特許第6366039号(P6366039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大口電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6366039-貴金属の回収方法 図000002
  • 特許6366039-貴金属の回収方法 図000003
  • 特許6366039-貴金属の回収方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366039
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】貴金属の回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 11/00 20060101AFI20180723BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20180723BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20180723BHJP
   C22B 3/16 20060101ALI20180723BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C22B11/00 101
   C22B7/00 GZAB
   C22B3/06
   C22B3/16
   B09B3/00 304J
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-93245(P2015-93245)
(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公開番号】特開2016-211020(P2016-211020A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】503404707
【氏名又は名称】大口電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】特許業務法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】周防原 憲
(72)【発明者】
【氏名】米倉 奨
(72)【発明者】
【氏名】前場 和也
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05071476(US,A)
【文献】 特開平02−159324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00〜61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に貴金属が塗布された体原料と前記貴金属を溶解する溶解液を可傾式ミキサーのドラムへ投入し回転駆動させて、投入物を混合攪拌して貴金属を回収するに際し、前記ミキサーの前記ドラム傾斜角度が水平方向に対し20°〜30°の角度となるように寝かせ、前記ドラム下部に存在する体原料の攪拌を促進するとともに、
前記ドラムへ処理液を送るための送液パイプ、前記ドラムから処理液を排出するための排液パイプ、前記排液パイプを経由して前記ドラムから処理液を排出し前記送液パイプを経由して前記ドラムへ処理液を送るためのポンプとから構成された処理液循環手段を設け、前記送液パイプの前記ドラム側先端の吐出口を該ドラム内の処理液の液面より上に位置させ、前記排液パイプの前記ドラム側先端の吸入口を該ドラム内の処理液の液面にほぼ等しい高さに位置させるようにし、前記ポンプを介して、前記ドラム内に吐出された溶解剥離処理液の液面が、前記排液パイプの前記ドラム側先端の吸入口の高さ以上になったときに、前記排液パイプの前記ドラム側先端の吸入口の高さ以上になった分の溶解剥離処理液を該ドラム側先端の吸入口から吸い上げて、前記ドラム内の処理液の液面をほぼ一定の高さに保ちながら、常時、前記固体原料を処理液に接触させるように、前記ポンプで前記排液パイプを経由して前記ドラム内から吸い上げた処理液を前記ドラム上部より処理液の液面より露出している原料へ前記送液パイプを経由してシャワー噴霧することにより溶解性を向上させるようにしたことを特徴とする貴金属の回収方法。
【請求項2】
処理液貯留用のタンクを設け、前記排液パイプの処理液は前記タンクに送られ、前記タンクに貯留されている処理液は前記送液パイプにより前記ドラムへ送られることを特徴とする請求項に記載の貴金属の回収方法。
【請求項3】
前記基材上に貴金属が塗布された体原料は鉄系の合金基材上に銀ロウ等の銀系合金が塗布されている体原料であり、前記貴金属を溶解する溶解液は硝酸系溶液あるいはシアン系溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属の回収方法に関し、特に銀又は銀系合金を被覆した基材表面から銀又は銀系合金を溶解剥離して銀を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子材料には、鉄系の合金基材上に銀ロウ等の銀系合金を塗布または成膜して銀ロウ被覆鉄合金としたものを用いることが広く行われている。例えば、セラミックやガラスに近い熱膨張係数を示す鉄・ニッケル・コバルト合金製薄板材の両表面に銀ロウを塗布したものは、金属とセラミックやガラスとの接合に適しており、接合面の形状に合わせて打ち抜き加工した上で、圧電振動子や圧電発振器などの気密封入などに利用される。
