(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端はステアリングホイールに連結され、他端は操舵輪に連結され、運転手のステアリング操舵を前記操舵輪に伝達する伝達経路を有する操舵装置と、前記伝達経路の途中に設けられ、前記伝達経路に作用する操舵トルクを検出する操舵トルク検出装置と、前記伝達経路の途中に設けられ、前記伝達経路に操舵力を付与するモータと、制御信号を増幅して前記モータに駆動電流を供給する駆動装置と、運転手のステアリング操舵時は、所定の操舵トルクが得られるように、前記駆動装置に供給する前記制御信号を制御する基本制御部とを備えた電動パワーステアリング装置において、
車線を撮影するカメラと、
前記カメラからの画像を処理する画像処理回路と、
前記画像処理回路からの処理信号をもとに操舵すべき方向を示す操舵方向信号を出力する操舵方向判別部と、
前記ステアリングホイールに小さく時計回りおよび反時計回りに繰り返しトルクもしくは揺動を与えるステアリングホイール作動装置と、
前記ステアリングホイールを振動させる振動装置と、
前記操舵方向判別部の前記操舵方向信号の操舵すべき方向、および前記操舵トルク検出装置で検出された操舵方向が一致しているときは、前記振動装置による振動を行わせず、一致していないときは、前記操舵方向判別部の前記操舵方向信号の操舵すべき方向、および前記ステアリングホイール作動装置による前記ステアリングホイールへのトルク印加方向が一致しているときは、前記振動装置による振動を停止させ、一致していないときは、前記振動装置による振動を開始させるオンオフ制御装置とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
前記ステアリングホイール作動装置は、正負の中波の正弦波を発生させ、前記駆動装置に前記制御信号として印加する中波発生回路であることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
前記中波発生回路は、前記操舵トルク検出装置からの操舵トルクが大きくなるにつれて前記中波の正弦波の振幅を大きくしたことを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
前記振動装置は、正負の小波の正弦波を発生させ、前記駆動装置に前記制御信号として印加する小波発生回路であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
前記振動装置は、錘を往復動させることによって振動を発生させるバイブレータであり、前記ステアリングホイールに取り付けたことを特徴とする請求項4に記載の電動パワーステアリング装置。
前記オンオフ制御装置は、前記操舵方向判別部の前記操舵方向信号の操舵すべき方向および、前記操舵トルク検出装置で検出された操舵方向が一致しているときは、前記振動装置をオフにし、一致していないときは、前記操舵方向判別部の前記操舵方向信号の操舵すべき方向、および前記中波発生回路の揺動方向が一致しているときは、前記バイブレータをオフにし、一致していないときは、前記バイブレータをオンにするゲート部であることを特徴とする請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第一実施形態の構成を
図1乃至
図11に従って説明する。
【0025】
図1に示すように、コラムタイプの電動パワーステアリング装置1は、一端にステアリングホイール55が回転連結されたコラム機構2と、コラム機構2の他端に一端が回転連結されたインターミディエイトシャフト3と、インターミディエイトシャフト3の他端に一端が回転連結されたラックアンドピニオン機構4と、コラム機構2の後述するモータ21を制御するECU30とを備えている。ラックアンドピニオン機構4の他端にはタイロッド12、図示しないナックルを介して操舵輪13が連結されている。
【0026】
図1に示すように、コラム機構2は、一端にステアリングホイール55が回転連結され、他端にインターミディエイトシャフト3が回転連結されたステアリングシャフト5と、ステアリングシャフト5の途中に設けられた操舵トルク検出装置26と、ステアリングシャフト5の途中に設けられたウォームホイール24と、ウォームホイール24に噛み合うウォーム23と、ウォーム23を出力軸の一端に取り付けたモータ21と、モータ21の出力軸の回転から間接的に操舵輪13の操舵角を検出する操舵角検出装置22と、モータ21に駆動電流を供給する駆動装置29とを備えている。ウォームホイール24およびウォーム23によって、モータ21の出力軸の回転を減速する減速機構が構成されている。
【0027】
ラックアンドピニオン機構4は、インターミディエイトシャフト3の他端に一端が回転連結されたピニオンシャフト10と、ピニオンシャフト10に噛み合うラック軸11とを備えている。ピニオンシャフト10には、ピニオンが形成され、ラック軸11には、ピニオンに噛み合うラックが形成されている。こうして、ピニオンシャフト10の回転は、ラック軸11の往復直線運動に変換されるようになっている。
【0028】
電動パワーステアリング装置1は、上述以外に、
図2に示すようにボンネットに取り付けられたビデオカメラ50と、ビデオカメラ50からの画像を元に車両の方向および車両の右側の車線の方向を推測する画像処理回路51とを備えている。
【0029】
図2に示すようにECU30は、運転手のステアリング操舵時に、車速、操舵トルクに応じたアシストトルクが得られるように、駆動装置29に供給する制御信号を制御する基本制御部31と、操舵方向信号を出力する操舵方向判別部32と、操舵トルク検出装置26の操舵方向および操舵方向判別部32の操舵方向を比較する方向比較部33と、中波の振幅および周波数を設定した中波設定記憶回路34と、正負の中波の正弦波を発生する中波発生回路35と、小波の振幅および周波数を設定した小波設定記憶回路38と、正負の小波の正弦波を発生する小波発生回路39と、中波の正弦波および小波の正弦波を加算する同期加算部36と、基本制御部31の制御信号および同期加算部36の合成波を加算する加算回路37とを備えている。
【0030】
特許請求の範囲に記載した操舵装置は、上述した実施形態では
図1に示すように、コラム機構2のステアリングシャフト5と、ラックアンドピニオン機構4を指す。特許請求の範囲に記載した伝達経路は、上述した実施形態ではステアリングシャフト5と、インターミディエイトシャフト3と、ピニオンシャフト10と、ラック軸11を指す。
【0031】
操舵トルク検出装置26は、ステアリングシャフト5の途中に設けられ、操舵トルクの大きさと、操舵方向を出力するものである。操舵トルクは、操舵輪13に対しステアリングホイール55に加えられる力の大きさを指し、操舵方向は、操舵輪13に対しステアリングホイール55に加えられる力の方向を指す。
図2に示すように操舵トルクは基本制御部31および中波設定記憶回路34へ出力され、操舵方向は方向比較部33へ出力される。
【0032】
図1に示すように操舵角検出装置22は、モータ21の出力軸の回転から間接的に操舵輪13の操舵角を検出するものである。
