特許第6365941号(P6365941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6365941-リアクトル 図000002
  • 特許6365941-リアクトル 図000003
  • 特許6365941-リアクトル 図000004
  • 特許6365941-リアクトル 図000005
  • 特許6365941-リアクトル 図000006
  • 特許6365941-リアクトル 図000007
  • 特許6365941-リアクトル 図000008
  • 特許6365941-リアクトル 図000009
  • 特許6365941-リアクトル 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365941
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20180723BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01F37/00 E
   H01F37/00 J
   H01F37/00 M
   H01F27/32 140
   H01F37/00 T
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-226848(P2014-226848)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2016-92282(P2016-92282A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】舌間 誠二
(72)【発明者】
【氏名】高田 崇志
(72)【発明者】
【氏名】南原 慎太郎
【審査官】 井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−093375(JP,A)
【文献】 特開2011−060915(JP,A)
【文献】 特開2011−243943(JP,A)
【文献】 特開2013−175566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回部を有するコイルと、一部が前記巻回部の内部に配置される磁性コアと、前記コイルと前記磁性コアとの間の絶縁を確保する絶縁介在部材と、前記コイルと前記磁性コアと前記絶縁介在部材とを組み合わせた組合体を載置する金属製の載置板と、前記組合体を前記載置板に固定する接合層と、を備え、
前記絶縁介在部材が、前記巻回部の内面と前記磁性コアの間に介在される内側介在部と、前記巻回部の軸方向の一端面と前記磁性コアとの間に介在される第一端面介在部と、前記巻回部の軸方向の他端面と前記磁性コアとの間に介在される第二端面介在部と、を備えるリアクトルであって、
前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部を有する分割片と、前記第二端面介在部を有する分割片と、を含む複数の分割片を組み合わせてなり、
各分割片はそれぞれ、互いに係合し合う係合部を備え、
前記第一端面介在部と前記第二端面介在部は、前記載置板から前記コイルを離隔させる脚片を備え
前記第一端面介在部に設けられる前記脚片は、前記第一端面介在部の厚み方向に前記第一端面介在部から食み出さない厚さに形成され、前記第二端面介在部に設けられる前記脚片は、前記第二端面介在部の厚み方向に前記第二端面介在部から食み出さない厚さに形成されているリアクトル。
【請求項2】
前記脚片は、前記接合層に埋設されている請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記組合体を収納するケースと、
前記ケースに充填されるポッティング樹脂と、を備え、
前記ケースの底部が前記載置板を兼ねる請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記第一端面介在部および前記第二端面介在部の少なくとも一方は、互いに離隔した位置に配置される複数の前記脚片を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部を有する第一分割片と、前記絶縁介在部材のうちの前記第一分割片以外の部分で構成される第二分割片と、を組み合わせてなる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記コイルは、並列に配置される一対の前記巻回部を有し、
前記絶縁介在部材は、
前記第一端面介在部、および一対の前記巻回部のそれぞれに対応する一対の前記内側介在部で構成されるU字型の前記第一分割片と、
前記第二端面介在部で構成され、U字型の前記第一分割片に組み合わされる板状の前記第二分割片と、
を組み合わせてなる請求項5に記載のリアクトル。
【請求項7】
