特許第6365527号(P6365527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365527
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】チーズ様食品
(51)【国際特許分類】
   A23C 20/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   A23C20/00
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-501356(P2015-501356)
(86)(22)【出願日】2014年1月10日
(86)【国際出願番号】JP2014050331
(87)【国際公開番号】WO2014129230
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2016年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-32250(P2013-32250)
(32)【優先日】2013年2月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(72)【発明者】
【氏名】城谷 直紀
(72)【発明者】
【氏名】辻井 設夫
【審査官】 野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/147280(WO,A1)
【文献】 米国特許第05807601(US,A)
【文献】 特開2009−050263(JP,A)
【文献】 特開平01−098442(JP,A)
【文献】 特開2010−220585(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/078526(WO,A1)
【文献】 ニュージーランド公告特許第280444号(NZ 280444 A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 1/00−23/00
A23D 7/00− 9/06
A23L 2/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水酸処理澱粉試料8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)により、ブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が10cps以上200cps未満の酸処理度が低い酸処理澱粉、上昇融点が25〜45℃、およびSFC(固体脂含量)が10℃で45%以上かつ20℃で15%以上である油脂および蛋白質を含有し、蛋白質含量が0.5〜10重量%であるチーズ様食品。
【請求項2】
酸処理度が低い酸処理澱粉の含有量が3〜20重量%である、請求項1に記載のチーズ様食品。
【請求項3】
油脂含量が10〜50重量%である、請求項1または2に記載のチーズ様食品。
【請求項4】
増粘剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のチーズ様食品。
【請求項5】
5℃におけるレオメーター測定値による硬さが700g〜2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)である請求項1〜4のいずれか1項に記載のチーズ様食品。
【請求項6】
耐熱保形性を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のチーズ様食品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のチーズ様食品を加工してなる、スライス状、サイノメ状、タンザク状、シュレッド状または粉末状の成形チーズ様食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチーズ様食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年伸長している日本のチーズ市場において、プロセスチーズ類はその約半分の物量を占めている。なかでも、耐熱保形性を有するプロセスチーズは、ダイス状にカットして惣菜パン等に使用することや、チーズカマボコ等のように他の食品素材と組み合わせて加工食品として使用することができる。従って、さまざまな調理や業務用加工食品に使用するうえで、多くのユーザーが耐熱保形性を有するプロセスチーズを求めている。
【0003】
耐熱保形性を有するプロセスチーズとして、原料チーズにキトサンを添加し、加熱乳化することにより得られるプロセスチーズ(特許文献1)、原料チーズにアルブミンを添加し、加熱乳化することにより得られるプロセスチーズ(特許文献2)、原料チーズに酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉を添加し、加熱乳化することにより得られるプロセスチーズ(特許文献3)が開示されている。
【0004】
プロセスチーズとはナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものをいい、安定した品質となる一方、二次加工を伴うためナチュラルチーズよりもコストが高くなる。また、プロセスチーズは、乳を原料とするため高コレステロール食品である。さらに、乳およびナチュラルチーズのコストアップなどにより、プロセスチーズは必ずしも安価で手軽に摂れる食品とはいえない。従って、健康面およびコスト面において、低コレステロールかつ低コストであり、さらに耐熱保形性を有するチーズ様食品が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−19649号公報
【特許文献2】特開昭52−7465号公報
【特許文献3】特開平6−153791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、成形加工適性と耐熱保形性を有するチーズ様食品を提供することである。さらなる目的は、健康面およびコスト面において、低コレステロールかつ生産性が良く低コストであるチーズ様食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ね、酸処理度の低い酸処理澱粉および上昇融点が25〜45℃である油脂を含有し、蛋白質含量が10重量%以下であるチーズ様食品が、上記課題を解決できるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は:
(1)酸処理度が低い酸処理澱粉、上昇融点が25〜45℃である油脂および蛋白質を含有し、蛋白質含量が0.5〜10重量%であるチーズ様食品;
(2)酸処理度が低い酸処理澱粉の含有量が3〜20重量%である、(1)のチーズ様食品;
(3)油脂含量が10〜50重量%である、(1)または(2)のチーズ様食品;
(4)増粘剤を含有する(1)〜(3)のいずれかのチーズ様食品;
(5)5℃におけるレオメーター測定値による硬さが700g〜2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)である(1)〜(4)のいずれかのチーズ様食品;
(6)耐熱保形性を有する(1)〜(5)のいずれかのチーズ様食品;