図2に示すように操舵角信号は基本制御部31へ出力される。
【0033】
図1および
図2に示すようにモータ21は、出力軸に磁石を円周方向に等間隔に配置し、磁石の外周にコイルを円周方向に等間隔に配置したものである。複数のコイルは、大きく3つに分けられ、それぞれに位相の異なる正負の正弦波を持つ電流が印加されるようになっている。複数のコイルにU相、V相、W相の順に回転磁界が発生すると、出力軸は時計回りに回転し、U相、W相、V相の順に回転磁界が発生すると、出力軸は反時計回りに回転するようになっている。
【0034】
駆動装置29は、加算回路37からの制御信号を入力し、増幅して駆動電流を出力する機能を有している。駆動電流は、位相の異なる正負の正弦波を持つ電流であり、U相、V相、W相の3つの位相を持っている。駆動電流は、モータ21へ出力されるようになっている。
【0035】
図2に示すように基本制御部31には、操舵トルク検出装置26からの操舵トルクと、操舵角検出装置22からの操舵角と、車速検出装置25からの車速の信号が入力されるようになっている。基本制御部31には、
図4に示すような操舵トルクおよびアシストトルクの関係を示す操舵特性が記憶されている。その操舵特性は、車速が高い高速のときは、操舵トルクに対しアシストトルクが緩やかに上昇し、車速が低い低速のときは、操舵トルクに対しアシストトルクが急激に上昇する特性を持っている。この場合のアシストトルクは、モータ21によってアシストするアシストトルクを指す。
【0036】
図2に示すように操舵方向判別部32は、画像処理回路51からの画像処理信号を元に車両に対する右側の車線の方向が、車両と平行な真ん中か、車両に対して右側へ向いているか、車両に対して左側へ向いているかを判断し、これらを操舵方向信号として方向比較部33へ出力する機能を有している。
【0037】
方向比較部33は、操舵トルク検出装置26の操舵方向信号および操舵方向判別部32の操舵方向信号が入力されるようになっている。また方向比較部33は、操舵トルク検出装置26の操舵方向信号および操舵方向判別部32の操舵方向信号が、一致していれば一致信号を出力し、一致していなければ不一致信号を出力する機能を有している。
【0038】
中波設定記憶回路34は、操舵トルク検出装置26の操舵トルク信号および車速検出装置の車速信号が入力されるようになっている。中波設定記憶回路34には、操舵トルク信号が大きくなるにつれて中波の正弦波の振幅が大きくなり、操舵トルク信号がある大きさ以上になると、中波の正弦波の振幅が一定となる関係が記憶されている。また中波設定記憶回路34には、車速信号がある大きさ以上になると中波の正弦波の振幅がゼロとなる関係が記憶されている。さらに中波設定記憶回路34には、操舵トルク信号および車速信号に係らず、一定の周波数が設定されている。中波設定記憶回路34は、操舵トルク信号および車速信号に対する振幅信号および周波数信号を中波発生回路35へ出力する機能を有している。
【0039】
中波発生回路35は、中波設定記憶回路34から振幅信号および周波数信号を入力し、これらをもとに正負の中波の正弦波M(
図5)を発生する機能を有している。中波発生回路35は、ゼロを基準に同一の正負の振幅を持つ正弦波Mを発生し、1周期毎に積分したときにゼロになる正弦波Mを発生するようになっている。中波設定記憶回路34の振幅信号が無い場合は、中波発生回路35は正負の中波の正弦波を発生しないようになっている。
【0040】
小波設定記憶回路38は、小波の振幅および周波数が設定され、振幅信号および周波数信号を出力する機能を有している。
【0041】
小波発生回路39は、小波設定記憶回路38から振幅信号および周波数信号を入力し、これらをもとに正負の小波の正弦波S(
図5)を発生する機能を有している。
【0042】
駆動装置29の駆動電流、中波発生回路35の中波の正弦波、小波の正弦波の小波の正弦波を比較した場合、周波数は、駆動電流、中波の正弦波、小波の正弦波の順に高くなり、振幅は、駆動電流、中波の正弦波、小波の正弦波の順に小さくなる。小波の正弦波の周波数は、中波の正弦波の周波数の整数倍である。
【0043】
同期加算部36は、中波発生回路35から中波の正弦波を入力し、小波発生回路39から小波の正弦波を入力し、方向比較部33から一致信号または不一致信号を入力し、操舵方向判別部32から操舵方向信号を入力する機能を有している。同期加算部36は、中波の正弦波のゼロに、小波の正弦波のゼロを一致させた状態で、中波の正弦波M(
図5)に小波の正弦波S(
図5)を加算し、合成波
B(
図6)を作る機能を有している。小波の正弦波の周波数は、中波の正弦波の周波数の整数倍であるので、中波の正弦波のゼロに、小波の正弦波のゼロを一致させた状態で終了する。中波の正弦波の上の部分の小波の正弦波を積分した値は、中波の正弦波の下の部分の小波の正弦波を積分した値に等しい。
【0044】
加算回路37は、基本制御部31の制御信号を入力し、同期加算部36の合成波を入力する機能を有している。加算回路37は、基本制御部31の制御信号および同期加算部36の合成波を加算し、加算した制御信号を駆動装置29へ出力する機能を有している。
【0045】
次に上述した構成にもとづいて、第一実施形態の電動パワーステアリング装置1の動作を説明する。
【0046】
運転手がステアリングホイール55を回転操舵すると、その回転がステアリングシャフト5、インターミディエイトシャフト3を介してピニオンシャフト10に伝えられ、ピニオンおよびラックによって回転はラック軸11の往復直線運動に変換される。ラック軸11の往復直線運動は、タイロッド12、図示しないナックルを介して操舵輪13に伝えられ、操舵輪13の向きが変えられる。
【0047】
操舵輪13の向きを変えるときに抵抗がある場合は、操舵トルク検出装置26にて操舵トルクが検出され、ECU30から駆動装置29に制御信号が送信され、制御信号に応じた駆動電流がモータ21に印加され、モータ21の出力軸の回転は、ウォーム23、ウォームホイール24を介してステアリングシャフト5に伝えられる。こうして、ステアリングシャフト5にモータ21の操舵アシストが付与される。
【0048】
続いて第一実施形態のECU30の基本制御部31の制御について説明する。
【0049】
ECU30の基本制御部31には、操舵トルク検出装置26の操舵トルク以外に、操舵角検出装置22の操舵角、車速検出装置25の車速が入力されている。基本制御部31は、操舵トルク、アシストトルクの関係を表す操舵特性を車速毎に記憶している。モータ21の操舵アシストによって、操舵トルク検出装置26の操舵トルクが減少する。すなわち、モータ21のアシストトルクと、ステアリングホイール55の操舵トルクとで操舵輪13の向きを変えることができる。
【0050】
続いて第一実施形態において、車両に対する車線の方向の警告について、まず各部の働き、各部間の働きについて説明する。
【0051】
