【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
【0042】
[非水電解液の調製]
非水溶媒としてエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの体積比2:1:3:4の混合溶媒を用い、該溶媒中に溶質としてLiPF
6を1.0mol/Lの濃度となるように、第1の化合物としてジフルオロ(ビス(オキサラト))リン酸リチウムを1.0質量%の濃度となるように、第2の化合物として上記化合物No.1を0.01質量%の濃度となるように溶解し、電解液No.1を調製した。なお、上記の調製は、液温を25℃に維持しながら行った。電解液No.1の調製条件を表1に示す。
また、第1の化合物の種類や濃度、第2の化合物の種類や濃度を表1のように変えて、それ以外は上記と同様の手順で電解液No.2〜80を調製した。なお、電解液No.66〜69の調製で第2の化合物として用いた化合物No.26〜29を以下に示す。
【0043】
【0044】
[実施例1−1]
非水電解液として電解液No.1を用いて、LiCoO
2を正極材料、黒鉛を負極材料としてセルを作製し、実際に電池の高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を評価した。試験用セルは以下のように作製した。
【0045】
LiCoO
2粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。また、黒鉛粉末90質量%に、バインダーとして10質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、スラリー状にした。このスラリーを銅箔上に塗布して、150℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。そして、ポリエチレン製セパレータに電解液を浸み込ませてアルミラミネート外装の50mAhセルを組み立てた。
以上のような方法で作製したセルを用いて充放電試験を実施し、後述の方法で高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0046】
[高温サイクル特性試験]
60℃の環境温度での充放電試験を実施し、サイクル特性を評価した。充電は4.2Vまで、放電は3.0Vまで行い、電流密度1.9mA/cm
2で充放電サイクルを繰り返した。そして、500サイクル後の放電容量維持率でセルの劣化の具合を評価した(サイクル特性評価)。放電容量維持率は下記式で求めた。
<500サイクル後の放電容量維持率>
放電容量維持率(%)=(500サイクル後の放電容量/初放電容量)×100
なお、表2に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、実施例1−1〜1−39については比較例1−1の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−40〜1−44に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、比較例1−6の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−45〜1−49に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、比較例1−7の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−50〜1−54に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、比較例1−8の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−55〜1−59に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、比較例1−9の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−60〜1−64に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、比較例1−10の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。また、比較例1−11〜1−16に記載の500サイクル後の放電容量維持率の数値は、比較例1−1の500サイクル後の放電容量維持率を100とした場合の相対値である。
【0047】
[高温貯蔵特性試験]
上記サイクル試験後、25℃の環境温度
において充電上限電圧4.2Vまで定電流定電圧法で、電流密度0.38mA/cm
2で充電した後、60℃の環境温度で10日間保存した。その後、放電終止電圧3.0Vまで電流密度0.38mA/cm
2の定電流で放電し、この放電容量の初期の放電容量(上記サイクル試験後60℃保存前に測っておいた放電容量)に対する割合を残存容量比とし、セルの貯蔵特性を評価した。なお、表2に記載の残存容量比の数値は、実施例1−1〜1−39については比較例1−1の残存容量比を100とした場合の相対値である。また、実施例1−40〜1−44に記載の残存容量比の数値は、比較例1−6の残存容量比を100とした場合の相対値である。また、実施例1−45〜1−49に記載の残存容量比の数値は、比較例1−7の残存容量比を100とした場合の相対値である。また、実施例1−50〜1−54に記載の残存容量比の数値は、比較例1−8の残存容量比を100とした場合の相対値である。また、実施例1−55〜1−59に記載の残存容量比の数値は、比較例1−9の残存容量比を100とした場合の相対値である。また、実施例1−60〜1−64に記載の残存容量比の数値は、比較例1−10の残存容量比を100とした場合の相対値である。また、比較例1−11〜1−16に記載の残存容量比の数値は、比較例1−1の残存容量比を100とした場合の相対値である。
【0048】
[実施例1−2〜1−64、比較例1−1〜1−16]
