(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、消耗品の寿命を複数の画像形成装置にわたり一律に設定した場合に比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、交換可能な消耗品が装着される複数の画像形成装置を管理する情報処理装置であって、
前記各画像形成装置における、
環境条件を検出する環境検出部により検出された環境条件及び/又は
使用条件を検出する使用条件検出部により検出された使用条件と、前記消耗品の劣化進行度とに関する情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された複数の画像形成装置の情報から、前記複数の画像形成装置を前記環境条件及び/又は使用条件に設定された閾値で複数の集合に分類し、前記各集合に分類された画像形成装置毎に前記消耗品が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品の劣化進行度の限界値を設定する寿命設定手段と、
を備えた情報処理装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、交換可能な消耗品が装着される複数の画像形成装置を管理する情報処理装置であって、
前記各画像形成装置の消耗品の劣化進行度を、消耗品の劣化による現象を検出することにより判定する劣化判定手段と、
前記各画像形成装置における、
環境条件を検出する環境検出部により検出された環境条件及び/又は
使用条件を検出する使用条件検出部により検出された使用条件と、前記劣化判定手段により判定された消耗品の劣化進行度とに関する情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された複数の画像形成装置の情報から、前記複数の画像形成装置を前記環境条件及び/又は使用条件に設定された閾値で複数の集合に分類し、前記各集合に分類された画像形成装置毎に前記消耗品が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品の劣化進行度の限界値を設定する寿命設定手段と、
前記寿命設定手段により設定された消耗品の劣化進行度の限界値を前記各画像形成装置に報知する報知手段と、
を備えた情報処理装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記寿命設定手段は、前記各画像形成装置の前記環境条件
が変更されたか否かを判定し、前記環境条件が変更されたと判定した場合は、前記消耗品の劣化進行度の限界値を新たに設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記寿命設定手段は、前記消耗品が交換される毎に、前記消耗品の劣化進行度の限界値を新たに設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、交換可能な消耗品が装着される複数の画像形成装置について、前記各画像形成装置の消耗品の寿命を管理する寿命管理システムであって、
前記各画像形成装置における、
環境条件を検出する環境検出部により検出された環境条件及び/又は
使用条件を検出する使用条件検出部により検出された使用条件と、前記消耗品の劣化進行度とに関する情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された複数の画像形成装置の情報から、前記複数の画像形成装置を前記環境条件及び/又は使用条件に設定された閾値で複数の集合に分類し、前記各集合に分類された画像形成装置毎に前記消耗品が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品の劣化進行度の限界値を設定する寿命設定手段と、
を備えた寿命管理システムである。
【0011】
請求項6に記載された発明は、交換可能な消耗品が装着される複数の画像形成装置と、前記各画像形成装置に接続される情報処理装置とを備え、
前記各画像形成装置は、
前記消耗品の劣化進行度を消耗品の劣化による現象を検出することにより判定する劣化判定手段と、
前記画像形成装置が設置された
環境条件を検出する環境検出部により検出された環境条件及び/又は
前記画像形成装置の使用条件を検出する使用条件検出部により検出された使用条件と、前記劣化判定手段により判定された前記消耗品の劣化進行度を前記情報処理装置に送信する情報送信手段と、
前記情報処理装置から通知される消耗品の劣化進行度の限界値と前記劣化判定手段により判定された前記消耗品の劣化進行度から、前記消耗品の寿命に関する報知を行う寿命報知手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記各画像形成装置の情報送信手段から前記各画像形成装置における、
環境条件を検出する環境検出部により検出された環境条件及び/又は