前記コイルは、並列に配置される一対の前記巻回部を有し、
前記絶縁介在部材は、
前記第一端面介在部、および一方の前記巻回部に対応する前記内側介在部で構成されるL字型の前記第一分割片と、
前記第二端面介在部、および他方の前記巻回部に対応する前記内側介在部で構成され、L字型の前記第一分割片に組み合わされるL字型の前記第二分割片と、
を組み合わせてなる請求項5に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車などの電動車両に搭載される車載用DC−DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルやモータといった、巻線を巻回してなる巻回部を有するコイルと、一部がその巻回部の内部に挿通される磁性コアと、を備える磁性部品が種々の分野で利用されている。そのような磁性部品として、例えば特許文献1には、ハイブリッド自動車といった電動車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルが開示されている。
【0003】
特許文献1には、コイルと、磁性コアと、これらコイルと磁性コアとの間の絶縁を確保するインシュレータ(絶縁介在部材)と、を組み合わせた組合体をケースに収納したリアクトルが開示されている。この特許文献1では、組合体で発生した熱を効率的に外部に逃がすために、ケースの底面である設置面部(載置板)を金属とすることが開示されている。さらに、この特許文献1のリアクトルでは、組合体からケースに熱を逃がし易くするために、ケースの設置面部(載置板)に放熱層を形成することが開示されている。
【0004】
上記放熱層は、セラミックスの焼結板や、エポキシ系の接着剤などで構成することができる。特に、樹脂などの接着剤などで放熱層を形成することで、組合体を設置面部(載置板)に強固に固定することができるし、組合体のコイルと放熱層との密着性を向上させ、組合体の熱を効率的にケースの設置面部に逃がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−243943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放熱層を樹脂などの接着剤などで構成する、即ち組合体と載置板とを接合する接合層として放熱層を利用する場合、以下に示す問題があった。
【0007】
組合体を構成するコイルも磁性コアもその主成分が金属であるため、組合体は非常に重い。そのため、接合層が未硬化の場合、高重量の組合体を載置板の接合層の上に載置したときに、組合体が未硬化の接合層に沈み込み、組合体のコイルが載置板に接触する恐れがある。その接触を回避するため、接合層が硬化するまでの間、組合体を保持しておく必要がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、接合層を介して載置板に組合体を固定する際、組合体を保持することなく作製することができるリアクトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るリアクトルは、巻回部を有するコイルと、一部が前記巻回部の内部に配置される磁性コアと、前記コイルと前記磁性コアとの間の絶縁を確保する絶縁介在部材と、前記コイルと前記磁性コアと前記絶縁介在部材とを組み合わせた組合体を載置する金属製の載置板と、前記組合体を前記載置板に固定する接合層と、を備えるリアクトルである。前記絶縁介在部材は、前記巻回部の内面と前記磁性コアの間に介在される内側介在部と、前記巻回部の軸方向の一端面と前記磁性コアとの間に介在される第一端面介在部と、前記巻回部の軸方向の他端面と前記磁性コアとの間に介在される第二端面介在部と、を備える。このリアクトルでは、前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部を有する分割片と、前記第二端面介在部を有する分割片と、を含む複数の分割片を組み合わせてなり、各分割片はそれぞれ、互いに係合し合う係合部を備え、前記第一端面介在部と前記第二端面介在部は、前記載置板から前記コイルを離隔させる脚片を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記リアクトルは、接合層を介して載置板に組合体を固定する際、組合体を保持することなく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1のリアクトルの上方斜視図である。
図2】実施形態1のリアクトルの下方斜視図である。
図3】実施形態1のリアクトルの概略側面図である。
図4】実施形態1のリアクトルに備わる組合体の分解斜視図である。
図5】実施形態1のリアクトルに備わる絶縁介在部材の斜視図である。
図6】有底筒状のケースに組合体を収納する手順を示す説明図である。
図7】側壁部と底板部とが別体のケースに組合体を収納する手順を示す説明図である。
