特許第6365865号(P6365865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365865
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】電動シャッタ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/56 20060101AFI20180723BHJP
   E06B 9/72 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   E06B9/56 A
   E06B9/72
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-217099(P2013-217099)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-139396(P2014-139396A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2016年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-277986(P2012-277986)
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】原田 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】大場 亜星
(72)【発明者】
【氏名】二村 智晴
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昭紀
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106130(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175838(US,A1)
【文献】 特開平11−125081(JP,A)
【文献】 特開2005−328601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56
E06B 9/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に回転可能に支承されてシャッタカーテンを巻き取る筒状の巻取体の内部に配置され、軸長方向の一端部が前記基部に固設された外殻筒体と、
前記外殻筒体の内部に固設された駆動モータと、
前記駆動モータの出力軸に結合され、前記外殻筒体の他端部から軸長方向に延出して前記巻取体の内周を回転駆動する回転伝達部材と、を備えた電動シャッタ駆動装置であって、
前記外殻筒体は、一対の半割筒体の周方向の両端部同士が軸長方向全体で径方向内外に重ね合わせられて形成され、前記端部同士を結合する一以上の固定部と、前記端部同士の相対変位を規制する一以上の係合部と、を有し、
前記固定部及び前記係合部は前記一対の半割筒体の重ね合わせられている部分に形成され
前記係合部では、前記一対の半割筒体が重ね合わせられている部分の径方向外側の半割筒体に形成される係合凸部と、前記一対の半割筒体が重ね合わせられている部分の径方向内側の半割筒体に形成される係合受凸部と、が係合され、
前記係合凸部及び前記係合受凸部は半球状に突出して形成され、
前記係合凸部の形状は前記係合受凸部の形状と比べて大きく形成され、
前記係合凸部は、半割筒体の周方向の端部から離れる方向に形成されるガイド凸部と、前記ガイド凸部の半割筒体の周方向の端部の反対側で拡がる半球状凸部とを備え、
前記半球状凸部の突出量は、前記ガイド凸部よりも大きく形成される電動シャッタ駆動装置。
【請求項2】
前記固定部と前記係合部とは、前記一対の半割筒体の軸長方向に交互に配設されている請求項1に記載の電動シャッタ駆動装置。
【請求項3】
前記固定部及び前記係合部は、前記一対の半割筒体の軸長方向に概ね等間隔で配設されている請求項1又は2に記載の電動シャッタ駆動装置。
【請求項4】
