可能な最大距離以下の範囲で、予め定めた距離として設定される。また、この距離d2は、例えばトリム位置決定部24(
図3参照)が予め記憶しておく。そして、ユーザによって調整モードが選択された際(後述)に、このトリム位置決定部24に記憶された距離d2に従い、読取画像Rの位置が調整される。
【0062】
さて、この距離d2が、読取画像Rの移動可能な最大距離以下で設定されている場合であっても、初期移動による移動距離(距離d1、
図9(a)参照)によっては、距離d2の移動ができないことがある。具体的には、距離d1と距離d2の総和が、読取画像Rの移動可能な最大距離を超える場合には、読取画像Rを距離d2移動させることができない。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、トリム位置決定部24(
図3参照)が、距離d1と距離d2の総和を算出するとともに、この総和が読取画像Rの移動可能な最大距離を超えるか否かを判断する。
そして、
図9(c)に示すように、距離d1と距離d2の総和が、読取画像Rの移動可能な最大距離を超える場合には、距離d2とは反対方向、さらに説明をすると交差方向の他方側(図中右側)に向けて、読取画像Rを距離d3移動させる。このことにより、読取画像R内に第1端部S1〜第4端部S4の一部を収めるとともに、その背景の領域の大きさが確保される。
【0064】
なお、距離d1、距離d2、最大距離、距離d3は、トリム位置決定部24に予め記憶されるとよい。また、距離d3は、例えば距離d2とは反対方向に、最大量移動可能な距離として定められる。
また、上記の態様は、画像読取部9の調整値(初期移動の移動距離、距離d1)に応じて、調整モードにおける読取画像Rをシフトする方向を決定する態様として捉えることができる。
【0065】
ここで、上記の説明においては、読取画像Rを、読取画像Rの大きさ(サイズ)を維持したまま移動させることを説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、通常モードの読取画像Rよりも、調整モードの読取画像Rを大きな領域としてもよい。具体的には、調整モードの読取画像Rを、検出画像Qの大きさとする(トリミングを行わない)場合や、検出画像Qよりも小さくかつ用紙Sよりも大きい領域としてもよい。
【0066】
あるいは、調整モードの読取画像Rを用紙Sと略等しい、あるいは用紙Sより小さい領域としてもよい。また、調整モードの読取画像Rを複数の領域により構成してもよい。具体的には、調整モードの読取画像Rを用紙Sより小さい複数の領域により構成してもよい。
なお、これらの読取画像Rは、用紙Sの第1端部S1〜第4端部S4の少なくとも1つが収まる位置とすることが好ましい。
【0067】
<調整モードにおける第1端部S1〜第4端部S4の位置>
図10(a)および(b)は、調整モードにおける読取画像Rと第1端部S1〜第4端部S4との位置関係を説明する図である。
次に、
図10(a)および(b)を参照しながら、調整モードにおける読取画像RとテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4との位置関係について説明をする。
上記のように、調整モードにおいては、読取画像Rの位置がずらされる。このことにより、上述のように、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のうちの一部の端部が読取画像R内に収まらなくなることがある。特に、テストチャートTCの用紙サイズが大きい、さらに説明をすると、交差方向におけるテストチャートTCの長さが長い場合には、交差方向における両端(第3端部S3および第4端部S4)のいずれかが、読取画像R内に収まらなくなり得る。
【0068】
このことを具体的に説明すると、
図10(a)に示すように、読取画像R内にテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4が収まる場合には、テストチャートTCのエッジ点N1〜N12の全てが読取画像R内に収まる状態となる。
一方、
図10(b)に示すように、テストチャートTCの第1端部S1〜第3端部S3のみが読取画像R内に収まる場合には、読取画像R内にエッジ点N1〜N9のみが収まる状態となる。
【0069】
ここで、上記のように、アライメントずれを調整する際には、第1端部S1〜第4端部S4(エッジ点N1〜N12)の座標を用いてアライメントのずれ量を算出する。一方で、例えば
