(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、前記ハウジングに固定されている固定部材(12)と、前記固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されて前記ハウジングの外側と前記圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜313)と、を備え、
前記複数の外部接続管は、前記ハウジングの外側からの前記低圧冷媒を前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第1外部接続管(310)と、前記圧縮機構から吐出される前記高圧冷媒を前記ハウジングの外側に導く前記流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、前記複数の外部接続管の総数は、偶数であり、
前記圧縮機構は、前記可動部材が前記固定部材に対して旋回することにより、前記固定部材とともに前記低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜303)が設けられ、
前記固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
前記ハウジング内に前記圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
前記複数の外部接続管を前記ハウジングの外側から前記複数の貫通孔のうち対応する貫通孔内に貫通して前記固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、前記ハウジングの軸線方向から視て前記複数の外部接続管のうちいずれか2つの外部接続管の軸線(T1〜T4)が前記ハウジングの軸線(S)を中心として点対称になるように前記複数の外部接続管を配置して、前記対応する孔部を形成する前記孔形成部および前記外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて前記他方を弾性変形させて、当該孔形成部および前記外部接続管の間を前記外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする圧縮機の製造方法。
筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、前記ハウジングに固定されている固定部材(12)と、前記固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されて前記ハウジングの外側と前記圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜313)と、を備え、
前記複数の外部接続管は、前記ハウジングの外側からの前記低圧冷媒を前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第1外部接続管(310)と、前記圧縮機構から吐出される前記高圧冷媒を前記ハウジングの外側に導く前記流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、前記複数の外部接続管の総数は、偶数であり、
前記第2外部接続管から流れる高圧冷媒から潤滑オイルを分離する潤滑オイル分離機構(40)を備え、
前記複数の外部接続管は、前記第1、第2の外部接続管以外に、前記潤滑オイル分離機構によって前記高圧冷媒から分離された潤滑オイルを前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第3外部接続管(313)を少なくも有して構成されて、
前記ハウジングの軸線方向から視て前記第1外部接続管の軸線(T1)と前記第3外部接続管の軸線(T4)とが90度以上の角度で交差するように前記第1外部接続管と前記第3外部接続管とが配置されており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜303)が設けられ、
前記固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
前記ハウジング内に前記圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
前記複数の外部接続管を前記ハウジングの外側から前記複数の貫通孔のうち対応する貫通孔内に貫通して前記固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、前記ハウジングの軸線方向から視て前記複数の外部接続管のうちいずれか2つの外部接続管の軸線(T1〜T4)が前記ハウジングの軸線(S)を中心として点対称になるように前記複数の外部接続管を配置して、前記対応する孔部を形成する前記孔形成部および前記外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて前記他方を弾性変形させて、当該孔形成部および前記外部接続管の間を前記外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする圧縮機の製造方法。
筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、前記ハウジングに固定されている固定部材(12)と、前記固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されて前記ハウジングの外側と前記圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜313)と、を備え、
前記複数の外部接続管は、前記ハウジングの外側からの前記低圧冷媒を前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第1外部接続管(310)と、前記圧縮機構から吐出される前記高圧冷媒を前記ハウジングの外側に導く前記流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、前記複数の外部接続管の総数は、偶数であり、
前記圧縮機構は、前記可動部材が前記固定部材に対して旋回することにより、前記固定部材とともに前記低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
前記第2外部接続管から流れる高圧冷媒から潤滑オイルを分離する潤滑オイル分離機構(40)を備え、
前記複数の外部接続管は、前記第1、第2の外部接続管以外に、前記潤滑オイル分離機構によって前記高圧冷媒から分離された潤滑オイルを前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第3外部接続管(313)を少なくも有して構成されて、
前記ハウジングの軸線方向から視て前記第1外部接続管の軸線(T1)と前記第3外部接続管の軸線(T4)とが90度以上の角度で交差するように前記第1外部接続管と前記第3外部接続管と配置されており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜303)が設けられ、
前記固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
前記ハウジング内に前記圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
前記複数の外部接続管を前記ハウジングの外側から前記複数の貫通孔のうち対応する貫通孔内に貫通して前記固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、前記ハウジングの軸線方向から視て前記複数の外部接続管のうちいずれか2つの外部接続管の軸線(T1〜T4)が前記ハウジングの軸線(S)を中心として点対称になるように前記複数の外部接続管を配置して、前記対応する孔部を形成する前記孔形成部および前記外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて前記他方を弾性変形させて、当該孔形成部および前記外部接続管の間を前記外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする圧縮機の製造方法。
筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、前記ハウジングに固定されている固定部材(12)と、前記固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されて前記ハウジングの外側と前記圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜314)と、を備え、
前記複数の外部接続管は、前記ハウジングの外側からの前記低圧冷媒を前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第1外部接続管(310)と、前記圧縮機構から吐出される前記高圧冷媒を前記ハウジングの外側に導く前記流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、前記複数の外部接続管の総数は、奇数であり、
前記圧縮機構は、前記可動部材が前記固定部材に対して旋回することにより、前記固定部材とともに前記低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜304)が設けられ、
前記固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129、70)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b、70a)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
前記ハウジング内に前記圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
前記複数の外部接続管を前記ハウジングの外側から前記複数の貫通孔のうち対応する貫通孔に貫通して前記固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、前記ハウジングの軸線方向から視て前記複数の外部接続管の軸線(T1〜T5)が前記ハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶように前記複数の外部接続管を配置して、前記対応する孔部を形成する前記孔形成部および前記外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて前記他方を弾性変形させて、当該孔形成部および前記外部接続管の間を前記外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする圧縮機の製造方法。
筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、前記ハウジングに固定されている固定部材(12)と、前記固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されて前記ハウジングの外側と前記圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜314)と、を備え、
前記複数の外部接続管は、前記ハウジングの外側からの前記低圧冷媒を前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第1外部接続管(310)と、前記圧縮機構から吐出される前記高圧冷媒を前記ハウジングの外側に導く前記流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、前記複数の外部接続管の総数は、奇数であり、