前記固定部及び前記係合部は、前記一対の半割筒体の軸長方向の中間部よりも前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方において短い間隔で配設されている請求項1又は2に記載の電動シャッタ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタカーテンを巻き取る巻取体を回転駆動する電動シャッタ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッタケースの収容室内に筒状の巻取体を回転可能に支承し、電動シャッタ駆動装置によって巻取体を回転駆動してシャッタカーテンの巻き下ろし及び巻き上げを行うシャッタ装置が従来から知られている。電動シャッタ駆動装置は、外殻筒体の内部に駆動モータが固設されて構成され、巻取体の内部空間に配置される場合が多い。この種の電動シャッタ駆動装置の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のチューブモータは、電動シャッタ用または電動ブラインド用であって、外殻体(外殻筒体)が二つの半割体(半割筒体)の一体組立体から構成されていることを特徴としている。さらに、二つの半割体を一体に組み立てる三つの方法が実施形態に例示されている。第1の方法では、各半割体の当接部に“べろ”を出して、“べろ”の間をねじ止めしている。第2の方法では、両半割体のつなぎ目に金属板を添えて、金属板と半割体との間をねじ止めしている。第3の方法では、各半割体の当接部同士を重ね合わせてねじ止めしている。このように、二つの半割体を組み立てて外殻体を構成することで、内蔵する部品の組み立てや交換が容易になる、と記載されている。
【0004】
また、本願出願人は、特許文献2にブラインド機能付きのシャッタ装置を開示している。このシャッタ装置は、シャッタカーテンを構成する複数のスラットを開閉操作するブラインド機能を具備している。スラットを開いて所望の開き角度に保持するブラインド開操作や、スラットを全閉状態で相互に嵌合させるシャッタ全閉操作は、電動シャッタ駆動装置がシャッタカーテンに巻き上げ方向及び巻き下ろし方向の操作力を加えて行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−328601号公報
【特許文献2】特開2008−240363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に例示されるブラインド機能付きのシャッタ装置では、ブラインド開操作及びシャッタ全閉操作に必要な操作力は、通常の巻き下ろし時及び巻き上げ時の操作力よりも大きくなる。このため、ブラインド機能付きのシャッタ装置では、外殻体の捻り剛性強度が不足して不具合の発生するおそれがある。特に、特許文献1では二つの半割体で構成された外殻体を用いているので、当初から筒状である一般的な外殻体と比較して捻り剛性強度が小さくなる。したがって、ブラインド機能付きのシャッタ装置に特許文献1のチューブモータを使用すると、通常よりも大きな駆動トルクを出力したときに、反力として発生する捻りトルクに対して外殻体の捻り剛性強度が不足し、変形してしまうおそれが増大する。これにより、十分に大きな操作力を発生できず、ブラインド開操作時にスラットの開き角度が不足したり、シャッタ全閉操作時にスラット相互の嵌合が不充分になったりする。
【0007】
この対策として、特許文献1の二つの半割体を一体に組み立てる三つの方法でそれぞれ、ねじ止めの間隔(固定ピッチ)を狭くすればよいが、その分だけねじ止めの箇所数が増加して組み立て作業の手間が増加する。
【0008】
さらに、第1の方法では、組み立て作業時に“べろ”の変形や位置合わせに注意が必要となる。加えて、“べろ”が径方向外向きに突出する分だけ外側に配置される巻取体とのクリヤランスが減少するので、構造上の制約となる。また、第2の方法では、金属板を用いるので部品点数が増える。加えて、金属板と二つの半割体との間をそれぞれねじ止めすることになるので、二つの半割体を直接的にねじ止めする第1及び第3の方法と比較してねじ止めの箇所数が倍増し、組み立て作業の手間が増加する。
【0009】
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、一対の半割筒体からなる外殻筒体を用いつつも十分に大きな捻り剛性強度を有し、かつ組み立て作業が容易である電動シャッタ駆動装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電動シャッタ駆動装置は、 基部に回転可能に支承されてシャッタカーテンを巻き取る筒状の巻取体の内部に配置され、軸長方向の一端部が前記基部に固設された外殻筒体と、
前記外殻筒体の内部に固設された駆動モータと、
前記駆動モータの出力軸に結合され、前記外殻筒体の他端部から軸長方向に延出して前記巻取体の内周を回転駆動する回転伝達部材と、を備えた電動シャッタ駆動装置であって、
前記外殻筒体は、一対の半割筒体の周方向の両端部同士が軸長方向全体で径方向内外に重ね合わせられて形成され、前記端部同士を結合する一以上の固定部と、前記端部同士の相対変位を規制する一以上の係合部と、を有し、
