特許第6365832号(P6365832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365832
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20180723BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B25J15/08 H
   B25J15/04 C
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-154066(P2014-154066)
(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2016-30316(P2016-30316A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】馬 書根
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−309426(JP,A)
【文献】 特開2014−24143(JP,A)
【文献】 特開昭60−132888(JP,A)
【文献】 特開2010−131703(JP,A)
【文献】 特開2010−110853(JP,A)
【文献】 特開昭59−146783(JP,A)
【文献】 特開2011−156614(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118646(WO,A1)
【文献】 特開昭60−25688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段と、
前記駆動手段からの駆動力によって回転する第1歯車を有するベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、前記駆動手段から前記第1歯車を介して出力される駆動力によって対象物に対して把持動作及び引き込み動作を行う複数の指機構と、を備える把持装置であって、
前記指機構は、
前記第1歯車に噛み合うように配置され、前記第1歯車の回転によって回転する第2歯車と、
前記第2歯車の回転に連動して回転する太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合うように前記太陽歯車の周囲に配置される遊星歯車と、前記遊星歯車の公転に連動して回転するように前記遊星歯車に接続されるキャリアと、前記遊星歯車の自転に連動して回転するように前記遊星歯車に噛み合う内歯車とを有する遊星歯車機構と、
前記内歯車の回転力が伝達されることにより回動するリンク機構と、
前記リンク機構に連結され、当該リンク機構の回動に伴って開閉動作する支持フレームと、前記支持フレームに回転自在に支持され、前記キャリアの回転力が伝達されることにより回転する駆動輪と、前記支持フレームに回転自在に支持される従動輪と、前記駆動輪及び前記従動輪に無端状に巻き掛けられる無端帯とを有する把持部と、
前記キャリアに対して回転を抑制するために付与する抵抗力を調節する回転抵抗調節機構とを備え、
前記遊星歯車機構は、前記回転抵抗調節機構によって前記キャリアに対して前記抵抗力を付与した状態で、前記駆動手段による駆動力が前記第1歯車を介して前記第2歯車に出力されることで、前記太陽歯車が回転させられ、前記太陽歯車の回転力によって前記遊星歯車を介して前記内歯車を回転させることにより、前記リンク機構を回動させて前記支持フレームを閉動作させることで、前記無端帯を前記対象物に接触させて前記把持部に把持動作させ、
前記把持動作によって前記抵抗力より前記内歯車の回転を阻害する抵抗力が大きくなった際に、前記太陽歯車の回転力によって前記遊星歯車を介して前記キャリアを回転させることにより、前記駆動輪を回転させて前記無端帯を駆動させることで、前記無端帯に接触している前記対象物を引き込むように前記把持部に引き込み動作させることを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記内歯車の回転力は、セルフロック機能を有するウォームギアを介して前記リンク機構へ伝達されることを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記指機構は、前記ベース部に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記無端帯は、駆動方向に対して直交する断面が略半円形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の把持装置。
【請求項5】
前記ベース部は、前記引き込み動作によって引き込まれた前記対象物を受け入れる開口を有する筒部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の把持装置。
【請求項6】
前記回転抵抗調節機構は、前記駆動輪に対して摩擦力を発生させ、前記駆動輪の回転を抑制することにより、前記キャリアに対して前記抵抗力を付与することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を把持するための把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業用ロボットとして、様々な対象物を把持するために、人の手を模した多指ロボットの研究が広く行われている。人の手は、物を掴むという動作だけでも、円形、棒状、布状等の様々な形状の物や、剛体、スポンジといった様々な硬さの物でも把持することができる。しかしながら、現在のロボットハンドは重量が大きい傾向があり、且つ、アクチュエータの増加によって制御が複雑になってしまうという問題がある。そのため、様々な形状や硬さの物を複雑な制御なしで把持できることが求められており、様々なグリッパが提案されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
非特許文献1のグリッパは、対象物を把持する把持爪の開閉動作が超音波モータによって行われている。このグリッパでは、把持爪内側に2個のスライダが取り付けられており、把持爪の開閉動作に加えて、2つのスライダの前後動作により対象物を旋回させたり傾斜させたりすることができるようになっている。
【0004】
非特許文献2のグリッパは、3つの指を備えており、各指の開閉動作を1つのモータによって行っている。このグリッパでは、各指が遊星歯車機構を用いて接続されており、差動駆動により、1つのモータで各指の開閉動作が行われ、対象物になじむように把持することができるようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】山本広志、岩本太郎、「超音波モータを用いた3自由度グリッパ」、日本ロボット学会誌、Vol.7、No.5、pp.118、1989.
