(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機が実際に遊技店にて使用される場合、遊技機の電源が切られている状況がある。例えば、設置店舗の閉店時あるいは遊技機の故障時などに、遊技機の電源がオフになる。遊技機の電源がオフになると、モータもオフにされるため、励磁によるスプロケットの保持力が無くなり、球整列通路及び縦型球通路に連なった球の圧力及び振動等の外力によってスプロケットが回転して球を放出するという誤動作が生じる。
【0007】
この問題に対し、特許文献1の球払出装置のように、略鉛直方向に連なる遊技球の先頭がスプロケットの軸上方に位置するように遊技球通路が形成されている構成であれば、スプロケットの軸上方に位置する遊技球の圧力方向と球送出方向(スプロケットの回転軌跡の接線の方向)とが異なるため、上述のような誤動作を抑制できる。
【0008】
これに対し、近年、遊技機の演出方法の多様化等の理由により、球払出速度の高速化が望まれている。このために下流の計数センサと、遊技球通路の先頭の遊技球とをできるだけ近づけ、スプロケットが駆動を開始して払出した遊技球をすみやかに計数することが望ましい。しかし、特許文献1のような形状の遊技球通路では、構造上、スプロケットの下流側の計数センサを遊技球通路の先頭の遊技球に近づけることができない。それゆえ、特許文献1の技術の他に、上述のような誤動作を抑制する技術が要求されている。
【0009】
あるいは、モータのディテントトルクが充分に大きければ、上述のような誤動作は抑制される。しかし、近年、遊技機における遊技領域の拡大に伴い、球払出装置の一層の小型化が望まれていることから、モータも小型にする必要があり、充分なディテントトルクを確保するのがますます困難となっている。それゆえ、モータのディテントトルクに依存せずに、上述のような誤動作を抑制する技術が要求される。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、遊技機に設けられる遊技球送出装置において、遊技球通路に連なる遊技球の圧力や振動等の外力によって遊技球を送り出してしまうという誤動作の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の遊技球送出装置は、回転することによって遊技球を送り出す回転部材と、駆動源から発生する駆動力を前記回転部材に伝達して前記回転部材を間欠回転させるゼネバ機構と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記ゼネバ機構においては、待機状態になっている場合(原動車および従動車がホームポジションに位置する場合)、ロック円板等の部材が従動車の回転を抑止する構成になっているため、前記従動車は回転できず、前記ゼネバ機構から駆動力が伝達されるようになっている前記回転部材も回転できない。それゆえ、前記ゼネバ機構が待機状態であるとき、前記回転部材に外力が加えられても前記回転部材は回転しない。
【0013】
よって、本発明によれば、遊技球送出装置が電源オフ等により待機状態になっている場合(つまり前記ゼネバ機構も待機状態になっている)、遊技球通路に連なる遊技球の圧力や振動等の外力によって前記回転部材が回転して遊技球を送り出してしまうという誤動作の発生を抑制できる。
【0014】
本発明の遊技球送出装置は、前記構成に加えて、ストッパ部と、前記駆動力によって回転するカム部と、を備え、前記ストッパ部は、前記ゼネバ機構の従動車に当接することによって前記従動車の回転を抑止する抑止状態となる抑止位置と、前記抑止位置から退出して前記抑止状態が解除される解除状態となる解除位置との間を前記カム部によって往復移動し、前記ゼネバ機構が待機状態の場合は前記抑止位置に配され、少なくとも前記従動車が回転している場合は前記解除位置に配されるように前記往復移動することを特徴とする。
【0015】
これによって、遊技球送出装置が待機状態になっている場合(つまりゼネバ機構も待機状態になっている)、ストッパ部によって従動車の回転が抑止されているため、前述した誤動作をより一層抑制できるようになっている。
【0016】
また、本発明の遊技球送出装置は、前記構成に加えて、フォトセンサと、シャッタ部と、前記駆動力によって回転するカム部と、を備え、前記シャッタ部は、前記フォトセンサを遮光する遮光状態となる遮光位置と、前記遮光位置から退出して前記遮光状態が解除される非遮光状態となる非遮光位置との間を前記カム部によって往復移動するようになっており、前記ゼネバ機構が待機状態の場合は前記遮光位置および非遮光位置のうちの一方に配され、少なくとも前記従動車が回転している場合は前記遮光位置および非遮光位置のうちの他方に配されるように前記往復移動することを特徴とする。