電解液No.1の代わりに、それぞれ、電解液No.2〜80を用いて、実施例1−1と同様のセルを作製し、同様に高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
*実施例1−1〜1−39の値は、比較例1−1の値を100とした場合の相対値
実施例1−40〜1−44の値は、比較例1−6の値を100とした場合の相対値
実施例1−45〜1−49の値は、比較例1−7の値を100とした場合の相対値
実施例1−50〜1−54の値は、比較例1−8の値を100とした場合の相対値
実施例1−55〜1−59の値は、比較例1−9の値を100とした場合の相対値
実施例1−60〜1−64の値は、比較例1−10の値を100とした場合の相対値
比較例1−11〜1−16の値は、比較例1−1の値を100とした場合の相対値
【0051】
以上の結果を比較すると、第1の化合物と第2の化合物を併用することで、第1の化合物を単独で用いる比較例1−1、1−6〜1−10に対し、高温サイクル特性及び高温貯蔵特性が向上していることが確認できた。また同様に、第2の化合物を単独で用いる比較例1−11〜1−16に対し、高温サイクル特性及び高温貯蔵特性が向上していることが確認できた。
また、比較例1−2〜1−5のように、第2の化合物中の炭素−炭素不飽和結合を有する基が1つ以下では高温サイクル特性及び高温貯蔵特性の向上は確認できなかった。
【0052】
次に、実施例1−4、1−16〜1−64において、すなわち、第1の化合物の濃度を1.0質量%に、第2の化合物の濃度を0.5質量%に固定してそれらの化合物の種類を種々変更した系において後述の方法で電池の出力特性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0053】
[出力特性試験]
上記高温貯蔵試験後、60℃の環境温度において充電上限電圧4.2Vまで定電流定電圧法で、電流密度0.38mA/cm
2で充放電を行った。このときの放電容量を放電容量Aとする。この後、充電上限電圧4.2Vまで定電流定電圧法で、電流密度0.38mA/cm
2で充電を行った後、放電終止電圧3.0Vまで電流密度9.5mA/cm
2の定電流で放電した。このときの放電容量を放電容量Bとし、「放電容量B」を「放電容量A」で除した値を高出力容量維持率とし、セルの出力特性を評価した。なお、表3の実施例1−4、1−16〜1−39に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例1−26の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−40〜1−44に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例1−44の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−45〜1−49に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例1−49の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−50〜1−54に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例1−54の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−55〜1−59に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例1−59の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例1−60〜1−64に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例1−64の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。
【0054】
【表3】
*実施例1−4、1−16〜1−39の値は、実施例1−26の値を100とした場合の 相対値
実施例1−40〜1−44の値は、実施例1−44の値を100とした場合の相対値
実施例1−45〜1−49の値は、実施例1−49の値を100とした場合の相対値
実施例1−50〜1−54の値は、実施例1−54の値を100とした場合の相対値
実施例1−55〜1−59の値は、実施例1−59の値を100とした場合の相対値
実施例1−60〜1−64の値は、実施例1−64の値を100とした場合の相対値
【0055】
以上の出力特性の評価の結果、上記一般式(2)のR
3で表される炭素−炭素不飽和結合を有する基が4個である(すなわち上記一般式(2)のxが4である)実施例1−26に対して、上記炭素−炭素不飽和結合を有する基が2〜3個である(すなわち上記一般式(2)のxが2〜3である)実施例1−4、1−16〜1−25、1−27〜1−39ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例1−44に対して、上記xが2〜3である実施例1−40〜1−43ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例1−49に対して、上記xが2〜3である実施例1−45〜1−48ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例1−54に対して、上記xが2〜3である実施例1−50〜1−53ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例1−59に対して、上記xが2〜3である実施例1−55〜1−58ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例1−64に対して、上記xが2〜3である実施例1−60〜1−63ではより高い出力特性を示すことが確認された。
従って、電解液中に上記第1の化合物と上記第2の化合物とを共存させると、該電解液を非水電解液電池に用いた場合に、優れた高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を発揮することができ、上記一般式(2)のxが2〜3であると出力特性の観点でさらに好ましいことが確認できた。
