特許第6365633号(P6365633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6365633車長推定装置、交通管制システム、車長推定方法、および車長推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365633
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】車長推定装置、交通管制システム、車長推定方法、および車長推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20180723BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G08G1/015 A
   G08G1/01 D
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-218778(P2016-218778)
(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公開番号】特開2018-77660(P2018-77660A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 早映子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敦
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】倉田 剛
(72)【発明者】
【氏名】川勝 崇司
【審査官】 上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−293897(JP,A)
【文献】 特開平08−086614(JP,A)
【文献】 特開平09−091588(JP,A)
【文献】 特公昭48−024161(JP,B1)
【文献】 特開平02−021283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両検知センサで検知した検知ポイントにおける車両の検知データを取得する車両検知データ取得部と、
前記車両検知データ取得部が取得した車両の検知データに基づき、前記検知ポイントを通過した車両を車両群に分割する車両群分割部と、
前記車両検知データ取得部が取得した車両の検知データに基づき、予め定めた特徴を有する特定車両を、前記車両群分割部が分割した車両群から抽出する特定車両抽出部と、
前記特定車両抽出部が抽出した特定車両の車長を、予め定めた特徴を有しない非特定車両の検知データを用いて推定する車長推定部と、を備えた車長推定装置。
【請求項2】
前記特定車両抽出部は、車両の車長を特徴として特定車両を抽出する、請求項1に記載の車長推定装置。
【請求項3】
前記特定車両抽出部は、車両の車高を特徴として特定車両を抽出する、請求項1、または2に記載の車長推定装置。
【請求項4】
前記車長推定部は、前記特定車両抽出部が抽出した特定車両の車長を、この特定車両に連続する1、または複数台の非特定車両の検知データを用いて推定する、請求項1〜3のいずれかに記載の車長推定装置。
【請求項5】
前記車長推定部は、前記特定車両抽出部が抽出した特定車両の車長を、この特定車両に連続し、且つ後続の1、または複数台の非特定車両の検知データを用いて推定する、請求項1〜3のいずれかに記載の車長推定装置。
【請求項6】
前記車長推定部は、非特定車両の車長を予め定めた基準長さに仮定し、特定車両の車長を推定する、請求項1〜5のいずれかに記載の車長推定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の車長推定装置と、
2つの前記検知ポイント間で通過した車両を対応付けるマッチング装置と、を備え、
前記マッチング装置は、
2つの前記検知ポイント間で通過した車両を、前記車長推定装置により推定された特定車両の車長を用いて対応付けるマッチング部を備えている、
交通管制システム。
【請求項8】
車両検知センサで検知した検知ポイントにおける車両の検知データを取得する車両検知データ取得ステップと、
前記車両検知データ取得ステップで取得した車両の検知データに基づき、前記検知ポイントを通過した車両を車両群に分割する車両群分割ステップと、
前記車両検知データ取得ステップで取得した車両の検知データに基づき、予め定めた特徴を有する特定車両を、前記車両群分割ステップで分割した車両群から抽出する特定車両抽出ステップと、
前記特定車両抽出ステップで抽出した特定車両の車長を、予め定めた特徴を有しない非特定車両の検知データを用いて推定する車長推定ステップと、をコンピュータが実行する車長推定方法。
【請求項9】
車両検知センサで検知した検知ポイントにおける車両の検知データを取得する車両検知データ取得ステップと、
前記車両検知データ取得ステップで取得した車両の検知データに基づき、前記検知ポイントを通過した車両を車両群に分割する車両群分割ステップと、
前記車両検知データ取得ステップで取得した車両の検知データに基づき、予め定めた特徴を有する特定車両を、前記車両群分割ステップで分割した車両群から抽出する特定車両抽出ステップと、