図8】実施形態3に示す絶縁介在部材の概略斜視図である。
図9】実施形態4に示す絶縁介在部材の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
・本発明の実施形態の説明
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0013】
<1>実施形態のリアクトルは、巻回部を有するコイルと、一部が前記巻回部の内部に配置される磁性コアと、前記コイルと前記磁性コアとの間の絶縁を確保する絶縁介在部材と、前記コイルと前記磁性コアと前記絶縁介在部材とを組み合わせた組合体を載置する金属製の載置板と、前記組合体を前記載置板に固定する接合層と、を備えるリアクトルである。前記絶縁介在部材は、前記巻回部の内面と前記磁性コアの間に介在される内側介在部と、前記巻回部の軸方向の一端面と前記磁性コアとの間に介在される第一端面介在部と、前記巻回部の軸方向の他端面と前記磁性コアとの間に介在される第二端面介在部と、を備える。このリアクトルでは、前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部を有する分割片と、前記第二端面介在部を有する分割片と、を含む複数の分割片を組み合わせてなり、各分割片はそれぞれ、互いに係合し合う係合部を備え、前記第一端面介在部と前記第二端面介在部は、前記載置板から前記コイルを離隔させる脚片を備える。
【0014】
上記リアクトルによれば、接合層を介して載置板上に組合体を固定する際、組合体を保持することなく作製することができる。それは、絶縁介在部材に備わる端面介在部に脚片が設けられているからである。また、各分割片にそれぞれ、両分割片を係合させる係合部が設けられていることも、接合層を介して載置板に組合体を固定する際、組合体を保持することなく作製することができる要因の一つである。各分割片が互いの係合部を介して係合することで組合体が自立可能に構成されるため、載置板上に載置した組合体が分解することがなく、載置板と組合体のコイルとの離隔状態が維持されるからである。
【0015】
<2>実施形態のリアクトルとして、前記脚片は、前記接合層に埋設されている形態を挙げることができる。
【0016】
脚片が接合層に埋設されていることで、組合体と載置板との固定を強固にすることができる。接合層に埋設される脚片が、アンカーの役目を果たすからである。脚片の先端に返し(Barb)を形成することで、脚片のアンカーとしての機能を向上させることもできる。
【0017】
<3>実施形態のリアクトルとして、前記組合体を収納するケースと、前記ケースに充填されるポッティング樹脂と、を備え、前記ケースの底部が前記載置板を兼ねる形態を挙げることができる。
【0018】
ケースとポッティング樹脂とを備えることで、組合体の構成部材を外部環境から確実に保護することができる。ケースとポッティング樹脂の材質として熱伝導率に優れた材質を利用すれば、リアクトルの放熱性を向上させることもできる。また、この構成では、脚片によって離隔されたコイルと載置板と隙間にポッティング樹脂が配置される。この位置のポッティング樹脂は、コイルと載置板との絶縁をより確実なものにする機能をもつ。
【0019】
<4>実施形態のリアクトルとして、前記第一端面介在部および前記第二端面介在部の少なくとも一方は、互いに離隔した位置に配置される複数の前記脚片を備える形態を挙げることができる。
【0020】
互いに離隔した位置に脚片を形成することで、未硬化の接合層を設けた載置板の上に組合体を載置したときに、離隔した脚片の間から過剰な接合層を逃がすことができる。その結果、過剰な接合層によって、載置板上で組合体が傾いた状態となることを回避することができる。
【0021】
<5>実施形態のリアクトルとして、前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部を有する第一分割片と、前記絶縁介在部材のうちの前記第一分割片以外の部分で構成される第二分割片と、を組み合わせてなる形態を挙げることができる。
【0022】
絶縁介在部材の分割数を2つとすることで、組み立てが容易で生産性に優れるリアクトルとすることができる。
【0023】
<6>絶縁介在部材の分割数が2つである実施形態のリアクトルとして、前記コイルは、並列に配置される一対の前記巻回部を有し、前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部、および一対の前記巻回部のそれぞれに対応する一対の前記内側介在部で構成されるU字型の前記第一分割片と、前記第二端面介在部で構成され、U字型の前記第一分割片に組み合わされる板状の前記第二分割片と、を組み合わせてなる形態を挙げることができる。
【0024】
U字型の第一分割片と板状の第二分割片とを組み合わせる構成であれば、組合体の作製を容易に行うことができる。
【0025】
