特許第6365849号(P6365849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365849
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】自動車ドアロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/16 20140101AFI20180723BHJP
   E05B 79/08 20140101ALI20180723BHJP
   E05B 77/26 20140101ALI20180723BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20180723BHJP
   E05B 77/12 20140101ALN20180723BHJP
【FI】
   E05B81/16
   E05B79/08
   E05B77/26
   B60J5/00 N
   !E05B77/12
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-543320(P2015-543320)
(86)(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公表番号】特表2016-503472(P2016-503472A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】DE2013000701
(87)【国際公開番号】WO2014079411
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】102012111298.3
(32)【優先日】2012年11月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】バームシェイド, クリスチャン
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−303470(JP,A)
【文献】 特表2014−514475(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0042110(US,A1)
【文献】 特開2009−243219(JP,A)
【文献】 特開2007−002519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック機構と、前記ロック機構を機械的に開放する位置に移動可能なロックレバー(10)と、前記ロックレバー(10)に係合し、前記ロックレバー(10)を施錠位置または開錠位置に枢動させる作動レバーチェーン(12、13、14)と、前記ロック機構を電気的に開放するための第1の駆動装置(4、5)とを備える自動車ドアロックにおいて、
前記作動レバーチェーン(12,13,14)に接続される第2の駆動装置(7、8)と、前記ロック機構を電気的に開放するための開放信号を生成するセンサとが設けられており、
前記第2の駆動装置(7,8)が、前記作動レバーチェーン(12、13、14)を介して前記ロックレバー(10)を任意選択的に「施錠」位置に移動させ、そのときにのみ前記センサが開放信号を生成することを特徴とする自動車ドアロック。
【請求項2】
前記第2の駆動装置(7、8)が、電気モータ(7)と被駆動プーリ(8)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動車ドアロック。
【請求項3】
前記作動レバーチェーン(12,13,14)が、作動レバー(12)と、中間レバー(14)と、これらを連結する連結レバー(13)を含み、前記第2の駆動装置(7、8)が前記連結レバー(13)に前記作動レバー(12)を介して作用することを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車ドアロック。
【請求項4】
前記作動レバー(12)が、前記ロックレバー(10)上の凹部に係合するためのロックピン(15)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の自動車ドアロック。
【請求項5】
前記作動レバー(12)または前記連結レバー(13)が、前記中間レバー(14)の凹部に係合するための作動ピン(16)を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の自動車ドアロック。
【請求項6】
前記第2の駆動装置(7、8)が、チャイルドロックおよび/または盗難防止装置の駆動装置の安全駆動装置(78)として設計されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車ドアロック。
