特許第6365855号(P6365855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6365855一連のベンドを備える導波路型偏光子のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365855
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】一連のベンドを備える導波路型偏光子のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20180723BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20180723BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G02B6/126
   G02B6/125
   G02B6/13
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-560450(P2016-560450)
(86)(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公表番号】特表2017-518524(P2017-518524A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】CN2015074477
(87)【国際公開番号】WO2015149621
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】14/231,429
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ジョン・グッドウィル
(72)【発明者】
【氏名】ジア・ジアン
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−180646(JP,A)
【文献】 特開2006−023517(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/020475(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/051095(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/140363(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0234199(US,A1)
【文献】 特開2003−329862(JP,A)
【文献】 特開2002−182051(JP,A)
【文献】 特開平10−090538(JP,A)
【文献】 特開平11−183742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定の偏光モードにおいて光を伝搬するように構成され、前記伝搬された光の同じ平面内に一連のベンドを備える光導波路を備える光偏光子であって、
前記ベンドが、前記伝搬された光の前記指定の偏光モードを前記光導波路内に含み、前記伝搬された光の第2の偏光モードを前記光導波路の外側に放射するように構成された幾何形状を有し、前記一連のベンドは、一連の複数の蛇行形状を含む、光偏光子。
【請求項2】
前記第2の偏光モードが、前記指定の偏光モードに対して直交である、請求項1に記載の光偏光子。
【請求項3】
前記指定の偏光モードが、横方向電気(TE)モードであり、前記第2の偏光モードが、横方向磁気(TM)モードである、請求項1または2に記載の光偏光子。
【請求項4】
前記ベンドの前記幾何形状が、円形、断熱曲線、ベジエ曲線形状、および正弦曲線形状のうちの1つであり、前記断熱曲線は、いずれかの不連続または急な変化がなく滑らかにおよびゆっくり変化する曲率半径を有するベンド構造を表す、請求項1から3のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項5】
前記ベンドの前記幾何形状が、直線導波路区分に結合された断熱曲線正弦曲線と、前記
断熱曲線正弦曲線に結合された一定半径回転と、前記一定半径回転および第2の直線導波路区分に結合された第2の断熱曲線正弦曲線とを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項6】
前記ベンドが、前記光導波路において約90度のベンドである、請求項1から5のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項7】
前記ベンドが、前記光導波路において約180度のベンドである、請求項1から6のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項8】
前記ベンドを含む前記光導波路が、シリコンのコアを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項9】
前記ベンドを含む前記光導波路が、前記コアを囲む酸化ケイ素のクラッディングを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項10】
