(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2突起部が前記第2開口に挿入されるように前記ハウジングが載置される載置部を備え、前記載置部には、前記ハウジングの外面に形成された凹部に入り込む凸部が設けられている、
請求項2に記載の拡張部材。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。(1)本発明の一側面に係る拡張部材は、光コネクタのフェルールの挿通孔に挿通されたピンを保持するピンキーパーの保持穴を拡張させる拡張部材であって、ピンキーパーは、保持穴が形成された一対の側部と、一対の側部の端部間を接続する底部と、を有し、保持穴は、互いに対向する側部の側面を切り欠いた形状となっており、光コネクタは、ピンキーパーを収容するハウジングを備える。この拡張部材は、ハウジングに形成された第1開口から挿入されて各側部に当接することによって、一対の側部を押し広げて保持穴を拡張する第1突起部を備える。
【0012】
この拡張部材では、第1突起部が一対の側部を押し広げることによりピンキーパーの保持穴を拡張させる。よって、拡張させたピンキーパーの保持穴にピンを挿入することにより、保持穴でピンを保持することができる。従って、光コネクタのフェルールの挿通孔にピンを挿通し、挿通したピンを保持穴で保持することによって、ピンを光コネクタに取り付けることができる。一方、保持穴で保持されたピンは、拡張部材で保持穴を拡張させてピンを保持穴から引くことにより保持穴から外すことができる。よって、保持穴を拡張させた状態でピンを引いて、このピンをフェルールの挿通孔から外すことにより、ピンを光コネクタから取り外すことができる。以上のように、光コネクタのフェルールに対するピンの着脱を行うことができる。
【0013】
(2)上記の拡張部材において、ハウジングの第1開口の反対側に位置する第2開口から挿入される第2突起部を備え、第2突起部は、底部に当接することによってピンキーパーをハウジングの内側で押さえつけてもよい。このように第2突起部がピンキーパーの底部に当接してピンキーパーを押さえつけることにより、保持穴の拡張時におけるピンキーパーの移動を抑制することができる。従って、ピンキーパーの位置を安定させた状態で保持穴の拡張を行うことができるので、保持穴に対するピンの着脱を容易に行うことができる。
【0014】
(3)上記の拡張部材において、第2突起部が第2開口に挿入されるようにハウジングが載置される載置部を備え、載置部には、ハウジングの外面に形成された凹部に入り込む凸部が設けられていてもよい。この場合、載置部にハウジングが載置されたときには、載置部の凸部がハウジングの凹部に入り込むと共に第2開口に第2突起部が挿入される。従って、ハウジングを載置部上で安定させた状態とすることができ、ハウジングを安定させた状態で第2突起部の挿入を行える。よって、第2突起部によるピンキーパーの押えつけを安定して行うことができ、保持穴に対するピンの着脱を一層容易に行うことができる。
【0015】
(4)本発明の一側面に係るピン挿入具は、前述の拡張部材によって拡張された保持穴にピンを挿入させるピン挿入具であって、ピンを保持するピン保持部と、拡張部材に接続される接続部と、を備え、接続部によって拡張部材に接続された状態でピン保持部が拡張部材に押し付けられることにより、ピンが保持穴に挿入される。
【0016】
このピン挿入具では、前述の拡張部材によってピンキーパーの保持穴を拡張した状態でピンを保持穴に挿入させる。また、このピン挿入具は接続部によって拡張部材に接続され、この状態でピンが保持穴に挿入されるので、安定したピンの挿入が可能となる。従って、保持穴へのピンの挿入をスムーズに行うことができ、光コネクタへのピンの取り付けを容易に行うことができる。
【0017】
(5)上記のピン挿入具において、接続部は、ピンの延在方向に突出する棒状となっており、拡張部材に形成された孔部に挿入されることによって拡張部材に接続されてもよい。この場合、棒状の接続部を上記孔部に挿入するだけで簡単にピン挿入具を拡張部材に接続させることができる。従って、保持穴へのピンの挿入を一層スムーズに行うことができる。