ビデオカメラ50からの画像信号が画像処理回路51へ送信され、画像処理回路51により画像信号を元に車両の方向および車両の側方の車線の方向を推測できる情報に変換する。操舵方向判別部32によって、右側の車線の方向が、車両と平行な真ん中か、車両に対して右側へ向いているか、車両に対して左側へ向いているかを判断する。
【0052】
操舵方向判別部32は、右側の車線の方向が車両と平行な真ん中の場合、真ん中の操舵方向信号を作り、右側の車線の方向が車両に対して右側へ向いている場合、右の操舵方向信号を作り、右側の車線の方向が車両に対して左側へ向いている場合、左の操舵方向信号を作り、方向比較部33へ出力する。
【0053】
中波設定記憶回路34は、操舵トルク信号と中波の正弦波の振幅の関係を記憶している。操舵トルク検出装置26の操舵トルク信号が入力されると、記憶した内容にもとづいて、中波の正弦波の振幅が導き出される。また、中波設定記憶回路34は、車速信号と中波の正弦波の振幅の関係を記憶している。車速検出装置25の車速信号が入力されると、記憶した内容にもとづいて、中波の正弦波の振幅が導き出される。中波設定記憶回路34は、導き出された中波の正弦波の振幅および周波数を中波発生回路35へ出力する。
【0054】
中波発生回路35は、設定された振幅および周波数を持つ正負の中波の正弦波を発生し、同期加算部36へ出力する。中波設定記憶回路34からの振幅信号が無い場合は、中波発生回路35は、正負の中波の正弦波を発生しない。
【0055】
小波設定記憶回路38は、正負の小波の正弦波の振幅および周波数が設定され、正負の小波の正弦波の振幅および周波数を小波発生回路39へ出力する。小波発生回路39は、設定された振幅および周波数を持つ正負の小波の正弦波を発生し、同期加算部36へ出力する。
【0056】
方向比較部33は、操舵トルク検出装置26の操舵方向信号および操舵方向判別部32の操舵方向信号が入力され、操舵トルク検出装置26の操舵方向信号および操舵方向判別部32の操舵方向信号が、一致していれば一致信号を発生し、一致していなければ不一致信号を発生する。一致信号あるいは不一致信号は、同期加算部36へ出力される。
【0057】
同期加算部36は、操舵方向判別部32が発する操舵方向信号、および方向比較部33が発する一致信号あるいは不一致信号によって、
図3に示すフローに従って、いくつかのパターンに応じた処理を行う。つまり、同期加算部36は、
図3に示すフローを記憶しており、それを実行する機能を有している。
【0058】
ステップ80で操舵方向判別部32からの
左の操舵方向信号、およびステップ81で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ82で
図5に示すように中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算する。中波の正弦波の負部分から正部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致するように同期させる。中波の正弦波の正部分から負部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致する。中波の正弦波の負部分には小波の正弦波が加算されない。つまり、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算し、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算しない合成波B(
図6)を、加算回路37へ出力する。
【0059】
ステップ80で操舵方向判別部32からの
右の操舵方向信号、およびステップ84で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ85で中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算する。中波の正弦波の正部分から負部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致するように同期させる。中波の正弦波の負部分から正部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致する。中波の正弦波の正部分には小波の正弦波が加算されない。つまり、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算し、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算しない合成波を、加算回路37へ出力する。
【0060】
ステップ81あるいはステップ84で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ83あるいはステップ86で中波の正弦波、小波の正弦波を出力しない。
【0061】
ステップ80で操舵方向判別部32からの真ん中の操舵方向信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ87で中波の正弦波、小波の正弦波を出力しない。
【0062】
続いて第一実施形態において、車両に対する車線の方向の警告について説明する。
【0063】
まず、運転手がステアリングホイール55を持ったまま操舵していないなどで、基本制御部31からの制御信号がゼロの場合について、車両に対する車線の方向の警告について説明する。運転手がステアリングホイール55を持っていないときは、ステップ82およびステップ85を実行しても、ステアリングホイール55に時計回りおよび反時計回りのトルクをかけたときに、ステアリングホイール55が時計回りおよび反時計回りに揺動し、操舵トルク検出装置26からトルクが検出されないので、停止する。つまり、ステップ82およびステップ85が途中停止する。
【0064】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ80で操舵方向判別部32から左の操舵方向信号が入力され、ステップ81で方向比較部33から不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ82へ進み、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算し、合成波B(
図6)を加算回路37へ出力する。中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させ、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0065】
ステアリングホイール55に時計回りのトルクおよび反時計回りのトルクを交互に繰り返しかけるとき、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけると同時にステアリングホイール55を細かく振動させるには、駆動電流P(
図7)をモータ21に供給する。ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけると同時にステアリングホイール55を振動させないときは、駆動電流P(
図10)をモータ21に供給する。