前記第2外部接続管から流れる高圧冷媒から潤滑オイルを分離する潤滑オイル分離機構(40)を備え、
前記複数の外部接続管は、前記第1、第2の外部接続管以外に、前記潤滑オイル分離機構によって前記高圧冷媒から分離された潤滑オイルを前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第3外部接続管(313)を少なくも有して構成されて、
前記ハウジングの軸線方向から視て前記第1外部接続管の軸線(T1)と前記第3外部接続管の軸線(T4)とが90度以上の角度で交差するように前記第1外部接続管と前記第3外部接続管とが配置されており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜304)が設けられ、
前記固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129、70)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b、70a)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
前記ハウジング内に前記圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
前記複数の外部接続管を前記ハウジングの外側から前記複数の貫通孔のうち対応する貫通孔に貫通して前記固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、前記ハウジングの軸線方向から視て前記複数の外部接続管の軸線(T1〜T5)が前記ハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶように前記複数の外部接続管を配置して、前記対応する孔部を形成する前記孔形成部および前記外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて前記他方を弾性変形させて、当該孔形成部および前記外部接続管の間を前記外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする圧縮機の製造方法。
筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、前記ハウジングに固定されている固定部材(12)と、前記固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されて前記ハウジングの外側と前記圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜314)と、を備え、
前記複数の外部接続管は、前記ハウジングの外側からの前記低圧冷媒を前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第1外部接続管(310)と、前記圧縮機構から吐出される前記高圧冷媒を前記ハウジングの外側に導く前記流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、前記複数の外部接続管の総数は、奇数であり、
前記圧縮機構は、前記可動部材が前記固定部材に対して旋回することにより、前記固定部材とともに前記低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
前記第2外部接続管から流れる高圧冷媒から潤滑オイルを分離する潤滑オイル分離機構(40)を備え、
前記複数の外部接続管は、前記第1、第2の外部接続管以外に、前記潤滑オイル分離機構によって前記高圧冷媒から分離された潤滑オイルを前記圧縮機構に供給する前記流路を形成する第3外部接続管(313)を少なくも有して構成されて、
前記ハウジングの軸線方向から視て前記第1外部接続管の軸線(T1)と前記第3外部接続管の軸線(T4)とが90度以上の角度で交差するように前記第1外部接続管と前記第3外部接続管とが配置されており、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜304)が設けられ、
前記固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129、70)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b、70a)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
前記ハウジング内に前記圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
前記複数の外部接続管を前記ハウジングの外側から前記複数の貫通孔のうち対応する貫通孔に貫通して前記固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、前記ハウジングの軸線方向から視て前記複数の外部接続管の軸線(T1〜T5)が前記ハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶように前記複数の外部接続管を配置して、前記対応する孔部を形成する前記孔形成部および前記外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて前記他方を弾性変形させて、当該孔形成部および前記外部接続管の間を前記外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする圧縮機の製造方法。
前記ハウジングの軸線方向から視て前記第1外部接続管の軸線(T1)と前記第2外部接続管の軸線(T3)とが90度以上の角度で交差するように前記第1外部接続管と前記第2外部接続管とが配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の圧縮機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、上記スクロール型圧縮機において、組み付け性の向上に着目して、第1〜第4の冷媒配管のそれぞれを、固定スクロールに形成される4つの孔部のうち対応する孔部に圧入により嵌め込むことを検討した。
【0007】
まず、固定スクロールの孔部の断面積よりも大きな断面積を有する第1〜第4の冷媒配管を用意し、第1〜第4の冷媒配管のそれぞれを、4つの孔部のうち対応する孔部に圧入する。これにより、固定スクロールのうち4つの孔部を形成する4つの孔形成部と第1〜第4の冷媒配管との間を冷媒配管毎に密閉するシール機構を形成することができる。
【0008】
しかし、第1〜第4の冷媒配管のそれぞれを、4つの孔部のうち対応する孔部に圧入する際に、第1〜第4の冷媒配管のそれぞれから固定スクロールに荷重が加わる。このため、固定スクロールはハウジングに保持されているものの、第1〜第4の冷媒配管から固定スクロールに加わる荷重が所定方向に集中すると、固定スクロールの位置ずれが生じる。これにより、可動スクロールに対する固定スクロールの位置が最適な位置からずれて、圧縮機構の性能低下や信頼性低下を招く恐れがある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、固定スクロールに相当する固定部材の位置ずれが生じることを抑えるようにした圧縮機の製造方法、および圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、ハウジングに固定されている固定部材(12)と、固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されてハウジングの外側と圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜313)と、を備え、
複数の外部接続管は、ハウジングの外側からの低圧冷媒を圧縮機構に供給する流路を形成する第1外部接続管(310)と、圧縮機構から吐出される高圧冷媒をハウジングの外側に導く流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、複数の外部接続管の総数は、偶数であり、
圧縮機構は、可動部材が固定部材に対して旋回することにより、固定部材とともに低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
ハウジングには、ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜303)が設けられ、
固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
ハウジング内に圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
複数の外部接続管をハウジングの外側から複数の貫通孔のうち対応する貫通孔内に貫通して固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、ハウジングの軸線方向から視て複数の外部接続管のうちいずれか2つの外部接続管の軸線(T1〜T4)がハウジングの軸線(S)を中心として点対称になるように複数の外部接続管を配置して、対応する孔部を形成する孔形成部および外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて他方を弾性変形させて、当該孔形成部および外部接続管の間を外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、複数の外部接続管のうちいずれか2つの外部接続管の軸線をハウジングの軸線(S)を中心として点対称になるように配置されている。このため、2つの外部接続管を固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入する際、2つの外部接続管のうち一方の外部接続管から固定部材に加わる荷重と、2つの外部接続管のうち一方の外部接続管以外の他方の外部接続管から固定部材に加わる荷重とが相殺される。これにより、固定部材の位置ずれが生じることを抑えることができる。
【0012】
さらに、請求項1に記載の発明よれば、前記いずれか2つの外部接続管を固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に同時に圧入することにより、圧縮機の製造時の工数を減らすことができ、製造コストを削減することができる。
【0013】
なお、本明細書では、「2つの外部接続管の軸線(T1〜T4)がハウジングの軸線(S)を中心として点対称になる」とは、ハウジングの軸線方向から視て2つの外部接続管の軸線が重なる状態に限らず、ハウジングの軸線方向から視た場合において製造上の誤差が起因して2つの外部接続管の軸線が交差した状態も含んでいる。
【0014】
但し、ハウジングの軸線方向とは、ハウジングの軸線(S)が延びる方向のことである。
【0015】
請求項
4に記載の発明では、筒状に形成されているハウジング(30)内に配置されて、ハウジングに固定されている固定部材(12)と、固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されてハウジングの外側と圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜314)と、を備え、
