(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の表示装置を実機部品に取り付けるにあたり、この実機部品取付時の取り扱いによっては、防水ブーツの壁部への装着状態が不十分となる場合がある。この場合、防水ブーツの壁部への装着不十分箇所には微少な間隙部が形成され、この微少な間隙部から表示装置の外装ケースを構成する前記筐体の内部空間(空間部)に水が侵入すると、この水の侵入によって例えば回路基板に実装された前記制御手段が誤動作し、表示装置(表示手段)の動作に悪影響を与えてしまうという問題がある。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、表示手段の動作に悪影響を与える虞のない表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段の制御を行う制御手段が配設された回路基板と、前記表示手段と前記回路基板とを収容する筐体と、前記筐体に形成された開口部を臨むように前記回路基板の一方の面に配設されるとともにハーネスに備えられるハーネスコネクタと結合されるコネクタと、前記開口部の周縁に位置する前記筐体の
板面部と前記回路基板との間の空所を埋めるように配設される緩衝部材とを備え、
前記板面部は、前記緩衝部材と近接するように設けられるとともに前記回路基板に設けられた第1ネジ孔に連通する第2ネジ孔を有するボス部と、前記ハーネスに備えられる防水ブーツを装着するための壁部とを有し、前記第1ネジ孔と前記第2ネジ孔とからなるネジ止め固定部を通じて前記回路基板と前記
板面部とがネジにて固定された際に、前記緩衝部材が前記回路基板と前記
板面部との間に圧縮保持される構成とし
、前記ネジは、前記防水ブーツの内部に形成される空洞部に配設されることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段の制御を行う制御手段が配設された回路基板と、前記回路基板が配置されるケース体と、前記表示手段と前記回路基板と前記ケース体とを収容する筐体と、前記筐体に形成された開口部を臨むように前記回路基板の一方の面に配設されるとともにハーネスに備えられるハーネスコネクタと結合されるコネクタと、前記開口部の周縁に位置する前記筐体の
板面部と前記回路基板との間の空所を埋めるように配設される緩衝部材とを備え、
前記板面部は、前記緩衝部材と近接するように設けられるとともに前記回路基板に設けられた第1ネジ孔に連通する第2ネジ孔を有するボス部と、前記ハーネスに備えられる防水ブーツを装着するための壁部とを有し、前記ケース体には、前記第1ネジ孔に連通する第3ネジ孔を有する他のボス部が設けられ、前記第1ネジ孔と前記第2ネジ孔と前記第3ネジ孔とからなるネジ止め固定部を通じて前記回路基板と前記ケース体と前記
板面部とがネジにて固定された際に、前記緩衝部材が前記回路基板と前記
板面部との間に圧縮保持される構成とし
、前記ネジは、前記防水ブーツの内部に形成される空洞部に配設されることを特徴とする
【0007】
また本発明は、前記緩衝部材は、前記コネクタの外周部に密着するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記緩衝部材に前記コネクタの外周部と部分的に当接する凹凸部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、表示手段の動作に悪影響を与える虞のない表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)以下、
図1、
図2に基づいて、本発明の第1実施形態を建設機械をはじめとする各種車両に搭載される表示装置に適用した一実施形態を説明する。
【0012】
図1、
図2において、本実施形態における表示装置は、例えば建設機械のキャビン内に設置されており、車両情報やカメラ画像等の所定情報を表示するディスプレイとしての表示手段10と、この表示手段10の背後側に配置され、表示手段10の制御を行う制御手段(図示せず)が配設された回路基板20と、この回路基板20が固定(配置)されるケース体30と、表示手段10を覆う上側筐体40と主に回路基板20の背後側を覆う下側筐体50とでなる筐体60と、下側筐体50に備えられる後述する板面部と回路基板20との間に形成される空所を埋めるように配設される緩衝部材70とを備えている。
【0013】
