特許第6365489号(P6365489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365489
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20180723BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20180723BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20180723BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G03G21/14
   G03G21/00 370
   G03G15/20 555
   B41J29/38 Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-193257(P2015-193257)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-68017(P2017-68017A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渕本 信行
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−171732(JP,A)
【文献】 特開平09−305417(JP,A)
【文献】 特開平04−257915(JP,A)
【文献】 特開2013−195580(JP,A)
【文献】 特開2004−356961(JP,A)
【文献】 特開2012−210802(JP,A)
【文献】 特開2004−320333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
B41J 29/38
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を印刷する印刷部と、
原稿を読み取る画像読取部と、
画像形成装置を起動するための起動処理として、前記印刷部を起動するための印刷起動処理および前記画像読取部を起動するための読取起動処理を実行する処理部と、
情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記処理部に前記読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を示す使用率を定めた情報であり、前記印刷起動処理だけを行う場合に前記印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間と、前記起動処理の開始から前記印刷起動処理および前記読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となる前記使用率とを対応付けた情報である使用率情報を記憶しており、
前記使用率情報では、前記予測時間が長いほど前記使用率が低く、前記予測時間が短いほど前記使用率が高く、
前記処理部は、前記起動処理を開始するとき、前記予測時間を求め、前記使用率情報に基づき、前記予測時間に対応する前記使用率を判別するとともに、当該判別した前記使用率を目標使用率として設定し、前記使用率が前記目標使用率となるよう前記起動処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷部は、トナー像が転写された用紙を加熱して用紙にトナー像を定着させる定着部と、前記定着部の温度を検知するための温度センサーと、を含み、
前記印刷起動処理は、前記定着部を温めて前記定着部の温度を予め定められた定着制御温度に昇温させる第1処理を含み、
前記記憶部は、前記起動処理を開始するときの前記定着部の温度と、前記定着部の温度を前記定着制御温度に昇温させるのにかかる昇温時間とを対応付けた第1処理情報を記憶しており、
前記処理部は、前記起動処理を開始するとき、前記起動処理を開始するときの前記定着部の温度を前記温度センサーの出力に基づき検知し、前記第1処理情報に基づき、前記起動処理を開始するときの前記定着部の温度に対応する前記昇温時間を前記第1処理の処理時間として判別し、当該判別した前記第1処理の処理時間と、前記印刷起動処理として実行すべき前記第1処理以外の処理の処理時間とに基づき、前記予測時間を求めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の周辺温湿度を検知するための温湿度センサーと、
前記画像形成装置の未起動時間を求めるための計時部と、を備え、
前記印刷起動処理は、前記起動処理を開始するときの前記周辺温湿度および前記起動処理を開始する直前の前記未起動時間によって処理時間が変わる第2処理を含み、
前記記憶部は、前記起動処理を開始するときの前記周辺温湿度および前記起動処理を開始する直前の前記未起動時間と、前記第2処理の処理時間とを対応付けた第2処理情報を記憶しており、
前記処理部は、前記起動処理を開始するとき、前記起動処理を開始するときの前記周辺温湿度を前記温湿度センサーの出力に基づき検知するとともに、前記起動処理を開始する直前の前記未起動時間を前記計時部の出力に基づき求め、前記第2処理情報に基づき、前記起動処理を開始するときの前記周辺温湿度および前記起動処理を開始する直前の前記未起動時間に対応する前記第2処理の処理時間を判別し、当該判別した前記第2処理の処理時間と、前記印刷起動処理として実行すべき前記第2処理以外の処理の処理時間とに基づき、前記予測時間を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像読取部の読取動作を制御するための処理を実行する読取処理部を備え、
前記処理部は、単位時間内に、前記読取起動処理と、前記読取処理部と通信する通信処