複数の外部接続管は、ハウジングの外側からの低圧冷媒を圧縮機構に供給する流路を形成する第1外部接続管(310)と、圧縮機構から吐出される高圧冷媒をハウジングの外側に導く流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、複数の外部接続管の総数は、奇数であり、
圧縮機構は、可動部材が固定部材に対して旋回することにより、固定部材とともに低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
ハウジングには、ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜304)が設けられ、
固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129、70)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b、70a)が設けられている圧縮機の製造方法であって、
ハウジング内に圧縮機構を配置する配置工程(S110)と、
複数の外部接続管をハウジングの外側から複数の貫通孔のうち対応する貫通孔に貫通して固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入して嵌め込むことにより、ハウジングの軸線方向から視て複数の外部接続管の軸線(T1〜T5)がハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶように複数の外部接続管を配置して、対応する孔部を形成する孔形成部および外部接続管のうちいずれか一方から他方に力を与えて他方を弾性変形させて、当該孔形成部および外部接続管の間を外部接続管毎に密閉させるシール工程(S120)と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項
4に記載の発明によれば、複数の外部接続管の軸線(T1〜T5)をハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶように複数の外部接続管を配置されている。このため、複数の外部接続管を固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に圧入する際、複数の外部接続管から固定部材に加わる荷重が相殺される。これにより、固定部材の位置ずれが生じることを抑えることができる。
【0017】
さらに、請求項
4に記載の発明よれば、複数の外部接続管を固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に同時に圧入することにより、圧縮機の製造時の工数を減らすことができ、製造コストを削減することができる。
【0018】
なお、本明細書では、「複数の外部接続管の軸線がハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶ」とは、製造上の誤差が起因して前記隣り合う2つの軸線の間の角度のそれぞれが不均等になる場合も含んでいる。
【0019】
請求項
7に記載の発明では、筒状に形成されているハウジング(30)と、
ハウジング内に配置されて、ハウジングに固定されている固定部材(12)と、固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されてハウジングの外側と圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜313)と、を備え、
複数の外部接続管は、ハウジングの外側からの低圧冷媒を圧縮機構に供給する流路を形成する第1外部接続管(310)と、圧縮機構から吐出される高圧冷媒をハウジングの外側に導く流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、複数の外部接続管の総数は、偶数であり、
圧縮機構は、可動部材が固定部材に対して旋回することにより、固定部材とともに低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
ハウジングには、ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜303)が設けられ、
固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b)が設けられ、
複数の外部接続管は、複数の貫通孔のうち対応する貫通孔内に貫通して固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に嵌め込まれた状態で、ハウジングの軸線方向から視て複数の外部接続管のうちいずれか2つの外部接続管の軸線(T1〜T4)がハウジングの軸線(S)を中心として点対称になるように複数の外部接続管が配置されて、対応する孔部を形成する孔形成部および外部接続管のうちいずれか一方が他方に弾性力を与えることにより、当該孔形成部および外部接続管の間を外部接続管毎に密閉するシール機構を形成していることを特徴とする圧縮機。
【0020】
以上により、固定部材の位置ずれが生じることを抑えることに適した圧縮機を提供することができる。
【0021】
請求項
8に記載の発明では、筒状に形成されているハウジング(30)と、
ハウジング内に配置されて、ハウジングに固定されている固定部材(12)と、固定部材に対して変位して低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する可動部材(11)とを有する圧縮機構(10)と、
管状に形成されてハウジングの外側と圧縮機構との間を連通する流路をそれぞれ有する複数の外部接続管(310〜314)と、を備え、
複数の外部接続管は、ハウジングの外側からの低圧冷媒を圧縮機構に供給する流路を形成する第1外部接続管(310)と、圧縮機構から吐出される高圧冷媒をハウジングの外側に導く流路を形成する第2外部接続管(312)とを少なくも有し、複数の外部接続管の総数は、奇数であり、
圧縮機構は、可動部材が固定部材に対して旋回することにより、固定部材とともに低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出するスクロール型の圧縮機構であり、
ハウジングには、ハウジングの内側と外側との間を貫通する複数の貫通孔(300〜304)が設けられ、
固定部材には、複数の孔部(128、121a、124、129、70)を形成する複数の孔形成部(128a、121b、124a、129b、70a)が設けられ、
複数の外部接続管がハウジングの外側から複数の貫通孔のうち対応する貫通孔に貫通して固定部材の複数の孔部のうち対応する孔部に嵌め込まれた状態で、ハウジングの軸線方向から視て複数の外部接続管の軸線(T1〜T5)がハウジングの軸線(S)を中心とする円周方向に等間隔に並ぶように複数の外部接続管が配置されて、対応する孔部を形成する孔形成部および外部接続管のうちいずれか一方が他方に弾性力を与えることにより、当該孔形成部および外部接続管の間を外部接続管毎に密閉するシール機構を形成していることを特徴とする。
【0022】
以上により、固定部材の位置ずれが生じることを抑えることに適した圧縮機を提供することができる。
【0023】
請求項
9に記載の発明では、第1外部接続管の軸線(T1)と第2外部接続管の軸線(T3)とが90度以上の角度で交差するように第1外部接続管と第2外部接続管とが配置されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、第1外部接続管と第2外部接続管とを離すことができる。このため、第1外部接続管を流れる低圧冷媒が、第2外部接続管を流れる高圧冷媒によって加熱されることを低減することができ、性能低下を防止できる。
【0025】
但し、「第1外部接続管の軸線(T1)と第2外部接続管の軸線(T3)とが90度以上の角度で交差する」とは、第1外部接続管の軸線(T1)と第2外部接続管の軸線(T3)とによって時計回りに形成される角度と、第1外部接続管の軸線(T1)と第2外部接続管の軸線(T3)とによって反時計回りに形成される角度とがそれぞれ90度以上になることである。
【0026】
請求項
10に記載の発明では、第1外部接続管の軸線(T1)と第3外部接続管の軸線(T4)とが90度以上の角度で交差するように第1外部接続管と第3外部接続管とが配置されていることを特徴とする。
【0027】
これにより、第1外部接続管と第3外部接続管とを離すことができる。このため、第1外部接続管を流れる低圧冷媒が、第3外部接続管を流れる潤滑オイルによって加熱されることを低減することができ、性能低下を防止できる。
【0028】
但し、「第1外部接続管の軸線(T1)と第3外部接続管の軸線(T4)とが90度以上の角度で交差する」とは、第1外部接続管の軸線(T1)と第3外部接続管の軸線(T4)とによって時計回りに形成される角度と、第1外部接続管の軸線(T1)と第3外部接続管の軸線(T4)とによって反時計回りに形成される角度とがそれぞれ90度以上になることである。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
図1〜
図3により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る圧縮機1を、ヒートポンプ式給湯機にて給湯水を加熱するヒートポンプサイクル(蒸気圧縮式の冷凍サイクル)100に適用している。従って、本実施形態の圧縮機1にて圧縮される流体は、ヒートポンプサイクルの冷媒である。
【0033】
また、ヒートポンプサイクル100は、圧縮機1の圧縮室にて昇圧過程の途中の冷媒に、サイクルの中間圧気相冷媒を合流させるガスインジェクションサイクル(エコノマイザ式冷凍サイクル)として構成されている。
【0034】
より具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル100は、
図1に示すように、圧縮機1、水−冷媒熱交換器2、第1膨張弁3、気液分離器4、第2膨張弁5、室外熱交換器6等を有している。
【0035】
水−冷媒熱交換器2は、圧縮機1の高圧冷媒流出口40aから吐出された冷媒と給湯水とを熱交換させて給湯水を加熱する加熱用熱交換器である。第1膨張弁3は、水−冷媒熱交換器2から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる高段側減圧手段であって、図示しない制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御される電気式膨張弁である。
【0036】
気液分離器4は、第1膨張弁3にて減圧された中間圧冷媒の気液を分離する気液分離手段である。第2膨張弁5は、気液分離器4の液相冷媒流出口から流出した中間圧液相冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる低段側減圧手段であって、その基本的構成は第1膨張弁3と同様である。室外熱交換器6は、第2膨張弁5にて減圧された低圧冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる吸熱用熱交換器である。
【0037】
室外熱交換器6の冷媒出口側には、圧縮機1の吸入ポート30aが接続され、気液分離器4の気相冷媒流出口には、圧縮機1の中間圧吸入ポート30bが接続されている。従って、本実施形態では、気液分離器4にて分離された中間圧気相冷媒が圧縮機1の圧縮室にて昇圧過程の途中の冷媒にインジェクション(注入)される。
【0038】
また、本実施形態のヒートポンプサイクル100では、冷媒として二酸化炭素を採用しており、圧縮機1の吐出ポートから第1膨張弁3入口側へ至るサイクルの高圧側冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には、圧縮機1内部の各摺動部位を潤滑する潤滑オイル(冷凍機油)が混入されており、この潤滑オイルの一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