【0066】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ80で操舵方向判別部32から右の操舵方向信号が入力され、ステップ84で方向比較部33から不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ85へ進み、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算し、合成波として加算回路37へ出力する。中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させ、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0067】
ステアリングホイール55に時計回りのトルクおよび反時計回りのトルクを交互に繰り返しかけるとき、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけると同時にステアリングホイール55を細かく振動させるには、駆動電流P(
図8)をモータ21に供給する。ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を振動させないときは、駆動電流P(
図9)をモータ21に供給する。
【0068】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ80で操舵方向判別部32からの真ん中の操舵方向信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ87へ進み、同期加算部36から加算回路37へ何も出力されないので、ステアリングホイール55に時計回りのトルクおよび反時計回りのトルクを交互に繰り返しかけないし、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0069】
続いて第一実施形態において、運転手がステアリングホイールを操舵して基本制御部31からの制御信号が有る場合について、車両に対する車線の方向の警告について説明する。
【0070】
運転手がステアリングホイール55を時計回りに操作して操舵トルク検出装置26のから時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ80で操舵方向判別部32から左の操舵方向信号が入力され、ステップ81で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ82へ進め、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算し、合成波として加算回路37へ出力する。ステアリングホイール55を時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、正負の中波の正弦波によって、ステアリングホイール55にトルクをかける。つまり、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させて運転手に警告を発する。中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0071】
運転手がステアリングホイール55を反時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から反時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ80で操舵方向判別部32からの左の操舵方向信号が入力され、ステップ81で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ83へ進め、中波の正弦波および小波の正弦波を加算回路37へ出力しない。ステアリングホイール55を反時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、ステアリングホイール55に時計回りおよび反時計回りのトルクをかけず、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0072】
運転手がステアリングホイール55を反時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から反時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ80で操舵方向判別部32からの右の操舵方向信号が入力され、ステップ84で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ85へ進め、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算し、合成波として加算回路37へ出力する。ステアリングホイール55を時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、正負の中波の正弦波によって、ステアリングホイール55を揺動させる。つまり、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させて運転手に警告を発する。中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0073】
運転手がステアリングホイール55を時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ80で操舵方向判別部32からの右の操舵方向信号が入力され、ステップ84で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ86へ進め、中波の正弦波および小波の正弦波を加算回路37へ出力しない。ステアリングホイール55を時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、ステアリングホイール55に時計回りおよび反時計回りのトルクをかけず、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0074】
第一実施形態では、操舵方向判別部32で車両に対する車線の方向の警告を行っているので、車両および右側の車線間の距離に比べて、早めに警告を出すか、早めに警告が解消される。また、操舵方向判別部32の警告があっても、操舵方向が一致すれば、中波の正弦波および小波の正弦波を出力しないので、操舵中に警告の煩わしさがなく、操舵に専念できる。さらに、ステアリングホイール55に時計回りのトルクおよび反時計回りのトルクを交互に繰り返しかけているので、ステアリングホイール55を時計回りおよび反時計回りに繰り返し揺動させる場合に比べて、ステアリングホイール55が目に見える形で揺動する煩わしさが無い。
【0075】
以下、本発明の第二実施形態の構成を
図11および
図12に従って説明する。
【0076】
第一実施形態では、