【非特許文献2】Thierry Laiberte, Lionel Birglen, Clement Gosselin, “Underactuation in robotic grasping hands”, Machine Intelligence & Robotic Control, Vol.4, No.3, pp.1-11, 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1のグリッパでは、把持爪の開閉動作を行うための超音波モータだけでなく、スライダをそれぞれ前後動作させるための超音波モータが別途必要となるため、複数のモータを設けておく必要がある。また、非特許文献2のグリッパでは、差動駆動を用いて1つのモータで各指の開閉動作を行って対象物の把持を行うものの、対象物を引き込む動作等を行うことはできないため、対象物に対して安定した把持を行うことができない虞がある。また、これらのグリッパでは、形状や硬さの異なる対象物に対して安定した把持を行うことができない虞がある。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、様々な形状や硬さの対象物を1つの駆動手段を用いて、複雑な制御を必要とすることなく、把持動作と引き込み動作を行うことにより安定して把持することができる把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の把持装置は、駆動手段と、前記駆動手段からの駆動力によって回転する第1歯車を有するベース部と、前記ベース部に取り付けられ、前記駆動手段から前記第1歯車を介して出力される駆動力によって対象物に対して把持動作及び引き込み動作を行う複数の指機構と、を備える把持装置であって、前記指機構は、前記第1歯車に噛み合うように配置され、前記第1歯車の回転によって回転する第2歯車と、前記第2歯車の回転に連動して回転する太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合うように前記太陽歯車の周囲に配置される遊星歯車と、前記遊星歯車の公転に連動して回転するように前記遊星歯車に接続されるキャリアと、前記遊星歯車の自転に連動して回転するように前記遊星歯車に噛み合う内歯車とを有する遊星歯車機構と、前記内歯車の回転力が伝達されることにより回動するリンク機構と、前記リンク機構に連結され、当該リンク機構の回動に伴って開閉動作する支持フレームと、前記支持フレームに回転自在に支持され、前記キャリアの回転力が伝達されることにより回転する駆動輪と、前記支持フレームに回転自在に支持される従動輪と、前記駆動輪及び前記従動輪に無端状に巻き掛けられる無端帯とを有する把持部と、前記キャリアに対して回転を抑制するために付与する抵抗力を調節する回転抵抗調節機構とを備え、前記遊星歯車機構は、前記回転抵抗調節機構によって前記キャリアに対して前記抵抗力を付与した状態で、前記駆動手段による駆動力が前記第1歯車を介して前記第2歯車に出力されることで、前記太陽歯車が回転させられ、前記太陽歯車の回転力によって前記遊星歯車を介して前記内歯車を回転させることにより、前記リンク機構を回動させて前記支持フレームを閉動作させることで、前記無端帯を前記対象物に接触させて前記把持部に把持動作させ、前記把持動作によって前記抵抗力より前記内歯車の回転を阻害する抵抗力が大きくなった際に、前記太陽歯車の回転力によって前記遊星歯車を介して前記キャリアを回転させることにより、前記駆動輪を回転させて前記無端帯を駆動させることで、前記無端帯に接触している前記対象物を引き込むように前記把持部に引き込み動作させることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の把持装置は、前記内歯車の回転力が、セルフロック機能を有するウォームギアを介して前記リンク機構へ伝達されることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の把持装置は、前記指機構は、前記ベース部に着脱自在に取り付けられることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の把持装置は、前記無端帯が、駆動方向に対して直交する断面が略半円形状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の把持装置は、前記ベース部が、前記引き込み動作によって引き込まれた前記対象物を受け入れる開口を有する筒部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の把持装置は、前記回転抵抗調節機構が、前記駆動輪に対して摩擦力を発生させ、前記駆動輪の回転を抑制することにより、前記キャリアに対して前記抵抗力を付与することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の把持装置によれば、1つの駆動手段と遊星歯車機構を用いた劣駆動の構造となっており、1つの駆動手段からの駆動力を遊星歯車機構を用いて、指機構の把持部による対象物に対する把持動作と引き込み動作に振り分けることができる。