【0039】
なお、ヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクル100の他に、水−冷媒熱交換器2にて加熱された給湯水を貯湯する貯湯タンク、貯湯タンクと水−冷媒熱交換器2との間で給湯水を循環させる給湯水循環回路、および給湯水循環回路に配置されて給湯水を圧送する水ポンプ(いずれも図示せず)等を備えている。
【0040】
次に、
図2、
図3、
図4を用いて、圧縮機1の詳細構成を説明する。なお、
図2、
図3における上下の各矢印は、圧縮機1をヒートポンプ式給湯機に搭載した状態における上下の各方向を示している。
【0041】
本実施形態の圧縮機1は、いわゆるスクロール型の圧縮機であり、圧縮機構10、電動機部20、ハウジング30、および油分離器40等を有している。
【0042】
圧縮機構10は、圧縮対象流体である冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。電動機部20は、圧縮機構10を駆動する回転駆動力を出力する三相交流同期型電動機である。ハウジング30は、圧縮機1の外殻を形成するとともに、その内部に圧縮機構10および電動機部20等を収容するものである。油分離器40は、ハウジング30の外部に配置されて圧縮機構10にて圧縮された高圧冷媒から潤滑オイルを分離するものである。
【0043】
また、本実施形態の圧縮機1は、
図2に示すように、電動機部20から圧縮機構10へ回転駆動力を伝達する駆動軸(回転軸)25が鉛直方向(上下方向)に延びて、圧縮機構10と電動機部20が鉛直方向に配置された、いわゆる縦置きタイプに構成されている。より具体的には、この圧縮機1では、圧縮機構10が電動機部20の下方側に配置されている。
【0044】
ハウジング30は、軸線Sが鉛直方向に延びる円筒状に形成されている筒状部材31と、筒状部材31の上端部を塞ぐ椀状の上蓋部材32と、筒状部材31の下端部を塞ぐ椀状の下蓋部材33とを有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。
【0045】
筒状部材31、上蓋部材32および下蓋部材33は、いずれも鉄あるいは鉄系金属で形成されており、これらの部材はハウジング30への溶接等にて接合されている。
【0046】
ハウジング30の筒状部材31の側壁には、
図2および
図3に示すように、貫通孔300、301、302、303が形成されている。貫通孔300、301、302、303は、ハウジング30の軸線Sを中心として径方向に貫通している。貫通孔300、301、302、303には、外部接続管310、311、312、313が貫通している。
【0047】
本実施形態では、ハウジング30の軸線S(
図2中上下方向)をZ軸としたとき、外部接続管310、311、312、313におけるZ軸座標が一致している。
【0048】
なお、本実施形態では、外部接続管310、311、312、313は、それぞれ管状に形成されている。外部接続管310、311、312、313は、それぞれ同一の形状のものが用いられている。
【0049】
本実施形態の外部接続管310、311、312、313の総数は、偶数である。外部接続管310のうち軸線方向の中央側には径方向外側に突起するフランジ部320が設けられている。外部接続管310は、フランジ部320がハウジング30の筒状部材31に対して溶接等により固定されている。
【0050】
外部接続管310と同様に、外部接続管311、312、313には、それぞれ、フランジ部320が設けられている。外部接続管311、312、313は、それぞれのフランジ部320がハウジング30の筒状部材31に対して溶接等により固定されている。
【0051】
本実施形態の外部接続管310、311、312、313には、吸入ポート30a、中間圧吸入ポート30b、高圧冷媒流出口40a、および潤滑オイル吸入ポート41aが形成されている。
【0052】
外部接続管310には、室外熱交換器6の冷媒出口からの低圧冷媒を圧縮機構10の作動室15側に流通させる冷媒流路310aが形成されている。冷媒流路310aの冷媒入口は、吸入ポート30aを構成している。吸入ポート30aは、室外熱交換器6から流出した低圧冷媒を圧縮機構10へ吸入させるための冷媒吸入口である。
【0053】
外部接続管310の冷媒入口(吸入ポート30a)は、ハウジング30の外側に位置している。外部接続管310の冷媒出口は、固定スクロール12の固定側基板部121の冷媒吸入孔部128内に嵌め込まれている。
【0054】
外部接続管311には、気液分離器4の気相冷媒流出口から流れる中間圧冷媒を第1、第2のインジェクション通路14a、14b側に流通させる冷媒流路311aが形成されている。冷媒流路311aの冷媒入口は、中間圧吸入ポート30bを形成している。
【0055】
中間圧吸入ポート30bは、気液分離器4の気相冷媒流出口から流出した中間圧気相冷媒を圧縮機構10の圧縮室(本実施形態では、
図3に示す第1、第2圧縮室Va、Vb)にて圧縮過程の冷媒に合流させるための中間圧冷媒吸入口である。
【0056】
外部接続管311のうち冷媒入口(中間圧吸入ポート30b)がハウジング30の外側に位置している。外部接続管311のうち冷媒出口は、固定スクロール12の固定側基板部121の中間冷媒孔部121a内に嵌め込まれている。
【0057】
外部接続管312には、吐出孔124から吐出される高圧冷媒を油分離器40の潤滑オイル吸入ポート40bに向けて流通させる冷媒流路312aが形成されている。冷媒流路312の冷媒出口は、高圧冷媒流出口40aを構成している。高圧冷媒流出口40aは、圧縮機構10から吐出された高圧冷媒をハウジング30の外部に配置された油分離器40側へ流出させるための冷媒流出口である。
【0058】
外部接続管312のうち冷媒出口(高圧冷媒流出口40a)は、ハウジング30の外側に位置している。外部接続管312の冷媒入口は、固定スクロール12の固定側基板部121の吐出孔124内に嵌め込まれている。
【0059】
外部接続管313には、油分離器40の油流出口431から流れる潤滑オイルを油供給通路25a側に供給する潤滑オイル流路313aが形成されている。潤滑オイル流路313aの潤滑オイル入口は、潤滑オイル吸入ポート41aを形成している。潤滑オイル吸入ポート41aは、油分離器40から流れる潤滑オイルを圧縮機構10側に供給するための潤滑オイル吸入口である。
【0060】
外部接続管313の潤滑オイル吸入ポート41aは、ハウジング30の外側に位置している。外部接続管313の潤滑オイル出口は、固定スクロール12の固定側基板部121の固定側給油流路127内に嵌め込まれている。
【0061】
電動機部20は、ステータ21とロータ22とを有して構成されている。このロータ22の軸中心穴には駆動軸25が圧入により固定されている。従って、制御装置からステータ21を構成するステータコイルへ三相交流電力が供給されてステータコイルから回転磁界が発生すると、ロータ22および駆動軸25が一体となって回転する。
【0062】
駆動軸25は、略円筒状に形成されており、その両端部は、それぞれすべり軸受けにて構成された第1軸受部26、第2軸受部27に回転可能に支持されている。また、駆動軸25の内部には、駆動軸25の外表面と第1、第2軸受部26、27との摺動部位に潤滑オイルを供給するための油供給通路25aが形成されている。
【0063】
第1軸受部26は、ハウジング30内の空間を電動機部20が配置される空間と圧縮機構10が配置される空間とに仕切るように固定されたミドルハウジング28に形成されており、駆動軸25の下端側(圧縮機構10側)を回転可能に支持している。第2軸受部27は、介在部材を介してハウジング30の筒状部材31に固定されており、駆動軸25の上端側(圧縮機構10の反対側)を回転可能に支持している。
【0064】
圧縮機構10は、それぞれ渦巻き状の歯部が形成された可動スクロール11および固定スクロール12によって構成されるスクロール型の圧縮機構である。
【0065】
可動スクロール11は、円板状の可動側基板部111、および可動側基板部111から固定スクロール12側へ向かって突出する渦巻き状の可動側歯部112を有している。固定スクロール12は、円板状の固定側基板部121および固定側基板部121から可動スクロール11側へ向かって突出する渦巻き状の固定側歯部122を有している。
【0066】
さらに、固定スクロール12は、固定側基板部121の外周側面がハウジング30の筒状部材31の内周側面に圧入されていることによって、ミドルハウジング28の下方側に固定されている。可動スクロール11は、ミドルハウジング28と固定スクロール12との間に形成される空間に配置されている。
【0067】
可動スクロール11および固定スクロール12は、それぞれの基板部111、121の板面が対向するように配置されているとともに、それぞれの歯部112、122同士が噛み合わされて、一方のスクロールの歯部の先端部が他方のスクロールの基板部に当接するように配置されている。
【0068】
これにより、それぞれの歯部112、122同士が複数箇所で接触し、それぞれの歯部112、122同士の間には、駆動軸25の軸線の軸線方向から見たときに三日月形状に形成される圧縮室が複数形成される。
【0069】
なお、本実施形態の可動スクロール11および固定スクロール12は、アルミニウム等の金属により形成されている。
【0070】
図3では、図示の明確化のため、中間圧吸入ポート30bを介して流入した中間圧冷媒がインジェクション(注入)される第1圧縮室Vaおよび第2圧縮室Vbを模式的に図示している。これらの第1圧縮室Vaおよび第2圧縮室Vbは、駆動軸25の軸線に対して対称となる位置に形成されている。さらに、第1圧縮室Va内の冷媒圧力と第2圧縮室Vb内の冷媒圧力は同等となる。
【0071】
また、可動スクロール11の可動側基板部111の上面側の中心部には、駆動軸25の下端部(圧縮機構10側の端部)が挿入される円筒状のボス部113が形成されている。一方、駆動軸25の下端部は、駆動軸25の回転中心線に対して偏心した偏心部25bになっている。従って、可動スクロール11の可動側基板部111のボス部113に、駆動軸25の偏心部25bが挿入される。駆動軸25の回転中心線は、ハウジング30の軸線Sに一致している。
【0072】
さらに、可動スクロール11およびミドルハウジング28の間には、可動スクロール11が偏心部25b周りに自転することを防止する図示しない自転防止機構が設けられている。このため、駆動軸25が回転すると、可動スクロール11は偏心部25b周りに自転することなく、駆動軸25の回転中心(すなわち、軸線S)を公転中心として旋回(公転運動)する。
【0073】
そして、この公転運動により、前述した圧縮室が容積を縮小させながら、駆動軸25回りに、外周側から中心側へ変位する。さらに、本実施形態では、それぞれのスクロールの歯部112、122の先端部に、チップシールを配置することにより、圧縮室の機密性を向上させている。このようなチップシールとしては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂で形成されたものを採用することができる。
【0074】
また、吸入ポート30aは、固定スクロール12の固定側基板部121の冷媒吸入孔部128を介して圧縮室200のうち最外周側に連通している。
【0075】
従って、本実施形態の固定スクロール12は、ハウジング30内に冷媒を流通させる通路を形成する通路形成部材としての機能を兼ね備えている。
【0076】