図10(b)に示すように、読取画像R内にテストチャートTCの第4端部S4が収まらない場合であっても、アライメントの調整が確実に実行されることが望まれる。
そこで、本実施の形態においては、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれが読取画像R内に収まっているか否か、言い換えると、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれが読取画像Rにおいて収まらない(欠けている)かを判断し、その判断結果に従って、アライメントの調整態様を切り替える。
なお、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれの端部が読取画像Rにおいて欠けるかについては、テストチャートTCの用紙サイズ、テストチャートTCの第1原稿トレイ90への搭載向き、初期移動の移動距離d1などにより変化するものであり、欠ける端部を予め把握することは困難である。
【0070】
<アライメントの調整態様の切り替え>
図11は、読取画像R内に収まるテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4の変化に応じたアライメントの調整態様の切り替えを説明する図である。
次に、
図3、
図10および
図11を参照しながら、読取画像R内に収まるテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4の変化に応じたアライメントの調整態様の切り替えを具体的に説明する。
【0071】
まず、アライメントの調整態様の切り替えは、画像解析部25の端部欠け判定部242(
図3参照)によって実行される。
具体的には、端部欠け判定部242は、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれが読取画像Rにおいて収まっていないか(端部欠け)を判断する。
次に、端部欠け判定部242は、端部欠けの判断結果に応じて、アライメントのずれ補正量を算出するアルゴリズムを変更する。さらに説明をすると、端部欠け判定部242は、アライメントのずれ量算出式(主走査倍率算出式および副走査倍率算出式など、位置算出式の一例)、テストチャートTCのレジ基準端部(リードレジ基準端部およびサイドレジ基準端部など)、アライメントの補正量算出式(リードレジ補正量算出式およびサイドレジ補正量算出式など)の少なくともいずれかを変更する。
【0072】
ここでは、
図11を参照しながら、端部欠けの判断結果と、主走査倍率算出式、副走査倍率算出式、リードレジ基準端部、サイドレジ基準端部、リードレジ補正量算出式およびサイドレジ補正量算出式の各々の組み合わせについて説明をし、主走査倍率算出式、副走査倍率算出式、リードレジ基準端部、サイドレジ基準端部、リードレジ補正量算出式およびサイドレジ補正量算出式についての、具体的な態様については後述する。
【0073】
まず、
図11に示すように、端部欠けが無しの場合、すなわち第1端部S1〜第4端部S4が読取画像R内に収まる場合には、主走査倍率算出式および副走査倍率算出式は通常式である。また、リードレジ基準端部は第3端部S3であり、サイドレジ基準端部は第2端部S2である。また、リードレジ補正量算出式およびサイドレジ補正量算出式は通常式である。
【0074】
次に、端部欠けが第1端部S1である場合、すなわち第2端部S2〜第4端部S4が読取画像R内に収まる場合には、主走査倍率算出式は代替式、副走査倍率算出式は通常式である。また、リードレジ基準端部は第3端部S3であり、サイドレジ基準端部は第2端部S2である。また、リードレジ補正量算出式およびサイドレジ補正量算出式は通常式である。
次に、端部欠けが第2端部S2である場合、すなわち第1端部S1、第3端部S3および第4端部S4が読取画像R内に収まる場合には、主走査倍率算出式は代替式、副走査倍率算出式は通常式である。また、リードレジ基準端部は第3端部S3であり、サイドレジ基準端部は第1端部S1である。また、リードレジ補正量算出式は通常式、サイドレジ補正量算出式は代替式である。
【0075】