【0003】
このような銀ロウを被覆した鉄合金を電子材料として利用する場合には、打ち抜き屑などの加工屑が多量に発生する。例えば鉄・ニッケル・コバルト合金などの高価な鉄系合金基材上に銀系合金の銀ロウを塗布している場合には、基材自身や塗布された銀もそれぞれ回収して再生利用されることが望まれている。
【0004】
特に鉄系合金基材では、合金成分に上記のようにニッケルやコバルトといった高価な金属を用いているため、好ましくは全量溶解せずに、しかも被覆した銀ロウ等の銀系合金の部分だけを分離して回収することが望まれている。
【0005】
研削など機械的な方法による分離については不完全となり、しかも新たなコンタミネーションを生じる懸念もあるため好ましくない。
【0006】
貴金属が基材表面に付着している電子部品スクラップなどの体原料から、貴金属を溶解剥離して回収するために酸やアルカリ液を用いた湿式プロセスによる溶解剥離処理が一般的に知られている。しかし、体原料表面に付着した貴金属を酸やアルカリ液に接触させて溶解剥離する上で、液に浸漬させただけでは体原料同士の重なりが生じるため、重なった部分について溶解剥離液との接触が低下し、貴金属を完全に溶解剥離することが難しい。
【0007】
そのため、特許文献として示す特開平2−159324号公報に開示されているようなバレル装置や、ミキサー等の回転装置を用いて処理することが一般的に行われている。但し、傾動式のミキサー回転装置による処理においては、体原料同士が重なりやすく常にフレッシュな面が露出しないため、処理時間にも影響を受けるが、被覆材が完全に溶解できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−159324公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
体原料と溶解剥離処理液をミキサーのドラムへ投入して回転させ、投入した体原料を回転移動させて貴金属を回収する方法において、ミキサーのドラムの水平方向に対する傾斜角度が大きいと、すなわちドラムが垂直に近く立っているほど上部に存在する体原料の自重により下部の体原料の移動量が小さくなり、残渣中に貴金属が残留しやすくなる。そのため、溶解液と体原料の接触を促進して効率的に処理できる装置及び方法が望まれている。
【0010】
そこで、本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、投入した体原料を回転移動させて貴金属を回収する方法において、ミキサーのドラム下部に存在する原料の攪拌を促進することにより、溶解性を向上させた貴金属の回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の貴金属の回収方法は、基材上に貴金属が塗布された体原料と前記貴金属を溶解する溶解液を可傾式ミキサーのドラムへ投入し回転駆動させて、投入物を混合攪拌して貴金属を回収するに際し、前記ミキサーの前記ドラム傾斜角度が水平方向に対し20°〜30°の角度となるように寝かせ、前記ドラム下部に存在する体原料の攪拌を促進するとともに、前記ドラムへ処理液を送るための送液パイプ、前記ドラムから処理液を排出するための排液パイプ、前記排液パイプを経由して前記ドラムから処理液を排出し前記送液パイプを経由して前記ドラムへ処理液を送るためのポンプとから構成された処理液循環手段を設け、前記送液パイプの前記ドラム側先端の吐出口を該ドラム内の処理液の液面より上に位置させ、前記排液パイプの前記ドラム側先端の吸入口を該ドラム内の処理液の液面にほぼ等しい高さに位置させるようにし、前記ポンプを介して、前記ドラム内に吐出された溶解剥離処理液の液面が、前記排液パイプの前記ドラム側先端の吸入口の高さ以上になったときに、前記排液パイプの前記ドラム側先端の吸入口の高さ以上になった分の溶解剥離処理液を該ドラム側先端の吸入口から吸い上げて、前記ドラム内の処理液の液面をほぼ一定の高さに保ちながら、常時、前記固体原料を処理液に接触させるように、前記ポンプで前記排液パイプを経由して前記ドラム内から吸い上げた処理液を前記ドラム上部より処理液の液面より露出している原料へ前記送液パイプを経由してシャワー噴霧することにより溶解性を向上させるようにしたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の貴金属の回収方法においては、処理液貯留用のタンクを設け、前記排液パイプの処理液は前記タンクに送られ、前記タンクに貯留されている処理液は前記送液パイプにより前記ドラムへ送られるようにすることが好ましい。
【0014】
