(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得手段は、所定の計測期間内に前記撮影手段により連続撮影された前記各フレームの前記撮影画像において前記確認手段により確認された前記回転体の前記各フレームでの前記回転状態に基づいて、前記回転体の前記単位時間あたりの回転数を取得することを特徴とする請求項1記載の回転数測定装置。
前記設定手段は、前記検出領域として、前記回転体の回転中心が変化する範囲に対応する領域を前記各フレームの前記撮影画像に設定することを特徴とする請求項3又は4記載の回転数測定装置。
前記水平軸型風車の前記プロペラは複数の羽根を有し、前記複数の羽根のうちの1つの羽根は他の羽根と識別可能であり、前記1つの羽根は前記プロペラの前記回転状態を確認する際の基準となる前記基準羽根として使用されることを特徴とする請求項7記載の回転数測定装置。
前記水平軸型風車の前記検出領域は、前記水平軸型風車の大きさによって異なる領域であり、前記胴部の向きに関係なく前記基準羽根が前記プロペラの回転平面において所定の角度範囲に位置する間だけ出現する領域であることを特徴とする請求項7又は8記載の回転数測定装置。
前記垂直軸型風車の各前記風杯のうちの1つの風杯は他の風杯と識別可能であり、前記1つの風杯は前記風杯の前記回転状態を確認する際の基準となる前記基準羽根として使用されることを特徴とする請求項10記載の回転数測定装置。
前記垂直軸型風車の前記検出領域は、前記垂直軸型風車の大きさによって異なる領域であり、前記基準羽根が前記風杯の回転平面において所定の角度範囲に位置する間だけ出現する領域であることを特徴とする請求項10又は11記載の回転数測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、複数(又は単一)の観測地点における風速、又は風速と風向を観測地点から離れた場所で測定する観測システムに関するものである。
【0011】
図1は、本実施形態の観測システムを示す概念図である。この観測システムは、複数の観測地点に設けられた水平軸型風車101や垂直軸型風車201と、観測地点から離れた場所での各観測地点の風速や風向の観測に使用されるものであって、本発明の回転数測定装置としての機能を備えた測定装置1とから構成される。
【0012】
水平軸型風車101は、一般的な風車型風向風速計と同様、
図2に示したように、流線型の胴部102に垂直尾翼103とプロペラ104とが設けられ、胴部102に回転軸105が一体的に設けられた構造である。水平軸型風車101は、取付軸105が、任意の観測地点に設置された支柱111の上端に回転自在に取り付けられることにより、風向きに応じて適宜回動可能である。
【0013】
支柱111には、上記水平軸型風車101の種類を含む個体識別に使用される個体識別マーカーM1が設けられている。個体識別マーカーM1は、支柱111において、予め想定される測定装置1の使用場所に対向する周面領域に配置されるとともに、前記プロペラ104の回転の軸との間の高さ方向の離間距離を予め決められている距離に調整されている。
【0014】
水平軸型風車101のプロペラ104は4枚羽根であって、そのうちの1枚の羽根104aには、他の羽根104b〜104dと識別可能な特定色(赤色等)が付けられており、当該羽根104aが、風速の測定に際し、プロペラ104の回転状態を確認するとき基準となる測定基準として使用される。以下の説明においては、当該羽根104aを基準羽根と呼ぶこととする。
【0015】
また、水平軸型風車101の取付軸105には、風向きの測定に使用される風向測定マーカーM2が設けられている。この風向測定マーカーM2は、取付軸105の全周を覆う環状の部材であり、全領域が周方向に沿って複数(3以上)領域に分割されるとともに、各領域に異なる色が所定の順で配置されている。
【0016】
風向測定マーカーM2は、取付軸105への取り付け時点で、胴部102(前記プロペラ104の中心)を真北に向けた状態で、特定の2色の領域の境界線が個体識別マーカーM1の中心を通る垂直線上に位置するように調整されている。
【0017】
一方、垂直軸型風車201は、一般的な風杯型風速計と同様、
図3に示したように、任意の観測地点に設置された支柱111の上端に回転自在に取り付けられた回転軸205と、回転軸205の外周に等角度間隔で設けられた3本の支軸202と、各支軸202の先端にそれぞれ設けられた風杯204a,204b,204cとから構成される。
【0018】
3つの風杯204a〜204cのうちの1つの風杯204aには、他の風杯と識別可能な特定の色(赤色等)が付けられており、当該風杯204aが、風速の測定に際し、垂直軸型風車201の回転状態を確認するとき基準となる測定基準として使用される。以下の説明においては、当該風杯204aを前述した水平軸型風車101の羽根104aと同様に基準羽根と呼ぶこととする。
