(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切取ライン形成工程において、前記レーザー光の照射により、前記切取ラインを溝状に形成する請求項1又は請求項2に記載のレーザー光の照射による蓋の製造方法。
前記切取ライン形成工程において、前記レーザー光の照射により、前記切取ラインを複数互いに並行させて形成する請求項3に記載のレーザー光の照射による蓋の製造方法。
前記切取ライン形成工程において、前記レーザー光の照射により、前記切取ラインを波状又は鋸刃状に形成して複数互いに並行させ、当該複数の切取ラインを複数個所で交差させて形成する請求項1又は請求項2に記載のレーザー光の照射による蓋の製造方法。
前記切取ライン形成工程において、前記レーザー光の照射により、前記切取ラインをミシン目状に形成する請求項1又は請求項2に記載のレーザー光の照射による蓋の製造方法。
前記切取ライン形成工程において、前記レーザー光の照射により、前記切取ラインを、連続する複数の小孔からなるものとして形成する請求項1又は請求項2に記載のレーザー光の照射による蓋の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る容器、容器の蓋、容器の製造方法、及び蓋の製造方法について図面を参照して説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る容器を示す斜視図である。また、
図2は第1実施形態に係る蓋を拡大して示す斜視図であり、
図3は第1実施形態に係る蓋の周縁近傍を示す断面図である。
【0013】
容器50は、容器本体1及び蓋2を有している。
図1及び
図2に示すように容器本体1の上に蓋2が被せられて、蓋2により容器本体1の開口部が閉じられている。容器本体1及び蓋2は、例えば、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)といった合成樹脂の成型品であり、食料品等を収容するために用いられる。容器本体1は、平坦な底壁部1aと、底壁部1aの周縁上側に設けられた円錐台形状の側壁部1bと、側壁部1bの上端外周に設けられた環状端部1cとを有している。
【0014】
蓋2は、平坦な上壁部2aと、上壁部2aの周縁下側に設けられた湾曲した側壁部2bと、側壁部2bの下端外周に設けられた環状端部2cとを有している。環状端部2cは、側壁部2bの下端から外方向に突出した鍔状壁部2dと、鍔状壁部2dの外周端で下方に屈曲された筒状壁部2eとを有している。
【0015】
筒状壁部2eには、三角形状の2つの切欠き部3aが形成されており、各切欠き部3aに挟まれる筒状壁部2eの一部が切取部3となっている。
【0016】
また、鍔状壁部2dと筒状壁部2eとの間が屈曲部分2fとなっており、一方の切欠き部3a(三角形状の頂点)から他方の切欠き部3a(三角形状の頂点)までの範囲において、屈曲部分2fに溝状切取ライン3bが形成されている。すなわち、蓋2の周縁の屈曲した壁部に、切取部3を縁取る溝状切取ライン3bが形成されている。
【0017】
図3に示すように溝状切取ライン3bは、屈曲部分2fの壁部の外側表面から該壁部の元の厚みの半ばの深さまで形成されており、この溝状切取ライン3bの部位では、壁部の厚みが極めて薄くされて、その強度が壁部の他の部位よりも十分に低く設定されている。尚、
図3においては、説明の便宜上、蓋2の壁部の厚さを誇張して描いているが、実際の厚さは非常に薄い。また、後で述べる
図10及び
図15についても同様である。
【0018】
従って、切取部3は、筒状壁部2eの一部を形作りながらも、2つの切欠き部3a及び溝状切取ライン3bにより筒状壁部2eの他の部分とは区画されている。
【0019】
このような構成において、容器本体1の環状端部1cは、蓋2の環状端部2cの内側に嵌合して、蓋2の筒状壁部2eにより保持される。このため、蓋2が容器本体1から容易に外れることはなく、容器本体1が確実に閉じられる。すなわち、容器本体1の上部の外径と、蓋2の内径の形状及び大きさが一致しており、容器本体1に蓋2が嵌合する。これにより、容器本体1に取り付けられて容器本体1の開口部を閉じる蓋2が、容易には容器本体1から外れない。
【0020】
