(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記巻線の断面の総面積の大きさは、前記複数の絶縁被覆導体の1本あたりの断面積の大きさに対して200倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のコイルユニット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、
図1を参照して、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットが適用される非接触電力伝送装置S1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットが適用される非接触電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。なお、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットは、非接触電力伝送装置における送電コイルユニットおよび受電コイルユニットのいずれにも適用可能である。
【0017】
非接触電力伝送装置S1は、
図1に示されるように、送電装置Utと、受電装置Urと、を有する。
【0018】
送電装置Utは、電源PWと、インバータINVと、送電側共振部Rtuと、を有する。受電装置Urは、整流回路DBと、受電側共振部Rruと、を有する。
【0019】
まず、送電装置Utの構成について説明する。電源PWは、直流電力を後述するインバータINVに供給する。電源PWとしては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータ等のスイッチング電源装置などが挙げられる。
【0020】
インバータINVは、電源PWから供給される入力直流電力を交流電力に変換する機能を有している。本実施形態では、インバータINVは、電源PWから供給される入力直流電力を交流電力に変換し、共振部である後述の送電コイルユニットLtu、送電側共振コンデンサユニットCtuに供給する。インバータINVとしては、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの素子が挙げられる。
【0021】
送電側共振部Rtuは、
図1に示されるように、送電コイルユニットLtuと、送電側共振コンデンサユニットCtuと、を有する。具体的には、送電側共振部Rtuは、送電コイルユニットLtuと送電側共振コンデンサユニットCtuにより形成されるLC共振回路を構成している。したがって、この送電側共振部Rtuの共振周波数を後述する受電側共振部Rruの共振周波数とほぼ等しく構成することで、磁界共鳴方式の電力伝送を実現することが可能となる。
【0022】
送電コイルユニットLtuは、インバータINVから供給された交流電力を後述する受電コイルユニットLruに送電する機能を有する。なお、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、送電コイルユニットLtuは、地中または地面近傍に配設されることとなる。
【0023】
送電側共振コンデンサユニットCtuは、送電側共振部Rtuの共振周波数が後述する受電側共振部Rruの共振周波数とほぼ等しくなるように、共振周波数を調整する機能を有する。この送電側共振コンデンサユニットCtuは、送電コイルユニットLtuに直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直列接続と並列接続を組み合わせてもよい。
【0024】
次に、受電装置Urの構成について説明する。受電側共振部Rruは、
図1に示されるように、受電コイルユニットLruと、受電側共振コンデンサユニットCruと、を有する。具体的には、受電側共振部Rruは、受電コイルユニットLruと受電側共振コンデンサユニットCruにより形成されるLC共振回路を構成している。したがって、この受電側共振部Rruの共振周波数を送電側共振部Rtuの共振周波数とほぼ等しく構成することで、磁界共鳴方式の伝送を実現することが可能となる。
【0025】
受電コイルユニットLruは、送電コイルユニットLtuから送電された交流電力を受電する機能を有する。なお、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、受電コイルユニットLruは、車両下部に搭載されることとなる。
【0026】