(7)(1)〜(6)のいずれかのチーズ様食品を加工してなる、スライス状、サイノメ状、タンザク状、シュレッド状または粉末状の成形チーズ様食品;
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、成形加工適性と耐熱保形性を有するチーズ様食品を提供することができる。さらには、健康面およびコスト面において、低コレステロールかつ低コストであるチーズ様食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明でいうチーズ様食品とは、ナチュラルチーズおよびこれを主たる原料とする通常のプロセスチーズと異なり、油脂、蛋白質、澱粉などを組み合わせて調製された食品であって、ナチュラルチーズ、プロセスチーズおよびそれらの加工品に類似する食品をいう。
【0012】
本発明のチーズ様食品は酸処理澱粉を含有することを特徴とする。ここで、酸処理澱粉とは、未処理の澱粉を塩酸や硫酸等の酸で処理した加工澱粉のことをいう。澱粉の由来は特に限定されず、例えば、そら豆、エンドウ、小豆などの豆類由来、馬鈴薯由来、甘薯由来、タピオカ由来、米由来、小麦由来、ワキシーコーン由来、コーン由来などの酸処理澱粉を使用することができる。なかでもコーン由来、タピオカ由来の酸処理澱粉が好ましく、タピオカ由来の酸処理デンプンがより好ましい。
【0013】
本発明のチーズ様食品は酸処理度の低い酸処理澱粉を含有することを特徴とする。本明細書において、酸処理度は、無水酸処理澱粉試料8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)により、ブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度により定義される。具体的には、測定した粘度が10cps未満の澱粉は酸処理度が高く、10cps以上200cps未満の澱粉は酸処理度が低いものとする。
【0014】
本発明のチーズ様食品における酸処理澱粉の含有量は特に限定されないが、酸処理度の低い酸処理澱粉をチーズ様食品中に3〜20重量%、好ましくは5〜18重量%、より好ましくは5〜16、さらに好ましくは6〜12重量%、さらにより好ましくは8〜12重量%含有することが好ましい。
【0015】
本発明のチーズ様食品は上昇融点が25〜45℃である油脂を含有することを特徴とする。好ましくは上昇融点が25〜40℃、より好ましくは27〜33℃、さらに好ましくは30〜32℃である油脂を含有することが、加工適性、耐熱保形性の点から好ましい。
【0016】
また、本発明のチーズ様食品は風味、口溶けの点から、油脂のSFC(固体脂含量)が10℃で45%以上かつ20℃で15%以上であり、より好ましくは、10℃でのSFCが50%以上かつ20℃でのSFCが25%以上であり、さらに好ましくは、10℃でのSFCが60%以上かつ20℃でのSFCが30%以上であり、さらにより好ましくは、10℃でのSFCが80%以上かつ20℃でのSFCが70%以上あることが、好ましい。
【0017】
さらに、上記油脂の中でもP2O型トリグリセリドを5%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%以上、最も好ましくは60%以上含むものが、チーズ様食品の成形加工適正の点から好ましい。P2O(但し、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を示す)型トリグリセリドは、トリグリセリド分子内における脂肪酸の位置異性体を限定するものではなく、1,3−パルミトイル,2−オレイルグリセリンと1,2−パルミトイル,3−オレイルグリセリンの双方を意味する。P2O型トリグリセリドは特に限定されないが、パーム油を分別して得られるパームオレインをさらに分別して得られるパーム油中融点部が好ましく、また、それらの硬化油脂も使用できる。あるいはP2O型トリグリセリドは、オレイン酸、パルミチン酸を含む油脂のエステル交換等によっても得ることができる。
【0018】
また、本発明のチーズ様食品の油脂含量は特に限定はされないが、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは25〜35重量%が好ましい。上記油脂含量において、油脂がより良好な結晶のネットワークを形成し、酸処理澱粉の老化が進行することで、チーズ様食品の成形加工適正が得られると考えられる。
【0019】
本発明のチーズ様食品は、油脂を全て植物性とすることもできるし、牛脂、豚脂、魚油、乳脂などの動物性油脂や、それらの加工油脂を含有させてもよい。例えばバター、生クリームなどに由来する乳脂を少量含有させることにより、チーズ様食品の風味を向上させることができる。
【0020】
また、本発明のチーズ様食品中にナチュラルチーズおよび/またはプロセスチーズを含有させることもでき、少量のナチュラルチーズおよび/またはプロセスチーズを含有させることにより、よりチーズ様食品の風味を向上させることができる。ナチュラルチーズおよび/またはプロセスチーズの量は特に限定されないが、好ましくは本発明のチーズ様食品の20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0021】
さらに、本発明のチーズ様食品に含まれる蛋白質は、特に限定されず、大豆蛋白質、トウモロコシ蛋白質、小麦蛋白質、エンドウ豆蛋白質等の植物蛋白質やカゼイン、卵白アルブミン、乳蛋白質、乳清蛋白質、ゼラチン、アクチン、ミオシン、絹蛋白質等の動物性蛋白質が使用できる。ポリペプチド、ペプチドおよびアミノ酸等を使用してもよい。蛋白質を全て植物性としてもよいし、全て動物性蛋白質としてもよいし、またこれらの混合でもよい。風味の面では、乳蛋白質を用いることが好ましい。本発明のチーズ様食品中の蛋白質含量は10重量%以下であることを特徴とし、より好ましくは8重量%以下である。
チーズ様食品中の蛋白質含量が10重量%を超えると、チーズ様食品調製時における調合粘度が増大し、製造が困難となる。
【0022】
本発明のチーズ様食品は、さらに増粘剤を含有することができる。これにより、チーズ様食品にさらに粘りを付与でき、シュレッドなどへの成形加工適正をさらに向上させることができる。増粘剤としては、特に限定はされないが、例えば加工澱粉(ヒドロキシプロピル化澱粉)、寒天、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、トラガカントガム、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸塩を用いることができる。なかでも加工澱粉(ヒドロキシプロピル化澱粉)、ローカストビーンガム、グァーガムを用いることが好ましい。
【0023】
本発明のチーズ様食品は、風味を害しない程度に乳化剤を含有することができる。乳化剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の乳化剤を使用することができ、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロプレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが例示できる。
【0024】