前記画像形成装置の使用条件を検出する使用条件検出部により検出された使用条件と、前記劣化判定手段により判定された消耗品の劣化進行度とに関する情報を受け取って収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された複数の画像形成装置の情報から、前記複数の画像形成装置を前記環境条件及び/又は使用条件に設定された閾値で複数の集合に分類し、前記各集合に分類された画像形成装置毎に前記消耗品が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品の劣化進行度の限界値を設定する寿命設定手段と、
前記寿命設定手段により設定された消耗品の劣化進行度の限界値を前記各画像形成装置に報知する報知手段と、
を有する
ことを特徴とする寿命管理システムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、
予めグルーピングされた複数の端末装置から収集した情報に基づいて寿命又は寿命に近い状態であると判定する装置と比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定が可能となる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、
予めグルーピングされた複数の端末装置から収集した情報に基づいて寿命又は寿命に近い状態であると判定する装置と比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定が可能となる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、
各画像形成装置の環境条件が変更されたか否かを判定し、環境条件が変更されたと判定した場合は、前記消耗品の劣化進行度の限界値を新たに設定しない場合に比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定が可能となる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、消耗品が交換される毎に、消耗品の劣化進行度の限界値を新たに設定しない場合に比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定が可能となる。
【0016】
請求項5に記載された発明によれば、
予めグルーピングされた複数の端末装置から収集した情報に基づいて寿命又は寿命に近い状態であると判定する装置と比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定が可能となる。
【0017】
請求項6に記載された発明によれば、
予めグルーピングされた複数の端末装置から収集した情報に基づいて寿命又は寿命に近い状態であると判定する装置と比較して、消耗品の使用実態に即した寿命の設定が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置を適用した寿命管理システムの全体概要を示す構成図である。
【0021】
<寿命管理システムの全体の構成>
実施の形態1に係る寿命管理システム100は、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・と、これら複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・と通信回線2を介して通信可能に接続された情報処理装置3とを備えている。画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれら複写機・プリンタ・ファクシミリの機能を兼ね備えたデジタル複合機等からなり、記録用紙等の記録媒体に電子写真方式によって画像を形成するものである。なお、画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・としては、電子写真方式に限定されるものではなく、インクジェットプリント方式など他の画像記録方式を採用したものであっても良い。
【0022】
通信回線2は、インターネット、LAN(Local Area Network)、電話回線などから構成され、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・と情報処理装置3とをデータ通信可能に接続する。
【0023】
画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・は、装置筐体11に着脱自在に装着される交換可能な消耗品12を備えている。消耗品12は、装置筐体11と比較して寿命が短く、消耗した場合に適宜交換される部品である。消耗品12としては、例えば、感光体ドラム、帯電ロール、クリーニングブレードなどの画像形成部材そのものからなる部品や、感光体ドラムを組み込んだドラムユニット、帯電ロールを組み込んだ帯電ユニット、クリーニングブレードを備えたクリーニング装置、あるいは感光体ドラム、帯電ロール、クリーニング装置などからなるプロセスカートリッジ、中間転写ベルトや支持ロール等からなる転写ユニット、定着部材や加圧部材を備えた定着ユニット、記録用紙を搬送する搬送ロールを備えた搬送ユニットなど複数の部品からなる構成部材が挙げられる。
【0024】