受電側共振コンデンサユニットCruは、送電側共振部Rtuの共振周波数が受電側共振部Rruの共振周波数とほぼ等しくなるように、共振周波数を調整する機能を有する。この受電側共振コンデンサユニットCruは、受電コイルユニットLruに直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直列接続と並列接続を組み合わせてもよい。
【0027】
整流回路DBは、受電コイルユニットLruが受電した交流電力を直流電力に整流する機能を有する。整流回路DBとしては、ダイオードブリッジを用いた全波整流機能と、コンデンサ及び三端子レギュレータを用いた電力平滑化機能を備えた変換回路などが挙げられる。この整流回路DBにより整流された直流電力は、負荷Rに出力される。ここで、負荷Rとしては、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、車両が有する二次電池や回転機が挙げられる。なお、負荷Rが交流回転機の場合、非接触受電装置Urの整流回路DBと負荷Rとの間にインバータ(図示しない)を付加して交流回転機に交流電力を供給するように構成する必要がある。
【0028】
このような構成を備えることにより、送電コイルユニットLtuと受電コイルユニットLruが対向することで、非接触にて電力が伝送される非接触電力伝送装置S1が実現される。
【0029】
続いて、上述した送電コイルユニットLtuあるいは受電コイルユニットLruに適用される本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットの構成について詳細に説明する。
【0030】
図2〜
図4を参照して、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットLu1の構成について説明する。
図2は、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットの断面図である。
図3は、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットの巻線における撚り合わせ構造を示す模式図である。
図4aは、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットにおいて、
図2の矢印A方向から見た巻線の平面図である。
図4bは、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットにおいて、
図2の矢印B方向から見た巻線の平面図である。なお、
図4a及び
図4bにおいて、説明の便宜上、磁性体F1は省略している。
【0031】
コイルユニットLu1は、
図2に示されるように、磁性体F1と、コイルC1と、を有する。磁性体F1は、棒状または板状の磁性体である。本実施形態では、磁性体F1は、外形形状が略直方体形状を呈しており、その外表面として、対向する略長方形状の第1および第2の主面F1a、F1bと、対向する第1および第2の側面(図示しない)と、対向する第1および第2の端面F1c、F1dと、を有する。第1および第2の側面は、第1および第2の主面F1a、F1b間を連結するように第1および第2の主面F1a、F1bの長辺方向に伸びている。第1および第2の端面F1c、F1dは、第1および第2の主面F1a、F1b間を連結するように第1および第2の主面F1a、F1bの短辺方向に伸びている。また、コイルユニットLu1を送電コイルユニットLtuあるいは受電コイルユニットLruに適用した場合、磁性体F1の第1および第2の主面F1a、F1bの長辺方向が送電コイルユニットLtuと受電コイルユニットLruの対向方向と直交する方向に一致するように配置されることとなる。またさらには、磁性体F1は、後述するコイルC1と離間して配置されており、磁性体F1と後述するコイルC1との間の離間距離は、これらの間に必要な絶縁距離や、磁性体F1が後述するコイルC1に及ぼす好ましい磁気抵抗の低減効果に基づいて適宜設定される。このような磁性体F1としては、比較的比透磁率の高い材料から構成されていると好ましく、例えばフェライトが挙げられる。
【0032】
