(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同軸上に配置された外側管と内側管とを有し、当該外側管の内周面と当該内側管の外周面との間にエキシマ発光用ガスが封入された放電空間が形成された、誘電体材料よりなる放電容器を具えており、当該外側管の外周面に外側電極が設けられると共に当該内側管の内周面に内側電極が設けられたエキシマランプと、当該エキシマランプが内部に挿通状態で配置された、当該エキシマランプのランプ中心軸に沿って延びる外套管とを具えており、
当該エキシマランプの外側管の外周面と当該外套管の内周面との間に形成された第1の空間および当該エキシマランプの内側管の内部に形成された第2の空間のうちの一方の空間が冷却媒体である冷却水が流通される冷却媒体流通空間とされると共に他方の空間が当該エキシマランプからの紫外線が照射されることによりオゾンが生成されるオゾン生成用原料ガスが流通されるオゾン生成空間とされており、
前記エキシマランプにおける当該冷却媒体流通空間内に位置される一方の電極が、接地されていることを特徴とする紫外線照射式オゾン生成装置。
前記オゾン生成空間内には、当該オゾン生成空間に供給されるオゾン生成用原料ガスの流れを、当該オゾン生成用原料ガスが当該オゾン生成空間内において混合されるよう、撹拌する撹拌部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
前記エキシマランプを構成する放電容器における軸方向の少なくとも一方の端部には、内側管と外側管とが気密に接合された接合部が形成されており、当該接合部に向かう紫外線を遮光する紫外線遮光部材が当該放電空間の内部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
前記紫外線遮光部材は、放電空間を画成する壁の内面における前記接合部を含む領域に設けられた、放電空間内で発生した不純ガスを吸着する金属材料による金属膜により構成されており、ゲッターとしても機能することを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成のオゾン発生装置においては、冷却水などの冷媒によってエキシマランプを冷却することは想定されておらず、例えばkHzオーダーの周波数で発光するエキシマランプは使用することができない。
また、エキシマランプの電極とオゾン導通管内に供給される原料ガスとが隔離されてエキシマランプの外表面とオゾン導通管のエキシマランプと対向する表面との間に空間が設けられているため、オゾン生成に寄与する紫外線の損失が発生する。すなわち、エキシマランプから放出される紫外線が当該空間内の空気中の酸素によって吸収されるため、オゾン導通管内部に到達し、オゾン導通管内部でオゾン生成に寄与する紫外線の強度が減少してしまう。従って、オゾンを高い効率(高濃度)で生成することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、オゾンを高い効率で生成することができ、しかも、漏電等の不具合が生ずることを回避することのできる紫外線照射式オゾン生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の紫外線照射式オゾン生成装置は、同軸上に配置された外側管と内側管とを有し、当該外側管の内周面と当該内側管の外周面との間にエキシマ発光用ガスが封入された放電空間が形成された、誘電体材料よりなる放電容器を具えており、当該外側管の外周面に外側電極が設けられると共に当該内側管の内周面に内側電極が設けられたエキシマランプと、当該エキシマランプが内部に挿通状態で配置された、当該エキシマランプのランプ中心軸に沿って延びる外套管とを具えており、
当該エキシマランプの外側管の外周面と当該外套管の内周面との間に形成された第1の空間および当該エキシマランプの内側管の内部に形成された第2の空間のうちの一方の空間が
冷却媒体である冷却水が流通される冷却媒体流通空間とされると共に他方の空間が当該エキシマランプからの紫外線が照射されることによりオゾンが生成されるオゾン生成用原料ガスが流通されるオゾン生成空間とされており、
前記エキシマランプにおける当該冷却媒体流通空間内に位置される一方の電極が、接地されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の紫外線照射式オゾン生成装置においては、前記第1の空間がオゾン生成空間とされると共に、前記第2の空間が冷却媒体流通空間とされており、