図2に示すようにステアリングホイール55の振動は、小波発生回路39で正負の小波の正弦波を発生させ、これを駆動装置に印加し、モータ21によってステアリングホイール55を動かすことによってなされている。第二実施形態では、ステアリングホイール55の振動は、
図11に示すようにステアリングホイール55にバイブレータ71を埋設し、バイブレータ71を自ら振動させることによってなされている。バイブレータ71は、錘を往復動させることによって振動を発生させるものであり、駆動装置70の駆動電流が印加されるようになっている。駆動回路70は、ゲート部60によってオンオフ制御がなされるようになっている。
【0077】
第二実施形態は、上述した点で第一実施形態と異なり、後は同一であるので、同一番号を付与して説明を割愛する。
【0078】
図11に示すようにゲート部60は、操舵方向判別部32からの右の操舵方向信号、真ん中の操舵方向信号、左の操舵方向信号を入力し、方向比較部33から一致信号または不一致信号を入力し、中波発生回路35から中波の正負信号を入力する機能を有している。
【0079】
ゲート部60は、操舵方向判別部32が発する右の操舵方向信号、真ん中の操舵方向信号、左の操舵方向信号、方向比較部33が発する一致信号あるいは不一致信号、中波発生回路35が発する正負信号によって、
図12に示すフローに従って、いくつかのパターンに応じた処理を行う。つまり、ゲート60は、
図12に示すフローを記憶しており、それを実行する機能を有している。いくつかのパターンを記憶している。
【0080】
続いて第二実施形態において、車両の状態に応じた車両に対する車線の方向の警告について説明する。
【0081】
まず第二実施形態において、運転手がステアリングホイールを操舵していないなどで、基本制御部31からの制御信号がゼロの場合について、車両に対する車線の方向の警告について説明する。
【0082】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ90で操舵方向判別部32からの左の操舵方向信号が入力され、ステップ91で方向比較部33から不一致信号がゲート部60に入力された場合、ステップ92へ進み、中波の正弦波の正部分であれば、ステップ92でオン信号を出力し、中波の正弦波の負部分であれば、ステップ94でオフ信号を駆動装置70に出力する。オン信号のときに駆動装置70からバイブレータ71へ駆動電流を供給し、バイブレータ71とともにステアリングホイール55を振動させる。つまり、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけると同時にバイブレータ71によってステアリングホイール55を振動させ、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0083】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ90で操舵方向判別部32からの右の操舵方向信号が入力され、ステップ95で方向比較部33から不一致信号がゲート部60に入力された場合、ステップ96へ進み、中波の正弦波の負部分であれば、ステップ97でオン信号を出力し、中波の正弦波の正部分であれば、ステップ98でオフ信号を駆動装置70に出力する。オン信号のときに駆動装置70からバイブレータ71へ駆動電流を供給し、バイブレータ71とともにステアリングホイール55を振動させる。つまり、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけると同時にバイブレータ71によってステアリングホイール55を振動させ、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0084】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ80で操舵方向判別部32からの真ん中の操舵方向信号がゲート部60に入力された場合、ステップ99へ進み、オフ信号を駆動装置70へ出力する。つまり、方向比較部33から一致信号あるいは不一致信号が出ていようが、ステアリングホイール55を振動させない。
【0085】
続いて第二実施形態において、運転手がステアリングホイールを操舵して基本制御部31からの制御信号が有る場合について、車両に対する車線の方向の警告について説明する。
【0086】
運転手がステアリングホイール55を時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ90で操舵方向判別部32からの左の操舵方向信号が入力され、ステップ91で方向比較部33からの不一致信号がゲート部60に入力された場合、ステップ92へ進み、中波の正弦波の正部分であれば、ステップ92でオン信号を出力し、中波の正弦波の負部分であれば、ステップ94でオフ信号を駆動装置70に出力する。オン信号のときに駆動装置70からバイブレータ71へ駆動電流を供給し、バイブレータ71とともにステアリングホイール55を振動させる。つまり、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけると同時にバイブレータ71によって、ステアリングホイール55を細かく振動させて運転手に警告を発する。中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0087】
運転手がステアリングホイール55を反時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から反時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ90で操舵方向判別部32からの左の操舵方向信号が入力され、ステップ91で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ94へ進め、オフ信号を駆動装置70に出力する。中波の正弦波を加算回路37へ出力しない。ステアリングホイール55を反時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、ステアリングホイール55に時計回りおよび反時計回りのトルクをかけず、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0088】
運転手がステアリングホイール55を反時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から反時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ90で操舵方向判別部32からの右の操舵方向信号が入力され、ステップ95で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ96へ進め、中波の正弦波の負部分であれば、ステップ97でオン信号を出力し、中波の正弦波の正部分であれば、ステップ98でオフ信号を駆動装置70に出力する。オン信号のときに駆動装置70からバイブレータ71へ駆動電流を供給し、バイブレータ71とともにステアリングホイール55を振動させる。つまり、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55に反時計回りのトルクをかけると同時にバイブレータ71によって、ステアリングホイール55を細かく振動させて運転手に警告を発する。中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55に時計回りのトルクをかけ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0089】