【0018】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る拡張部材及びピン挿入具の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る拡張部材及びピン挿入具を用いることが可能な光コネクタ1を示す斜視図である。
図2は、光コネクタ1の縦断面図である。光コネクタ1は、例えばMPOコネクタであり、外部の光アダプタに接続される。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、光コネクタ1は、光コネクタ1の一端に位置する矩形状のフェルール2と、フェルール2を覆うインナーハウジング(ハウジング)3と、インナーハウジング3の一部を覆う第1アウターハウジング4及び第2アウターハウジング5と、インナーハウジング3に接続されたブーツ6とを外観構成として具備している。光コネクタ1の内部には、コイルバネ7、リアハウジング8、カシメリング9、フェルールバネ10及びピンキーパー20が設けられている。
【0021】
以下では、便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」及び「右」と方向を定めて説明を行う。インナーハウジング3とブーツ6との接続方向を前後方向、すなわち、ブーツ6からインナーハウジング3を見た方向を前、その反対方向を後とする。また、フェルール2の前面の長手方向を左右方向、フェルール2の前面の短手方向を上下方向とする。これらの方向は単に説明の便宜上のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
フェルール2は、後方側に拡張部2aを備えた箱状となっている。フェルール2の内部には、前後方向に延びる複数のファイバ孔が形成されており、各ファイバ孔には、ブーツ6の後方から挿入されるファイバコードを構成する光ファイバのそれぞれが挿入される。フェルール2の拡張部2aの前面2bは、インナーハウジング3に当接される当接面となっている。
【0023】
フェルール2は、光コネクタ1に他のコネクタのフェルール(以下、相手方フェルールという)が接続されるときに当接される接続面2cと、相手方フェルールの位置決めを行うガイドピンP(
図8参照)が挿入される2個の挿通孔2dとを備えている。このガイドピンP及び挿通孔2dは、相手方フェルールの位置決めを行う位置決め部として機能する。2個の挿通孔2dは、左右方向に並んで配置されている。
【0024】
フェルール2とリアハウジング8との間には、フェルール2を前方に付勢するフェルールバネ10と、フェルール2の挿通孔2dに前方から挿通されたガイドピンP(ピン)を保持するピンキーパー20とが設けられている。ピンキーパー20は、インナーハウジング3の内部に収容されており、フェルール2の後方且つフェルールバネ10の前方に設けられている。ピンキーパー20はガイドピンPを保持する2つの保持穴21を備えており、2つの保持穴21は左右方向に並んでいる。ピンキーパー20の構成は後に詳述する。
【0025】
インナーハウジング3は、後方側に拡張部3aを備えた段付き角筒状となっている。インナーハウジング3の外面には、外部の光アダプタのラッチが係合する左右一対の係合穴3bと、第1アウターハウジング4を前方に付勢するコイルバネ7を収容する溝3cとが設けられている。各係合穴3bに光アダプタのラッチが係合することによって、当該光アダプタに光コネクタ1が係合されて装着される。また、溝3cには、前後方向に伸縮可能となったコイルバネ7が収容される。
【0026】
インナーハウジング3の内部には、フェルール2及びリアハウジング8の前側部分が収容されている。インナーハウジング3の内側には、フェルール2が当接する当接面3dが設けられている。当接面3dには、フェルールバネ10によって前方に付勢されたフェルール2の拡張部2aの前面2bが当接されている。
【0027】
第1アウターハウジング4は、筒状を呈しており、インナーハウジング3の外側において前後方向に移動自在に取り付けられている。第1アウターハウジング4の後部には、第2アウターハウジング5に係合される4個の爪部4aが設けられている。各爪部4aは、後方に所定長さだけ延在した形状となっている。第1アウターハウジング4は、その左側に上下一対の爪部4aを備えると共に、右側にも上下一対の爪部4aを備えている。