本発明のチーズ様食品は、上記の原料のほかに、食品に用いられる公知の添加剤を含有することができる。例えば、リン酸塩等のpH調整剤、風味付与の目的でミルクフレーバー、チーズフレーバーなどの香料、各種香辛料、フルーツピューレやジャム類、甘味付与の目的でスクラロース、アスパルテーム、ステビアなどの甘味料、また着色の目的でベータカロチンやパプリカ色素、アナトー色素などの着色料を使用することができる。また、日持ち向上の目的で、グリシン、酢酸ナトリウム、卵白リゾチームなどの日持ち向上剤を使用することもできる。
【0025】
本発明のチーズ様食品は酸処理澱粉、上昇融点が25〜45℃である油脂、および蛋白質を含有し、蛋白質含量を10重量%以下としたものである。
【0026】
さらに本発明のチーズ様食品は物性として、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが700g〜2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であることが好ましく、より好ましくは800g〜1800gである。このような物性のチーズ様食品は、成形加工適性を有し、カット、分割、ミキシング、粉砕等の公知の加工に供して、スライス状、サイノメ状、タンザク状、シュレッド状または粉末状の成形チーズ様食品を提供することが可能となる。
【0027】
また、本発明のチーズ様食品は、耐熱保形性を有することを特徴とする。例えば、200℃で6分間加熱された後でも、保形性を有するチーズ様食品を提供することができる。従って、本発明のチーズ様食品は、パン、ケーキ等の焼成食品のトッピング材、レトルト食品の具材などに用いることができる。また、かまぼこ、ちくわのような水産加工食品と組み合わせて用いることもできる。
【0028】
耐熱保形性は、より具体的には以下の方法で評価することができる。
チーズを20×20×20mmの立方体に切り出し、シャーレにひいた濾紙の上に載せ、200℃で6分間加熱した後、加熱保持前の高さと保持後の高さを比較する。耐熱保形性は以下の式で求める。
耐熱保形性=加熱保持後の高さ/加熱保持前の高さ×100(%)
本発明においては、上記の値が60%以上であれば耐熱保形性を有するものとする。好ましくは、耐熱保形性は70%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0029】
本発明のチーズ様食品の製造方法としては、例えば、油脂、蛋白質原料、酸処理澱粉、食塩、pH調整剤、香料、色素および水が混合された水中油型乳化物を予備乳化、均質化した後、殺菌および冷却の工程を経て製造することができる。予備乳化の際、有機酸やアルカリ性塩を用いてpHを3.5〜5.7に調整するが、水中油型乳化物を乳酸発酵することによりpHを調整することもできる。乳酸発酵する場合は乳酸菌スターターを用い、15〜45℃で、pH3.5〜5.7、好ましくはpH4〜5.5になるまで行う。pHが5.5を超えると日持ちが悪くなる傾向を示し、pHが4未満では酸味が強く、チーズ様食品として使用したときに、食品全体としてのバランスが悪くなるため、上記範囲内に調整するのが適当である。加熱殺菌は澱粉を糊化させる目的もあり、好ましくは70〜95℃にて実施する。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を示し、本発明の詳細をより具体的に説明する。なお、例中、部あるいは%はいずれも重量基準をあらわす。
【0031】
(実施例1)
パーム油中融点画分(上昇融点30℃/SFC:10℃で90%、20℃で80%/P2O型トリグリセリド含量65%)42部、タピオカ由来の酸処理度の低い(無水酸処理澱粉8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)を用いてブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が57cps)酸処理澱粉4部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は42%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが500g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性60%と耐熱保形性を有し、良好なチーズ風味を呈した。
【0032】
(実施例2)
パーム油中融点画分を40部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を6部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は40%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが800g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性70%と耐熱保形性を有し、良好なチーズ風味を呈した。
【0033】
(実施例3)
パーム油中融点画分を34部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を12部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが1800g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0034】
(実施例4)
酸処理澱粉を、コーンスターチ由来の酸処理度の低い(無水酸処理澱粉8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)を用いてブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が39cps)酸処理澱粉とした以外は、実施例3と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0035】
(実施例5)
パーム油中融点画分を31部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を15部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は31%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0036】
(実施例6)
パーム油中融点画分を27部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を19部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は27%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0037】
(実施例7)
精製パーム油(上昇融点37℃/SFC:10℃で55%、20℃で27%/P2O型トリグリセリド含量30%)を34部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を12部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが500g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0038】
(実施例8)