前記外套管の内周面および外周面の一方における少なくとも一部に、前記エキシマランプから放出される紫外線を反射する
外套管反射部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
【0010】
このような構成のものにおいては、前記エキシマランプにおける内側管の外周面の少なくとも一部に、当該エキシマランプから放出される紫外線を反射する
内側管反射部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
また、前記外套管を冷却する冷却手段を具えた構成とされていることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明の紫外線照射式オゾン生成装置においては、前記第1の空間が冷却媒体流通空間とされると共に、前記第2の空間がオゾン生成空間とされており、
前記エキシマランプにおける外側管の内周面の少なくとも一部に、当該エキシマランプから放出される紫外線を反射する反射部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の紫外線照射式オゾン生成装置においては、前記オゾン生成空間内には、当該オゾン生成空間に供給されるオゾン生成用原料ガスの流れを、当該オゾン生成用原料ガスが当該オゾン生成空間内において混合されるよう、撹拌する撹拌部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の紫外線照射式オゾン生成装置においては、前記エキシマランプを構成する放電容器における軸方向の少なくとも一方の端部には、内側管と外側管とが気密に接合された接合部が形成されており、当該接合部に向かう紫外線を遮光する紫外線遮光部材が当該放電空間の内部に設けられた構成とされていることが好ましい。
【0014】
このような構成のものにおいては、前記紫外線遮光部材は、放電空間を画成する壁の内面における前記接合部を含む領域に設けられた、放電空間内で発生した不純ガスを吸着する金属材料による金属膜により構成されており、ゲッターとしても機能するものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の紫外線照射式オゾン生成装置によれば、冷却媒体としての例えば冷却水が冷却媒体流通空間内を流通されてエキシマランプが冷却されることにより、例えばkHzオーダーの周波数の高周波交流電圧を印加することができてエキシマランプの発光効率を上昇させることができると共にオゾン生成空間で生成されたオゾンの熱分解が生ずることを抑制することができるので、オゾンを高い効率で生成することができる。しかも、冷却媒体流通空間内に位置される電極が接地されていることにより、冷却媒体としての冷却水を介して接地側の不所望な場所に漏電することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置の一構成例を概略的に示す、ランプ中心軸に沿った断面図である。
図2は、
図1におけるA−A線断面図である。
図3は、
図1に示す紫外線照射式オゾン生成装置の一部を示す部分拡大図である。
この紫外線照射式オゾン生成装置は、一方向に長尺な二重管構造のエキシマランプ20と、このエキシマランプ20が内部に挿通状態で配置された、エキシマランプ20のランプ中心軸Lcに沿って延びる円筒状の外套管35とを具えている。
【0018】
外套管35は、例えばステンレス鋼よりなる円筒状の外部筐体10の両端部の各々に固定されて設けられた一対の外套管ホルダー部材11,14によって、両端部が保持されて設けられている。各々の外套管ホルダー部材11,14は有底円筒状であって、外套管35の両端部の各々が対応する外套管ホルダー部材11,14の開口部に嵌入され、これにより、外套管35がその管軸が外部筐体10の中心軸上に位置される姿勢で外套管ホルダー部材11,14によって保持されている。
外套管35としては、例えば石英管などを用いることができる。
【0019】
一方の外套管ホルダー部材11における端壁には、各々一方の外套管ホルダー部材11の内部空間に連通する2つの流体流通管12,13が、軸方向外方に突出して延びるよう設けられている。また、他方の外套管ホルダー部材14における周壁には、他方の外套管ホルダー部材14の内部空間に連通する流体流通管15が外部筐体10の外部に突出して径方向外方に延びるよう設けられている。
【0020】