次に、端部欠けが第3端部S3である場合、すなわち第1端部S1、第2端部S2および第4端部S4が読取画像R内に収まる場合には、主走査倍率算出式は通常式、副走査倍率算出式は代替式である。また、リードレジ基準端部は第4端部S4であり、サイドレジ基準端部は第2端部S2である。また、リードレジ補正量算出式は代替式、サイドレジ補正量算出式は通常式である。
次に、端部欠けが第4端部S4である場合、すなわち第1端部S1〜第3端部S3が読取画像R内に収まる場合には、主走査倍率算出式は通常式、副走査倍率算出式は代替式である。また、リードレジ基準端部は第3端部S3であり、サイドレジ基準端部は第2端部S2である。また、リードレジ補正量算出式およびサイドレジ補正量算出式は通常式である。
【0076】
なお、読取画像R内に収まるテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4の変化に応じたアライメントの調整態様の切り替えは、例えば端部欠け判定部242が
図11に示すテーブルを予め記憶し、この記憶したテーブルを参照することにより実行される。
【0077】
<主走査倍率算出式および副走査倍率算出式の切り替え態様>
図12は、ずれ量算出式の切り替え態様について説明をする図である。
次に、
図12を参照しながら、主走査倍率算出式および副走査倍率算出式における通常式と代替式について説明をする。なお、
図12においては、主走査倍率(交差方向における倍率)の切り替えを例として説明する。
【0078】
まず、通常式および代替式の両者とも、格子マークH間の長さに基づいて、主走査倍率を測定する。具体的には、テストチャートTCの交差方向両端に形成された格子マークH5および格子マークH6間の長さに基づいて主走査倍率を測定する。
次に、通常式について説明をする。通常式においては、格子マークH5および格子マークH6間の長さを直接測定するのではなく、用紙Sの長さ、エッジ点N5から格子マークH6までの距離d4、および格子マークH5からエッジ点N2までの距離d5により格子マークH5および格子マークH6間の長さを算出する。すなわち、格子マークH5および格子マークH6間の長さの算出式が、用紙長さ−距離d4−距離d5となる。なお、用紙長さは、例えば上述の2次元バーコードJに保持されている情報を参照することにより得られる。
【0079】
このように、通常式において、格子マークH5および格子マークH6間の長さを直接測定せず、いわば間接的に測定するのは、次の理由による。例えば、一般的に、テストチャートTC上の測定点間の距離を測る場合において、画像読取部9(
図1参照)がテストチャートTCを搬送しながら画像の読み取りを行うことなどにともない生じる誤差は、測定点間の距離が長いほど大きくなる。そこで、通常式においては、測定点間の検知誤差を抑制するため、より短い測定点間、すなわちエッジ点N5から格子マークH6までの距離d4および格子マークH5からエッジ点N2までの距離d5を利用して、格子マークH5および格子マークH6間の長さを求める。
【0080】
さて、この通常式においては、上述のようにエッジ点N2およびエッジ点N5を利用する。すなわち、通常式においては、テストチャートTCにおける主走査倍率を測定しようとする方向(図示の例においては交差方向)の両端(第1端部S1および第2端部S2)が読取画像Rに収まることが必要である。
【0081】
次に、代替式について説明をする。代替式においては、通常式と異なり、格子マークH5および格子マークH6間の長さ(距離d6)を直接測定する。
この代替式においては、上記の通常式と比較すると、上述のように検知誤差が大きくなり得る。一方で、通常式とは異なり、テストチャートTCにおける主走査倍率を測定しようとする方向(図示の例においては交差方向)の両端(第1端部S1および第2端部S2)が読取画像Rに収まることは不要である。
【0082】
以上のように、本実施の形態においては、テストチャートTCにおける主走査倍率を測定しようとする方向(
図12の例においては交差方向)の両端(第1端部S1および第2端部S2)が読取画像Rに収まる場合には通常式(用紙基準)を採用し、両端のうちのいずれかが読取画像Rに収まらない場合には代替式(スキャナ基準)を採用する(
図11参照)。
なお、ここでは主走査倍率について説明をしたが、副走査倍率の切り替えを行う場合も同様である。
【0083】
<リードレジ基準端部およびサイドレジ基準端部の切り替え態様>
図13(a)および(b)は、リードレジ基準端部およびサイドレジ基準端部の切り替え態様について説明をする図である。
次に、