コイルC1は、略方形を呈した平面状のスパイラル構造のコイルであり、磁性体F1の表面上に巻線W1を巻回して形成されている。本実施形態では、コイルC1は、磁性体F1の第1の主面F1a上に巻線Wが巻回されている。すなわち、コイルC1の軸方向は、磁性体F1の第1および第2の主面F1a、F1bの長辺方向と直交する方向である送電コイルユニットLtuと受電コイルユニットLruの対向方向に対して平行となる。ここで、コイルユニットLu1を送電コイルユニットLtuに適用した場合、コイルC1は、送電コイルユニットLtuと受電コイルユニットLruの対向方向において、磁性体F1よりも受電コイルユニットLru側に近接配置される。一方、コイルユニットLu1を受電コイルユニットLruに適用した場合、コイルC1は、送電コイルユニットLtuと受電コイルユニットLruの対向方向において、磁性体F1よりも送電コイルユニットLtu側に近接配置される。言い換えれば、磁性体F1は、電力伝送の際のコイルC1の電力伝送面とは反対側に配置されることとなる。このような構成により、コイルC1の巻線W1を断面視した場合、巻線W1の外周面の一部が磁性体F1の第1主面F1aに近接し、巻線W1の外周面の一部(残部)が磁性体F1の第1主面F1aから遠ざかるように配置されることとなる。コイルC1の巻数は、電力伝送の際に対向することとなるコイルとの間の離間距離や、所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。
【0033】
巻線W1は、
図3に示されるように、導体301を絶縁材300で被覆した絶縁被覆導体302を複数撚り合わせて構成されている。具体的には、巻線W1は、絶縁被覆導体302を複数撚り合わせた一次素線303と、一次素線303を複数撚り合わせた二次素線304と、を含んで構成されている。すなわち、巻線W1は、絶縁被覆導体302を多段階に撚り合わせた構造となっている。この絶縁被覆導体302を構成する導体301としては、銅、アルミニウムあるいはそれらを主成分とする合金であると好ましく、これらを積層したものも好ましく挙げられる。また、絶縁被覆導体302を構成する絶縁材300としては、ウレタン系樹脂、イミド系樹脂であると好ましい。
【0034】
また、巻線W1は、
図4aおよび
図4bに示されるように、巻線W1の最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分400と素線間の間隔が狭い第二の部分401を有する。本実施形態では、巻線W1の最外周を構成する素線は、一次素線303に相当する。第一の部分400は、
図4aに示されるように、巻線W1の最外周を構成する一次素線303間の間隔が広くなっている。一方、第二の部分401は、
図4bに示されるように、巻線W1の最外周を構成する一次素線303間の間隔が狭くなっている。具体的には、
図4aにおいて、隣接する一次素線303の一方の一次素線303の幅に対する中心線405と他方の一次素線303の幅に対する中心線406に対して直交する方向にそれぞれの中心線を結ぶ線分407の長さが第一の部分400における一次素線303間の間隔となり、
図4bにおいて、隣接する一次素線303の一方の一次素線303の幅に対する中心線405と他方の一次素線303の幅に対する中心線406に対して直交する方向にそれぞれの中心線を結ぶ線分408の長さが第二の部分401における一次素線303間の間隔となる。本実施形態では、線分407の長さが線分408の長さよりも長くなっている。すなわち、第一の部分400における一次素線303間の間隔が第二の部分401における一次素線303間の間隔よりも広くなっている。そして、
図2に示されるように、第二の部分401が、第一の部分400よりも磁性体F1の表面側に位置するように構成されている。ここで、巻線W1の最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分400と素線間の間隔が狭い第二の部分401の作製方法の一例を説明する。例えば、巻線W1を挟み込むように抑え、挟まれてない部分が局部的に変形するまで、治具等を用いて圧力を加えることにより、圧力を加えた局部は素線間が狭くなり、それ以外の部分は素線間の間隔が広くなる。以上により、最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分400と素線間の間隔が狭い第二の部分401を有する巻線W1が達成される。なお、本例は、巻線W1の最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分400と素線間の間隔が狭い第二の部分401の作製方法の一例であって、これに限られることなく、種々の作製方法が適用可能である。
【0035】
本実施形態では、巻線W1は、絶縁被覆導体302を2段階撚り合わせた構造となっているがこれに限られない。ここで、
図5を参照して、絶縁被覆導体302を3段階撚り合わせた構造の巻線W1’について説明する。
図5は、絶縁被覆導体を3段階撚り合わせた構造の巻線を、巻線の延在方向に対して直交する方向に断面視した模式断面図である。
