(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、防犯機器には多種多様なものが存在し、防犯対象地域の実情に応じた適正な防犯機器を適正な箇所に設置することが、防犯上好ましいばかりでなく、費用的にも望ましい。また、パトロールを行う場合にも、防犯対象地域の実情に応じた適正なルート、場所をパトロールすることが、防犯上好ましいばかりでなく、労力的・効率的にも望ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のようなシステムでは、住宅各々における消費電力に基づいてその地域の防犯必要度を決定し、この防犯必要度に応じた防犯情報を出力するだけである。このため、適正な防犯機器を適正な箇所に設置したり、適正な場所をパトロールしたりすることを、適正かつ柔軟に支援することが困難である。
【0007】
そこでこの発明は、地域の防犯計画の策定を適正かつ柔軟に行うことを可能にする防犯支援システムおよび防犯支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電力の需要家の位置と電柱の位置を含む地図を記憶する地図情報記憶手段と、前記各需要家の所定時間ごとの電力使用量である使用量情報を記憶する使用量情報記憶手段と、前記地図と前記使用量情報に基づいて、所定時間帯ごとに、前記地図上の需要家に電力使用状況に対応した色彩を施す色彩処理手段と、前記色彩処理手段による処理結果を表示する表示手段と、
防犯カメラを含む防犯機器の種類ごとに、暗視機能の有無と防犯範囲を含む仕様を記憶する機器仕様記憶手段と、監視エリアを入力する監視エリア入力手段と、前記地図と前記使用量情報と前記仕様に基づいて、前記監視エリア入力手段で入力された監視エリアに適した防犯機器の種類と設置する電柱を選定する機器選定手段と、を備え、前記表示手段は、前記機器選定手段による選定結果を表示する、ことを特徴とする防犯支援システムである。
【0010】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の防犯支援システムにおいて、防犯カメラを含む防犯機器の種類ごとに、暗視機能の有無と防犯範囲を含む仕様を記憶する機器仕様記憶手段と、防犯機器の種類と設置する電柱を入力する機器入力手段と、前記機器入力手段で入力された種類の防犯機器が前記電柱に設置された場合における防犯範囲を、前記地図と前記仕様に基づいて前記地図上に表す防犯範囲処理手段と、を備え、前記表示手段は、前記防犯範囲処理手段による処理結果を表示する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
または2に記載の防犯支援システムにおいて、パトロールエリアを入力するパトロールエリア入力手段と、前記パトロールエリア入力手段で入力されたパトロールエリアに適したパトロールルートを、前記地図と前記使用量情報に基づいて選定するパトロール選定手段と、を備え、前記表示手段は、前記パトロール選定手段による選定結果を表示する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項
4に記載の発明は、請求項1〜
3に記載の防犯支援システムにおいて、前記表示手段は、前記色彩処理手段によって前記所定時間帯ごとに色彩が施された地図を連続的に表示する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項
5に記載の発明は、請求項1〜
4に記載の防犯支援システムにおいて、前記使用量情報記憶手段の使用量情報は、前記各需要家に設置されている電力メータから定期的に送信される計測値に基づいて記憶される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項
6に記載の発明は、コンピュータを、電力の需要家の位置と電柱の位置を含む地図を記憶する地図情報記憶手段と、前記各需要家の所定時間ごとの電力使用量である使用量情報を記憶する使用量情報記憶手段と、前記地図と前記使用量情報に基づいて、所定時間帯ごとに、前記地図上の需要家に電力使用状況に対応した色彩を施す色彩処理手段
