特許第6365872号(P6365872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365872
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】死角補助装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/04 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   B60R1/04 H
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-135534(P2014-135534)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-13728(P2016-13728A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笠原 毅
(72)【発明者】
【氏名】小幡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】春山 加苗
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−018956(JP,U)
【文献】 特開2006−231998(JP,A)
【文献】 特開2015−120468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であって、
前記像を表す光を入射し、視認者側に設けられ光の一部を反射し一部を透過する半透過ミラーと、光を前記半透過ミラーへ反射するミラーとが互いに対向するように配置される一対のミラーを備え、
光を前記半透過ミラーへ反射する前記ミラーは、入射側端部に光の一部を反射し一部を透過する透過反射部を有する、
ことを特徴とする死角補助装置。
【請求項2】
前記透過反射部は、光の反射率が前記一対のミラーにおける光の進行方向に向かって高くなる、または略一定になるように形成されてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の死角補助装置。
【請求項3】
前記透過反射部は、光の透過率が前記一対のミラーにおける光の進行方向に向かって低くなる、または略一定になるように形成されてなる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の死角補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内のフロントピラーなどの障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両内のフロントピラーなどの障害物によって生じる死角を映す視認装置として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。この視認装置は、運転者から見たフロントピラーにより生じる死角領域を映す第1ミラーと、この第1ミラーが映す死角領域を運転者に向けて反射する第2ミラーと、を備え、フロントピラーの死角領域を運転者に視認させるものである。
【0003】
このように第1ミラーと第2ミラーとを用いて、死角領域を運転者に視認させる場合、第2ミラーに死角領域が映るように運転者の視点の位置に合わせて第1ミラーの位置や角度を調整する必要があり、調整作業が煩雑であるという問題があった。また、第2ミラーに死角を映す場合、死角領域の像を示す光以外にも外光が第2ミラーで反射して運転者の目に入り、視認性が損なわれるという問題があった。
【0004】
このような課題を解決するため、本出願人は、特願2013−266402において、死角補助装置を提案している。この死角補助装置は、運転者側に設けられ光の一部を反射し、一部を透過する半透過平面ミラーと、半透過平面ミラーに対向するように配置され光を半透過平面ミラーに反射する平面ミラーと、を備え、運転者からの死角領域を表す光を半透過平面ミラーの反射面で受光し、半透過平面ミラーと平面ミラーとの間で反射を繰り返し、半透過平面ミラーの透過面から死角領域を表す光を透過することで、死角領域を運転者に視認させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−231998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特願2013−266402に記載の死角補助装置では、視認者が死角補助装置を介して視認する像は、像の領域によって、半透過平面ミラーと平面ミラーとの間での光の反射回数が異なるため、領域毎に輝度が異なっていた。