理とを実行するとともに、前記通信処理の実行期間に前記印刷起動処理を実行するよう構
成され、
前記処理部は、前記単位時間内に、前記読取起動処理および前記通信処理を実行しない
所定期間を設けるとともに、前記目標使用率が低いほど、前記所定期間を長くし、前記所
定期間にも前記印刷起動処理を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙に画像を印刷する印刷部と、
原稿を読み取る画像読取部と、
画像形成装置を起動するための起動処理として、前記印刷部を起動するための印刷起動処理および前記画像読取部を起動するための読取起動処理を実行する処理部と、
情報を記憶する記憶部と、
前記画像読取部の読取動作を制御するための処理を実行する読取処理部と、を備え、
前記記憶部は、前記処理部に前記読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を示す使用率を定めた情報であり、前記印刷起動処理だけを行う場合に前記印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間と、前記起動処理の開始から前記印刷起動処理および前記読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となる前記使用率とを対応付けた情報である使用率情報を記憶しており、
前記処理部は、前記起動処理を開始するとき、前記予測時間を求め、前記使用率情報に基づき、前記予測時間に対応する前記使用率を判別するとともに、当該判別した前記使用率を目標使用率として設定し、前記使用率が前記目標使用率となるよう前記起動処理を実行し、
前記処理部は、単位時間内に、前記読取起動処理と、前記印刷起動処理とを交互に実行するよう構成され、
前記処理部は、前記目標使用率が低いほど、前記印刷起動処理の実行期間を長くすることを特徴とする画像形成装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を起動するための起動処理を行う処理部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の多機能化に伴って、CPU(処理部)への負荷が大きくなる傾向にある。CPU負荷が大きくなると、CPUの処理能力が低下する。このため、CPU負荷が大きくなり過ぎるのを抑制することが可能な画像形成装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の画像形成装置は、CPU負荷を定期的に計測する。そして、CPU負荷が閾値を超えると、高負荷なタスクを割り出し、その負荷入力元となっているデバイスに制限をかける。これにより、CPUが過負荷状態になるのを抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−188226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置のCPU(処理部)は、電源投入時や、省電力状態(スリープ状態)から通常状態への復帰時に、画像形成装置を起動させるための起動処理(画像形成装置をジョブの実行が可能な状態で待機させるための処理)を実行する。たとえば、画像形成装置の起動処理として実行すべき処理は複数存在し、それら複数の処理は並行して実行される。
【0006】
ここで、画像形成装置の起動処理として実行すべき処理の内容は毎回同じではなく、画像形成装置の状態や周辺環境などに応じて変わる。たとえば、起動処理として実行すべき複数の処理のうち特定の処理の処理時間が長くなったりする。したがって、画像形成装置の状態や周辺環境によっては、画像形成装置の起動処理が完了するまでにかかる時間が長くなり、ユーザーにストレスを与えてしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置の起動処理が完了するまでにかかる時間が長くなるのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、用紙に画像を印刷する印刷部と、原稿を読み取る画像読取部と、画像形成装置を起動するための起動処理として、印刷部を起動するための印刷起動処理および画像読取部を起動するための読取起動処理を実行する処理部と、情報を記憶する記憶部と、を備える。記憶部は、処理部に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を示す使用率を定めた情報であり、印刷起動処理だけを行う場合に印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間と、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となる使用率とを対応付けた情報である使用率情報を記憶する。処理部は、起動処理を開始するとき、予測時間を求め、使用率情報に基づき、予測時間に対応する使用率を判別するとともに、当該判別した使用率を目標使用率として設定し、使用率が目標使用率となるよう起動処理を実行する。
【0009】