前記ベンドを含む前記光導波路が、絶縁体基板上のシリコンからなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の光偏光子。
【請求項11】
指定の偏光モードにおいて光を伝搬するように構成された光導波路と、
前記光導波路に結合された曲り導波路であって、前記伝搬された光の前記指定の偏光モードを曲り導波路内に含み、前記伝搬された光の第2の偏光モードを曲り導波路の外側に放射するように曲り幾何形状により構成された曲り導波路と
を備え、
前記曲り導波路は、一連の複数の蛇行形状を含む、光学デバイス。
【請求項12】
前記指定のモードが、横方向電気(TE)モードであり、前記曲り導波路が、高さよりも幅が大きい長方形断面の外形を有する、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記指定のモードが、横方向磁気(TM)モードであり、前記曲り導波路が、幅よりも高さが大きい長方形断面の外形を有する、請求項11または12に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記光導波路および前記曲り導波路が、同じ半導体および誘電体材料を使用してリソグラフィ工程の同じシーケンスを介して製作される、請求項11から13のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記曲り導波路が、光吸収材料により囲まれる、請求項11から14のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記光吸収材料が、基板上のゲルマニウムおよびドープされたシリコンのうちの一方である、請求項11から15のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記光学デバイスが、
前記曲り導波路を介して前記光導波路に結合された偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、前記曲り導波路が、前記PBSから前記光導波路への第1の光モードの偏光子である、偏光ビームスプリッタ(PBS)と、
前記光導波路と同様であり、前記光導波路に対して約90度だけ偏光が回転された第2の光導波路であって、前記PBSに結合される第2の光導波路と、
前記曲り導波路と同様であり、前記曲り導波路に対して約90度だけ偏光が回転された第2の曲り導波路であって、前記回転された第2の曲り導波路が、前記PBSと前記回転された第2の光導波路との間に位置決めされ、前記PBSから前記第2の光導波路への第2の光モードの偏光子である、第2の曲り導波路と
をさらに備える受光器である、請求項11から16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記光学デバイスが、
偏光スプリッタと、
前記光導波路を備え、前記曲り導波路を介して前記偏光スプリッタに結合されたスイッチマトリックスであって、前記曲り導波路が、前記偏光スプリッタと前記スイッチマトリックスとの間の横方向電気モードの偏光子である、スイッチマトリックスと
をさらに備える光スイッチである、請求項11から17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記光スイッチが、前記曲り導波路と前記偏光スプリッタとの間に位置決めされた偏光回転子をさらに備える、請求項11から18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
偏光子デバイスを製作するための方法であって、
半導体製作工程を使用して基板上に光導波路を形成するステップであって、所望の動作波長による光伝搬の指定の偏光モードを支持するように前記光導波路の幾何形状および寸法を形作るステップを含む、形成するステップと、
前記半導体製作工程時に前記導波路内に一連のベンドを形成するステップであって、前記指定の偏光モードを前記導波路内に含み、第2の偏光モードを前記導波路の外側に放射するように前記ベンドの幾何形状および寸法を形作るステップを含む、形成するステップと、
前記基板上で前記導波路および前記導波路の前記ベンドの周りに光吸収材料を配置するステップと
を含み、
前記一連のベンドは、一連の複数の蛇行形状を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれている、2014年3月31日に出願した「Apparatus and Method for a Waveguide Polarizer Comprising a Series of Bends」という名称の米国特許出願第14/231,429号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、光通信の分野に関し、詳しい実施形態においては、一連のベンドを備える導波路型偏光子のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコン細線導波路は、超小型のフォトニック集積回路(PIC)のプラットフォームとして使用される。