また、切取部3の両側に2つの切欠き部3aが設けられ、かつ切取部3の溝状切取ライン3bの部位では、壁部が極めて薄くされて、壁部の強度が十分に低く設定されている。このため、切取部3を手で持って引っ張れば、溝状切取ライン3bの部位を破断させて、
図4に示すように切取部3を切取ることができる。そして、この状態では、切欠き部3aにおいては、容器本体1の環状端部1cと、蓋2の環状端部2cの内側との嵌合がなくなり、蓋2の筒状壁部2eにより容器本体1の環状端部1cが十分に保持されなくなるため、蓋2を容器本体1から容易に外すことができる。
【0021】
また、シュリンクラベル等の他の材料を容器本体1や蓋2に付けていないため、省資源化及び製造工程の簡略化を図ることができ、製品不良を低減させることができる。
【0022】
次に、蓋2の製造方法を説明する。
図5は、蓋2の製造に用いられるレーザー装置10を概略的に示す側面図である。
図5において、支持台11上には、ターンテーブル12が設けられている。ターンテーブル12には容器本体1及び蓋2が位置決めされて配置されている。
【0023】
レーザー照射部13は、ターンテーブル12上の蓋2にレーザー光を射出する。ここでは、透明なPETからなる蓋2の加工に適した赤外線領域のレーザー光、例えば、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を照射する。尚、蓋2の材質、色、透明度等に応じて他の種類のレーザー光(YVO4レーザー等)を適用することも可能である。
【0024】
レーザー照射部13の本体を移動させることなく、当該レーザー照射部13によりレーザー照射を行うことができる範囲は、例えば300mm×300mmの範囲のように、一定の範囲内となっている。レーザー照射部13は、当該照射範囲に対するレーザー照射時に、レーザー光を予め定められた一定方向に走査して照射を行う。レーザー照射部13は、走査速度を可変としてレーザー照射を行うことが可能である。このようなレーザー照射により、蓋2の切取部3の切欠き部3a及び溝状切取ライン3bを作成することができる。
【0025】
また、レーザー光の照射方向を固定しておき、ターンテーブル12と共に容器本体1及び蓋2を回転させることによっても、切取部3の溝状切取ライン3bを作成することが可能である。
【0026】
図6は、レーザー装置10の制御系を示すブロック図である。
図6において、操作部15は、操作者により操作されるキー、又はタッチパネル付きのLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部を備え、操作者による当該キー又はタッチパネルの操作により、当該操作者からの各種指示の入力を受け付ける。操作部15は、受け付けた指示の内容を、制御部101に出力する。
【0027】
制御ユニット100は、CPU等からなり、制御部101と、照射強度設定部102と、加工データ設定部103とを備える。
【0028】
制御部101は、レーザー装置10の全体的な動作制御を司る。特に、制御部101は、レーザー照射部13によるレーザー照射を駆動制御する。
【0029】
加工データ設定部103は、レーザー照射部13によるレーザー照射で蓋2の切取部3の切欠き部3a及び溝状切取ライン3bを作成するための加工データを設定する。制御ユニット100が備える図略の加工データ取得部は、図略のインターフェイスを介して、ネットワーク接続されたコンピューター、又はUSBメモリー等の記憶媒体から、これらに記憶されている加工データを取得する。加工データは、例えば、イラストレーター(登録商標)等の描画アプリケーションにより作成された描画データ、CADアプリケーションにより作成された作図データ、ワードプロセッサー等の文字入力が可能なアプリケーションにより作成された文字データ、又はJPEG、BMP等のイメージデータ等、或いは、これらを加工したデータである。加工データ設定部103は、操作者により操作部15に入力される指定に従って、当該取得された加工データの中から、レーザー照射部13によるレーザー照射での加工に用いる加工データを設定する。
【0030】