【0019】
また、垂直軸型風車201を回転自在に支持する支柱111にも、上記垂直軸型風車201の種類を含む個体識別に使用される個体識別マーカーM1が設けられている。この個体識別マーカーM1も、支柱111において、予め想定される測定装置1の使用場所に対向する周面領域に配置されるとともに、風杯204a〜204cの中心との間の高さ方向の離間距離を予め決められている距離に調整されている。
【0020】
なお、以下の説明においては、上述した水平軸型風車101と垂直軸型風車201とを「風車」と総称するとともに、水平軸型風車101のプロペラ104と、垂直軸型風車201における支軸202を含めた各風杯204a,204b,204cとを総称して「受風体」と呼ぶ。
【0021】
次に、測定装置1について説明する。
図4は、測定装置1の電気的構成の概略を示すブロック図である。測定装置1は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置とほぼ同様の構成であり、以下の各部から構成される。すなわち測定装置1は、主として撮影用のレンズ1
1、電子撮像部12、画像データ生成部13、撮像制御部14、画像メモリ15、表示制御部16、表示部17、画像処理部18、カウンタ19、タイマー20、中央制御部21、プログラム記憶部22、操作部23の各部から構成される。
【0022】
レンズ11は、フォーカス用、及びズーム用のレンズを含むレンズ群であり、測定装置1においては、このレンズ群が図で省略した所定のアクチュエータにより駆動されることにより、フォーカスや画角が調整可能である。
【0023】
電子撮像部12は、CMOS(Complementary Meta1 0xide Semiconductor)型の撮像素子やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子であり、レンズ11により結像された光学像を画像信号に変換し、画像データ生成部13へ供給する。
【0024】
画像データ生成部13は、上記画像信号の増幅を含むアナログ処理を行い、アナログ処理後の画像信号をデジタル信号へ変換し、撮影画像データとして画像メモリ15に記憶する。
【0025】
画像メモリ15は、画像データを一時的に記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。
【0026】
撮像制御部14は、中央制御部21からの命令に従い前述したアクチュエータによりレンズ11(レンズ群)の位置を制御するとともに、電子撮像部12、画像データ生成部13を駆動する。
【0027】
画像処理部18は、デジタル信号処理に特化したマイクロコンピュータ、及びプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、メモリ、演算回路等から構成され、画像メモリ15に記憶された撮影画像データに対して各種の画像処理を施す。各種の画像処理には、撮影画像における前述した個体識別マーカーM1や風向測定マーカーM2、基準羽根104a,204aを認識する処理が含まれる。
【0028】
タイマー20は、風速の測定に際して後述する計測期間に相当する時間をカウントする。
【0029】
カウンタ19は、中央制御部21が、前述した基準羽根104a,204aの出現回数(詳細については後述する)を風車毎にカウントするためのメモリである。
【0030】
表示制御部16は、画像メモリ15に記憶された撮影画像データに基づく撮影画像を表示部17にライブビュー表示させるとともに、中央制御部21から送られる風
速及び風向の測定結果をOSD(On Screen Display)により撮影画像に重畳して表示部17に表示させる。
【0031】
表示部17はカラー液晶表示パネル等により構成され、操作部23は、電源ボタンや、測定装置1の操作に使用する各種の操作スイッチにより構成される。
【0032】
中央制御部21は、RAM(Random Access Memory)31を有するマイクロコンピュータであり、図では省略したCPU(Central Processing Unit)、及びその周辺回路等、作業用メモリであるRAM(Random Access memory)31から構成され、プログラム記憶部22に記憶されている種々のプログラムに従い測定装置1の各部の動作を制御する。
【0033】
プログラム記憶部22は、例えばフラッシュメモリ等の記憶データが随時書き換え可能な不揮発性メモリにより構成される。プログラム記憶部22には、中央制御部21に上記各部の制御を行わせるための各種プログラム、及び各種データが記憶されている。