具体的には、図7に示すように、半透過平面ミラーと平面ミラーとの間を進む光の進行方向(視認者の視線左右方向)に沿って視認される像の輝度が段階的にはっきりと低下していき、視認性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、より容易に死角領域の像を映すことが可能であり、また、視認性を向上させることが可能な死角補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る死角補助装置は、障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であって、前記像を表す光を入射し、視認者側に設けられ光の一部を反射し一部を透過する半透過ミラーと、光を前記半透過ミラーへ反射するミラーとが互いに対向するように配置される一対のミラーを備え、光を前記半透過ミラーへ反射する前記ミラーは、入射側端部に光の一部を反射し一部を透過する透過反射部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より容易に視認者が直接視認する像と連続して死角領域の像を映すことが可能となり、また、視認性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る死角補助装置が配置される車両の運転席付近の概観を示す図である。
図2】同上死角補助装置の概観を示す平面図である。
図3】同上死角補助装置を示す斜視図である。
図4】同上死角補助装置における光の進行方向を説明するための図である。
図5】従来の死角補助装置における光の進行方向を説明するための図である。
図6】本実施形態の透過反射部の反射率を説明するための図である。
図7】従来の死角補助装置で視認される像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る死角補助装置を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本実施形態に係る死角補助装置100が配置される車両1の運転席付近の概観を示す図である。車両1は、図1に示すように、ステアリング10と、ウインドシールドガラス20と、サイドガラス30,40と、フロントピラー50,60と、を備える。また、21,22は、ウインドシールドガラス20の周辺部に印刷形成される遮光性の黒セラ(黒セラミック)部である。
【0013】
車両1において、視認者(主に運転者)は、ウインドシールドガラス20(黒セラ部21の部分を除く)とサイドガラス30,40が配置される領域では風景を直接視認する一方、フロントピラー50,60と黒セラ部21,22が配置される領域ではフロントピラー50,60と黒セラ部21,22とによって視認者の視界が遮られ、風景を直接視認することができない死角領域Dが生じる。すなわち、フロントピラー50,60と黒セラ部21,22とは、本発明における障害物に該当する。
【0014】
次に、図1図3に基づいて本実施形態に係る死角補助装置100の構成について説明する。なお、図2は、死角補助装置100の概観を示す平面図であり、図3は、死角補助装置100を示す斜視図である。なお、視認者が一対のミラー110の面を正面視した際の左右方向を水平方向と記載し、この水平方向に沿った軸を図2,3ではX軸方向と記して以下に説明する。また、図2,3において、一対のミラー110の重なり方向をY軸とし、視認者の上下方向に沿った軸をZ軸方向と記す。
【0015】
死角補助装置100は、図1及び図2に示すように、視認者側から見て右側(運転者側)のフロントピラー50に図示しないホルダ部材を介して配置され、フロントピラー50及び黒セラ部21によって遮られる死角領域Dの像を映すものである。なお、死角補助装置100は、視認者から見てフロントピラー50及び黒セラ部21と対向するように配置される。
【0016】
死角補助装置100は、一対のミラー110を備える。
一対のミラー110は、入射した光の一部を反射し一部を透過する半透過平面ミラー(半透過ミラー)111と、平面ミラー(ミラー)112とが互いに平行に対向するように配置されることによって構成される。なお、半透過平面ミラー111と平面ミラー112は図示しないホルダ部材に配置されることで平行な位置関係で固定される。なお、本発明の一対のミラー110は、互いに対向するように配置されるものであれば完全な平行に配置されなくともよく、また、平面ミラーでなく曲面ミラーであってもよい。
【0017】
半透過平面ミラー111は、視認者側に配置され、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、アクリル等の透光性の樹脂材料からなる板状の基材の表面にアルミなどの金属を蒸着させることにより、所望の反射率を有す反射層を形成してなる。
半透過平面ミラー111は、反射層の厚みや密度の調整または使用する材料の選択により反射率R(透過率)を調整することができる。なお、半透過平面ミラー111は、基材の表面に誘電体多層膜をコーティングして形成してもよい。半透過平面ミラー111は、後述する平面ミラー112と対向する基部111aと、この基部111aから延設される延設部111bとを有し、半透過平面ミラー111と平面ミラー112とが水平方向に段違い状となるように配置される。
【0018】
