(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生分解性樹脂組成物中にエステル分解促進剤が分散してなる生分解性樹脂成形体の表面を処理する方法であって、加水分解酵素を含むpH9〜12の範囲のリン酸含有溶液中で生分解性樹脂成形体を処理することを含む、生分解性樹脂成形体の表面処理方法。
エステル分解促進剤が酸放出性樹脂であり、前記酸放出性樹脂が放出する酸が、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、又は、グリコール酸及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
従来より、生活廃水や工場廃水などの影響による河川、湖沼の富栄養化や、農地への窒素肥料の施肥による周辺水環境(地下水、河川、湖沼)への汚染を防止するために、廃水処理が行なわれている。
【0003】
かかる廃水処理は、一般的にコスト的に有利な生化学的処理によって行なわれる。廃水処理施設では、処理槽に導入された汚水が活性汚泥の存在下で曝気され、汚水に含まれる有機物(BOD(Biochemical Oxygen Demand)源)は、活性汚泥中の好気性微生物の作用によって酸化分解される。この活性汚泥による処理では、窒素成分を除去する機能が弱く、アンモニア等の窒素成分は残存しやすい。
【0004】
富栄養化の原因物質の一つは硝酸塩(窒素成分)であり、廃水中の有機物が完全に取り除かれたとしても、最終放流水中にかかる窒素成分が多く含まれていると、植物性プランクトンの異常増殖を促進するなどして廃水処理は意味を失ってしまう。
【0005】
そこで、近年では、活性汚泥処理の後に、硝化菌によってアンモニアを硝酸塩とする硝化処理が行われ、次いで、無酸素条件下で、脱窒菌による脱窒処理にて窒素成分(硝酸塩)の除去が行なわれている。
【0006】
この脱窒処理は、有機物(即ちBOD源)をエネルギー源とし、硝酸塩を電子受容体とする脱窒菌の還元作用を利用したものであり、エネルギー源である有機物は脱窒反応の還元反応に必要な電子を供給する。これにより、硝酸塩は、亜硝酸、一酸化窒素、一酸化二窒素を経て窒素まで還元され、その結果、廃水中の各種窒素化合物は、窒素ガスとして大気中に放散されて除去される。
【0007】
この脱窒処理は、前述の通り微生物を使用するものであり、脱窒反応に必要なエネルギー源として固形有機物を用いることにより脱窒に必要な還元力を補いながら行う方法(固相脱窒法)等が採用されている。ここで、脱窒処理を行う際、樹脂担体表面に微生物を固着させて使用すると処理効率を向上させることができるが、微生物の固着速度を高めるためには、一般的に表面処理(多孔化など)を施す必要がある。樹脂の多孔質粒子の製造方法としては、例えば、特許文献1及び2に示すような、いわゆる析出法による製造方法が提案されている。しかしながら、微生物が固着しやすく、かつ、特に固相脱窒法における炭素源の供給源としてより適した担体の開発が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の生分解性樹脂成形体は、表面部の生分解性樹脂組成物に多孔質構造を有し、かつ、内部の生分解性樹脂組成物中にエステル分解促進剤が分散されているという特徴を有する。好ましくは、該多孔質構造表面の算術平均粗さSaが1.0μm以上であり、特に1.0〜5.0μm、さらに1.0〜2.0μmの範囲が好ましい。この範囲よりも大きいと酵素処理される前の生分解性樹脂成形体に対する重量減少率が大きくなるので生産性が低下してしまう。また、この範囲よりも小さいと微生物などの担体が固着しにくくなる。
【0014】
本発明において、孔質構造表面の算術平均粗さSaは、成形体表面の多孔化度を意味し、例えば、共焦点レーザースキャン顕微鏡(LSM 5 PASCAL MAT:Carl Zeiss社)を用いて多孔質構造表面の観察を行い得られた3次元データから付属ソフトウェアを用いて求めることができる。
【0015】
本発明に使用する生分解性樹脂は、主に非生物学的加水分解によって、乳酸または乳酸の誘導体等の炭素源を産生するものであり、かかる乳酸等が脱窒菌のエネルギー源である基質となる。
【0016】
本発明の生分解性樹脂成形体は、生分解性樹脂組成物中にエステル分解促進剤が分散されている。生分解性樹脂としては、生分解性を示すものであればよく、例えばポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリブチレンテレフタレート・アジペート、澱粉系樹脂、セルロース系樹脂、キチン、キトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステルなどが挙げられる。上記のうち、ポリ乳酸系樹脂が特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