本発明の構成では、画像形成装置を起動させるための起動処理を開始するときに、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となるように、印刷起動処理だけを行う場合に印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間に応じて、処理部に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を示す使用率を変更(設定)する。すなわち、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となるように、処理部に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を変化させ、処理部に印刷起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を増減する。これにより、印刷起動処理の処理時間(予測時間)が長くなるような条件下で起動処理が実行される場合であっても、起動処理が完了するまでにかかる時間が長くなるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の構成では、画像形成装置の起動処理が完了するまでにかかる時間が長くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の全体構成を示す図
図2】本発明の一実施形態による画像形成装置のハードウェア構成を示す図
図3】本発明の一実施形態による画像形成装置のCPUの構成を示す図
図4】本発明の一実施形態による画像形成装置を起動させるときの処理の流れについて説明するためのフローチャート
図5】本発明の一実施形態による画像形成装置に記憶される第1処理情報について説明するための図
図6】本発明の一実施形態による画像形成装置に記憶される第2処理情報について説明するための図
図7】本発明の一実施形態による画像形成装置に記憶される使用率情報について説明するための図
図8】本発明の一実施形態による画像形成装置のCPUの使用率について説明するための図
図9】本発明の一実施形態による画像形成装置のCPUの使用率について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本実施形態の画像形成装置について、コピー機能やスキャン機能など複数種の機能を搭載する画像形成装置(複合機)を例にとって説明する。
【0013】
<画像形成装置の全体構成>
図1に示すように、画像形成装置100は、印刷部1および画像読取部2を備える。印刷部1は、用紙を搬送するとともに、画像データに基づきトナー像を形成する。そして、印刷部1は、搬送中の用紙にトナー像を印刷(転写)する。画像読取部2は、原稿を読み取り、読み取った原稿の画像データを生成する。
【0014】
印刷部1は、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5、中間転写部6および定着部7を含む。そして、印刷部1は、たとえば、画像読取部2による原稿の読み取りによって得られた画像データに基づき印刷を行う。
【0015】
給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙を用紙搬送路Pに供給する。用紙搬送部4は、搬送ローラー対41を複数含み、用紙搬送路Pに沿って用紙を搬送し、その用紙を排出トレイ42に排出する。
【0016】
画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、現像装置53、清掃装置54および露光装置55を含む。なお、画像形成部5は、黒(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色にそれぞれ対応する機構部50Bk、50Y、50Cおよび5Mに分類される。機構部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、それぞれ、感光体ドラム51、帯電装置52、現像装置53および清掃装置54を1つずつ有し、対応する色のトナー像を形成する。露光装置55は、感光体ドラム51の外周面に静電潜像を形成する。各色のトナー像は、静電潜像を現像することによって形成される。
【0017】
なお、画像形成装置100には、黒(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色の補給用トナー(現像装置53へ補給するトナー)をそれぞれ収容する4色分のコンテナ200が装着される。
【0018】
中間転写部6は、中間転写ベルト61、1次転写ローラー62および2次転写ローラー63を含む。中間転写ベルト61は、駆動ローラー64および従動ローラー65によって張架される。中間転写ベルト61には、画像形成部5により形成された各色のトナー像(感光体ドラム51の外周面のトナー像)が1次転写される。そして、中間転写部61は、中間転写ベルト61に転写されたトナー像を用紙に2次転写する。
【0019】
定着部7は、定着ローラー対71を含む。一方の定着ローラーは加熱ローラーであり、ヒーター72を内蔵する。他方の定着ローラーは加圧ローラーであり、加熱ローラーに圧接する。そして、定着部7は、定着ローラー対71のニップ(加熱ローラーと加圧ローラーとの間)に用紙が進入すると、その用紙を加熱および加圧し、用紙にトナー像を定着させる。
【0020】
ここで、印刷部1には、定着部7の温度(定着ローラー対71の表面の温度)を検知するための温度センサー70が設けられる。温度センサー70は、たとえば、サーミスターを含み、定着部7の温度に応じて出力値を変化させる。この温度センサー70は、定着部7の温度を予め定められた定着制御温度に保つ処理を行うときに用いられる。
【0021】
画像読取部2は、ランプ21、ミラー22、レンズ23およびイメージセンサー24を含む。これら各部材は、画像読取部2のフレーム内に収容される。また、画像読取部2のフレームには、コンタクトガラス20が嵌め込まれる。そして、画像読取部2は、コンタクトガラス20上の原稿を読み取る。なお、コンタクトガラス20上の原稿は原稿カバー25によって押え付けられる。
【0022】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図2に示すように、画像形成装置100は、主制御部110を備える。主制御部110は、メイン処理部120および記憶部130を含む。なお、メイン処理部120は「処理部」に相当する。