と、
防犯カメラを含む防犯機器の種類ごとに、暗視機能の有無と防犯範囲を含む仕様を記憶する機器仕様記憶手段と、監視エリアを入力する監視エリア入力手段と、前記地図と前記使用量情報と前記仕様に基づいて、前記監視エリア入力手段で入力された監視エリアに適した防犯機器の種類と設置する電柱を選定する機器選定手段、として機能させるための防犯支援プログラムである。
【0016】
請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載の防犯支援プログラムであって、防犯カメラを含む防犯機器の種類ごとに、暗視機能の有無と防犯範囲を含む仕様を記憶する機器仕様記憶手段と、防犯機器の種類と設置する電柱を入力する機器入力手段と、前記機器入力手段で入力された種類の防犯機器が前記電柱に設置された場合における防犯範囲を、前記地図と前記仕様に基づいて前記地図上に表す防犯範囲処理手段、として機能させる。
【0017】
請求項
8に記載の発明は、請求項
6または7に記載の防犯支援プログラムであって、パトロールエリアを入力するパトロールエリア入力手段と、前記パトロールエリア入力手段で入力されたパトロールエリアに適したパトロールルートを、前記地図と前記使用量情報に基づいて選定するパトロール選定手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、
6の発明によれば、電柱の位置を含む地図上の電力需要家に、電力使用状況に対応した色彩が所定時間帯ごとに施されるため、どの時間帯のどこで不在、留守が多いのか在宅が多いのかなどを目視で(一目で)容易に把握することができる。この結果、どのような防犯機器をどこに設置するか、どの時間帯にどこをパトロールするか、などの地域の防犯計画を適正かつ柔軟に策定することが可能となる。しかも、このような色彩が施された地図上に電柱を含むため、防犯カメラ等をどの電柱に設置することが効果的、経済的であるかなどの検討を適正かつ容易に行うことが可能となる。
【0019】
また、請求項1、6の発明によれば、各需要家の所定時間ごとの電力使用量、つまり、どの時間帯のどこで不在が多いのかなどや、暗視機能の有無などの防犯機器の仕様および地図に基づいて、入力した監視エリアに適した防犯機器の種類と設置する電柱が選定される。このため、どのような防犯機器をどこに設置するか、という地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。
【0020】
請求項
2、7の発明によれば、防犯機器の種類と設置する電柱を入力すると、防犯機器の仕様と地図に基づいて、この設置を行った場合の防犯範囲(例えば、防犯カメラの場合では撮影範囲)が地図上に表される。このため、どのような防犯機器をどこに設置するか、という地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。
【0021】
請求項
3、8の発明によれば、各需要家の所定時間ごとの電力使用量、つまり、どの時間帯のどこで不在が多いのかなどや、地図に基づいて、入力したパトロールエリアに適したパトロールルートが選定される。このため、どのルートでパトロールするか、という地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。
【0022】
請求項
4の発明によれば、電力使用状況に対応した色彩が施された地図が所定時間帯ごとに連続的に表示されるため、どの時間帯のどこで不在が多いのか在宅が多いのかなどを、より適正かつ容易に把握することができる。この結果、地域の防犯計画をより適正かつ柔軟に策定することが可能となる。
【0023】
請求項
5の発明によれば、各需要家に設置されている電力メータから定期的に送信される計測値に基づいて、最新・リアルタイムの電力使用量・使用量情報が使用量情報記憶手段に記憶される。このため、最新の電力使用状況に基づいて、地域の防犯計画をより適正かつ柔軟に策定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0026】