これにより、指機構の把持部では、対象物に対して把持動作を行った後、対象物を把持した状態で対象物に対して引き込み動作を行うことができるので、複雑な制御等を行うことなく、様々な形状の対象物を安定して把持することができる。また、回転抵抗調節機構によってキャリアに付与する抵抗力を調節することで、指機構の把持部による対象物に対する把持動作と引き込み動作の力を適切に分配することができるので、様々な硬さの対象物を安定して把持することができる。これにより、例えば、ペットボトル等の柔らかく変形するような対象物の場合でも、把持する力を調節することで、変形させることなく把持した状態で、引き込み動作を行うことにより安定した把持を行うことができる。また、本発明に係る把持装置では、複数の駆動手段やセンサ等を設ける必要がないので、コストを軽減することができる。
【0015】
請求項2に記載の把持装置によれば、内歯車の回転力をセルフロック機能を有するウォームギアを介してリンク機構へ伝達しているので、重力によってリンク機構が動作することを防止することができる。これにより、把持部の先端を下方に向けた際に自重によって勝手に閉じる方向へ動作が行われることを抑制することができる。また、対象物に対して引き込み動作が行われる際も、ウォームギアによって把持部が閉じている状態を維持することができるので、引き込み動作時に対象物が把持部から外れ落ちてしまうことを防止することができる。
【0016】
請求項3に記載の把持装置によれば、指機構は、ベース部に着脱自在に取り付けられているので、把持装置が行う仕事の内容に応じて、指機構の個数や指機構の取り付け位置及び向きを適宜自由に変更することができる。これにより、様々な形状や硬さ、弾力性を有する様々な種類の対象物に対して、より適切な安定した把持を行うことができる。
【0017】
請求項4に記載の把持装置によれば、無端帯は、駆動方向に対して直交する断面が略半円形状に形成されているので、指機構をベース部に3個以上取り付けて、立方体や長い板状の対象物を把持する場合も、安定した把持を行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の把持装置によれば、前記ベース部は、引き込み動作によって引き込まれた対象物を受け入れる開口を有する筒部が設けられているので、この筒部の開口よりも小さい対象物を引き込み動作によって、筒部内を通して容易に回収することができる。
【0019】
請求項6に記載の把持装置によれば、回転抵抗調節機構は、駆動輪に対して摩擦力を発生させ、前記駆動輪の回転を抑制することにより、キャリアに対して抵抗力を付与するので、外部からでも容易にキャリアに付与する抵抗力の調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る把持装置の一例を示す概略斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る把持装置の一例を示す概略平面図であって、指機構が閉じている際の状態を示している。
図3】ベース部の一例を示す概略斜視図である。
図4】ベース部の一例を示す概略平面図である。
図5】指機構の一例を示す概略側面図である。
図6】指機構の一例を示す概略正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る把持装置の他の一例を示す概略斜視図である。
図8図6のA−A線断面図である。
図9図8の要部拡大断面図である。
図10図5のB−B線断面図である。
図11】指機構の開閉動作について説明するための概略説明図であって、(a)は開いている状態を示しており、(b)は閉じている際の状態を示している。
図12図5のC−C線断面図である。
図13図12の要部拡大断面図である。
図14】回転抵抗調節機構の一例を示す概略模式図であって、(a)は回転抵抗を小さくしている場合を示しており、(b)は回転抵抗を大きくしている場合を示している。
図15図5のD−D線断面図である。
図16】本発明の実施形態に係る把持装置が上方向から円柱状の対象物を把持する際の動作の一例について説明するための概略説明図である。
図17】本発明の実施形態に係る把持装置が横方向からテーブルの端に載置されている平板状の対象物を把持する際の動作の一例について説明するための概略説明図である。
図18】本発明の実施形態に係る把持装置を用いて縦方向に長尺な略円柱状の対象物を上方向から把持する際の様子を示す図である。
図19】本発明の実施形態に係る把持装置を用いて平面上に載置されている布状の対象物を上方向から把持する際の様子を示す図である。