運転手がステアリングホイール55を時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ90で操舵方向判別部32からの右の操舵方向信号が入力され、ステップ95で方向比較部33からの一致信号がゲート部6に入力された場合、ステップ98へ進め、オフ信号を駆動装置70に出力する。中波の正弦波のみを加算回路37へ出力しない。ステアリングホイール55を時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、ステアリングホイール55に時計回りおよび反時計回りのトルクをかけず、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0090】
第二実施形態では、ステアリングホイール55の振動は、ステアリングホイール55に埋設したバイブレータ71を自ら振動させることによってなされているので、モータ21によってステアリングホイール55を振動させるに比べて、細かく、大きく振動させることができる。つまり、運転手が振動を確認しやすい。
【0091】
以下、本発明の第三実施形態の構成を
図13および
図14に従って説明する。
【0092】
第一実施形態では、操舵方向判別部32で車両に対する車線の方向の警告を行っている。第三実施形態では、操舵方向判別部32で車両および右側の車線間の距離の警告を行う点で大きくことなる。また、第一実施形態では、操舵方向判別部32の警告があっても、操舵方向が一致すれば、中波の正弦波および小波の正弦波を出力しない。第三実施形態では、操舵方向が一致しても、操舵方向判別部32の警告があれば、小波の正弦波は出力しないが、中波の正弦波を出力する点で大きく異なる。さらに、第一実施形態では、ステアリングホイール55に時計回りのトルクおよび反時計回りのトルクを交互に繰り返しかけている。第三実施形態では、ステアリングホイール55を時計回りおよび反時計回りに繰り返し揺動させる点で大きく異なる。第三実施形態は、上述した点で第一実施形態と異なり、後は同一であるので、同一番号を付与して説明を割愛する。
【0093】
電動パワーステアリング装置1は、
図13に示すようにボンネットに取り付けられたビデオカメラ50と、ビデオカメラ50からの画像を元に車両の位置および車両の右側の車線の位置を推測する画像処理回路51とを備えている。
【0094】
図13に示すように操舵方向判別部32は、画像処理回路51からの画像処理信号を元に車両および右側の車線間の距離を算出し、適切な距離の最大値および最小値を記憶しており、車両および車線間の距離が最大値より大きいときは、車両および車線間の距離から最大値を引き算した距離信号が中波設定記憶回路34へ出力されるようになっている。車両および車線間の距離が最小値より小さいときは、車両および車線間の距離から最小値を引き算した距離信号が中波設定記憶回路34へ出力されるようになっている。さらに操舵方向判別部32は、距離信号の正負から車両を操舵すべき操舵方向を判定し、操舵方向信号として出力するものである。すなわち、距離信号が負、距離が小さいときは、距離が大きくなる方向、即ち反時計回りを操舵方向信号として出力し、逆に距離信号が正、距離が大きいときは、距離が小さくなる方向、即ち時計回りを操舵方向信号として出力し、距離が最適なときは、操舵方向信号を出力せず、距離信号を出力しないものである。
【0095】
続いて第三実施形態において、車両および車線間の距離の警告について、まず各部の働き、各部間の働きについて説明する。
【0096】
ビデオカメラ50からの画像信号が画像処理回路51へ送信され、画像処理回路51により画像信号を元に車両の位置および車両の側方の車線の位置を推測できる情報に変換する。操舵方向判別部32によって、先ほどの情報から車両および車線間の距離を算出する。操舵方向判別部32は、適切な距離の最大値および最小値を持っており、これより大きいか、小さいかを判断し、その結果の信号を同期加算部へ出力する。すなわち、車両および車線間の距離が、適切な距離の最大値より大きい場合は、車線と反対側へ車両が流れすぎていることであり、車線と反対側の警告を発する必要がある。車両および車線間の距離が、適切な距離の最小値より小さい場合は、車線側へ車両が流れすぎていることであり、車線側の警告を発する必要がある。車両および車線間の距離が、適切な距離の最小値および最大値間にある場合は、車両の位置が適切であり、警告を発しない。車線と反対側の警告、車線側の警告、警告無しの信号は、同期加算部36へ出力される。
【0097】
操舵方向判別部32は、車線と反対側の警告を発する場合、車線側へ操舵すべきである旨の右の操舵方向信号を作り、車線側の警告を発する場合、車線と反対側へ操舵すべきである旨の左の操舵方向信号を作り、方向比較部33へ出力する。
【0098】
操舵方向判別部32は、適切な距離の最大値および最小値を持っており、車両および車線間の距離が最大値より大きいときは、車両および車線間の距離から最大値を引き算した距離信号が中波設定記憶回路34へ出力される。車両および車線間の距離が最小値より小さいときは、車両および車線間の距離から最小値を引き算した距離信号が中波設定記憶回路34へ出力される。
【0099】
中波設定記憶回路34は、操舵方向判別部32の距離信号をもとに正負の中波の正弦波の振幅を算出し、設定する。中波設定記憶回路34は、正負の中波の正弦波の振幅および周波数を中波発生回路35へ出力する。
【0100】
中波発生回路35は、設定された振幅および周波数を持つ正負の中波の正弦波を発生し、同期加算部36へ出力する。中波設定記憶回路34からの振幅信号が無い場合は、中波発生回路35は、正負の中波の正弦波を発生しない。
【0101】
小波設定記憶回路38は、正負の小波の正弦波の振幅および周波数が設定され、正負の小波の正弦波の振幅および周波数を小波発生回路39へ出力する。小波発生回路39は、設定された振幅および周波数を持つ正負の小波の正弦波を発生し、同期加算部36へ出力する。
【0102】
方向比較部33は、操舵トルク検出装置26の操舵方向信号および操舵方向判別部32の操舵方向信号が入力され、操舵トルク検出装置26の操舵方向信号および操舵方向判別部32の操舵方向信号が、一致していれば一致信号を発生し、一致していなければ不一致信号を発生する。一致信号あるいは不一致信号は、同期加算部36へ出力される。
【0103】