【0023】
メイン処理部120は、CPU(Central Processing Unit)によって構成される。メイン処理部120は、画像形成装置100の全体を制御する。また、メイン処理部120は、印刷部1の印刷動作を制御するための制御処理を行う。記憶部130は、ROMやRAMなどによって構成され、制御用のプログラムおよびデータを記憶する。この記憶部130に記憶された制御用のプログラムおよびデータに基づき、メイン処理部120による各種処理が行われる。
【0024】
たとえば、メイン処理部120は、定着部7の温度を制御するための処理を行う。このため、メイン処理部120には、温度センサー70が接続される。そして、メイン処理部120は、温度センサー70の出力に基づき定着部70の温度を検知し、その検知結果に基づき、定着部7の温度を定着制御温度に昇温させる処理や、定着部7の温度を定着制御温度に保つ処理を行う。
【0025】
また、画像形成装置100は、読取制御部210を備える。読取制御部210は、読取処理部220および記憶部230を含む。
【0026】
読取処理部220は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。読取処理部220は、メイン処理部120と通信可能に接続される。そして、読取処理部220は、メイン処理部220から指示を受け、画像読取部2の読取動作を制御するための制御処理を行う。記憶部230は、ROMやRAMなどによって構成され、制御用のプログラムおよびデータを記憶する。この記憶部230に記憶された制御用のプログラムおよびデータに基づき、読取処理部220による各種処理が行われる。
【0027】
また、画像形成装置100は、画像処理部310を備える。画像処理部310は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。
【0028】
また、画像形成装置100は、操作表示部(操作パネル)410を備える。操作表示部410は、タッチパネルディスプレイなど含み、ジョブの設定や実行要求などを行うための各種操作をユーザーから受け付ける。なお、操作表示部410の表示動作や、操作表示部410に対して行われた操作の検知などは、メイン処理部120によって行われる。
【0029】
また、画像形成装置100は、通信部510を備える。通信部510は、外部装置1000と通信可能に接続される。たとえば、外部装置1000は、画像形成装置100のユーザーにより使用されるユーザー端末(パーソナルコンピューター)である。そして、画像形成装置100がプリンターとして使用される場合には、印刷ジョブのジョブデータ(画像データや印刷条件、印刷ジョブの実行要求などを含むデータ)が外部装置1000から画像形成装置100へ送信され、通信部510が受信する。
【0030】
また、画像形成装置100は、電源部610を備える。電源部610は、画像形成装置100の各部を動作させるための電圧を生成し、画像形成装置100の各部へ供給する。この電源部610は、メインスイッチMSを介して商用電源と接続される。そして、メインスイッチMSを操作することにより、電源の投入と遮断との切り替えを行える。
【0031】
ここで、電源部610は、画像形成装置100が通常状態のときと省電力状態のときとで、被電力供給部(電源部610から電力供給を受けて動作する部分)に対する電力供給を異ならせる。なお、通常状態というのは、被電力供給部の全てに対して通常の電力供給を行っている状態である。この状態のときに、画像形成装置100でのジョブの実行が可能となる。一方で、省電力状態というのは、被電力供給部への電力供給を通常状態よりも制限しているときの状態のことである。
【0032】
メイン処理部120は、通常状態のとき、省電力状態への移行条件が満たされると、通常状態から省電力状態へ移行させる。具体的には、メイン処理部120は、画像形成装置100が使用されずに経過した時間である未使用時間を計測する。すなわち、メイン処理部120は、ジョブを実行せずに経過した時間(操作表示部410への操作が行われないまま経過した時間)を未使用時間として計測する。
【0033】
そして、メイン処理部120は、未使用時間が予め定められた閾値時間を超えると、移行条件が満たされたとして、通常状態から省電力状態へ移行させる。あるいは、メイン処理部120は、通常状態から省電力状態への移行指示を操作表示部410が受け付けときにも、移行条件が満たされたとして、通常状態から省電力状態へ移行させる。
【0034】
省電力状態への移行後、省電力状態から通常状態への復帰条件が満たされると、通常状態へ復帰する。復帰条件が満たされたか否かの判断は電源部610が行う。具体的には、電源部610は、省電力状態から通常状態への復帰条件が満たされたことを示す復帰信号を復帰条件検知部から受けると、復帰条件が満たされたと判断する。そして、電源部610は、被電力供給部の全てに対する電力供給を再開する(省電力状態から通常状態へ復帰する)。なお、電源部610は、復帰信号を復帰条件検知部から受けるため、省電力状態であっても、復帰条件検知部に対する電力供給は続ける。
【0035】
復帰条件検知部に相当する部分としては、操作表示部410が挙げられる。たとえば、操作表示部410は、省電力状態のときに操作を受けると、復帰信号を電源部610に送信する。また、通信部510も復帰条件検知部として機能する。通信部510は、省電力状態のときに外部装置1000からデータを受信すると、復帰信号を電源部610に送信する。
【0036】
さらに、図示しないが、原稿カバー25の開閉を検知するためのセンサーや、用紙カセット33の着脱を検知するためのセンサーなども復帰条件検知部として機能する。すなわち、電源部610は、省電力状態のときに、原稿カバー25が開閉されたり、用紙カセット33が着脱されたりすることで、被電力供給部の全てに対する電力供給を再開する。
