【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人科学技術振興機構、「研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム シーズ育成タイプ」、産業技術力強化法 第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂または繊維強化熱可塑性樹脂を含むシート状素材を加熱する際に前記シート状素材の上方に前記シート状素材と略平行に配置されて上方から前記シート状素材を加熱する板状の第1加熱部材と、
前記加熱する際に前記シート状素材の下方に前記シート状素材と略平行に配置されて下方から前記シート状素材を加熱する板状の第2加熱部材と、
前記加熱の際に前記第1加熱部材と前記シート状素材の間に配置されて前記第1加熱部材に対して相対移動可能な第1ベルト状部材と、
前記加熱の際に前記第2加熱部材と前記シート状素材の間に配置されて前記第2加熱部材に対して相対移動可能な第2ベルト状部材と、
前記第1加熱部材と前記第2加熱部材を、前記シート状素材を挟んで加熱する加熱位置と前記シート状素材を排出する排出位置の間を移動させる移動部と、
を備え、
前記第1加熱部材および前記第2加熱部材の前記加熱位置から前記排出位置への移動によって、前記第1ベルト状部材は前記第1加熱部材に対して相対移動し、前記第2ベルト状部材は前記第2加熱部材に対して相対移動し、前記シート状素材が前記第1加熱部材と前記第2加熱部材の間から排出される、
加熱装置。
前記第1ベルト状部材は、前記第1加熱部材および前記第2加熱部材を移動させる移動方向のうち前記加熱位置方向側の前記第1加熱部材の端を覆うように前記第1加熱部材の周囲に沿って配置され、前記移動方向に沿った両端である第1端と第2端を有しており、
前記第2ベルト状部材は、前記第2加熱部材の前記加熱位置方向側の端を覆うように前記第2加熱部材の周囲に沿って配置され、前記移動方向に沿った両端である第3端と第4端を有しており、
前記第1加熱部材および前記第2加熱部材を移動可能に支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、前記第1ベルト状部材の前記第1端側を固定する第1ベルト端固定部と、
前記支持枠に設けられ、前記第1ベルト状部材の前記第2端側を前記移動方向のうち前記排出位置方向側に付勢する第1付勢部と、
前記支持枠に設けられ、前記第2ベルト状部材の前記第3端側を固定する第2ベルト端固定部と、
前記支持枠に設けられ、前記第2ベルト状部材の前記第4端側を前記移動方向のうち前記排出方向側に付勢する第2付勢部と、
を備えた、請求項1に記載の加熱装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の加熱装置について図面を参照しながら以下に説明する。
(実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1の加熱装置について説明する。
<1.構成>
(1−1.加熱装置およびプレス装置の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態の加熱装置1とプレス装置100の構成を示す側面図である。
【0020】
本実施の形態の加熱装置1は、スタンパブルシートをプレス装置100においてプレス加工する前に予備加熱を行う。
スタンパブルシートは、連続または不連続炭素繊維に樹脂を予め含浸させたシートを積層し、プレスなどにより板状にされて形成されている。炭素繊維に含浸させる樹脂としては、熱可塑性樹脂が用いられる。
このスタンパブルシートを予備加熱し、プレス装置100にセットしてプレスして冷却することによって成形を行うことができる。
【0021】
(1−2.プレス装置)
はじめにプレス装置100の概要について説明すると、プレス装置100は、ベッド101と、アプライト102と、クラウン103と、スライド104と、ボルスタ105と、を備える。ベッド101は、フロアに埋め込まれており、プレス装置100の土台を構成する。アプライト102は、柱状の部材であり、ベッド101上に4本配置されている。4本のアプライト102は、平面視において矩形状の各頂点を形成するように配置されている。なお、
図1では、手前側の2本のアプライト102が省略されている。
【0022】
クラウン103は、4本のアプライト102によって上方に支持されている。スライド104は、クラウン103の下側に吊下されている。クラウン103内にスライド104を昇降させるスライド駆動部が設けられている。スライド104の下側には、上金型106が配置されている。
ボルスタ105は、スライド104の下側に配置されており、下金型107が載置される。
【0023】
(1−3.加熱装置)
加熱装置1は、スタンパブルシートをプレス加工する前に予備加熱を行う。
図1に示すように、加熱装置1は、加熱装置本体2と、加熱装置本体2を移動可能に支持する本体支持フレーム3とを有する。
図2は、加熱装置1の斜視図である。
【0024】
加熱装置本体2は、本体支持フレーム3に矢印A1およびA2方向に沿って移動可能に支持されている。なお、以下の説明では、プレス装置100に向かう方向を前方向(A1)として示し、プレス装置100から遠ざかる方向を後方向(A2)として示す。また、以下の説明における左方向とは、前方向(A1)を向いて左方向のことを示し、右方向とは、前方向(A1)を向いて右方向のことを示す。左方向は、矢印B1で示され、右方向は矢印B2で示されている。
【0025】
(1−4.本体支持フレーム)
本体支持フレーム3は、棒状の部材が組み合わされて構成されている。詳細には、本体支持フレーム3は、2本のレール部材31、32と、先端部材33と、複数の鉛直部材34と、鉛直部材34を補強する補強部材35と、を備えている。
2本のレール部材31、32は、本体支持フレーム3の上部に、互いに平行であって水平に配置されている。レール部材31、32に沿って加熱装置本体2が移動する(矢印A1、A2参照)。
【0026】
先端部材33は、レール部材31、32の先端を連結している。複数の鉛直部材34は、鉛直方向に配置されており、先端部材33、レール部材31、32を上方に支持する。補強部材35は、鉛直部材34の下端同士を連結し、フロアに当接する。