照射強度設定部102は、レーザー照射部13によるレーザー照射の強度を、加工データに基づき、あるいは操作者により操作部15に入力される指示に従って設定する。例えば、照射強度設定部102は、当該レーザー照射の強度を、蓋2の壁部を切断するレベルの第1強度と、蓋2の壁部を元の厚みの半ばの深さまで切除する第2強度のいずれかを選択的に設定する。また、照射強度設定部102は、レーザー照射が可能な領域内の任意の領域毎に、上記レーザー強度を設定可能である。レーザー照射強度は、例えば、レーザー照射の出力(W)、又はレーザー照射のスキャンスピード(走査速度)のいずれか、或いはこれらの組合せで設定される。
【0031】
制御部101は、加工データ設定部103によって取得された上記加工データに基づき、レーザー照射部13により上記一定の範囲内において一定方向にレーザー照射を走査させたり、レーザー照射強度を、照射強度設定部102により設定された値に制御したりする。
【0032】
例えば、制御部101は、加工データがラスターデータであるとすると、当該ラスターデータが示す座標位置の画素値に基づいて、ドットを打つか否かを、又1画素に対して複数ドットを用いる場合は各画素についてのドット数を、更にドットの大きさが変更可能である場合は各ドットの径を、ラスターデータが示す座標位置に対応する上記一定方向における位置毎に設定する。制御部101は、上記設定したレーザー強度で、レーザー照射部13から蓋2の壁部へとレーザー光を照射させる。
【0033】
あるいは、制御部101は、加工データに基づき、レーザー照射部13によるレーザー光の照射方向を固定しておき、ターンテーブル12と共に容器本体1及び蓋2を回転させ、上記設定したレーザー強度で、レーザー光を照射させる。
【0034】
次に、レーザー装置10を用いて蓋2を製造する手順を説明する。
図19は当該レーザー装置10を用いて蓋2を製造する手順を示すフローチャートである。まず、
図7に示すように既に成型された容器本体1及び蓋2を用意し、容器本体1に食品等を入れ、次に
図8に示すように容器本体1の上に蓋2を被せて両者を嵌合させ、蓋2により容器本体1の開口部を閉じる(S1:蓋取付工程)。これにより、容器本体1及び蓋2の内側に食料品等が収容された状態となる。
【0035】
この後、
図5に示すようにレーザー装置10のターンテーブル12上に容器本体1及び蓋2を位置決めして配置する。そして、上記のような制御部101の制御により、レーザー照射部13のレーザー光の強度を蓋2の壁部を切断するレベルの第1強度に設定し、レーザー光を走査して、蓋2の筒状壁部2eを部分的に切除し、筒状壁部2eに2つの切欠き部3aを形成する。
【0036】
この2つの切欠き部3aの形成時には、まず、容器本体1に被せられる蓋2の筒状壁部2eにレーザー光を照射して、当該筒状壁部2eの一部を切り欠いて1つの切欠き部(第1の切欠き部)3aを形成する(S2:第1の切欠き部形成工程)。
【0037】
続いて、筒状壁部2eにおける1つの切欠き部3aに隣り合う位置にレーザー光を照射して、当該位置で筒状壁部2eの一部を切り欠いて更なる切欠き部(第2の切欠き部)3aを形成する(S3:第2の切欠き部形成工程)。
【0038】
また、レーザー照射部13のレーザー光の強度を、蓋2の壁部を元の厚みの半ばの深さまで切除する第2強度に設定し、レーザー光を走査して、一方の切欠き部3aから他方の切欠き部3aまでの範囲において溝状切取ライン3bを屈曲部分2fに形成する(S4:切取ライン形成工程)。尚、溝状切取ライン3bを形成するときには、レーザー光を走査せず、レーザー光の照射方向を屈曲部分2fの向きに固定しておき、レーザー光の強度を第2強度に設定し、ターンテーブル12と共に容器本体1及び蓋2を規定角度だけ回転させてもよい。
【0039】
これにより、
図1及び
図2に示すように2つの切欠き部3a及び溝状切取ライン3bを形成して、切取部3を作成することができる。すなわち、切取部3を有する蓋2が作成される。
【0040】
このような製造手順によれば、切欠き部3aや溝状切取ライン3bを有していない蓋2を容器本体1に嵌め合わせた状態の容器50に対して、レーザー装置10により加工を行い、切欠き部3aや溝状切取ライン3bを形成することが可能である。このため、樹脂成形により蓋2を作成する工程を採る場合、樹脂成形の段階では、切欠き部3aや溝状切取ライン3bを有する蓋2を作成する必要がない。樹脂成形では、切欠き部3aや溝状切取ライン3bを有していない蓋2を作成すれば足り、蓋2の成形が容易である。