【0034】
特にプログラム記憶部22には、風速や風向の測定に際して
図7、
図8に示した後述する処理を中央制御部21に実行させるための観測プログラムと、以下のデータが記憶されている。
【0035】
すなわち、プログラム記憶部22には、各風車101,201に事前に割り当てられている識別番号と、識別番号に対応する複数種のデータが記憶されている。
【0036】
複数種のデータには、画像処理部18が個体識別マーカーM1や風向測定マーカーM2の認識に際して使用する特徴データと、各風車101,201の種類、すなわち水平軸型と
垂直軸型のいずれであるかの情報が含まれる。上記の特徴データのうち個体識別マーカーM1の認識に使用される特徴データは、個体識別マーカーM1を表す画像データである。また風向測定マーカーM2の認識に使用される特徴データは、平面に展開された状態の風向測定マーカーM2を表す画像(以下、平面画像)のデータである。
【0037】
また、複数種のデータには、各風車101,201における受風体(プロペラ104や風杯204a,204b,204c)の回転半径と、受風体の固有である風速比(受風体の回転角速度と風速との比)が含まれる。
【0038】
また、複数種のデータには、中央制御部21が後述する処理に際して、撮影画像内に、複数の風車101,201にそれぞれ対応して
図5及び
図6に示した矩形の検出領域K1,K2を設定するための設定用データが含まれる。
【0039】
図5は、撮影画像内に、水平軸型風車101に対応して設定される検出領域K1を示した図である。この検出領域K1は、水平軸型風車101の大きさ等によって異なる領域であるとともに、胴部102の向き(風向き)に関係なく、前述した基準羽根104aが、プロペラ104の回転平面で10時から2時の角度範囲に位置する間だけ出現する領域である。
【0040】
上記検出領域K1を特定する設定データは、画像内での個体識別マーカーM1の縦方向のサイズAに対する比率を示す数値データであって、次のデータにより構成される。すなわち設定データは、取付軸105から検出領域K1の左辺までの水平距離L1(
図5において取付軸105と支柱111とは同一径である。)と、個体識別マーカーM1の中心から検出領域K2の左上隅の頂点Kaまでの垂直距離L2と、検出領域Kの縦サイズH及び横サイズWとを示すデータである。
【0041】
また、
図6は、撮影画像内に、前述した垂直軸型風車201に対応して設定される検出領域K2を示した図である。この検出領域K2は、垂直軸型風車201の大きさ等によって異なる領域であるとともに、前述した基準羽根204aが、回転平面で120°の角度範囲、より具体的には
図6の支柱111の幅中心の位置を上記回転平面で6時としたとき、基準羽根204aが1時から5時の角度範囲に位置する間だけ出現する領域である。
【0042】
上記検出領域K2を設定するための設定データも、画像内での個体識別マーカーM1の縦方向のサイズAに対する比率を示す数値データであって、次のデータにより構成される。すなわち設定データは、回転軸205から検出領域K2の左辺までの水平距離L1(
図6において回転軸205と支柱111とは同一径である。)と、個体識別マーカーM1の中心から検出領域K2の左上隅の頂点Kaまでの垂直距離L2と、検出領域K2の縦サイズH、及び横サイズWとを示すデータである。
【0043】
そして、以上の構成からなる観測システムにおいては、観測者が測定装置1を予め想定している使用場所に設置し、風速や風向を測定したい1又は複数の観測地点の風車101,201が画角内に収まるように、撮影方向やズーム倍率を調整した後、所定のスイッチ操作によって測定装置1に測定動作を開始させることにより、風速や風向を測定することができる。
【0044】
図7は、測定装置1の本発明に係る測定動作を示す図であって、測定動作時における中央制御部21の処理内容を示したフローチャートである。
【0045】
以下説明すると、中央制御部21は、測定動作の開始とともに処理を開始した後、直ちに電子撮像部12に撮像動作を行わせ風車の撮影画像を取得する(ステップSA1)。
【0046】
次に、中央制御部21は、画像処理部18に、撮影画像において前述した個体識別マーカーM1や風向測定マーカーM2を認識させ(ステップSA2)、撮影画像内に存在する1又は複数の風車を特定する(ステップSA3)。
【0047】
ステップSA3の処理に際して中央制御部21は、各風車101,201の個体識別マーカーM1や風向測定マーカーM2の位置、及び個体識別マーカーM1
によって示される各風車の識別番号を取得し、それらをRAM31に記憶する。なお、以下の説明では、便宜上、撮影画像内に複数の風車が存在するものとする。
【0048】