図1に示すように、本体支持フレーム3は、レール部材31、32がプレス装置100に向かって延び、先端部材33がボルスタ105に当接するように配置されている。このように先端部材33がボルスタ105に当接することにより、本体支持フレーム3はプレス装置100に対して位置決めされている。
【0027】
(1−5.加熱装置本体)
加熱装置本体2は、主に、スタンパブルシートを加熱する加熱部21と、加熱部21を移動可能に支持する支持枠22と、支持枠22に固定され加熱部21を移動させる移動部23と、支持枠22に設けられた複数の車輪24と、を有する。
図3は、加熱装置本体2の平面図である。
図4(a)〜(c)は、
図3のCC線の矢示断面図であり、加熱装置本体2の動作を示す側断面図である。
図5は、矢印A2方向に沿って加熱部21を視た模式図である。
【0028】
(1−6.支持枠)
支持枠22は、主に、右車輪支持部材221と、左車輪支持部材222と、複数の接続部材223と、複数の鉛直部材224と、右スライド取付部材225と、左スライド取付部材226と、複数の固定部材227とを有している。
右車輪支持部材221と左車輪支持部材222は、レール部材31、32に沿って配置された2本の棒状の部材であって、複数の車輪24が外側に向かって取り付けられている。接続部材223は、右車輪支持部材221と左車輪支持部材222の間を接続する。複数の鉛直部材224は、右車輪支持部材221と左車輪支持部材222から上方に向かって配置されている。
【0029】
右スライド取付部材225は、複数の鉛直部材224によって右車輪支持部材221の上方に右車輪支持部材221と平行に配置されている。右スライド取付部材225の内側には、右スライド取付部材225に沿って右スライドレール52が取り付けられる(
図3参照)。
左スライド取付部材226は、複数の鉛直部材224によって左車輪支持部材222の上方に左車輪支持部材222と平行に配置されている。左スライド取付部材226の内側には、左スライド取付部材226に沿って左スライドレール51が取り付けられる(
図3参照)。
【0030】
複数の固定部材227は、
図2に示すように、移動部23が固定される部材であって、水平に配置されている。また、固定部材227は、B1およびB2方向に沿って配置されており、複数の鉛直部材224に支持されている。
【0031】
(1−7.加熱部)
加熱部21は、主に、第1ヒータプレート41と、第2ヒータプレート42と、第1ベルト状部材43と、第2ベルト状部材44と、第1ベルト固定部45と、第2ベルト固定部46とを有している。
第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42は、板状のヒータであり、例えば、セラミック溶射ヒータで構成されている。第1ヒータプレート41は、第2ヒータプレート42の上方に配置されている。
第1ヒータプレート41は、面が略水平になるように配置されており、
図4(a)に示すように、スタンパブルシートSの上方に配置可能である。また、第2ヒータプレート42は、面が略水平になるように配置されており、
図4(a)に示すように、スタンパブルシートSの下方に配置可能である。
【0032】
第1ヒータプレート41の左右には、
図3に示すように、第1ヒータプレート41を支持する第1左フレーム61aと第1右フレーム61bが設けられている。
第2ヒータプレート42の左右にも、第2ヒータプレート42を支持する第2左フレーム62aと第2右フレーム62bが設けられている。
また、第1左フレーム61a並びに第2左フレーム62aの後端と、第1右フレーム61b並びに第2右フレーム62bの後端とを接続するように後端フレーム63が設けられている。
【0033】
左スライドレール51は、その固定側レールが左スライド取付部材226に取付けられており、可動側レールが、第1左フレーム61aと第2左フレーム62aに取付けられている。これにより、左スライド取付部材226に対して第1左フレーム61aおよび第2左フレーム62aはスライド可能である。
右スライドレール52は、その固定側レールが右スライド取付部材225に取付けられており、可動側レールが、第1右フレーム61bと第2右フレーム62bに取付けられている。これにより、右スライド取付部材225に対して第1右フレーム61bおよび第2右フレーム62bはスライド可能である。
【0034】
なお、
図3では、第2左フレーム62aおよびは第2右フレーム62bは、第1左フレーム61aおよび第1右フレーム61bの下方に位置し視認できないため、括弧内に符号を付している。
後端フレーム63には、後述する移動部23の2本のチェーン23aの先端が固定されている。
【0035】
第1ベルト状部材43は、無端ベルトであって、
図4(a)に示すように、第1ヒータプレート41に前後方向(A1、A2方向)に沿って巻き回されている。
第2ベルト状部材44は、無端ベルトであって、第2ヒータプレート42に前後方向(A1、A2方向)に沿って巻き回されている。
第1ベルト固定部45は、支持枠22に対して第1ベルト状部材43の一部を固定する。第1ベルト固定部45は、
図3に示すように、細長いテープ状の部材であって、その長手方向が左右方向(B1、B2方向)に沿うように配置されている。
図5では、分かりやすくするために第1ベルト固定部45にハッチングを付している。そして、第1ベルト固定部45の左端45aは、左スライド取付部材226の上端面226aに固定されている。また、第1ベルト固定部45の右端45bは、右スライド取付部材225の上端面225aに固定されている。第1ベルト固定部45の中央部45cは、第1ベルト状部材43に固定されている。すなわち、第1ベルト状部材43は、左右方向(B1、B2方向)に沿った周方向のベルト部分43a(
図3参照)の位置が、第1ベルト固定部45によって左スライド取付部材226および右スライド取付部材225に対して固定されている。
【0036】
なお、第1ベルト固定部45は、上面で第1ベルト状部材43と固定され、下面で左スライド取付部材226および右スライド取付部材225と固定されている。
第2ベルト固定部46は、支持枠22に対して第2ベルト状部材44の一部を固定する。第2ベルト固定部46は、
図3に示すように、細長いテープ状の部材であって、その長手方向が左右方向(B1、B2方向)に沿うように配置されている。第2ベルト固定部46は、第1ベルト固定部45の後方(A2方向)側に、第1ベルト固定部45と並んで配置されている。
図5では、分かりやすくするために第2ベルト固定部46にハッチングを付している。
【0037】