同期加算部36は、操舵方向判別部32が発する車線と反対側の警告、車線側の警告、警告無しの信号、および方向比較部33が発する一致信号あるいは不一致信号によって、
図14に示すフローに従って、いくつかのパターンに応じた処理を行う。つまり、同期加算部36は、
図14に示すフローを記憶しており、それを実行する機能を有している。
【0104】
ステップ100で操舵方向判別部32からの車線側の警告(左の操舵方向信号)、およびステップ101で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ102で
図5に示すように中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算する。中波の正弦波の負部分から正部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致するように同期させる。中波の正弦波の正部分から負部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致する。中波の正弦波の負部分には小波の正弦波が加算されない。つまり、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算し、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算しない合成波B(
図6)を、加算回路37へ出力する。
【0105】
ステップ100で操舵方向判別部32からの車線と反対側の警告(右の操舵方向信号)、およびステップ104で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ105で中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算する。中波の正弦波の正部分から負部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致するように同期させる。中波の正弦波の負部分から正部分に変化する途中のゼロに小波の正弦波のゼロが一致する。中波の正弦波の正部分には小波の正弦波が加算されない。つまり、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算し、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算しない合成波を、加算回路37へ出力する。
【0106】
ステップ101あるいはステップ104で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、中波の正弦波に小波の正弦波を加算しない。つまり、操舵方向判別部32からの車線側の警告あるいは車線と反対側の警告が出ていようとも、方向比較部33からの一致信号が出ている限り、中波の正弦波の正部分あるいは負部分に小波の正弦波を加算しない。ステップ103あるいはステップ106で正負の中波の正弦波を、そのまま加算回路37へ出力する。
【0107】
ステップ100で操舵方向判別部32からの警告無しが同期加算部36に入力され、操舵方向判別部32からの距離信号が中波設定記憶回路34に入力されない場合、方向比較部33から一致信号あるいは不一致信号が出ていようが、中波の正弦波が出ていないので、小波の正弦波を加算しない。つまり、ステップ107で同期加算部36から加算回路37へ何も出力されない。
【0108】
続いて第三実施形態において、車両の状態に応じた車両および車線間の距離の警告について説明する。
【0109】
まず、運転手がステアリングホイールを操舵していないなどで、基本制御部31からの制御信号がゼロの場合について、車両および車線間の距離の警告について説明する。
【0110】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ100で操舵方向判別部32から車線側の警告が入力され、ステップ101で方向比較部33から不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ102へ進み、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算し、合成波B(
図6)を加算回路37へ出力する。中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55を時計回りに揺動させると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させ、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55を反時計回りに揺動させ、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0111】
ステアリングホイール55の時計回り回転および反時計回り回転に交互に繰り返してステアリングホイール55を揺動させるとき、ステアリングホイール55を時計回りに回転させると同時にステアリングホイール55を細かく振動させるには、駆動電流P(
図7)をモータ21に供給する。ステアリングホイール55を反時計回りに回転させ、ステアリングホイール55を振動させないときは、駆動電流P(
図10)をモータ21に供給する。
【0112】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ100で操舵方向判別部32から車線と反対側の警告が入力され、ステップ104で方向比較部33から不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ105へ進み、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算し、合成波として加算回路37へ出力する。中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55を反時計回りに揺動させると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させ、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55を時計回りに揺動させ、ステアリングホイール55を細かく振動させない。
【0113】
ステアリングホイール55の時計回り回転および反時計回り回転に交互に繰り返してステアリングホイール55を揺動させるとき、ステアリングホイール55を反時計回りに回転させると同時にステアリングホイール55を細かく振動させるには、駆動電流P(
図8)をモータ21に供給する。ステアリングホイール55を時計回りに回転させ、ステアリングホイール55を振動させないときは、駆動電流P(
図9)をモータ21に供給する。
【0114】
基本制御部31から加算回路37へ入力される制御信号がゼロであり、ステップ100で操舵方向判別部32からの警告無しが同期加算部36に入力された場合、ステップ107へ進み、方向比較部33から一致信号あるいは不一致信号が出ていようが、同期加算部36から加算回路37へ何も出力されないので、ステアリングホイール55を揺動させないし、細かく振動させない。