プロセスカートリッジは、感光体ドラム、及び当該感光体ドラムの周囲に配置される帯電ロールやクリーニング装置など画像形成プロセスに必要とされる複数の機能部材を1つにまとめた交換可能な部品(消耗品)である。画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・がフルカラーの画像を形成可能なものである場合、プロセスカートリッジとしては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色に対応した複数のプロセスカートリッジが用いられる。また、モノクロの画像を形成する画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・は、ブラック(K)色に対応した単一のプロセスカートリッジを備える。
【0025】
感光体ドラムは、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に有機光導電体等の感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。感光体ドラムは、感光層の膜厚T(μm)が所要の値となるよう成膜して製造されるが、画像形成動作を繰り返す間に摩耗して感光層の膜厚が徐々に減少する。画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・は、感光体ドラムの感光層の膜厚と相関関係を有する、当該感光体ドラムの周面を帯電ロールにより所要の電位に帯電した際の暗部電位又は露光時の明部電位の少なくとも一方を電位検出手段の一例としての図示しない電位センサにより検出することで感光体ドラムの感光層の膜厚を検出する。また、画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・では、感光体ドラムの感光層の膜厚と相関関係を有する感光体ドラムの累積的な回転数や累積的なプリント枚数を検出することにより、感光体ドラムの感光層の膜厚を検出する。
【0026】
また、帯電ロールは、予め定められた抵抗値や外径、あるいはクラウン形状を有するよう構成されている。クリーニングブレードは、予め定められた厚さや自由長、感光体ドラムに対するニップ圧を有するよう構成されている。これらの帯電ロールやクリーニングブレード等の消耗品においては、その外径や自由長などが画像形成動作に伴い減少する。
【0027】
図2は、この実施の形態に係る寿命管理システム100を適用した画像形成装置を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御手段の一例としてのコンピュータ13を含んで構成されている。
【0028】
コンピュータ13は、CPU131を備えており、CPU131は、ROM132に予め記憶されたプログラムに基づいてRAM133に記憶されたデータ等を参照しつつ画像形成装置1の動作を統括的に制御する。また、コンピュータ13は、画像形成装置1が設置された環境条件、感光体ドラムの累積回転数、記録用紙の累積プリント枚数、画像形成モード、1回のジョブにおいて連続して画像が形成される記録用紙の枚数、感光体ドラムの感光体層の膜厚等に関する情報(データ)を記憶する不揮発性メモリ134と、データの入出力動作を行う入出力インターフェース(I/O)135を備えている。CPU131、ROM132、RAM133、不揮発性メモリ134及び入出力インターフェース(I/O)135は、バス136を介して互いに接続されている。
【0029】
なお、処理のプログラムは、この実施形態では一例としてROM132に予め記憶され、CPU131がこの予め記憶された制御プログラムを読み込むことにより実行される。また、CD−ROM等の記憶媒体に制御プログラムを記憶し、これをCD−ROMドライブ等で読み込むことにより実行してもよい。
【0030】
また、
図2中、101はユーザーが画像形成装置1を操作するための液晶表示パネル等からなる操作表示部、102は図示しない原稿の画像を読み取る画像読取部、103は記録用紙等からなる記録媒体に画像を形成する画像形成部、104は画像形成部103に記録用紙を供給する用紙供給部、105は画像形成部103から画像が形成された記録用紙を排出する用紙排出部、106は外部の情報処理装置3等と通信するためのネットワーク通信インターフェイス(I/F)、107は電話回線を介して画像データを送受信する電話回線インターフェイス(I/F)、108は画像形成装置1が設置された環境の温度及び湿度の少なくとも一方を検出する環境検出手段の一例としての環境センサをそれぞれ示している。
【0031】
画像形成部103は、例えば、電子写真方式により記録用紙上に画像を形成するものである。画像形成部103は、感光体ドラム、感光体ドラムを帯電するための帯電装置、帯電された感光体ドラム上に画像に応じた光で露光することにより感光体ドラムの周面に画像に応じた静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラムの周面に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、感光体ドラムの周面に形成された画像に応じたトナー像を記録用紙に転写する転写装置、感光体ドラムの周面に残留するトナー等の付着物を清掃するクリーニング装置、記録用紙に転写された画像に応じたトナー像を記録媒体上に定着する定着装置等を含んで構成されている。