【0017】
これによって、遊技球送出装置(ゼネバ機構)が待機状態であるか否かを高精度に検出できる。
【0018】
なお、本発明の遊技球送出装置は遊技機に取り付けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、遊技球通路に連なる遊技球の圧力や振動等の外力によって前記回転部材が回転して遊技球を送り出してしまうという誤動作の発生を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の遊技球送出装置の一実施形態である球払出装置、および、この球払出装置を取り付けた遊技機について、図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の遊技機の背面側を示した斜視図である。
図2は、
図1に示す遊技機の上面を示した図である。
図3は、
図1に示す遊技機の背面を示した図である。
図4は、
図1に示す遊技機の正面を模式的に示した図である。
【0022】
図4に示すように、遊技機100は、遊技領域101、ハンドル102、上皿103、下皿104などを備えている。遊技領域101は、ハンドル102によって打ち出された遊技球(遊技媒体)が移動する領域である。ハンドル102は、遊技球の発射操作を行うための装置であり、利用者がハンドル102を捻った状態で保持すると、遊技球が連続発射されて遊技領域101に打ち出される。
【0023】
上皿103は、遊技において獲得した遊技球、または、玉貸し操作にて貸し出された遊技球が貯留され、下皿104は、上皿103から溢れた遊技球が貯留される。つまり、遊技領域101に設けられた入賞口(不図示)に遊技球が入賞すると、入賞口に応じて設定されている数の遊技球が上皿103または下皿104に払い出される。
【0024】
つぎに、遊技機100の背面側について説明する。
図1〜
図3に示すように、遊技機100の背面には、貯留タンク105、球整列通路106、縦型球通路107、球払出装置108、基板部109が設置されている。
【0025】
貯留タンク105は、遊技機100の上部側に設けられており、遊技島の補給シュート(不図示)から遊技機100に供給される遊技球を一時的に貯留する収容部である。球整列通路106は、遊技球を整列させて流す通路であり、上流側が貯留タンク105に接続され、下流側が縦型球通路107に接続されている。縦型球通路107は、遊技球を上方から下方に(重力方向に向けて)落下させる通路であり、上流側が球整列通路106に接続され、下流側が球払出装置108に接続されている。つまり、遊技島の補給シュートから遊技機100に供給された遊技球は、貯留タンク105、球整列通路106、縦型球通路107を順に経由して、球払出装置108へ供給される。
【0026】
球払出装置108は、払出制御部(不図示)から払出信号(所定数の遊技球を払い出す事を命令する信号)を受信すると、所定数の遊技球を受皿(上皿103または下皿104)へ放出する(払い出す)装置である。なお、球払出装置108の構成については後で詳しく説明する。
【0027】
基板部109は、縦型球通路107の隣、且つ、遊技領域101の盤面の裏側に配置されている。基板部109は、演出用画像を表示する大型表示装置や、遊技機100を制御する主制御部等を備えている。なお、前記の払出制御部は、この主制御部の内部に構成される。
【0028】
つぎに、球払出装置108を詳細に説明する。
図5は、球払出装置108の内部を遊技機100の背面側から示した図である。
図6は、球払出装置108を示した断面図であり、
図5のAA’線の断面を示す断面図である。
図7は、球払出装置108の断面図であり、
図6のBB’線の断面を示す断面図である。
図8は、球払出装置108を示した斜視図である。
【0029】
これら図面に示されるように、球払出装置108は、筐体10、シャフト11、ステッピングモータ12、球抜ガイド13、スプロケット14、計数センサ15、ゼネバ機構16、フォトセンサ17、レバー18を備えている。
【0030】
筐体10は、
図7に示すように、縦型球通路107から供給されてくる遊技球をスプロケット14へ誘導する誘導経路10aが形成されている。シャフト11は、筐体10に固定されており、スプロケット14の回転軸として機能する。ステッピングモータ12は、払出制御部(不図示)から送られてくる払出信号に基づいてパルス波により回転する駆動源である。
【0031】
球抜ガイド13は、