第2ベルト固定部46の左端46aは、左スライド取付部材226の上端面226aに固定されている。また、第2ベルト固定部46の右端46bは、右スライド取付部材225の上端面225aに固定されている。第2ベルト固定部46の中央部46cは、第2ベルト状部材44に固定されている。すなわち、第2ベルト状部材44は、左右方向(B1、B2方向)に沿った周方向のベルト部分44aの位置が、第2ベルト固定部46によって左スライド取付部材226および右スライド取付部材225に対して固定されている。
なお、第2ベルト固定部46は、下面で第2ベルト状部材44と固定され、下面で左スライド取付部材226および右スライド取付部材225と固定されている。
【0038】
(1−8.移動部)
本実施の形態の移動部23には、ジップチェーンアクチュエータ(登録商標)が用いられている。移動部23は、
図2及び
図3に示すように、2本のチェーン23aと、2本のチェーン23aが各々巻き回されて収納される収納ボックス23bと、2本のチェーン23aの繰り出し及び巻取りを行うハンドル23cとを有する。
【0039】
収納ボックス23bは、
図2に示すように、固定部材227上に固定されている。2本のチェーン23aの先端は、後述する加熱部21を支持する後端フレーム63に固定されている。
ハンドル23cを一方向に回転させることによって、軸23d(
図3参照)が回転し、2本のチェーン23aがジッパーのように噛み合いながら前方向(矢印A1方向)に繰り出され、後端フレーム63が前方向に移動する。また、ハンドル23cを反対方向に回転させることによって、2本のチェーン23aは、噛み合いが外れ、収納ボックス23b内に巻き取られて収納される。このため、後端フレーム63が後方(矢印A2参照)に移動する。
なお、本実施の形態では、手動でチェーン23aの繰り出しおよび収納を手動で行っているが、モータなどを用いて自動で行っても良い。
【0040】
<2.動作>
(2−1.加熱装置本体の動作)
次に、加熱装置本体2の動作について
図4(a)〜
図4(c)を参照しながら説明する。
【0041】
図4(a)は加熱装置1によってスタンパブルシートSが加熱されている状態を示す図である。
加熱状態では、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42は、移動部23によって前方側に突出された加熱位置に配置されている。そして、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間には、第1ベルト状部材43と第2ベルト状部材44を介して、スタンパブルシートSが挟み込まれている。
【0042】
このように第1ベルト状部材43と第2ベルト状部材44を介して面接触で第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42によってスタンパブルシートSは加熱される。
次に、スタンパブルシートSを第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から排出する際には、ハンドル23cが回転されて、後端フレーム63が後方(矢印A2方向)に移動する。後端フレーム63の移動により、後端フレーム63と固定されている第1左フレーム61a、第1右フレーム61b、第2左フレーム62a、および第2右フレーム62bが後方向に移動する。これにより、第1左フレーム61aと第1右フレーム61bの間に固定されている第1ヒータプレート41と、第2左フレーム62aと第2右フレーム62bの間に固定されている第2ヒータプレート42も後方へと移動する。
【0043】
ここで、
図4(b)に示すように、第1ベルト固定部45および第2ベルト固定部46によって、第1ベルト状部材43のベルト部分43aと第2ベルト状部材44のベルト部分44aの位置は、左スライド取付部材226と右スライド取付部材225に対して固定されているため、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42とともに移動しない。
【0044】
このため、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42の移動に伴って、第1ベルト状部材43はベルト部分43aが固定された状態で、第1ヒータプレート41に対して相対的に回転移動する(矢印D参照)。又、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42の移動に伴って、第2ベルト状部材44はベルト部分44aが固定された状態で、第2ヒータプレート42に対して相対的に回転移動する(矢印E参照)。
【0045】
このように、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42の後方への移動に伴って、第1ベルト状部材43と第2ベルト状部材44が、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42に対して相対的に回転することによって、スタンパブルシートSが吐き出されていく。なお、
図4(a)〜(c)では、ベルト部分43aとベルト部分44aが線Fの位置に固定されている状態がわかる。
【0046】
図4(b)の状態から、更に第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が移動部23によって後方へ移動すると、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が
図4(c)に示すような排出位置に達し、スタンパブルシートSが第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から完全に排出される。第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が排出位置に配置された状態の加熱装置本体2の斜視図が、
図6に示される。
【0047】
なお、スタンパブルシートSを第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間に挟み込む際には、
図4(c)に示すように、加熱装置本体2の前方位置にスタンパブルシートSを配置して、移動部23によって第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42を前方(矢印A1)へと移動させればよい。