次に、中央制御部21は、ステップSA3の処理で特定した複数の風車のいずれかに風向測定マーカーM2がある場合、すなわち撮影画像において1又は複数の風向測定マーカーM2が認識されていた場合には(ステップSA4:YES)、風向を取得する(ステップSA5)。
【0049】
具体的に述べると、中央制御部21は、まず該当する風車(水平軸型風車101)の風向測定マーカーM2に対応する領域の部分画像を取得し、その部分画像の各分割領域の色に基づき、部分画像がプログラム記憶部22に記憶されている平面画像(風向測定マーカーM2の平面に展開された状態の画像)のどの領域に該当するかを確認する。
【0050】
しかる後、中央制御部21は、該当する領域の横方向の中心を通る中心線と、平面画像における前述した特定の2色の領域の境界線との位置とを比較し、境界線に対する上記中心位置の横方向のズレ方向とズレ量とに基づいて風向を判断する。すなわち、境界線と上記中心位置との位置が一致しているときの風向が真北であるものとして風向を取得する。なお、取得(判断)した風向は、各風車の識別番号に対応させてRAM31に記憶する。
【0051】
次に、中央制御部21は、一定周期の連続撮影、すなわち電子撮像部12に所定のフレームレートでの連続撮影を開始させる(ステップSA6)。上記フレームレートは、予め想定される最大風速時における前記受風体(プロペラ104や風杯204a,204b,204c)の回転速度に応じて決められているフレームレートである。より具体的には、前記受風体が想定される最大速度で回転している状態において、前述した基準羽根104a,204aが1回転する間に3フレーム以上の画像を取得可能なフレームレートである。
【0052】
その後、中央制御部21は、
図8に示した回転数計測処理を行う(ステップSA7)。この回転数計測処理は、ステップSA3の処理で特定した複数の風車の各々について、前述した受風体(プロペラ104や風杯204a,204b,204c)の予め決められている計測期間内における回転数を計測する処理である。
【0053】
図8に示したように、回転数計測処理に際して中央制御部21は、カウンタ19における風車毎の後述する出現回数をゼロにリセットした後(ステップSB1)、タイマー20による処理時間のカウントを開始する(ステップSB2)。なお、カウント開始タイミングは、回転数計測処理の開始直後における電子撮像部12の撮像タイミングと同期させる。
【0054】
以後、中央制御部21は、所定のフレームレートで撮影画像を取得する毎に(ステップSB3:YES)、以下の処理を行う。
【0055】
まず、中央制御部21は、既説したステップSA3の処理で特定した複数の風車のいずれかを計測対象として順に設定する(ステップSB4)。
【0056】
次に、中央制御部21は、計測対象に設定した風車の識別番号に対応する前述した設定用データをプログラム記憶部22から読み出し、その設定用データに基づいて撮影画像内に検出領域を設定する(ステップSB5)。すなわち計測対象となる風車が水平軸型風車101であれば、
図5に示した検出領域K1を撮影画像内に設定し、計測対象となる風車が垂直軸型風車201であれば、
図6に示した検出領域K2を撮影画像内に設定する。
【0057】
次に、中央制御部21は、画像処理部18に、上記検出領域内の各画素の色情報に基づき受風体の基準羽根104a,204aに相当する領域の有無を認識させる(ステップSB6)。より具体的には、前述した特定色(赤色等)とほぼ同一の色の画素からなる領域であって、その面積が予め決められている所定面積以上である特定領域の有無を認識させる。
【0058】
これにより中央制御部21は、受風体の回転状態が、基準羽根104a,204aが前述した規定の角度範囲にある回転位置にある状態と、それ以外の回転位置にある状態とのいずれであるかを確認する。
【0059】
ここで、中央制御部21は、基準羽根104a,204aが認識できたとき、すなわち検出領域に基準羽根104a,204aが出現しているとき(ステップSB7:YES)、計測対象の風車に関する基準羽根104a,204aの出現回数をインクリメントした後(ステップSB8)、ステップSB9の処理に進み、また、検出領域に基準羽根104a,204aが存在していないときには(ステップSB7:NO)、直ちにステップSB9の処理に進む。
【0060】
引き続き、中央制御部21は、全ての風車についてステップSB5〜ステップSB8の処理が完了するまで(ステップSB9:NO)、計測対象として新たな風車を設定し(ステップSB5)、同様の処理を繰り返す。
【0061】
また、中央制御部21は、タイマー20により計測している処理時間が計測期間に対応する時間になるまでは(ステップSB10:NO)、ステップSB3の処理へ戻り、新たな撮影画像を取得する毎に(ステップSB3:YES)、前述したステップSB4〜ステップSB9の処理を繰り返し実行する。