前記固定部及び前記係合部は前記一対の半割筒体の重ね合わせられている部分に形成されている。
また、前記係合部は、前記一対の半割筒体が重ね合わせられている部分の径方向外側の半割筒体に形成される係合凸部と、前記一対の半割筒体が重ね合わせられている部分の径方向内側の半割筒体に形成される係合受凸部と、係合され、前記係合凸部及び前記係合受凸部は半球状に突出して形成され、前記係合凸部の形状は前記係合受凸部の形状と比べて大きく形成される。
そして、前記係合凸部は、半割筒体の周方向の端部から離れる方向に形成されるガイド凸部と、前記ガイド凸部の半割筒体の周方向の端部の反対側で拡がる半球状凸部とを備え、
前記半球状凸部の突出量は、前記ガイド凸部よりも大きく形成される。
【0012】
また、前記固定部と前記係合部とは、前記一対の半割筒体の軸長方向に交互に配設されていてもよい。
【0013】
また、前記固定部及び前記係合部は、前記一対の半割筒体の軸長方向に概ね等間隔で配設されていてもよい。
【0014】
また、前記固定部及び前記係合部は、前記一対の半割筒体の軸長方向の中間部よりも前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方において短い間隔で配設されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動シャッタ駆動装置では、外殻筒体は、一対の半割筒体の周方向の端部同士が径方向内外に重ね合わせられて形成され、端部同士を結合する一以上の固定部と端部同士の相対変位を規制する一以上の係合部とを有する。つまり、例えばねじ止めなどの結合作業を行う固定部とは別に相対変位を規制する係合部を設けるので、固定部の箇所数を増やさずとも半割筒体同士の結合を強めて、十分に大きな捻り剛性強度を確保できる。また、固定部と異なって係合部には結合作業を必要としない簡易な構造を採用できるので、組み立て作業が容易になる。
【0018】
また、固定部と係合部とが外殻筒体の軸長方向に交互に配設されている態様では、捻りトルクが外殻筒体の固定部及び係合部にバランスよく分散されるので特定箇所に応力が集中せず、十分な捻り剛性強度を確保できる。
【0019】
また、固定部及び係合部が外殻筒体の軸長方向に概ね等間隔で配設されている態様では、外殻筒体の軸長方向の全体で捻りトルクが分散されるため、十分な捻り剛性強度を確保できる。
【0020】
また、固定部及び係合部が外殻筒体の軸長方向の中間部よりも一端部及び他端部の少なくとも一方において短い間隔で配設されている態様では、応力の集中しやすい外殻筒体の端部で捻り剛性を重点的に高めて、十分な捻り剛性強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態の電動シャッタ駆動装置を組み込んだシャッタ装置の全体構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態の電動シャッタ駆動装置の詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。
図3】外殻筒体を形成する一対の半割筒体の係合部の構造を説明する断面図であって、係合部の非係合状態を示した図(A)および係合部の係合状態を示した図(B)である。
図4】第2実施形態の電動シャッタ駆動装置の詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。
図5】第2実施形態における係合部の構造を説明する断面図であって、係合部の非係合状態を示した図(A)および係合部の係合状態を示した図(B)である。
図6】第3実施形態の電動シャッタ駆動装置の詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。
図7】第4実施形態の電動シャッタ駆動装置の詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。
図8A】第4実施形態による半割筒体の係合方法のバリエーションを表した断面図であって、上側の半割筒体の周方向の両端部が外側の場合を示した図である。
図8B】上側の半割筒体の周方向の一端部が外側、他端部が内側の場合を示した図である。
図8C】下側の半割筒体の周方向の両端部が外側の場合を示した図である。
図9】係合部の別の構造を例示説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