中間圧吸入ポート30bは、固定スクロール12および通路形成プレート14に形成された第1、第2インジェクション通路14a、14bを介して、圧縮室のうち最外周側から中心側へ変位する過程の中間位置に位置付けられる第1圧縮室Va、第2圧縮室Vbに連通している。従って、本実施形態の通路形成プレート14は、固定スクロール12とともに、通路形成部材を構成している。
【0077】
この通路形成プレート14は、円板状の金属部材で形成されており、固定スクロール12の下方側の面にボルト締め等の固定手段によって固定されている。さらに、通路形成プレート14には、固定スクロール12側の面を凹ませること等によって、
図3に示すように、分岐部14c、第1インジェクション通路14a、第2インジェクション通路14bが形成されている。
【0078】
分岐部14cは、中間圧吸入ポート30bから吸入された中間圧冷媒の流れを分岐する部位である。第1インジェクション通路14aは、分岐部14cにて分岐された一方の中間圧冷媒を第1圧縮室Va側へ導く冷媒通路である。第2インジェクション通路14bは、分岐部14cにて分岐された他方の中間圧冷媒を第2圧縮室Vb側へ導く冷媒通路である。
【0079】
本実施形態の第1インジェクション通路14a、第2インジェクション通路14bは、
図5に示すように、駆動軸25の軸線の軸線方向から見たときに、三日月状に接続されている。なお、本実施形態では、通路形成プレート14における第1インジェクション通路14a、第2インジェクション通路14bの上下方向の深さ寸法(紙面裏表方向の凹み量)を、一定としている。
【0080】
また、固定スクロール12の内部には、中間圧吸入ポート30bから吸入された中間圧冷媒が第1インジェクション通路14a側(分岐部14c側)から第1圧縮室Va側へ流れることのみを許容する第1逆止弁51が配置されている。さらに、固定スクロール12の内部には、中間圧冷媒が第2インジェクション通路14b側(分岐部14c側)から第2圧縮室Vb側へ流れることのみを許容する第2逆止弁52が配置されている。
【0081】
第1、第2逆止弁51、52は、板状部材で形成されたリード弁、およびリード弁が開閉する通路が形成されたシート部材によって構成されている。このようなリード弁方式の逆止弁は、比較的小さな収容空間内に収容することができるので、第1、第2逆止弁51、52から下流側の冷媒通路の内容積(デッドボリューム)を不必要に拡大させない点有効である。
【0082】
また、固定スクロール12の固定側基板部121の中心部には、圧縮室で圧縮された高圧冷媒が吐出される主吐出孔123(
図3参照)が形成されている。更に、その中央部分には、主吐出孔123よりも細く主吐出孔123を挟んで径方向外側に配置された一対の副吐出孔126(
図4参照)も形成されている。
【0083】
さらに、固定スクロール12の固定側基板部121のうち主吐出孔123の下方側には、主吐出孔123と一対の副吐出孔126とに連通する吐出孔124が形成されている。吐出孔124には、吐出孔124側から圧縮室Va、Vb側への冷媒の逆流を防止する吐出弁(リード弁)と、吐出弁の最大開度を規制するストッパ16が配置されている。
【0084】
ここで、吐出孔124には、外部接続管312が嵌め込まれている。外部接続管312には、吐出孔124から吐出される高圧冷媒を油分離器40の潤滑オイル吸入ポート40bに導く流路312aが形成されている。外部接続管312の高圧冷媒流出口40aと油分離器40の潤滑オイル吸入ポート40bとは冷媒配管によって接続されている。
が接続されている。
【0085】
油分離器40は、鉛直方向に延びる筒状部材41を有し、その内部に形成された空間で圧縮機構10にて昇圧された冷媒を旋回させ、遠心力の作用によって気相冷媒と潤滑オイルとを分離するものである。
【0086】
油分離器40にて分離された高圧気相冷媒は、油分離器40の上方側に形成された高圧冷媒流出口40aから水−冷媒熱交換器2側へ吐出される。一方、油分離器40のうち下方側部位は、冷媒から分離された潤滑油を貯める貯油タンクとしての役割を果たす。油分離器40の下蓋部材43には、貯められた潤滑油を油分離器40外部に流出させる油流出口431が形成されている。
【0087】
油流出口431には、油配管46が接続されている。油配管46は、油流出口431から可動側給油流路114に潤滑油を導く給油流路46aを備えるものである。油配管46は、外部接続管313に接続されている。油配管46は、外部接続管313の軸線方向一方側を径方向外側から覆うように形成されている。
【0088】
外部接続管313は、ハウジング30の筒状部材31に形成された貫通穴313aを貫通し、固定基板部121の側面に形成された挿入穴129に挿入されている。外部接続管313の出口は、固定側給油流路127に連通している。
【0089】
本実施形態では、固定側給油流路127のうち外部接続管313の出口側には、潤滑油を濾過するフィルタ127aが配置されている。
【0090】
固定基板部121の内部には、油分離器40からの潤滑油が流れる固定側給油流路127が形成されている。固定側給油流路127は、L字状に屈曲している。
【0091】
可動基板部111の内部には、固定側給油流路127と間欠的に連通する可動側給油流路114が形成されている。固定側給油流路127の一端部は挿入穴129に連通している。固定側給油流路127の他端部は固定基板部121の上面(可動基板部111側の面)に開口している。
【0092】
可動側給油流路114の一端部は、固定側給油流路127の他端部と対向するように、可動基板部111の下面(固定基板部121側の面)に開口している。
【0093】
これにより、可動スクロール11の公転運動に伴って可動側給油流路114の一端部が固定側給油流路127の他端部と重なったりずれたりすることとなるので、可動側給油流路114が固定側給油流路127と間欠的に連通する。
【0094】
固定側給油流路127のうち可動スクロール11側の端部には、筒状の間欠ピン50が収納されている。間欠ピン50は、固定側給油流路127に形成された収容部51aに収容されている。
【0095】
間欠ピン50は、油分離器40内の圧力、換言すれば作動室15で圧縮された高圧冷媒の圧力により可動スクロール11側に押圧される。これにより、間欠ピン50の上端面が可動スクロール11の下面(摺動面)に押し当てられる。
【0096】
このため、固定側給油流路127からの潤滑油が、固定スクロール12と可動スクロール11との間の僅かな間隙に漏れ出すことなく、間欠ピン50の内部を流れて可動側給油流路114に流入することができる。
【0097】
可動側給油流路114の他端部(固定側給油流路127と反対側の端部)は、可動スクロール11のボス部113の内面最下部に開口している。このため、可動側給油流路114が固定側給油流路127と連通すると、油分離器40からの潤滑油がボス部113と駆動軸25の偏心部25bとの間の隙間に導入され、次いで駆動軸25の下端部側から駆動軸25の給油流路25aに流入する。
【0098】
駆動軸25には、給油流路25aから可動スクロール11のボス部113に向かって径方向外側に延びる貫通孔255が形成されている。また、駆動軸25には、
図2に示すように、給油流路25aからミドルハウジング28の軸受け26に向かって径方向外側に延びる貫通孔253と、給油流路25aから軸受け27に向かって径方向外側に延びる貫通孔257とが形成されている。
【0099】
このため、給油流路25aに流入した潤滑油は、これら貫通孔253、255、257を通じて、駆動軸25とボス部113との間、駆動軸25と軸受け26との間、および駆動軸25と軸受け27との間の各摺動部(潤滑対象部位)に供給される。
【0100】
駆動軸25と軸受け26との間に供給された潤滑油は、重力によってミドルハウジング28の中心孔を流下し、2枚のスラストプレート13、14の間に供給される。2枚のスラストプレート13、14の間に供給された潤滑油は、可動基板部111の外周側に形成された隙間(ミドルハウジング28の内周面との隙間)を流下し、次いで固定基板部121を上下方向に貫通する油流下流路(図示せず)を流下して、ハウジング30内の最下部に形成された貯油室35に至る。
【0101】
貯油室35は、固定スクロール12および通路形成プレート14の下方側に形成されている。通路形成プレート14には、上下方向に貫通する貫通孔181が形成されている。貫通孔181は、固定基板部121の冷媒吸入孔部128と連通している。貫通孔181には、貯油室35に貯められた潤滑油を吸い上げるパイプ182が下方側(貯油室35側)から挿入されている。
【0102】
貯油室35の潤滑油は、パイプ182、通路形成プレート14の貫通孔181、および固定基板部121の冷媒吸入孔部128を通じて作動室15に供給される。
【0103】
次に、本実施形態の外部接続管310、311、312、313の配置関係について
図5を参照して説明する。
【0104】
ハウジング30において、貫通孔300、301、302、303は、軸線Sを中心として径方向に貫通するように形成されている。貫通孔300、301、302、303は軸線Sを中心として円周方向に、貫通孔300→貫通孔301→貫通孔303→貫通孔302の順に並べられている。このため、外部接続管310、311、312、313は、それぞれ、軸線Sを中心として円周方向に並べられている。
【0105】
ハウジング30の軸線方向から視て貫通孔300、303が軸線Sを中心として点対称になるように配置されている。ハウジング30の軸線方向とは、ハウジング30の軸線Sが延びる方向のことである。このため、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310、313の軸線T1、T4が軸線Sを中心として点対称になるように外部接続管310、313が配置されている。
【0106】
ハウジング30の軸線方向から視て貫通孔301、302は、軸線Sを中心として点対称になる配置されている。このため、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管311、312の軸線T2、T3が軸線Sを中心として点対称になるように外部接続管311、312が配置されている。
【0107】
ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310の軸線T1と外部接続管312の軸線T3とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、312が配置されている。
【0108】
具体的には、ハウジング30の軸線方向から視て軸線T1、T3の間で時計回りに形成される角度と、軸線T1、T3の間で反時計回りに形成される角度とが90度以上になるように外部接続管310と外部接続管312とが配置されている。
【0109】
ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310の軸線T1と外部接続管313の軸線T4とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、313が配置されている。
【0110】
具体的には、ハウジング30の軸線方向から視て軸線T1、T4の間で時計回りに形成される角度と、軸線T1、T4の間で反時計回りに形成される角度とが90度以上になるように外部接続管310と外部接続管313とが配置されている。
【0111】
次に、上記構成における本実施形態の圧縮機1の作動について説明する。
【0112】
圧縮機1の電動機部20に電力が供給されて、ロータ22および駆動軸25が回転すると、可動スクロール11が駆動軸25に対して旋回(公転運動)する。
【0113】
このとき、室外熱交換器6の冷媒出口から圧縮機1の吸入ポート30a、および冷媒吸入孔部128を通して作動室15に供給される。これと同時に、貯油室35の潤滑油がパイプ182、通路形成プレート14の貫通孔181および固定基板部121の冷媒吸入孔部128を通じて作動室15に供給される。