【0062】
そして、処理時間が計測期間に対応する時間になると(ステップSB10:YES)、中央制御部21は、カウンタ19によって風車毎にカウントされている出現回数に基づいて、計測期間内における各風車の回転数を下記式から計算する(ステップSB11)。
・t = A/k/f
・n = 60/t
ここで、
t:1回転の所要時間[秒]
A:計測期間内の総フレーム数
k:出現回数
f:フレームレート[fps]
n:回転数[rpm]
である。
【0063】
したがって、例えばフレームレートが30fps、計測期間が10分、出現回数が300回であれば、回転数として30rpmが得られる。
【0064】
そして、中央制御部21は、上述した回転数計測処理により計測期間内における各風車の1分間の回転数を計算した後、
図7の処理に戻る。
【0065】
引き続き、中央制御部21は、回転数計測処理で得られた各風車の回転数、及びプログラム記憶部22に記憶されている各風車の受風体の回転半径と風速比とに基づいて、風車が設置されている各観測地点の風速を下記式からそれぞれ計算する(ステップSA8)。
・V = 2πR × n / 60
・v = V / a
ここで、
V:受風体の先端の速度(周速[m/sec])
R:受風体の回転半径[m]
n:回転数[rpm]
v:風速[m/sec]
a:風速比
である。
【0066】
したがって、例えば受風体の回転半径が0.5m、回転数が30rpm、風速比が0.5のときには、風速として3.14m/secが得られる。
【0067】
しかる後、中央制御部21は、上述した処理で風車毎に取得(判断又は計算)した風速と風向、つまり測定結果を表示部17に表示させる(ステップSA9)。すなわち、測定結果を、例えば
図9に示したように、直近の撮影画像G(又は処理開始当初に取得した撮影画像)内であって各風車101,201に対応する所定位置に重畳して表示部17に表示させる。
【0068】
以後、中央制御部21は、所定のスイッチ操作によって観測者から測定終了が指示されるまでは(ステップSA10:NO)、前述したステップSA4以降の処理を繰り返し行い、測定終了が指示された時点で(ステップSA10:YES)、処理を終了する。
【0069】
以上のように本実施形態の観測システムにおいては、測定装置1により各風車101,201を所定のフレームレートで連続撮影するとともに、各フレームの撮影画像において、検出領域K1,K2における受風体(プロペラ104や風杯204a,204b,204c)の基準羽根104a,204aの有無、つまり受風体の回転状態を確認することによって、受風体の単位時間あたりの回転数を取得する。
【0070】
したがって、前述した基準羽根104a,204aの外見を他の羽根と識別可能にしておくだけで単位時間あたりの回転数を取得することができる。そのため、各風車101,201には、受風体の回転数を検出してそれを電気信号に変換したり、検出結果を送信するための送信手段を別途設けたりする必要がない。しかも、レーザー光を用いて受風体の回転数を検出する場合のように、別途設ける検出機器を精度よく固定する必要もない。
【0071】
よって、観測地点から離れた場所であっても、簡易な設備と方法によって容易に受風体の単位時間当たりの回転数(以下、単に回転数という。)を測定することができる。その結果、観測地点から離れた場所での風速や風向の観測を容易かつ低コストで実現することができる。特に、観測地点が多い場合には係る効果が大である。
【0072】
また、本実施形態のように同一の撮影画像から、複数の風車における受風体の回転数を個別に検出することにより、複数の観測地点の風速を一括して測定することができる。
【0073】
また、受風体の回転状態の確認を、各フレームの撮影画像に検出領域K1,K2を設定し、検出領域K1,K2を対象として基準羽根104a,204aを認識することにより行うようにした。したがって、受風体の回転数を簡単な画像処理によって容易に得ることができる。
【0074】
また、各フレームの撮影画像に設定する検出領域K1,K2を風車101,201の種類に応じた領域とすることにより、水平軸型風車101や垂直軸型風車201といった異なる種類の受風体からなる風車にも対応することができる。
【0075】
その結果、風向きに応じてプロペラ104の回転中心が変化する水平軸型風車101であっても、それに応じた検出領域K1を設定することにより、風向きに関係なく受風体の回転数を得ることができる。
【0076】