本発明を実施するための第1実施形態の電動シャッタ駆動装置1について、図1図3を参考にして説明する。まず、電動シャッタ駆動装置1を組み込んだシャッタ装置9の全体構成につて説明する。図1は、本発明の第1実施形態の電動シャッタ駆動装置1を組み込んだシャッタ装置9の全体構成を示す正面図である。シャッタ装置9は、建築物の出入口などを開閉する目的で設けられる。シャッタ装置9は、フレーム91、シャッタカーテン96、巻取体99、及び電動シャッタ駆動装置1などで構成されている。
【0025】
フレーム91は、一対のガイドレール92、シャッタケース93、下枠95などを有している。一対のガイドレール92は、出入口などの開口の両側に離隔平行して立設されている。一対のガイドレール92の上端に架け渡されるように、箱形のシャッタケース93が設けられている。シャッタケース93は、本発明の基部に相当する。シャッタケース93の内部空間は、シャッタカーテン96を巻き上げて収容する収容室94になっている。一対のガイドレール92の下端を連結するように、下枠95が設けられている。以上の構成により、フレーム91は、矩形の開口を有する。
【0026】
シャッタカーテン96は、フレーム91の矩形の開口を開閉可能とするように配設されている。シャッタカーテン96は、横に長い矩形帯状のスラット97が複数個上下に連結されて構成されている。シャッタカーテン96の下端のスラット97Aの下側には、座板98が設けられている。座板98は、シャッタカーテン96の下枠95への着地を安定化するための部材である。シャッタカーテン96の上端のスラット97Bは、巻取体99に係止されている。シャッタカーテン96の両側の側端部は、ガイドレール92に案内されて上下に移動できるようになっている。本第1実施形態において、個々のスラット97は開閉可能とされてブラインド機能が付与されているが、ブラインド機能は必須の構成要件ではない。
【0027】
巻取体99は、シャッタケース93の収容室94内に配設され、シャッタケース93により軸線AX周りに回転可能に支承されている。
【0028】
電動シャッタ駆動装置1は、巻取体99の筒状の内部空間に配置されている。電動シャッタ駆動装置1は、外殻筒体2、駆動モータ5、及び回転伝達部材6などを備えている。外殻筒体2は、巻取体99と軸線AXを共有しており、巻取体99の同軸内側に配置されている。外殻筒体2の軸長方向の一端部25(図1の左側端部)は、シャッタケース93に固設されている。駆動モータ5は、外殻筒体2の内部に固設されている。回転伝達部材6は、駆動モータ5の出力軸に結合され、外殻筒体2の軸長方向の他端部27(図1の右側端部)から軸長方向に延出している。回転伝達部材6は、巻取体99の内周を回転駆動する。
【0029】
上述したシャッタ装置9では、電動シャッタ駆動装置1の駆動モータ5が正転すると、回転伝達部材6を介して巻取体99が正転駆動される。これにより、シャッタカーテン96が巻き下ろされる。また、駆動モータ5が逆転すると、回転伝達部材6を介して巻取体99が逆転駆動され、シャッタカーテン96が巻き上げられる。巻き下ろし及び巻き上げの両方の場合で、駆動モータ5から出力される駆動トルクの反力は、外殻筒体2からシャッタケース93へと伝達される。これにより、外殻筒体2に捻りトルクが発生する。外殻筒体2は、捻りトルクに対する十分な捻り剛性強度を有することが必要とされる。
【0030】
次に、第1実施形態の電動シャッタ駆動装置1の詳細な構造について説明する。図2は、第1実施形態の電動シャッタ駆動装置1の詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。図2に示されるように、外殻筒体2は、一対の半割筒体21、22により形成される。各半割筒体21、22は、軸線AXの軸長方向に長く、軸線AXと直交する断面が半円の円弧形状になっている。上側の半割筒体21の周方向の両側の端部28と、下側の半割筒体22の周方向の両側の端部29とは、径方向内外に重ね合わせられる。本第1実施形態において、上側の半割筒体21の端部28が外側に配置され、下側の半割筒体22の端部29が内側に配置されるが、これに限定されない。一対の半割筒体21、22の結合により、外殻筒体2は円筒状に形成される。外殻筒体2の軸長方向の一端部25は、シャッタケース93に固設されて用いられる。
【0031】
外殻筒体2の一端部25の内側には、外殻筒体2の内径寸法に略一致した円板状の固定板81が配置される。固定板81は、その中央に形成された固定溝811を用いてシャッタケース93に固設される。外殻筒体2の軸長方向の一端部25から中央部26を経て他端部27までの内部空間に、制御回路82、駆動モータ5、減速機構51、ブレーキ機構85などが配置され、適宜外殻筒体2に固定されている。
【0032】