<7>絶縁介在部材の分割数が2つである実施形態のリアクトルとして、前記コイルは、並列に配置される一対の前記巻回部を有し、前記絶縁介在部材は、前記第一端面介在部、および一方の前記巻回部に対応する前記内側介在部で構成されるL字型の前記第一分割片と、前記第二端面介在部、および他方の前記巻回部に対応する前記内側介在部で構成され、L字型の前記第一分割片に組み合わされるL字型の前記第二分割片と、を組み合わせてなる形態とする。
【0026】
L字型の第一分割片と第二分割片とを組み合わせる構成であれば、組合体の作製を容易に行うことができる。特に、この構成の場合、第一分割片と第二分割片とを同一形状とすることも可能であり、その場合、分割片を作製する金型を一つとすることが可能である。
【0027】
・本発明の実施形態の詳細
以下、本発明のリアクトルの実施形態を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明は実施形態に示される構成に限定されるわけではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内の全ての変更が含まれることを意図する。
【0028】
<実施形態1>
≪全体構成≫
図1〜5を参照して、実施形態1のリアクトル1αを説明する。図1はリアクトル1αの上方斜視図、図2はリアクトル1αの下方斜視図、図3はリアクトル1αの概略側面図、図4はリアクトル1αに備わる組合体1の分解斜視図、図5は組合体1の構成部材の一つである絶縁介在部材4の斜視図である。ここで、図3では、リアクトル1αの各構成を簡略化しており、絶縁介在部材4の一部である脚片45を実際よりも大きく示している。
【0029】
図1〜3に示す本実施形態のリアクトル1αは、従来のリアクトルと同様に、コイル2と磁性コア3と絶縁介在部材4とを組み合わせた組合体1を、載置板9上に載置した構成を備える。組合体1と載置板9との間には、図3に示すように、両者1,9を接合する接合層8が形成されている(図1,2では接合層を省略している)。この実施形態のリアクトル1αにおける従来のリアクトルとの主な相違点は、図3に示すように、絶縁介在部材4によって組合体1のコイル2が載置板9から離隔された状態となっている点である。以下、リアクトル1αに備わる各構成を詳細に説明する。
【0030】
≪組合体≫
組合体1の説明では主として図4の分解斜視図を参照する。組合体1は、コイル2と磁性コア3と絶縁介在部材4とを機械的に組み合わせることで構成されている。
【0031】
[コイル]
本実施形態におけるコイル2は、一対の巻回部2A,2Bと、両巻回部2A,2Bを連結する連結部2Rと、を備える。各巻回部2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列されている。また、連結部2Rは、両巻回部2A,2Bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2A,2Bを別々の巻線により作製し、各巻回部2A,2Bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。
【0032】
本実施形態の各巻回部2A,2Bは角筒状に形成されている。角筒状の巻回部2A,2Bとは、その端面形状が四角形状(正方形状を含む)の角を丸めた形状の巻回部のことである。もちろん、巻回部2A,2Bは円筒状に形成しても構わない。円筒状の巻回部とは、その端面形状が閉曲面形状(楕円形状や真円形状、レーストラック形状など)の巻回部のことである。
【0033】
巻回部2A,2Bを含むコイル2は、銅やアルミニウム、マグネシウム、あるいはその合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線によって構成することができる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにすることで、各巻回部2A,2Bを形成している。
【0034】
コイル2の両端部2a,2bは、巻回部2A,2Bから引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
【0035】
[磁性コア]
本実施形態の磁性コア3は、一対の内側コア部材31,31と一対の外側コア部材32,32とを組み合わせることで構成されている。
【0036】
[[内側コア部材]]
内側コア部材31は、後述する絶縁介在部材4の内側介在部42A(42B)の内部に収納された状態でコイル2の巻回部2A(2B)の内部に配置される略直方体状のコア片である。内側コア部材31の軸方向長さは、巻回部2A(2B)の軸方向長さよりも短くなっている。
【0037】