表示手段10は、例えばTFT型の液晶表示パネルを適用することができ、前記所定情報を視覚情報として表示するものである。この場合、表示手段10は、図示しないフレキシブル配線板を用いて回路基板20と電気的に接続されている。
【0014】
回路基板20は、所定の配線パターンが施された硬質の配線基板からなり、ハーネス80に備えられる後述するハーネスコネクタと結合されるコネクタ21と、表示手段10の表示制御を行うマイクロコンピュータ等からなる前記制御手段と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが前記配線パターンに導通接続されている。
【0015】
この場合、コネクタ21は、筐体40に形成された後述する開口部を臨むように回路基板20の背面(一方の面)22に実装(配設)されている。
【0016】
なお、23は、回路基板20の表裏を貫通するように形成された円形貫通孔からなる第1のネジ孔であり、この第1のネジ孔23は、回路基板20においてコネクタ50の実装箇所と隣接した位置に設けられ、ケース体30に設けられる後述する第3のネジ孔、並びに筐体40に設けられる後述する第2のネジ孔に対応した位置に形成される。
【0017】
ケース体30は、例えば強度のあるアロイ材によって形成され、その背面側には回路基板20がネジ等の適宜固定手段を用いて固定(配置)される。また、ケース体30の背後には、回路基板20に設けられた第1のネジ孔23に連通する第3のネジ孔31を有する第1のボス部(他のボス部)32が突出形成(垂下形成)されている。また、この場合、第3のネジ孔31の内周面には、ネジSのネジ部と螺着固定可能なネジ螺合部(図示せず)が形成されている。
【0018】
上側筐体40は、透光性の合成樹脂材料によって形成された透視部41と、遮光性(例えば黒色)の合成樹脂材料によって形成された不可視部42とを備え、表示手段10(表示装置)を視認する視認者は透視部41を通じて前記所定情報を透視(視認)することができるようになっている。また、不可視部42は、主に表示手段10の周縁部分を覆うように透視部41に一体形成されている。
【0019】
下側筐体50は、例えば黒色の合成樹脂材料によって形成され、回路基板20の背後を覆う基部51と、上側筐体40の不可視部42と対をなすように設けられる側壁部52とが一体形成された構成となっている。なお、
図1の断面図において、側壁部52は回路基板20の左方にある箇所のみ図示されているが、
図1の断面図中、右方側にも側壁部52が設けられていることは言うまでもない。
【0020】
基部51は、側壁部52の下端側に連なるように各々形成された平板部53と、この平板部53よりも一段高い位置に位置する枠部54と、平板部53と枠部54とを各々繋ぐ傾斜部55と、傾斜部55とは反対側となる枠部54の内周縁から垂下形成された壁部56とを備えている。
【0021】
また、57は、壁部56の内部空間を構成するように設けられた開口窓であり、さらに、この場合、壁部56には、コネクタ50と当接しないように開口窓57の開口幅を狭めるべく壁部56の内方に向けて突出形成された鍔形状からなるフランジ部58と、回路基板20を挟んで第1のボス部32と向かい合う第2のボス部(ボス部)59とが一体形成されている。
【0022】
フランジ部58は、回路基板20と略平行状態をなすように設けられた板面部からなり、回路基板20の背面22に実装されたコネクタ21を臨ませるための開口部58aが開口形成されている。そして、フランジ部58と回路基板20との間には、回路基板20の板面方向とは直交する鉛直方向(
図1中、矢印Z方向)に沿い、空間が形成されるようになっている。
【0023】
第2のボス部59は、フランジ部58の表面から前記鉛直方向に沿い突出形成されたボス体からなり、コネクタ50や緩衝部材70と隣接(近接)するように設けられ、第1のネジ孔23と第3のネジ孔31との双方に連通する円形貫通孔からなる第2のネジ孔59aを有している。
【0024】
なお、上側筐体40と下側筐体50とで構成される筐体60は、表示装置の外装ケースを構成するものであり、その内部空間である空間部61に表示手段10や回路基板20、ケース体30等が収容されている。
【0025】
緩衝部材70は、弾性を有する合成ゴム材にて形成された黒色のパッキン(防水パッキン)を適用することができ、コネクタ21の外周部21aに密着するように配置されている。また、緩衝部材70は、開口部58aの周縁に位置する筐体40のフランジ部58部分(フランジ部58)と回路基板20との間の空所(前記空間)を埋めるように配設される。
【0026】