【0032】
画像形成装置1は、例えば、画像形成モードとして、フルカラーの画像を形成するフルカラーモードと、モノクロの画像を形成するモノクロモードとを備える。また、画像形成装置1では、記録用紙に形成される画像の面積率(エリアカバレッジ)や、1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)などが個々の画像形成装置1によって異なる。これらの画像形成モード、画像の面積率(エリアカバレッジ)や1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)などは、画像形成装置1の使用条件を示す情報となる。画像形成装置1の使用条件は、CPU131によって検出され管理される。
【0033】
ネットワーク通信I/F106は、CPU131の制御の下、例えば、一定時間毎に記録用紙のサイズや材質、プリント枚数、画像形成モード、1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)、画像の面積率(エリアカバレッジ)、環境湿度等の情報(データ)を情報処理装置3に送信する。
【0034】
一方、情報処理装置3は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の消耗品12の寿命管理に関する処理を行う装置である。この実施の形態では、情報処理装置3として、画像形成装置1の製造者や販売者、あるいは画像形成装置1の保守管理者などの保守管理センターに設置された管理サーバーからなるコンピュータシステムを用いている。この管理サーバー3としては、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の課金管理や保守管理等を行う既存のコンピュータシステムを利用することができる。
【0035】
図3は、この実施の形態に係る寿命管理システム100を適用した情報処理装置の一例としての管理サーバー3を示すブロック図である。管理サーバー3は、制御手段の一例としてのコンピュータ31を含んで構成されている。
【0036】
コンピュータ31は、CPU311を備えており、CPU311は、ROM312に予め記憶されたプログラムに基づいてRAM313に記憶されたデータ等を参照しつつ管理サーバー3の動作を統括的に制御する。また、コンピュータ31は、画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・から送られてくる記録用紙のサイズや材質、プリント枚数、画像形成モード、1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)、画像の面積率(エリアカバレッジ)、環境湿度等の情報(データ)、感光体ドラムの感光体層の膜厚等に関する種々の情報(データ)を記憶するハードディスク等からなる不揮発性メモリ314と、データの入出力動作を行う入出力インターフェース(I/O)315を備えている。CPU311、ROM312、RAM313、不揮発性メモリ314及び入出力インターフェース(I/O)315は、バス316を介して互いに接続されている。
【0037】
入出力インターフェース(I/O)315には、キーボードやマウス等を含んで構成される操作部301、液晶ディスプレイ等で構成される表示部302、通信回線2を介して画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・とデータ通信するためのネットワーク通信インターフェイス(I/F)303等が接続されている。
【0038】
なお、処理のプログラムは、この実施形態では一例としてROM312に予め記憶され、CPU311がこの予め記憶された制御プログラムを読み込むことにより実行される。また、CD−ROM等の記憶媒体に制御プログラムを記憶し、これをCD−ROMドライブ等で読み込むことにより実行してもよい。
【0039】
図4は、この実施の形態に係る寿命管理システム100により実現される機能を示すブロック図である。
【0040】
寿命管理システム100は、
図4に示されるように、劣化判定機能1001、情報収集機能1002、分類処理機能1003、寿命設定機能1004、及び寿命報知機能10005を実現する。劣化判定機能1001は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の消耗品12の劣化進行度を、消耗品12の劣化と相関関係を有する現象を検出することにより判定する。消耗品12が感光体ドラムを備えたプロセスカートリッジである場合には、感光体ドラムを帯電ロールにより帯電した際の暗部電位、又は帯電後の感光体ドラムの表面に露光装置により所要の露光を施した際の明部電位を検出することにより、これら暗部電位又は明部電位と相関関係を有する感光体ドラムの感光層の膜厚を求め、感光体ドラムの劣化進行度を判定する。また、劣化判定機能1001としては、感光体ドラムの累積的な回転数又は記録用紙の累積的なプリント枚数を検出することにより、これら感光体ドラムの累積回転数又は記録用紙の累積プリント枚数と相関関係を有する感光体ドラムの感光層の膜厚を求め、感光体ドラムの劣化進行度を判定するものであっても良い。