【0037】
メイン処理部120は、省電力状態から通常状態へ復帰するとき、予め定められた起動処理を実行し、画像形成装置100を起動させる。また、メインスイッチMSがオフからオンに切り替わったとき(画像形成装置100へ電源が投入されたとき)にも、省電力状態から通常状態へ復帰するときと同様の起動処理が行われる。なお、画像形成装置100を起動させるための起動処理については後に詳細に説明する。
【0038】
<メイン処理部の構成>
図3に示すように、メイン処理部120は、処理回路(コア)121、通信回路(バスインターフェイス)122、キャッシュメモリー123およびクロック生成回路124などを含む。処理回路121は、メイン処理部120の全体の管理や各種処理を行う。通信回路122は、他のデバイスとの間で通信し、データを読み込んだり、データを出力したりする。たとえば、通信回路122は、読取処理部220と通信可能に接続される。キャッシュメモリー123は、データを記憶する。クロック生成回路124は、メイン処理部120の動作クロックを生成する。
【0039】
また、メイン処理部120は、定着部7の温度を検知するための温度センサー70と接続される。そして、メイン処理部120は、通常状態のとき、温度センサー70の出力に基づき定着部7の温度を検知し、定着部7の温度を定着制御温度に保つ処理を行う。この処理では、定着部7の温度が定着制御温度で保持されるように、ヒーター72に対する通電のオンオフが切り替えられる。また、メイン処理部120は、画像形成装置100を起動させるための起動処理を開始するとき、温度センサー70の出力に基づき定着部7の温度を検知する。
【0040】
また、メイン処理部120は、画像形成装置100の周辺温湿度(画像形成装置100の外部の温湿度)を検知するための温湿度センサー10と接続される。そして、メイン処理部120は、画像形成装置100を起動させるための起動処理を開始するとき、温湿度センサー10の出力に基づき画像形成装置100の周辺温湿度を検知する。
【0041】
また、メイン処理部120は、計時部140と接続される。たとえば、RTC(real−time clock)などが計時部140として主制御部110に設けられ、メイン処理部120に接続される。そして、メイン処理部120は、画像形成装置100を起動させるための起動処理を開始するとき、計時部140の出力に基づき、画像形成装置100の起動直前の未起動時間を求める。なお、未起動時間というのは、省電力状態へ移行してから、通常状態への復帰条件が満たされるまでの時間である。また、メインスイッチMSが前回オフしてから今回オンするまでの時間も未起動時間である。
【0042】
<画像形成装置の起動処理>
メイン処理部120は、画像形成装置100を起動させるための起動処理として、印刷部1を起動させるための処理と、画像読取部2を起動させるための処理とを実行する。以下の説明では、印刷部1の起動処理を印刷起動処理と称し、画像読取部2の起動処理を読取起動処理と称する。
【0043】
印刷起動処理は、印刷部1を印刷可能な状態で待機させるために行う処理である。たとえば、メイン処理部120は、印刷起動処理として、第1処理と第2処理とを実行する。
【0044】
第1処理(印刷起動処理の一処理)は、定着部7を温めて定着部7の温度を定着制御温度に昇温させるための処理である。第1処理を実行するとき、メイン処理部120は、温度センサー70の出力に基づき、第1処理を開始するときの定着部7の温度(定着部7を温める前の定着部7の温度)を検知する。また、メイン処理部120は、定着ローラー対71を回転させる(定着ローラー対71を回転させるためのモーターを駆動させる)。そして、メイン処理部120は、温度センサー70の出力を確認しつつ、定着ローラー対71を温めるためのヒーター72への通電のオンオフを制御し、定着部7の温度を定着制御温度まで昇温させる。
【0045】
第2処理(印刷起動処理の一処理)は、複数の調整処理(印刷部1に含まれる所定機器を調整するための処理)のうちから選択された少なくとも1つの処理を含む。複数の調整処理のうちいずれを選択して実行すべきかについては、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度および起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間によって変わる。たとえば、第2処理として、キャリブレーション用トナー像を形成し(中間転写ベルト61に1次転写し)、キャリブレーション用トナー像の転写位置に基づき、出力画像の色ずれを調整する処理がある。また、第2処理として、キャリブレーション用トナー像の濃度を検知し、検知結果に基づき、感光体ドラム51の帯電電位を調整したり、画像形成部5や中間転写部6の各種ローラーへの印加電圧を調整したり、露光装置55の光量を調整したりする処理がある。
【0046】
たとえば、画像形成装置100の周辺温度が予め定められた温度よりも高い場合と低い場合とでは、第2処理として実行すべき調整処理が異なる。言い換えると、高温用の調整処理と低温用の調整処理とが存在する。特に限定されないが、画像形成装置100の周辺温度が高いほど、あるいは、低いほど、第2処理として実行すべき調整処理が多くなる(処理時間が長くなる)。
【0047】
また、画像形成装置100の未起動時間が長いほど、第2処理として実行すべき調整処理が多くなる(処理時間が長くなる)。すなわち、画像形成装置100の未使用時間が長い場合には、短い場合に比べて、画像形成装置100の周辺温度が同じであっても、第2処理として実行すべき調整処理が多くなる。たとえば、画像形成装置100の未使用時間が予め定められた時間よりも短い場合には、第2処理として色ずれ調整だけが実行されてもよい。別の例として、画像形成装置100の未使用時間が予め定められた上限時間を超える場合には、画像形成装置100の周辺温度に関係なく、第2処理として準備された全ての調整処理が実行されてもよい。