制御回路82は、固定板81を貫通して配線された制御線及び制御コネクタ83を介して、図略の操作スイッチ及び図略の着地検出スイッチに接続されている。操作スイッチは使用者に操作されるものであり、着地検出スイッチは座板98が下枠95に着地したことを検出するセンサである。また、制御回路82は、固定板81を貫通して配線された電源線及び電源コネクタ84を介して電源が供給されるようになっている。制御回路82は、駆動モータ5の始動及び停止、ならびに正転及び逆転の切り替えを制御する。これにより、制御回路82は、シャッタカーテン96の巻き下ろし及び巻き上げを制御し、さらにスラット97の開閉を制御する。
【0033】
駆動モータ5は、外殻筒体2の中央部26から他端部27寄りの内部空間に配置され、外殻筒体2に固定されている。減速機構51は、駆動モータ5と軸線AXを共有し、駆動モータ5に隣接して配置されている。減速機構51の入力側は、図には見えない駆動モータ5の出力軸に結合されている。減速機構51は、駆動モータ5のから出力される駆動トルク及び回転数を調整する機構である。
【0034】
減速機構51の出力側に、軸線AXを共有して回転伝達部材6が結合されている。回転伝達部材6は、外殻筒体2の他端部27から軸長方向に延出している。回転伝達部材6の延出した部分は拡径されており、円板状の回転駆動部61になっている。回転駆動部61の外周面の3箇所には、矩形の駆動溝62が設けられている。駆動溝62は、巻取体99の内周に配設された被駆動部に係合している。これにより、駆動モータ5から出力された駆動トルクは、減速機構51で増大されて、回転伝達部材6から巻取体99へと伝達され、巻取体99が回転駆動されて、シャッタカーテン96が巻き下ろし及び巻き上げられる。このとき、反力としての捻りトルクが外殻筒体2に発生する。
【0035】
また、減速機構51の周りには、ブレーキ機構85が配設されている。ブレーキ機構85は、駆動モータ5が動作していないときに回転伝達部材6及び巻取体99の回動を規制して、シャッタカーテン96を現状位置で安定的に保持するための機構である。さらに、ブレーキ機構85の機能を解除するブレーキ解除機構が設けられている。ブレーキ解除機構の操作部86は、固定板81を貫通して外殻筒体2の外部まで引き出されている。これにより、例えば停電時に使用者が操作部86を操作してブレーキ解除機構を動作させると、シャッタカーテン96を手動で開閉できるようになっている。
【0036】
次に、外殻筒体2の構造について詳述する。図2に示されるように、外殻筒体2を形成する一対の半割筒体21、22の周方向の両側の端部28、29にそれぞれ、三つの同じ形状の固定部31〜33と、二つの同じ形状の係合部41、42とが配設されている(図2では手前側の端部のみに符号を付す)。
【0037】
三つの固定部31〜33のうち第1固定部31は、半割筒体21、22の軸長方向の一端部25付近に配設されている。第2固定部32は、半割筒体21、22の軸長方向の中央部26付近に配設されている。第3固定部33は、半割筒体21、22の軸長方向の他端部27付近に配設されている。第1〜第3固定部31〜33は、例えば、各半割筒体21、22に形成された対のねじ止め穴と、対のねじ止め穴を共締めする図略の締結ねじで形成できる。締結ねじは、対のねじ止め穴以外に内部の部材を共締めするようにしてもよい。
【0038】
二つの係合部41、42のうち第1係合部41は、半割筒体21、22の第1固定部31と第2固定部32の間に配設されている。第2係合部42は、半割筒体21、22の第2固定部32と第3固定部33の間に配設されている。三つの固定部31〜33と二つの係合部41、42とは、一対の半割筒体21,22の軸長方向に交互に、かつ概ね等間隔で配設されている。概ね等間隔とは、駆動トルクの反力として発生する捻りトルクを分散できる程度を意味し、厳密に等間隔であることを要しない。
【0039】
図3は、外殻筒体2を形成する一対の半割筒体21、22の係合部41、42の構造を説明する断面図である。図3は、半割筒体21、22の両側で合計四つある係合部41、42のうちの一つを代表にとり、軸線AXと直交する断面を拡大して示している。図3に示されるように、係合部41、42では、係合凸部43と係合受凸部44とが係合する。図3(A)の非係合状態に示されるように、係合凸部43は、上側の半割筒体21に形成されている。係合凸部43は、半割筒体21の周方向の端部28から上方に向かうガイド凸部431と、ガイド凸部431の上端で拡がる半球状凸部432とから成る。ガイド凸部431及び半球状凸部432は、半割筒体21の径方向外側に突出しており、半割筒体21の内側に窪みを有している。半球状凸部432の突出量及び窪みは、ガイド凸部431よりも大きく形成されている。
【0040】