図13(a)および(b)を参照しながら、リードレジ基準端部およびサイドレジ基準端部の切り替えについて説明する。
【0084】
まず、
図13(a)に示すように、端部欠けが無しの場合、すなわち第1端部S1〜第4端部S4が読取画像R内に収まる場合には、リードレジを測定する基準となる端部であるリードレジ基準端部は第3端部S3、サイドレジを測定する基準となる端部であるサイドレジ基準端部は第2端部S2となる。さらに説明をすると、
図13(a)においては、リードレジはエッジ点N8から格子マークH7までの距離d7により測定され、サイドレジはエッジ点N5から格子マークH6までの距離d8により測定される。
なお、端部欠けが無しの場合のリードレジ基準端部(図示の例では第3端部S3)およびサイドレジ基準端部(図示の例では第2端部S2)をそれぞれ、通常リードレジ基準端部および通常サイドレジ基準端部とすることがある。
【0085】
次に、
図13(b)に示すように、端部欠けが第2端部S2である場合、すなわち第1端部S1、第3端部S3および第4端部S4が読取画像R内に収まる場合には、リードレジを測定する基準となる端部であるリードレジ基準端部は第3端部S3、サイドレジを測定する基準となる端部であるサイドレジ基準端部は第1端部S1となる。さらに説明をすると、
図13(b)においては、リードレジはエッジ点N8から格子マークH7までの距離d9により測定され、サイドレジはエッジ点N2から格子マークH5までの距離d10により測定される。
【0086】
このように、本実施の形態においては、通常リードレジ基準端部(図示の例では第3端部S3)あるいは通常サイドレジ基準端部(図示の例では第2端部S2)が、読取画像R内に収まらなかった場合には、テストチャートTCにおける通常リードレジ基準端部と対向する端部(図示の例では第4端部S4)あるいは通常サイドレジ基準端部と対向する端部(図示の例では第1端部S1)が基準となるように切り替える(
図11参照)。
【0087】
<測定点の変化>
図14(a)乃至(c)、
図15(a)および(b)は、端部欠けに応じた測定点の変化を説明するための図である。
次に、
図14(a)乃至(c)、
図15(a)および(b)を参照しながら、端部欠けに応じた測定点の変化について説明をする。
まず、前提として、本実施の形態においては、上述のようにテストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれの端部が読取画像Rにおいて欠けているか(端部欠け)に応じて、リードレジ基準端部とサイドレジ基準端部とが切り替えられる。このリードレジ基準端部とサイドレジ基準端部とが切り替えられることにより、アライメントのずれ量を算出する際に、テストチャートTCにおける測定点が変化することについて具体的に説明をする。
【0088】
まず、
図14(a)に示すように、端部欠けが無しの場合、リードレジ基準端部は第3端部S3、サイドレジ基準端部は第2端部S2となる。したがって、リードレジは第3端部S3を基準とした距離P11、サイドレジは第2端部S2を基準とした距離P12により算出される。また、リードスキューは距離P13,14、サイドスキューは距離P15,16により算出される。なお、主走査倍率は用紙基準として距離P11,17により算出され、副走査倍率は用紙基準として距離P12,18により算出される。
【0089】
図14(b)に示すように、端部欠けが第1端部S1である場合、リードレジ基準端部は第3端部S3、サイドレジ基準端部は第2端部S2となる。したがって、リードレジは第3端部S3を基準とした距離P21、サイドレジは第2端部S2を基準とした距離P22により算出される。また、リードスキューは距離P23,24、サイドスキューは距離P25,26により算出される。なお、副走査倍率は用紙基準として距離P21,27により算出され、主走査倍率はスキャナ基準として距離P28により算出される。
【0090】
図14(c)に示すように、端部欠けが第2端部S2である場合、リードレジ基準端部は第3端部S3、サイドレジ基準端部は第1端部S1となる。したがって、リードレジは第3端部S3を基準とした距離P31、サイドレジは第1端部S1を基準とした距離P32により算出される。また、リードスキューは距離P33,34、サイドスキューは距離P35,36により算出される。なお、副走査倍率は用紙基準として距離P31,37により算出され、主走査倍率はスキャナ基準として距離P38により算出される。