図20】本発明の実施形態に係る把持装置を用いてペットボトルを上方から把持する際の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る把持装置1について、図面を参照しつつ説明する。把持装置1は、様々な形状や硬さの対象物を安定して把持するためのものであって、例えば、所定の位置に移動できるようにロボット等に取り付けられて用いられる。把持装置1は、図1及び図2に示すように、駆動手段であるモータ2と、ベース部3と、ベース部3に着脱自在に取り付けられている複数の指機構4とを備えている。
【0022】
モータ2は、後述する各種の機構等を介して指機構4が把持動作及び引き込み動作を行うための駆動力を発生させるためのものであって、先端の回転軸21がベース部3の上面から突出するようにベース部3内に配置された状態で取り付けられている。このモータ2は、例えば、不図示の電源等から電力が供給されることにより駆動する。回転軸21には、当該回転軸21の回転に伴って回転する歯車22が取り付けられている。
【0023】
ベース部3は、図3及び図4に示すように、円筒状の本体部31と、中央部に開口を有する略円板状の部材であって、本体部31の上端に取り付けられる天板部32と、天板部32の中央部から突出するように設けられ、天板部32の中央部の開口と連通するように開口33aを有する円筒状の筒部33と、筒部33の周囲を回転するように天板部32に設けられる外歯を備えたリング状の歯車(第1歯車)34とを有している。
【0024】
天板部32には、円周状に指機構4を取り付けるための複数の指機構取付孔32aと、指機構4の数や配置等に応じてモータ2の取り付け位置を適宜変更するための複数のモータ取付孔32bと、モータ2の回転軸21が設けられる先端側を挿通可能な貫通孔32cとが形成されている。筒部33は、指機構4によって把持された状態で引き込まれてきた対象物を開口33aから受け入れて回収することができるようになっている。歯車34は、歯車22と噛み合うように設けられており、歯車22を介してモータ2の駆動力が伝達され回転する。
【0025】
指機構4は、対象物に対して把持動作及び引き込み動作を行うものであって、図1及び図2に示すように、ベース部3に着脱自在に複数取り付けられている。指機構4は、図5及び図6に示すように、天板部32上に載置された状態で指機構取付孔32aを介してボルト・ナット等によって着脱自在に取り付けられる平板状の台座部41と、台座部41に回転自在に軸支され、台座部41が天板部32に取り付けられた状態で歯車34と噛み合うように配置される歯車(第2歯車)42と、モータ2からの駆動力を対象物を把持するための把持動作と対象物を引き込むための引き込み動作に振り分けるための差動機構として機能する遊星歯車機構5と、台座部41の幅方向両端側にそれぞれ設けられる側壁部43に回動自在に軸支され、遊星歯車機構5を介して伝達される駆動力によって回動するリンク機構6と、対象物に対して把持動作及び引き込み動作を行う把持部7と、把持部7による対象物に対する把持動作と引き込み動作の力の割合を調節して切り替えを行うための第1回転抵抗調節機構8等を備えている。尚、図1及び図2では、指機構4は、天板部32上の周方向に120度間隔で3個配置されている例を示しているが、指機構4の数は3個に限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、周方向に180度間隔で2個配置するようにしても良く、把持する対象物に応じて適宜変更することができる。
【0026】
歯車42は、歯車34と噛み合うように配置され、歯車34の回転によって回転するように台座部41に回転自在に軸支されている。遊星歯車機構5は、図9及び図13に示すように、歯車42の回転に連動して回転するように歯車42の回転軸42aの上端側に固定されている太陽歯車51と、太陽歯車51に噛み合うように太陽歯車51の周囲に複数配置される遊星歯車52と、遊星歯車52の公転に連動して回転するように遊星歯車52に接続されるキャリア53と、遊星歯車52の自転に連動して回転するように遊星歯車52と内歯が噛み合う内歯車54とを有している。
【0027】
内歯車54の外周面には、内歯車54の回転に連動して回転するように、ケース部44の下端側が固定されている。ケース部44は、遊星歯車機構5の上方側を覆うように形成された部材であって、上面の中央部には回転軸55を挿通可能な貫通孔が形成されている。
【0028】