また、ハーネス80は、コネクタ21と結合されるハーネスコネクタ81と、このハーネスコネクタ81に接続される配線コード(図示せず)を保護する保護チューブ82と、この保護チューブ82を覆うように壁部56の外周壁部に装着されるグロメットからなる防水ブーツ83とから主に構成され、保護チューブ82と防水ブーツ83との間には空洞部84が形成される。なお、ハーネス80は、最終的には実車側と接続される。
【0027】
以上の各部により、表示装置が構成されている。次に、緩衝部材70を回路基板20とフランジ部58とに設けられる前記空所に組み付けるための組み付け例を説明する。
【0028】
まず、回路基板20の背面22に実装されたコネクタ21の外周部21aに密着するように緩衝部材70を装着する。このとき、回路基板20の前記鉛直方向に沿った緩衝部材70の高さ寸法(圧縮前の高さ寸法)は、
図1に示す表示装置の完成品状態における背面22とフランジ部58表面との間の間隔(つまり緩衝部材70の圧縮後の高さ寸法)よりも若干、高くなっている。
【0029】
次に、第1のネジ孔23と第3のネジ孔31とが連通するようにケース体30に、コネクタ21と緩衝部材70が装着された状態の回路基板20を固定するとともに、第1のネジ孔23と第2のネジ孔59aとが連通するように上側筐体40と下側筐体50とを適宜固定手段を用いて固定する。
【0030】
その後、ネジSのネジ部をフランジ部58の背後側から第2のネジ孔59aと第1のネジ孔23とに挿通させ、第2のネジ孔59aから突出した前記ネジ部の所要部が第3のネジ孔31に設けられた前記ネジ螺合部に螺着固定されることで、フランジ部58(下側筐体50)とケース体30と回路基板20とが固定される。
【0031】
つまり、このことは、第1のネジ孔23と第2のネジ孔59aと第3のネジ孔31とからなるネジ止め固定部Fを通じて、回路基板20とケース体30とフランジ部58とがネジSにて固定されることを意味している。このようにネジSを用いて回路基板20とケース体30とフランジ部58とが固定されることで、ハーネス80をコネクタ21から取り外そうとしたときの回路基板20の撓み変形を防止できるという利点がある。
【0032】
この際、コネクタ21の外周部21aに密着するように設けられた緩衝部材70は、前記鉛直方向に沿い、その高さ寸法が前記圧縮前の高さ寸法から前記圧縮後の高さ寸法へと変位し(縮まり)、回路基板20とフランジ部58との間に圧縮保持される構成となる。なお、ここでの詳細図示は省略するが、ネジ止め固定部Fは、フランジ部58に複数(2箇所もしくは3箇所)設けられており、個々のネジ止め固定部FがネジSによって各々固定されることになる。
【0033】
ここで、例えば
図1に示すように防水ブーツ83の壁部56への装着不十分箇所に微少な間隙部Tが形成されているような場合、表示装置(筐体60)の外部から微少な間隙部Tを経て、ハーネス80に設けられた空洞部84に侵入する水は、筐体60の空間部61には到達しないようになっている。
【0034】
つまり、本例の場合、防水パッキンとしての緩衝部材70が、フランジ部58と当該フランジ部58の開口部58aを臨むコネクタ21との間に形成されるクリアランス(図示せず)を塞ぐ(閉塞する)ように、コネクタ21の外周部21aに密着した状態で圧縮保持されていることから、微少な間隙部Tを経て空洞部84に侵入した水は、前記クリアランスから露出している緩衝部材70の露出部分、並びにフランジ部58を通過することができず、筐体60の空間部61には到達しない構成となる。
【0035】
そして、かかる構成によれば、緩衝部材70が回路基板20とフランジ部58との間に圧縮保持され、さらに壁部56と緩衝部材70との間がフランジ部58によって塞がれていることによって、ハーネス80の空洞部84と筐体60の空間部61とは仕切られる(隔てられる)ため、微少な間隙部Tを経て空洞部84に侵入した水は空間部61(回路基板20)には到達せず、これにより水の影響を受けて回路基板20に実装された前記制御手段が誤動作するのが防止され、表示手段10(表示装置)の動作に悪影響を与える虞のない表示装置を提供することができる。
【0036】