図1〜
図10は、この発明の実施の形態を示し、
図1は、この実施の形態に係る防犯支援システム1を示す概略構成図である。この防犯支援システム1は、地域の防犯計画の策定を支援するシステムであり、支援コンピュータ2と、検針サーバ3と、電力の各需要家Cに設置されている電力メータ4と、を備え、支援コンピュータ2と検針サーバ3、および検針サーバ3と各電力メータ4とは、通信自在に接続されている。
【0027】
検針サーバ3は、各需要家Cの電力使用量や電力料金を管理するサーバであり、電力メータ4は、設置されている需要家Cにおける電力使用量を定期的(例えば、30分ごと)に計測するスマートメータである。そして、各電力メータ4で定期的に計測された計測値・電力使用量が、リアルタイムに検針サーバ3に送信されるようになっている。
【0028】
支援コンピュータ2は、主として、地図データベース(地図情報記憶手段)21と、使用量データベース(使用量情報記憶手段)22と、機器データベース(機器仕様記憶手段)23と、入力部(監視エリア入力手段、機器入力手段、パトロールエリア入力手段)24と、表示部(表示手段)25と、色彩タスク(色彩処理手段)26と、機器選定タスク(機器選定手段)27と、防犯範囲タスク(防犯範囲処理手段)28と、パトロールタスク(パトロール選定手段)29と、これらを制御などする中央処理部2aと、を備える。
【0029】
地図データベース21は、電力の需要家Cの位置と電柱Pの位置を含む地図を記憶するデータベースである。すなわち、
図2に示すように、地理・地形や道路、建造物とともに、各需要家Cと電柱Pの位置、形状が記憶され、さらに、需要家Cの種別(住宅、オフィスビル、公共施設など)が記憶されている。また、既に防犯機器が設置されている場合には、その種類と設置場所が記憶されている。
【0030】
使用量データベース22は、各需要家Cの所定時間ごとの電力使用量である使用量情報を記憶するデータベースである。すなわち、各需要家Cにおける30分ごとの電力使用量を使用量情報として継続的に記憶するものであり、検針サーバ3を介して各電力メータ4から定期的(30分毎)に送信される計測値に基づいて、電力使用量つまり使用量情報を記憶する。ここで、各電力メータ4から検針サーバ3に計測値が送信されるたびに、電力使用量を支援コンピュータ2に送信して使用量データベース22に記憶してもよいし、検針サーバ3に所定時間分の計測値を蓄積した後にまとめて支援コンピュータ2に送信してもよい。
【0031】
機器データベース23は、防犯カメラを含む防犯機器の種類ごとに、暗視機能の有無と防犯範囲を含む仕様を記憶するデータベースである。具体的には、防犯カメラや防犯灯(街路灯)、スピーカーなどの防犯機器の型式、種類ごとに、赤外線撮影機能(暗視機能)の有無や、撮影範囲(防犯範囲)、可灯範囲(防犯範囲)、可聴範囲(防犯範囲)、音感センサや動体センサを含む各種センサの有無、価格などの仕様を記憶する。
【0032】
入力部24は、ユーザが各種情報、指示を入力するインターフェイスであり、キーボードやマウス、タッチパネルなどで構成される。また、入力する情報としては、後述するように、機器選定タスク27における監視エリアPA、防犯範囲タスク28における防犯機器の種類と設置する電柱P、パトロールタスク29におけるパトロール条件などがある。
【0033】
表示部25は、各種情報、画像を表示するディスプレイであり、後述するように、色彩タスク26による処理結果、機器選定タスク27による選定結果、防犯範囲タスク28による処理結果、パトロールタスク29による選定結果などを表示する。
【0034】
色彩タスク26は、地図データベース21の地図と使用量データベース22の使用量情報に基づいて、所定時間帯ごとに、地図上の需要家Cに電力使用状況に対応した色彩を施すタスク・プログラムである。すなわち、所定時間帯ごとに電力使用量に基づいて各需要家Cの電力使用状況を割り出し、予め電力使用状況に応じて設定された色彩を電力使用状況に従って地図上の需要家Cに施すものである。