上記生分解性樹脂において、上記の成分は他の成分とコポリマーを形成してもよい。生分解性樹脂のコポリマーを形成する成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ビスフェノールA、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アントラセンジカルボン酸などのジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;グリコリド、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
生分解性樹脂の分子量としては、特に制限されるものではないが、機械的特性や加工性を考えると、重量平均分子量で5,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜500,000の範囲がより好ましい。
【0018】
本発明に使用するエステル分解促進剤としては、上記生分解性樹脂の分解を促進することができるものであれば特に限定はされない。エステル分解促進剤は、酸放出性樹脂である。ここで、酸放出性樹脂は、極性が高い、即ち水への親和性が高いポリエステルであり、生分解性樹脂より加水分解速度が速いことが好ましい。このような酸放出性樹脂は加水分解速度が速くなるため、生分解性樹脂中で加水分解し、水溶性の酸を放出し、その酸が生分解性樹脂からブリーディングする過程で生分解性樹脂を分解する。その結果、電子供与体供給剤の分解速度も速くなる。極性はFedors法から計算されるSP値(溶解度パラメーター)(Polym.Eng.Sci.,14,147-154(1974))などを指標とすることが可能であり、前記SP値は例えば場合22.0以上、23.0以上、24.0以上であればよく、25.0以上であることが好ましい。
【0019】
放出する酸としては、0.005g/ml濃度の水溶液でpH(25℃)が4以下、特に3以下を示すものがよい。好ましくは、酸放出性樹脂が放出する酸は、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、又は、グリコール酸及びその組み合わせからなる群から選択される。
上記特徴を有するものとして、ポリオキサレート、ポリグリコール酸系樹脂が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、ブレンドしてもよい。本発明においては、ホモポリマー、共重合体、ブレンド体において、少なくとも一つのモノマーとしてシュウ酸を重合したポリマーをポリオキサレートとすることが好ましい。
【0020】
上記酸放出性樹脂において、上記の成分は他の成分とコポリマーを形成してもよい。酸放出性樹脂のコポリマーを形成する成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ビスフェノールA、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アントラセンジカルボン酸などのジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;グリコリド、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
【0021】
また、酸放出性樹脂から放出される成分は、生分解性樹脂からブリーディングした後、微生物による生物学的処理に利用されるものがよい。生分解性樹脂成形体が分解溶液中で完全に分解し、全分解物を生物学的処理に利用されることで、残渣を発生しない環境浄化方法を提供できる。また、酸放出性樹脂から放出される成分は、被処理物質を浄化する微生物の活性を高める等の効果も見込める。ここでいうブリーディングとは、酸放出性樹脂の加水分解物が生分解性樹脂内部から生分解性樹脂表面ににじみ出る現象をいう。
【0022】
本発明の生分解性樹脂成形体におけるエステル分解促進剤の含有量は、加工性を考えると好ましくは1〜30重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。
【0023】
生分解性樹脂とエステル分解促進剤とを含む、表面部の多孔質構造を有する処理をする前の生分解性樹脂成形体は、常法により製造することができる。例えば、生分解性樹脂とエステル分解促進剤とを、同時に単軸又は二軸押出し混練機に供給して溶融混合した後、ペレット化することにより電子供与体供給剤を製造することができる。溶融押出し温度としては、使用する生分解性樹脂とエステル分解促進剤のガラス転移温度、融点、混合比率などを考慮して、当業者が適宜設定できるが、一般的には100〜250℃である。
【0024】