典型的な構造において、高屈折率を有するシリコンコアが、二酸化ケイ素などの、または場合により窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または空気などの低屈折率材料(クラッディングと称される)によって囲まれる。この構造は、典型的には1310nmまたは1550nm帯域などの通信波長において使用される光導波路を形成する。シリコンPICチップは、フォトニック回路を形成する単一モードおよび多モード導波路素子のリソグラフィで画定されたレイアウトを含む。あるフォトニック集積回路において、フォトニックセルの出力は、単一の偏光(例えば、2つの直交偏光を有する他の回路とは対照的に)を含むことが意図されている。しかし、セルの製造公差により、または固有電磁物理特性により、出力光は、所望の単一の偏光以外に不要な偏光のほんの一部を含むことができる。したがって、偏光構成要素を導波構造またはPICチップに追加することが望ましい。さらに、同じ製造プラットフォームを使用して導波構造またはPICチップにより偏光構成要素を形成することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態によれば、光偏光子が、指定の偏光モードにおいて光を伝搬するように構成され、伝搬された光の同じ平面内にベンドを備える光導波路を備える。ベンドは、伝搬された光の指定の偏光モードを光導波路内に含み、伝搬された光の第2の偏光モードを光導波路の外側に放射するように構成された幾何形状を有する。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、光学デバイスが、指定の偏光モードにおいて光を伝搬するように構成された光導波路を備える。光学デバイスは、光導波路に結合され、伝搬された光の指定の偏光モードを曲り導波路内に含み、伝搬された光の第2の偏光モードを曲り導波路の外側に放射するように曲り幾何形状により構成された曲り導波路をさらに備える。
【0006】
本開示のさらに別の実施形態によれば、偏光子デバイスを製作するための方法が、半導体製作工程を使用して基板上に光導波路を形成するステップを含む。形成するステップは、所望の動作波長による光伝搬の指定の偏光モードを支持するように光導波路の幾何形状および寸法を形作るステップを含む。方法は、半導体製作工程時に導波路内に一連のベンドを形成するステップをさらに含む。形成するステップは、指定の偏光モードを導波路内に含み、第2の偏光モードを導波路の外側に放射するようにベンドの幾何形状および寸法を形作るステップを含む。方法は、基板上で導波路および導波路のベンドの周りに光吸収材料を配置するステップも含む。
【0007】
上記では、後に続く本発明の詳細な説明をより良く理解することができるようにするために本発明の実施形態の特徴をやや広く概説してきた。本発明の実施形態のさらなる特徴および利点は、以下に説明され、以下は本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。開示される概念および具体的な実施形態は、他の構造を変更もしくは設計するための基礎として、または本発明の同じ目的を実行するための工程として容易に利用できることが当業者によって理解されるはずである。そのような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲から逸脱しないことも当業者によって理解されるはずである。
【0008】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、次に、以下の説明を添付の図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】偏光子を備える受光器の例を示す図である。
図2】偏光子を備える光スイッチチップの例を示す図である。
図3】偏光子設計の実施形態を示す図である。
図4】偏光子のベンド設計の実施形態の上面図である。
図5】横方向電気(TE)偏光子設計の実施形態を示す断面図である。
図6】横方向磁気(TM)偏光子設計の実施形態を示す断面図である。
図7】一連のベンドを備える偏光デバイスの製作方法の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
異なる図における対応する数値および符号は、特に他の指示がない限り、対応する部分を一般に表す。図は、実施形態の関連する態様を明確に示すように描かれているが、必ずしも原寸に比例して描かれているわけではない。
【0011】
現在好ましい実施形態の製作および使用は、以下に詳細に説明される。しかし、本発明が、実に様々な具体的な状況で具現化することができる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。説明される具体的な実施形態は、本発明を製作し使用する具体的なやり方を単に示すにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0012】