図7に示されるように、通常時において誘導経路10aの壁部として機能し、誘導経路10aの遊技球をスプロケット14へガイド(誘導)する。また、球抜ガイド13を遊技機100の背面側に向けて引き出すことにより、誘導経路10aの遊技球をスプロケット14に誘導せずに球抜経路(不図示)へと誘導し、誘導経路10aに溜まっている遊技球を、球抜経路を介して遊技機100の外部へ排出させることができる。
【0032】
スプロケット14は、
図7に示されるように、外周に沿って5箇所の凹部14aが形成されている回転部材であり、シャフト11に軸支されている。スプロケット14は、シャフト11を回転軸として回転することにより、凹部14aに嵌まり込む遊技球を誘導経路10aの排出口10bに送り出すようになっている。より詳細には、スプロケット14は、ステッピングモータ12が回転駆動すると、ゼネバ機構16を介してステッピングモータ12のトルクが伝達されることによって間欠回転するようになっている。
【0033】
計数センサ15は、スプロケット14によって排出口Aに送られる遊技球を計数するセンサであり、検出結果を払出制御部(不図示)へ伝達する。
【0034】
以上の構成によれば、払出制御部(不図示)が発生する払出信号(払出指令)に応じて、ステッピングモータ12が払出球数に応じた回転数だけスプロケット14が回転するように駆動し、これにより払出球数の遊技球が誘導経路10aの排出口10bから排出され、受皿(上皿103または下皿104)に供給される。また、排出口10bへ送り出される遊技球が計数センサ15で計数されることによって払出個数が払出制御部にて管理制御される。
【0035】
ゼネバ機構16は、ステッピングモータ12が発生する駆動力をスプロケット14に伝達してスプロケット14を回転させる動力伝達機構である。なお、ゼネバ機構16は、入力した連続回転運動を間欠回転運動(断続回転)に変換して伝達(出力)する機構である。
【0036】
ゼネバ機構16は、
図5および6に示されるように、原動車16aおよび従動車16bを備えている。
【0037】
原動車16aは、ステッピングモータ12のシャフトに固定されており、当該シャフトを回転軸として、
図5のX方向(
図5において時計回りの方向)に回転するようになっている。つまり、原動車16aは、ステッピングモータ12の駆動力(トルク)に応じて回転する駆動車である。
【0038】
原動車16aは、
図5および
図6に示されるように、回転軸の軸方向に沿って並ぶように一体的に形成される、外輪部16a1と、外輪部16a1より径の短い内輪部16a2とからなる。外輪部16a1は、その外周に近接する位置において、前記軸方向に突起しているピン40が形成されている。内輪部16a2は、従動車16bをロックするためのロック円板として機能するものである。
【0039】
従動車16bは、
図5に示されるように、シャフト11に軸支されており、シャフト11を回転軸として回転するようになっている。また、従動車16bとスプロケット14とは一体形成されている。つまり、従動車16bを回転させることでスプロケット14も回転し、スプロケット14を回転させることで従動車16bが回転するようになっている。従動車16bは、回転軸と直交する方向に延びる5本のスロット(溝)41が形成されており、且つ、互いに隣接する各々のスロット41の間に円弧面43が形成されている。
【0040】
以上の構成において、ステッピングモータ12が駆動すれば、原動車16aが
図5のX方向(
図5において時計周りの方向)に回転し、ピン40がスロット41に挿入され、ピン40が従動車16bを押圧し、従動車16bが
図5のY方向(
図5において反時計回りの方向)に間欠回転する。シャフト11に軸支されている従動車16bが間欠回転すると、従動車16bと一体的に形成されているスプロケット14もY方向と同方向に回転する。そして、ピン40がスロット41から外れると、原動車16aの回転/非回転に関係なく従動車16bは停止する。つまり、原動車16aは連続回転するのに対し、従動車16bおよびスプロケット14は間欠回転する。このようにして、ステッピングモータ12が発生する駆動力がスプロケット14に伝達されてスプロケット14が回転するのである。
【0041】
また、
図5のように、ピン40がスロット41から外れている間、原動車16aの回転/非回転に関係なく、原動車16aの内輪部16a2の周面が従動車16bの円弧面43に嵌まることにより、従動車16bの回転が抑止されている。なお、ピン40がスロット41に挿入されて従動車16bが回転している間、内輪部16a2の周面を従動車16bの円弧面43から外すために、内輪部16a2の外周には切欠45(