前記特定車両抽出ステップで抽出した特定車両の車長を、予め定めた特徴を有しない非特定車両の検知データを用いて推定する車長推定ステップと、をコンピュータに実行させる車長推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高速道路や一般道路等における車両の交通状況を観測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や一般道路等では、車両検知センサを設置し、交通状況の観測を行っている。車両検知センサは、設定した検知ポイントを通過する車両の検知を行う。例えば、車両検知センサには、超音波や赤外光等の探査波を検知ポイントに向けて照射し、その反射波を検知するまでの時間(探査波の飛行時間)を計測することによって、検知ポイントにおける車両の有無を検知するものがある。この探査波を用いる車両検知センサは、探査波を上方から路面に向けて照射するように取り付けることで、車両の有無だけでなく、車両の高さ(路面からの高さ)の検知も行える。また、車両検知センサには、路面に埋め込んだループコイルによって、車両を検知するものもある。
【0003】
また、交通状況の観測では、検知ポイントを通過した車両の車種(予め定めた車両区分による車種)、検知ポイントにおける車両の通過速度等を推定することも行われている(特許文献1、2等参照)。
【0004】
特許文献1は、大型車の車長を15m、中型車の車長を10m、小型車の車長を5mに仮定し、検知ポイントを通過した車両の速度を推定する構成である。具体的には、検知ポイントを通過した車両について、その車両が大型車、中型車、および小型車である場合のそれぞれについて速度を算出する。速度の算出は、車長を、車両検知センサが検知ポイントにおいて車両を検知していた時間(その車両が検知ポイントの通過に要した時間)で除することによって行える。そして、特許文献1は、車種毎(大型車、中型車、小型車のそぞれについて)に推定した速度の中から、その時点における交通状況にあう速度を選択することで、検知ポイントを通過した車両の車種を推定する構成である。
【0005】
また、特許文献2は、車両の走行方向に数m離した2つの検知ポイントのそれぞれに車両検知センサを設置し、2つの車両検知センサが車両を検知したタイミングのずれ(時間差)等を用いて、車両の速度や、車長を推定する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−212792号公報
【特許文献2】特開平07−282384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は、検知ポイントを通過した車両の車長を推定するものではなかった(特許文献1は、上述したように、車種毎に、車長を予め仮定し、車両の速度を推定する構成である。)。
【0008】
一般に、トラックやトレーラ等の車長が長い車両ほど、車両間での車長のばらつきが大きくなる。例えば、特許文献1における車種の分類である、小型車、中型車、大型車の順に、車長のばらつきが大きくなる。特に、トレーラは、単車、セミトレ、フルトレ等の種類がある。単車は、車両のヘッド部分と荷台部分とが分離できない一体構造の車両である。セミトレは、車両のヘッド部分と荷台部分とが分離可能な構造で、車両のヘッド部分を分離した荷台部分が自立できない構造の車両である。フルトレは、セミトレと同様に車両のヘッド部分と荷台部分とが分離可能な構造であり、且つ車両のヘッド部分を分離した荷台部分が自立できる構造の車両である。セミトレ、およびフルトレは、車両のヘッド部分に接続される荷台部分の長さ(車長方向の長さ)によって、車長が変動する。
【0009】
したがって、特許文献1の構成では、大型車については速度の推定精度を十分に確保できない。
【0010】
また、特許文献2に記載された構成は、大型車についても速度、および車長の推定精度を確保できるが、各検知ポイントに、2つの車両検知センサを設置しなければならない。したがって、検知ポイントが多くなるにつれてシステムが複雑になり、システムの構築にかかるコストが増大する。
【0011】
この発明の目的は、予め定めた特徴を有する特定車両の車長の推定精度を十分に確保でき、且つシステムの構築にかかるコストを抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の車長推定装置は、上記目的を達するために以下のように構成している。
【0013】
車両検知データ取得部は、車両検知センサで検知した検知ポイントにおける車両の検知データを取得する。車両群分割部は、車両検知データ取得部が取得した車両の検知データに基づき、検知ポイントを通過した車両を車両群に分割する。例えば、車両群分割部は、以下に示す(1)〜(3)の1つまたは複数を用いて、車両群の分割位置を決定し、検知ポイントを通過した車両を車両群に分割する。
【0014】
(1)検知ポイントを連続して通過した2台の車両について、先行車両と後続車両との間で、車両が検知されていなかった時間が第1の時間を越える場合、先行車両と後続車両との間を、車両群の分割位置に決定する。
(2)車両群の先頭車両の検知から、第2の時間(例えば、30秒)経過した後に、検知した車両を車両群の分割位置に決定する。
(3)車両群の先頭車両の検知から、所定台数目(例えば、21台目)の車両を車両群の分割位置に決定する。
【0015】