実施形態は、一連のベンドを備える導波路型偏光子のために本明細書に提供される。導波路型偏光子は、光導波路デバイス(またはチップ/回路)において使用することができ、その場合、偏光が単一の偏光出力などに必要とされる。偏光子設計は、光学デバイスの機能とは独立している。例えば、偏光子は、光変調器、スイッチ、マルチプレクサ、またはデマルチプレクサにおいて使用することができる。そのようなデバイスおよび他の偏光デバイスは、単一モード導波路を含むことができ、その場合、光は、最低次導波路モードであるTE0モードなど、横方向電気(TE)偏光を有するモードにおいてのみ伝搬する必要がある。この場合、偏光子は、TM0モードなどの横方向磁気TM偏光を拒絶するように設計される。別の偏光子設計もTM偏光モードに提示される。例えば、偏光子は、それぞれTM偏光されるまたはTE偏光される光のほんの一部を拒絶することによって、45度偏光を有するモードなど、ハイブリッド偏光を有するモードをTE0モードやTM0モードなどの直線偏光モードに変換することができる。すべての偏光子設計は、光を所望の方向に沿って偏光されるようにする1つまたは複数のベンドを備え、光学デバイスの同じ製造工程(例えば、同じ基板または板上のリソグラフィ工程)内で光導波路デバイスにより製作することができる。実施形態は、シリコンベースの製作の観点から説明されるが、方式は、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ランタンジルコニウム酸チタン酸鉛(PLZT)、窒化ケイ素(SiN)などの他の材料系にも適用される。
【0013】
偏光子設計は、フォトニック集積回路において必要とされ得るベンドが他の導波路ベンドと同様であるので、導波路の異常に狭い幅を必要とすることなく、また新たな製造ステップを導入することなく、リソグラフィパターニングを使用して組み立てることができる。偏光のためのそのような導波路ベンドを備えることができる偏光ダイバースフォトニック回路の例は、所与の光キャリア上に直交(XおよびY)偏光を含む光ファイバ入力と、入力XおよびYの偏光を2つのそれぞれの光導波路のTEモードに変換する偏光分離セルと、偏光分離セルの逆関数を実施する偏光結合出力セルと、典型的には、同一であり、各々検出、変調またはスイッチングなどの光学機能を実施する、2つのTEモード光導波路回路を有する偏光ダイバースコアとを含む。2つの回路は、それぞれファイバからの直交(XおよびY)偏光に作用する。
【0014】
図1は、本開示の実施形態による偏光子を含むことができる受光器100を示す。入射光ビーム105が2つの直交偏光XおよびYの光を含む。受光器100は、偏光ビームスプリッタ(PBS)110を含むコヒーレント受光器であり得る。PBS110は、例えば、TEモードにおける入射光ビーム105を第1の導波路回路131に結合された第1の経路と、第2の導波路回路132に結合された第2の経路との2つの対応する経路上への2つの直交偏光された部分(XおよびY偏光ビーム)に分離する偏光分離面格子結合器を備える。回路131および132の各々は、TEモード用に構成された同様の導波路を備える。しかし、第2の導波路回路132における導波路は、第1の回路131における導波路に対して90度回転される。したがって、PBS110からのX偏光は、第1の回路131の導波路におけるTEモードに一致させることができ、PBS110からの直交Y偏光は、第2の導波路回路132の導波路におけるTEモードに一致させることができる。2つの回路131および132は、光信号を電気信号に変換するための検出アレイ140に結合される。回路131および132は、局部発振器レーザからの光106(Lo In)を、LO光106もTEモードにある場合、信号光105とも混合する。
【0015】
光学構成要素の製造欠陥または固有電磁物理特性により、PBS110からの偏光された出力光ビームは、ある不要な偏光を含むことができる。したがって、第1の偏光子121を第1の経路上でPBS110と第1の導波路回路131との間に挿入して、最初にX偏光された(不要な偏光がより少ない)光だけを含むより純粋なTEモードを達成することができる。このより純粋な偏光モードを達成すること、または光ビーム中の他の望ましくない偏光を除去することは、本明細書では偏光モードをクリーンアップすることと称する。同様に、第2の偏光子122を第2の経路上でPBS110と第2の導波路回路132との間に挿入して、最初にY偏光された光だけを含むより純粋なTEモードを達成することができる。第2の偏光子122は、第1の偏光子121の同じ設計を有することができる。
【0016】
図2は偏光子を含むことができる光スイッチチップ200の例を示す。光スイッチチップ200は、デュアル偏光入力光ビーム(例えば、TEおよびTMモード偏光)のアレイおよびファイバ210に結合された対応するアレイまたは偏光スプリッタ212を担持する複数のファイバまたは導波路210を含む。チップ200は、TE導波路の第1のスイッチマトリックス225と、やはりTE導波路の第2の同様のスイッチマトリックス225とを含み、両方が偏光スプリッタ212に結合される。偏光スプリッタ212は、入射光をTEモードとTMモードとに分離し、各々を2つのスイッチマトリックス225のうちの一方に転送する。例えば、偏光スプリッタ212は、方向性結合器、湾曲方向性結合器、または多モード干渉計素子であり得る。
【0017】