一方、係合受凸部44は、下側の半割筒体22の周方向の端部29寄りの位置に形成されている。係合受凸部44は、半割筒体22の径方向外側に半球状に突出して形成されている。係合受凸部44は、係合凸部43の半球状凸部432の窪みにちょうど嵌合する大きさの半球形状になっている。
【0041】
図3(A)に矢印Mで示されるように、上側の半割筒体21を下側の半割筒体22に被せて組み立てる最初の段階で、まず、係合凸部43のうちのガイド凸部431が係合受凸部44に係合する。そして、最終的には、図3(B)の係合状態に示されるように、係合凸部43のうちの半球状凸部432の窪みが半球形状の係合受凸部44に嵌まり込んで係合する。このとき、第1〜第3固定部31〜33では、対のねじ止め穴同士が重なり、締結ねじによる結合が可能な状態になっている。
【0042】
電動シャッタ駆動装置1を組み立てる際には、内部の組み立てを先に行い、二つの半割筒体21、22を一体化する組み立て作業は最後に行う。一体化に際して、まず、各係合部41、42を重ね合わせる係合作業を行うと、二つの半割筒体21、22の相互間を仮止めできる。次に、各固定部31〜33で、対のねじ止め穴を共締めするなどの結合作業を行う。
【0043】
次に、第1実施形態の電動シャッタ駆動装置1の効果について、従来技術と比較して説明する。従来技術では、外殻筒体2に一対の半割筒体21、22を用いるとき、必要とされる捻り剛性強度に応じて固定部の箇所数を増減調整していた。つまり、片側3箇所の固定部で捻り剛性強度が不足するときには、固定部を4箇所、5箇所と増やしていた。
【0044】
これに対して、本第1実施形態では、固定部31〜33の3箇所は増やさずに、係合部41、42を設けて十分に大きな捻り剛性強度を確保するようにしている。このため、固定部31〜33と異なり、係合部41、42には重ね合わせるだけの単純な係合作業で済む簡易な構造を採用でき、従来技術よりも組み立て作業が容易になる。さらに、係合部41、42で半割筒体21、22相互の間を仮止めできるので、固定部31〜33の結合作業も容易になり、電動シャッタ駆動装置1の組み立て作業全体が容易になる。
【0045】
また、三つの固定部31〜33と二つの係合部41、42とが外殻筒体2の軸長方向に交互に配設されており、かつ、概ね等間隔で配設されている。このため、捻りトルクが外殻筒体2の軸長方向の5箇所にバランスよく分散される。したがって、特定箇所に応力が集中せず、十分な捻り剛性強度を確保できる。
【0046】
さらに、係合部41、42で係合する半球状凸部432及び係合受凸部44は、互いに嵌合する半球形状である。したがって、捻りトルクによって発生する応力がどの方向に作用しても、半割筒体21、22相互間の相対変位を規制する作用が働く。
【0047】
<第2実施形態>
次に、係合部41A、42Aの形状が異なる第2実施形態の電動シャッタ駆動装置1Aについて、図4及び図5を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図4は、第2実施形態の電動シャッタ駆動装置1Aの詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。第2実施形態において、シャッタ装置9の全体構成は第1実施形態と同じであり、電動シャッタ駆動装置1Aに関しても係合部41A、42A以外の構造は第1実施形態と同じである。なお、図4では、半割筒体21A、22Aの手前側の端部28、29のみに第1〜第3固定部31〜33及び第1、第2係合部41A、42Aの符号を付している。
【0048】
図5は、第2実施形態における係合部41A、42Aの構造を説明する断面図である。図5は、半割筒体21、22の両側で合計4つある係合部41A、42Aのうちの一つを代表にとり、軸線AXと直交する断面を拡大して示している。図5に示されるように、係合部41A、42Aでは、係合凹部45と係合受凸部46とが係合する。
【0049】
図4及び図5(A)の非係合状態に示されるように、係合凹部45は、上側の半割筒体21Aの周方向の端部28の一部が矩形状に切欠かれて形成されている。一方、係合受凸部46は、下側の半割筒体22Aの周方向の端部29寄りから径方向外側に突出し、さらに周方向に屈曲した矩形状に形成されている。係合受凸部46は、係合凹部45の矩形状の切欠きにちょうど嵌合する形状になっている。
【0050】
図5(A)に矢印Nで示されるように、上側の半割筒体21Aを下側の半割筒体22Aに被せて組み立てると、最終的には、図5(B)の係合状態に示されるように、係合凹部45の矩形状の切欠きが係合受凸部46に嵌まり込んで係合する。このとき、第1〜第3固定部31〜33では、対のねじ止め穴同士が重なり、締結ねじによる結合が可能な状態になっている。
【0051】