図4に示されるように、巻線W1’は、導体301を絶縁材300で被覆した絶縁被覆導体302を複数段階撚り合わせて構成されている。具体的には、巻線W1’は、絶縁被覆導体302を複数撚り合わせた一次素線303と、一次素線303を複数撚り合わせた二次素線304と、二次素線304を複数撚り合わせた三次素線305を含んで構成されている。なお、本例では、巻線W1’が絶縁被覆導体302を3段階撚り合わせた構造となっているが、三次素線305を複数撚り合わせた四次素線(図示しない)を含んでいてもよく、四次素線をさらに複数撚り合わせた五次素線(図示しない)を含んでいてもよい。なお、巻線W1’が三次素線305を含む場合は、二次素線304が巻線W1’の最外周を構成する素線に相当し、四次素線を含む場合は、三次素線305が巻線W1’の最外周を構成する素線に相当し、五次素線を含む場合は、四次素線が巻線W1’の最外周を構成する素線に相当することとなる。
【0036】
このように構成される巻線W1は、巻線W1の断面の総面積の大きさが、複数の絶縁被覆導体302の1本あたりの断面積の大きさに対して200倍以上となるような本数の絶縁被覆導体302から構成されると好ましい。この場合、巻線W1の最外周を構成する第一の部分400と第二の部分401の素線間の間隔の差が、十分に大きくなり、鏡像効果による交流抵抗の増大をより一層抑制することができ、コイルC1のQ値をより一層大幅に向上させることができる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係るコイルユニットLu1は、巻線W1が、最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分400と素線間の間隔が狭い第二の部分401を有し、第二の部分401は、第一の部分400よりも磁性体F1の表面側に位置している。そのため、磁性体F1の鏡像効果によって生じる逆起電力に起因する交流抵抗の増大を最も効率的に抑制することができ、コイルユニットLu1の低損失化を実現できる。また、本発明に係るコイルユニットLu1は、コイルC1のインダクタンスを低下させず交流抵抗のみを抑制することができるため、コイルC1のQ値を大幅に向上できる。その結果、伝送効率の高効率化を図ることができる。
【0038】
(変形例)
続いて、
図6および
図7を参照して、本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットLu1の変形例に係るコイルユニットLu2の構成について説明する。
図6は、
図2に示した本発明の好適な実施形態に係るコイルユニットの断面図に相当する、変形例に係るコイルユニットの断面図である。
図7aは、変形例に係るコイルユニットにおいて、
図6の矢印C方向から見た巻線の平面図である。
図7bは、変形例に係るコイルユニットにおいて、
図6の矢印D方向から見た巻線の平面図である。
図7cは、変形例に係るコイルユニットにおいて、
図6の矢印E方向から見た巻線の平面図である。
図7dは、変形例に係るコイルユニットにおいて、
図6の矢印F方向から見た巻線の平面図である。なお、本変形例に係るコイルユニットLu2は、非接触電力伝送装置S1における送電コイルユニットLtuおよび受電コイルユニットLruのいずれにも適用可能である。本変形例では、上述の好適な実施形態に係るコイルユニットLu1の磁性体F1、コイルC1に代えて、コイルユニットLu2が磁性体F2、コイルC2を備えている点において、上述の好適な実施形態に係るコイルユニットLu1と相違する。すなわち、上述の好適な実施形態に係るコイルユニットLu1と本変形例に係るコイルユニットLu2は、コイルのタイプが異なる。以下、上述の好適な実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0039】
コイルユニットLu2は、
図6に示されるように、磁性体F2と、コイルC2と、を有する。本変形例では、磁性体F2は、外形形状が略直方体形状を呈しており、その外表面として、対向する略長方形状の第1および第2の主面F2a、F2bと、対向する第1および第2の側面(図示しない)と、対向する第1および第2の端面F2c、F2dと、を有する。第1および第2の側面は、第1および第2の主面F2a、F2b間を連結するように第1および第2の主面F2a、F2bの長辺方向に伸びている。第1および第2の端面F2c、F2dは、第1および第2の主面F2a、F2b間を連結するように第1および第2の主面F2a、F2bの短辺方向に伸びている。また、コイルユニットLu2を送電コイルユニットLtuあるいは受電コイルユニットLruに適用した場合、磁性体F2の第1および第2の主面F2a、F2bの長辺方向が送電コイルユニットLtuと受電コイルユニットLruの対向方向と直交する方向に一致するように配置されることとなる。このような磁性体F2としては、比較的比透磁率の高い材料から構成されていると好ましく、例えばフェライトが挙げられる。なお、本変形例では、磁性体F2は、外形形状が略直方体形状を呈しているが、円筒状を呈していてもよい。