偏光回転子202のアレイが、偏光スプリッタ212と第2のスイッチマトリックス225の入力との間に位置決めされる。例えば、偏光回転子202は、非対称断面を有する導波路であり得る。これにより、第2のスイッチマトリックス225における導波路のTEモード内に結合するのに適切な直交偏光中に入射TMモード偏光を回転させることが可能になる。両方のスイッチマトリックス225の出力は、スイッチマトリックス225からの対応する入射ビームをファイバ211の別のアレイに対するデュアル偏光出力光ビームに結合する偏光コンバイナ213のアレイに結合される。第2の偏光回転子201のアレイは、偏光コンバイナ213と第1の偏光スイッチマトリックス225の出力との間に位置決めされる。これにより、第1のスイッチマトリックス225からのTEモード偏光を偏光コンバイナ213のTMモード内に結合するのに適切な直交偏光中に回転させることが可能になる。次いで、TMモードは、偏光コンバイナ213において、第2のスイッチマトリックス225から受け取ったTEモードと結合される。さらに、TEクリーンアップ偏光子221を、図示するようにスイッチマトリックス225の入力および出力のうちの任意の1つまたは複数において追加することができる。追加された偏光子221は、スイッチマトリックス225の入力および出力において光ビームの偏光をクリーンアップすることができる。
【0018】
上記のように、偏光子121、122、および221は、光ビームの偏光モードをクリーンアップし、光学デバイスの性能を改善する。偏光子は、偏光クロストーク、光パワーの不正確な検出、多経路伝搬クロストーク、または他の望ましくない光ペナルティを回避する偏光クリーン信号を提供する。図3は、偏光子121、122、および221などの偏光子の偏光設計300の実施形態を示す。設計300は、一連のベンドを有する単一モード光導波路を備える低損失導波路型偏光子である。導波路は、基板(例えば、シリコン基板)上の絶縁体、例えば、二酸化ケイ素(シリカとも称する)上のシリコン導波路でよい。ベンドは、意図された偏光の光の意図されたモードに対して低損失を有するように設計される。さらに、実施形態において、ベンドは、所望の偏光モード以外の直交偏光のモードまたは他のモードに対して高損失を有するようにさらに設計することができる。ベンドおよびベンド間の導波路区分は、すべて意図されたモードの同じ平面内にある。図示するように、導波路は、蛇行形状を有する一連のベンドを備える。他の実施形態において、曲り導波路は、蛇行形状、二重蛇行形状、およびらせん形状のうちの1つまたはそれらの組合せを有する一連のベンドを備える。
【0019】
導波路およびそのベンドは、TE偏光モードには低損失、TM偏光モードには高損失を有するように設計することができる。このモード選択は、実質的にTEモードを導波路内に含み、TMモードを導波路の外側に放射するようにベンドを設計することによって達成することができる。ベンドおよび導波路は、含まれたTEモードおよび放射されたTMモードと同じ平面内にある。導波路は、放射されたTMモードが導波路に再度入ること(例えば、異なる導波路区分において)を防止するために適切な吸収材料によってさらに囲むことができる。ベンドの幾何形状は、円の弧のベンド、ベジエベンド、正弦形状のベンド、他の適切なベンドもしくは曲線幾何形状、またはそれらの組合せを含むことができる。導波路は、コア(光が伝搬する)においてシリコンを、およびシリコンコアの周りにクラッディングとして二酸化ケイ素を備えることができる。クラッディングにより、光が導波路コアの内側を伝搬するとき、クラッディングとコアとの界面における光の内部反射によって光の閉じ込めが確実になる。他の実施形態において、他のチップ構成要素に使用される他の適切な材料を導波路型偏光子のコアおよびクラッディングに使用することもできる。
【0020】
ベンドは、ベンド間に直線領域または緩やかに曲がった領域を有する90度ベンドまたは180度ベンド(図3に示すように)を備える、蛇行またはジグザグレイアウトで配列することができる。TMモード光が設計300における蛇行レイアウトの次のサイクルにまた結合することを防止するために、吸収領域が蛇行レイアウトの各サイクル間の間隙に配置される。吸収材料の例は、典型的にはシリコンフォトニックチップの製造に使用されるゲルマニウムおよび/または高濃度にドープされたシリコン層を含む。
【0021】
Table 1(表1)は、複数のベンドを有する偏光子の設計例を示す。表のデータは、さらに以下に説明するように、正弦-円-正弦設計を有する、ベジエ断熱曲線ベンドとカスタム断熱曲線ベンドとを比較する。本明細書では、断熱曲線ベンドまたは断熱曲線区分という用語は、ベンドにおける光学的損失を最小限に抑える、いずれかの不連続または急な変化がなく滑らかにおよびゆっくり変化する曲率半径を有するベンド構造または区分を表す。曲率半径に不連続を含むベンドは、不連続において望ましくない光学散乱を生じることがある。シリコン導波路の幅は、Table 1(表1)のすべての場合において0.45マイクロメートル(μm)である。Table 1(表1)における設計パラメータにより、シミュレーション結果は、3μmの半径の正弦形状ベンドは、TEに対して0.007dBの損失およびTMに対して0.86dBの損失を有するはずであることを示している。したがって、20ベンドの連続は、TEに対して0.14dBの損失およびTMに対して17dBの損失を有するはずであり、偏光子は、0.14dBの挿入損失および17dBの偏光消光を有するはずである。挿入損失、偏光消光および物理的大きさの異なる値は、異なる数のベンド、異なるベンド半径、および異なるベンド形状を使用して達成することができる。ベンドは、デバイスの長さに沿ってすべて同じでよく、または変動してよい。