平面ミラー112は、半透過平面ミラー111と同様に透光性の樹脂材料からなる板状の基材の表面に反射層を形成してなり、平面ミラー112の面(反射面)が半透過平面ミラー111の面(半透過反射面)と平行となるように配置される。そして、平面ミラー112は、後述する死角領域Dに存在する物体Mを映す光Lが入光する方の端部に透過反射部112aを設ける。この透過反射部112aについては後に詳述する。
【0019】
半透過平面ミラー111と平面ミラー112とは、図3に示すように、それぞれの面(半透過反射面及び反射面)の垂直方向の幅が一対のミラー110における光Lの進行方向に向かって徐々に小さくなる略楔状に形成されている。視認者の視野範囲から外れる不要個所を除去して小型化及び軽量化するためである。また、半透過平面ミラー111と平面ミラー112とは互いの平面形状が相似であり(ほぼ相似である場合を含む)、平面ミラー112の一対のミラー110における光Lの進行方向(X軸方向)に対する垂直方向(Z軸方向)の幅が、半透過平面ミラー111の一対のミラー110における光Lの進行方向(X軸方向)に対する垂直方向(Z軸方向)の幅よりも大きくなるように形成されている。斜め下あるいは斜め上から死角補助装置100を見た場合に、上下方向で半透過平面ミラー111と平面ミラー112との間を遮光する図示しない遮光壁(例えば前記ホルダ部材の一部からなる)が映り込むことを抑制するためである。また、半透過平面ミラー111の入射側端部(入射側の側辺)E11と、平面ミラー112の入射側端部(入射側の側辺)E12とは、ウインドシールドガラス20のガラス面に沿って傾斜している。ウインドシールドガラス20のガラス面に近接して配置させるためである。後述する透過反射部112aは、入射側端部E12の傾斜に略平行に一定の幅で設けられる。
【0020】
次に、一対のミラー110の主な作用について図2を参照して説明する。
図2において、視認者(視点2)の前方視界には、フロントピラー50(図示しないが黒セラ部21も含む)によって遮られる死角領域Dが生じる。したがって、視点2からは死角領域Dに存在する物体Mを直接視認することができない。
一方、物体Mからの光Lは、一対のミラー110に入射し、一対のミラー110の間で反射を繰り返しつつ、一部の光Lは一対のミラー110から出射する(半透過平面ミラー111を透過する)。なお、一対のミラー110に入射し、一対のミラー110の間で反射を繰り返すのは一対のミラー110の平行な平面に対して傾きを有する光である。一対のミラー110から出射する光Lの一部は、視点2に達する。したがって、視点2からは直接視認できる風景と連続して平面ミラー112に映る物体Mの像を半透過平面ミラー111越しに視認することができる。なお、死角領域Dのうちフロントピラー50の背面側の僅かな領域(ハッチングで示す部分)は、この領域からの光が一対のミラー110に入射できず、その像を一対のミラー110によって映すことができないが、それ以外の殆どの領域において死角領域Dの像を一対のミラー110によって映すことができる。
なお、死角領域Dの像を一対のミラー110によって映すに当たって、視認者は、死角補助装置100をフロントピラー50の任意の高さ(視点2に合った高さ)に、一対のミラー110に死角領域Dの像が映るように、すなわち、死角領域Dからの光Lが視点2に達するように一対のミラー110の角度を調整して配置する。半透過平面ミラー111と平面ミラー112とは互いの位置関係が平行に固定されるため、一度の配置作業で一対のミラー110を同時に配置することができ、また、一度の調整作業で一対のミラー110の角度を同時に調整することができる。
【0021】
次に、本実施形態特有の透過反射部112aの作用について、図4,5及び表1,2を用いて説明する。図4は、透過反射部112aを設けた場合の一対のミラー110における光Lの進行方向を説明するための図であり、図5は、透過反射部112aを設けない場合の一対のミラー110における光Lの進行方向を説明するための図である。図4,5において、視認者の視点2から見た死角領域Dに存在する物体Mの各領域を、視認者の左側から物体Ma,Mb,Mcと図示する。なお、物体から出射される光はあらゆる方向に無数に存在するが、図4,5においては、特徴的な光線のみを数本図示してあり、物体Ma,Mb,Mcそれぞれから出射される光Lを、半透過平面ミラー111側へ向かう光Lap,Lbp,Lcp、平面ミラー112側へ向かう光Laq,Lbq,Lcqと図示してある。また、図4,5において、一対のミラー110の間を進行して視点2に到達するまでのLap,Laqに起因する光をLa1〜La5と図示し、Lbp,Lbqに起因する光をLb1〜Lb5と図示し、Lcp,Lcqに起因する光をLc1〜Lc5と図示するものとする。
【0022】
図4において、平面ミラー112の透過反射部112aは、光Laが透過反射する領域の反射率Raを0(0%)とし、光Lbが透過反射する領域の反射率Rbを0.5(50%)とし、光Lcが反射する領域の反射率Rcを1.0(100%)とした例を示す。すなわち、透過反射部112aの反射率は、X軸方向に沿って段階的に大きくなるように調整される。透過反射部112aは、反射及び透過をするものであり、反射率Rが低い領域は透過率が高く、反射率Rが高い領域は透過率が低くなる。具体的に例えば、反射率が20%の場合、光の20%が反射され、80%が透過されることになる。なお、反射率Rと透過率とを別々に調整してもよい。