【0056】
[実施例2−1〜2−15、比較例2−1〜2−9]
実施例2−1〜2−15及び比較例2−1〜2−9においては、表4に示すように、負極体及び電解液を変えたこと以外は実施例1−1と同様に非水電解液電池用電解液を調製し、セルを作製し、電池の評価を実施した。なお、負極活物質がLi
4Ti
5O
12である実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−3において、負極体は、Li
4Ti
5O
12粉末90質量%に、バインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電剤としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を2.7V、放電終止電圧を1.5Vとした。また、負極活物質が黒鉛(ケイ素含有)である実施例2−6〜2−10及び比較例2−4〜2−6において、負極体は、黒鉛粉末81質量%、ケイ素粉末9質量%に、バインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合しさらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧と放電終止電圧は実施例1−1と同様とした。また、負極活物質がハードカーボンである実施例2−11〜2−15及び比較例2−7〜2−9において、負極体は、ハードカーボン粉末90質量%に、バインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電剤としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を4.1V、放電終止電圧を2.2Vとした。高温サイクル特性と高温貯蔵特性の評価結果を表4に示す。なお、表4中の評価結果(500サイクル後の放電容量維持率の数値、残存容量比の数値)は、各電極構成において、電解液No.65の電解液を用いた比較例の評価結果を100とした場合の相対値である。
【0057】
【表4】
*各電極構成において、電解液No.65の電解液を用いた比較例の評価結果を100
とした場合の相対値
【0058】
[実施例3−1〜3−20、比較例3−1〜3−12]
実施例3−1〜3−20及び比較例3−1〜3−12においては、表5に示すように、正極体、負極体及び電解液を変えたこと以外は実施例1−1と同様に非水電解液電池用電解液を調製し、セルを作製し、電池の評価を実施した。なお、正極活物質がLiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2である正極体は、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。実施例1−1と同様に負極活物質が黒鉛である実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−3において、電池評価の際の充電終止電圧を4.3V、放電終止電圧を3.0Vとした。実施例2−1と同様に負極活物質がLi
4Ti
5O
12である実施例3−6〜3−10及び比較例3−4〜3−6において、電池評価の際の充電終止電圧を2.8V、放電終止電圧を1.5Vとした。実施例2−6と同様に負極活物質が黒鉛(ケイ素含有)である実施例3−11〜3−15及び比較例3−7〜3−9において、電池評価の際の充電終止電圧を4.3V、放電終止電圧を3.0Vとした。実施例2−11と同様に負極活物質がハードカーボンである実施例3−16〜3−20及び比較例3−10〜3−12において、電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.2Vとした。高温サイクル特性と高温貯蔵特性の評価結果を表5に示す。なお、表5中の評価結果(500サイクル後の放電容量維持率の数値、残存容量比の数値)は、各電極構成において、電解液No.65の電解液を用いた比較例の評価結果を100とした場合の相対値である。
【0059】
【表5】
*各電極構成において、電解液No.65の電解液を用いた比較例の評価結果を100
とした場合の相対値
【0060】
[実施例4−1〜4−15、比較例4−1〜4−9]
実施例4−1〜4−15及び比較例4−1〜4−9においては、表6に示すように、正極体及び電解液を変えたこと以外は実施例1−1と同様に非水電解液電池用電解液を調製し、セルを作製し、電池の評価を実施した。なお、正極活物質がLiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2である実施例4−1〜4−5及び比較例4−1〜4−3において、正極体は、LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を4.3V、放電終止電圧を3.0Vとした。
また、正極活物質がLiMn
2O
4である実施例4−6〜4−10及び比較例4−4〜4−6において、正極体は、LiMn
2O
4粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。また、正極活物質がLiFePO
4である実施例4−11〜4−15及び比較例4−7〜4−9において、正極体は、非晶質炭素で被覆されたLiFePO
4粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.5Vとした。高温サイクル特性と高温貯蔵特性の評価結果を表6に示す。なお、表6中の評価結果(500サイクル後の放電容量維持率の数値、残存容量比の数値)は、各電極構成において、電解液No.65の電解液を用いた比較例の評価結果を100とした場合の相対値である。
【0061】
【表6】
*各電極構成において、電解液No.65の電解液を用いた比較例の評価結果を100
とした場合の相対値
【0062】
上記のように、負極活物質として、Li
4Ti
5O