車両群分割部は、略同じ速度で走行している車両であって、且つ連続する車両を1つの車両群に分割する。
【0016】
特定車両抽出部は、車両検知データ取得部が取得した車両の検知データに基づき、予め定めた特徴を有する特定車両を、車両群分割部が分割した車両群から抽出する。この特定車両は、車両間での車長のばらつきが大きい、トラックやトレーラ等の車両にすればよい。例えば、特定車両抽出部は、車高によって特定車両であるかどうかを判定してもよいし、同一の車両群に属する車両間で、検知ポイントの通過に要した時間が比較的長い車両を特定車両であると判定してもよい。
【0017】
車長推定部は、特定車両抽出部が抽出した特定車両の車長を、予め定めた特徴を有しない非特定車両の検知データを用いて推定する。非特定車両は、車両間での車長のばらつきが小さい車両である。すなわち、車長推定部は、車両間での車長のばらつきが大きい車両の車長を、車両間での車長のばらつきが小さい車両の車長を仮定して推定する。したがって、車両間での車長のばらつきが大きい車両の車長の推定精度を十分に確保できる。
【0018】
また、検知ポイントには、車両検知センサを1つ設置すればよいので、システムの構築にかかるコストが抑えられる。
【0019】
また、車長推定部は、特定車両抽出部が抽出した特定車両の車長を、この特定車両に連続する1、または複数台の非特定車両の検知データを用いて推定する、のが好ましい。特に、特定車両に連続し、且つ後続の1、または複数台の非特定車両の検知データを用いて推定するのがよい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、予め定めた特徴を有する特定車両の車長の推定精度を十分に確保できる。また、システムの構築にかかるコストが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】交通管制システムの構成を示す概略図である。
図2】車両検知センサによる車両の検知を説明する図である。
図3】車両検知データ収集装置の主要部の構成を示す図である。
図4】車長推定装置の主要部の構成を示す図である。
図5】マッチング装置の主要部の構成を示す図である。
図6】車両検知データ収集装置が通過車両データ記憶部に記憶している通過車両データを示す図である。
図7】車両検知データ収集装置の動作を示すフローチャートである。
図8】車両検知データ収集装置がマッチングデータ記憶部に記憶しているマッチングデータを示す図である。
図9】車長推定装置の動作を示すフローチャートである。
図10】車長、速度推定処理を示すフローチャートである。
図11】車長の推定に用いる非特定車両の抽出を説明する図である。
図12】マッチング処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、交通管制システムの構成を示す概略図である。この交通管制システムは、車長推定装置1と、車両検知データ収集装置2と、マッチング装置3と、複数の車両検知センサ5と、を備えている。この交通管制システムは、高速道路や一般道路等における交通状況の観測を行う。
【0024】
車長推定装置1、車両検知データ収集装置2、およびマッチング装置3は、交通管制センタ等に設置される。車両検知センサ5は、交通状況を観測する道路(高速道路や一般道路等)に定めた各検知ポイントP1〜Pnに1つずつ設置している。検知ポイントP1〜Pnは、車両の走行方向に並んでいる。車両の走行方向に連続する2つの検知ポイントP1〜Pnの間隔は、数100m(例えば、400m〜800m)である。車両の走行方向に連続する2つの検知ポイントP1〜Pnの間隔は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
【0025】
車両検知センサ5は、設置されている検知ポイントP1〜Pnで車両の検知を行う。各車両検知センサ5は、設置されている検知ポイントP1〜Pnにおける車両の検知データ(以下、車両検知データと言う。)を車両検知データ収集装置2に入力する。
【0026】
車両検知データ収集装置2は、各検知ポイントP1〜Pnに設置された車両検知センサ5から入力された車両検知データを収集して記憶する。また、車両検知データ収集装置2は、車長推定装置1における処理結果や、マッチング装置3における処理結果等も記憶する。
【0027】
車長推定装置1は、車両検知データ収集装置2に記憶している車両検知データを処理し、予め定めた特徴を有する車両(この発明で言う、特定車両)の車長L(全長L)を推定する。また、車長推定装置1は、車長Lを推定した車両(特定車両)について、検知ポイントP1〜Pnを通過したときの速度Vを推定する。車長推定装置1は、推定した特定車両の車長L、および速度Vを処理結果として車両検知データ収集装置2に入力する。
【0028】
車両検知データ収集装置2は、車両検知センサ5から入力された車両検知データ、および車長推定装置1から入力された特定車両の車長L、および速度Vを合わせて、通過車両データとして記憶する。
【0029】
マッチング装置3は、車両検知データ収集装置2に記憶している通過車両データを用いて、車両の走行方向に連続する2つの検知ポイントP1〜Pnで、検知された車両を対応付けるマッチング処理を行う。マッチング装置3は、マッチング結果を車両検知データ収集装置2に入力する。
【0030】