【0023】
図4を参照して、物体Maからの光Lap,Laq、物体Mbからの光Lbp,Lbq、物体Mcからの光Lcp,Lcqの進行方向を具体的に説明する。
光Lapは、半透過平面ミラー111に入射し、一部が透過反射部112aに向かって反射するが、反射率Raが0であるため、再び半透過平面ミラー111へは反射されず、視点2に向かわないので図4に図示していない。一方、光Laqは、平面ミラー112を透過して光La2として半透過平面ミラー111に向かう。その後、光La2は、半透過平面ミラー111により一部が光La3として平面ミラー112の方へ反射され、この光La3が平面ミラー112により反射され、光La4として半透過平面ミラー111の方へ反射される。半透過平面ミラー111に入射した光La4の一部が透過し、視点2に入射され、視認者は物体Mの一部Maを視認する。
【0024】
光Lbp,Lbqは、透過反射部112aにおける反射率Rbが0.5(50%)である点が異なる。
光Lbpは、半透過平面ミラー111に入射し、一部が透過され一部が光Lb1として平面ミラー112へ反射される。光Lb1は、透過反射部112aに入射し、一部(光Lb1の50%)が透過し一部(光Lb1の50%)が再び半透過平面ミラー111へ反射される。透過反射部112aにより反射された光Lb1の一部と平面ミラー112を透過した光Lbqの一部(光Lbqの50%)とが合わさって、光Lb2として半透過平面ミラー111に向かう。その後、光Lb2は、半透過平面ミラー111により一部が光Lb3として平面ミラー112の方へ反射され、この光Lb3が平面ミラー112により反射され、光Lb4として半透過平面ミラー111の方へ反射される。半透過平面ミラー111に入射した光Lb4の一部が透過し、視点2に入射され、視認者は物体Mの一部Mbを視認する。
【0025】
光Lcp,Lcqは、透過反射部112aにおける反射率Rcが1.0(100%)である点が異なる。
光Lcqは、半透過平面ミラー111に入射するが、透過反射部112aの反射率Raが0(透過率が0)であるため、透過反射部112aを透過することなく、視点2に向かわないので図4に図示していない。一方、光Lcpは、半透過平面ミラー111に入射し、一部が透過され一部が光Lc1として平面ミラー112へ反射される。光Lc1は、透過反射部112aに入射し、光Lc1の全て(光Lc1の100%)が再び半透過平面ミラー111へ反射される。透過反射部112aにより反射された光Lc1は、光Lc2として半透過平面ミラー111に向かう。なお、光Lcqは、透過反射部112aの透過率が0%であるので、一対のミラー110の内部には透過されない。光Lc2は、半透過平面ミラー111により一部が光Lc3として平面ミラー112の方へ反射され、この光Lc3が平面ミラー112により反射され、光Lc4として半透過平面ミラー111の方へ反射される。半透過平面ミラー111に入射した光Lc4の一部が透過し、視点2に入射され、視認者は物体Mの一部Mcを視認する。
【0026】
一対のミラー110に入射する各光Lap,Laq,Lbp,Lbq,Lcpの光強度Iを100、半透過平面ミラー111の反射率を70%(透過率を30%)、平面ミラー112の反射率を100%、光Laの反射率Raを0%(透過率を100%)、光Lbの反射率Rbを50%(透過率を50%)、光Lcの反射率Rcを100%(透過率を0%)とした場合、La1〜La5とLb1〜Lb5とLc1〜Lc5それぞれの光強度の計算結果は、下記の表1のようになる。
【0027】
【表1】
【0028】
また、図5を参照すると、透過反射部112aを備えない一対のミラー110において、光Lcpは、光Lc1として平面ミラー112に入射し、光Lc2として再び半透過平面ミラー111に向かう。しかしながら、一部の光Lap(Lbp)は、半透過平面ミラー111で反射して平面ミラー112に向かうが、進行方向に平面ミラー112が延出してないため、平面ミラー112により再び半透過平面ミラー111の方へ反射されることはなく、視点2に向かわないので図5に図示していない。物体Mの左側(図5におけるMa,Mb)の一部の光L(図5における光La,Lb)は、物体Mの右側(図5におけるMc)の一部の光L(図5における光Lc)よりも視点2に到達するまでに一対のミラー110が行う反射の回数が少なくなる。この反射回数の少ない光Laの光強度Ia、反射回数の多い光Lcの光強度Icは、Rfを半透過平面ミラー111の反射率、Nを半透過平面ミラー111での反射回数、Iを一対のミラー110へ入射するLの光強度とすると、以下の式(1),式(2)で表される。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】
透過反射部112aを備えない一対のミラー110におけるLa1〜La5とLb1〜Lb5とLc1〜Lc5それぞれの光強度の計算結果は、下記の表2のようになる。