内側コア部材31は、磁性材料を含む略直方体状のコア片31mと、コア片31mよりも低透磁率のギャップ材31gとが交互に連結された積層柱状体である。積層柱状体の両端部にはギャップ材31gが配置される。その他、内側コア部材31は、一本の柱状のコア片で構成されていても構わない。このような内側コア部材31を構成するコア片31mには、鉄などの鉄属金属やその合金(Fe−Si合金、Fe−Ni合金など)などに代表される軟磁性粉末を用いた圧粉成形体や、軟磁性粉末を含む樹脂からなる複合材料、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体などが利用できる。また、ギャップ材31gには、アルミナなどの非磁性材を利用することができる。その他、ギャップ材31gは、後述する絶縁介在部材4を形成する樹脂によって形成することも可能である。
【0038】
[[外側コア部材]]
外側コア部材32は、概略U字状に形成されたコア片である。外側コア部材32の一部(U字の二股の先端部分)は、絶縁介在部材4の内側介在部42A,42Bの内部、即ちコイル2の巻回部2A,2Bの内部に配置され、それ以外の部分は巻回部2A,2Bに覆われず、巻回部2A,2Bから突出した位置に配置される。巻回部2A,2Bから露出する外側コア部材32のU字の後端部(二股の先端部とは反対側)のうち、巻回部2A,2Bの並列方向における中央部は、その他の部分よりも突出している。その結果、その中央部の厚みと、二股の先端部の厚みと、が均一となっている(磁路断面積が均一となっている)。また、外側コア部材32における巻回部2A,2Bから露出した部分は、載置板9(図1,2参照)が配置される側に突出しており、その突出部分の載置板9側の面は、コイル2の巻回部2A,2Bの載置板9側の面と面一になっている。但し、図3に示すように、突出部分の載置板9側の面は、載置板9側から見て後述する絶縁介在部材4の脚片45よりも高い位置となっている。
【0039】
上記外側コア部材32は、内側コア部材31のコア片31mと同様に、圧粉成形体や、複合材料、磁性薄板の積層体などで構成することができる。外側コア部材32とコア片31mとは同じ構成としても良いし、異なる構成としても良い。後者の例として、例えば内側コア部材31を圧粉成形体で構成し、外側コア部材32を複合材料で構成することなどが挙げられる。
【0040】
[絶縁介在部材]
絶縁介在部材4の説明では主として図5を参照する(必要に応じて図1〜4も合わせて参照)。図5の下図に示す絶縁介在部材4は、一対の内側介在部42A,42Bと、第一端面介在部41Aと、第二端面介在部41Bと、を備え、図4に示すようにコイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する役割を持つ。内側介在部42A(42B)は、巻回部2A(2B)の内面と、磁性コア3のうちの巻回部2A,2Bの内部に配置される部分との間に介在される。第一端面介在部41Aは、図4に示すように、巻回部2A,2Bの軸方向の一端面と磁性コア3のうちの巻回部2A,2Bから露出する部分との間に介在される。また、第二端面介在部41Bは、巻回部2A,2Bの軸方向の他端面と磁性コア3のうちの巻回部2A,2Bから露出する部分との間に介在される。
【0041】
本実施形態の絶縁介在部材4は、図5の上図に示す第一分割片4Aと第二分割片4Bとを組み合わせることで構成されている。両分割片4A,4Bを組み合わせてなる絶縁介在部材4は、上述した絶縁の確保の他に、図3に示すように、組合体1のコイル2を載置板9から離隔させた状態を保つ役割、正確に言えば、コイル2の巻回部2A(2B)を載置板9から離隔させた状態を保つ役割を持つ。
【0042】
[[第一分割片]]
第一分割片4Aは、図5の上図に示すように、第一端面介在部41Aと、一対の内側介在部42A,42Bと、が一体となった構成を備える。
【0043】
第一端面介在部41Aには、内側コア部材31,31(図4参照)、および外側コア部材32のU字状の端部を内側介在部42A,42B内に案内する一対の挿入孔41h,41hが形成されている。また、第一端面介在部41Aのうち、内側介在部42A,42Bが設けられる側の面には、仕切り部41dが形成されている。仕切り部41dは、絶縁介在部材4をコイル2に組み付けたときに、巻回部2A,2Bの間に介在され、両巻回部2A,2Bの離隔状態を保持する(図2を合わせて参照)。この離隔によって、両巻回部2A,2B間の絶縁を確実に確保することができる。
【0044】
さらに、第一端面介在部41Aは、その下端面(図3に示す載置板9側の端面)に一対の脚片45,45を備える。各脚片45,45はそれぞれ、第一端面介在部41Aの幅方向の左端側および右端側に設けられている。これら脚片45,45は、図2の丸囲み拡大図および図3に示すように、コイル2に絶縁介在部材4を取り付けたときに、コイル2の巻回部2A,2Bの載置板9側の面よりも突出している。そのため、図3に示すように、組合体1を載置板9上に載置したときに、脚片45,45が載置板9に当接され、巻回部2A,2Bが載置板9から離隔した状態になる。
【0045】