パーム油とパーム核油のエステル交換油脂(上昇融点32℃/SFC:10℃で48%、20℃で22%/P2O型トリグリセリド含量8%)を34部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を12部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが500g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0039】
(実施例9)
乳脂(上昇融点31℃/SFC:10℃で47%、20℃で17%/P2O型トリグリセリド含量5%)を34部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を12部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが500g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0040】
(実施例10)
パーム油中融点画分を34部、タピオカ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉を6部、ワキシ―コーン由来のヒドロキシプロピル化デンプンを6部とした以外は、実施例1と同様にしてチーズ様食品を調製した。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが1800g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0041】
実施例1〜10の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(比較例1)
実施例1で用いたパーム油中融点画分34部、酸処理されていないタピオカ澱粉(無水澱粉8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)を用いてブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が6100cps)12部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
しかしながら、高粘度な物性となり、生産性は著しく劣った。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが1400g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0044】
(比較例2)
実施例1で用いたパーム油中融点画分34部、酸処理されていないコーンスターチ澱粉(無水酸処理澱粉8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)を用いてブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が8000cps)12部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
しかしながら、高粘度な物性となり、生産性は著しく劣った。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れており、良好なチーズ風味を呈した。
【0045】
(比較例3)
実施例1で用いたパーム油中融点画分34部、タピオカ由来の酸処理度の高い(無水酸処理澱粉8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)を用いてブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が5cps)酸処理澱粉12部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが1600g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
しかしながら、耐熱保形性40%と耐熱保形性が劣るものであった。
【0046】
(比較例4)
実施例1で用いたパーム油中融点画分34部、コーンスターチ由来の酸処理度の高い(無水酸処理澱粉8重量%を水92重量%に溶解し、粘度計(Brabender Viscograph E)を用いてブレード型スティラーを用いて50℃、30rpmで測定した時の粘度が4cps)酸処理澱粉12部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが1900g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
しかしながら、耐熱保形性50%と耐熱保形性が劣るものであった。
【0047】
(比較例5)
サラダ油(SFC:10℃で0%、20℃で0%)34部、実施例4で用いたコーンスターチ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉12部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが100g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性が著しく劣るものであった。
さらに、耐熱保形性20%と耐熱保形性が著しく劣るものであった。
【0048】
(比較例6)
パーム油低融点画分(上昇融点9℃/SFC:10℃で0%、20℃で0%/P2O型トリグリセリド含量10%)34部、実施例4で用いたコーンスターチ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉12部、トータルミルクプロテイン2部、食塩1部、水51部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は34%、蛋白質含量は1.6%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが100g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性が著しく劣るものであった。
さらに、耐熱保形性20%と耐熱保形性が著しく劣るものであった。
【0049】
(比較例7)
実施例1で用いたパーム油中融点画分25部、実施例4で用いたコーンスターチ由来の酸処理度の低い酸処理澱粉12部、トータルミルクプロテイン15部、食塩1部、水47部、乳酸を含むpH調整剤1.5部、香料0.3部、色素0.002部を、55℃で10分間調合し、さらに100Kg/cmの圧力下で均質化した。
しかしながら、高粘度な物性となり、生産性は著しく劣った。
均質化後、掻きとり式連続熱交換機に通し、80〜90℃で加熱殺菌、充填し、トンネルフリーザーにて急冷後、冷蔵庫でエージングを行った。
得られたチーズ様食品の油脂含量は25%、蛋白質含量は12.2%、pHは5.4であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが2000g/19.6mm(直径5mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分、不動工業株式会社製)であり、成形加工適性を有した。
また、耐熱保形性100%と耐熱保形性に優れていた。
【0050】
比較例1〜7の結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0052】
上記のとおり、特定の油脂および酸処理度の低い酸処理澱粉を用いることにより、成形加工適性と耐熱保形性を有するチーズ様食品を提供することができる。