第2実施形態の電動シャッタ駆動装置1Aにおいて、第1実施形態と同様に、固定部31〜33の3箇所は増やさずに係合部41A、42Aを設けたので、捻りトルクが外殻筒体2の軸長方向の5箇所にバランスよく分散される。したがって、特定箇所に応力が集中せず、十分な捻り剛性強度を確保できる。また、係合部41A、42Aで半割筒体21A、22A相互の間を仮止めできるので、電動シャッタ駆動装置1Aの組み立て作業全体が容易になる。
【0052】
さらに、係合部41A、42Aで係合する係合凹部45及び係合受凸部46は、互いに嵌合する矩形状である。したがって、半割筒体21A、22A相互の軸長方向の相対変位に対して、特に大きな強度を有している。
【0053】
<第3実施形態>
次に、固定部31B、33B及び係合部47〜49の箇所数及び配置が異なる第3実施形態の電動シャッタ駆動装置1Bについて、図6を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図6は、第3実施形態の電動シャッタ駆動装置1Bの詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。第3実施形態において、シャッタ装置9の全体構成は第1実施形態と同じであり、電動シャッタ駆動装置1Bに関しても固定部31B、33B及び係合部47〜49以外の構造は第1実施形態と同じである。
【0054】
図6に示されるように、第3実施形態では、一対の半割筒体21B、22Bの周方向の両側の端部28、29にそれぞれ、二つの同じ形状の固定部31B、33Bと、三つの同じ形状の係合部47〜49とが配設されている(図6では手前側の端部のみに符号を付す)。
【0055】
二つの固定部31B、33Bのうち第1固定部31Bは、半割筒体21B、22Bの軸長方向の一端部25付近に配設されている。第2固定部33Bは、半割筒体21、22の軸長方向の他端部27付近に配設されている。各固定部31B、33Bの構造は、第1実施形態と同じであり、例えば、ねじ止め穴及び締結ねじで形成できる。
【0056】
三つの係合部47〜49のうち第1係合部47は、半割筒体21B、22Bの第1固定部31Bの一端部25側に隣接して配設されている。第2係合部48は、半割筒体21B、22Bの軸長方向の中央部26付近に配設されている。第3係合部49は、半割筒体21B、22Bの第2固定部33Bの他端部27側に隣接して配設されている。三つの係合部47〜49の構造は、図3に示される第1実施形態と同じである。
【0057】
第3実施形態の電動シャッタ駆動装置1Bでは、半割筒体21B、22Bの一端部25付近で第1固定部31Bと第1係合部47とが短い間隔で近接配設されている。同様に、他端部27付近で第2固定部33Bと第3係合部49とが短い間隔で近接配設されている。一方、半割筒体21B、22Bの中央部26付近では、第2係合部48が単独で配設され、かつ、他の固定部や係合部との間隔が長くなっている。このような配置を採用することにより、応力の集中しやすい外殻筒体2の一端部25及び他端部27で捻り剛性を重点的に大きくして、十分な捻り剛性強度を確保できる。
【0058】
なお、実際の装置構成に依存して変化する捻りトルクの分布を参考にして、第1実施形態及び第3実施形態を選択的に実施することが好ましい。
【0059】
<第4実施形態>
次に、固定部31、32、33及び係合部41B、42B、43Bの箇所数及び配置が異なる第4実施形態の電動シャッタ駆動装置1Cについて、図7図8A図8Bおよび図8Cを参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図7は、第4実施形態の電動シャッタ駆動装置1Cの詳細な構造を示す一部を分解した斜視図である。第4実施形態において、シャッタ装置9の全体構成は第1実施形態と同じである。
【0060】
図7に示されるように、第4実施形態では、一対の半割筒体21C、22Cの周方向の両側の端部28、29にそれぞれ、三つの同じ形状の固定部31、32、33と、三つの同じ形状の係合部41B、42B、43Bとが配設されている(図7では手前側の端部のみに符号を付す)。
【0061】
第1実施形態と同様に、三つの固定部31〜33のうち第1固定部31は、半割筒体21C、22Cの軸長方向の一端部25付近に配設されている。また、第2固定部32は、半割筒体21C、22Cの軸長方向の中央部26付近に配設されている。さらに、第3固定部33は、半割筒体21C、22Cの軸長方向の他端部27付近に配設されている。各固定部31〜33の構造は、第1実施形態と同じであり、例えば、ねじ止め穴及び締結ねじで形成できる。
【0062】