【0048】
(2−2.成形方法)
次に、本実施の形態の加熱装置1およびプレス装置100を用いた成形方法について説明する。
図7(a)〜(d)は、本実施の形態の加熱装置1およびプレス装置100を用いた成形方法を説明するための側面模式図である。なお、
図7(a)〜(d)では、プレス装置100は、下金型107が載置された状態のボルスタ105のみ示されている。
図8は、本実施の形態の加熱装置1およびプレス装置100を用いた成形方法のフローを示す図である。
【0049】
はじめに、
図7(a)に示すように、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間にスタンパブルシートSが挟みこまれる(ステップS10)。なお、スタンパブルシートSを挟み込む方法は、上述したように、加熱装置本体2の前方位置にスタンパブルシートSを配置して、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を前方に移動させる。
【0050】
次に、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42に通電されてスタンパブルシートSの加熱が行われる(ステップS20)。なお、スタンパブルシートSを挟み込む前から第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42に通電が行われていても良い。
次に、
図7(b)に示すように、加熱装置本体2がプレス装置100側へとレール部材31、32に沿って移動させられ、スタンパブルシートSが加熱された状態(第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が加熱位置に配置された状態ともいえる)で、上金型106と下金型107の間に配置される(ステップS30)。
【0051】
次に、スタンパブルシートSの温度がプレス加工に適した温度まで上昇したか否かが判断され、上昇していない場合には、加熱装置1は
図7(b)の状態で待機される。なお、温度上昇の判断は、加熱時間で判断してもよいし、温度を計測しても良い。
次に、スタンパブルシートSの温度がプレス加工に適した温度まで上昇すると、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間からスタンパブルシートSが排出される(ステップS40)。この排出によってスタンパブルシートSは、
図7(c)に示すように下金型107の上に載置される。また、この排出は、
図4(a)〜
図4(c)において説明した動作と同様である。
次に、
図7(d)に示すように、加熱装置本体2がプレス装置100から後方(矢印A2方向)へ移動する(ステップS50)。
続いて、スライド104の下降によって上金型106が下降し、上金型106と下金型107の間にプレス加工が行われる(ステップS60)。
【0052】
<3.主な特徴>
(3−1)
上記実施の形態の加熱装置1は、第1ヒータプレート41(第1加熱部材の一例)と、第2ヒータプレート42(第2加熱部材の一例)と、第1ベルト状部材43と、第2ベルト状部材44と、移動部23と、を備える。第1ヒータプレート41は、板状であって、スタンパブルシートS(シート状素材の一例)を加熱する際にスタンパブルシートSの上方にスタンパブルシートSと略平行に配置されて上方からスタンパブルシートSを加熱する。第2ヒータプレート42は、板状であって、加熱する際にスタンパブルシートSの下方にスタンパブルシートSと略平行に配置されて下方からスタンパブルシートSを加熱する。第1ベルト状部材43は、加熱の際に第1ヒータプレート41とスタンパブルシートSの間に配置されて第1ヒータプレート41に対して相対移動可能である。第2ベルト状部材44は、加熱の際に第2ヒータプレート42とスタンパブルシートSの間に配置されて第2ヒータプレート42に対して相対移動可能である。移動部23は、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を、スタンパブルシートSを挟んで加熱する加熱位置とスタンパブルシートSを排出する排出位置の間を移動させる。第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42の加熱位置から排出位置への移動によって、第1ベルト状部材43は第1ヒータプレート41に対して相対移動し、第2ベルト状部材44は第2ヒータプレート42に対して相対移動し、スタンパブルシートSが第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から排出される。
【0053】
これによって、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が加熱位置にある状態でスタンパブルシートSをプレス装置100のプレス加工位置の上方に配置できる。そして、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を排出位置に移動することより、プレス加工位置の上方から第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を移動し、スタンパブルシートSをプレス加工位置に載置できる。
【0054】
このため、スタンパブルシートSを加熱装置からプレス加工位置に載置するまでの時間を短縮でき、搬送時における温度の低下を抑制できる。
なお、プレス加工位置の上方としては、例えば、上金型106と下金型107の間であり、プレス加工位置としては、例えば、下金型107の上である。
また、輻射加熱を用いた場合、空気雰囲気下において加熱が行われるため、樹脂温度が上昇すると樹脂と酸素が結合して煙が発生し、樹脂が劣化し、作業環境も悪化する場合があるが、加熱装置1では、スタンパブルシートSが第1ベルト状部材43および第2ベルト状部材44で覆われた状態で加熱されるため、加熱時における空気と樹脂との接触を低減できる。このため、樹脂の劣化を抑制でき、空気と樹脂の接触による煙の発生も抑制できるため、作業環境を良好にできる。
また、スタンパブルシートを面接触で支持しているため、不連続繊維などの溶融時の形状が不安定な素材に対しても保持および搬送が容易である。
【0055】
(3−2)