【0035】
具体的には、まず、1日を複数の時間帯に分けた時間帯ごとに、例えば、1日の4時間ごとや、朝、昼間、夜間ごとに、電力使用量に基づいて各需要家Cの電力使用状況を割り出す。この際、この実施の形態では、不在や睡眠中に消費される電力使用量である不在時電力使用量が予め演算、設定され、当該時間帯における電力使用量が、不在時電力使用量以下の場合には、不在や睡眠中であるとして電力使用状況を不在時使用状況と割り出す。一方、当該時間帯における電力使用量が、不在時電力使用量よりも大きい場合には、在宅で起床中であるとして電力使用状況を在宅時使用状況と割り出す。
【0036】
次に、このようにして割り出した電力使用状況に従って各時間帯において、
図3に示すように、予め電力使用状況に応じて設定された色彩を地図上の各需要家Cに施す。例えば、不在時使用状況の需要家Cには暗い色(例えば、灰色)で彩色、マッピングし、在宅時使用状況の需要家Cには明るい色(例えば、赤色)で彩色する。
【0037】
このように、この実施の形態では、需要家Cごとに色彩を施すが、複数の需要家Cの電力使用状況に応じて、複数の需要家Cごとに色彩を施してもよい。この際、不在時使用状況と在宅時使用状況の比率に応じた色彩を施したり、平均的な電力使用状況に応じて色彩を施したりしてもよい。例えば、
図3に示す集合住宅C
Sの場合、住民の不在時使用状況と在宅時使用状況の比率に応じた色彩を施す。また、この実施の形態では、電力使用状況を不在時使用状況と在宅時使用状況の2つとしているが、さらに多くの電力使用状況に分類してもよい。
【0038】
そして、このような色彩タスク26による処理結果を表示部25に表示し、この実施の形態では、指定表示と連続表示によって表示できるようになっている。すなわち、入力部24で指定表示モードが指定された場合、指定された時間帯において電力使用状況に応じて各需要家Cに彩色された地図を表示部25に表示する。また、入力部24で連続表示モードが指定された場合には、電力使用状況に応じて各需要家Cに彩色された時間帯ごとの地図を、時間帯ごとに連続的、動画的に表示部25に表示する。ここで、色彩タスク26で彩色する地図の範囲は、表示部25に表示される全地図であってもよいし、入力部24で入力された範囲や、入力部24で入力された1点を中心とする所定の範囲であってもよい。
【0039】
機器選定タスク27は、地図データベース21の地図と使用量データベース22の使用量情報と機器データベース23の仕様に基づいて、入力部24で入力された監視エリアPAに適した防犯機器の種類と設置する電柱Pを選定するタスク・プログラムである。すなわち、機器選定タスク27が起動されて
図4に示すような監視エリアPAが入力されて機器選定条件が入力されると、機器選定条件に適合し監視エリアPAに適した防犯機器の種類と設置電柱Pを選定する。
【0040】
ここで、機器選定条件には、どのような状況の需要家Cを防犯対象とするか(対象需要家)、防犯を優先する需要家Cの種別(優先需要家)、どのような防犯機器を設置するかの指定(指定機器)、最も防犯が必要な時間帯(要防犯時間帯)、予算などが含まれるが、これらの条件を入力しなくてもよい。対象需要家が入力されない場合には、対象需要家を不在の需要家Cとし、優先需要家が入力されない場合には、優先需要家を住宅とし、指定機器が入力されない場合には、指定機器をなしとする。要防犯時間帯が入力されない場合には、監視エリアPAではどの時間帯で最も防犯が必要かを判定する。例えば、色彩タスク26と同様にして各需要家Cの電力使用量に基づいて電力使用状況を割り出し、不在時使用状況の需要家Cが最も多い時間帯や、深夜以外で不在時使用状況の需要家Cが最も多い時間帯、あるいは、他のエリアに比べて不在時使用状況の需要家Cの割合が多い時間帯を要防犯時間帯とする。その他、所定の要件を満たす時間帯を要防犯時間帯としてもよい。
【0041】