【0040】
コイルC2は、螺旋状のソレノイド構造のコイルであり、磁性体F2の表面上に巻線W2を巻回して形成されている。本変形例では、コイルC2は、磁性体F2の第1および第2の主面F2a、F2b上と第1および第2の側面上に巻線W2が巻回されている。具体的には、コイルC2は、磁性体F2の外表面を、第1の端面F2cと第2の端面F2dの対向方向を軸にして、螺旋状に周回するように巻回されている。つまり、磁性体F2は、コイルC2のコアとして機能することとなる。このような構成により、コイルC2の巻線W2を断面視した場合、磁性体F2の第1の主面F2a上に位置する巻線W2(図示上側)の外周面の一部が磁性体F2の第1の主面F2aに近接し、巻線W2(図示上側)の外周面の一部(残部)が磁性体F2の第1の主面F2aから遠ざかるように配置されることとなる。また、磁性体F2の第2の主面F2b上に位置する巻線W2(図示下側)の外周面の一部が磁性体F2の第2の主面F2bに近接し、巻線W2(図示下側)の外周面の一部(残部)が磁性体F2の第2の主面F2bから遠ざかるように配置されることとなる。
【0041】
巻線W2は、上述の好適な実施形態に係る巻線W1と同様、巻線W2の最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分410と素線間の間隔が狭い第二の部分411を有する。本変形例では、巻線W2の最外周を構成する素線は、一次素線313に相当する。第一の部分410は、
図7aおよび
図7cに示されるように、巻線W2の最外周を構成する一次素線313間の間隔が広くなっている。一方、第二の部分411は、
図7bおよび
図7dに示されるように、巻線W2の最外周を構成する一次素線313間の間隔が狭くなっている。具体的には、
図7aおよび
図7cにおいて、隣接する一次素線313の一方の一次素線313の幅に対する中心線415と他方の一次素線313の幅に対する中心線416に対して直交する方向にそれぞれの中心線を結ぶ線分417の長さが第一の部分410における一次素線313間の間隔となり、
図7bおよび
図7dにおいて、隣接する一次素線313の一方の一次素線313の幅に対する中心線415と他方の一次素線313の幅に対する中心線416に対して直交する方向にそれぞれの中心線を結ぶ線分418の長さが第二の部分411における一次素線313間の間隔となる。本変形例では、線分417の長さが線分418の長さよりも長くなっている。すなわち、第一の部分410における一次素線313間の間隔が第二の部分411における一次素線313間の間隔よりも広くなっている。そして、
図6に示されるように、第二の部分411が、第一の部分410よりも磁性体F1の第1の主面F2aおよび第2の主面F2b側、すなわち磁性体F1の表面側に位置するように構成されている。
【0042】
以上のように、本変形例に係るコイルユニットLu2は、巻線W2が、最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分410と素線間の間隔が狭い第二の部分411を有し、第二の部分411は、第一の部分410よりも磁性体F2の表面側に位置している。そのため、磁性体F2の鏡像効果によって生じる逆起電力に起因する交流抵抗の増大を最も効率的に抑制することができ、コイルユニットLu2の低損失化を実現できる。また、本変形例に係るコイルユニットLu2は、コイルC2のインダクタンスを低下させず交流抵抗のみを抑制することができるため、コイルC2のQ値を大幅に向上できる。その結果、伝送効率の高効率化を図ることができる。
【0043】
以下、上述の実施形態によって、コイルに磁性体を近接配置した場合の交流抵抗の増大を抑制してコイルのQ値を大幅に向上させることができることを実施例1、2と比較例1〜4とによって具体的に示す。
【0044】
実施例1として、上述した好適な実施形態に係るコイルユニットLu1を用いた。実施例2として、上述した好適な実施形態に係るコイルユニットLu1の変形例に係るコイルユニットLu2を用いた。比較例1として、実施例1と特性を比較するために、上述した好適な実施形態に係るコイルユニットLu1において、巻線W1の最外周を構成する素線間の間隔が均一であるコイルユニットを用いた。比較例2として、実施例1と特性を比較するために、上述した好適な実施形態に係るコイルユニットLu1において、磁性体F1を取り除いたコイルユニットを用いた。比較例3として、実施例2と特性を比較するために、上述した変形例に係るコイルユニットLu2において、巻線W2の最外周を構成する素線間の間隔が均一であるコイルユニットを用いた。比較例4として、実施例2と特性を比較するために、変形例に係るコイルユニットLu2において、磁性体F2を取り除いたコイルユニットを用いた。