以上のように本実施形態では、所定情報を表示する表示手段10と、この表示手段10の制御を行う前記制御手段が実装された回路基板20と、この回路基板20が配置されるケース体30と、表示手段10と回路基板20とケース体30とを収容する筐体40と、この筐体40に形成された開口部58aを臨むように回路基板20の背面22に配設されるとともにハーネス80に備えられるハーネスコネクタ81と結合されるコネクタ21と、開口部58aの周縁に位置する筐体40のフランジ部58と回路基板20との間の前記空所を埋めるように配設される緩衝部材70とを備え、フランジ部58には、回路基板20に設けられた第1ネジ孔23に連通する第2ネジ孔59aを有する第2のボス部(ボス部)59が緩衝部材70と近接するように設けられ、ケース体30には、第1ネジ孔23に連通する第3ネジ孔31を有する第1のボス部(他のボス部)32が設けられ、第1ネジ孔23と第2ネジ孔59aと第3ネジ孔31とからなるネジ止め固定部Fを通じて回路基板20とケース体30とフランジ部58とがネジSにて固定された際に、緩衝部材70が回路基板20とフランジ部58との間に圧縮保持される構成としたものである。
【0037】
従って、緩衝部材70が回路基板20とフランジ部58との間に圧縮保持され、さらに壁部56と緩衝部材70との間がフランジ部58によって塞がれていることによって、ハーネス80の空洞部84と筐体60の空間部61とは仕切られる(隔てられる)ため、微少な間隙部Tを経て空洞部84に侵入した水は空間部61(回路基板20)には到達せず、これにより水の影響を受けて回路基板20に実装された前記制御手段が誤動作するのが防止され、表示手段10の動作に悪影響を与える虞のない表示装置を提供することができる。
【0038】
また本実施形態では、緩衝部材70が、コネクタ21の外周部21aに密着するように配置されていることにより、コネクタ21と防水パッキンとしての緩衝部材70との間に形成される隙間を確実に塞ぐことができ、筐体60の空間部61への水の侵入をより効果的に防止することができるという利点がある。
【0039】
また本実施形態では、コネクタ21における外周部21aの全体が緩衝部材70と面接触している例について説明したが、例えば本実施形態の変形例として
図2に示すように、緩衝部材70にコネクタ21の外周部21aと部分的に当接する略波形状の凹凸部71を設けた場合であっても、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば、この変形例にあっては、曲面形状となっている凹凸部71の凸部(頂部)がコネクタ21の外周部21aと部分的に当接(接触)し、凹凸部71の凹部(窪み部分)と外周部21aとの間には空洞領域Wが設けられる構成となる。
【0040】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を
図3に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。
【0041】
この第2実施形態が、前記第1実施形態と異なる点は、ネジ止め固定部Gが第1のネジ孔23と第2のネジ孔59aとからなり、背面22とは反対側となる回路基板20の表面(他方の面)24側から、ネジSを用いてフランジ部58(下側筐体50)と回路基板20とを固定した点である。
【0042】
この場合、第1ネジ孔23と第2ネジ孔59aとからなるネジ止め固定部Gを通じて回路基板20とフランジ部58とがネジSにて固定された際に、緩衝部材70が回路基板20とフランジ部58との間に圧縮保持される構成となっている(
図3参照)。
【0043】
従って、本第2実施形態においても、緩衝部材70が回路基板20とフランジ部58との間に圧縮保持され、さらに壁部56と緩衝部材70との間がフランジ部58によって塞がれていることによって、ハーネス80の空洞部84と筐体60の空間部61とは仕切られる(隔てられる)ため、微少な間隙部Tを経て空洞部84に侵入した水は空間部61(回路基板20)には到達せず、これにより水の影響を受けて回路基板20に実装された前記制御手段が誤動作するのが防止され、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
また、ネジSを用いて回路基板20とフランジ部58とが固定されることで、ハーネス80をコネクタ21から取り外そうとしたときの回路基板20の撓み変形を防止できるという利点がある。
【0045】
また、本第2実施形態の場合、必要に応じて前記第1実施形態にて採用したケース体30を廃止することもでき、ケース体30を廃止した構成を採用した場合、筐体60は表示手段10と回路基板20とを少なくとも収容していればよい。なお、本第2実施形態においても、緩衝部材70にコネクタ20の外周部21aと部分的に当接するような上述した凹凸部71を設けてもよいことは言うまでもない。