【0114】
これにより、可動歯部112と固定歯部122との間に形成された三日月状の圧縮室が外周側から中心側へ容積を減少させつつ、外周側から中心側へ駆動軸25を中心として旋回しながら移動する。この際に、低圧冷媒が流入した圧縮室は、駆動軸25の回転に伴って、その容積を縮小させながら移動する。
【0115】
この際、第1、第2圧縮室Va、Vb側の冷媒圧力P1よりも中間圧吸入ポート30b側の中間圧気相冷媒の圧力P2が高くなっている状態では、第1、第2圧縮室Va、Vb側の冷媒圧力P1と中間圧吸入ポート30b側の冷媒圧力P2との圧力差によって、第1、第2逆止弁51、52が開く。これにより、気液分離器4にて分離されて中間圧吸入ポート30bから吸入された中間圧気相冷媒が、インジェクション吐出口50b、51bから第1、第2圧縮室Va、Vbへインジェクション(注入)される。
【0116】
さらに、駆動軸25の回転に伴って圧縮室の容積が縮小し、第1、第2圧縮室Va、Vb側の冷媒圧力P1が中間圧吸入ポート30b側の冷媒圧力P2を上回ると、第1、第2圧縮室Va、Vb側の冷媒圧力P1と中間圧吸入ポート30b側の冷媒圧力P2との圧力差によって、第1、第2逆止弁51、52が閉じる。これにより、圧縮室Vc側から中間圧吸入ポート30b側へ冷媒が逆流してしまうことが防止される。
【0117】
さらに、駆動軸25の回転に伴って圧縮室が中心側の固定スクロール12の主吐出孔123へ連通する位置に移動し、作動室Vc内の高圧冷媒の圧力が吐出弁の開弁圧を超えると吐出弁が開く。
【0118】
これにより、高圧冷媒が吐出孔124へ吐出される。吐出孔124へ吐出された高圧冷媒は、遠心分離方式にて、油分離器40で潤滑オイルが分離されて、この潤滑オイルが除かれた高圧冷媒は、高圧冷媒流出口40aから水−冷媒熱交換器2の冷媒入口に吐出される。
【0119】
一方、高圧冷媒から分離された潤滑油は、重力によって油分離器40内部を流下して油分離器40内の下部に貯められる。油分離器40内に貯められた潤滑油は、駆動軸25の給油流路25a側に間欠的に供給される。
【0120】
具体的には、上述のごとく、可動スクロール11の公転運動に伴って可動スクロール11の可動側給油流路114が固定スクロール12の固定側給油流路127と間欠的に連通する。このとき、油分離器40内部の高圧圧力とハウジング30のうち軸受け27、26側の低圧圧力との差圧によって、油分離器40内に貯められた潤滑油が、油配管46の給油流路46a、外部接続管313の潤滑オイル流路313a、固定側給油流路127、および可動側給油流路114を通じて、可動スクロール11のボス部113と駆動軸25の偏心部256との間の隙間に導入され、次いで駆動軸25の下端部側から駆動軸25の内部の給油流路25aに流入する。
【0121】
なお、可動側給油流路114が固定側給油流路127と連通していない場合には、駆動軸25の給油流路25aへの潤滑油の供給が遮断される。
【0122】
ここで、間欠ピン50は、油分離器40内の圧力、換言すれば作動室15で圧縮された高圧冷媒の圧力により可動スクロール11側に押圧される。これにより、間欠ピン50の上端面が可動スクロール11の下面(摺動面)に押し当てられる。
【0123】
このため、固定側給油流路127からの潤滑油が、固定スクロール12と可動スクロール11との間の僅かな間隙に漏れ出すことなく、間欠ピン50内の給油孔501を流れて可動側給油流路114に流入することができるので、駆動軸25の給油流路25aへの潤滑油の供給を確実に行うことができる。
【0124】
駆動軸25の給油流路25aに供給された潤滑油は、駆動軸25の貫通孔255、256、257を通じて駆動軸25と軸受け26との間、および駆動軸25と軸受け27との間に供給される。これにより、駆動軸25の摺動部(潤滑対象部位)で潤滑性を良好に維持できる。
【0125】
駆動軸25と軸受け26との間に供給された潤滑油は、重力によってミドルハウジング29の中心孔を流下し、2枚のスラストプレート13、14の間に供給される。これにより、スラストプレート13、14同士の摺動部で潤滑性を良好に維持できる。
【0126】
2枚のスラストプレート13、14の間に供給された潤滑油は、可動基板部111の外周側に形成された隙間(ミドルハウジング29の内周面との隙間)を流下し、次いで固定基板部121を上下方向に貫通する油流下流路(図示せず)を流下して、ハウジング30内の最下部に形成された貯油室35に至る。
【0127】
以上の如く、本実施形態の圧縮機1では、ヒートポンプサイクル100において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出することができる。
【0128】
次に、本実施形態の圧縮機1の製造方法について説明する。
【0129】
まず、第1工程(ステップ100)において、圧縮機構10、電動機部20、筒状部材31、上蓋部材32、下蓋部材33、油分離器40、および外部接続管310、311、312、313等を別々に用意する。
【0130】
次に、第2工程(ステップ110)において、圧縮機構10および電動機部20を筒状部材31内に配置して、圧縮機構10および電動機部20を筒状部材31への圧入嵌合にて固定する。
【0131】
次に、第3工程(ステップ120)において、外部接続管310、311、312、313を筒状部材31の貫通孔300、301、302、303のうち対応する貫通穴に貫通させる。
【0132】
圧入嵌合の前では、外部接続管310のうち軸線T1に直交する断面の面積は、固定スクロール12の固定側基板部121のうち冷媒吸入孔部128を形成する孔形成部128aの断面積よりも大きい。そこで、外部接続管310を筒状部材31の貫通孔300に貫通させることにより、外部接続管310が固定側基板部121の冷媒吸入孔部128内に圧入により嵌め込まれる。
【0133】
このとき、外部接続管310は、孔形成部128aから力が加えられて弾性変形により圧縮する。したがって、孔形成部128aには、外部接続管310からからの弾性力が加わる。これにより、孔形成部128aおよび外部接続管310の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0134】
圧入嵌合の前では、外部接続管313のうち軸線T4に直交する断面の面積は、固定スクロール12の固定側基板部121のうち挿入穴129を形成する挿入穴形成部129bの断面積よりも大きい。そこで、外部接続管313を筒状部材31の貫通孔303に貫通させることにより、外部接続管313が固定側基板部121の挿入穴形成部129b内に圧入により嵌め込まれる。
【0135】
このとき、外部接続管313は、挿入穴形成部129bから力が加えられて弾性変形により圧縮する。したがって、挿入穴形成部129bには、外部接続管313からからの弾性力が加わる。これにより、挿入穴形成部129bおよび外部接続管313の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0136】
圧入嵌合の前では、外部接続管311のうち軸線T2に直交する断面の面積は、固定スクロール12の固定側基板部121のうち中間冷媒孔部121aを形成する孔形成部121bの断面積よりも大きい。
【0137】
そこで、外部接続管311を筒状部材31の貫通孔301に貫通させることにより、外部接続管311が固定側基板部121の中間冷媒孔部121a内に圧入により嵌め込まれる。
【0138】
このとき、外部接続管311は、孔形成部121bから力が加えられて弾性変形により圧縮する。したがって、孔形成部121bには、外部接続管311からからの弾性力が加わる。これにより、孔形成部121bおよび外部接続管311の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0139】
圧入嵌合の前では、外部接続管312のうち軸線T3に直交する断面の面積は、固定スクロール12の固定側基板部121のうち吐出孔124を形成する吐出孔形成部124aの断面積よりも大きい。
【0140】
そこで、外部接続管312を筒状部材31の貫通孔302に貫通させることにより、外部接続管312が固定側基板部121の吐出孔124内に圧入により嵌め込まれる。
【0141】
このとき、外部接続管312は、吐出孔形成部124aから力が加えられて弾性変形により圧縮する。したがって、吐出孔形成部124aには、外部接続管312からからの弾性力が加わる。これにより、吐出孔形成部124aおよび外部接続管312の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0142】
以上により、固定側基板部121および外部接続管310〜313の間を密閉するシールド工程が行われることになる。
【0143】
ここで、固定側基板部121に対する外部接続管310〜313の圧入嵌め込みの手順について説明する。
【0144】
すなわち、外部接続管310、313を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、挿入穴129に同時に圧入により嵌め込む。このとき、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310、313の軸線T1、T4が軸線Sを中心として点対称になるように外部接続管310、313を配置する。このため、外部接続管310から固定側基板部121に加わる力と外部接続管313から固定側基板部121に加わる力とが相殺される。
【0145】
外部接続管311、312を固定側基板部121の中間冷媒孔部121a、吐出孔124に同時に圧入により嵌め込む。このとき、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管311、312の軸線T2、T3を軸線Sが中心として点対称になるように外部接続管311、312を配置する。このため、外部接続管311から固定側基板部121に加わる力と外部接続管312から固定側基板部121に加わる力とが相殺される。
【0146】
さらに、外部接続管310、311、312、313をハウジング30の筒状部材31に対して溶接等により固定する。
【0147】
次に、第4工程(ステップ130)において、筒状部材31に上蓋部材32を嵌め込んで筒状部材31と上蓋部材32とを溶接等により固定する。筒状部材31に下蓋部材33を嵌め込んで筒状部材31と下蓋部材33とを溶接等により固定する。
【0148】
次に、第5工程(ステップ140)において、筒状部材31と油分離器40とを接続して、外部接続管312および油分離器40の潤滑オイル吸入ポート40bの間を冷媒配管等により接続する。以上により、本実施形態の圧縮機1の製造が完了する。
【0149】
以上説明した本実施形態によれば、圧縮機1は、筒状に形成されているハウジング30内に配置されて、低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機構10と、ハウジング30の側壁を貫通した状態で、ハウジング30の外側と圧縮機構10との間を連通する流路をそれぞれ有する偶数本の外部接続管310〜313とを備える。
【0150】
外部接続管310は、室外熱交換器6から流出した低圧冷媒を圧縮機構10の冷媒吸入口に供給する冷媒流路310aを形成する。外部接続管312は、圧縮機構10から吐出される高圧冷媒を油分離器40の潤滑オイル吸入ポート41aに向けて流通させる冷媒流路312形成する。外部接続管311は、気液分離器4の気相冷媒流出口から流れる中間圧冷媒を第1、第2のインジェクション通路14a、14b側に流通させる冷媒流路311aを形成する。外部接続管313は、油分離器40の油流出口431から流れる潤滑オイルを駆動軸25の油供給通路25a側に供給する潤滑オイル流路313aを形成する。