【0091】
図15(a)に示すように、端部欠けが第3端部S3である場合、リードレジ基準端部は第4端部S4、サイドレジ基準端部は第2端部S2となる。したがって、リードレジは第4端部S4を基準とした距離P41、サイドレジは第2端部S2を基準とした距離P42により算出される。また、リードスキューは距離P43,44、サイドスキューは距離P45,46により算出される。なお、副走査倍率はスキャナ基準として距離P47により算出され、主走査倍率は用紙基準として距離P42,48により算出される。
【0092】
図15(b)に示すように、端部欠けが第4端部S4である場合、リードレジ基準端部は第3端部S3、サイドレジ基準端部は第2端部S2となる。したがって、リードレジは第3端部S3を基準とした距離P51、サイドレジは第2端部S2を基準とした距離P52により算出される。また、リードスキューは距離P53,54、サイドスキューは距離P55,56により算出される。なお、副走査倍率はスキャナ基準として距離P57により算出され、主走査倍率は用紙基準として距離P52,58により算出される。
【0093】
<レジずれ補正量算出式の切り替え態様>
図16(a)乃至(c)および
図17(a)乃至(c)は、レジずれ補正量算出式の切り替え態様について説明をする図である。
次に、
図11、
図13(a)および(b)、
図16(a)乃至(c)および
図17(a)乃至(c)を参照しながら、レジずれ補正量算出式の切り替えについて説明する。
【0094】
まず、上記のように
図13(a)および(b)を参照しながら説明をしたように、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれの端部が読取画像Rにおいて欠けているか(端部欠け)に応じて、リードレジ基準端部とサイドレジ基準端部とが切り替えられる。本実施の形態においては、このリードレジ基準端部およびサイドレジ基準端部のいずれかが切り替えられることにともない、リードレジおよびサイドレジについてのレジずれ補正量算出式が切り替えられる。
【0095】
以下では、サイドレジ(図示の例においては交差方向におけるずれ)について説明をする。なお、
図16(a)乃至(c)および
図17(a)乃至(c)においては、アライメントずれの例として、サイドレジおよび主走査倍率のずれが生じている場合を想定する。また、
図16(a)乃至(c)および
図17(a)乃至(c)においては、テストチャートTC(
図13参照)ではなく、用紙Sと、アライメントずれ補正前に形成される画像である補正前画像Fと、アライメントずれ補正完了後に形成される補正後画像Tとの関係により説明をする。なお、補正後画像Tの位置は、用紙Sにおいて画像が形成されることが望まれる理想位置として捉えることができる。
【0096】
まず、
図16(a)乃至(c)には、端部欠けが無しの場合を示す(
図14(a)参照)。ここで、上述のようにテストチャートTCにおけるサイドレジ基準端部は、通常サイドレジ基準端部である第2端部S2となる。ここで、テストチャートTCの第2端部S2に対応するのは、用紙Sにおける第1端部S5とする。また、テストチャートTCの第1端部S1に対応するのは、用紙Sにおける第2端部S6とする。
そして、
図16(a)に示すように、補正前にサイドレジずれとして測定される量は、距離Daとなる。ここで、上述のように
図16(a)には、サイドレジおよび主走査倍率にずれが生じている。この場合において、主走査倍率を補正することにともない、アライメントずれの各成分間の補正相互影響のため、サイドレジの補正量が変化し得る。
【0097】
具体的に説明をすると、
図16(b)に示すように、主走査倍率の調整を実行する際には、用紙Sにおける第1端部S5(左側)を固定した状態で、補正前画像Fを主走査方向(交差方向)に沿う方向で、かつ第2端部S6に向けて伸ばす。この主走査倍率が調整された補正前画像Fの位置は、交差方向において理想位置から距離Dbずれた状態となる。また、このときの距離Dbのずれは、第1端部S5側で測定されたものである。
そして、
図16(c)に示すように、サイドレジの調整を実行する際には、主走査倍率が調整された補正前画像Fの位置を、交差方向に沿って移動(平行移動)する(距離Dc参照)。
【0098】
このとき、サイドレジの補正量は、以下の式により算出される。
Dc=Db …(1)
【0099】