【請求項7】
前記作動レバーチェーン(12、13、14)が「施錠」位置にあるとき、前記第2の駆動装置(7、8)がセンサ(17)に作用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車ドアロック。
【請求項8】
前記センサ(17)がチャイルドロックセンサ(17)であり、制御装置と共に前記開放信号を生成することを特徴とする、請求項7に記載の自動車ドアロック。
【請求項9】
前記第2の駆動装置(7、8)が遠隔制御によって操作され得ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車ドアロック。
【請求項10】
前記第2の駆動装置(7、8)がばね荷重戻りを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動車ドアロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構と、作動レバーチェーンと、ロック機構の電気的開放のための電気駆動装置とを備える自動車ドアロックに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の設計に基づく自動車ドアロックは、例えば、本出願人の国際公開第02/31298号(A1)に開示されている。この先行技術実施形態は、ロック機構の電気的開放を可能にするだけでなく、作動レバーと、ロック機構の緊急開放のためのロック機構との機械的接続も提供している。この関連において、それはいわゆる一時的衝突冗長性(衝突時の一時的機能代替能力)(TCR)とも称される。このことは、衝突の場合のいわゆる緊急操作または緊急開放においても、すなわち作動レバーチェーンの作動レバーの補助によって、ロック機構を機械的に開放できるのが確保されることを意味する。
【0003】
電気駆動装置の補助によるロック機構の電気的開放は、通常、操作者が外部ドアハンドルを、またはさらに内部ドアハンドルを作動するような態様で達成される。このことは、通常、開放要求として読み取られ、スイッチの作動をもたらす。その結果、開放信号が生成され、ロック機構の電気的開放のために電気駆動装置への通電を引き起こす。すでにこの時点で、最初からの不適切な通電を防ぐために、実際の適用において、例えば阻止要素が利用されている。機械的な阻止要素は、電気駆動装置に機械的な保持力を与える。
【0004】
阻止要素が電気駆動装置を解除した時点でのみ、電気駆動装置はロック機構を電気的に開放することができる。この阻止要素の解除は、通常、外部ドアハンドルまたは内部ドアハンドルを用いた機械的作用と連係している。このことは、外部ドアハンドルが、またはさらに内部ドアハンドルが阻止要素と機械的に接続しており、ロック機構を開放するために電気駆動装置がロック機構に作用することができるように、阻止要素が電気駆動装置を解除するのを確保することを意味している。このことが満足いくものであったことは広く証明されている。
【0005】
しかしながら実際の適用においては、ロック機構の電気的開放のための駆動装置の遠隔操作に対する要求がますます大きくなっている。この場合、各自動車ドアは電気的におよび遠隔操作で開かれ、外部ドアハンドルを作動させる必要もないことから、機械的な作用は必要ない。このことに関してこれまでのところ説得力のある解決法は提供されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、1つの解決法を提供し広く遠隔操作も可能になるような態様で、そのような自動車ドアロックをさらに発展させるという技術的課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するために、本発明の包括的な自動車ドアロックは、追加の駆動装置を設けて作動レバーチェーンを「施錠」位置に移動させ、そのときのみにロック機構の電気的開放のために駆動装置用の開放信号を生成するような態様を特徴とする。
【0008】
したがって本発明は、ロック機構の電気的開放のために電気駆動装置が通電されているときも、作動レバーチェーンが常に「施錠」位置にあることを確保する。緊急開放の場合または衝突の場合のみ、作動チェーンが通常まず「開錠」位置に移動し、各自動車ドアが例えば救助隊によって開けられるようにする。これを達成するために、ドアハンドルは機械的にのみ作用しなければならない。
【0009】
このことは、本発明の自動車ドアロックがすでに述べた「一時的衝突冗長性(衝突時の一時的機能代替能力)」(TCR)を含むことを意味する。事故が起こった場合、ロック機構の電気的開放をもたらす電気駆動装置は、緊急操作中にロック機構が機械的に重複機能的に開放され得ることを確保する。この操作は電気駆動装置から独立している。