遊星歯車機構5では、キャリア53の回転が拘束されている状態において、太陽歯車51が回転すると、太陽歯車51の回転力によって遊星歯車52を介して内歯車54が回転する。これにより、内歯車54に固定されているケース部44も内歯車54の回転に連動して回転する。ケース部44上には、ケース部44の回転に連動して回転するように、歯車45が固定されている。歯車45は、図9に示すように、台座部41に回転自在に取り付けられている回転軸46aに固定されている歯車46と噛み合っている。従って、歯車46及び回転軸46aは、歯車45が回転することにより回転する。また、この回転軸46aが回転することにより、ウォームギア47を介して内歯車54からの回転力がリンク機構6へと伝達され、リンク機構6が回動することで、図11(a)に示すように、把持部7が開いている状態から図11(b)に示すように、閉方向へと動作し、対象物に対して把持動作を行うことができる。
【0029】
ウォームギア47は、セルフロック機能を有するように設計されているものであって、回転軸46aの上端側に固定されているウォーム(ねじ歯車)47aと、ウォーム47aと噛み合うようにシャフト10に固定されているウォームホイール(はすば歯車)47bとを有している。このようにセルフロック機能を有するウォームギア47を介してリンク機構6に回転力を伝達するように構成することで、重力や把持する対象物からの反力によってリンク機構6が動作することを防止している。
【0030】
リンク機構6は、平行リンク機構であって、図5及び図8に示すように、互いに平行に設けられる駆動リンク61と、従動リンク62とを備えている。駆動リンク61は、図9及び図10に示すように、下端側がベアリング等を介して側面部43に回転自在に支持されているシャフト10に固定されており、ウォームホイール47bの回転に伴ってシャフト10が回転することによって回動する。駆動リンク61の上端側は、図10に示すように、シャフト11に固定されており、シャフト11を介して把持部7に連結されている。
【0031】
従動リンク62は、図12及び図13に示すように、下端側が側壁部43に固定されているシャフト12にベアリング等を介して回動自在に取り付けられている。従動リンク62の上端側は、シャフト13に固定されており、シャフト13を介して把持部7に連結されている。このように構成されているリンク機構6では、ウォームギア47を介して内歯車54からの回転力が駆動リンク61の下端側へと伝達され、駆動リンク61が回動すると、駆動リンク61の回動動作に伴って、図11に示すように、従動リンク62が駆動リンク61と平行な状態を維持したまま回動し、把持部7の開閉動作が行われる。尚、各指機構4の歯車42の径の大きさをそれぞれ変えることで、把持部7による力や把持動作のスピード等を変えることも可能である。
【0032】
把持部7は、図5及び図8に示すように、駆動リンク61及び従動リンク62の上端側にシャフト11及びシャフト13を介して回動自在に連結され、リンク機構6の回動に伴って開閉動作する支持フレーム71と、支持フレーム71にシャフト13を介して回転自在に支持される駆動プーリー(駆動輪)72と、支持フレームに71に回転自在に支持される従動プーリー(従動輪)73,74と、駆動プーリー72及び従動プーリー73,74に無端状に巻き掛けられるベルト(無端帯)75とを有している。
【0033】
支持フレーム71は、略三角形状の薄板状の部材であって、駆動リンク61が固定されているシャフト11及び従動リンク62が固定されているシャフト13にベアリングを介して回動自在に取り付けられている。駆動プーリー72は、シャフト13にベアリングを介して回転自在に取り付けられている。従動プーリー73は、支持フレーム71の先端側に回転自在に軸支されている。また、従動プーリー74は、従動プーリー73から所定距離離れた下方に位置しており、支持フレーム71に回転自在に軸支されている。
【0034】
ベルト75は、駆動プーリー72の回転に連動して、従動プーリー73及び従動プーリー74に案内されながら駆動する。ベルト75は、例えば、把持動作時に対象物と接触する部分が滑り難いようにシリコンゴムスポンジによって形成されており、対象物を把持した状態で、駆動プーリー72の回転に連動して駆動することで、対象物を引き込み易い素材になっている。また、ベルト75は、図11に示すように、当該ベルト75が回転する方向である駆動方向に対して直交する断面が略半円形状に形成されている。これにより、把持部7は、図2に二点鎖線で示す長い板状の対象物100を把持するような場合でも、平らなベルトを使用した時のように角が対象物に接触することがないので、安定した把持を行うことができる。尚、ベルト75の形状や素材は、特に限定されるものではなく、用途や把持する対象物の種類等に応じて適宜変更可能であり、例えば、ベルト75の代わりにチェーン等を用いても良い。
【0035】