【0041】
情報収集機能1002は、例えば、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・における、当該画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を特定する客先情報(識別情報)と、環境条件としての環境湿度の情報と、記録用紙のサイズや種類の情報と、記録用紙のサイズや材質の情報と、プリント枚数の情報と、画像形成モードの情報と、1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)の情報と、画像の面積率(エリアカバレッジ)の情報と、劣化判定機能1001により判定された消耗品12の劣化進行度とに関する情報を収集する。
【0042】
分類処理機能1003は、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を環境条件(湿度)に設定された閾値に基づいて複数の集合に分類する。分類処理機能1003は、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を環境条件に設定された閾値で分類するものに限らず、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を使用条件に設定された閾値、或いは環境条件及び使用条件の双方に設定された閾値で複数の集合に分類するものであっても良い。
【0043】
寿命設定機能1004は、分類処理機能1003により各集合に分類された画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・毎に消耗品12が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品12の劣化進行度の限界値を設定する。消耗品12の劣化進行度の限界値は、各集合に分類された画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・に適した値を算出することにより求められる。
【0044】
寿命報知機能1005は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・について、当該画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・での消耗品12の劣化進行度が当該劣化進行度の限界値に基づいて定められた寿命報知進行度に達した時点で、消耗品12の寿命に関する報知を行う。
【0045】
これらの劣化判定機能1001、情報収集機能1002、分類処理機能1003、寿命設定機能1004、及び寿命報知機能10005は、それぞれ、適宜の態様で実現される。例えば、画像形成装置1のコンピュータ13により、管理サーバー3のコンピュータ31により、または画像形成装置1と管理サーバー3とのコンピュータ3,31の協働により実現される。
【0046】
図5は、画像形成装置及び管理サーバーの機能構成を示すブロック図である。
図5では、1台の画像形成装置1が代表的に示されているが、他の画像形成装置1も同様の構成を有している。
【0047】
画像形成装置1は、
図5に示されるように、劣化判定部14、情報送信部15、環境検出部16、寿命報知部17を備える。
【0048】
劣化判定部14は、上述したように、画像形成装置1の消耗品12の劣化進行度を、消耗品12の劣化と相関関係を有する現象を検出することにより判定する。この実施の形態では、劣化判定部14は、感光体ドラムの感光層の膜厚が変化することにより、感光体ドラムの暗部電位や明部電位が変化することを利用して、感光体ドラムの暗部電位又は明部電位の少なくとも一方を検出することにより、感光体ドラムの感光層の膜厚が寿命に近い状態か否かを判定する。また、劣化判定部14は、感光体ドラムの感光層の膜厚と相関関係を有する感光体ドラムの累積的な回転や累積的なプリント枚数を検出することにより、感光体ドラムの感光層の膜厚が寿命に近い状態か否かを判定する。
【0049】
環境検出部16は、例えば、
図2に示されるような環境センサ108からなり、画像形成装置1が設置された環境の湿度を検出する。
【0050】
情報送信部15は、画像形成装置1についての劣化判定部14によって判定された劣化進行度、環境検出部16によって検出された環境湿度などの情報を管理サーバー3に予め定められたタイミングで送信する。なお、画像形成装置1についての劣化判定部14によって判定された劣化進行度を送信するタイミングと、環境検出部16によって検出された環境湿度の情報を送信するタイミングは、異なるように設定されている。
【0051】