本発明の生分解性樹脂成形体には、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、顔料、フィラー、充填剤、離型剤、帯電防止剤、香料、滑剤、発泡剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤などの添加剤を配合してもよい。また、前記生分解性樹脂及び酸放出性樹脂以外の樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどの水溶性の樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、酸変性ポリオレフィン、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、スチレンーブタジエンースチレン共重合体などを配合することができる。また、酸放出性樹脂の分散性を向上させる目的で生分解性樹脂と酸放出性樹脂の共重合体を配合してもよい。また、本発明の生分解性樹脂成形体の形態は特に限定されるものではなく、ペレット、フィルム、粉末、繊維又は、フィルターなどの形態にすることができる。
【0025】
本願発明の生分解性樹脂成形体は、表面部に多孔質構造を有する。ここで、生分解性樹脂成形体の上記の表面部の多孔質構造は、生分解性樹脂中にエステル分解促進剤が分散してなる生分解性樹脂成形体を、加水分解酵素を含むリン酸含有溶液中で処理することを含む本発明の方法に処理することにより得られる。
【0026】
本願発明の方法においては、加水分解酵素を含むリン酸含有溶液を分解溶液として用い、同溶液中で上記の生分解性樹脂成形体を処理する。リン酸含有溶液としては、リン酸二水素ナトリウム(NaH
2PO
4)、リン酸水素二ナトリウム(Na
2HPO
4)の各水溶液、及び、これらを使用した緩衝液、例えば、リン酸二水素ナトリウム(NaH
2PO
4)及びリン酸水素二ナトリウム(Na
2HPO
4)の各水溶液を混合したリン酸緩衝液、クエン酸-リン酸緩衝液等が挙げられる。塩濃度としては、例えば10〜150mM、好ましくは50〜120mMとすることができる。
リン酸含有溶液のpHは、使用する生分解性樹脂、エステル分解促進剤、加水分解酵素の種類等によって適宜選択することが可能であり、好ましくはアルカリ性のpH、例えばpH9〜12、好ましくはpH10〜11を採用することができる。
【0027】
本発明に使用される加水分解酵素としては、一般に生分解性樹脂を分解するものであれば特に限定はされず、当業者が任意のものを使用することができる。このような酵素としては例えばプロテアーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ等が挙げられる。上記のうち、プロテアーゼ、特にアルカリ性のpH領域で活性を示すアルカリプロテアーゼが好ましく、例えばSavinase 16.0Lを使用することができる。加水分解性酵素の量は当業者が適宜決定することが可能であり、例えば使用する酵素ごとの活性単位を基準として分解しようとする樹脂に対応して決定することができる。
【0028】
本発明の方法においては、上記の生分解性樹脂成形体を上記の分解溶液中に置くことによって処理する。必要により振盪や攪拌等の操作を行ってもよい。処理温度及び時間等の条件は、使用する生分解性樹脂、エステル分解促進剤、加水分解酵素の種類や量などに応じて当業者が適宜設定することが可能であるが、温度としては例えば30〜60℃、好ましくは40〜50℃、時間としては1日〜10日、好ましくは3〜5日とすることができる。
【0029】
上記の方法を採用することにより、生分解性樹脂中にエステル分解促進剤が分散してなる生分解性樹脂成形体の表面部のうち、エステル分解促進剤の部分を分解して表面部に多孔質構造を持たせることが可能である。本発明の方法では生分解性樹脂成形体の分解が表面部に止まり、生分解性樹脂成形体の本体の全体の分解量(重量減少)が抑制されて基材を多く残すことが可能であり、そのため、生分解性樹脂成形体の内部は未処理のまま生分解性樹脂中にエステル分解促進剤が存在する状態を維持することができる。本発明の方法によって作製された生分解性樹脂成形体は、固相脱窒法に使用された場合に、生分解性樹脂成形体の表面部に形成された多孔質構造の部分に微生物が固着することが容易になると同時に、生分解性樹脂成形体の内部に残存するエステル分解促進剤の作用により生分解性樹脂内部からの分解を促進するため、脱窒反応における脱窒菌のエネルギー源となる炭素源の供給が効率的に行われ、脱窒処理の効率を向上させることが可能となる。
【0030】
前述の通り、本発明の方法では生分解性樹脂成形体の基材自体の分解を最小限としつつ表面部を選択的に処理することが可能となるため、分解溶液中の処理によっても生分解性樹脂成形体の全体の重量減少が小さくなる。例えば、本発明の方法により処理される前の生分解性樹脂成形体に対する重量減少率は40%以下、10%以下、好ましくは5%以下となる。
【実施例】
【0031】
<融点、ガラス転移温度の測定>
装置:セイコーインスツルメント株式会社製DSC6220(示差走査熱量測定)
試料調整:試料量5〜10mg
測定条件:窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で0℃〜250℃の範囲で測定。
【0032】