【0041】
また、容器本体1の上に蓋2を被せるときには、蓋2の筒状壁部2eに各切欠き部3aや溝状切取ライン3b、つまり強度の著しく低い部位が形成されていないため、容器本体1の上に蓋2を被せるときに、蓋2の筒状壁部2eが損傷することはない。
【0042】
また、蓋2を容器本体1に被せた後に形成された蓋2の各切欠き部3aや溝状切取ライン3bには、過剰な負荷がかかることも勿論なく、溝状切取ライン3bの強度の低下を防ぐことができ、更には容器本体1並びに蓋2の運送中や誤って落としたときでも、溝状切取ライン3bが破れることはない。
【0043】
また、嵌合した状態の容器本体1及び蓋2に対して、蓋2の周縁へのレーザー照射により各切欠き部3aや溝状切取ライン3bを形成しているため、それらの形成中に樹脂の細片等が生じても、これが容器本体1及び蓋2の内側に侵入することはない。このため、容器本体1内に食べ物を収容した状態として蓋2を被せてなる容器50に対して、その蓋2に上記レーザー照射を行うことにより、切欠き部3aや溝状切取ライン3bを形成するという工程も採用し得る。
【0044】
尚、溝状切取ライン3bの強度の低下が生じず、樹脂の細片等の侵入を防止することができるのであれば、各切欠き部3aや溝状切取ライン3bを形成した後に、蓋2を容器本体1に被せても構わない。また、その場合は、単体の蓋2を裏返しにしてレーザー装置10のターンテーブル12に載せ、溝状切取ライン3bを屈曲部分2fの壁部の内側表面に形成することも可能である。
【0045】
また、レーザー装置10を用いる代わりに、金型により、各切欠き部3aや溝状切取ライン3bを成型しても構わない。ただし、金型による微細な溝の成型が困難なため、レーザー装置10を用いるのが好ましい。
【0046】
図9は、第1実施形態に係る第1変形例の蓋を示す斜視図である。また、
図10は、第1変形例の蓋の周縁近傍を示す断面図である。この第1変形例の蓋2では、一方の切欠き部3aから他方の切欠き部3aまでの範囲において、複数の溝状切取ライン3bを互いに並行させて屈曲部分2fに形成している。
【0047】
第1実施形態に係る第1変形例の蓋2も、上記と同様に、レーザー装置10によるレーザー照射で複数の溝状切取ライン3bが形成されることにより、製造される。
【0048】
この場合、例えば、
図9において、切取部3の左側端部をユーザーが摘まみ、(1)当該左側端部を、筒状壁部2eから蓋2の径方向の外側に捲り取り、更に、切取部3の右側端部に向けて引っ張る、又は(2)
図9における下方に向けて引っ張ると、切取部3を引っ張っている最中に、
図11の一点鎖線Aに示すように最も低い強度の溝状切取ライン3bが選択的に切断されたり、切断される溝状切取ライン3bが入れ替わったりするので、切取部3を容易に切取ることができる。
【0049】
図12は、第1実施形態に係る第2変形例の蓋を示す側面図である。この第2変形例の蓋2では、一方の切欠き部3aから他方の切欠き部3aまでの範囲において、2本の溝状切取ライン3cを互いに並行させて屈曲部分2fに形成している。また、各溝状切取ライン3cは、蓋2の側方から見ると波状のラインになっていて、一定間隔をあけて複数個所で繰り返し交差している。
【0050】
第1実施形態に係る第2変形例の蓋2も、上記と同様に、レーザー装置10によるレーザー照射で複数の溝状切取ライン3cが形成されることにより製造される。
【0051】
この場合、例えば、
図12において、切取部3の左側端部をユーザーが摘まみ、当該左側端部を、筒状壁部2eから蓋2の径方向の外側に捲り取り、更に、切取部3の右側端部に向けて引っ張る、又は
図12における下方に向けて引っ張ると、上記各溝状切取ライン3cの部位では、その強度が低くなり易いため、切取部3を容易に切取ることができる。各溝状の切取ライン3cとして、波状のラインの代わりに、鋸刃状のラインを適用しても、同様の効果を得ることができる。
【0052】
尚、第1変形例及び第2変形例については、屈曲部分2f(蓋2の壁部)に微細な加工を施す必要があるため、金型による成型は困難であって、レーザー装置10を用いる必要があると考えられる。
【0053】