寿命報知部17は、管理サーバー3から送信される消耗品12の劣化進行度が限界値又は限界値に近い値ことを示す寿命報知情報に基づいて、画像形成装置1に設けられた操作表示部101を介してユーザーに消耗品12としてのプロセスカートリッジの交換準備又は交換を促すメッセージを表示することにより、消耗品12が寿命又は寿命に近い状態であることを報知する。
【0052】
一方、管理サーバー3は、
図5に示されるように、情報収集部32、収集情報データベース33、分類処理部34、分類情報データベース35、寿命設定部36、情報送信部37を備える。
【0053】
情報収集部32は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・から送信される客先情報(識別情報)と、環境条件としての環境湿度と、画像形成装置1の使用条件と、記録用紙の情報と、劣化判定機能1001により判定された消耗品12の劣化進行度とに関する情報などを収集する。情報収集部32は、収集した情報を収集情報データベース33に格納する。
【0054】
分類処理部34は、収集情報データベース33に格納された複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の情報から、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を環境条件に設定された複数又は単数の閾値に基づいて複数の集合に分類する。
【0055】
分類処理部34は、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・についての情報を、分類された各集合毎に分類情報データベース35に格納する。
【0056】
寿命設定部35は、各集合に分類された画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・毎に消耗品12が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品12の劣化進行度の限界値を予め定められた演算式に基づいて算出し設定する。
【0057】
情報送信部36は、寿命設定部35によって設定された消耗品12の劣化進行度の限界値を各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・に送信する。なお、情報送信部36は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の消耗品12の劣化進行度が限界値又は限界値に近い値に達したときに、当該消耗品12の劣化進行度が限界値又は限界値に近い値に達した画像形成装置1に対して消耗品12の劣化進行度が限界値又は限界値に近い値ことを示す寿命報知情報を送信するものであっても良い。
【0058】
<寿命管理システムの動作>
図6は、寿命管理システムによる消耗品の寿命管理動作を示すフローチャートである。
【0059】
管理サーバー3は、まず、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・から、客先情報、消耗品12の交換情報に基づく寿命(ライフ)実績、劣化判定部14により判定された消耗品12の劣化進行度、画像形成装置1の環境湿度の情報(データ)を情報収集部32により収集し(ステップ101)、収集情報データベース(DB)33に収集されたデータを格納する。ここで、消耗品12の交換情報に基づく寿命(ライフ)実績とは、例えば、プロセスカートリッジが交換された際における感光体ドラムの感光層の膜厚値や、プロセスカートリッジが交換された際における感光体ドラムの累積回転数、あるいはプロセスカートリッジが交換された際における累積プリント枚数など、消耗品12の実際の寿命に関連する情報である。
【0060】
収集情報データベース(DB)33は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・に割り当てられた客先情報(識別情報)に基づいて、これら各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・に関するデータを識別して格納する。
【0061】
次に、管理サーバー3の分類処理部34は、例えば、1日に1回あるいは数日に1回などの予め設定された時期に、収集情報データベース(DB)33から各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の環境湿度のデータを読み出し、
図7に示されるように、最新の過去X日分の平均湿度を算出する。そして、分類処理部34は、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を平均された環境湿度に予め設定された閾値に基づいて複数の集合(グループ)に分類する。
【0062】
この実施の形態では、画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の環境条件として画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・が設置された環境の湿度情報(相対湿度RH)を用いている。分類処理部34は、
図8及び
図9に示されるように、湿度情報に予め第1閾値(H