エキシマランプ20は、互いに同軸上に配置された外側管22および内側管23を有する二重管構造の放電容器21を具えている。内側管23は、両端部が外側管22の両端より軸方向外方に突出する状態で、外側管22の内部に配置されている。そして、外側管22の両端部が、内側管23の外周面に気密に封着されており、これにより、外側管22の内周面と内側管23の外周面との間に放電用ガスが封入された放電空間S1が形成されている。外側管22および内側管23を構成する材料としては、例えば石英ガラス等の誘電体材料を用いることができる。
【0021】
放電用ガスとしては、キセノンガス、アルゴンガス、クリプトンガスなどの希ガス、あるいは、希ガスと塩素などのハロゲンガスとの混合ガスなどを用いることができる。放電用ガスの封入圧は、例えば0.01〜0.1MPaとされる。
【0022】
放電容器21における外側管22の外周面には、外側電極25が外側管22の外周面に密接して配置されている。外側電極25は、例えば、アルミニウムよりなる導電性素線が外側管22の外周面に螺旋状に巻回されて構成されている。外側電極25は、放電空間S1で生じた紫外線を放電容器21の外部に取り出すことのできる構成とされていればよく、例えば、導電性素線が網目状などの隙間を有するパターンに従って配設されてなる網状電極、導電性材料からなる膜が網目状などの隙間を有するパターンに従って形成されてなる光透過性電極、あるいは、エキシマランプ20から放射される紫外線を透過する透明電極などにより構成されていてもよい。
【0023】
放電容器21における内側管23の内周面には、内側電極26が内側管23の内周面に密接して配置されている。内側電極26は、例えば、アルミニウムよりなる導電性素線が内側管23の内周面に螺旋状に巻回されて構成されている。内側電極26は、外側電極25と同様に、網状電極、光透過性電極、透明電極などにより構成されていてもよいが、内側電極26は、必ずしもエキシマランプ20から放出される紫外線を透過する光透過性を有するものとして形成されたものや、隙間を有するパターンに従って形成されたものである必要はなく、不透光性の帯状電極であってもよい。
【0024】
このエキシマランプ20においては、放電空間S1を画成する内側管23の壁に、径方向外方側に突出した突出部24が形成されており、例えば放電空間S1の両端部にゲッター室S2が形成されている。ゲッター室S2には、例えば、酸素ガス、水素ガス、一酸化炭素ガス、水の分子ガスなどの不純ガスを吸着するゲッター部材31が配置されている。これにより、当該不純ガスに起因する経時的な紫外線出力の低下を小さく抑制することができる。なお、ゲッター室S2は、放電空間S1のいずれか一方の端部のみに設けられた構成とされていてもよい。
【0025】
ゲッター部材31としては、多孔質あるいは粉体状の金属の酸化物、窒化物あるいは炭化物の中から選ばれた少なくとも1種のものを用いることができる。また、放電用ガスとしてハロゲンガスを使用しない場合は、ゲッター部材31としてチタンやタンタル、アルミニウムとジルコニウムの合金、バリウム等を用いることができる。
【0026】
また、放電空間S1の内部には、外側管22と内側管23とが気密に接合された接合部Tに向かう紫外線を遮光する紫外線遮光部材30が設けられている。
紫外線遮光部材30は、例えばアルミニウム等の金属からなる金属膜により構成されており、外側管22と内側管23との接合部Tを含む例えばゲッター室S2を区画する壁の内面に設けられている。このような構成とされていることにより、後述するように、エキシマランプ20が冷却された状態で動作されたとしても、機械的強度が幾分劣る外側管22と内側管23との接合部Tにおいて、紫外線による歪みに起因してエキシマランプ20が破損することを確実に抑制することができる。
【0027】
なお、紫外線遮光部材30は、外側管22と内側管23とを封着することにより放電空間S1を形成した後に、形成されることが好ましく、例えば、外側管22と内側管23とを封着した後に、放電空間S1の内部に配置した紫外線遮光部材材料(例えは、アルミニウム)を高周波加熱等で加熱することにより形成することができる。この理由は、予め、紫外線遮光部材(金属膜)30が所定位置に形成された外側管22および内側管23を封着した場合には、接合部Tにおける紫外線遮光部材材料が外側管22および内側管23を構成する誘電体材料(石英ガラス)の内部に入り込み、紫外線遮光部材30の紫外線遮光機能が劣化すると共に誘電体材料が変質してしまうためである。
【0028】
このエキシマランプ20における内側管23の他端を閉塞する他端壁には、流体流通管40が内側管23の他端壁を気密に貫通してランプ中心軸Lcに沿って延びるよう設けられている。流体流通管40の一端(