【0022】
【表1】
【0023】
図4は、例えば基板上の偏光子の正弦-円-正弦ベンド設計400の実施形態の上面図である。ベンド設計400は、上記のカスタム断熱曲線ベンドに対応する。ベンドは、異なる区分において異なるベンド形状を備えることができる。形状は、導波路に接触したベンドの端部における2つの正弦形状断熱曲線ベンド区分と、2つの正弦形状断熱曲線ベンド間の円形ベンドとを含む。結果として得られる設計は、全90度ベンドを形成する。他の設計は、他の曲げ角度のベンド形状区分の他の組合せを含むことができる。
【0024】
図5は、例えば、底部に基板を有する(図示せず)TE偏光子設計500の実施形態の断面を示す。偏光子は、上記のように、TE0の低損失およびTM0の高損失を確実にするために1つまたは複数のベンドを備える導波路である。断面は、高さよりも幅が大きい長方形断面の外形の導波路を示す。導波路は、シリコンコアおよび二酸化ケイ素のクラッディングを有する。同様に、ベンドは、TM0には低損失およびTE0には高損失を達成するように設計し、TM偏光子として使用することができる。図6は、TM偏光子設計600の実施形態の断面を示す。偏光子は、TM0の低損失およびTE0の高損失を確実にするために1つまたは複数のベンドを備える導波路である。断面は、幅よりも高さが大きい長方形の外形の導波路を示す。導波路は、シリコンコアおよび二酸化ケイ素のクラッディングを有する。
【0025】
図7は、一連のベンドを備える偏光デバイス(導波路型偏光子)の製作方法700の実施形態を示す。方法700は、フォトニック回路または光学デバイス全体の製作工程の統合部分として上記の偏光子を形成するのに使用することができる。ステップ710において、フォトニック回路または光学デバイスの導波路が、半導体製作工程を使用して形成される。形成するステップは、例えば、所望の動作波長による、TE、TM、または他の所望の偏光モードを支持するように導波路の幾何形状および寸法を構成するステップを含む。例えば、リソグラフィ露光およびエッチング工程を使用してシリコンまたは誘電体基板上に二酸化ケイ素のクラッディングを有するシリコンコア導波路を形成することができる。ステップ720において、一連のベンドが、導波路の所望の偏光モードをクリーンアップするために導波路内に形成される。ベンドは、上記のように、異なる形状を有することができる。このステップは、導波路形成ステップの一部であり得る。例えば、導波路とベンドを含む設計全体が露光され、次いで現像され、次いでエッチングされる。ステップ730において、光吸収材料(充填材)が、例えば、フォトニック回路の基板のキャリア上の、導波路および導波路のベンドの周りに配置される。
【0026】
いくつかの実施形態を本開示において提供してきたが、開示されたシステムおよび方法は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、多くの他の具体的な形で具現化される可能性があることを理解されたい。本例は制限的ではなく例示的とみなすべきであり、意図は本明細書に示す詳細に限定されないものとする。例えば、様々な要素もしくは構成要素を別のシステムにおいて組み合わせるもしくは統合することができ、またはある特徴を省略することができるもしくは実装しないことができる。
【0027】
さらに、様々な実施形態において個別または別個として説明され示された技法、システム、サブシステム、および方法を、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、モジュール、技法、または方法と組み合わせるもしくは統合することができる。互いに結合されまたは互いに直接結合されまたは互いに通信するものとして示されまたは説明された他の品目を、電気的であるか、機械的であるか、または他の方法であるかどうかにかかわらず、あるインターフェース、デバイス、または中間構成要素を通して間接的に結合するまたは通信することができる。変更、代替、および改変の他の例は、当業者によって解明可能であり、本明細書に開示された精神および範囲から逸脱することなく製作され得る。
【符号の説明】
【0028】
100 受光器
105 入射光ビーム
106 光
110 偏光ビームスプリッタ(PBS)
121 第1の偏光子
122 第2の偏光子
131 第1の導波路回路
132 第2の導波路回路
140 検出アレイ
200 光スイッチチップ
201 第2の偏光回転子
202 偏光回転子
210 ファイバまたは導波路
211 ファイバ
212 偏光スプリッタ
213 偏光コンバイナ
221 TEクリーンアップ偏光子
225 第1のスイッチマトリックス、第2のスイッチマトリックス
300 偏光設計
400 ベンド設計
500 TE偏光子設計
600 TM偏光子設計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7