車両検知データ収集装置2は、マッチング装置3から入力されたマッチング結果をマッチングデータとして記憶する。
【0031】
まず、車両検知センサ5について簡単に説明する。車両検知センサ5は、上述したように、各検知ポイントP1〜Pnに1つずつ設置している。車両検知センサ5は、この例では、超音波センサである。車両検知センサ5は、図2に示すように、路面上方から路面に向けて超音波(探査波)を照射し、その反射波を検知するまでの時間tを計測する。
【0032】
車両検知センサ5は、一定時間間隔(例えば、40msec〜80msec)で、超音波を路面に照射する。車両検知センサ5が計測する時間tは、超音波の飛行時間である。したがって、車両検知センサ5が計測した超音波の飛行時間tを用いて、超音波を反射した反射面の高さ(路面からの高さH)が得られる(図2参照)。
【0033】
具体的には、車両検知センサ5が計測した飛行時間tを用いて、照射した超音波の反射面までの距離dが、
d=(1/2)×vt (なお、vは、超音波の伝播速度である。)
により算出できる。また、車両検知センサ5は、路面までの距離Dを予め記憶している。したがって、超音波を反射した反射面の高さHは、
H=D−d
により算出できる。
【0034】
なお、車両検知センサ5が照射した超音波の反射面は、検知ポイントP1〜Pnに車両が無ければ路面であり、検知ポイントP1〜Pnに車両があれば、その車両における超音波の照射面である。
【0035】
この例では、車両検知センサ5を用いて、検知ポイントP1〜Pnにおける車両の検知、および検知した車両が高車または低車のいずれであるかの検知が行えればよい。一般に車両間で車長のばらつきが大きいトラックやトレーラは、車高(全高)が高い。車両検知センサ5は、車両間で車長のばらつきが大きいトラックやトレーラを高車、それ以外を低車として検知すればよい。例えば、車両検知センサ5は、車高H(全高H)が2300mm未満の車両を低車、車高Hが2300mm以上の車両を高車として検知すればよい。検知ポイントP1〜Pnにおける車両の有無は、超音波を反射した反射面の高さHが予め定めた車両検知閾値(例えば、300mm)未満であれば、車両無しと検知し、車両検知閾値以上であれば車両有りと検知すればよい。
【0036】
なお、検知ポイントP1〜Pnにおける車両の検知、および検知した車両が高車または低車のいずれであるかは、車両検知センサ5で計測した飛行時間tを閾値と比較することによって行えることは言うまでもない(特に、照射した超音波の反射面までの距離dを算出しなくても行える。)。
【0037】
この例では、車両検知センサ5は、検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を検知する毎に、その車両が高車であるか低車であるかを示す車種情報、検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過開始時刻、および検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過完了時刻を対応付けた車両検知データを車両検知データ収集装置2に入力する。車両検知センサ5は、前回の超音波の照射で車両が検知されておらず、今回の超音波の照射で車両が検知されたとき、今回の超音波の照射時刻を検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過開始時刻として検知する。また、車両検知センサ5は、前回の超音波の照射で車両が検知されており、今回の超音波の照射で車両が検知されなかったとき、前回の超音波の照射時刻を検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過完了時刻として検知する。また、車両検知センサ5は、車両の通過開始時刻から車両の通過完了時刻までの間に、照射した超音波の反射面の最大高さHが、2300mm以上であれば、今回検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を高車として検知する。車両検知センサ5は、車両の通過開始時刻から車両の通過完了時刻までの間に、照射した超音波の反射面の最大高さHが、2300mm未満であれば、今回検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を低車として検知する。
【0038】
この例では、上述したように、車両間で車長Lのばらつきが比較的大きい車両(トラックやトレーラ等)を高車と判定し、車両間での車長Lのばらつきが比較的小さい車両を低車と判定する。
【0039】
なお、ここでは、車両検知センサ5が、車両の検知、および検知した車両が高車、または低車であるかの検知を行うとしたが、計測した超音波の飛行時間を車両検知データ収集装置2に入力し、この車両検知データ収集装置2において、車両の検知、および検知した車両が高車、または低車であるかの検知を行う構成にしてもよい。また、車両検知センサ5は、赤外光を探査波として照射する光学式のものであってもよい。
【0040】
図3は、車両検知データ収集装置の主要部の構成を示すブロック図である。車両検知データ収集装置2は、制御部21と、通信部22と、通過車両データ記憶部23と、マッチングデータ記憶部24と、入出力部25とを備えている。
【0041】