【0010】
本発明はいまや、駆動装置の補助によるロック機構の電気的開放が、常に各開放信号が生成されたときのみ起こり得ることを確保している。換言すれば、施錠と電気的開放とは、開放なしには機械的施錠が不可能であるような態様で、常に連携している。開放信号には、作動レバーチェーンが最初「施錠」位置に着いていること、または「施錠」位置に移動していることが必要である。これに関連して、追加の駆動装置は、前述のチェーンがすでに「施錠」位置に着いていれば、当然ながら、作動レバーチェーンに機械的に作用する必要はない。このことは、必要なときに追加の駆動装置が作動レバーチェーンを「施錠」位置に移動することを意味する。
【0011】
この作動レバーチェーンの「施錠」位置が得られた時点でのみ、前述の開放信号が生成され、ロック機構の電気的開放のために電気駆動装置が通電されることになる。
【0012】
このことは、作動レバーチェーンが恒久的に「施錠」位置を維持することを意味する。このような態様で、作動レバーチェーンが「施錠」位置に維持されることを確保するレリーズロックが設けられる。その結果、作動レバーチェーンのいかなる機械的な作動も、ロック機構の開放をもたらすことはあり得ない。開放信号が印加されないため、ロック機構の電気的開放のための電気駆動装置による開放も起こり得ない。したがって最大限の安全性が確保される。
【0013】
同時に本発明は、ロック機構の電気的開放のための駆動装置を遠隔で操作する選択肢も提供する。この目的のために、追加の駆動装置は、最終的に作用を受け、必要なときに作動レバーチェーンを「施錠」位置に移動する。同時に、追加の駆動装置の作用は、駆動装置のために必要な開放信号を生成し、ロック機構の電気的開放を容易にし、開始させることさえも確保する。この開放信号は、通常、作動レバーチェーンが「施錠」位置に到着したときしか生成されない。この目的のために、多くの場合、追加の駆動装置は、移動範囲の最後に作動レバーチェーンの「施錠」方向に作用を受けたとき各開放信号も生成されるような態様で設計される。
【0014】
さらなる詳細および有利な実施形態は従属請求項に記載されている。以下に、本発明について詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、基本的に回転式ラッチと爪部とを備えた、ロック機構を含む自動車ドアロックである。ロック機構に作用するために、この自動車ドアロックは、トリガレバー1を含む。阻止要素または阻止レバー2と共に、トリガレバー1はロックハウジング内に取り付けられ、共通の軸3を中心に回転する。
【0016】
ロック機構を開放するには、トリガレバー1は、軸3を中心に時計方向に枢動されなければならない。トリガレバー1のこの時計方向の枢動動作を容易にするために、駆動装置4、5が、ロック機構の電気的開放のために設けられる。この駆動装置4、5は、電気モータ4と、電気モータによって始動された軸6を中心とする時計方向および反時計方向への回転動作を実行する被駆動プーリ5とを備えている。
【0017】
被駆動プーリ5の軸6を中心とする反時計方向の動作は、トリガレバー1が軸3を中心に時計方向に枢動されるような態様で、頂部から見て後方に位置する曲線部がトリガレバー1と相互に作用することを確保する。その結果、各回転式ラッチから離れるようにロック機構の爪部を枢動させ、かつばねを利用して回転式ラッチを開放するトリガレバー1によって、ロック機構が開放される。このことは、それまで回転式ラッチによって維持されていた施錠ボルトを解除することになる。この被駆動プーリ5の時計方向の動作は、他方で緊急開放に対応し、同時に、機械的に操作可能なロック機構にも対応する。
【0018】
すでに述べたロック機構の電気的開放のための駆動装置4、5に加えて、本発明、駆動装置4、5の設計とよく似た設計を有する追加の駆動装置7、8を有する。この追加の駆動装置7、8も、実質的に電気モータ7と被駆動プーリ8とで構成される。駆動装置4、5の場合のように、被駆動プーリ8を軸9を中心に時計方向または反時計方向に枢動させるために、電気モータ7が駆動軸に、被駆動プーリの外周上の歯車と咬合するウォームギアを含む。
【0019】
本実施形態において、追加の駆動装置7、8は安全駆動装置である。この安全駆動装置は、チャイルドロックの駆動装置および/または盗難防止装置の駆動装置としても動作可能である。この例において、追加の駆動装置7、8または安全駆動装置は、チャイルドロックの駆動装置である。この駆動装置は、ロックハウジング内に取り付けられ軸11を中心に回転するロックレバー10に作用する。ロックレバー10は、基本的に「開錠」位置に着くことができる、または「施錠」位置30に移動することができる。