【0028】
第2アウターハウジング5は、筒状を呈しており、第1アウターハウジング4の後方において第1アウターハウジング4に対して前後方向に移動自在となっている。第2アウターハウジング5には、ブーツ6の前端部とリアハウジング8とが収容される。第2アウターハウジング5は、第1アウターハウジング4の爪部4aが係合される4個のスリット5aを備えており、各スリット5aは第2アウターハウジング5の前端から所定長さだけ後方に延在している。第2アウターハウジング5は、その左側に上下一対のスリット5aを備えると共に、右側にも上下一対のスリット5aを備えている。
【0029】
第2アウターハウジング5は、ブーツ6の前端部が入り込む切り欠き5cを備えている。切り欠き5cは、第2アウターハウジング5の後端面5fから前方向に切り欠かれて形成されており、第2アウターハウジング5の切り欠き5cが設けられる平坦状の側面5dは、外側が角張ったC字状を呈している。また、第2アウターハウジング5の内側には、インナーハウジング3の後端3fが前方から当接する段差部5eが設けられている。第2アウターハウジング5を前方に移動させて段差部5eの前面がインナーハウジング3の後端3fに後方から当接することにより、第2アウターハウジング5とインナーハウジング3とは共に前進する。
【0030】
リアハウジング8は、インナーハウジング3の後側に挿入される筒状の挿入部8aと、挿入部8aの後側でカシメリング9と係合される円筒部8bとを備えている。リアハウジング8は、挿入部8aの前端がインナーハウジング3に当接した状態でインナーハウジング3に係合されている。リアハウジング8の円筒部8bの外周面には凹凸部8cが形成されている。
【0031】
カシメリング9は、その前側が拡径された段付き円筒状を呈している。カシメリング9は、その前側に位置する大径部9aと、大径部9aの後側に位置する小径部9bとを備えている。カシメリング9は、リアハウジング8と前後方向に係合し、円筒部8bの外周面とカシメリング9の内周面との間に光ファイバコードを構成する抗張力繊維や外被等が挟まれて固定される。カシメリング9の内部には、光ファイバコードを構成する各光ファイバが保持されている。
【0032】
ブーツ6は、円筒状を呈しており、リアハウジング8の円筒部8bとカシメリング9とを収容した状態でカシメリング9に装着されている。ブーツ6は、光ファイバコードに急激な曲げが生じないように光ファイバコードを保護する。ブーツ6の前端は、リアハウジング8の挿入部8aの後端に突き当てられており、この突き当てられた部分からブーツ6は後方に延在している。ブーツ6におけるカシメリング9を収容する部分よりも後側は、後方に向かうに従って徐々に縮径されている。また、ブーツ6の後側の縮径されている部分には、ブーツ6の周方向に延びる長穴状の貫通孔6aが複数形成されている。
【0033】
ところで、光コネクタでは、通信需要の高まりにより伝送レートが10Gbpsを超え40Gbps及び100Gbpsの伝送速度が実現されており、10GBpsから40Gbps又は100Gbpsへのアップグレードが望まれている。ここで、光コネクタにおいて、ガイドピンがフェルールの接続面から突出した状態がオスであり、挿通孔が接続面に露出した状態がメスであるが、上記のアップグレードに伴いオスとメスとの切り替えを行わなければならない場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態に係る光コネクタ1では、ガイドピンPが接続面2cから突出した状態と、挿通孔2dが接続面2cに露出した状態とを切り替えることが可能となっており、オスとメスとの切り替えを、光コネクタを分解したり光ファイバコードから取り外したりせずに自在に行うことができる。この切り替えは、フェルール2及びピンキーパー20に対するガイドピンPの着脱を行うことによって実現される。以下では、フェルール2及びピンキーパー20とそれらの周辺の構成について詳細に説明する。
【0035】
図3及び