制御部21は、車両検知データ収集装置2本体各部を制御する。
【0042】
通信部22は、各検知ポイントP1〜Pnに設置された車両検知センサ5と接続され、車両検知データの入力を受け付ける。
【0043】
通過車両データ記憶部23は、車両検知センサ5毎に、その車両検知センサ5から入力された車両検知データ、および車長推定装置1から入力された特定車両の車長L、および速度Vを合わせた通過車両データとして記憶する。
【0044】
マッチングデータ記憶部24は、マッチング装置3から入力されたマッチング結果をマッチングデータとして記憶する。
【0045】
入出力部25は、車長推定装置1、およびマッチング装置3との間におけるデータの入出力を行うインタフェースである。
【0046】
図4は、車長推定装置1の主要部の構成を示すブロック図である。車長推定装置1は、制御部11と、入出力部12とを備えている。制御部11は、車両群分割部11a、特定車両抽出部11b、および車長推定部11cを有している。車両群分割部11aは、検知ポイントP1〜Pn毎に、その検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を、予め定めた条件に基づき、車両群に分割する。具体的には、車両群分割部11aは、以下に示す(1)〜(3)の1つまたは複数の条件を用いて、車両群の分割位置を決定し、検知ポイントを通過した車両を車両群に分割する。
【0047】
(1)検知ポイントを連続して通過した2台の車両について、先行車両と後続車両との間で、車両が検知されていなかった時間が第1の時間を越える場合、先行車両と後続車両との間を、車両群の分割位置に決定する。
(2)車両群の先頭車両の検知から、第2の時間(例えば、30秒)経過した後に、検知した車両を車両群の分割位置に決定する。
(3)車両群の先頭車両の検知から、所定台数目(例えば、21台目)の車両を車両群の分割位置に決定する。
【0048】
特定車両抽出部11bは、高車を特定車両として抽出する(特定車両抽出部11bは、低車を特定車両として抽出しない。)。
【0049】
車長推定部11cは、特定車両である高車の車長L、および検知ポイントP1〜Pnにおける速度Vを推定する。車長L、および速度Vを推定する手法については、後述する。
【0050】
入出力部12は、車両検知データ収集装置2との間のおけるデータの入出力を行うインタフェースである。
【0051】
図5は、マッチング装置の主要部の構成を示すブロック図である。マッチング装置3は、制御部31と、入出力部32とを備えている。
【0052】
制御部31は、マッチング装置3本体各部の動作を制御するとともに、マッチング部31aを備えている。マッチング部31aは、連続する2つの検知ポイントP1〜Pnで検知された車両を同定するマッチングを行う。
【0053】
入出力部32は、車両検知データ収集装置2との間のおけるデータの入出力を行うインタフェースである。
【0054】
なお、この例における車長推定装置1、車両検知データ収集装置2、およびマッチング装置3は、上述した構成を備える1つの装置で構成してもよい。
【0055】
次に、車両検知データ収集装置2が記憶する通過車両データについて説明する。車両検知データ収集装置2は、上述したように、車両検知センサ5から入力された車両検知データ、および車長推定装置1から入力された特定車両の車長L、および速度Vを合わせた通過車両データを通過車両データ記憶部23に記憶する。図6は、車両検知データ収集装置が通過車両データ記憶部に記憶している通過車両データを示す図である。図6では、検知ポイントP1の通過車両データを示している。通過車両データは、検知ポイントP1に設置した車両検知センサ5が検知した車両毎に、車両ID、通過開始時刻、通過完了時刻、種別(高車または低車)、車長L、および速度Vを対応付けて登録したデータである。通過開始時刻、通過完了時刻、種別は、車両検知センサ5から入力された車両検知データである。また、車長L、および速度Vは、車長推定装置1がその車両について推定した値である。図6に示すように、車長推定装置1は、車長L、および速度Vの推定を高車に限定して行い、低車については行わない。
【0056】
この例では、低車の車長Lは、固定値(例えば、5m)である。また、低車の速度Vは、ここでは推定しないとしているが、推定してもよい。
【0057】
以下、この交通管制システムの車長推定装置1、車両検知データ収集装置2、およびマッチング装置3の動作について説明する。
【0058】
各車両検知センサ5は、検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を検知すると、その車両にかかる車両検知データを車両検知データ収集装置2に入力する。この車両検知データには、車両検知センサ5を識別するコード、通過開始時刻、通過完了時刻、種別(高車または低車)が含まれている。
【0059】
図7は、車両検知データ収集装置の動作を示すフローチャートである。車両検知データ収集装置2は、いずれかの車両検知センサ5から車両検知データが入力されると(s1)、入力された車両検知データを通過車両データ記憶部23に記憶している通過車両データに登録し(s4)、s1に戻る。車両検知データ収集装置は、今回入力された車両検知データ(通信部22で今回受信した車両検知データ)に、車両検知センサ5を識別するコードが含まれているので、この車両検知データを入力した車両検知センサ5を特定できる。s4では、今回入力された車両検知データにかかる車両の車長L、および速度は、通過車両データに登録されない。