【0020】
このロックレバー10は、以下により詳細に説明するように、レリーズロックが設けられているため、実質的に常に「施錠」位置に置かれる。いわゆる緊急開放の場合だけは、この(まれな)状況において、作動レバー機構または作動レバーチェーン12、13、14が効果的であり、機械的にロック機構を開放できるように、ロックレバー10が一般的に「開錠」位置に移動される。
【0021】
通常の設計は、前述の作動レバー機構または作動レバーチェーン12、13、14も含む。作動レバー12とは別に、作動レバー機構12、13、14はさらに、位置に応じて、トリガレバー1と相互に作用する、または相互に作用しない追加の連結レバー13も含む。そこでこの作動レバー12と連結レバー13も、中間レバー14を用いて、また連結レバー13の位置に応じて、トリガレバー1と機械的に接続することができる。
【0022】
作動レバーチェーン12、13、14が「施錠」位置にある場合、作動レバーチェーン12、13、14は機械的に遮られており、例えば内部ドアハンドルまたは内部ドアハンドルとトリガレバー1までとの間に、連続した機械的接続は存在しない。これとは対照的に、作動レバーチェーン12、13、14の「開錠」位置はトリガレバー1と対応しており、それを利用して作動レバーチェーン12、13、14はロック機構の開放のために機械的に作用を受けることができる。例示的実施形態において、いわゆる緊急開放が生じたときまたは生じるべきとき、これが唯一の状況であり、また唯一実行可能である。
【0023】
追加の駆動装置7、8またはチャイルドロックの駆動装置は、作動レバー12と機械的に接続している。作動レバー12は実質的に追加の駆動装置7、8の被駆動プーリ8に自在に接続される。追加の駆動装置7、8に接続された作動レバー12の補助により、前述の追加の駆動装置7、8は、作動レバー機構12、13、14の連結レバー13に作用する。
【0024】
この目的のために、作動レバー12は、ロックレバー10上の関連した凹部に係合するロックピン15を含む。このような態様で、作動レバー12はロックレバー10を、例えば「施錠」位置または「開錠」位置に枢動させることができ、こうしてチャイルドロック機能を付与することが可能になる。さらに、作動ピン16が設けられ、その補助により連結レバー13は中間レバー14の凹部に係合する。
【0025】
作動レバー機構12、13、14が「施錠」位置にあるとき、追加の駆動装置7、8がセンサ17に作用することは明らかである。このセンサ17はチャイルドロックセンサまたはチャイルドロックスイッチ17であり得る。各センサ17が作用を受けたときのみ、ロック機構の電気的開放のために駆動装置4、5への通電を引き起こす開放信号が生成される。このことは、ロック機構の電気的開放の過程には、センサ17の信号が接続されている制御装置によって登録されるセンサ17の信号が必要であることを意味する。
【0026】
センサ17が作用を受けるのは、追加の駆動装置7、8が、「OFFまたはチャイルドロックOFF」位置から「ONまたはチャイルドロックON」位置への移行中に、最終的位置に到着するときである。追加の駆動装置7、8が最終的位置に到着した時点でのみセンサ17も作用を受け、それに応じて駆動装置4、5がロック機構を電気的に開放することが可能になる。
【0027】
このような態様で、本発明は、一方で、ロックレバー10が確実に「施錠」位置に着く、または「施錠」位置を維持し、他方で、開錠位置から施錠位置の移行で、「OFF」位置から「ON」位置への移行に関連した追加の駆動装置の被駆動プーリ8の反時計方向の動作が、必要に応じて、軸11を中心に時計方向に枢動されるロックレバー10に対応することを確保する。追加の駆動装置7、8の動作と同時に、作動レバーチェーン12、13、14が「施錠」位置に移動されるが、そこにはトリガレバー1との連続した機械的接続は存在しない。したがって、作動レバーチェーン12、13、14に対するいかなる機械的作用も、ロック機構の不要な開放をもたらさない。このような態様で生成されたセンサ17の信号は、いまや開放信号として読み取られ、駆動装置4、5がロック機構を電気的に開放することを確保する。
【0028】
追加の駆動装置7、8によって最終的位置の「ON」位置に到着した時点で、追加の駆動装置7、8に装備されたばね荷重戻りが作動される。このばね荷重戻りは、ばねまたは被駆動プーリ8によって引き起こされる軸9を中心とした小さな時計方向の動作を、被駆動プーリ8が実行することを確保する。その結果、作動レバーチェーン12、13、14は必要に応じて機械的に閉鎖される、または「開錠」位置に移動することができる。すでに説明したように、追加の駆動装置7、8は、上記のロック機構の電気的開放が接触することなく始動されるように、通常、遠隔制御によって作用を受ける。