そして、このような機器選定条件に適合する防犯機器の種類と設置電柱Pを選定するには、まず、要防犯時間帯の防犯に適した防犯機器の種類を機器データベース23から選定する。例えば、要防犯時間帯が夜間の場合、赤外線撮影機能付きの防犯カメラや防犯灯、スピーカーなどを選定する。この際、機器選定条件に指定機器(例えば、防犯カメラ)が入力されている場合には、この機器から選定する。また、監視エリアPAやその周辺に既に防犯機器が設置されている場合には、この防犯機器の種類と設置位置を考慮し、防犯効果が重複しないように選定する。このことは、設置電柱Pを選定する場合にも同様である。
【0042】
次に、対象需要家および優先需要家である需要家Cをできるだけ多く防犯できるように、選定した機器の設置電柱Pを選定する。具体的には、対象需要家が不在の需要家Cで、優先需要家が住宅の場合、
図5に示すように、監視エリアPA内の住宅であって要防犯時間帯で不在(不在時使用状況)の需要家Cをできるだけ多く防犯範囲内とするように、設置電柱Pを選定する。このとき、1つの防犯機器では防犯範囲が不足する場合には、複数の防犯機器および設置電柱Pを選定する。例えば、
図6に示すように、防犯カメラのみでは十分でない場合には、
図7に示すような防犯範囲を有する防犯灯を、第2の防犯機器として別の電柱Pに設置するように選定する。この際、防犯カメラのみではカバーできない範囲や予算などに応じて、第2の防犯機器を選定する。
【0043】
そして、このようにして選定した防犯機器の種類と設置電柱Pを、
図5に示すように、地図上に示して表示部25に表示する。ここで、選定した防犯機器による防犯範囲(
図6と
図7のハッチング部)を地図上に表示したり、さらに、色彩タスク26で施した色彩を地図上に表示したりしてもよい。
【0044】
防犯範囲タスク28は、入力部24で入力された種類の防犯機器が入力部24で入力された電柱Pに設置された場合における防犯範囲を、地図データベース21の地図と機器データベース23の仕様に基づいて地図上に表すタスク・プログラムである。すなわち、防犯範囲タスク28が起動されて防犯機器の型式、種類と設置する電柱Pが入力されると、この防犯機器の防犯範囲を機器データベース23から取得し、周囲の建物などを考慮して、この防犯機器が設置された場合の防犯範囲(効果範囲)を地図上に表す。
【0045】
例えば、
図6に示すように、赤外線撮影機能付きの防犯カメラとその設置電柱P(図中黒い四角)が入力されると、その防犯範囲(図中ハッチング部)を地図上に表し、
図7に示すように、音感センサおよび動体センサ付きの防犯灯とその設置電柱Pが入力されると、その防犯範囲を地図上に表す。そして、このようにして防犯範囲が図示された地図を表示部25に表示する。
【0046】
パトロールタスク29は、入力部24で入力されたパトロールエリアに適したパトロールルートを、地図データベース21の地図と使用量データベース22の使用量情報に基づいて選定するタスク・プログラムである。すなわち、パトロールタスク29が起動されてパトロールエリアを含むパトロール条件が入力されると、このパトロール条件に適合しパトロールエリアに適したパトロールのルート、経路を選定する。
【0047】
ここで、パトロール条件には、パトロールの範囲を示すパトロールエリア(パトロールの始点と終点であってもよい)、徒歩や自転車、自動車などの移動手段、どのような状況の需要家Cを防犯対象、パトロール対象とするか(対象需要家)、経由すべき経由地(過去の事件場所や要注意箇所)、パトロールを行う時刻であるパトロール時刻などが含まれるが、パトロールエリア以外の条件を入力しなくてもよい。移動手段が入力されない場合には、移動手段を初期設定の手段(例えば、徒歩)とし、対象需要家が入力されない場合には、対象需要家を不在の需要家Cとし、経由地が入力されない場合には、経由地はないとし、パトロール時刻が入力されない場合には、このパトロールエリアではどの時間帯で最も防犯が必要かを判定する。例えば、色彩タスク26と同様にして各需要家Cの電力使用量に基づいて電力使用状況を割り出し、不在時使用状況の需要家Cが最も多い時間帯や、パトロールが可能な時間帯で不在時使用状況の需要家Cが最も多い時間帯、あるいは、他のエリアに比べて不在時使用状況の需要家Cの割合が多い時間帯をパトロール推奨時間帯とする。