【0048】
また、読取起動処理は、画像読取部2を原稿の読み取りが可能な状態で待機させるために行う処理である。たとえば、メイン処理部120は、読取起動処理として、ランプ21の光量調整、白基準を調整するためのゲイン調整、および、黒基準を調整するためのオフセット調整などを実行する。なお、読取起動処理として実行する処理は、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度および起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間に関係なく、毎回同じである。
【0049】
なお、起動処理として実行する処理は特に限定されない。ここで述べた処理以外の処理が起動処理として実行されてもよい。
【0050】
<起動処理を開始するときの流れ>
以下に、図4に示すフローチャートを参照し、メイン処理部120が起動処理(印刷起動処理および読取起動処理)を開始するときの流れについて説明する。図4に示すフローチャートのスタートは、メイン処理部120や読取処理部220などの被電力供給部に対して通常の電力供給が開始されたとき(被電力供給部が動作可能な状態になったとき)である。すなわち、省電力状態から通常状態への復帰条件が満たされたとき、あるいは、メインスイッチMSがオフからオンに切り替わったとき(画像形成装置100へ電源が投入されたとき)、図4に示すフローチャートがスタートとする。
【0051】
ステップS1において、メイン処理部120は、温度センサー70の出力に基づき、起動処理を開始するときの定着部7の温度(現在の温度)を検知する。なお、起動処理を開始するときの定着部7の温度というのは、ヒーター72により定着ローラー対71を温める前の温度のことである。
【0052】
そして、ステップS2において、メイン処理部120は、起動処理を開始するときの定着部7の温度に基づき、定着部7の温度を定着制御温度に昇温させるのにかかる時間(以下、昇温時間と称する)を判別する。たとえば、起動処理を開始するときの定着部7の温度が定着制御温度に対して低い第1の場合には、第1の場合よりも定着部7の温度が高い第2の場合に比べて、昇温時間は長くなる。また、定着部7の温度が低いほど昇温時間は長くなる。この起動処理を開始するときの定着部7の温度と昇温時間との関係は、実験的あるいは理論的に予め求めることができる。
【0053】
そこで、記憶部130には、図5に示すような第1処理情報710が記憶される。第1処理情報710は、起動処理を開始するときの定着部7の温度(定着温度)と昇温時間とを対応付けた情報である。たとえば、第1処理情報710では、定着温度が複数の温度範囲に分類される(たとえば、温度範囲FT1〜FT3の3段階)。そして、複数の温度範囲ごとに、対応する温度範囲内の温度が定着制御温度になるまでの時間が予め求められ、第1処理情報710で定義されている。
【0054】
一例として、定着制御温度が180℃であった場合、FT1は150℃以上とされ、FT2は30℃以上150℃未満とされ、FT3は30℃未満とされる。この場合、定着温度FT1に対応する昇温時間T11は最も短くなり、定着温度FT2に対応する昇温時間T12は昇温時間T11よりも長くなり、定着温度FT3に対応する昇温時間T13は最も長くなる。
【0055】
そして、メイン処理部120は、第1処理情報710に基づき、起動処理を開始するときの定着部7の温度に対応する昇温時間を判別する。言い換えると、メイン処理部120は、第1処理情報710で定義された数段階の昇温時間のうちから、起動処理を開始するときの定着部7の温度に対応する昇温時間を検索する。
【0056】
なお、メイン処理部120は、起動処理(印刷起動処理)として、定着部7の温度を定着制御温度に昇温させるための第1処理を実行するが、その第1処理は定着部7の温度が定着制御温度になるまで続行される。すなわち、昇温時間を判別するということは、第1処理の処理時間を判別することに相当する。
【0057】
図4に戻り、ステップS3において、メイン処理部120は、温湿度センサー10の出力に基づき、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度(現在の周辺温湿度)である現在温湿度を検知する。
【0058】
また、ステップS4において、メイン処理部120は、計時部140の出力に基づき、起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間である直近未起動時間を求める。たとえば、メイン処理部120は、省電力状態へ移行するとき、その時点の時刻(省電力状態移行時刻)を計時部140の出力に基づき検知し記憶する。また、メイン処理部120は、通常状態へ復帰するとき、その時点の時刻(通常状態復帰時刻)を計時部140の出力に基づき検知し、省電力状態移行時刻と通常状態復帰時刻とに基づき直近未起動時間を求める。
【0059】
そして、ステップS5において、メイン処理部120は、現在温湿度と直近未起動時間とに基づき、第2処理の処理時間を判別する。たとえば、記憶部130には、第2処理の処理時間を判別するための第2処理情報720(図6参照)が記憶される。第2処理情報720は、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度および起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間と、第2処理の処理時間とを対応づけた情報である。
【0060】