12、黒鉛(ケイ素含有)、及びハードカーボンを用いたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることによって、それぞれの対応する比較例に比べて、高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を向上させることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、負極活物質の種類によらず、優れた高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を示す非水電解液電池を得られることが示された。また、上記のように、正極活物質として、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2、LiMn
2O
4、及びLiFePO
4を用いたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることによって、それぞれの対応する比較例に比べて、高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を向上させることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、正極活物質の種類によらず、優れた高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を示す非水電解液電池を得られることが示された。
【0063】
次に、実施例2−1〜2−15、3−1〜3−20、4−1〜4−15において、すなわち、第1の化合物を濃度1.0質量%のジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウムに、第2の化合物の濃度を0.5質量%に固定して第2の化合物の種類を種々変更した系の電解液(電解液No.4、16、18、19、26)と正極体と負極体を、表7に示すように種々変更した電池構成において、前述の方法で電池の出力特性を評価した。評価結果を表7に示す。なお、表7の実施例2−1〜2−4に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例2−5の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例2−6〜2−9に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例2−10の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例2−11〜2−14に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例2−15の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例3−1〜3−4に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例3−5の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例3−6〜3−9に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例3−10の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例3−11〜3−14に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例3−15の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例3−16〜3−19に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例3−20の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例4−1〜4−4に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例4−5の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例4−6〜4−9に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例4−10の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例4−11〜4−14に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例4−15の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。
【0064】
【表7】
*実施例2−1〜2−4の値は、実施例2−5の値を100とした場合の相対値
実施例2−6〜2−9の値は、実施例2−10の値を100とした場合の相対値
実施例2−11〜2−14の値は、実施例2−15の値を100とした場合の相対値
実施例3−1〜3−4の値は、実施例3−5の値を100とした場合の相対値
実施例3−6〜3−9の値は、実施例3−10の値を100とした場合の相対値
実施例3−11〜3−14の値は、実施例3−15の値を100とした場合の相対値
実施例3−16〜3−19の値は、実施例3−20の値を100とした場合の相対値
実施例4−1〜4−4の値は、実施例4−5の値を100とした場合の相対値
実施例4−6〜4−9の値は、実施例4−10の値を100とした場合の相対値
実施例4−11〜4−14の値は、実施例4−15の値を100とした場合の相対値
【0065】
以上の出力特性の評価の結果、上記一般式(2)のR