また、本実施の形態の加熱装置1は、支持枠22と、第1ベルト固定部45(第1固定部の一例)と、第2ベルト固定部46(第2固定部の一例)と、を更に備えている。支持枠22は、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を移動可能に支持する。第1ベルト固定部45は、第1ベルト状部材43の一部を支持枠22に対して固定する。第2ベルト固定部46は、第2ベルト状部材44の一部を支持枠22に対して固定する。第1ベルト状部材43は、無端ベルトであって、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の移動方向に沿って第1ヒータプレート41に巻き回されている。第2ベルト状部材44は、無端ベルトであって、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の移動方向に沿って第2ヒータプレート42に巻き回されている。
【0056】
これにより、第1ベルト状部材43は、第1ヒータプレート41の移動に伴って、第1ヒータプレート41の周囲を相対的に移動する。また、第2ベルト状部材44は、第2ヒータプレート42の移動に伴って、第2ヒータプレート42の周囲を相対的に移動する。
このように、簡易な構成で、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間からスタンパブルシートSを排出できる。
【0057】
(3−3)
本実施の形態の加熱装置1では、第1ベルト固定部45(第1固定部の一例)は、移動方向(A1、A2方向)に対して略垂直方向(B1、B2方向)に沿って第1ベルト状部材43を固定する。第2ベルト固定部46(第2固定部の一例)は、移動方向に対して略垂直方向に沿って第2ベルト状部材44を固定する。
これにより、第1ベルト状部材43および第2ベルト状部材44を安定して支持枠に固定できる。
【0058】
(3−4)
本実施の形態の成形方法は、ステップS30(配置工程の一例)と、ステップS50(載置工程の一例)と、ステップS60(プレス工程の一例)とを備える。ステップS30は、加熱位置に配置された第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42によって第1ベルト状部材43と第2ベルト状部材44を介して挟まれた状態のスタンパブルシートSをプレス装置100に設置された下金型107の上方に配置する。ステップS50は、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を加熱位置から排出位置に移動させることによって、スタンパブルシートSを第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から排出して下金型107に載置する。ステップS60は、下金型107とプレス装置100に取り付けられた上金型106を用いてスタンパブルシートSをプレス加工する。
【0059】
これによって、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が加熱位置にある状態でスタンパブルシートSをプレス装置100の下金型107の上方に配置できる。そして、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を排出位置に移動することより、下金型107の上方から第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を移動するとともに、スタンパブルシートSを下金型107上に載置できる。
このため、加熱装置1から下金型107に載置するまでの時間を短縮でき、搬送時における温度の低下を抑制できる。
【0060】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2の加熱装置300について説明する。
本実施の形態2の加熱装置300は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、ベルト状部材の形状と、ベルト状部材を第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42に対して相対移動させる構成が実施の形態1と異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
<1.構成>
図9(a)は、本実施の形態の加熱装置300の加熱装置本体302を示す図であり、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が加熱位置に配置されている状態を示す図である。
図9(b)は、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が排出位置に配置されている状態の加熱装置本体302を示す図である、
図10は、本実施の形態の加熱装置本体302の平面図である。
図11(a)〜(c)は、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が加熱位置から排出位置に移動する動作を示す図である。
【0062】
本実施の形態の第1ベルト状部材343は、実施の形態1と異なり無端ベルトではなく、
図11(a)に示すように両端を有する。両端は、第1ベルト状部材343の回転方向に沿った両端であり、一方の端343aは、第1ベルト端固定部350に固定されている。また、他方の端343bは、第1付勢部360によって後方(A2方向)に付勢されている。端343aは、第1ヒータプレート41の上側に位置する端であり、端343bは、第2ヒータプレート42の下側に位置する端である。第1ベルト状部材343は、第1ヒータプレート41の前側の端41aを覆うように第1ヒータプレート41の周囲にそって配置されている。なお、このような両端を有する第1ベルト状部材343は、シート状の部材ともいえる。
【0063】
第1付勢部360は、第1ベルト掴み具361と、第1巻取り機362と、を有している。第1ベルト掴み具361は、ぜんまいバネなどであって、一端が第1ベルト状部材343の端343bに固定されており、他端が第1巻取り機362に固定されている。
第1巻取り機362は、第1ベルト状部材343の端343bよりも後方(A2方向)側に配置されている。第1巻取り機362は、円柱部を有しており、第1ベルト掴み具361は、自身の弾性力によって円柱部に巻き取られる方向に力を発生する。このため、第1ベルト状部材243は、第1ベルト状部材243の端243bを後方向(A2方向)に付勢する。