SH1)及び第2閾値(H
SH2)の閾値(H
SH1<H
SH2)を設定しており、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を環境湿度が第1閾値(H
SH1)未満である低湿環境グループ(第1グループ)と、環境湿度が第1閾値(H
SH1)以上で且つ第2閾値(H
SH2)未満である中湿環境グループ(第2グループ)と、環境湿度が第2閾値(H
SH2)以上である高湿環境グループ(第3グループ)の複数(図示例では、3つ)のグループに分類する。
【0063】
分類処理部34は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・についての情報を、分類された各グループ毎に分類情報データベース35に格納する。
【0064】
寿命設定部35は、各グループに分類された画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・毎に消耗品12が寿命又は寿命に近い状態であると判定する消耗品12の劣化進行度の限界値T
SHを設定する(ステップ104)。寿命設定部35は、
図10に示されるように、高湿環境グループに分類された画像形成装置1に対して、感光体ドラムの感光層が摩耗した際に、高湿環境時に発生しやすい背景部のかぶりによる画質低下が発生するのを抑制するため、感光体ドラムの劣化進行度である感光層の残膜厚値の限界値を相対的に高い第1限界値T
SH1に設定する。
【0065】
また、寿命設定部35は、中湿環境グループに分類された画像形成装置1に対して、高湿環境グループに分類された画像形成装置1に比較して、感光体ドラムの感光層が摩耗した際に、高湿環境時に発生する背景部かぶりが問題となり難いため、高湿環境グループの第1限界値に低減係数αを乗算した第1限界値よりも低い第2限界値T
SH2(=α・T
SH1)に設定する。
【0066】
さらに、寿命設定部35は、低湿環境グループに分類された画像形成装置1に対して、高湿環境グループ及び中湿環境グループに分類された画像形成装置1に比較して、感光体ドラムの感光層が摩耗した際に、高湿環境時に発生する背景部かぶりがほとんど問題とならないため、高湿環境グループの第1限界値に低減係数αよりも大きな低減係数βを乗算した第2限界値よりも更に低い第3限界値T
SH3(=β・T
SH1)に設定する。
【0067】
寿命設定部35は、消耗品12の劣化進行度の限界値を設定する際に、ワイブル解析で算出した値に基づいて消耗品12の劣化進行度の限界値を更新するよう構成しても良い。ワイブル解析は、部品等の消耗品に対して負荷が継続的に加えられる場合に、消耗品の劣化が進行して寿命に至る過程を解析する手法として用いられる。ワイブル解析は、ワイブル分布と呼ばれる確率分布に基づいている。
【0068】
ワイブル分布は、次の式で表される確率分布を有している。
【数1】
ここで、mはワイブル係数(形状パラメータ)、ηは尺度パラメータ、tは時間を示している。
【0069】
寿命設定部35は、消耗品12としてのプロセスカートリッジが交換された場合に、当該プロセスカートリッジの交換時におけるプリント枚数と感光体ドラムの感光層の膜厚との関係を、各グループに分類された画像形成装置1毎に求め、各グループに属する画像形成装置1毎にワイブル解析を用いて消耗品の劣化進行度の限界値を設定するように構成しても良い。
【0070】
更に説明すると、あるグループに分類された画像形成装置1における消耗品の劣化進行度の関係が、ワイブル解析を用いて
図11に示されるように求められた場合、B(10)は、直線で示される近似式により、69100枚のプリント枚数(CV)で10%のプロセスカートリッジにおいて、感光体ドラムの感光層の膜厚が劣化進行度の限界値に達することを意味している。同様に、B(50)は、50%のプロセスカートリッジにおいて、感光体ドラムの感光層の膜厚が劣化進行度の限界値に達するプリント枚数を示している。
【0071】
この実施の形態では、プロセスカートリッジの交換時における感光体ドラムの総回転数を用いてワイブル解析を行い、B(50)ライフとなる感光体ドラムの総回転数を劣化進行度の限界値として採用している。本実施形態以外でも、劣化進行度の限界値としては、プロセスカートリッジ交換時のプリント枚数、感光体ドラムの膜減り量、等を採用することもできる。
【0072】
情報送信部37は、寿命設定部35によって設定された消耗品の劣化進行度の限界値T
SHを対応するグループに属する各画像形成装置1に送信する(ステップ104)。
【0073】
各画像形成装置1は、劣化判定部14で判定された消耗品12の劣化進行度が、情報送信部37から送信された消耗品12の劣化進行度の限界値T
SH又は限界値T
SHに近い値である場合には、寿命報知部17の一例としての操作表示部を介してユーザーに消耗品12としてのプロセスカートリッジの交換又は交換の準備を促すメッセージを表示することにより、消耗品12が寿命又は寿命に近い状態であることを報知する。
【0074】