【0060】
また、車両検知データ収集装置2は、車両検知センサ5が検知した車両について、車長推定装置1から車長Lおよび速度Vが入力されると(s2)、該当する車両の通過車両データに入力された車長Lおよび速度Vを追加登録し(s5)、s1に戻る。車両検知データ収集装置2は、入出力部25において、車長推定装置1からの車長Lおよび速度Vの入力を受け付ける。車長推定装置1における車長Lおよび速度Vを推定する処理については、後述する。
【0061】
また、車両検知データ収集装置2は、マッチング装置3からマッチングデータが入力されると(s3)、入力されたマッチングデータを記憶し(s6)、s1に戻る。車両検知データ収集装置2は、入出力部25において、マッチング装置3からのマッチングデータの入力を受け付ける。
【0062】
マッチングデータは、図8に示すように、車両IDと各検知ポイントP1〜Pnの通過時刻とを対応付けたデータである。検知ポイントP1〜Pnの通過時刻は、その検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過開始時刻であってもよいし、その検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過完了時刻であってもよいし、その検知ポイントP1〜Pnにおける車両の通過開始時刻と通過完了時刻との中間の時刻であってもよい。マッチング装置3が、各検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を対応付け、このマッチングデータを生成する。マッチング装置3における、マッチング処理については後述する。
【0063】
次に、車長推定装置1の動作について説明する。図9は、車長推定装置の動作を示すフローチャートである。車長推定装置1は、車長推定タイミングになると(s11)、処理対象の検知ポイントP1〜Pnを決定する(s12)。車長推定タイミングは、例えば一定時間間隔(5分間隔等)で到来するように設定しておけばよい。
【0064】
車長推定装置1は、前回の車長推定タイミングから今回の車長推定タイミングになるまでの間に、s12で決定した処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両の通過車両データを車両検知データ収集装置2から取得する(s13)。s13では、入出力部12において、車両検知データ収集装置2が通過車両データ記憶部23に記憶している処理対象の検知ポイントP1〜Pnの通過車両データの中で、前回の車長推定タイミングから今回の車長推定タイミングになるまでの間に、処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両の通過車両データを取得する。
【0065】
車長推定装置1は、s13で取得した処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両の通過車両データに基づき、前回の車長推定タイミングから今回の車長推定タイミングになるまでの間に、s2で決定した処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を車両群に分割する(s14)。車両群分割部11aが、s14にかかる処理を実行する。車両群分割部11aは、以下に示す(1)〜(3)の3つの条件を用いて、車両群の分割位置を決定し、処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を車両群に分割する。
【0066】
(1)検知ポイントを連続して通過した2台の車両について、先行車両と後続車両との間で、車両が検知されていなかった時間が第1の時間を越える場合、先行車両と後続車両との間を、車両群の分割位置に決定する。
(2)車両群の先頭車両の検知から、第2の時間(例えば、30秒)経過した後に、検知した車両を車両群の分割位置に決定する。
(3)車両群の先頭車両の検知から、所定台数目(例えば、21台目)の車両を車両群の分割位置に決定する。
【0067】
車長推定装置1は、s13で取得した処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両の通過車両データに基づき、前回の車長推定タイミングから今回の車長推定タイミングになるまでの間に、s2で決定した処理対象の検知ポイントP1〜Pnを通過した特定車両の車長L、および速度Vを推定する処理を行う(s15)。この例では、特定車両は高車であり、非特定車両は低車である。車長推定部11cが、s15にかかる車長、速度推定処理を実行する。
【0068】
図10は、s15にかかる車長、速度推定処理を示すフローチャートである。車長推定部11cは、処理対象の車両群を決定する(s21)。s21では、車両群分割部11aがs14で分割した車両群の1つを、処理対象の車両群に決定する。
【0069】
車長推定部11cは、s21で決定した車両群に属する車両の中から、車長L、および速度Vを推定する特定車両を決定する(s22)。s22では、s21で決定した処理対象の車両群に属する高車を、車長L、および速度Vを推定する特定車両として抽出する。
【0070】