第2処理情報720では、図6に示すように、第2処理として実行され得る複数の調整処理のうちいずれを実行すべきかを確定するための条件が複数に分類される。当該条件というのは、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度および起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間である。そして、複数の条件ごとに、対応する条件下で実行すべき調整処理だけを行った場合の第2処理の処理時間が予め求められ、第2処理情報720で定義されている。
【0061】
メイン処理部120は、現在温湿度を検知し、直近未起動時間を求めると、第2処理情報720で定義された条件(条件1、条件2、・・・)のうちから、現在温湿度および直近未起動時間に対応する条件を判別する。そして、メイン処理部120は、第2処理情報720で定義された第2処理の処理時間(T21、T22、・・・)のうちから、前記判別した条件に対応付けられた第2処理の処理時間を判別する。
【0062】
図4に戻り、ステップS6において、メイン処理部120は、第1処理および第2処理の各処理時間に基づき、印刷起動処理だけを行う場合に印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間を求める。たとえば、印刷起動処理だけを行う場合の印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間は、第1処理および第2処理の各処理時間によって異なるが、実験的あるいは理論的に求めることができる(予測することができる)。このため、たとえば、第1処理および第2処理の各処理時間に基づき予測時間を求めるための情報(第1処理および第2処理の各処理時間と予測時間とを対応付けた情報)を予め記憶部130に記憶させておき、当該情報に基づき予測時間を求めるよう構成してもよい。
【0063】
次に、ステップS7において、メイン処理部120は、処理回路121に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間(使用率)の目標値を設定する。以下の説明では、処理回路121に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を単に使用率と称する。
【0064】
具体的には、使用率の目標値(目標使用率)を設定するため、メイン処理部120(処理回路121)が印刷起動処理だけを行う場合に印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間と、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となる使用率とを対応付けた情報である使用率情報700(図7参照)が予め記憶部130に記憶される。図7に示すように、使用率情報700では、予測時間が複数の時間範囲(たとえば、T1〜T3の3段階)に分類される。そして、複数の予測時間ごとに、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となる使用率が予め求められ、使用率情報700で定義されている。
【0065】
たとえば、使用率は、80%、50%および20%の3段階に分類される。そして、最短の予測時間T1に対応する使用率は80%とされ、最長の予測時間T3に対応する使用率は20%とされ、予測時間T1と予測時間T3との中間の予測時間T2に対応する使用率は50%とされる。すなわち、使用率情報700では、印刷起動処理(第1処理および第2処理)にかかる処理時間が長いほど使用率が低くなり、印刷起動処理(第1処理および第2処理)にかかる処理時間が短いほど使用率が高くなるよう定義されている。
【0066】
そして、メイン処理部120は、使用率情報700に基づき、予測時間に対応する使用率を判別するとともに、当該判別した使用率を目標使用率として設定する。その後、図4のステップS8に移行する。
【0067】
ステップS8に移行すると、メイン処理部120は、使用率が目標使用率となるよう起動処理を実行(開始)する。これにより、印刷起動処理(第1処理および第2処理)にかかる処理時間が長いほど、処理回路121が単位時間内に実行する読取起動処理の処理時間が短くなり、印刷起動処理にかかる処理時間が短いほど、処理回路121が単位時間内に実行する読取起動処理の処理時間が長くなる。
【0068】
<使用率の変更処理>
図8および図9に示すように、通常では、メイン処理部120は、単位時間内に、読取起動処理と、読取処理部220と通信する通信処理とを交互に実行する。そして、メイン処理部120は、通信処理の実行期間に印刷起動処理を実行する(上図参照)。これにより、印刷起動処理と読取起動処理とは実質的に並行して実行される。
【0069】
ここで、メイン処理部120は、予め定められた閾値以下の使用率を目標使用率として設定したとき、図8(下図)に示すように、単位時間内に、読取起動処理および通信処理を実行しない所定期間を設ける。すなわち、メイン処理部120は、所定期間を設けることによって、使用率を下げる。そして、メイン処理部120は、所定期間にも印刷起動処理を実行する。これにより、通信処理の実行期間に加えて、所定期間にも印刷起動処理が実行されるので、単位時間内における印刷起動処理の実行期間が長くなる。なお、メイン処理部120は、目標使用率が低いほど、所定期間を長くする(使用率を下げる)。
【0070】
あるいは、メイン処理部120は、予め定められた閾値以下の使用率を目標使用率として設定したとき、図9(下図)に示すように、通信処理の実行期間を通常よりも長くする(通信速度を通常よりも遅くする)。すなわち、メイン処理部120は、通信処理の実行期間を通常よりも長くすることによって、使用率を下げる。これにより、印刷起動処理は通信処理の実行期間に実行されるので、単位時間内における印刷起動処理の実行期間が長くなる。なお、メイン処理部120は、目標使用率が低いほど、通信処理の実行期間を長くする(使用率を下げる)。