また、本発明の貴金属の回収方法においては、前記基材上に貴金属が塗布された体原料は鉄系の合金基材上に銀ロウ等の銀系合金が塗布されている体原料であり、前記貴金属を溶解する溶解液は硝酸系溶液あるいはシアン系溶液であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の貴金属の回収方法においては、前記一定の角度は30°であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
ミキサーのドラムの水平方向に対する角度を20°〜30°と小さくして傾斜角度を緩やかにすることにより、投入した体原料、特にドラム下部の体原料の攪拌性が促進され、処理後の基材中の貴金属の残留を一定の値(例えば銀の残留を50ppm)以下にすることが可能となるとともに、常時、固体原料を処理液に接触させるように、ポンプで排液パイプを経由してドラム内から抜いた処理液をドラム上部より処理液の液面より露出している原料へ送液パイプを経由してシャワー噴霧することにより、基材からの貴金属の溶解性が向上する
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明で使用する可傾式ミキサーと処理液貯留用タンクを備えた貴金属の溶解剥離装置の説明図である。
図2図1に示す貴金属の溶解剥離装置を用いた本発明の貴金属の回収方法の説明図である。
図3】ドラムの傾斜角度と銀の残留量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の貴金属の回収方法は、例えば鉄系の合金基材上に銀ロウ等の銀系合金を塗布した体原料と硝酸系溶液あるいはシアン系溶液を可傾式ミキサーのドラムへ投入し回転駆動させて、投入物を混合攪拌して銀を回収するに際し、ミキサーのドラム傾斜角度が水平方向に対し20°〜30°の角度となるように寝かせる。このようにすることにより、ドラム下部に存在する原料の攪拌が促進され溶解性が向上する。
【0019】
投入する体原料とドラムの処理液の保有量及びミキサーの攪拌性を考慮すると、ミキサーのドラムの水平方向に対する最適角度は30°〜45°であると考えられる。ドラムが垂直に近く立っているほどドラムの処理液の保有量が多くなり投入できる体原料の量も多くできる。しかし、粒径および形状の違う体原料を混合して処理する場合、形状の小さな原料はミキサーのドラム下部に移動してきて、上部に存在する形状の大きな原料に押しつけられるため、うまく攪拌されず密着した状態になり溶解剥離が不十分となることが確認されていた。そこで、本発明では、ミキサーのドラムの水平方向に対する角度を例えば20°〜30°傾け、ドラム上部に存在する形状の大きな原料による押し付けが緩やかにり、ドラム下部に存在していた原料も含めて、攪拌状態すなわち液中での流動性が促進されることとなる。
【0020】
また、ドラムへ処理液を送るための送液パイプ、ドラムから処理液を排出するための排液パイプ、及び排液パイプを経由してドラムから処理液を排出し送液パイプを経由してドラムへ処理液を送るためのポンプから構成された処理液循環手段を設け、送液パイプのドラム側先端の吐出口をドラム内の処理液の液面より上に位置させ、排液パイプのドラム側先端の吸入口をドラム内の処理液の液面にほぼ等しい高さに位置させるようにし、ポンプを介して、ドラム内に吐出された溶解剥離処理液の液面が、排液パイプのドラム側先端の吸入口の高さ以上になったときに、排液パイプのドラム側先端の吸入口の高さ以上になった分の溶解剥離処理液をドラム側先端の吸入口から吸い上げて、ドラム内の処理液の液面をほぼ一定の高さに保ちながら、常時、固体原料を処理液に接触させるように、ポンプで排液パイプを経由してドラム内から吸い上げ処理液をドラム上部より処理液の液面より露出している原料へ送液パイプを経由してシャワー噴霧するようにする。
【0021】
体原料が液面から露出する状況の際には、ドラム上部から溶解剥離液をシャワー噴霧して、常時、体原料と処理液を接触させることにより固体原料への処理液の接触が促進されて溶解剥離時間の短縮が可能となる。そして、例えば銀を回収する場合には溶解した処理液について、塩酸を添加して塩化銀として銀のみを選択的に回収することができる。
【0022】
次に、本発明の貴金属の回収方法の説明に先立ち、本発明で使用する貴金属の溶解剥離装置の一例を図1に基づいて説明する。
図1に示す貴金属の溶解剥離装置は、可傾式ミキサー1と、処理液貯留用のタンク2と、処理液循環手段3より構成されている。
【0023】
可傾式ミキサー1はコンクリートのミキシングなどに使用されている傾胴式のミキサーと基本的には同じ構造であり、基台11とドラム12とドラム12の駆動装置13より構成されている。ドラム12はドラムの下部と上部の口径が徐々に小さくなるように形成され上端部は開口しており、またドラム内部には攪拌用の突起部が設けられている。駆動装置13は、ドラム12の上下方向の中心を回転軸としてドラム12を回転させるためにドラム12の下端部に設けられたモータ131と、ドラム12を傾かせるためのドラム回動装置132より構成されている。ドラム回動装置132により、ドラム12は任意の角度に回動できるようになっている。なお、本出願ではドラム12の回転軸が水平方向に対してなす角度Aをドラム12の傾斜角度とする。
【0024】