【0064】
なお、第1ベルト掴み具361および第1巻取り機362は、左右2箇所に設けられており、第1巻取り機362は、支持枠22の左右の鉛直部材224の間に配置された巻取り機固定部228に固定されている。
第1ベルト端固定部350は、第1ベルト状部材343の後方向側に配置されており、端343aを固定する。第1ベルト端固定部350は、
図9(a)に示すように、左スライド取付部材226および右スライド取付部材225に固定されている。この第1ベルト端固定部350は、実施の形態1の第1ベルト固定部45と同様の構成であり、左右方向に渡って配置されたテープ状の部材であって、第1ベルト状部材343の端343bと左スライド取付部材226および右スライド取付部材225に固定されている。
【0065】
また、第2ベルト状部材344も、第1ベルト状部材343と同様に無端ベルトではなく、
図11(a)に示すように両端を有する。両端は、第2ベルト状部材344の回転方向に沿った両端であり、一方の端344aは、第2ベルト端固定部370に固定されている。また、他方の端344bは、第2付勢部380によって後方(A2方向)側に付勢されている。端344bは、第2ヒータプレート42の下側に位置する端であり、端344aは、第2ヒータプレート42の上側に位置する端である。第2ベルト状部材344は、第2ヒータプレート42の前側の端42aを覆うように第2ヒータプレート42の周囲にそって配置されている。なお、このような両端を有する第2ベルト状部材344は、シート状の部材ともいえる。
【0066】
第2付勢部380は、第2ベルト掴み具381と、第2巻取り機382と、を有している。第2ベルト掴み具381は、第1ベルト掴み具361と同様に、ぜんまいバネなどであって、一端が第2ベルト状部材344の端344bに固定されており、他端が第2巻取り機382に固定されている。第2巻取り機382は、第2ベルト状部材344の端344bよりも後方側に配置されている。第2巻取り機382は、第1巻取り機362よりも下方に配置されている(
図9(a)参照)。
【0067】
第2巻取り機382は、第1巻取り機362と同様の構造であり、円柱部を有しており、第2ベルト掴み具381は、自身の弾性力によって円柱部に巻き取られる方向に力を発生する。このため、第2ベルト掴み具381は、第2ベルト状部材344の端344bを後方向(A2方向)に付勢する。
なお、第2ベルト掴み具381および第2巻取り機382も、左右2箇所に設けられている。第2巻取り機382は、支持枠22の左右の鉛直部材224の間に配置された巻取り機固定部228に固定されている。
【0068】
第2ベルト端固定部370は、第2ベルト状部材344の後方向側に配置されており、端344a側を固定する。第2ベルト端固定部370は、図示していないが、左スライド取付部材226および右スライド取付部材225に固定されている。この第2ベルト端固定部370は、実施の形態1の第2ベルト固定部46と同様の構成であり、左右方向に渡って配置されたテープ状の部材であって、第2ベルト状部材344の端344bと左スライド取付部材226および右スライド取付部材225に固定されている。
【0069】
<2.動作>
次に、本実施の形態2の加熱装置300のスタンパブルシートSを排出する動作について
図11(a)〜
図11(c)を用いて説明する。
図11(a)は加熱装置1によってスタンパブルシートSが加熱されている状態を示す図である。
【0070】
加熱状態では、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42は、移動部23によって前方側に突出された加熱位置に配置されている。そして、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間には、第1ベルト状部材343と第2ベルト状部材344を介して、スタンパブルシートSが挟み込まれている。
次に、スタンパブルシートSを第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から排出する際には、ハンドル23cが一方向に回転されて、後端フレーム63が後方(矢印A2方向)に移動する。後端フレーム63の移動により、後端フレーム63と固定されている第1左フレーム61a、第1右フレーム61b、第2左フレーム62a、および第2右フレーム62bも、後ろ方向に移動する。これにより、第1左フレーム61aと第1右フレーム61bの間に固定されている第1ヒータプレート41と、第2左フレーム62aと第2右フレーム62bの間に固定されている第2ヒータプレート42も後方へと移動する。
【0071】
ここで、
図11(b)に示すように、第1ベルト端固定部350によって第1ベルト状部材343の端343aが固定されており、第1付勢部360によって端343bが後方(A2方向)に付勢されているため、第1ヒータプレート41の移動に伴って、第1ベルト状部材343の端343aが後方に移動する。すなわち、第1ベルト状部材343が、第1ヒータプレート41に対して相対的に回転移動する(矢印D参照)。
【0072】
また、第2ベルト端固定部370によって第1ベルト状部材343の端343aが固定されており、第2付勢部380によって端343bが後方(A2方向)に付勢されているため、第1ヒータプレート41の移動に伴って、第1ベルト状部材343の端343aが後方に移動する。すなわち、第1ベルト状部材343が、第1ヒータプレート41に対して相対的に回転移動する(矢印E参照)。
【0073】
図11(b)の状態から、更に第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が移動部23によって後方へ移動すると、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が
図11(c)に示すような排出位置に達し、スタンパブルシートSが第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から完全に排出される。
【0074】
<3.主な特徴>
本実施の形態2の加熱装置300は、実施の形態1の加熱装置1と基本的な構成は同じであるため、同様の作用効果を発揮する。
(3−1)