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態に係る容器及びその蓋を示す斜視図である。また、
図14は第2実施形態に係る蓋を拡大して示す斜視図であり、
図15は第2実施形態に係る蓋の周縁近傍を示す断面図である。
【0054】
図13乃至
図15に示すように第2実施形態の蓋2では、1つの三角形状の切欠き部3aのみを筒状壁部2eに形成し、この切欠き部3aに隣接する筒状壁部2eの一部を切取部3として設定している。
【0055】
そして、上記切欠き部3a(三角形状の頂点)からの規定距離の範囲において、ミシン目状切取ライン3dを屈曲部分2fに形成している。すなわち、蓋2の周縁の屈曲した壁部に、切取部3を縁取るミシン目状切取ライン3dを形成している。
【0056】
ミシン目状切取ライン3dは、蓋2の壁部を貫通する細長い孔4を、一定間隔をあけて形成したものであり、このミシン目状切取ライン3dの部位では、その強度が壁部の他の部位よりも十分に低く設定されている。
【0057】
このような構成においても、容器本体1の環状端部1cが蓋2の環状端部2cの内側に嵌合して保持されるため、蓋2が容器本体1から外れることはなく、容器本体1が確実に閉じられる。
【0058】
また、ミシン目状切取ライン3dの部位で壁部の強度を十分に低くしているため、ユーザーが切取部3を手で持って、例えば
図16に示す下方に向けて引っ張れば、ミシン目状切取ライン3dの部位を破断させて、
図16に示すように切取部3を概ね切り取り、蓋2を容器本体1から容易に外すことができる。
【0059】
また、シュリンクラベル等の他の材料を容器本体1や蓋2に付けていないため、省資源化及び製造工程の簡略化を図ることができ、製品不良を低減させることができる。
【0060】
この第2実施形態の蓋2についても、
図5及び
図6に示すレーザー装置10を用いて、上記と同様にして、切取部3を作成することができる。まず、容器本体1に食品等を入れ、
図8に示すように容器本体1の上に蓋2を被せて、蓋2により容器本体1の開口部を閉じる。そして、
図5に示すようにレーザー装置10のターンテーブル12上に容器本体1及び蓋2を位置決めして配置し、制御部101の制御により、レーザー照射部13のレーザー光の強度を蓋2の壁部を切断するレベルの第1強度に設定し、レーザー光を走査して、筒状壁部2eに1つの切欠き部3aを形成する。
【0061】
また、レーザー照射部13のレーザー光の強度を第1強度と「0」とに交互に切換えつつ、レーザー光を走査して、一方の切欠き部3aからの規定距離の範囲においてミシン目状切取ライン3dを屈曲部分2fに形成する。尚、ミシン目状切取ライン3dを形成するときには、レーザー光を走査せず、レーザー光の照射方向を屈曲部分2fの向きに固定しておき、レーザー光の強度を第1強度と「0」とに交互に切換えつつ、ターンテーブル12と共に容器本体1及び蓋2を規定角度だけ回転させてもよい。
【0062】
これにより、
図13及び
図14に示すように1つの切欠き部3a及びミシン目状切取ライン3dを形成して、切取部3を作成することができる。
【0063】
このような製造手順によれば、第1実施形態と同様に、切欠き部3aや溝状切取ライン3dを有していない蓋2を容器本体1に嵌め合わせた状態の容器50に対して、レーザー装置10により加工を行い、切欠き部3aや溝状切取ライン3bを形成することが可能である。
【0064】
また、容器本体1の上に蓋2を被せるときには、蓋2の筒状壁部2eに切欠き部3aやミシン目状切取ライン3d、つまり強度の著しく低い部位が形成されていないため、蓋2の筒状壁部2eが損傷することはない。
【0065】
また、蓋2を容器本体1に被せた後に形成されたミシン目状切取ライン3dに過剰な負荷がかかることはなく、ミシン目状切取ライン3dの強度の低下を防ぐことができる。更に、蓋2の周縁へのレーザー照射により切欠き部3aやミシン目状切取ライン3dを形成しているため、それらの形成中に樹脂の細片等が生じても、これが容器本体1及び蓋2の内側に侵入することはない。このため、容器本体1内に食べ物を収容した状態として蓋2を被せてなる容器50に対して、その蓋2に上記レーザー照射を行うことにより、切欠き部3aや溝状切取ライン3dを形成するという工程も採用し得る。
【0066】