また、
図16(a)乃至(c)のように、通常サイドレジ基準端部であるテストチャートTCの第2端部S2を基準としてサイドレジずれを測定する場合、サイドレジのずれ量は、主走査倍率の調整による影響が小さいため、以下の式により算出される。
Db=Da …(2)
【0100】
したがって、サイドレジの補正量は、以下の式(通常式)により算出される。
Dc=Da …(3)
【0101】
次に、
図17(a)乃至(c)は、テストチャートTCにおける端部欠けが第2端部S2である場合を示す(
図14(c)参照)。この例におけるテストチャートTCのサイドレジ基準端部は、通常サイドレジ基準端部と対向する端部である第1端部S1となる。
そして、
図17(a)に示すように、補正前にサイドレジずれとして測定される量は、距離Daとなる。
【0102】
次に、
図17(b)に示すように、主走査倍率の調整を実行する際には、用紙Sにおける第1端部S5(左側)を固定した状態で、補正前画像Fを主走査方向(交差方向)に沿う方向で、かつ第2端部S6に向けて伸ばす。この主走査倍率が調整された補正前画像Fの位置は、交差方向において理想位置から距離Dbずれた状態となる。また、このときの距離Dbのずれは、第2端部S6側で測定されたものである。
そして、
図17(c)に示すように、サイドレジの調整を実行する際には、主走査倍率が調整された補正前画像Fの位置を、交差方向に沿って移動する(距離Dc参照)。
【0103】
このとき、サイドレジの補正量は、以下の式により算出される。
Dc=Db …(4)
【0104】
また、
図17(a)乃至(c)のように、通常サイドレジ基準端部と対向する端部であるテストチャートTCの第1端部S1を基準としてサイドレジずれを測定する場合、サイドレジずれのずれ量は主走査倍率の調整による影響を受けるため、以下の式により算出される。
Db=Da−倍率補正量 …(5)
【0105】
したがって、サイドレジの補正量は、以下の式(代替式)により算出される。
Dc=Da−倍率補正量 …(6)
【0106】
上述のように、本実施の形態においては、サイドレジ基準端部が、通常サイドレジ基準端部である場合には、サイドレジの補正量算出式の通常式として式(3)を利用し、通常サイドレジ基準端部でない場合には、サイドレジの補正量算出式の代替式として式(6)を利用するよう切り替えられる(
図11参照)。
なお、ここではサイドレジの補正量算出式について説明をしたが、リードレジの補正量算出式の切り替えを行う場合も同様である。
【0107】
<アライメント調整処理>
図18は、本実施の形態におけるアライメント調整処理の動作例を示したフローチャートである。
次に、本実施の形態におけるアライメント調整処理の動作例を説明する。
まず、テストチャート出力部22は、例えばユーザがUI7を操作することにより、調整モードの選択を受け付ける(ステップ1801)。また、テストチャート出力部22は、ユーザがUI7を操作することにより、テストチャート出力指示を受け付ける(ステップ1802)。そして、テストチャート出力部22は、用紙Sに画像を形成しテストチャートTCとして出力する(ステップ1803)。
【0108】
次に、テストチャート読取部23は、ユーザがUI7を操作することにより、テストチャート読取指示を受け付ける(ステップ1804)。そして、トリム位置決定部24によりトリム位置の調整が実行された後に(ステップ1805)、テストチャート読取部23はテストチャートTCの読み取り(検出)を実行する(ステップ1806)。
【0109】
次に、トリム位置決定部24が検出されたテストチャートTCの画像(検出画像Q、
図7(a)参照)をトリミングした後に(ステップ1807)、読取画像記憶部27がトリミングされた画像を読取画像Rとして記憶する(ステップ1808)。
次に、画像解析部25は、読取画像記憶部27に記憶された読取画像Rの解析を行う(ステップ1809、後述)。そして、補正量記憶部28は、画像解析部25によって算出されたアライメントずれ量を補正するための補正量を記憶する(ステップ1810)。
【0110】
なお、アライメント調整部21は、例えば通常モードにおいて画像形成部5によって用紙Sに画像を形成する前に、補正量記憶部28に記憶された補正量に従って、アライメントずれの補正が施される。具体的には、アライメント調整部21は、画像形成部5によって形成される画像の形成位置の補正処理や画像の倍率の補正処理など画像側を補正すること、あるいは第1トレイ31〜第3トレイ33の用紙搭載位置の補正処理や、第1トレイ31〜第3トレイ33から供給される用紙Sの送りタイミングの補正処理など用紙S側を補正することといった、種々の補正処理を施す。