また、管理サーバー3は、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・から送信されてくる情報に基づいて、環境条件が変更されたか、又は消耗品12としてのプロセスカートリッジが新しいものと交換されてライフ実績が更新されたか否かを判定し(ステップ105)、環境条件が変更されたか又はライフ実績が更新されと判定した場合には、ステップ101に戻り、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・から送信されてくる情報に基づいて、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を複数のグループに分けるグルーピング及び寿命設定部35による寿命設定動作等を実行する。
【0075】
このように、上記実施の形態では、複数の画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・を環境情報に基づいて複数のグループに分類し、各グループの画像形成装置1毎に消耗品の劣化進行度の限界値を設定するため、各画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・の環境条件に適した消耗品の寿命を設定することが可能となり、画像形成装置1
1,1
2,1
3・・・における消耗品の使用実態に即した寿命管理が可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態では、画像形成装置1の環境条件が更新され、高湿グループに属していた画像形成装置1が中湿グループに移行した場合など、当該中湿グループに移行した画像形成装置1に対しては、中湿グループに設定された消耗品12の劣化進行度の限界値が適用されるため、画像形成装置1が設置された環境に適した消耗品12の寿命の設定が可能となる。
【0077】
前記実施の形態では、複数の画像形成装置を複数の集合に分類する際のパラメータとして各画像形成装置が設置された環境条件を用いた場合について説明したが、複数の画像形成装置を複数の集合に分類する際のパラメータとしては、これに限定されるものではない。
【0078】
すなわち、複数の画像形成装置を複数の集合に分類するに際して、各画像形成装置における使用条件を閾値として用いても良い。各画像形成装置における使用条件としては、例えば、フルカラーモード及びモノクロモードの画像形成モード、記録用紙に形成される画像の面積率(エリアカバレッジ)、あるいは1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)などを挙げることができる。
【0079】
更に説明すると、画像形成装置では、フルカラーモードで画像を形成する場合とモノクロモードで画像形成する場合とで、感光体ドラムの周面に形成される画像のトナー量が異なり、フルカラーモードの方がモノクロモードに比較して感光体ドラムの周面に形成される画像のトナー量が多い傾向にある。そのため、同じ枚数の記録用紙に画像を形成するか感光体ドラムの累積した回転数が同じ場合であっても、フルカラーモードの方が画像のトナー量が多い分だけ感光体ドラムの感光層の摩耗が抑制され、感光層の膜厚の減少傾向がモノクロモードに比較して少ない。
【0080】
そこで、情報収集部は、画像形成装置1からフルカラーモードとモノクロモードとの比率に関する情報を取得し、当該フルカラーモードとモノクロモードとの比率に基づいて複数の画像形成装置を複数の集合に分類するように構成しても良い。
【0081】
同様に、画像形成装置1では、記録用紙に形成される画像の面積率(エリアカバレッジ)に応じて、感光体ドラムの周面に形成される画像のトナー量が異なる。そのため、同じ枚数の記録用紙に画像を形成した場合であっても、画像の面積率(エリアカバレッジ)が高い方が画像のトナー量が多い分だけ感光体ドラムの感光層の摩耗が抑制され、感光層の膜厚の減少傾向がモノクロモードに比較して少ない。
【0082】
そのため、情報収集部は、画像形成装置1からフルカラーモードとモノクロモードとの比率に関する情報を取得し、当該フルカラーモードとモノクロモードとの比率に基づいて複数の画像形成装置を複数の集合に分類するように構成しても良い。
【0083】
これに対して、1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)が少ない場合には、画像形成動作の開始前と終了後に行われる感光体ドラムの空回転の回転数が増加する傾向にある。同じ枚数の記録用紙に画像を形成するか感光体ドラムの累積した回転数が同じ場合であっても、1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)が多い方が少ない場合に比較して、感光体ドラムの空回転の回転数が少ない分だけ感光体ドラムの感光層の摩耗が抑制され、感光層の膜厚の減少傾向が抑制される。
【0084】
そこで、情報収集部は、画像形成装置1から1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)に関する情報を取得し、当該1回のジョブで連続して画像が形成される記録用紙の枚数(ランレングス)の平均値に基づいて複数の画像形成装置を複数の集合に分類するように構成しても良い。