図5)が形成されている。
【0042】
フォトセンサ17は、互いに対向する発光部および受光部と、発光部と受光部とに挟まれている溝部とを有する溝型の光電センサである。フォトセンサ17の溝部が発光部と受光部との間の光路になっている。フォトセンサ17は、発光部と受光部との間が遮光されると、待機状態である事を示す待機信号(例えばハイ信号)を出力し、発光部から受光部に光が伝達されると、払出処理中であることを示す払出処理信号(例えばロー信号)を出力するようになっている。
【0043】
レバー18は、回転可能なようにシャフト19に軸支されている。また、レバー18は、バネ30によって、
図5のX方向と同方向への回転力が付勢されている。
【0044】
レバー18は、
図5および
図8に示すように、外輪部16a1の外周面に当接する当接部18aと、レバー18の一端側に位置するストッパ部18bと、レバーの他端側に位置するシャッタ部18cとを有している。
【0045】
ここで、
図5および
図8に示すように、外輪部16a1の外周はカムになっており、外輪部16a1に当接しているレバー18は、外輪部16a1の回転およびバネ30の負勢力によって、往復移動を行うようになっている。
【0046】
具体的には、当接部18aが外輪部16a1の長径領域161a(
図8参照)に当接している間、レバー18は、バネ30の負勢力に抗して
図9の(A)(E)に示す位置にて静止している。このとき、ストッパ部18bは、従動車16bの円弧面43に当接し、シャッタ部18cは、フォトセンサ17の溝部に挿入され、発光部と受光部との間を遮光している。
【0047】
これに対し、外輪部16a1が回転することにより、当接部18aの当接箇所が外輪部16a1の長径領域161aから短径領域162a(
図8参照)に代わると、レバー18は、バネ30の負勢力によってX方向へ回転し、
図9の(B)(C)(D)に示す位置にて静止する。レバー18が
図9の(B)(C)(D)に示す位置にて静止している間、ストッパ部18bは、従動車16bの円弧面43から離れた位置に配され、シャッタ部18cは、フォトセンサ17の溝部から抜け出した位置に配され、フォトセンサ17の受光部に発光部の光が伝達される。
【0048】
ここで、
図9の(A)は、球払出装置108の各部材がホームポジションに配されている待機状態を示した図であり、
図9の(B)は、球払出装置108が待機状態を解除して原動車16aが回転している状態(従動車16bは非回転)を示した図であり、
図9の(C)(D)は、球払出装置108が遊技球の払出処理(送出処理)をおこなっている払出処理状態(従動車16bおよびスプロケット14が回転している状態)を示す図であり、
図9の(E)は、払出処理を終えて原動車16aを駆動させている状態(従動車16bは非回転)を示す図である。
【0049】
すなわち、レバー18の一端側のストッパ部18bは、従動車16bに当接することによって従動車16bの回転を抑止する抑止状態となる抑止位置(
図9の(A)(E))と、前記抑止位置から退出して前記抑止状態が解除される解除状態となる解除位置(
図9の(B)〜(D))との間を往復移動することになる。そして、ストッパ部18bは、球払出装置108が待機状態の場合(ゼネバ機構16も待機状態である)、前記抑止位置に配され(
図9の(A))、少なくとも従動車16bが回転している場合は前記解除位置に配されるようになっている(
図9の(C)(D))。
【0050】
また、レバー18の他端側のシャッタ部18cは、フォトセンサ17を遮光する遮光状態となる遮光位置と、前記遮光位置から退出して前記遮光状態が解除される非遮光状態となる非遮光位置との間を往復移動することになる。そして、シャッタ部18cは、球払出装置108が待機状態の場合(ゼネバ機構16も待機状態である)、遮光位置に配されており(
図9の(A))、フォトセンサ17は、待機信号(例えばハイ信号)を出力する。これに対し、シャッタ部18cは、従動車16bが回転している場合、前記非遮光位置に配され(
図9の(C)(D))、フォトセンサ17は、払出処理信号(例えばロー信号)を出力する。
【0051】
[払出処理の動作]
以下では、1球の遊技球が払い出されるまでの動作手順を説明する。
図9の(A)〜(E)は、1球の遊技球を払い出す動作を示した図である。つまり、
図9の(A)は、球払出装置108の各部材がホームポジションに配されている待機状態を示した図であり、球払出装置108は、
図9において(A)(B)(C)(D)(E)の順に動作状態が変化し、この一連の動作によって遊技球が1個払出される。ちなみに、
図9の(E)の状態の次は