図1において右端)は、内側管23の一端を閉塞する一端壁の近傍に位置されている。
【0029】
このエキシマランプ20は、放電容器21における内側管23の両端部が一対のランプホルダー部材16,17によって保持されている。具体的には、一方の外套管ホルダー部材11には、各々径方向内方に延びる一対の柱状の保持部材16a,16bよりなる一方のランプホルダー部材16が設けられている。一対の保持部材16a,16bは、一方の外套管ホルダー部材11の開口端部の内周面における互いに対向する位置に設けられている。また、他方の外套管ホルダー部材14には、その端壁を貫通して軸方向外方に突出して延びる円筒状の他方のランプホルダー部材17が固定されて設けられている。そして、エキシマランプ20は、ランプ中心軸Lcが例えば外套管35の管軸上に位置される姿勢で、内側管23の一端部(
図1において右端部)の外周面が一方のランプホルダー部材16を構成する各々の保持部材16a,16bによって挟持されて保持されていると共に、内側管23の他端部(
図1において左端部)が他方のランプホルダー部材17の内部に挿入されて保持されている。
他方のランプホルダー部材17における周壁には、他方のランプホルダー部材17の内部空間に連通する流体流通管18が外部筐体10の外部に突出して径方向外方に延びるよう設けられている。
【0030】
上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20の外側管22の外周面と外套管35の内周面との間に形成された第1の空間が、エキシマランプ20からの紫外線が照射されることによりオゾンが生成されるオゾン生成用原料ガスGが流通されるオゾン生成空間R1とされており、エキシマランプ20の内側管23の内部に形成された第2の空間が冷却媒体流通空間R2とされている。従って、一方の外套管ホルダー部材11に設けられた流体流通管12,13の各々が、オゾン生成用原料ガスを流入させるための原料ガス流入管として機能し、他方の外套管ホルダー部材14に設けられた流体流通管15が、生成されたオゾンを含むガスを流出させるためのガス流出管として機能する。また、エキシマランプ20における内側管23の内部に配置された流体流通管40が、エキシマランプ20を冷却する冷却媒体を流入させるための冷却媒体流入管として機能し、他方のランプホルダー部材17に設けられた流体流通管18が、冷却媒体を流出させるための冷却媒体流出管として機能する。
【0031】
オゾン発生用原料ガスとしては、例えば乾燥空気(以下、単に「空気」ともいう。)を用いることができる。
冷却媒体としては、例えば水、純水、フロン系冷媒、ハイドロカーボン冷媒等の絶縁性冷媒、空気(エア)などを用いることができる。
【0032】
而して、この紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20における外側電極25および内側電極26は、例えば表面が絶縁性材料により被覆された配線部材(
図1において二点鎖線で示す。)を介して電源装置(図示せず)に接続されている。オゾン生成空間R1内に位置される外側電極25は、電源装置における高圧側端子HVに接続されて高電圧給電電極として機能し、冷却媒体流通空間R2内に位置される内側電極26は接地されて接地電極として機能する。
【0033】
上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、外套管35の内周面における少なくとも一部に、エキシマランプ20から放出される紫外線を反射する
外套管反射部材(以下、「第1の反射部材」という。)36が設けられた構成とされていることが好ましい。この例においては、第1の反射部材36は、外套管35の内周面における、エキシマランプ20からの紫外線が照射される領域に設けられている。
【0034】
第1の反射部材36は、例えば、シリカ粒子(SiO
2 )、アルミナ粒子(Al
2 O
3 )などの紫外線散乱粒子単体またはこれらが混合された混合体からなる拡散ミラーにより構成されている。シリカ粒子の平均粒子径は、例えば0.3μmであり、アルミナ粒子の平均粒子径は、例えば3μmである。
【0035】
さらに、エキシマランプ20における内側管23の外周面における少なくとも一部に、エキシマランプ20から放出される紫外線を反射する