【0048】
そして、例えば、まずパトロール時刻が入力されると、
図8に示すように、この時刻を含む時間帯に対して色彩タスク26で彩色処理した地図(広域地図)を表示部25に表示する。図中「●」は、不在時使用状況(不在)を示し、図中「○」は、在宅時使用状況(在宅)を示し、無印は、住宅以外を示す。次に、
図9に示すように、パトロールの始点と終点(パトロールエリア)やその他のパトロール条件が入力されると、パトロールルートを選定する。ここで、パトロール条件の入力順序はどのようなものでもよく、パトロールエリアを入力した後にパトロール時刻などを入力したり、まとめて全パトロール条件を入力したりしてもよい。
【0049】
次に、このようなパトロール条件に適したパトロールルートを選定するには、入力されたパトロールエリア内であって(パトロールの始点から終点にわたり)、入力された移動手段で移動できる道路を通り、パトロール時刻またはパトロール推奨時間帯でより多くの対象需要家(例えば、パトロール時刻である昼間に、より多くの不在の需要家Cつまり不在時使用状況の需要家C)の近くを通り、かつ、経由地を通るルートであって、最も効率的、短時間なルートを割り出す。例えば、
図10に示すように、パトロールの始点から順に丸1〜丸11を通って終点に至るパトロールルートを選定する。
【0050】
そして、このようにして選定したパトロールルートを地図上に示して表示部25に表示する。また、パトロールルートにパトロール時刻が入力されない場合には、上記のようにして決定したパトロール推奨時間帯を表示部25に表示する。
【0051】
このような構成の防犯支援システム1によれば、色彩タスク26によって、電柱Pの位置を含む地図上の電力需要家Cに、電力使用状況に対応した色彩が所定時間帯ごとに施されるため、どの時間帯のどこで不在、留守が多いのか在宅が多いのかなどを目視で(一目で)容易に把握することができる。この結果、どのような防犯機器をどこに設置するか、どの時間帯にどこをパトロールするか、などの地域の防犯計画を適正かつ柔軟に策定することが可能となる。しかも、このような色彩が施された地図上に電柱Pを含むため、防犯カメラ等をどの電柱Pに設置することが効果的、経済的であるかなどの検討を適正かつ容易に行うことが可能となる。
【0052】
さらには、連続表示モードの場合には、電力使用状況に対応した色彩が施された地図が所定時間帯ごとに連続的に表示部25に表示されるため、どの時間帯のどこで不在が多いのか在宅が多いのかなどを、より適正かつ容易に把握することができる。この結果、地域の防犯計画をより適正かつ柔軟に策定することが可能となる。
【0053】
また、機器選定タスク27によって、各需要家Cの所定時間ごとの電力使用量、つまり、どの時間帯のどこで不在が多いのかなどや、暗視機能の有無などの防犯機器の仕様および地図に基づいて、入力した監視エリアPAに適した防犯機器の種類と設置する電柱Pが選定される。このため、どのような防犯機器をどこに設置するか、という地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。しかも、ユーザが入力した対象需要家や優先需要家、要防犯時間帯などを含む機器選定条件に適合する防犯機器の種類と設置電柱Pが選定されるため、地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。また、監視エリアPAにおいて特定の時期に転居が多いことが使用量情報に基づいて判定される場合には、機器選定タスク27の起動をその時期後に行うようにすることで、効率的、経済的な防犯機器の設置が可能となる。
【0054】
また、防犯範囲タスク28によって、防犯機器の種類と設置する電柱Pを入力すると、防犯機器の仕様と地図に基づいて、この設置を行った場合の防犯範囲(例えば、防犯カメラの場合では撮影範囲)が地図上に表される。このため、どのような防犯機器をどこに設置するか、という地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。