上記実施の形態の加熱装置300は、第1ヒータプレート41(第1加熱部材の一例)と、第2ヒータプレート42(第2加熱部材の一例)と、第1ベルト状部材343と、第2ベルト状部材344と、移動部23と、を備える。第1ヒータプレート41は、板状であって、スタンパブルシートS(シート状素材の一例)を加熱する際にスタンパブルシートSの上方にスタンパブルシートSと略平行に配置されて上方からスタンパブルシートSを加熱する。第2ヒータプレート42は、板状であって、加熱する際にスタンパブルシートSの下方にスタンパブルシートSと略平行に配置されて下方からスタンパブルシートSを加熱する。第1ベルト状部材343は、加熱の際に第1ヒータプレート41とスタンパブルシートSの間に配置されて第1ヒータプレート41に対して相対移動可能である。第2ベルト状部材344は、加熱の際に第2ヒータプレート42とスタンパブルシートSの間に配置されて第2ヒータプレート42に対して相対移動可能である。移動部23は、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を、スタンパブルシートSを挟んで加熱する加熱位置とスタンパブルシートSを排出する排出位置の間を移動させる。第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42の加熱位置から排出位置への移動によって、第1ベルト状部材343は第1ヒータプレート41に対して相対移動し、第2ベルト状部材344は第2ヒータプレート42に対して相対移動し、スタンパブルシートSが第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間から排出される。
【0075】
これによって、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42が加熱位置にある状態でスタンパブルシートSをプレス装置100のプレス加工位置の上方に配置できる。そして、第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を排出位置に移動することより、プレス加工位置の上方から第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42を移動し、スタンパブルシートSをプレス加工位置に載置できる。
このため、スタンパブルシートSを加熱装置からプレス加工位置に載置するまでの時間を短縮でき、搬送時における温度の低下を抑制できる。
【0076】
(3−2)
本実施の形態での加熱装置300では、第1ベルト状部材343は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42を移動させる移動方向のうち加熱位置方向側(A1側)の第1ヒータプレート41の端41aを覆うように第1ヒータプレート41の周囲に沿って配置され、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42を移動させる移動方向に沿った両端である端343a(第1端の一例)と端343b(第2端の一例)を有している。第2ベルト状部材344は、第2ヒータプレート42の加熱位置方向側(A1側)の端42aを覆うように第2ヒータプレート42の周囲に沿って配置され、移動方向に沿った両端である端344a(第3端の一例)と端344b(第4端の一例)を有している。加熱装置300は、支持枠22と、第1ベルト端固定部350と、第1付勢部360と、第2ベルト端固定部370と、第2付勢部380と、を備えている。支持枠22は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42を移動可能に支持する。第1ベルト端固定部350は、支持枠22に設けられ、第1ベルト状部材343の343a側を固定する。第1付勢部360は、支持枠22に設けられ、第1ベルト状部材343の端343b側を移動方向のうち排出位置方向側(A2側)に付勢する。第2ベルト端固定部370は、支持枠22に設けられ、第2ベルト状部材344の端344a側を固定する。第2付勢部380は、支持枠22に設けられ、第2ベルト状部材344の端344b側を移動方向のうち排出方向側(A2側)に付勢する。
【0077】
これにより、第1ベルト状部材343は、第1ヒータプレート41の移動に伴って、第1ヒータプレート41の周囲を相対的に移動できる。また、第2ベルト状部材344は、第2ヒータプレート42の移動に伴って、第2ヒータプレート42の周囲を相対的に移動できる。
【0078】
(3−3)
第1付勢部360は、ベルト掴み具361(第1バネ部材の一例)と、第1巻取り機362(第1巻取り部の一例)と、を有する。ベルト掴み具361は、第1ベルト状部材343の343b側に一端が固定されている。第1巻取り機362は、ベルト掴み具361の他端が固定されており、ベルト掴み具361が巻き取られる。第2付勢部380は、ベルト掴み具381(第2バネ部材の一例)と、第2巻取り機382(第2巻取り部の一例)と、を有する。ベルト掴み具381は、第2ベルト状部材344の端344bに一端が固定されている。第2巻取り機382は、ベルト掴み具381の他端が固定されており、ベルト掴み具381が巻き取られる。
これにより、第1ベルト状部材343及び第2ベルト状部材344に簡易な構成で付勢力を付与できる。
【0079】
[他の実施の形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施の形態の加熱装置1、300では、移動部23としてジップチェーンアクチュエータを用いたが、これに限られるものでなく、モータなどを用いて自動で第1ヒータプレート41及び第2ヒータプレート42を移動させてもよい。以下に、移動部の例を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1の加熱装置1の変形例として説明するが、実施の形態2に対しても適用可能である。
【0080】
(A−1)
図12(a)および
図12(b)は、ハンドル23cに代えて電動モータ423cが設けられた移動部423を有する加熱装置本体2を示す図である。
図12(a)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が加熱位置に配置された状態を示し、
図12(b)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が排出位置に配置された状態を示す。
【0081】