内側管反射部材(以下、「第2の反射部材」という。)38が設けられていることが好ましい。この例においては、第2の反射部材38は、内側管23の放電空間S1を画成する壁の外周面の全体に設けられている。第2の反射部材38は、第1の反射部材36を構成するものと同様の拡散ミラーにより構成されている。
【0036】
また、上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、外套管35の内周面には、オゾン生成用原料ガスGを撹拌しながら流通させる撹拌部材45が設けられている。具体的には、撹拌部材45は、螺旋状のコイル部材により構成されており、軸方向におけるコイル部材の隣接する素線間の位置に外側電極25を構成する金属素線が位置されるよう、外套管35の内周面に密接して設けられている。これにより、オゾン生成空間R1において屈曲したオゾン生成用原料ガスGの流通路が形成されている。
エキシマランプ20からの紫外線は、オゾン生成空間R1を流通されるオゾン生成用原料ガスGに吸収されるため、紫外線の強度は、径方向外方(外套管35側)に向かって進行するにつれて減衰する。すなわち、オゾン生成用原料ガスGに照射される紫外線強度は、径方向に分布(バラツキ)が生じるため、外套管35の内周面近傍位置を流通されるオゾン生成用原料ガスGはオゾン生成にほとんど寄与しない。然るに、撹拌部材45がオゾン生成空間R1内に設けられていることにより、オゾン生成用原料ガスGが屈曲した流通路に沿って流通されてオゾン生成空間R1内で撹拌されることとなるので、オゾン生成用原料ガスGを効率よくオゾン生成に寄与させることができる。
【0037】
撹拌部材45を構成する材料としては、オゾン生成空間R1で生成されるオゾンと反応しにくく、紫外線が照射されても分解されない材料、例えばステンレス鋼やチタンなどにより構成されている。
【0038】
而して、上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20における外側電極25および内側電極26の両電極間に高周波(例えばkHzオーダー)高電圧が印加されると、放電空間S1内においていわゆる誘電体バリア放電が生じ、この誘電体バリア放電によって生成されるエキシマ分子から紫外線(
図3において白抜きの矢印で示す。)が放出される。
一方、一方の外套管ホルダー部材11に設けられた流体流通管(原料ガス流入管)12,13からオゾン生成空間R1に流入されたオゾン生成用原料ガスGが、オゾン生成空間R1内を屈曲した流通路に沿って流通されると共に、内側管23の内部に配置された流体流通管(冷却媒体流入管)40から冷却媒体流通空間R2に流入された冷却媒体である例えば冷却水(
図1および
図3において、便宜上、斜線を付した矢印で示す。)Wが内側管23の内周面および流体流通管40の外周面に沿って流通されてエキシマランプ20が冷却される。例えば、放電用ガスとしてキセノンガスが封入され、放電空間S1の軸方向の長さが170mmであるエキシマランプ20を、周波数が80kHz、電圧が4kVp-pの高周波交流電圧を印加して点灯させた場合に、冷却水により冷却しない場合であれば、200〜300℃となる外側管22の温度を、冷却水Wを流通させてエキシマランプ20を冷却することにより100℃程度の比較的低温に維持することができる。
【0039】
エキシマ分子の発光により得られる紫外線は、外側管22を介して直接的に、あるいは、内側管23に設けられた第2の反射部材38によってオゾン生成空間R1に向かって反射されて、オゾン生成空間R1内を流通されるオゾン生成用原料ガスGに照射される。また、オゾン生成に寄与しなかった紫外線は外套管35に設けられた第1の反射部材36によって反射されて、再度、オゾン生成用原料ガスGに照射される。これにより、オゾン生成用原料ガスGである乾燥空気中の酸素が反応してオゾンが生成され、オゾンを含むガス(
図1および
図3において、便宜上、塗りつぶした矢印で示す。)が、他方の外套管ホルダー部材14に設けられた流体流通管(ガス流出管)15より装置外部に取り出される。
【0040】
而して、上記構成の紫外線照射式オゾン生成装置によれば、基本的には、冷却媒体としての冷却水Wが内側管23の内部に形成された冷却媒体流通空間R2内を流通されてエキシマランプ20が冷却されることにより、例えばkHzオーダーの周波数の高周波交流電圧を印加することができてエキシマランプ20の発光効率を上昇させることができると共にオゾン生成空間R1で生成されたオゾンの熱分解が生ずることを抑制することができるので、オゾンを高い効率で生成することができる。しかも、冷却媒体流通空間R2内に位置される内側電極26が接地されていることにより、冷却媒体としての冷却水Wを介して接地側の不所望な場所に漏電することが防止される。