一方、図4に示すように、第一分割片4Aに備わる内側介在部42A(42B)は、内側コア部材31の周面の角部を支持する四つの支持材で構成されている。各支持材の断面は略円弧状になっており、内側コア部材31の周面の角部を支持し易くなっている。ここで、内側介在部42A(42B)は、図示する四つの支持材からなる構成に限定されるわけではなく、筒状に形成されていても構わない。
【0046】
内側介在部42A(42B)を構成する各支持材は、図5に示すように、第一分割片4Aと、後述する第二分割片4Bと、を機械的に係合させる係合部43を備える。係合部43は、支持材のうちの第一端面介在部41Aとは反対側の端部に設けられている。本例の係合部43は、支持材の端部を凹状に切り欠くことで形成されている。
【0047】
[[第二分割片]]
第二分割片4Bは、絶縁介在部材4のうち、第二端面介在部41Bによって構成されている。第二分割片4Bは、第一分割片4Aと同様に、並列される一対の挿入孔41h,41hと、仕切り部41dと、一対の脚片45,45と、を備える。
【0048】
第二分割片4Bはさらに、第一分割片4Aの凹状の係合部43に対応する凸状の係合部44を備える。凸状の係合部44は、各挿入孔41hの四隅の位置に一つずつ設けられている、即ち第二分割片4Bに合計八つ設けられている。図5の下図に示すように、この第二分割片4Bの凸状の係合部44を、上述した第一分割片4Aの凹状の係合部43に嵌め込むことで、両分割片4A,4Bを機械的に連結した絶縁介在部材4を作製することができる。
【0049】
[[絶縁介在部材の構成材料]]
以上説明した絶縁介在部材4(第一分割片4A、第二分割片4B)の構成材料には、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などの熱可塑性樹脂を利用することができる。その他、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を利用することも可能である。上記樹脂にセラミックスフィラーを含有させて、絶縁介在部材4に熱伝導性を向上させても良い。セラミックスフィラーとしては、例えば、アルミナやシリカなどの非磁性粉末を利用することができる。
【0050】
≪載置板≫
載置板9は、図3に示すように、リアクトル1αを冷却ベースなどの設置対象に固定する際の台座として機能する部材である。そのため、載置板9は、機械的強度に優れることが求められる。また、載置板9には、リアクトル1αの使用時に組合体1で発生した熱を設置対象に逃がす役割が求められる。そのため、載置板9は、機械的強度に加えて、放熱性に優れることが求められる。このような要請に答えるため、載置板9は金属で構成する。例えば、載置板9の構成材料として、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金を利用することができる。これらの金属(合金)は、機械的強度と熱伝導性に優れ、かつ軽量で非磁性であるという利点を有する。
【0051】
≪接合層≫
接合層8は、組合体1と載置板9との間に形成され、両者1,9とを接合させる機能を持つ。また、接合層8は、リアクトル1αの使用時に組合体1で発生した熱を載置板9に伝導する機能も持つ。
【0052】
接合層8は、組合体1のうち、少なくともコイル2の下面(載置板9に対向する面)に対応する大きさを備えていれば良い。本例では、組合体1の下面にほぼ対応する大きさを備えており、接合層8に脚片45が埋設された状態になっている。
【0053】
接合層8の構成材料は、絶縁性を有するものとする。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これら絶縁性樹脂に、上述したセラミックスフィラーなどを含有させることで、接合層8の放熱性を向上させても良い。接合層8の熱伝導率は、例えば0.1W/m・K以上が好ましく、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上が好ましい。
【0054】
接合層8は、載置板9上に絶縁性樹脂(セラミックスフィラー含有樹脂でも可)を塗布することによって形成しても良いし、載置板9上に絶縁性樹脂のシート材を貼り付けることで形成しても良い。接合層8としてシート状のものを用いると、載置板9上に接合層8を形成し易いため、好ましい。
【0055】
≪リアクトルの作製手順≫
以上説明した構成を備えるリアクトル1αの作製手順を説明する。
【0056】
[組合体の作製]
まず、図4に示すように、コイル2と、内側コア部材31,31と、外側コア部材32,32と、第一分割片4Aと、第二分割片4Bと、を用意する。次いで、第一分割片4Aの内側介在部42A,42Bの内部に内側コア部材31,31を挿入し、その内側介在部42A,42Bをコイル2の巻回部2A,2Bの内部に挿入する。そして、第二分割片4Bの凸状の係合部44を、第一分割片4Aの凹状の係合部43に係合させ、両分割片4A,4Bを機械的に連結する。両係合部43,44は必要に応じて接着剤で接着しても良い。