処理液貯留用のタンク2は処理液を貯留可能であれば材質や形状に制限はない。容量については、ミキサーのドラム12の処理液を投入できる有効容量が最大C[リットル]とした場合、ドラム12単体の可能処理量を超えて体原料を混合攪拌させ貴金属を回収できるように、投入された体原料に対しC[リットル]を超えた分の処理液を少なくとも蓄えられる容量とする。
【0025】
処理液循環手段3は、タンク2からドラム12へ送液するために設けられた送液パイプ31、ドラム12からタンク2へ排液するために設けられた排液パイプ32、送液パイプ31と排液パイプ32によりドラム12とタンク2の間で処理液を循環させるために設けられたポンプ33とから構成されている。
【0026】
ポンプ33としては、例えば送液パイプ31には送液用エアードポンプ331が、排液パイプ32には排液用エアードポンプ332がそれぞれ設けられている。エアードポンプは空運転でも支障が出ず、また耐薬品性にも優れているため好ましいが、送液パイプ31や排液パイプ32の取り付け位置などによっては他のポンプ形式でもよい。またタンク2を設けず、ドラムから抜いた処理液をそのままドラムの液面の上から噴霧させるような場合にはポンプ33は一台でもよい。
【0027】
次に、上記の貴金属の溶解剥離装置を用いた本発明の貴金属の回収方法を図2に基づいて説明する
【0028】
傾式ミキサーのドラム12とタンクにそれぞれ所望量の処理液を入れてドラム12体原料を投入する。そして、ドラム12をドラム回動装置132によりドラム傾斜角度が水平方向に対し20°〜30°の角度となるよう寝かせ、モータ131を運転してドラム12を所望時間回転させて攪拌混合する。このようにすると、ドラム12下部に存在する固体原料の攪拌も促進されるため、固体原料全体が均一に溶解することとなる。また、ドラム12の回転による攪拌混合とともに、ドラム12とタンク2の間で処理液を送液用エアードポンプ331と排液用エアードポンプ332で循環させ、送液パイプ31のドラム側先端の吐出口から処理液をシャワー噴霧し、処理液の液面Wから飛び出している体原料に吹き付けるようにする。
【0029】
なお、この場合送液パイプ31のドラム12側先端の吐出口はドラム12の処理液の液面Wより上に位置させ、排液パイプ32のドラム12側先端の吸入口はドラム12の処理液の液面Wにほぼ等しい高さに位置させるようにする。このようにすることにより、液面Wをドラム12内でほぼ一定の高さに保つことができる。排液用エアードポンプ332により、ドラム内の溶解剥離処理液の液面Wが、排液パイプ32のドラム側先端の吸入口の高さ以上になった時には速やかに吸入口321より高くなった分の溶解剥離処理液だけ吸入口321から吸い上げられてタンク2へ排液されることとなる。また、送液用エアードポンプ331により送液パイプ31から吐出される処理液が液面Wから飛び出している体原料にシャワーのように降りかかることにより固体原料への処理液の接触が促進されて溶解剥離が促進されることとなる。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
銀品位17%の体原料15kgと銀品位17%の体原料15kgに対して有効容量の200Lの溶解液をミキサーのドラムに投入し、ドラムの傾斜角度を30°に設定し、2時間攪拌処理した後の、残渣である基材中の銀の残留量を調べたところ、約50ppmであった。
【0031】
次に、同じ銀品位17%の体原料15kgに対して有効容量の200Lの溶解液で、ドラムの傾斜角度を15°、25°、35°、45°に設定して、それぞれ2時間攪拌処理した後の残渣である基材中の銀の残留量を確認した。その結果を図3に示す。
ミキサーのドラム傾斜角度が15°と25°の場合は、銀の残留量が10ppm程度であり、50ppm以下の結果となったが、35°を超えると50ppm以上の残留量であった。処理後の銀の残留量は50ppm以下とすることが望ましい。ただし、傾斜角度を小さくし過ぎるとドラムの有効容量が減り過ぎ、一度に処理できる体原料の量が少なくなり過ぎ。このため、ドラムの傾斜角度は20°〜30°が必要であり、好ましくは25°〜30°がである。
【0032】
(実施例2)
実施例1と同じく、銀品位17%の体原料15kgと銀品位17%の体原料15kgに対して有効容量の200Lの溶解液をミキサーのドラムに投入し、ドラムの傾斜角度を20°に設定して、上述したシャワー噴霧を追加した試験を実施した。
シャワー噴霧をしない状況では銀の残留量が10ppm以下まで低減するのに2時間費やしていたのに対し、1時間45分で同等の10ppm以下まで低減できており、シャワー噴霧が溶解時間短縮に効果があることが確認できた。
【0033】
なお、上記各実施例は貴金属が銀の場合について説明したが、本発明の回収方法が適用できる貴金属は銀に限定されるものではなく、その他通常回収が行われている金、白金、パラジウムなど各種の貴金属についても適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 可傾式ミキサー
11 基台
12 ドラム
13 駆動装置
131 モータ
132 回転装置
2 タンク
3 循環手段
31 送液パイプ
32 排液パイプ
33 ポンプ
331 送液用エアードポンプ
332 排液用エアードポンプ
A 傾斜角度
W 液面
図1
図2
図3