【0041】
また、外套管35の内周面に設けられた第1の反射部材36および内側管23の外周面に設けられた第2の反射部材38によって反射される紫外線をオゾンの生成に寄与させることができるので、紫外線の利用効率を向上させることができてオゾンの生成効率を一層向上させることができる。さらに、紫外線が低温状態の内側管23に照射されることが第2の反射部材38によって防止されるので、紫外線照射による歪みに起因したダメージを内側管23が受けることを抑制することができる。
【0042】
さらにまた、外套管35が石英管等の絶縁性材料で構成されていると共に、外部電極25に対する配線部材が絶縁性材料により表面が被覆されたものであることにより、感電等の事故が生ずることを回避することができる。
【0043】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置の一構成例を概略的に示す、ランプ中心軸に沿った断面図である。
図5は、
図4におけるA−A線断面図である。
図6は、
図5に示す紫外線照射式オゾン生成装置の一部を示す部分拡大図である。
この紫外線照射式オゾン生成装置は、上記第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置において、エキシマランプ20の外側管22の外周面と外套管35の内周面との間に形成された第1の空間が冷却媒体流通空間R2とされていると共に、エキシマランプ20の内側管23の内部に形成された第2の空間がオゾン生成空間R1とされている構成とされた他は、基本的な構成は、第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置と同一である。
図4乃至
図6において、
図1乃至
図3に示す紫外線照射式オゾン生成装置と同一の構成部材には、同一の符号が付してあり、その説明を省略する。
【0044】
この紫外線照射式オゾン生成装置においては、一方の外套管ホルダー部材11に設けられた流体流通管12,13の各々が、エキシマランプ20を冷却する冷却媒体である例えば冷却水Wを流入させるための冷却媒体流入管として機能し、他方の外套管ホルダー部材14に設けられた流体流通管15が、冷却媒体を流出させるための冷却媒体流出管として機能する。また、エキシマランプ20における内側管23の内部に配置された流体流通管40が、オゾン生成用原料ガスGを流入させるための原料ガス流入管として機能し、他方のランプホルダー部材17に設けられた流体流通管18が、生成されたオゾンを含むガスを流出させるためのガス流出管として機能する。
【0045】
この例におけるエキシマランプ20においては、エキシマランプ20の内側管23の内部に形成された第2の空間がオゾン生成空間R1とされていることから、外側電極25は、必ずしもエキシマランプ20から放出される紫外線を透過する光透過性を有するものとして形成されたものや、隙間を有するパターンに従って形成されたものである必要はなく、不透光性の帯状電極であってもよい。
また、外套管35を構成する材料としては、例えばステンレス鋼などの導電性材料で構成されていてもよい。
【0046】
而して、この紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20における外側電極25および内側電極26は、例えば表面が絶縁性材料により被覆された配線部材(
図1において二点鎖線で示す。)を介して電源装置(図示せず)に接続されている。オゾン生成空間R1内に位置される内側電極26は、電源装置における高圧側端子HVに接続されて高電圧給電電極として機能し、冷却媒体流通空間R2内に位置される外側電極25は接地されて接地電極として機能する。
【0047】
また、上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20における外側管22の内周面における少なくとも一部に、エキシマランプ20から放出される紫外線を反射する反射部材50が設けられている。この例においては、反射部材50は、外側管22の内周面におけるエキシマランプ20からの紫外線が照射される領域の全体に設けられている。
この反射部材50は、第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置における第1の反射部材36および第2の反射部材38を構成するものと同様の拡散ミラーにより構成されている。
【0048】