指機構4では、駆動プーリー72は、遊星歯車機構5からキャリア53の回転力が伝達されることにより回転する。遊星歯車機構5では、内歯車54の回転が拘束されている状態において、太陽歯車51が回転すると、太陽歯車51の回転力によって遊星歯車52の公転に連動してキャリア53が回転する。キャリア53は、図9及び図13に示すように、回転軸55に固定されており、キャリア53の回転に連動して回転軸55が回転するように構成されている。また、回転軸55が回転することにより、傘歯車機構48を介して、回転軸55と直交するシャフト12にベアリングを介して回転自在に取り付けられている歯車14が回転する。傘歯車機構48は、回転軸55の上端側に固定され、回転軸55の回転に伴って回転する傘歯車48aと、回転軸55に直交するシャフト12に回転自在に取り付けられている歯車14と連結された状態で、傘歯車48aと噛み合う傘歯車48bとを備えており、回転軸55の回転に伴って傘歯車48aが回転することにより、傘歯車48bと歯車14が連動して回転する。
【0036】
歯車14は、従動リンク62に固定されているシャフト(不図示)に回転自在に支持されている歯車15と噛み合っている。また、歯車15は、駆動プーリーに連結され、シャフト13に回転自在に支持されている歯車16と噛み合うように配置されている。従って、キャリア53の回転力は、回転軸55、傘歯車機構48、歯車14、及び歯車15を介して歯車16へと伝達され、歯車16の回転に連動して駆動プーリー72が回転し、ベルト75が駆動することにより、把持部7による対象物に対する引き込み動作を行うことができる。
【0037】
このように遊星歯車機構5を用いることにより、1つのモータ2からの駆動力を指機構4の把持部7による対象物に対する把持動作と引き込み動作に振り分けることができる。指機構4では、この把持部7による対象物に対する把持動作と引き込み動作の力の割合を調節して切り替えを行うために、第1回転抵抗調節機構(回転抵抗調節機構)8を備えている。
【0038】
第1回転抵抗調節機構8は、遊星歯車機構5のキャリア53に対して回転を抑制するために付与する抵抗力を調節するためのものであって、図12及び図14に示すように、支持フレーム71に固定されている直方体状の固定部材17の中央に設けられる軸部81に挿通されているコイルばね82と、軸部81の下端側に設けられ、軸部81よりも径が大きく、軸部81の軸方向に移動可能且つ軸回りに回転可能な拡径部材83の外周面に取り付けられている歯車84と、支持フレーム71に両端が固定され、歯車84と噛み合うように配置されるラックギア85と、拡径部材83の先端に回転自在に取り付けられるシリコンホイール86とを備えている。
【0039】
第1回転抵抗調節機構8では、シリコンホイール86を駆動プーリー72に対して回転軸方向に直交する方向から押し付けることによって発生する摩擦力を利用して回転抵抗を調節している。本実施形態では、シリコンホイール86を駆動プーリー72の幅方向略中央に対して上方から押し付けている。コイルばね82は、固定部材17と拡径部材83の間の軸部81に装着されており、拡径部材83に対して付勢力を与えることにより、シリコンホイール86が駆動プーリー72を押し付ける力を一定にしている。
【0040】
シリコンホイール86は、拡径部材83を軸部81の軸回りに回転させることで、図14に示すように、駆動プーリー72に対して角度を変更することができる。これにより、第1回転抵抗調節機構8では、図14(a)に示すように、シリコンホイール86と駆動プーリー72の回転軸方向が平行になるように調節した場合には、回転抵抗を小さくすることができ、図14(b)に示すように、シリコンホイール86の回転軸方向を駆動プーリー72の回転軸方向に直交するように調節した場合には、回転抵抗を大きくすることができるので、容易に回転抵抗を適宜変えることができる。
【0041】
第1回転抵抗調節機構8では、拡径部材83の外周面に取り付けられている歯車84とラックギア85を噛み合わせることで、シリコンホイール86の駆動プーリー72に対する角度を固定することできる。シリコンホイール86の角度変更時には、シリコンホイール86を持ち上げることで、歯車84とラックギア85との噛み合いを解除した後、所望の角度に変更し、再び歯車84とラックギア85を噛み合わせるようにすれば良い。このように第1回転抵抗調節機構8では、駆動プーリー72に対して摩擦力を発生させることで、駆動プーリー72の回転を抑制することができる。これにより、歯車16、歯車15、歯車14、傘歯車機構48、及び回転軸55を介してキャリア53に対して回転抵抗力を付与することができる。尚、本実施形態では、シリコンホイール86を駆動プーリー72に押し付ける力を一定にするためにコイルばね82を用いている例を示しているが、付勢力を与える手段は、これに限定されるものではなく、他の付勢手段を用いても良い。また、コイルばね82等の付勢手段のばね定数を変更することで容易にシリコンホイール86を駆動プーリー72に押し付ける力を変更することができる。また、ホイール86の素材は、シリコンに限定されるものではなく、駆動プーリー72に対して発生させる摩擦力の大きさ等に応じて適宜変更しても良い。
【0042】