<分子量の測定>
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC
検出器:示差屈折率検出器RI(Waters製RI-2414型、感度512)
カラム:昭和電工製Shodex HFIP-LG(1本)、HFIP-806M(2本)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(5mM トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
試料調製:試料約1.5mgに溶媒5mLを加え、室温で緩やかに攪拌した(試料濃度約0.03%)。目視で溶解していることを確認した後、0.45μmフィルターにて濾過した(秤量から繰り返し2回行った)。全ての試料について、調製開始から約1時間以内に測定を行った。
【0033】
<分解性樹脂組成物>
1.ポリ乳酸;
Nature Works社製 4032Dを用いた。
2.ポリエチレンオキサレート(以下「PEOx」と略す)
以下の方法で合成したものを用いた。
【0034】
<PEOxの合成>
マントルヒーター、攪拌装置、窒素導入管、冷却管を取り付けた1Lのセパラブルフラスコに、
シュウ酸ジメチル 472g(4mol)
エチレングリコール 297g(4.8mol)
テトラブチルチタネート 0.42g
を入れ、窒素気流下フラスコ内温度を120℃からメタノールを留去しながら180℃まで加熱し7時間反応させた。最終的に270mlのメタノールを留去した。
その後、内温170℃〜190℃に段階的に昇温し、0.1kPa〜0.2kPaの減圧度で7時間反応後、粘度が上がり取り出した。
取り出したポリマーをクラッシャーで造粒し、110℃で4時間真空乾燥処理し結晶化させた。
得られたポリマーは重量平均分子量70000、融点180℃、ガラス転移温度35℃であった。
【0035】
<生分解性樹脂成形体の作製>
上述したポリ乳酸(PLA)、又は、PLAとPEOxのドライブレンドを、二軸押出機(テクノベル社製ULT Nano05-20AG)を用いて200℃で溶融混合し、ペレット状の生分解性樹脂成形体を試料とした。PLAとPEOxのブレンド比は重量比で95:5となるように成形した。得られた成形体は120℃5時間で乾燥し、吸水を防止するためアルミ袋に封入し、4℃にて保存した。
【0036】
<多孔化試験>
50mlのバイアル瓶に、上記で作製された生分解性樹脂成形体200mgを、所定量の酵素と共に、分解溶液30mlに加え、45℃、100rpmで振とうした。4日後にペレットを取りだし、60℃の真空乾燥機で4時間乾燥させ、重量を測定し、重量保持率を測定した。重量保持率は下記式で算出した。
重量保持率=100−{(初期重量−分解後重量)×100/初期重量}
その後、SEMにて形態観察を行った。
尚、分解溶液としては、リン酸水溶液(リン酸水素二ナトリウム 100mM, pH10.5)、又は、CHES水溶液(CHES 100mM, pH10.5)を用いて、多孔化度の評価を行った。
【0037】
<電子顕微鏡による観察及び算術平均粗さの測定>
上述試験により得られたペレットを走査型電子顕微鏡(S-3400N:HITACHI社)を用いて表面形状を観察した。また、共焦点レーザースキャン顕微鏡(LSM 5 PASCAL MAT:Carl Zeiss社)を用いて1000倍にて267x210μm
2の範囲で観察を行い、得られた3次元データから付属ソフトウェアを用いて多孔質構造表面の算術平均粗さ(Sa)を求めた。
【0038】
(実施例1)
生分解性樹脂成形体として5%PEOx含有PLA、分解液としてリン酸水溶液、酵素としてSavinase 16.0L(Novozymes社製)を用いて加水分解試験を行った。
(比較例1)
分解液としてCHES水溶液を用いた他は実施例1と同様に行った。
(参考例1)
生分解性樹脂成形体としてPLAを用いた他は実施例1と同様に行った。
(参考例2)
分解液としてCHES水溶液を用いた他は参考例1と同様に行った。
【0039】
上記の実施例1、比較例1、参考例1、2について、4日後の樹脂分解率を
図1に示す。各試験例の重量減少率は以下の通りである。
また、上記の実施例1、比較例1、参考例1、2について、表面及び内部(実施例1、比較例1のみ)の電子顕微鏡写真を
図2に示す。
また、上記の実施例1、比較例1、参考例2について、算術平均粗さSaを測定した共焦点レーザースキャン顕微鏡写真を
図3に示す。
【0040】
図1及び
図2の結果より、本願所定の生分解性樹脂成形体をリン酸水溶液で処理した実施例1と、CHES水溶液で処理した比較例1とを比較すると、実施例1においては、生分解性樹脂成形体の全体的な分解(重量減少)を大きく抑制しながら、その表面に多孔質構造を形成していることが理解できる。また、生分解性樹脂成形体の内部の電子顕微鏡写真を参照すると、比較例1では内部に存在するエステル分解促進剤(PEOx)が分解されたことにより内部の多孔質構造化が進んでいることが理解できる。