【0057】
次いで、外側コア部材32,32のU字状端部を分割片4A,4Bの挿入孔41hに挿入し、組合体1を完成させる。その際、外側コア部材32と内側コア片31,31とを接着剤によって接着しても良い。
【0058】
[載置板への組合体の載置]
次に、図3に示すように、載置板9の上面に接合層8を形成し、接合層8が硬化する前にその接合層8の上に組合体1を載置する。このとき、組合体1の絶縁介在部材4に備わる脚片45が載置板9に当て止めされ、組合体1のコイル2が載置板9から離隔された状態で、載置板9上に組合体1が載置される。
【0059】
ここで、図4に示すように、本例の各分割片4A,4Bに設けられる一対の脚片45,45は、分割片4A,4Bの幅方向に離隔しているため、一対の脚片45,45の間に隙間が形成されている。この隙間は、図3に示すように、載置板9上に組合体1を載置したときに、接合層8を構成する未硬化の樹脂の逃げ道として機能する。そのため、載置板9上の未硬化の樹脂が多くても、載置板9上で組合体1が傾いて配置されるといった不具合が生じ難くなっている。
【0060】
最後に、接合層8を硬化させ、リアクトル1αを完成させることができる。ここで、本例では、脚片45,45によって機械的に載置板9とコイル2の巻回部2A,2Bとを離隔させているため、接合層8が硬化するまでの間、組合体1を保持しておく必要がない。また、載置板9とコイル2の巻回部2A,2Bとの離隔距離は脚片45の突出量によって決まるため、載置板9とコイル2との間の絶縁性を所定値に固定することができ、ロットによる絶縁性のバラツキを抑制することができる。
【0061】
変形実施形態1−1
脚片45の数や位置は、載置板9上で組合体1を安定させることができれば特に限定されない。例えば、図5を用いて説明すれば、二つの脚片45を有する第一分割片4Aに対して、第二分割片4Bの脚片45を一つとする構成、即ち三つの脚片45で組合体1を支持する構成を挙げることができる。その場合、第二分割片4Bに設ける脚片45は、第二分割片4Bの幅方向(挿入孔41h,41hの並列方向)の中間部分に設けることで、載置板9(図1〜3を参照)上での組合体1の安定性を向上させることができる。例えば、仕切り部41dを組合体1の下方に延長し、脚片として利用することもできる。なお、第一分割片4Aの脚片45の数を一つ、第二分割片4Bの脚片45の数を二つとすることもできる。
【0062】
また、第一分割片4Aおよび第二分割片4Bに設ける脚片45の数を一つずつとすることもできる。その場合、脚片45の幅(挿入孔41h,41hの並列方向)を広くして、載置板9(図1〜3を参照)上の組合体1の安定性を向上させることが好ましい。その他、各分割片4A,4Bに設ける脚片45の数を三つ以上とすることもできる。
【0063】
実施形態2
実施形態2では、組合体1をケース5に収納したリアクトル1βを図6に基づいて説明する。組合体1の構成は、実施形態1と同様であるため、組合体1の詳しい説明は省略する。
【0064】
図6に示すケース5は、底板部51と側壁部52とを備える有底筒状の部材である。底板部51は、組合体1を載置する載置板を兼ねている。このケース5の内部には、図示しないポッティング樹脂が充填され、ケース5内に組合体1が埋設される。ケース5には、リアクトル1βを冷却ベースなどの設置対象に固定するための固定部を設けても構わない。
【0065】
この実施形態2のリアクトル1βを作製するには、ケース5の底板部51の上に接合層(図示せず)を形成した後、接合層が硬化する前に、ケース5の上端開口部から組合体1を挿入する。ケース5に組合体1を収納させると、組合体1の脚片45が底板部51に当て止めされ、組合体1のコイル2が底板部51から離隔した状態で保持される。
【0066】
ケース5内に組合体1を収納し、接合層が硬化したら、図示しないポッティング樹脂をケース5内に充填する。その際、組合体1のコイル2の端部2a,2bがポッティング樹脂に覆われることがないようにポッティング樹脂の量を調整する。ポッティング樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを利用することができる。また、これらの樹脂にセラミックスフィラーを含有させ、ポッティング樹脂の放熱性を向上させても良い。
【0067】
最後に、ポッティング樹脂を硬化させ、リアクトル1βを完成させる。このリアクトル1βを使用する場合、ケース5内のポッティング樹脂から露出するコイル2の端部2a,2bに外部機器を接続する。
【0068】
以上説明したリアクトル1βは、ケース5とポッティング樹脂によって、組合体1を外部環境から物理的に保護することができる。また、ポッティング樹脂によって、ケース5内に対して組合体1が強固に固定されるので、リアクトル1βの使用時の振動を抑制することができる。
【0069】
≪変形実施形態2−1≫