車長推定部11cは、s22で決定した特定車両の車長Lの推定に用いる非特定車両を抽出する(s23)。s23では、s22で決定した特定車両(今回車長L、および速度を推定する特定車両)と、同等の速度で検知ポイントP1〜Pnを通過した低車を抽出する。具体的には、以下に示す(a)、および(b)の2つの条件を満足する低車を抽出する。
【0071】
(a)s22で決定した特定車両と同じ車両群に属している低車である。
(b)s22で決定した特定車両に連続する後続車両(または後続車両群)である。
【0072】
例えば、図11(A)に示すように、s12で決定した処理対象の検知ポイントP1〜Pnにおいて車両が通過した順番が、低車d、低車c、高車b、高車a、低車b、低車aであった場合、s22で決定した特定車両が高車aであると、低車b、低車aを特定車両である高車aの車長Lの推定に用いる非特定車両として抽出する。しかしながら、s22で決定した特定車両が高車bであると、この高車bに連続する後続車両が低車ではなく、高車aであるので、特定車両である高車bの車長Lの推定に用いる非特定車両が抽出されない。
【0073】
また、図11(B)に示すように、s12で決定した処理対象の検知ポイントP1〜Pnにおいて車両が通過した順番が、低車d、低車c、高車b、低車b、高車a、低車aであった場合、s22で決定した特定車両が高車aであると、低車aを特定車両である高車aの車長Lの推定に用いる非特定車両として抽出する。また、s22で決定した特定車両が高車bであると、低車bを特定車両である高車bの車長Lの推定に用いる非特定車両として抽出する。
【0074】
また、図11(C)に示すように、s12で決定した処理対象の検知ポイントP1〜Pnにおいて車両が通過した順番が、高車b、低車c、低車b、低車a、高車aであった場合、s22で決定した特定車両が高車bであると、低車a、低車b、低車cを特定車両である高車bの車長Lの推定に用いる非特定車両として抽出する。
【0075】
車長推定部11cは、s23で特定車両の車長Lの推定に用いる非特定車両を1台も抽出できなければ、後述するs27に進む。この場合、s22で決定した特定車両の車長L、および速度Vの推定は行われない。
【0076】
車長推定部11cは、s23で特定車両の車長Lの推定に用いる非特定車両が1台以上抽出できると、s22で決定した特定車両の車長Lを推定する(s25)。s25では、低車の車長を予め定めた車長(例えば、5m)として、s22で決定した特定車両の車長Lを推定する。具体的には、s23で抽出した低車が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間Tを取得する。検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間は、その車両について車両検知センサ5で検知された通過開始時刻から通過完了時刻までの時間である。また、s23で抽出した非特定車両(低車)が複数台であれば、これらの非特定車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間の平均値や中央値を、非特定車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間Tとして取得する。
【0077】
車長推定部11cは、s23で抽出した低車が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間Tを用い、特定車両の車長Lを、
特定車両の車長L=(非特定車両の車長(固定値))×(特定車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間)/(非特定車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間)
により推定する。
【0078】
また、車長推定部11cは、特定車両の速度Vを推定する(s26)。特定車両の速度Vは、例えば、s25で推定した車長Lと、この特定車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間とを用い、
特定車両の速度V=(特定車両の車長L)/(特定車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間)
により推定する。
【0079】
なお、s23で抽出した非特定車両の速度を、s22で決定した特定車両の速度Vとして推定してもよい。
【0080】
車長推定部11cは、s21で決定した車両群の中に、未処理の特定車両(車長L、および速度Vの推定にかかる処理を行っていない特定車両)があれば(s27)、s22に戻って、上記処理を繰り返す。また、車長推定部11cは、s21で決定した車両群の中に、未処理の特定車両がなければ(s27)、未処理の車両群の有無を判定する(s28)。車長推定部11cは、未処理の車両群があると判定すると、s21に戻って、上記処理を繰り返す。
【0081】
車長推定部11cは、s28で未処理の車両群がないと判定すると、今回推定した車長Lおよび速度Vを対応付けた通過車両データを車両検知データ収集装置2に入力する(s29)。車両検知データ収集装置2は、該当する検知ポイントP1〜Pnの通過車両データを、車長推定装置1から今回入力された通過車両データに基づいて更新する(今回推定された特定車両(高車)の車長Lおよび速度Vを、通過車両データ記憶部23に記憶している通過車両データに登録する。)。