さらにまた、上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20における内側管23の内部に配置された流体流通管(原料ガス流入管)40の外周面には、オゾン生成用原料ガスGを撹拌しながら流通させる撹拌部材45が設けられている。具体的には、撹拌部材45は、螺旋状のコイル部材により構成されており、軸方向におけるコイル部材の隣接する素線間の位置に内側電極26を構成する金属素線が位置されるよう、流体流通管40の外周面に密接して設けられている。これにより、オゾン生成空間R1において屈曲したオゾン生成用原料ガスGの流通路が形成されている。
【0049】
而して、上記の紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプ20における外側電極25および内側電極26の両電極間に高周波(例えばkHzオーダー)高電圧が印加されると、放電空間S1内においていわゆる誘電体バリア放電が生じ、この誘電体バリア放電によって生成されるエキシマ分子から紫外線(
図6において白抜きの矢印で示す。)が放出される。
一方、内側管23の内部に配置された流体流通管(原料ガス流入管)40から流入されたオゾン生成用原料ガスGがオゾン生成空間R1内を屈曲した流通路に沿って流通されると共に、一方の外套管ホルダー部材11に設けられた流体流通管(冷却媒体流入管)12,13から冷却媒体流通空間R2に流入された冷却水(
図4および
図6において、便宜上、斜線を付した矢印で示す。)Wが、外套管35の内周面および外側管22の外周面に沿って流通されてエキシマランプ20が冷却される。
【0050】
エキシマ分子の発光により得られる紫外線は、内側管23を介して直接的に、あるいは、外側管22に設けられた反射部材50によってオゾン生成空間R1に向かって反射されて、オゾン生成空間R1内を流通されるオゾン生成用原料ガスGに照射される。これにより、オゾン生成用原料ガスGである乾燥空気中の酸素が反応してオゾンが生成され、オゾンを含むガス(
図4および
図6において、便宜上、塗りつぶした矢印で示す。)が、他方のランプホルダー部材17に設けられた流体流通管(ガス流出管)18より装置外部に取り出される。
【0051】
而して、上記構成の紫外線照射式オゾン生成装置によれば、基本的には、第1の実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置と同様の効果が得られる。すなわち、冷却媒体としての冷却水Wが外側管22の外周面と外套管35の内周面との間に形成された冷却媒体流通空間R2内を流通されてエキシマランプ20が冷却されることにより、例えばkHzオーダーの周波数の高周波交流電圧を印加することができてエキシマランプ20の発光効率を上昇させることができると共にオゾン生成空間R1で生成されたオゾンの熱分解が生ずることを抑制することができるので、オゾンを高い効率で生成することができる。しかも、冷却媒体流通空間R2内に位置される外側電極25が接地されていることにより、冷却媒体としての冷却水Wを介して接地側の不所望な場所に漏電することを防止することができる。
【0052】
また、外側管22の内周面に設けられた反射部材50によって反射される紫外線をオゾンの生成に寄与させることができるので、紫外線の利用効率を向上させることができてオゾンの生成効率を一層向上させることができる。さらに、紫外線が低温状態の外側管22に照射されることが反射部材50によって防止されるので、紫外線照射による歪みに起因したダメージを外側管22が受けることを抑制することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【0054】
例えば、第1の実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置においては、
図7に示すように、外套管35を冷却する冷却手段55を具えた構成とすることができる。
冷却手段55は、例えば、外套管35をその外周面側から冷却風Fにより冷却する冷却ファンにより構成されている。外套管35を冷却する方法としては、円筒状の冷却管を、エキシマランプ20の外周面の周囲を覆うよう外套管35の内部に配置し、あるいは、外套管35の外周面の周囲を覆うよう配置し、当該冷却管に冷却媒体(例えば冷却水)を流通させることによりオゾン生成空間R1を冷却するようにしてもよい。
このような構成とされていることにより、オゾン生成空間R1内で生成されたオゾンの熱分解が生ずることを確実に抑制することができ、オゾンを一層高い効率で生成することができる。