図4に示されるように、ピンキーパー20は、U字状に形成されており、互いに平行に並ぶ一対の側部22と、一対の側部22の端部間を接続する底部23とを備えている。また、前述した保持穴21は、互いに対向する側部22の側面22aを切り欠いた形状となっている。保持穴21の入口側端部にはテーパ面21aが形成されており、このテーパ面21aによってガイドピンPを保持穴21にスムーズに挿入させることが可能となる。また、保持穴21の内面には、ガイドピンPの表面に形成された凹部P1に嵌り込む凸部21bが形成されている。
【0036】
ピンキーパー20の一対の側部22は、後述する拡張部材30によって、互いに離れる方向Dに撓ませて開くことが可能となっている。ここで、
図1に示されるように、第1アウターハウジング4には、拡張部材30の第1突起部31を内部に挿入可能な切り欠き4bが形成されており、インナーハウジング3には第1突起部31を内部に挿入可能な2個の開口(第1開口)3gが形成されている。第1アウターハウジング4における切り欠き4bの反対側には、切り欠き4bと同様の切り欠き4c(
図12参照)が形成されている。また、インナーハウジング3における開口3gの反対側には、拡張部材30の第2突起部34を内部に挿入可能な2個の開口(第2開口)3hが形成されている。
【0037】
再び
図3及び
図4を参照する。ピンキーパー20は表裏対称な形状となっており、光コネクタ1に搭載された状態において、前側から見たピンキーパー20の形状と後側から見たピンキーパー20の形状とは同一となっている。ピンキーパー20の側部22は、底部23の反対側の端部でピンキーパー20の内側に突出する突出部22bと、側面22aに形成された切り欠き22cとを備えている。
【0038】
突出部22bは、側部22の上端部22fからピンキーパー20の内側に傾斜するテーパ面22gを備えており、このテーパ面22gに拡張部材30の第1突起部31が上から当接することによって一対の側部22が方向Dに広げられる。また、側部22の切り欠き22cの内側には前述の保持穴21が形成されている。一対の側部22が方向Dに広げられると、側部22の上側が撓んで切り欠き22cが広がることにより保持穴21も広げられる。
【0039】
側部22における保持穴21の外側に位置する外側部22dは、保持穴21の外周に沿って円弧状に湾曲している。外側部22dの厚さT1は、底部23の厚さT2よりも薄くなっている。これにより、一対の側部22を広げたときに、保持穴21の外側の外側部22dを撓ませ易くすることができ、保持穴21の拡張を容易に行うことが可能となる。
【0040】
ピンキーパー20の底部23には、拡張部材30の第2突起部34が嵌り込む凹部23aが形成されている。底部23の下面には4個の凹部23aが形成されており、各凹部23aは底部23の表面又は裏面から切り欠かれた形状となっている。2個の凹部23aはピンキーパー20の厚み方向(表裏方向)に一対に並んでおり、この2個の凹部23aの組が左右方向に並んでいる。
【0041】
次に、一対の側部22を方向Dに広げる拡張部材30について
図5〜
図7を参照して説明する。
図5〜
図7に示されるように、拡張部材30は、保持穴21を拡張する第1突起部31と、インナーハウジング3を上下から挟み込む一対の挟み部32と、一対の挟み部32を連結する可撓性の連結部33と、ピンキーパー20の底部23に当接する第2突起部34とを備えている。
【0042】
第1突起部31は、インナーハウジング3の開口3gから挿入されてピンキーパー20の側部22に当接することによって、一対の側部22を押し広げて保持穴21を拡張する。第1突起部31は、2個の挟み部32のうちの一方に設けられている。第1突起部31は、挟み部32の後側に突出する突出部32eから上方に突出しており、突出部32eにおいて左右対称に2個設けられている。なお、ピンキーパー20はインナーハウジング3に対して上下(
図12では左右)に反転して設置される場合があり、この場合は第1突起部31はインナーハウジング3の開口3hから挿入される。
【0043】
2個の挟み部32のうちの一方には、半円状に切り欠かれた左右一対の凹部32aと、周囲よりも前方に突出する左右一対の突出部32jと、一対の突出部32jの間に位置する凹部32gと、凹部32gから後方に突出する前述の突出部32eとが設けられている。凹部32aは、突出部32jに形成されており、挟み部32の一端から他端にまで前後方向に延在している。
【0044】