一方、三つの係合部41B、42B、43Bは、それぞれ、半割筒体21C、22Cの径方向内側に突出し、その底部が平面状に形成されている。各係合部41B、42B、43Bは、半割筒体21C、22Cの径方向外側に突出していてもよい。各々の係合部41B、42B、43Bは、その径方向視が略矩形状を呈するように形成されているが、この形状に限られるものではない。三つの係合部41B、42B、43Bのうち第1係合部41Bは、半割筒体21C、22Cの第1固定部31と同じ位置に形成されている。すなわち、第1係合部41Bの底面上に第1固定部31が形成されている。また、三つの係合部41B、42B、43Bのうち第2係合部42Bは、半割筒体21C、22Cの第2固定部32と同じ位置に形成されている。すなわち、第2係合部42Bの底面上に第2固定部32が形成されている。また、三つの係合部41B、42B、43Bのうち第3係合部43Bは、半割筒体21C、22Cの第3固定部33と同じ位置に形成されている。すなわち、第3係合部43Bの底面上に第3固定部33が形成されている。
【0063】
次に、図8A図8Bおよび図8Cに基づき、第4実施形態による半割筒体21C、22Cの係合方法のバリエーションについて説明する。図8Aに示したように、係合部41B、42B、43Bを互いに係合させるために、上側の半割筒体21Cの周方向の両端部28が、下側の半割筒体22Cの周方向の両端部29よりも径方向外側に位置していてもよい。
【0064】
また、図8Bに示したように、上側の半割筒体21Cの周方向の端部28のうちの一方が、下側の半割筒体22Cの周方向の端部29の一方よりも径方向外側に位置しており、上側の半割筒体21Cの周方向の端部28のうちの他方が、下側の半割筒体22Cの周方向の端部29の他方よりも径方向内側に位置していてもよい。
【0065】
また、図8Cに示したように、下側の半割筒体22Cの周方向の両端部29が、上側の半割筒体21Cの周方向の両端部28よりも径方向外側に位置していてもよい。
【0066】
第4実施形態の電動シャッタ駆動装置1Cでは、凸部または凹部としての第1係合部41B上に第1固定部31が形成され、第2係合部42B上に第2固定部32が形成され、第3係合部43B上に第3固定部33が形成されている。これにより、外殻筒体2の軸長方向において、係合部41B、42B、43Bおよび固定部31〜33の数をともに増大させることができるため、半割筒体21C、22Cの大きな捻り剛性強度を確保できる。
【0067】
また、係合部41B、42B、43Bおよび固定部31〜33が同位置に形成されているため、各係合部41B、42B、43Bを互いに重ね合わせた後、各固定部31〜33を締結することにより、凸部または凹部の係合が隙間なく強固に行われ、半割筒体21C、22C同士の結合を強めて、いっそう大きな捻り剛性強度を確保できる。
【0068】
また、係合部41B、42B、43B上に固定部31〜33が形成されているため、係合部41B、42B、43B同士を互いに係合させることにより、固定部31〜33同士の位置合わせができ、固定部31〜33に対するねじの締め付け作業を容易にすることができる。
【0069】
また、係合部の構造、箇所数、及び配置は、第1〜第4実施形態に限定されない。例えば、図9は、係合部4Cの別の構造を例示説明する断面図である。図9に示される例では、上側及び下側の半割筒体21D、22Dには相補的に嵌合する錘状の係合凸部4C1及び係合受凸部4C2が形成されている。係合部の凸部、凹部の名称に厳密性はなく、互いに係合して一対の半割筒体の相対変位を規制できることが肝要である。さらに、複数種類の係合部の構造を併用して強度を高めることもできる。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、1A、1B、1C:電動シャッタ駆動装置
2:外殻筒体
21、21A、21B、21C、21D:(上側の)半割筒体
22、22A、22B、22C、22D:(下側の)半割筒体
25:一端部 26:中央部 27:他端部
28、29:周方向の端部
31〜33、31B、33B:固定部
41、41A、41B、42、42A、42B、43B、47〜49、4C:係合部
43:係合凸部 44:係合受凸部
45:係合凹部 46:係合受凸部
4C1:係合凸部 4C2:係合受凸部
5:駆動モータ 51:減速機構
6:回転伝達部材 61:回転駆動部 62:駆動溝
81:固定板 82:制御回路 85:ブレーキ機構
9:シャッタ装置
91:フレーム 92:ガイドレール 93:シャッタケース
94:収容室 95:下枠 96:シャッタカーテン
97、97A、97B:スラット 98:座板 99:巻取体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9