【0045】
まず、
図8を参照して、比較例1に係るコイルユニットにおける巻線W10の構成について説明する。
図8aは、
図2の矢印A方向から見た巻線の平面図に相当する、比較例1に係るコイルユニットの巻線の平面図である。
図8bは、
図2の矢印B方向から見た巻線の平面図に相当する、比較例1に係るコイルユニットの巻線の平面図である。比較例1に係るコイルユニットにおける巻線W10は、
図8aおよび
図8bに示されるように、巻線W10の最外周を構成する素線間の間隔が均一となっている。
図8aにおいて、隣接する一次素線703の一方の一次素線703の幅に対する中心線705と他方の一次素線703の幅に対する中心線706に対して直交する方向にそれぞれの中心線を結ぶ線分707の長さと、
図8bにおいて、一次素線703の一方の一次素線703の幅に対する中心線705と他方の一次素線703の幅に対する中心線706に対して直交する方向にそれぞれの中心線を結ぶ線分708の長さが略等しくなっている。すなわち、比較例1に係るコイルユニットは、上述した好適な実施形態に係るコイルユニットLu1において、巻線W1の最外周を構成する素線間の間隔を均一にしたものである。
【0046】
ここで、実施例1、2および比較例1〜4の巻線は、銅製で直径0.05mmの導体をウレタン樹脂で被覆した絶縁被覆導体を84本撚り合わせて一次素線を形成し、この一次素線を14本撚り合わせて二次素線を形成した。また、実施例1、2の巻線における第一の部分を4mm、第二の部分を2mmとし、比較例1、3の巻線の最外周を構成する素線間の間隔を全て3mmとした。さらに、実施例1と比較例1における磁性体は、長さ200mm、幅200mm、厚さ6mmのフェライト(比透磁率3000程度)を用い、巻線の巻数(ターン数)は11ターンとした。またさらには、実施例2と比較例3における磁性体は、長さ270mm、幅100mm、厚さ6mmのフェライト(比透磁率3000程度)を用い、巻線の巻数(ターン数)は22ターンとした。
【0047】
続いて、実施例1、2と比較例1〜4において、インピーダンスアナライザを用いてコイルユニットのインダクタンスLと等価直列抵抗値Rsを測定した。また、非接触電力伝送の伝送周波数を85kHzとし、測定したインダクタンスLと等価直列抵抗値RsからQ値を求めた。
【0048】
実施例1と比較例1、2におけるインダクタンスLの測定結果を
図9に示す。また、実施例1と比較例1、2における等価直列抵抗値Rsの測定結果を
図10に示す。またさらには、実施例1と比較例1、2におけるQ値の測定結果を
図11に示す。
図9〜
図11に示されるように、実施例1は、比較例1に比べて、インダクタンスLの値がほぼ同等である一方、等価直列抵抗値Rsの値が顕著に低く、その結果、Q値が著しく高い。また実施例1は、比較例2に比べて、磁性体を使用したことによりインダクタンスLの値が増加している一方、等価直列抵抗値Rsは低く、その結果、Q値が著しく高い。すなわち、実施例1では、コイルCの交流抵抗の増大が抑制され、コイルCのQ値が大幅に向上されていることが確認された。
【0049】
実施例2と比較例3、4におけるインダクタンスLの測定結果を
図12に示す。また、実施例2と比較例3、4における等価直列抵抗値Rsの測定結果を
図13に示す。またさらには、実施例2と比較例3、4におけるQ値の測定結果を
図14に示す。
図12〜
図14に示されるように、実施例2は、比較例3に比べて、インダクタンスLの値がほぼ同等である一方、等価直列抵抗値Rsの値が顕著に低く、その結果、Q値が著しく高い。また実施例2は、比較例4に比べて、磁性体を使用したことによりインダクタンスLの値が増加している一方、等価直列抵抗値Rsは低く、その結果、Q値が著しく高い。すなわち、実施例2では、コイルCの交流抵抗の増大が抑制され、コイルCのQ値が大幅に向上されていることが確認された。
【0050】
すなわち、本実施例および比較例から、巻線の最外周を構成する素線間の間隔が広い第一の部分と素線間の間隔が狭い第二の部分を有し、第二の部分は、第一の部分よりも磁性体の表面側に位置している実施例1および実施例2の構成は、交流抵抗の増大を最も効率的に抑制することができ、コイルユニットの低損失化が図れることが確認できた。
【0051】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。