図9の(A)の状態に戻り、一連の動作が繰り返され、2球目の遊技球が払い出されるようになっている。
【0052】
パルス数駆動により、ステッピングモータ12が1回転することにより、1球の遊技球が払い出され、計数センサ15が1球を計数することで、1球の払出動作が完了し、次球の払出動作に移行する。
【0053】
つぎに、
図9の(A)〜(E)の各々の状態の動作について説明する。
図9の(A)は、前述通り、球払出装置108の各部材がホームポジションに配されている待機状態を示した図である。
【0054】
図9の(A)の状態において、遊技球は、スプロケット14の凹部14aに嵌め込まれている。また、
図9の(A)では、ゼネバ機構16おいて、原動車16aの内輪部16a2(ロック円板)が従動車16bの円弧面(窪み)43に嵌っている。このため、従動車16bの回転は抑止されている。さらに、
図9の(A)では、レバー18の一端側のストッパ部18bは、従動車16bの円弧面(窪み)43に当接することにより、従動車16bがY方向に回転することを抑制している(なお、ゼネバ機構16における内輪部16a2(ロック円板)と従動車16bの円弧面43との構成自体でも従動車16bの回転を抑制できるが、ストッパ部18bが補助的な役割を担っている。)。また、
図9の(A)では、レバー18の他端側のシャッタ部18cは、フォトセンサ17の溝部に挿入されてフォトセンサ17を遮光する。
【0055】
つぎに、
図9の(B)を説明する。
図9の(B)では、ステッピングモータ12が払出命令に応じてX方向に回転を開始することで、ゼネバ機構16の原動車16aもX方向へ回転を開始する。また、
図9の(A)(B)に示すように、原動車16aのピン40が従動車16bのスロット41に挿入される直前に、レバー18がX方向へ回転する。この回転によって、シャッタ部18cはフォトセンサ17の溝部から外れた位置に移動し、フォトセンサ17において発光部から受光部に光が伝達される。これにより、フォトセンサ17の出力は、待機信号から払出信号に切り替わることになる。
【0056】
また、以上のようにレバー18がX方向に回転することにより、ストッパ部18bは、
図9の(B)に示すように、従動車16bから離れた位置に移動する。なお、
図9の(B)の段階では、従動車16bは回転していため、スプロケット14および遊技球のポジションは
図9の(A)の状態から変化していない。
【0057】
つぎに、
図9の(C)を説明する。
図9の(C)のように、ゼネバ機構16の原動車16aのピン40が従動車16bのスロット41に嵌ると、原動車16aの回転に伴い従動車16bがY方向に回転する。従動車16bと一体形成されているスプロケット14もY方向に回転し、これにより遊技球が下方へ放出される。
【0058】
続いて、
図9の(D)を説明する。
図9の(D)のように、スプロケット14によって送り出された遊技球は、スプロケット14より下方側の近傍に位置する計数センサ15でカウントされる。
【0059】
続いて、
図9の(E)を説明する。
図9の(E)においては、ピン40がスロット41からはずれ、従動車16bは待機状態での停止位置で停止し、スプロケット14の凹部14aには次に放出対象となる遊技球が挿入されている。原動車16aの内輪部16a2(ロック円板)が、再び従動車16bの円弧面(窪み)43に嵌ることになる。
【0060】
また、
図9の(D)(E)に示すように、ピン40がスロット41から外れると、レバー18はY方向に回転する。この回転によって、シャッタ部18cは、フォトセンサ17の溝部に挿入され、フォトセンサ17を遮光する。これにより、フォトセンサ17の出力は、払出信号から待機信号に切り替わることになる。また、以上のようにレバー18がY方向に回転することにより、レバー18の一端側のストッパ部18bは、従動車16bの円弧面43に当接する位置へ移動する。
【0061】
原動車16aは、
図9の(E)の状態からさらにX方向に回転し、待機状態での停止位置まで移動する(
図9の(A)の状態に戻る)。
図9の(A)の状態に戻った際に計数センサ15にて遊技球が1球検知されていれば、払出制御部は、正常に払出されたと判定し、次球の払出命令を出力する。
【0062】
以上示した実施形態では、球払出装置108にゼネバ機構16を適用している。ゼネバ機構16は、待機状態になっている場合(原動車16aおよび従動車16bがホームポジションに位置する場合)、ロック円板(内輪部16a2)が従動車16bの回転を抑止する構成になっているため、従動車16bは回転できず、従動車16bと一体となるスプロケット14も回転できない。それゆえ、ゼネバ機構16が待機状態であるとき(球払出装置108が待機状態であるとき)、スプロケット14に外力が加えられてもスプロケット14は回転しない。