【0055】
また、パトロールタスク29によって、各需要家Cの所定時間ごとの電力使用量、つまり、どの時間帯のどこで不在が多いのかなどや、地図に基づいて、入力したパトロールエリアに適したパトロールルートが選定される。このため、どのルートでパトロールするか、という地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。しかも、ユーザが入力した移動手段や対象需要家、パトロール時刻などを含むパトロール条件に適合するパトロールルートが選定されるため、地域の防犯計画をより適正かつ容易、柔軟に策定することが可能となる。さらには、ユーザがパトロール時刻を指定しない場合には、パトロール推奨時間帯が表示部25に表示されるため、パトロール計画をより適正かつ容易に策定することが可能となる。
【0056】
一方、各需要家Cに設置されている電力メータ4から定期的に送信される計測値に基づいて、最新・リアルタイムの電力使用量・使用量情報が使用量データベース22に記憶される。このため、最新の電力使用状況に基づいて、色彩タスク26、機器選定タスク27、およびパトロールタスク29による処理が行われ、地域の防犯計画をより適正かつ柔軟に策定することが可能となる。
【0057】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、各データベース21〜23を支援コンピュータ2に備えているが、各データベース21〜23を他のコンピュータやサーバに備えてもよい。また、機器選定タスク27やパトロールタスク29において上記以外の選定条件を加えたり、選定条件に優先度を設けたりして選定するようにしてもよい。例えば、使用量データベース22に各需要家Cの家族構成を記憶し、機器選定タスク27やパトロールタスク29の選定条件として高齢者のみの需要家Cを優先的に防犯する、という条件を入力可能とする。そして、高齢者のみの需要家Cを優先的に防犯するという条件が入力された場合に、高齢者のみの需要家Cを確実かつ適正に防犯できる防犯機器の種類と設置電柱Pを選定したり、高齢者のみの需要家Cを重点的に巡視できるパトロールルートを選定したりしてもよい。
【0058】
ところで、次のような防犯支援プログラムを汎用のコンピュータにインストールすることで、支援コンピュータ2および防犯支援システム1を構成してもよい。
【0059】
すなわち、コンピュータを、
電力の需要家Cの位置と電柱Pの位置を含む地図を記憶する地図情報記憶手段(地図データベース21)と、
各需要家Cの所定時間ごとの電力使用量である使用量情報を記憶する使用量情報記憶手段(使用量データベース22)と、
防犯カメラを含む防犯機器の種類ごとに、暗視機能の有無と防犯範囲を含む仕様を記憶する機器仕様記憶手段(機器データベース23)と、
監視エリア、防犯機器の種類と設置する電柱、パトロールエリアなどを入力する入力部(監視エリア入力手段、機器入力手段、パトロールエリア入力手段)24と、
地図と使用量情報に基づいて、所定時間帯ごとに、地図上の需要家に電力使用状況に対応した色彩を施す色彩処理手段(色彩タスク26)と、
地図と使用量情報と仕様に基づいて、入力部24で入力された監視エリアに適した防犯機器の種類と設置する電柱を選定する機器選定手段(機器選定タスク27)と、
入力部24で入力された種類の防犯機器が電柱Pに設置された場合における防犯範囲を、地図と仕様に基づいて地図上に表す防犯範囲処理手段(防犯範囲タスク28)と、
入力部24で入力されたパトロールエリアに適したパトロールルートを、地図と使用量情報に基づいて選定するパトロール選定手段(パトロールタスク29)、
として機能させるための防犯支援プログラム。
電力の需要家Cの位置と電柱Pの位置を含む地図を記憶する地図データベース21と、各需要家Cの所定時間ごとの電力使用量である使用量情報を記憶する使用量データベース22と、地図と使用量情報に基づいて、所定時間帯ごとに、地図上の需要家Cに電力使用状況に対応した色彩を施す色彩タスク26と、色彩タスク26による処理結果を表示する表示部25と、備える。