【0115】
続いて第三実施形態において、運転手がステアリングホイールを操舵して基本制御部31からの制御信号が有る場合について、車両および車線間の距離の警告について説明する。
【0116】
運転手がステアリングホイール55を時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ100で操舵方向判別部32から車線側の警告が入力され、ステップ101で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ102へ進め、中波の正弦波の正部分に小波の正弦波を加算し、合成波として加算回路37へ出力する。ステアリングホイール55を時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、正負の中波の正弦波によって、ステアリングホイール55を揺動させる。つまり、中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55を時計回りに揺動させると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させて運転手に警告を発する。中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55を反時計回りに揺動させ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0117】
運転手がステアリングホイール55を反時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から反時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ100で操舵方向判別部32からの車線側の警告が入力され、ステップ101で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ103へ進め、中波の正弦波のみを加算回路37へ出力する。ステアリングホイール55を反時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、正負の中波の正弦波によって、ステアリングホイール55を揺動させる。つまり、正負の中波の正弦波によってステアリングホイール55を揺動させ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に車両が車線から外れていることを認識させると同時に、反時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0118】
運転手がステアリングホイール55を反時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から反時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ100で操舵方向判別部32から車線と反対側の警告が入力され、ステップ104で方向比較部33からの不一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ105へ進め、中波の正弦波の負部分に小波の正弦波を加算し、合成波として加算回路37へ出力する。ステアリングホイール55を反時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、正負の中波の正弦波によって、ステアリングホイール55を揺動させる。つまり、中波の正弦波の負部分によって、ステアリングホイール55を反時計回りに揺動させると同時に小波の正弦波によって、ステアリングホイール55を細かく振動させて運転手に警告を発する。中波の正弦波の正部分によって、ステアリングホイール55を時計回りに揺動させ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0119】
運転手がステアリングホイール55を時計回りに操作して操舵トルク検出装置26から時計回りの操舵方向信号が出され、ステップ100で操舵方向判別部32からの車線と反対側の警告が入力され、ステップ104で方向比較部33からの一致信号が同期加算部36に入力された場合、ステップ106へ進め、中波の正弦波のみを加算回路37へ出力する。ステアリングホイール55を時計回り回転するように、基本制御部の制御信号により操舵補助しながら、正負の中波の正弦波によって、ステアリングホイール55を揺動させる。つまり、正負の中波の正弦波によってステアリングホイール55を揺動させ、ステアリングホイール55を細かく振動させないことによって、運転手に車両が車線から外れていることを認識させると同時に、時計回りの操作が正しいことを認識させる。
【0120】
第三実施形態では、操舵方向判別部32で車両および右側の車線間の距離の警告を行っているので、カーブが多く、車両の向きが頻繁に変わるところでは、必要以上の警告を発することが無い。また、操舵方向が一致しても、操舵方向判別部32の警告があれば、小波の正弦波は出力しないが、中波の正弦波を出力するので、車両および車線間の距離の警告を認識できる。さらに、ステアリングホイール55を時計回りおよび反時計回りに繰り返し揺動させることによって、運転手はより警告を認識しやすい。
【0121】
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0122】
上述した第一実施形態ないし第三実施形態は、ボンネットに取り付けられたビデオカメラ50と、ビデオカメラ50からの画像を元に車両の右側の車線の位置を推測する画像処理回路51とを備えている。他の実施形態として、ボンネットの右側に取り付けられた第1ビデオカメラと、ボンネットの左側に取り付けられた第2ビデオカメラと、第1ビデオカメラからの画像を元に車両の右側の車線の位置を推測する第1画像処理回路と、第2ビデオカメラからの画像を元に車両の左側の車線の位置を推測する第2画像処理回路とを備えても良い。
【0123】
この場合、操舵方向判別部32によって、車両および右側の車線間の右側距離を算出し、車両および左側の車線間の左側距離を算出し、右側距離および左側距離の平均値を算出する。操舵方向判別部32は、平均値にプラスマイナスを加算した適切な距離の最大値および最小値を作成し、これより大きいか、小さいかを判断し、その結果の信号を同期加算部へ出力する。すなわち、車両および右側の車線間の距離が、適切な距離の最大値より大きい場合は、車線と反対側へ車両が流れすぎていることであり、車線と反対側の警告を発する必要がある。車両および右側の車線間の距離が、適切な距離の最小値より小さい場合は、車線側へ車両が流れすぎていることであり、車線側の警告を発する必要がある。車両および右側の車線間の距離が、適切な距離の最小値および最大値間にある場合は、車両の位置が適切であり、警告を発しない。