【0151】
外部接続管310〜313を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124、固定側給油流路127に圧入により嵌め込むことにより、固定側基板部121および外部接続管310〜313の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0152】
本実施形態では、ハウジング30内に圧縮機構10を配置する。この際、固定スクロール12をハウジング30内に圧入して嵌め込むことにより、固定スクロール12をハウジング30に固定する。さらに、外部接続管310、313を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、固定側給油流路127に同時に圧入により嵌め込む。このとき、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310、313の軸線T1、T4が軸線Sを中心として点対称になるように外部接続管310、313を配置する。このため、外部接続管310から固定側基板部121に加わる力と外部接続管313から固定側基板部121に加わる力とが相殺される。
【0153】
さらに、外部接続管311、312を固定側基板部121の中間冷媒孔部121a、吐出孔124に同時に圧入により嵌め込む。このとき、外部接続管311、312の軸線T2、T3が軸線Sを中心として点対称になるように外部接続管311、312を配置する。このため、外部接続管311から固定側基板部121に加わる力と外部接続管312から固定側基板部121に加わる力とが相殺される。
【0154】
以上により、外部接続管310、311、312、313を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124、固定側給油流路127に圧入により嵌め込む際に、外部接続管310、311、312、313から固定側基板部121に加わる荷重を打ち消し合う外接続配管の位置関係にすることで、固定スクロール12の位置ずれが生じることを抑えることができる。これに加えて、固定スクロール12の位置を最適な状態に保持できるため、圧縮機構10の性能や信頼性を確保可能になる。これに伴い、外部接続管310、311、312、313をそれぞれ別々の工程で貫通させる場合に比べて、組み付け工数を減らすことができる。
【0155】
さらに、固定スクロール12と通路形成プレート14を組付ける際に、高圧の発生する圧縮部中央部が組付け歪によって盛上ることにより体積効率が向上する。外部接続管310〜313を点対称に設けることによりその直線状の強度が弱まり、盛上る方向に力が作用する。特に2対以上の外部接続部310〜313がある場合、その交点が中央部であればなおさらよい。
【0156】
一方で、外部接続管310〜313が点対称でない場合は、局所的に強度が弱くなるためいびつな変形となるため、局所的に隙間が発生しやすくなり効率が低下する。
【0157】
本実施形態の外部接続管310、312は、それぞれの軸線が90度以上の角度で交差するように外部接続管310、312が配置されている。外部接続管310、313は、それぞれの軸線が90度以上の角度で交差するように外部接続管310、313が配置されている。これにより、外部接続管310を外部接続管312、313から離して配置することができる。このため、外部接続管310を流れる低圧冷媒が、外部接続管312、313を流れる高圧冷媒や潤滑オイルによって加熱されることを低減することができ、性能低下を防止できる。
【0158】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、4本の外部接続管310〜313をハウジング30の貫通孔300〜303に貫通させた例について例について説明したが、これに代えて、3本の外部接続管310〜312をハウジング30の貫通孔300〜303に貫通させた本第2実施形態について説明する。
【0159】
本実施形態の圧縮機1と上記第1実施形態の圧縮機1とは、ハウジング30の貫通孔に貫通されている外部接続管の総本数が異なるだけで、その他の構成は、同様である。そこで、以下、本実施形態の圧縮機1の外部接続管だけを説明し、その他の構成の説明を省略する。
図7に本実施形態の圧縮機1の断面図を示す。
【0160】
本実施形態の圧縮機1のハウジング30の筒状部材31には、貫通孔300、301、302が形成されている。貫通孔300、301、302は、それぞれの軸線が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように配置されている。このため、奇数本の外部接続管310、311、312は、ハウジング30の軸線方向から視て、それぞれの軸線T1、T2、T3が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように配置されている。外部接続管310、311、312は、フランジ部320がハウジング30の筒状部材31に対して溶接等により固定されている。
【0161】
以上説明した本実施形態によれば、貫通孔300、301、302は、ハウジング30の軸線方向から視て、それぞれの軸線が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように配置されている。このため、外部接続管310、311、312を筒状部材31の貫通孔300、301、302に貫通させる。このことにより、上記第1実施形態の外部接続管310、311、312と同様に、外部接続管310、311、312を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124に圧入により嵌め込むことにより、固定側基板部121および外部接続管310〜312の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0162】
本実施形態では、外部接続管310、311、312を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、固定側給油流路127、吐出孔124に同時に圧入により嵌め込む。このとき、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310、311、312の軸線T1、T2、T3が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように外部接続管310、311、312が配置される。
【0163】
このため、外部接続管310、311、312から固定側基板部121に加わる荷重を打消し合うことが可能となり、固定スクロール12の位置ずれが生じることを抑えることができる。これに加えて、固定スクロール12の位置を最適な状態に保持できるため、圧縮機構10の性能や信頼性を確保可能になる。これに伴い、外部接続管310、311、312をそれぞれ別々の工程で貫通させる場合に比べて、組み付け工数を減らすことができる。
【0164】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様、外部接続管310の軸線T1と外部接続管312の軸線T3とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、312が配置されている。これにより、外部接続管310を外部接続管312から離して配置することができる。このため、外部接続管310を流れる低圧冷媒が外部接続管312を流れる高圧冷媒によって加熱されることを低減することができ、性能低下を防止できる。
【0165】
なお、本実施形態では、上記第1実施形態の油分離器40に相当する油分離機構(図示省略)がハウジング30内に配置されている。
【0166】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、4本の外部接続管310〜313をハウジング30の貫通孔300〜303に貫通させた例について例について説明したが、これに代えて、5本の外部接続管(310〜314)をハウジング30の貫通孔(300〜304)に貫通させた本第3実施形態について説明する。
【0167】
図8に本実施形態のヒートポンプサイクル100の全体構成を示す図である。
図9に本実施形態の圧縮機1の断面図を示す。
図10に
図9中X−X断面図を示す。
【0168】
本実施形態の圧縮機1には、上記第1実施形態の圧縮機1にパワーセーブ機構を設けた構成になっている。具体的には、通路形成プレート14には、パワーセーブ冷媒流路70が追加されている。パワーセーブ冷媒流路70には、セーブ孔71、72が連通している。セーブ孔71、72は、それぞれ、圧縮室に連通している。パワーセーブ冷媒流路70は、固定スクロール12の固定側基板部121に形成されている。
【0169】
パワーセーブ冷媒流路70には、外部接続管314が嵌め込まれている。外部接続管314は、外部接続管310〜313と同様に、筒状に形成されている。外部接続管314は、ハウジング30の筒状部材31の貫通孔304を貫通している。外部接続管314は、外部接続管310と同様、フランジ部320を備えている。外部接続管314は、フランジ部320がハウジング30の筒状部材31に対して溶接等により固定されている。
【0170】
本実施形態ハウジング30の軸線S(
図9中上下方向)をZ軸としたとき、外部接続管310、311、312、313におけるZ軸座標が一致している。
【0171】
外部接続管314には、圧縮室内の冷媒をセーブ孔71、72およびパワーセーブ冷媒流路70を通して吸入配管側に戻すための冷媒流路314aが形成されている。吸入配管は、圧縮機1の吸入ポート30aおよび室外熱交換器6の冷媒出口の間に配置されている冷媒配管である。冷媒流路314aの冷媒出口30cおよび室外熱交換器6の冷媒出口の間には、開閉弁7が設けられている。開閉弁7は、冷媒出口30cおよび室外熱交換器6の冷媒出口の間の冷媒流路を開閉する弁体である。
【0172】
このように構成される本実施形態において、ハウジング30の筒状部材31には、外部接続管310、311、312、313と外部接続管314とが接続されている。
【0173】
外部接続管314は、ハウジング30の貫通孔304を貫通した状態で、固定スクロール12の固定側基板部121のパワーセーブ冷媒流路70に圧入により嵌め込まれている。
【0174】
固定スクロール12の固定側基板部121のうちパワーセーブ冷媒流路70を形成する流路形成部70aと外部接続管314とは、上記外部接続管310〜313と同様に、圧入嵌め込みにより密閉されている。
【0175】
外部接続管310、311、312、313、314は、ハウジング30の軸線方向から視てそれぞれの軸線T1、T2、T3、T4、T5が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように配置されている。
【0176】
外部接続管310の軸線T1と外部接続管312の軸線T3とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、312が配置されている。外部接続管310の軸線T1と外部接続管313の軸線T4とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、313が配置されている。
【0177】
このように構成される本実施形態では、特開平1−294984と同様に、開閉弁7が冷媒出口30cおよび室外熱交換器6の冷媒出口の間の冷媒流路を開けたとき、作動室15内の冷媒を吸入配管側に戻すことができる。このため、圧縮機構10から吐出される冷媒量を減らすことができる。したがって、圧縮機構10の運転負荷を軽くした軽負荷運転を実施することができる。