【0071】
本実施形態の画像形成装置100は、上記したように、用紙に画像を印刷する印刷部1と、原稿を読み取る画像読取部2と、画像形成装置100を起動するための起動処理として、印刷部1を起動するための印刷起動処理および画像読取部2を起動するための読取起動処理を実行するメイン処理部120(処理部)と、情報を記憶する記憶部130と、を備える。記憶部130は、メイン処理部120に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を示す使用率を定めた情報であり、印刷起動処理だけを行う場合に印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間と、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となる使用率とを対応付けた情報である使用率情報700を記憶する。メイン処理部120は、起動処理を開始するとき、予測時間を求め、使用率情報700に基づき、予測時間に対応する使用率を判別するとともに、当該判別した使用率を目標使用率として設定し、使用率が目標使用率となるよう起動処理を実行する。
【0072】
本実施形態の構成では、画像形成装置100を起動させるための起動処理を開始するときに、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となるように、印刷起動処理だけを行う場合に印刷起動処理の開始から完了までにかかると予測される予測時間に応じて、メイン処理部120に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を示す使用率を変更(設定)する。すなわち、起動処理の開始から印刷起動処理および読取起動処理の両方が完了するまでにかかる時間が最短となるように、メイン処理部120に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を変化させ、メイン処理部120に印刷起動処理を実行させる単位時間当たりの時間を増減する。これにより、印刷起動処理の処理時間(予測時間)が長くなるような条件下で起動処理が実行される場合であっても、起動処理が完了するまでにかかる時間が長くなるのを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記したように、メイン処理部120は、画像形成装置100を起動させるための起動処理を開始するとき、起動処理を開始するときの定着部7の温度を温度センサー70の出力に基づき検知し、第1処理情報710に基づき、起動処理を開始するときの定着部7の温度に対応する昇温時間を第1処理の処理時間として判別し、当該判別した第1処理の処理時間と、印刷起動処理として実行すべき第1処理以外の処理の処理時間とに基づき、予測時間を求める。ここで、印刷起動処理(第1処理)の処理時間は、起動処理を開始するときの定着部7の温度によって変わる。したがって、起動処理を開始するときの定着部7の温度を考慮して予測時間を求めるよう構成することによって、予測時間を正確に求めることができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記したように、メイン処理部120は、画像形成装置100を起動させるための起動処理を開始するとき、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度を温湿度センサー10の出力に基づき検知するとともに、起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間を計時部140の出力に基づき求め、第2処理情報720に基づき、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度および起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間に対応する第2処理の処理時間を判別し、当該判別した第2処理の処理時間と、印刷起動処理として実行すべき第2処理以外の処理の処理時間とに基づき、予測時間を求める。ここで、印刷起動処理(第2処理)の処理時間は、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度や起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間によって変わる。したがって、起動処理を開始するときの画像形成装置100の周辺温湿度および起動処理を開始する直前の画像形成装置100の未起動時間を考慮して予測時間を求めるよう構成することによって、予測時間を正確に求めることができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記したように、メイン処理部120は、単位時間内に、読取起動処理および通信処理を実行しない所定期間を設けるとともに、目標使用率が低いほど、所定期間を長くし、所定期間にも印刷起動処理を実行する。あるいは、メイン処理部120は、目標使用率が低いほど、通信処理の実行期間を長くする(所定期間は設けない)。このように構成すれば、容易に、メイン処理部120に読取起動処理を実行させる単位時間当たりの時間(使用率)を変更することができる。
【0076】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 印刷部
2 画像読取部
7 定着部
10 温湿度センサー
70 温度センサー
120 メイン処理部(処理部)
130 記憶部
140 計時部
220 読取処理部
700 使用率情報
710 第1処理情報
720 第2処理情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9