3で表される炭素−炭素不飽和結合を有する基が4個である(すなわち上記一般式(2)のxが4である)実施例2−5に対して、上記炭素−炭素不飽和結合を有する基が2〜3個である(すなわち上記一般式(2)のxが2〜3である)実施例2−1〜2−4ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例2−10に対して、上記xが2〜3である実施例2−6〜2−9ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例2−15に対して、上記xが2〜3である実施例2−11〜2−14ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例3−5に対して、上記xが2〜3である実施例3−1〜3−4ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例3−10に対して、上記xが2〜3である実施例3−6〜3−9ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例3−15に対して、上記xが2〜3である実施例3−11〜3−14ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例3−20に対して、上記xが2〜3である実施例3−16〜3−19ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例4−5に対して、上記xが2〜3である実施例4−1〜4−4ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例4−10に対して、上記xが2〜3である実施例4−6〜4−9ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例4−15に対して、上記xが2〜3である実施例4−11〜4−14ではより高い出力特性を示すことが確認された。
従って、負極活物質や正極活物質の種類によらず、電解液中に上記第1の化合物と上記第2の化合物とを共存させると、該電解液を非水電解液電池に用いた場合に、優れた高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を発揮することができ、上記一般式(2)のxが2〜3であると出力特性の観点でさらに好ましいことが確認できた。
【0066】
[実施例5−1]
非水溶媒としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:1の混合溶媒を用い、該溶媒中に、溶質としてNaPF
6を1.0mol/Lの濃度となるように、第1の化合物としてテトラフルオロ(オキサラト)リン酸ナトリウムを1.0質量%の濃度となるように、第2の化合物として上記化合物No.1を0.5質量%の濃度となるように溶解し、非水電解液電池用電解液を調製した。電解液の調製条件を表8に示す。
この電解液を用いてNaFe
0.5Co
0.5O
2を正極材料、ハードカーボンを負極材料とした以外は実施例1−1と同様にセルの作製を行い、実施例1−1と同様に高温サイクル特性及び高温貯蔵特性の評価を実施した。なお、正極活物質がNaFe
0.5Co
0.5O
2である正極体は、NaFe
0.5Co
0.5O
2粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し電池評価の際の充電終止電圧を3.8V、放電終止電圧を1.5Vとした。
【0067】
[実施例5−2〜5−6、比較例5−1〜5−6]
実施例5−2〜5−6及び比較例5−1〜5−6においては、表8に示すように、第1の化合物及び第2の化合物の種類や濃度を変えたこと以外は実施例5−1と同様に非水電解液電池用電解液を調製し、セルを作製し、電池の評価を実施した。高温サイクル特性と高温貯蔵特性の評価結果を表8に示す。なお、表8中の評価結果(500サイクル後の放電容量維持率の数値、残存容量比の数値)は、実施例5−1〜5−3については比較例5−1の評価結果を100とした場合の相対値であり、実施例5−4〜5−6については比較例5−2の評価結果を100とした場合の相対値である。また、比較例5−3〜5−6に記載の評価結果の数値は、比較例5−1の評価結果を100とした場合の相対値である。
【0068】
【表8】
*実施例5−1〜5−3の値は、比較例5−1の値を100とした場合の相対値
実施例5−4〜5−6の値は、比較例5−2の値を100とした場合の相対値
比較例5−3〜5−6の値は、比較例5−1の値を100とした場合の相対値
【0069】
以上の結果を比較すると、ナトリウムイオン電池においても、第1の化合物と第2の化合物を併用することで、第1の化合物を単独で用いる比較例5−1、5−2に対し、高温サイクル特性及び高温貯蔵特性が向上していることが確認できた。また同様に、第2の化合物を単独で用いる比較例5−3〜5−5に対し、高温サイクル特性及び高温貯蔵特性が向上していることが確認できた。
【0070】
次に、実施例5−1〜5−6において、すなわち表9に示すように、第1の化合物の濃度を1.0質量%に、第2の化合物の濃度を0.5質量%に固定してそれらの化合物の種類を種々変更した系において、前述の方法で電池の出力特性を評価した。評価結果を表9に示す。なお、表9の実施例5−1〜5−2に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例5−3の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。また、実施例5−4〜5−5に記載の高出力容量維持率の数値は、実施例5−6の高出力容量維持率を100とした場合の相対値である。
【0071】
【表9】
*実施例5−1〜5−2の値は、実施例5−3の値を100とした場合の相対値
実施例5−4〜5−5の値は、実施例5−6の値を100とした場合の相対値
【0072】
以上の出力特性の評価の結果、上記一般式(2)のR
3で表される炭素−炭素不飽和結合を有する基が4個である(すなわち上記一般式(2)のxが4である)実施例5−3に対して、上記炭素−炭素不飽和結合を有する基が2〜3個である(すなわち上記一般式(2)のxが2〜3である)実施例5−1〜5−2ではより高い出力特性を示すことが確認された。
同様に、上記xが4である実施例5−6に対して、上記xが2〜3である実施例5−4〜5−5ではより高い出力特性を示すことが確認された。
従って、ナトリウムイオン電池においても、電解液中に上記第1の化合物と上記第2の化合物とを共存させると、該電解液を非水電解液電池に用いた場合に、優れた高温サイクル特性及び高温貯蔵特性を発揮することができ、上記一般式(2)のxが2〜3であると出力特性の観点でさらに好ましいことが確認できた。