また、指機構4では、第1回転抵抗調節機構8と同様に遊星歯車機構5のキャリア53に対して回転を抑制するために付与する抵抗力を調節するための機構として、図15に示すように、更に第2回転抵抗調節機構9を備えている。第2回転抵抗調節機構9は、図15に示すように、中央にシャフト13を挿通可能な貫通孔が形成されているゴムワッシャ91と、ゴムワッシャ91を駆動プーリー72の一方側の側面に押し付ける力を調節するための調節ねじ92とを備えている。第2回転抵抗調節機構9では、このようにゴムワッシャ91を駆動プーリー72の回転軸方向に平行な方向から駆動プーリー72の側面に対して押し付けることによって摩擦力を発生させ回転抵抗を与えている。第2回転抵抗調節機構9では、駆動プーリー72への回転抵抗を大きくする場合には、調節ねじ92を締め付ける方向へ回転させ、回転抵抗を小さくする場合には、調節ねじ92を緩める方向へ回転させることにより調節すれば良い。尚、本実施形態では、第1回転抵抗調節機構8と第2回転抵抗調節機構9の両方を備える例を示しているが、用途や対象物の種類に応じて、どちらか一方のみを備えるように構成しても良い。また、キャリア53に対して回転を抑制するために付与する抵抗力を調節するための機構はこれに限定されるものではなく、キャリア53に対して直接回転を抑制するための抵抗力を付与するような構成であっても良い。
【0043】
以下、このような指機構4がベース部3に複数取り付けられている把持装置1の動作の例について図面を参照しつつ説明する。まず、把持装置1では、把持動作及び引き込み動作を行う対象物に応じて予め上述した方法により各指機構4の第1回転抵抗調節機構8及び第2回転抵抗調節機構9を操作し、把持部7による対象物に対する把持動作と引き込み動作の力の割合を調節する。例えば、対象物が比較的硬い物であり、把持する力の割合を大きくしたい場合には、第1回転抵抗調節機構8及び第2回転抵抗調節機構9を調節して、駆動プーリー72(キャリア53)の回転抵抗が大きくなるように設定しておく。また、対象物が柔らかく変形し易いような物の場合には、第1回転抵抗調節機構8及び第2回転抵抗調節機構9を調節して、駆動プーリー72(キャリア53)の回転抵抗を小さく設定しておけば良い。
【0044】
図16は、把持装置1によって略円柱状の対象物100を上方向から把持する際の動作の一例について示している。把持装置1では、モータ2に不図示の電源から一定電圧が印加されると、図1及び図2に示すモータ2が駆動し、回転軸21に連動して歯車22が回転する。歯車22は、ベース部3の歯車34に噛み合っており、ベース部3では、モータ2からの駆動力を歯車34を介して各指機構4の歯車42へと伝達され、歯車42が回転する。
【0045】
各指機構4では、図9に示すように、歯車42の回転に連動して遊星歯車機構5の太陽歯車51が回転する。遊星歯車機構5では、太陽歯車51からの回転力が遊星歯車52を介してキャリア53と内歯車54に同時に伝達されるが、図16(a)の対象物を把持する前の状態においては、第1回転抵抗調節機構8及び第2回転抵抗調節機構9によって、キャリア53の回転を抑制する抵抗力が内歯車54の抵抗力より大きくなっており、内歯車54の方が回転し易くなっている。従って、太陽歯車51からの回転力により内歯車54が回転する。
【0046】
内歯車54には、図9に示すように、ケース部44が固定されており、内歯車54の回転に連動してケース部44が回転する。これにより、ケース部44上に固定されている歯車45も共に回転し、歯車45と噛み合う歯車46へと回転力が伝達され、歯車46と共に歯車46が固定されている回転軸46aも回転する。そして、この回転軸46aが回転することにより、ウォームギア47を介して内歯車54からの回転力がリンク機構6へと伝達され、リンク機構6が回動することで、図16(b)に示すように、それぞれの把持部7が閉方向へと動作し、対象物100に対して把持動作が行われる。
【0047】
一方で、把持部7によって対象物100に対して把持動作が行われることにより、内歯車54の回転が阻害されることで、内歯車54の抵抗力が増大する。そして、内歯車54の回転を阻害する抵抗力が、第1回転抵抗調節機構8及び第2回転抵抗調節機構9によって、キャリア53に付与されている抵抗力よりも大きくなると、次に太陽歯車51の回転力によってキャリア53が回転し、キャリア53の回転力が、回転軸55、傘歯車機構48、歯車14、及び歯車15を介して歯車16へと伝達される。これにより、歯車16の回転に連動して駆動プーリー72が回転し、ベルト75が駆動することで、図16(b)に矢印で示す方向へ把持部7による対象物100に対する引き込み動作が行われる。また、この際、ウォームギア47によってリンク機構6は開方向への回動が抑制されているので、しっかりと対象物100を把持した状態で引き込み動作を行うことができ、安定した把持を行うことができる。尚、各指機構4は、それぞれ別々に動作するものである。従って、各指機構4の把持部7のうちのいずれかの把持部7が先に対象物100に接触し、内歯車54の回転を阻害する抵抗力が、キャリア53に付与されている抵抗力よりも大きくなった場合には、その把持部7のベルト75のみが先に駆動し、対象物100に対して引き込み動作を行うことになる。