【0111】
<テストチャート画像の解析処理>
図19は、本実施の形態におけるテストチャート画像の解析処理の動作例を示したフローチャートである。
次に、
図19を参照しながら、画像解析部25によって行われるテストチャートTCの画像の解析処理(
図18のステップ1809参照)の動作例について詳細に説明をする。
【0112】
まず、測定点検出部251は、各端部(第1端部S1〜第4端部S4)に形成されたエッジ検出マークG(G1〜G4)を検出し、解析する(ステップ1901)。このとき、画像解析部25は、検出されたエッジ検出マークGの解析結果から第1端部S1〜第4端部S4の配置、すなわちテストチャートTCの向きを特定する。
また、測定点検出部251は、2次元バーコードJを検出し、解析する(ステップ1902)。このとき、画像解析部25は、2次元バーコードJを解析し、用紙サイズ、さらに説明すると搬送方向および交差方向におけるテストチャートTCの長さを取得する。
【0113】
次に、測定点検出部251は、格子マークHを検出し(ステップ1903)、検出した格子マークHの位置に基づいてエッジ点Nを検出する(ステップ1904)。そして、端部欠け判定部252は、検出したエッジ点Nに基づいて、端部欠けを判定する(ステップ1905)。
次に、端部欠け判定部252は、端部欠けの判定結果に従い、ずれ量算出式を決定する(ステップ1906)。そして、ずれ量算出部253は、決定されたずれ量算出式に従い、アライメントのずれ量を算出する(ステップ1907)。
また、端部欠け判定部252は、端部欠けの判定結果(ステップ1905参照)に従い、補正量算出式を決定する(ステップ1908)。そして、補正量算出部254は、決定された補正量算出式に従い、アライメントずれの補正量を算出する(ステップ1909)。
【0114】
<変形例>
さて、上記の説明においては説明を省略したが、読取画像記憶部27が、第1トレイ31、第2トレイ32および第3トレイ33ごとに読み取られた画像を記憶してもよい。あるいは、さらに細分化して、第1トレイ31乃至第3トレイ33に搭載される用紙Sの種別ごとに画像を記憶してもよい。これら用紙Sの種別ごとに記憶された画像を解析してアライメントずれ量を調整することにより、第1トレイ31乃至第3トレイ33のいずれから用紙Sが供給されるか、あるいは用紙Sの種別に応じて変化し得るアライメントずれ量の調整量がより精度よく補正され得る。
【0115】
また、上記の説明においては、用紙搬送部91によってテストチャートTCを搬送しながら画像読取部9が画像の読み取りを実行することを説明したが、これに限定されない。すなわち、用紙搬送部91によってテストチャートTCを搬送せずに、例えば所謂プラテン(不図示)上などの、画像形成装置1における予め定めた位置に配置(固定)されるテストチャートTCの画像を、ミラー93が走査しながら第2画像センサ94によって読み取る態様であってもよい。そして、この態様において読み取られた画像においても、上記のアライメントずれ調整の処理を実行し得る。
【0116】
また、上記の説明においては、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4のいずれの端部が読取画像Rにおいて欠けているかに応じて、アライメントずれ調整の処理を切り替えることを説明したが、これに限定されない。例えば、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4が読取画像Rに収まっている状態であっても、上記のアライメントずれ調整の処理を実行し得る。さらに説明をすると、テストチャートTCの第1端部S1〜第4端部S4が読取画像Rに収まっているものの、第1端部S1〜第4端部S4のいずれかにおけるコントラストが低い場合など、第1端部S1〜第4端部S4の検出が困難な場合に、上記のアライメントずれ調整の処理を実行してもよい。
【0117】
さて、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例どうしを組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。