【0063】
よって、本実施形態によれば、ゼネバ機構16が待機状態であるとき、誘導経路10a(遊技球通路)に連なる遊技球の圧力や振動等の外力によってスプロケット14が回転して遊技球を送り出してしまうという誤動作の発生を抑制できる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ゼネバ機構16が待機状態になっている場合、ストッパ部18bによっても従動車16bの回転が抑止されているため、前述した誤動作をより一層抑制できるようになっている。
【0065】
また、本実施形態によれば、フォトセンサ17およびシャッタ部18cによって、待機状態であるか否かを高精度に検出できる。
【0066】
なお、本実施形態では、シャッタ部18cは、待機状態の場合にフォトセンサ17の溝部に挿入され、払出処理時にフォトセンサ17の溝部から外れる位置に配されることになるが、逆であっても良い。つまり、シャッタ部18cは、待機状態の場合にフォトセンサ17の溝部から外れる位置に配され、払出処理時にフォトセンサ17の溝部に挿入されるようになっていてもよい。但し、この場合、フォトセンサ17の遮光時に払出処理信号が出力され、フォトセンサ17の発光部から受光部に光が伝達されると待機信号が出力されることになる。
【0067】
また、以上のようにゼネバ機構を用いる構成は、本実施形態のように、スプロケットの回転軌跡の接線と略平行方向に連なる遊技球の先頭がスプロケット14の凹部14aに嵌められるように誘導経路(遊技球通路)10aが形成されているタイプの球払出装置108に最適である(
図7)。以下、この理由を述べる。
【0068】
特許文献1の球払出装置のように略鉛直方向に連なる遊技球の先頭がスプロケットの軸上方に位置するように遊技球通路が形成されている構成であれば、スプロケットの凹部に当接する遊技球の圧力方向と球送出方向(スプロケットの回転軌跡の接線の方向)とが異なるため、上述のような誤動作を抑制できる。しかし、近年、遊技機の演出方法の多様化等の理由により、球払出速度の高速化が望まれている。このために下流の計数センサと遊技球通路の先頭の遊技球とをできるだけ近づけ、スプロケットが駆動を開始して払出した遊技球をすみやかに計数することが望ましい。ところが、特許文献1のような形状の遊技球通路では、構造上、スプロケットの下流側の計数センサを、遊技球通路の先頭の遊技球に近づけることができない。
【0069】
これに対し、本実施形態の球払出装置108以外であって、スプロケットの回転軌跡の接線と略平行方向に連なる遊技球の先頭がスプロケットの凹部に嵌められるように遊技球通路が形成されているタイプの球払出装置の場合、計数センサを遊技球通路の先頭の遊技球に近づけることができるものの、遊技球の圧力方向と球送出方向(スプロケットの回転軌跡の接線の方向)とが略一致して、上述のような誤動作の問題が生じる。
【0070】
そこで、本実施形態のように、スプロケットの回転軌跡の接線と略平行方向に連なる遊技球の先頭がスプロケット14の凹部14aに嵌められるように誘導経路10aが形成されているタイプの球払出装置108にゼネバ機構を適用すれば、スプロケットの下流側の計数センサを遊技球通路の先頭の遊技球に近づけることができ、且つ、上述のような誤動作の問題を抑制できる。
【0071】
但し、本発明は、スプロケットの回転軌跡の接線と略平行方向に連なる遊技球の先頭がスプロケット14の凹部14aに嵌められるように誘導経路10aが形成されているタイプの球払出装置108に限定されるわけではなく、略鉛直方向に連なる遊技球の先頭がスプロケットの軸上方に位置するように遊技球通路が形成されている構成の球払出装置にも勿論適用可能である。
【0072】
また、以上のようにゼネバ機構を用いる構成は、小型ステッピングモータを用いる装置に好適である。これは、モータのディテントトルクが充分に大きければ上述のような誤動作を抑制できるものの、近年の遊技機における遊技領域の拡大に伴い、球払出装置の一層の小型化が望まれていることから、モータのディテントトルクに依存せずに、上述のような誤動作を抑制する技術が要求されているからである。但し、本発明は、ディティンクトルクの小さな小型のステッピングモータを用いる装置に限定されるわけではなく、ディテントトルクが充分に大きい大型のステッピングモータを用いる装置にも勿論適用可能である。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。