【0178】
一方、開閉弁7が冷媒出口30cおよび室外熱交換器6の冷媒出口の間の冷媒流路を閉じたとき、作動室15内の冷媒を吸入配管側に戻すことが停止される。このため、圧縮機構10から吐出される冷媒量を増やした全負荷運転を実施することが可能になる。
【0179】
以上説明した本実施形態によれば、貫通孔300、301、302、303、304は、それぞれの軸線が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように配置されている。
【0180】
そこで、上記第2実施形態と同様に、外部接続管310、311、312、313、314をハウジング30の筒状部材31の貫通孔300、301、302、303、304のうち対応する貫通孔に同時に嵌め込む。
【0181】
これに伴い、外部接続管310、311、312、313、314を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124、挿入穴129、パワーセーブ冷媒流路70に同時に圧入により嵌め込む。このことにより、固定側基板部121および外部接続管310〜314の間を外部接続管毎に密閉するシールド機構が形成される。
【0182】
ここで、外部接続管310〜314を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124、挿入穴129、パワーセーブ冷媒流路70に同時に圧入により嵌め込む。このとき、外部接続管310〜314の軸線T1〜T5が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように外部接続管310〜314が配置される。このため、外部接続管310〜314から固定側基板部121に加わる荷重を打消し合うことが可能となり、固定スクロール12の位置ずれが生じることを抑えることができる。
【0183】
なお、図示しないが、特開平4−121481と同様、セーブ孔71、72近傍に逆止弁を設けることでデットボリュームを小さくすることが可能になり、圧縮効率を向上させることも可能である。その際、高圧配管側から冷媒絞りを介して弁の開閉圧を決定できる機構を設けることで、任意の負荷条件で運転が可能となる。この際、吸入側に冷媒を戻す流路を圧縮機構10内で形成して、高圧配管から繋がれた配管を外部接続管312に連結させる。
【0184】
(他の実施形態)
(1)上記第1〜第3実施形態では、3本以上の外部接続管を圧縮機1に用いた例について説明したが、これに代えて、2つの外部接続管310、312を圧縮機1に用いてもよい。
【0185】
この場合、ハウジング30の軸線方向から視て、2つの外部接続管310、312のそれぞれの軸線が軸線Sを中心として点対称になるように外部接続管310、312を配置する。
【0186】
さらに、5本以上の外部接続管を圧縮機1に用いてもよい。この場合、ハウジング30の軸線方向から視て、偶数本の外部接続管を圧縮機1に用いる場合には、偶数本の外部接続管のうち2つの外部接続管が軸線Sを中心として点対称になるように2つの外部接続管を配置する。奇数本の外部接続管を圧縮機1に用いる場合には、ハウジング30の軸線方向から視て、奇数本の外部接続管のそれぞれの軸線が軸線Sを中心として円周方向に等間隔に並ぶように配置する。
【0187】
(2)上記第1〜第3実施形態では、本発明の圧縮機1をヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)100に適用した例について説明したが、これに代えて、ヒートポンプサイクル100以外の各種のシステムに本発明の圧縮機1を適用してもよい。
【0188】
(3)本発明を実施する際に、上記第1、第2の実施形態において、外部接続管310に0(オー)リング等のリング部材を嵌めて、このリング部材が嵌められた外部接続管310を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128に圧入により嵌め込むようにしてもよい。
【0189】
同様に、外部接続管311〜313にリング部材を嵌めて、このリング部材が嵌められた外部接続管310〜313を固定側基板部121の中間冷媒孔部121a、吐出孔124、固定側給油流路127に圧入により嵌め込むようにしてもよい。このことにより、外部接続管毎にリング部材を用いて、固定側基板部121および外部接続管310〜313の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0190】
同様に、上記第3実施形態において、外部接続管310〜314にリング部材を嵌めて、このリング部材が嵌められた外部接続管310〜314を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124、固定側給油流路127、パワーセーブ冷媒流路70に圧入により嵌め込むようにしてもよい。
【0191】
(4)上記第1〜第3実施形態では、外部接続管310〜314をハウジング30の筒状部材31に対して溶接等により接合した例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0192】
例えば、外部接続管310を貫通孔300内に貫通させる前では、外部接続管310のうち軸線に直交する断面の面積を、貫通孔300のうち軸線に直交する断面の面積よりも大きくしておく。
【0193】
ここで、外部接続管310を貫通孔300内に圧入により貫通させる際に、外部接続管310には、筒状部材31のうち貫通孔300を形成する貫通孔形成部300aから力が与えられる。このため、外部接続管310は圧縮されて弾性変形する。したがって、貫通孔形成部300aには、外部接続管310からの弾性力が加わる。これにより、貫通孔形成部300aおよび外部接続管310の間を密閉するシールド機構が形成される。
【0194】
外部接続管310と同様に、外部接続管311〜314をハウジング30の筒状部材31の貫通孔301〜304に圧入により貫通させてシールド機構を外部接続管毎に形成してもよい。
【0195】
(5)上記第1〜第3実施形態では、外部接続管310を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128に圧入により嵌め込む際に、外部接続管310を弾性変形により圧縮させた例について説明したが、これに代えて、固定側基板部121の孔形成部128aを弾性変形により圧縮してもよい。上記第1実施形態の外部接続管311〜313においても同様であり、上記3実施形態の外部接続管314においても同様である。
【0196】
(6)上記第1実施形態では、外部接続管310〜313のZ軸座標を一致させた例について説明したが、これに限らず、外部接続管310〜313のうちいずれかの外部接続管のZ軸座標と、前記いずれかの外部接続管以外の残りの外部接続管のZ軸座標とを相違させるようにしてもよい。
【0197】
例えば、外部接続管310のZ軸座標と外部接続管311のZ軸座標とが相違させるようにしてもよい。
【0198】
この場合、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310の軸線T1と外部接続管312の軸線T3とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、312を配置してもよい。これにより、外部接続管310を流れる低圧冷媒が、外部接続管312を流れる高圧冷媒によって加熱されることを低減することができ、性能低下を防止できる。
【0199】
例えば、外部接続管310のZ軸座標と外部接続管313のZ軸座標とが相違させるようにしてもよい。
【0200】
この場合、ハウジング30の軸線方向から視て外部接続管310の軸線T1と外部接続管313の軸線T4とが90度以上の角度で交差するように外部接続管310、313を配置してもよい。これにより、外部接続管310を流れる低圧冷媒が、外部接続管313を流れる潤滑オイルによって加熱されることを低減することができ、性能低下を防止できる。
【0201】
同様に、上記第2実施形態においても、外部接続管310〜312のZ軸座標を一致させる場合に限らず、外部接続管310〜312のうちいずれかの外部接続管のZ軸座標と、前記いずれかの外部接続管以外の残りの外部接続管のZ軸座標とを相違させるようにしてもよい。
【0202】
同様に、上記第3実施形態においても、外部接続管310〜314のZ軸座標を一致させる場合に限らず、外部接続管310〜314のうちいずれかの外部接続管のZ軸座標と、前記いずれかの外部接続管以外の残りの外部接続管のZ軸座標とを相違させるようにしてもよい。
【0203】
(7)上記第1実施形態では、外部接続管310、313を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、固定側給油流路127に同時に圧入した例について説明したが、これに代えて、外部接続管310、313を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、固定側給油流路127に圧入するタイミングをずらしてもよい。
【0204】
外部接続管311、312を固定側基板部121の中間冷媒孔部121a、吐出孔124に同時に圧入する場合に限らず、外部接続管311、312を固定側基板部121の中間冷媒孔部121a、吐出孔124に圧入するタイミングをずらしてもよい。
【0205】
上記第2実施形態では、外部接続管310、311、312を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124に同時に圧入する場合に限らず、外部接続管310、311、312を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124に圧入するタイミングをそれぞれずらしてもよい。
【0206】
同様に、上記第3実施形態では、外部接続管310、311、312、313、314を固定側基板部121の冷媒吸入孔部128、中間冷媒孔部121a、吐出孔124、固定側給油流路127、パワーセーブ冷媒流路70に圧入するタイミングをそれぞれずらしてもよい。
【0207】
(8)上記第1〜第3実施形態では、圧縮機構10としてはスクロール型の圧縮機構を用いた例について説明したが、これに代えて、圧縮機構10としてはスクロール型以外の圧縮機構を用いてもよい。
【0208】
(9)上記第1〜第3実施形態では、ハウジング30筒状部材31を円筒状に形成した例について説明したが、これに代えて、ハウジング30筒状部材31としては、筒状であれば、円筒状以外の角筒状であってもよい。
【0209】
(10)上記第1実施形態では、外部接続管310、311、312、313として、それぞれ、同一の形状のものが用いた例について説明したが、これに代えて、外部接続管310、311、312、313のうちいずれかの1つ以上の外部接続管と、この1つ以上の外部接続管以外の他の外部接続管とが互いに相違する形状のものにしてもよい。
【0210】
同様に、上記第2実施形態においても、外部接続管310、311、312のうちいずれかの1つ以上の外部接続管と、この1つ以上の外部接続管以外の他の外部接続管とが互いに相違する形状のものにしてもよい。
【0211】
同様に、上記第3実施形態においても、外部接続管310、311、312、313、314のうちいずれかの1つ以上の外部接続管と、この1つ以上の外部接続管以外の他の外部接続管とが互いに相違する形状のものにしてもよい。
【0212】
(11)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0213】
なお、上記第1第1〜3実施形態では、ステップ110の工程が本発明の配置工程に相当し、ステップ120が本発明のシール工程に相当する。