2個の挟み部32のうちの他方には、半円状に切り欠かれた左右一対の凹部32bと、周囲よりも前方に突出する左右一対の突出部32hと、一対の突出部32hの間に位置しておりインナーハウジング3を載置する載置部32kと、載置部32kから後方に延びる突出部32fとが設けられている。
【0045】
挟み部32の凹部32bは、突出部32hに形成されており、挟み部32の一端から他端にまで前後方向に延びている。載置部32kは、一対の突出部32hの間で凹む凹状となっている。載置部32kには、インナーハウジング3の外面に形成された凹部3k(
図1参照)に入り込む凸部32pが設けられている。凸部32pは一対に設けられており、2個の凸部32pは載置部32kの両側面から突出している。また、挟み部32の凹部32gには、凸部32pと同様の凸部32qが設けられている。このように凸部32p,32qが設けられることにより、インナーハウジング3の凹部3kに拡張部材30の凸部32p,32qを嵌り込ませることができる。よって、挟み部32でインナーハウジング3を上下から挟み込んだ状態において、拡張部材30からの手離れが可能となる。
【0046】
また、第2突起部34が設けられる挟み部32の裏面32cは平坦面となっており、第1突起部31が設けられる挟み部32の裏面32dは曲線状に窪んでいる。この裏面32dによって、拡張部材30は、第1突起部31をインナーハウジング3に押し込みやすい形状となっている。
【0047】
連結部33は、一対の挟み部32を連結している。連結部33は、挟み部32よりも細くなっており、2個の挟み部32の間で直線状に延びている。連結部33は挟み部32よりも薄くなっている。従って、一対の挟み部32を対面させるように連結部33を曲げることが可能となる。また、一対の挟み部32を対面させると凹部32aと凹部32bとが合わさることとなる。このように一方の挟み部32の凹部32aと、他方の挟み部32の凹部32bとが合わさることによって、後述する位置決めピン42が挿入される孔部H(
図11参照)が形成される。
【0048】
第2突起部34は、2個の挟み部32のうちの他方(第1突起部31が設けられていない挟み部32)に設けられている。第2突起部34は、インナーハウジング3の開口3hから挿入され、ピンキーパー20の底部23に当接することによってピンキーパー20をインナーハウジング3の内側で押さえつける。第2突起部34は挟み部32の突出部32fから上方に突出しており、2個の第2突起部34は突出部32fにおいて左右対称に設けられている。
【0049】
各第2突起部34は、第2突起部34の上端に位置する面34bと、面34bを前後から挟む位置で面34bから更に突出する突起34aとを備えている。突起34aは、第2突起部34が底部23に当接するときに底部23の凹部23a(
図4(c)参照)に嵌合する。このように第2突起部34と底部23は嵌合構造となっているので、底部23への第2突起部34の当接を安定して行うことが可能となる。
【0050】
次に、ピンキーパー20の保持穴21にガイドピンPを挿入させるピン挿入具40について
図8及び
図9を参照して説明する。ピン挿入具40は、本体部41と、拡張部材30に接続される2個の位置決めピン(接続部)42と、2本の位置決めピン42の間で本体部41から位置決めピン42と同一方向に突出するピン保持部43とを備えている。
【0051】
前後方向から見たときの本体部41の形状は蝶形となっている。本体部41は、その左右方向中央部に位置する凹部41aと、凹部41aの左右方向両側で突出する凸部41bとを有する。位置決めピン42は、拡張部材30にピン挿入具40を接続させると共に、拡張部材30に対するピン挿入具40の位置を定める機能を有する。2本の位置決めピン42は、共に棒状となっており、本体部41から互いに同一方向に突出している。
【0052】
ピン保持部43は、ガイドピンPが予め挿入される穴43aと、穴43aの上下に一対に設けられる板状部43bと、穴43aと板状部43bとを上下に接続する接続部43dとを備えている。穴43aは、位置決めピン42が延びる方向の反対方向に凹んで形成されているので、穴43aにガイドピンPを挿入させるとガイドピンPは位置決めピン42と同一方向に延在する。また、接続部43dは紙面奥側に向かって中央部が凹となっており、接続部43dの中央部に穴43aが設けられている。