【0082】
図9に戻って、車長推定装置1は、未処理の検知ポイントP1〜Pnがあるかどうかを判定する(s16)。車長推定装置1は、未処理の検知ポイントP1〜Pnがあると、s12に戻って、上記処理を繰り返す。また、車長推定部11cは、未処理の検知ポイントP1〜Pnがなければ、s11に戻る。
【0083】
なお、車長推定部11cは、s22で決定した特定車両に連続する後続車両(低車に限る。)だけでなく、この特定車両に連続する先行車両(低車に限る。)も、s22で決定した特定車両の車長Lの推定に用いる非特定車両として抽出する構成であってもよい。また、車長推定部11cは、特定車両と同じ車両群に属している全ての低車を、s22で決定した特定車両の車長Lの推定に用いる非特定車両として抽出する構成であってもよい。
【0084】
次に、マッチング装置3の動作について説明する。マッチング装置3は、車両の走行方向に連続する2つの検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を対応付けるマッチング処理を行う。図12は、マッチング処理を示すフローチャートである。車両の走行方向に連続する2つの検知ポイントP1〜Pnを決定する(s31)。また、マッチング装置3は、s31で決定した2つの検知ポイントP1〜Pnの通過車両データを車両検知データ収集装置2から取得する(s32)。
【0085】
マッチング装置3は、マッチング部31aにおいて、s31で決定した上流側の検知ポイントP1〜Pnから、下流側の検知ポイントP1〜Pnまでの旅行時間の幅を推定する(s33)。s33では、s31で決定した2つの検知ポイントP1〜Pn間(区間)の距離を、s31で決定した上流側の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両であって、今回の下流側の検知ポイントP1〜Pnを通過した車両と同定する対象車両の速度で除することにより得られる時間を中心にした前後一定時間(例えば、前後5分間)の範囲を旅行時間の幅として推定する。
【0086】
マッチング部31aは、上流側の検知ポイントP1〜Pnを通過した高車を抽出するとともに(s34)、下流側の検知ポイントP1〜Pnを通過した高車を抽出する(s35)。s35では、s33で推定した上流側の検知ポイントP1〜Pnから、下流側の検知ポイントP1〜Pnまでの旅行時間を考慮し、下流側の検知ポイントP1〜Pnを通過した高車を抽出する。
【0087】
マッチング部31aは、s34、s35で抽出した高車の車長L、および検知ポイントにおける高車、低車の並び順等を用いたDPマッチングにより、s31で決定した2つの検知ポイントP1〜Pnを通過した車両を対応付ける(s36)。
【0088】
マッチング装置3は、s31で決定した2つの検知ポイントを通過した車両のマッチング結果を、マッチングデータとして車両検知データ収集装置2に入力する(s37)。車両検知データ収集装置2は、入力されたマッチングデータをマッチングデータ記憶部24に記憶しているマッチングデータに登録する。
【0089】
マッチング部31aは、未処理の区間の有無を判定し(s37)、未処理の区間があればs31に戻る。また、マッチング部31aは、未処理の区間が無ければ、本処理を終了する。
【0090】
このように、この例にかかる交通管制システムでは、各検知ポイントに設置した車両検知センサ5が1つである簡単な構成で、その検知ポイントを通過した車両の車長Lを精度よく推定できる。このため、交通管制システムの構築にかかる費用も抑えられる。
【0091】
また、車両の走行方向に連続する2つの検知ポイントを通過した車両のマッチングも精度よく行えるので、旅行時間の計測も適正に行える。
【0092】
また、上記の例では、高車を特定車両として抽出するとしたが、比較的車長の長い車両を特定車両として抽出する構成にしてもよい。このようにすれば、高車、低車の判別にかかる処理負荷を低減できる。この場合には、上述したs14で分割した車両群毎に、その車両群の中で検知ポイントの通過時間が比較的長い車両を、特定車両として抽出すればよい。また、この場合には、車両検知センサ5は、探査波を路面に対して略平行に照射する向きに取り付けてもよいので、設置の自由度が大きくなる。また、車両検知センサ5として、路面に埋め込んだループコイル式のものを用いることも可能である。
【0093】
また、上記の例では、車両が検知ポイントP1〜Pnの通過に要した時間を、その車両の通過開始時刻から通過完了時刻までの時間としたが、車両検知センサ5がその車両を検知していた探査波の照射パルス数に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…車長推定装置
2…車両検知データ収集装置
3…マッチング装置
5…車両検知センサ
11…制御部
11a…車両群分割部
11b…特定車両抽出部
11c…車長推定部
12…入出力部
21…制御部
22…通信部
23…通過車両データ記憶部
24…マッチングデータ記憶部
25…入出力部
31…制御部
31a…マッチング部
32…入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12