【0055】
また、第1の実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置においては、第1の反射部材は、外套管35の外周面に設けられた構成とされていてもよい。このような構成のものにおいては、第1の反射部材は、例えば光輝アルミニウムよりなる反射ミラーにより構成することもできる。
【0056】
さらにまた、本発明の紫外線照射式オゾン生成装置においては、エキシマランプにおける紫外線遮光部材は、金属膜により構成されたものに限定されず、例えば
図8に示すように、板状の紫外線遮光部材により構成されていてもよい。この例においては、内側管23における突出部24の軸方向内方側の位置に、例えばアルミナよりなる円環板状の紫外線遮光部材30aが設けられている。
また、紫外線遮光部材が金属膜により構成されている場合において、当該金属膜を放電空間S1内で発生した不純ガスを吸着する金属材料によって形成することにより、ゲッターとしても機能するように構成されていてもよい。このような構成の紫外線遮光部材は、外側管22と内側管23とを封着することにより放電空間S1を形成した後に、ゲッター室S2に配置した例えばバリウムなどの蒸発型ゲッター部材を高周波加熱等によって加熱することにより、バリウムを外側管22と内側管23との接合部Tを含む壁の内面領域に蒸着して形成することができる。
【0057】
<実験例1>
図1乃至
図3に示す構成を参照して、本発明に係る紫外線照射式オゾン生成装置を作製した。この紫外線照射式オゾン生成装置は、第1の反射部材(36)としてシリカ粒子とアルミナ粒子との混合体からなる拡散ミラーを用いた。また、この紫外線照射式オゾン生成装置は、第2の反射部材(38)および撹拌部材(45)を有さないものである。エキシマランプ(20)としては、外側管(22)の外径がφ27mm、外套管(35)の内径がφ36mm、放電空間(S1)の軸方向の長さが170mmであるキセノンエキシマランプを用いた。
この紫外線照射式オゾン生成装置を用いて、
図9に示すオゾン濃度測定系を構成し、80kHz、4kVp-pの高周波高電圧を外側電極(25)および内側電極(26)の両電極間に印加してエキシマランプ(20)を点灯させると共に、冷却水(W)をエキシマランプ(20)の冷却媒体流通空間(R2)に3リットル/minの流量で供給した。オゾン生成用原料ガスの供給量を下記表1に従って変更して、紫外線照射式オゾン生成装置により生成されるオゾンの濃度を測定した。結果を下記表1に示す。
図9において、60は紫外線照射式オゾン生成装置、61は電源装置、62は、オゾン生成用原料ガスである5atmの圧縮空気(乾燥空気)の供給圧力(供給量)を調整するレギュレータ、63は、オゾン生成空間に流入される原料ガスの流量を測定する流量計、64は、紫外線照射式オゾン生成装置(60)より排出されるガス中のオゾン濃度を測定するオゾンモニターである。
【0058】
<実験例2>
実験例1において作製した紫外線照射式オゾン生成装置において、外套管(35)の内周面に拡散ミラーを設けることに代えて、外套管(35)の外周面に光輝アルミニウムミラーよりなる第1の反射部材を設けたことの他は、実験例1において作製したものと同一の構成を有する紫外線照射式オゾン生成装置を作製した。この紫外線照射式オゾン生成装置について、実験例1と同様の方法により、生成されるオゾンの濃度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0059】
<実験例3>
実験例1において作製した紫外線照射式オゾン生成装置において、外套管(35)を冷却する冷却ファンを設けたことの他は、実験例1において作製したものと同一の構成を有する紫外線照射式オゾン生成装置(
図7参照。)を作製した。この紫外線照射式オゾン生成装置について、実験例1と同様の方法により、生成されるオゾンの濃度を測定した。結果を下記表1に示す。ここに、冷却ファンにより供給する冷却風の風量は2.4m
3 /minとした。
【0061】
以上の結果から明らかなように、冷却ファンにより外套管を冷却することによりオゾンの生成効率を向上させることができることが理解される。この理由は、オゾン生成空間が冷却されることによりオゾンの熱分解が抑制されたためであると考えられる。また、第1の反射部材としては、拡散ミラーを用いる方が反射ミラーを用いるよりもオゾンの生成効率を向上させることができることが理解される。この理由は、オゾン生成空間での紫外線利用効率が高くなるためであると考えられる。