【0048】
図17は、把持装置1によってテーブル101の端に載置されている平板状の対象物100aを横方向から把持する際の動作の一例について示している。この場合には、例えば、図17(a)に示すように、把持装置1の下側に位置する指機構4bの把持部7bの先端がテーブル101の側面に接触するように不図示のロボット等を用いて配置する。この状態で、モータ2を駆動すると、下側の指機構4bでは、把持動作が抑制され、内歯車54の回転が阻害されることにより、内歯車54の抵抗力が増大し、内歯車54の回転を阻害する抵抗力が、キャリア53に付与されている抵抗力よりも大きくなる。これにより、太陽歯車51の回転力によってキャリア53が回転し、キャリア53の回転力が、回転軸55、傘歯車機構48、歯車14、及び歯車15を介して歯車16へと伝達され、歯車16の回転に連動して駆動プーリー72が回転し、把持部7bのベルト75が上側の把持部7aのベルトに先行して駆動する。
【0049】
一方、上側の指機構4aでは、図17(b)に示すように、把持部7aが閉じる方向へと動作することにより、対象物100aに対して把持動作が行われる。そして、把持部7aの把持動作によってベルト75が対象物100aに接触し、指機構4aの内歯車54の回転が阻害されることで、内歯車54の抵抗力が増大し、内歯車54の回転を阻害する抵抗力が、キャリア53に付与されている抵抗力よりも大きくなると、把持部7aのベルト75により対象物100aに対して、図17(b)に矢印で示す方向へと引き込み動作が行われる。
【0050】
その後、把持部7aのベルト75による引き込み動作によって、図17(c)に示すように、対象物100aがテーブル101に載置された状態から外れると、再び上側の把持部7a及び下側の把持部7bによって把持動作が行われた後、把持部7a及び把持部7bにより引き込み動作が行われることにより対象物100aを安定した状態で把持することができる。
【0051】
図18図20は、把持装置1を用いて、その他の対象物を把持する際の様子を示している。図18は、把持装置1を用いて、縦方向に長尺な略円柱状の対象物を上方向から把持する際の様子を示している。把持装置1では、このように縦方向に長尺な略円柱状の対象物であっても、把持した状態で対象物を引き込むことができるので、安定した把持を行うことができる。また、従動プーリ73と従動プーリー74の距離を長く設定することで、ベルト75が対象物に接触する部分の長さをより長く確保することができ、より長い対象物であっても安定した把持を行うことが可能になる。また、例えば、把持装置1では、一部が千切れかかっているような長尺な対象物であっても引き込んで把持することができるので、把持装置1を移動させている間に、対象物が千切れ落ちてしまうことを防止することができる。
【0052】
図19は、把持装置1を用いて、平面上に載置されている布状の対象物を上方向から把持する際の様子を示している。把持装置1では、このようなに布状の対象物であっても、把持部7による引き込み動作によって対象物を掴み上げることができる。
【0053】
図20は、把持装置1を用いて、ペットボトルを上方から把持する際の様子を示している。把持装置1では、ペットボトル等の柔らかく変形するような対象物の場合でも、第1回転抵抗調節機構8及び第2回転抵抗調節機構9によって、把持部7による対象物に対する把持動作と引き込み動作の力の割合を調節することで、変形を生じさせることなく把持した状態で、引き込み動作を行うことにより安定した把持を行うことができる。
【0054】
以上のように、本発明に係る把持装置1では、様々な形状や硬さの対象物を1つの駆動手段(モータ2)を用いて、複雑な制御を必要とすることなく、把持動作と引き込み動作を行うことにより安定して把持することができる。また、複数の駆動手段やセンサ等を設ける必要がないので、コストを軽減することができる。
【0055】
尚、本発明の実施の形態は上述の形態に限るものではなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 把持装置
2 モータ(駆動手段)
3 ベース部
33 筒部
33a 開口
34 歯車(第1歯車)
4 指機構
42 歯車(第2歯車)
47 ウォームギア
5 遊星歯車機構
51 太陽歯車
52 遊星歯車
53 キャリア
54 内歯車
6 リンク機構
61 駆動リンク
62 従動リンク
7 把持部
71 支持フレーム
72 駆動プーリー(駆動輪)
73、74 従動プーリー(従動輪)
75 ベルト(無端帯)
8 第1回転抵抗調節機構(回転抵抗調節機構)
9 第2回転抵抗調節機構(回転抵抗調節機構)
100、100a 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20