【0053】
以上のように構成されるピン挿入具40を用いてガイドピンPを光コネクタ1に取り付ける方法について
図10〜
図14を参照して説明する。まず、
図10に示されるように、インナーハウジング3の凹部3kに挟み部32の凸部32pを嵌め込んで拡張部材30の載置部32kにインナーハウジング3を載置する。このとき、インナーハウジング3の下面に形成された開口3hに第2突起部34が挿入される。このようにインナーハウジング3の内部に第2突起部34を挿入することによって、インナーハウジング3の内側でピンキーパー20を押さえつける。
【0054】
次に、
図11に示されるように、インナーハウジング3の上面3jに他方の挟み部32を被せてフェルール2及びインナーハウジング3を上下から挟み込む。このとき挟み部32の突出部32e,32fは、それぞれ第1アウターハウジング4の切り欠き4b,4cに嵌り込む。この状態では、挟み部32の凹部32aと凹部32bとが合わさることによって、位置決めピン42が挿入される孔部Hが形成される。
【0055】
また、この状態では、
図12に示されるように、インナーハウジング3の開口3gから第1突起部31がインナーハウジング3の内部に挿入される。挿入された第1突起部31は、まずピンキーパー20の側部22のテーパ面22gに当接する。そして、第1突起部31を更に挿入させると、第1突起部31がテーパ面22gを乗り越えると共に、各側部22が撓み押し広げられる。このように側部22を撓ませ押し広げることにより保持穴21を拡張させる。
図12に示されるように拡張された保持穴21にピン挿入具40を用いてガイドピンPを挿入させる。
【0056】
図13に示されるように、ガイドピンPを挿入させる前に、ピン挿入具40のピン保持部43の穴43aにガイドピンPを挿入させて、ガイドピンPをピン保持部43で保持する。そして、拡張部材30の孔部Hに前方から位置決めピン42を挿入することによって、ピン挿入具40を拡張部材30に接続する。この状態でピン保持部43を拡張部材30に押し込むことにより、ガイドピンPをフェルール2の挿通孔2dの中に押し込んでいく。
【0057】
続いて、
図14に示されるように、ピン保持部43を拡張部材30に押し込むとガイドピンPがピンキーパー20の保持穴21に入り込む。このようにガイドピンPが保持穴21に入り込んだ状態でインナーハウジング3から拡張部材30を外すことにより、第1突起部31がインナーハウジング3から外れる。よって、側部22の撓み及び保持穴21の拡張が解除されるので、保持穴21がガイドピンPを保持した状態となる。こうして、保持穴21でガイドピンPを保持することができ、ピン挿入具40を取り外すと光コネクタ1へのガイドピンPの取り付けが完了する。
【0058】
また、光コネクタ1からガイドピンPを取り外す方法としては、
図11及び
図12に示されるように、拡張部材30の挟み部32でインナーハウジング3を上下から挟み込むことにより、拡張部材30の第1突起部31によって保持穴21を拡張させる。このように保持穴21を拡張させてガイドピンPを挿通孔2dから引き抜くことにより、光コネクタ1から簡単にガイドピンPを取り外すことができる。
【0059】
次に、本実施形態の拡張部材30及びピン挿入具40によって得られる作用効果について説明する。
【0060】
本実施形態に係る拡張部材30は、第1突起部31が一対の側部22を押し広げることによりピンキーパー20の保持穴21を拡張させる。よって、拡張させたピンキーパー20の保持穴21にガイドピンPを挿入することにより、保持穴21でガイドピンPを保持することができる。従って、光コネクタ1のフェルール2の挿通孔2dにガイドピンPを挿通し、挿通したガイドピンPを保持穴21で保持することによって、ガイドピンPを光コネクタ1に取り付けることができる。一方、保持穴21で保持されたガイドピンPは、拡張部材30で保持穴21を拡張させてガイドピンPを保持穴21から引くことにより、保持穴21及びフェルール2の挿通孔2dから外すことができる。よって、保持穴21を拡張させた状態でガイドピンPを引いて、このガイドピンPをフェルール2の挿通孔2dから外すことにより、ガイドピンPを光コネクタ1から取り外すことができる。以上のように、光コネクタ1のフェルール2に対するガイドピンPの着脱を行うことができる。