尚、ミシン目状切取ライン3dの強度の低下が生じず、樹脂の細片等の侵入を防止することができるのであれば、切欠き部3aやミシン目状切取ライン3dを形成した後に、蓋2を容器本体1に被せても構わない。また、レーザー装置10を用いる代わりに、金型により、切欠き部3aやミシン目状切取ライン3dを成型しても構わない。ただし、金型による微細なミシン目状の細長い孔の成型が困難なため、レーザー装置10を用いるのが好ましい。
【0067】
<第3実施形態>
図17(A)は本発明の第3実施形態に係る蓋を示す側面図であり、
図17(B)は第3実施形態の蓋を切取部の切取ラインに沿って破断して示す断面図である。
【0068】
図17(A)、(B)に示すように第3実施形態の蓋2では、三角形状の2つの切欠き部3aを筒状壁部2eに形成し、各切欠き部3aに挟まれる筒状壁部2eの一部を切取部3としている。
【0069】
そして、一方の切欠き部3aから他方の切欠き部3aまでの範囲において、連続する複数の小孔5からなる連続小孔切取ライン3eを屈曲部分2fに形成している。すなわち、蓋2の周縁の屈曲した壁部に、切取部3を縁取る連続小孔切取ライン3eを形成している。
【0070】
連続小孔切取ライン3eは、蓋2の壁部の元の厚みの半ばの深さに達する小孔5を複数連続して形成したものであり、この連続小孔切取ライン3eの部位では、その強度が壁部の他の部位よりも十分に低く設定されている。
【0071】
このような構成においても、容器本体1の環状端部1cが蓋2の環状端部2cの内側に嵌合した状態では、蓋2が容器本体1から外れることはない。
【0072】
また、切取部3を上記(1)又は(2)と同様にして、手で持って引っ張れば、連続小孔切取ライン3eの部位を破断させて、
図4に示すように切取部3を切取り、蓋2を容器本体1から容易に外すことができる。
【0073】
また、シュリンクラベル等の他の材料を容器本体1や蓋2に付けていないため、省資源化及び製造工程の簡略化を図ることができ、製品不良を低減させることができる。
【0074】
この第3実施形態の蓋2についても、
図5及び
図6に示すレーザー装置10を用いて、切取部3を作成することができる。まず、
図8に示すように容器本体1の上に蓋2を被せて、蓋2により容器本体1の開口部を閉じる。そして、
図5に示すようにレーザー装置10のターンテーブル12上に容器本体1及び蓋2を位置決めして配置し、制御部101の制御により、レーザー照射部13のレーザー光の強度を蓋2の壁部を切断するレベルの第1強度に設定し、レーザー光を走査して、筒状壁部2eに2つの切欠き部3aを形成する。
【0075】
また、レーザー照射部13のレーザー光の強度を、蓋2の壁部を元の厚みの半ばの深さまで切除する第2強度と「0」とに交互に切換えつつ、レーザー光を走査して、連続する複数の小孔5からなる連続小孔切取ライン3eを屈曲部分2fに形成する。尚、レーザー光を走査せず、レーザー光の照射方向を屈曲部分2fの向きに固定しておき、レーザー光の強度を第2強度と「0」とに交互に切換えつつ、ターンテーブル12と共に容器本体1及び蓋2を回転させてもよい。
【0076】
これにより、
図17(A)、(B)に示すように2つの切欠き部3a及び連続小孔切取ライン3eを形成して、切取部3を作成することができる。
【0077】
このような製造手順によれば、第1実施形態と同様に、切欠き部3aや溝状切取ライン3eを有していない蓋2を容器本体1に嵌め合わせた状態の容器50に対して、レーザー装置10により加工を行い、切欠き部3aや溝状切取ライン3eを形成することが可能である。
【0078】
容器本体1の上に蓋2を被せるときは、連続小孔切取ライン3eの形成以前であるため、蓋2の筒状壁部2eが損傷することはない。また、蓋2を容器本体1に被せた後で形成された連続小孔切取ライン3eに過剰な負荷がかかることはなく、連続小孔切取ライン3eの強度の低下を防ぐことができる。更に、蓋2の周縁へのレーザー照射により各切欠き部3aや連続小孔切取ライン3eを形成しているため、これらの形成中に樹脂の細片等が生じても、これが容器本体1及び蓋2の内側に侵入することはない。このため、容器本体1内に食べ物を収容した状態として蓋2を被せてなる容器50に対して、その蓋2に上記レーザー照射を行うことにより、切欠き部3aや連続小孔切取ライン3eを形成するという工程も採用し得る。