【表2】
【0032】
透過反射部112aを備えた場合の視点2に到達する光La5,Lb5,Lc5の光強度(表1参照)と、透過反射部112aを備えない場合の視点2に到達する光La5,Lb5,Lc5の光強度(表2参照)とを比較すると、透過反射部112aを備えた方が、視認者の左右方向の隣りあった光(LaとLbまたはLbとLc)の光強度差が小さくなることがわかる。したがって、視認者が視認する像は、左右方向において輝度差が小さくなり、視認性を向上させることができる。
【0033】
なお、透過反射部112aを備えた場合の光Lbの光強度Ibは、Rfを半透過平面ミラー111の反射率、Rbを透過反射部112aの反射率、Nを半透過平面ミラー111での反射回数、Iを一対のミラー110へ入射する光Lの光強度、光Lbより左側に視認される像を示す光Laの光強度Ia、光Lbより右側に視認される像を示す光Lcの光強度Icとすると、以下の式(3)で表される。
【0034】
【数3】
【0035】
ここで透過反射部112aの反射率Rbが0≦Rb≦1であるため、透過反射部112aを透過反射する光Lbの光強度Ibは、光Laの光強度Iaと光Lbの光強度Icとの間の値をとる。透過反射部112aの反射率Rが図4に示すように段階的に変化する場合、像の輝度も段階的に変化する。
【0036】
なお、透過反射部112aの反射率Rは、上述したように段階的に変化させるものに限定されない。透過反射部112aは、図6(a)、6(b)に示すように透過反射部112aの入射側端部E12からの距離(X)に従い連続的に反射率Rを増加させるものであってもよく、図6(c)に示すように、反射率Rが1(100%)未満の値で一定であってもよい。また、折れ線近似した距離(X)の関数に従って反射率Rを変化させるものであってもよい。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態及び図面によって限定されるものではない。上記実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。本実施形態では、一対のミラー110の間は中空であったが、一対のミラー110の間に透明な樹脂材料(透光性部材)を充填するなどして中実構造としてもよい。これによって、埃や汚れなどが一対のミラー110の内面に付着することを防止することができる。
【0038】
本実施形態の死角補助装置100は、車両1の運転席側から見て右側のフロントピラー50に配置されるものであったが、左側のフロントピラー60にも同様の死角補助装置が配置されてもよい。また、車両内の障害物として、フロントピラーの他にもセンターピラーやリアピラーなどに配置され、これらによって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であってもよい。
【0039】
また、本発明は、車両以外の分野にも障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置として広く適用することができる。例えば、本発明の死角補助装置を住宅に用いる場合、大面積の死角補助装置を天井に取り付けて入射部分のみを壁などから屋外に出すことで屋内に居ながら天井の死角補助装置で空の様子を見ることができ、また、天井から屋内に太陽光を導くことができる。住宅密集地や通常の窓を付けられない事情のある住宅には特に好適である。
また、例えば観光施設等の高層建築物で、高層階の床下に大面積の死角補助装置を埋め込み、光入射部分のみを屋外に出すことで、床下の死角補助装置で眼下の風景を直接足下に感じることが可能となり、建築物の高さを強調することができる。同様の効果を得るために、従来は床下に空間を設ける必要があったが、本発明の死角補助装置によれば既存の建築物にも容易に配置することができ好適である。
このほか、壁面に用いる例としては、道路に近接して塀が立っている見通しの悪い交差点などにおいて、塀の角に本発明の死角補助装置を配置することで、死角領域の歩行者や車両の存在をいち早く認識することができ、出会い頭の事故の防止に貢献することができる。
以上のように、本発明の死角補助装置は、電力などのエネルギーを必要とすることなく、これまで視認することができなかった障害物に遮られた死角領域を、光入射部分のスペースを確保するのみで広範囲に亘って障害物を透けたように視認させることができるものであり、その用途は室内外を問わず広く適用でき、健康、安全あるいは感動など多岐に亘る効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置に好適である。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
2 視点
100 死角補助装置
110 一対の平行平面ミラー(一対のミラー)
111 半透過平面ミラー(半透過ミラー)
111a 基部
111b 延設部
112 平面ミラー(ミラー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7