ここで、本実施形態においては、所定の計測期間内における検出領域K1,K2への基準羽根104a,204aの出現回数をカウントし、その出現回数に基づいて受風体の回転数を計算したが、例えば、風車を連続撮影するときのフレームレートを高く設定しておき、検出領域K1,K2に基準羽根104a,204aが出現しているフレームが連続する間のフレーム数に基づいて受風体の回転数を計算するようにしてもよい。
【0077】
また、ここでは主として本発明を風速や風向の観測に使用する測定装置1に適用した場合、すなわち風車における受風体の回転数を得る場合について説明したが、これに限らず、本発明は受風体以外の任意の回転体の回転数を測定する場合にも適用することができる。
【0078】
また、本実施形態と同様に回転状態を確認する際に基準となる測定基準を回転体に設定し、かつ各フレームの撮影画像に検出領域を設定する構成を採用する場合、測定基準は回転体の構造に応じて設定すればよく、また検出領域は撮影画像内における回転体の回転軸の方向に応じて設定すればよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、これらは本発明の作用効果が得られる範囲内であれば適宜変更が可能であり、変更後の実施形態も特許請求の範囲に記載された発明、及びその発明と均等の発明の範囲に含まれる。以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
回転体を所定のフレームレートで連続撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された各フレームの撮影画像において前記回転体の回転状態を確認する確認手段と、
前記確認手段により確認された回転体の各フレームでの回転状態に基づいて、前記回転体の単位時間あたりの回転数を取得する取得手段と、
を備えたことを特徴とする回転数測定装置。
[請求項2]
前記取得手段は、所定の計測期間内に前記撮影手段により連続撮影された各フレームの撮影画像において前記確認手段により確認された回転体の各フレームでの回転状態に基づいて、前記回転体の単位時間あたりの回転数を取得することを特徴とする請求項1記載の回転数測定装置。
[請求項3]
前記確認手段は、
前記各フレームの撮影画像に、前記回転体に対応して予め決められている検出領域を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された検出領域を対象として、前記回転体における回転状態を確認する際の基準となる測定基準を認識する認識手段と
を含み、
前記取得手段は、前記認識手段により測定基準が認識されたフレーム数に基づいて前記回転数を取得する
ことを特徴とする請求項2記載の回転数測定装置。
[請求項4]
前記設定手段は、前記各フレームの撮影画像に、前記回転体の種類に応じた検出領域を設定することを特徴とする請求項3記載の回転数測定装置。
[請求項5]
前記設定手段は、前記検出領域として、前記回転体の回転中心が変化する範囲に対応する領域を前記各フレームの撮影画像に設定することを特徴とする請求項3又は4記載の回転数測定装置。
[請求項6]
前記確認手段は、前記各フレームの撮影画像に存在する複数の回転体の回転状態を個別に確認し、
前記取得手段は、前記複数の回転体の単位時間あたりの回転数を個別に取得することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の回転数測定装置。
[請求項7]
前記回転体は、風車が有する受風体であって、
前記認識手段は、前記設定手段により設定された検出領域を対象として、前記受風体を構成する複数枚の羽根のうちで基準となる基準羽根を認識し、
前記取得手段は、前記認識手段により基準羽根が認識されたフレーム数に基づいて前記回転数を取得し、
前記取得手段により取得された前記回転数から風速を計算する計算手段をさらに備えることを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の回転数測定装置。
[請求項8]
回転体を所定のフレームレートで連続撮影する撮影工程と、
前記撮影工程で撮影した各フレームの撮影画像において前記回転体の回転状態を確認する確認工程と、
前記確認工程で確認した回転体の各フレームでの回転状態に基づいて、前記回転体の単位時間あたりの回転数を取得する取得工程と、
を含むことを特徴とする風速測定方法。
[請求項9]
コンピュータを、
撮影手段により回転体を所定のフレームレートで連続撮影する撮影処理と、
前記撮影処理で撮影した各フレームの撮影画像において前記回転体の回転状態を確認する確認処理と、
前記確認処理で確認した回転体の各フレームでの回転状態に基づいて、前記回転体の単位時間あたりの回転数を取得する取得処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。