変形実施形態2では、別個に用意した底板部51と側壁部52とを組み合わせたケース5を備えるリアクトル1γを図7に基づいて説明する。
【0070】
底板部51と側壁部52とを別個に用意する場合、底板部51と側壁部52とを異なる材料で構成することができる。例えば、底板部51は金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金など)とし、側壁部52を樹脂で構成することができる。その場合、ケース5を含むリアクトル1γの軽量化を図ることができる。
【0071】
この実施形態3のリアクトル1γを作製するには、ケース5の底板部51の上に接合層(図示せず)を形成した後、接合層が硬化する前に、接合層の上に組合体1を載置する。次いで、組合体1の上方から側壁部52を被せ、底板部51と側壁部52とを接合させる。側壁部52を被せるタイミングは、接合層の硬化前でも硬化後でも構わない。また、底板部51と側壁部52との接合は、接着剤によって行っても良いし、ネジ止めなどの機械的な手段によって行っても良い。
【0072】
ケース5が完成したら、ケース5内にポッティング樹脂を充填することでリアクトル1γを完成させる。ポッティング樹脂を充填する際は、接合層が完全に硬化していることを確認しておく。
【0073】
以上説明したリアクトル1γによれば、ケース5内における組合体1を所定位置に配置し易い。底板部51(載置板)上に組合体1を配置する際、底板部51に側壁部52が形成されていないからである。
【0074】
≪変形実施形態2−2≫
その他、組合体を収納するケースとして、コンバータケースを利用することもできる。コンバータケースを利用する場合も、コンバータケースの底板部(載置板)のうち、組合体1を載置する位置に接合層を形成し、接合層が硬化する前にその接合層の上に組合体を載置する。
【0075】
<実施形態3>
実施形態3では、実施形態1とは分割状態が異なる第一分割片4Cと第二分割片4Dで構成される絶縁介在部材4を図8に基づいて説明する。
【0076】
第一分割片4C(第二分割片4D)は、第一端面介在部41A(第二端面介在部41B)と、一つの内側介在部42A(内側介在部42B)を備えている。第一分割片4Cを水平方向に180°回転させれば、第二分割片4Dとなる。つまり、第一分割片4Cと第二分割片4Dは、同一形状を備えている。
【0077】
実施形態3の分割片4C,4Dは同一形状を備えるため、一つの金型で作製することができる。そのため、実施形態3の絶縁介在部材4を備えるリアクトルは生産性に優れる。
【0078】
<実施形態4>
上記実施形態では絶縁介在部材4の分割数が2つの例を説明したが、当該絶縁介在部材4の分割数は3つ以上であっても良い。本実施形態では、絶縁介在部材4の分割数が4つである例を、図9に基づいて説明する。
【0079】
絶縁介在部材4の分割数を4つとする場合、例えば、第一端面介在部41Aで構成される分割片4W、第二端面介在部41Bで構成される分割片4X、内側介在部42Aで構成される分割片4Y、および内側介在部42Bで構成される分割片4Zを組み合わせることで絶縁介在部材4を形成すると良い。
【0080】
上記構成では、各分割片4Y,4Zにおける分割片4W側の端部に4つの凹状の係合部43を設けると共に、分割片4Wにおける分割片4Y(4Z)側の面に、両分割片4Y,4Zの各係合部43に対応する8つの凸状の係合部44を設けている。また、各分割片4Y,4Zにおける分割片4X側の端部に4つの凹状の係合部43を設けると共に、分割片4Xにおける分割片4Y(4Z)側の面に、両分割片4Y,4Zの各係合部43に対応する8つの凸状の係合部44を設けている。その結果、分割片4W,4X,4Y,4Zを組み合わせてなる絶縁介在部材4が分解しないようになっている。
【0081】
以上説明した実施形態に係るリアクトルは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった電動車両に搭載される双方向DC−DCコンバータなどの電力変換装置の構成部品に利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1α,1β,1γ リアクトル
1 組合体
2 コイル
2A,2B 巻回部 2R 連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部材 32 外側コア部材
31m コア片 31g ギャップ材
4 絶縁介在部材
4A,4C 第一分割片 4B,4D 第二分割片
4W,4X,4Y,4Z 分割片
41A 第一端面介在部 41B 第二端面介在部
42A,42B 内側介在部
41d 仕切り部 41h 挿入孔
43 凹状の係合部 44 凸状の係合部 45 脚片
5 ケース
51 底板部(載置板) 52 側壁部
8 接合層
9 載置板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9