【0061】
また、拡張部材30は、インナーハウジング3の開口3gの反対側に位置する開口3hから挿入される第2突起部34を備え、第2突起部34は、底部23に当接することによってピンキーパー20をインナーハウジング3の内側で押さえつける。このように第2突起部34がピンキーパー20の底部23に当接してピンキーパー20を押さえつけることにより、保持穴21の拡張時におけるピンキーパー20の移動を抑制することができる。従って、ピンキーパー20の位置を安定させた状態で保持穴21の拡張を行うことができるので、保持穴21に対するガイドピンPの着脱を容易に行うことができる。
【0062】
また、拡張部材30は、第2突起部34が開口3hに挿入されるようにインナーハウジング3を載置する載置部32kを備え、載置部32kには、インナーハウジング3の外面に形成された凹部3kに入り込む凸部32pが設けられている。載置部32kにインナーハウジング3が載置されたときに、載置部32kの凸部32pがインナーハウジング3の凹部3kに入り込むと共に開口3hに第2突起部34が挿入される。従って、インナーハウジング3を載置部32k上で安定させた状態とすることができ、インナーハウジング3を安定させた状態で第2突起部34の挿入を行える。よって、第2突起部34によるピンキーパー20の押えつけを安定して行うことができ、保持穴21に対するガイドピンPの着脱を一層容易に行うことができる。
【0063】
更に、拡張部材30の第2突起部34では、底部23の凹部23aに嵌合する突起34aが前後に並んでいるので、底部23への第2突起部34の当接時にピンキーパー20の前後方向への移動が規制される。従って、保持穴21にガイドピンPを挿入しているときに、ガイドピンPと共にピンキーパー20が後方に移動する事象を回避することができる。すなわち、ガイドピンPの挿入時にピンキーパー20が移動しないので、ガイドピンPの挿入を一層スムーズに行うことができる。
【0064】
本実施形態に係るピン挿入具40は、拡張部材30によって保持穴21を拡張した状態でガイドピンPを保持穴21に挿入させる。また、このピン挿入具40は位置決めピン42によって拡張部材30に接続され、この状態でガイドピンPが保持穴21に挿入されるので、安定したガイドピンPの挿入が可能となる。従って、保持穴21へのガイドピンPの挿入をスムーズに行うことができ、光コネクタ1へのガイドピンPの取り付けを容易に行うことができる。更に、2個の位置決めピン42はガイドピンPを挟んで対称となる位置に設けられるので、ピン挿入具40の押し込みによるガイドピンPの挿入をバランスよく行うことができる。
【0065】
また、ピン挿入具40において、位置決めピン42は、ガイドピンPの延在方向に突出する棒状となっており、拡張部材30に形成された孔部Hに挿入されることによって拡張部材30に接続される。よって、棒状の位置決めピン42を孔部Hに挿入するだけで簡単にピン挿入具40を拡張部材30に接続させることができる。従って、保持穴21へのガイドピンPの挿入を一層スムーズに行うことができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。本発明に係る拡張部材及びピン挿入具は、光コネクタ1以外の様々な光コネクタに適用させることができる。
【0067】
例えば、前述の実施形態では、インナーハウジング3と第1アウターハウジング4と第2アウターハウジング5とを備える光コネクタ1について説明した。しかしながら、フェルール2及びピンキーパー20を収容するハウジングの構成は、上記インナーハウジング3、第1アウターハウジング4及び第2アウターハウジング5に限定されず、適宜変更可能である。例えば、第1アウターハウジング4及び第2アウターハウジング5に代えて、一つのアウターハウジングを備えていてもよい。あるいはインナーハウジング3のみを備えていてもよい。
【0068】
また、前述の実施形態では、一対の挟み部32を備えた拡張部材30について説明した。しかしながら、挟み部を有しない拡張部材であってもよい。このように拡張部材の形状は限定されず適宜変更可能である。また、ピンキーパー及びピン挿入具の形状についても限定されず適宜変更可能である。