【0079】
尚、連続小孔切取ライン3eの強度の低下が生じず、樹脂の細片等の侵入を防止することができるのであれば、切欠き部3aや連続小孔切取ライン3eを形成した後に、蓋2を容器本体1に被せても構わない。
【0080】
<第4実施形態>
図18は、本発明の第4実施形態に係る容器及びその蓋を示す斜視図である。
図18に示すように第4実施形態の蓋2では、三角形状の2つの切欠き部3aを筒状壁部2eに形成し、また一方の切欠き部3aから上壁部2aの周縁に至る縦方向のミシン目状切取ライン6aを側壁部2bに形成すると共に、他方の切欠き部3aから上壁部2aの周縁に至る縦方向の別のミシン目状切取ライン6bを側壁部2bに形成している。
【0081】
2本のミシン目状切取ライン6a、6bに挟まれる側壁部2bの一部は、切取部7となっている。
【0082】
2本のミシン目状切取ライン6a、6bは、側壁部2bを貫通する細長い孔を、一定間隔をあけて形成したものであり、これらのミシン目状切取ライン6a、6bの部位では、その強度が壁部の他の部位よりも十分に低く設定されている。
【0083】
このような構成においても、容器本体1の環状端部1cが蓋2の環状端部2cの内側に嵌合した状態では、蓋2が容器本体1から外れることはない。
【0084】
また、切取部7を手で持って例えば
図18における上方に向けて引っ張れば、各ミシン目状切取ライン6a、6bの部位を破断させて、切取部7を概ね切取り、蓋2を容器本体1から容易に外すことができる。
【0085】
また、シュリンクラベル等の他の材料を容器本体1や蓋2に付けていないため、省資源化及び製造工程の簡略化を図ることができ、製品不良を低減させることができる。
【0086】
この第4実施形態の蓋2についても、
図5及び
図6に示すレーザー装置10を用いて、切取部7を作成することができる。まず、
図8に示すように容器本体1の上に蓋2を被せて、蓋2により容器本体1の開口部を閉じる。そして、
図5に示すようにレーザー装置10のターンテーブル12上に容器本体1及び蓋2を位置決めして配置し、制御部101の制御により、レーザー照射部13のレーザー光の強度を蓋2の壁部を切断するレベルの第1強度に設定し、レーザー光を走査して、筒状壁部2eに2つの切欠き部3aを形成する。
【0087】
また、レーザー照射部13のレーザー光の強度を第1強度と「0」とに交互に切換えつつ、レーザー光を走査して、2本のミシン目状切取ライン6a、6bを側壁部2bに形成する。
【0088】
これにより、
図18に示すように2つの切欠き部3a及び2本のミシン目状切取ライン6a、6bを形成して、切取部7を作成することができる。
【0089】
このような製造手順によれば、第1実施形態と同様に、切欠き部3aやミシン目状切取ライン6a、6bを有していない蓋2を容器本体1に嵌め合わせた状態の容器50に対して、レーザー装置10により加工を行い、切欠き部3aやミシン目状切取ライン6a、6bを形成することが可能である。
【0090】
また、容器本体1の上に蓋2を被せるときは、各ミシン目状切取ライン6a、6bの形成以前であるため、蓋2が損傷することはない。また、蓋2を容器本体1に被せた後で形成された各ミシン目状切取ライン6a、6bに過剰な負荷がかかることはなく、各ミシン目状切取ライン6a、6bの強度の低下を防ぐことができる。
【0091】
尚、各ミシン目状切取ライン6a、6bの強度の低下が生じないのであれば、切欠き部3aや各ミシン目状切取ライン6a、6bを形成した後に、蓋2を容器本体1に被せても構わない。また、レーザー装置10を用いる代わりに、金型により、切欠き部3aや各ミシン目状切取ライン6a、6bを成型しても構わない。更に、2本のミシン目状切取ライン6a、6bの代わりに、2本の溝状切取ライン3bや連続小孔切取ライン3eを適用してもよい。
【0092】
尚、本発明は、上記実施形態や変形例の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範疇の構成をも含む。また、
図1乃至
図19を用いて説明した構成及び処理は、本発明の例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。