図12(a)、(b)では、チェーン23aの繰り出しおよび収納を自動で行うための電動モータ423cが設けられている。電動モータ423cはインバータ付きの直交軸モータであり、収納ボックス23b上に配置されている。電動モータ423cの直交軸が、チェーン23aの繰り出しおよび巻き取りを行う軸23dと連結している。
このような構成により電動モータ423cを回転させることによって、軸23dが回転し、チェーン23aの繰り出し及び巻き取りが行われて第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が加熱位置と排出位置の間を移動する。
【0082】
(A−2)
図13(a)および
図13(b)は、ハンドル23cに代えて電動モータ523cが設けられた移動部523を有する加熱装置本体2を示す図である。
図13(a)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が加熱位置に配置された状態を示し、
図13(b)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が排出位置に配置された状態を示す。
【0083】
図13(a)および
図13(b)に示す電動モータ523cは、インバータ付きのモータであり、その駆動軸523eが鉛直方向を向くように配置されている。駆動軸523eには、プーリ523fが固定されている。また、軸23dにもプーリ523gが固定されており、このプーリ523gとプーリ523fの間にベルト523hが巻き掛けられている。
このような構成によって、電動モータ523cが駆動し、駆動軸523eが回転すると、その回転がプーリ523f、ベルト523h、およびプーリ523gを介して、軸23dに伝達され、軸23dが回転する。この軸23dの回転によって、チェーン23aの繰り出し及び巻き取りが行われる。
【0084】
(A−3)
図14(a)および
図14(b)は、ジップアップチェーンアクチュエータに代えてエアシリンダ623aが設けられた移動部623を有する加熱装置本体2を示す図である。
図14(a)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が加熱位置に配置された状態を示し、
図14(b)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が排出位置に配置された状態を示す。
【0085】
図に示すように、エアシリンダ623aが、固定部材227に前後方向に沿って配置されている。エアシリンダ623aのロッド623bの先端が、後端フレーム63に固定されている。
また、エアシリンダ623aの左右に、エアシリンダ623aと平行にガイドポスト623cが配置されている。ガイドポスト623cの先端は、後端フレーム63に固定されている。ガイドポスト623cは、固定部材227に配置されたガイド支持部623dを挿通し、ガイド支持部623dによって前後方向に移動可能に支持枠22に支持されている。
このような構成によって、エアシリンダ623aにエアを供給してロッド623bを移動させることにより、ガイドポスト623cも前後方向に移動し、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が加熱位置と排出位置の間を移動する。
【0086】
(A−4)
図15(a)および
図15(b)は、移動部723を有する加熱装置本体2を示す図である。
図15(a)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が加熱位置に配置された状態を示し、
図15(b)は、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42が排出位置に配置された状態を示す。
移動部723は、
図14(a)に示す移動部623と比較して、エアシリンダ623aを有しておらず、電動モータ723aを有している。電動モータ723aは、その駆動軸723bが前後方向(A1、A2方向)に沿うように支持枠22に固定されている。駆動軸723bには、プーリ723cが固定されている。
【0087】
一方、移動部723には、前後方向に沿って配置されたボールネジ723dが設けられている。ボールネジ723dには、ボールネジ723dに対して回転可能なプーリ723fが配置されている。プーリ723fとプーリ723cにタイミングベルト723gが巻き掛けられている。ボールネジ723dには、ナット723hが螺合している。ナット723hは、支持部材723iの内側に回転可能に支持されており、支持部材723iは固定部材227に固定されている。また、ナット723hはプーリ723fと連結されており、プーリ723fとともに回転する。
また、ボールネジ723dの左右には、
図14(a)と同様に、ガイドポスト623cおよびガイド支持部623dが設けられている。
このような構成によって、電動モータ723aが回転すると、タイミングベルト723gが回転し、この回転によってプーリ723fが回転する。プーリ723fの回転によってナットが回転し、ボールネジ723dが前後方向に移動する。
【0088】
(B)
上記実施の形態では、
図6(a)および
図6(b)に示すように、プレス装置100の外側で、加熱装置1にスタンパブルシートSを挟み込み、その後、プレス装置100の内側に移動させていたが、プレス装置100内でスタンパブルシートSを挟み込んでもよい。
【0089】
(C)
上記実施の形態2では、ベルト掴み具361、381の弾性力によって巻き取っていたが、第1巻取り機362及び第2巻取り機382にバネ部材などを設けて巻取り機がベルト掴み具361、381を巻き取るようにしてもよい。
【0090】
(D)
また、上記実施の形態1、2では、第1ヒータプレート41および第2ヒータプレート42は、双方とも同時に前後方向に移動していたが、移動部23を別々に設けて、別々に移動可能に構成してもよい。このようにすることで、第2ヒータプレート42の上側にスタンパブルシートSを配置できるため、挟み込みが容易にできる。すなわち、第2ヒータプレート42だけを前方向に移動させた状態として第2ヒータプレート42の上側にスタンパブルシートSを載置し、その後、第1ヒータプレート41を前方向に移動させて、スタンパブルシートSを第1ヒータプレート41と第2ヒータプレート42の間に配置できる。
【0091】
(E)
上記実施の形態では、炭素繊維を含んだシート状の熱可塑性樹脂を加熱しているが、炭素繊維を含んでいない樹脂シートを加熱しても良い。