(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、ドラム式の洗濯乾燥機1(家電機器および洗濯機に相当)の外殻を形成する外箱1aは、前板と後板と左側板と右側板と底板と天板とを有する中空状をなすものであり、外箱1aの前板には貫通孔状の出入口2が形成されている。
【0009】
外箱1aの前板には扉3が装着されている。扉3は使用者が前方から閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能なもので、扉3の閉鎖状態では出入口2が閉鎖され、扉3の開放状態では出入口2が開放される。外箱1aの内部には水受槽4が固定されている。水受槽4は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、軸心線CLが前から後に向けて下降する傾斜状態に配置されている。水受槽4は前面が開口するものであり、扉3の閉鎖状態では扉3が水受槽4の前面を気密状態に閉鎖する。
【0010】
水受槽4の後板には、水受槽4の外部に位置してドラムモータ5が固定されている。ドラムモータ5は速度制御可能なDCブラシレスモータからなり、ドラムモータ5の回転軸6は水受槽4の内部に突出している。回転軸6は水受槽4の軸心線CLに重ねて配置されたものであり、回転軸6には水受槽4の内部に位置してドラム7が固定されている。ドラム7は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、ドラムモータ5の運転状態で回転軸6と一体的に回転する。ドラム7の前面は水受槽4の前面を介して出入口2に後方から対向しており、ドラム7の内部には扉3の開放状態で前方から出入口2と水受槽4の前面とドラム7の前面を通して洗濯物が出し入れされる。
【0011】
ドラム7には、複数の貫通孔8が形成されており、ドラム7の内部空間は複数の貫通孔8のそれぞれを通して水受槽4の内部空間に接続されている。ドラム7には複数のバッフル9が固定されている。複数のバッフル9のそれぞれはドラム7が回転することに応じて軸心線CLを中心に円周方向へ移動する。ドラム7内の洗濯物は、複数のバッフル9のそれぞれに引掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。
【0012】
外箱1aの内部には、給水弁10が固定されている。給水弁10は入口および出口を有するものであり、給水弁10の入口は水道の蛇口に接続されている。給水弁10は給水弁モータ(図示略)を駆動源とするものであり、給水弁10の出口は、上記給水弁モータの回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切り換えられる。給水弁10の出口は、注水ケース12に接続されており、給水弁10の開放状態では水道水が給水弁10を通して注水ケース12内に注入され、給水弁10の閉鎖状態では水道水が注水ケース12内に注入されない。注水ケース12は外箱1aの内部に水受槽4より高所に位置して固定されたものであり、筒状の注水口13を有している。注水口13は水受槽4の内部に挿入されており、給水弁10から注水ケース12内に注入された水道水は注水口13から水受槽4の内部に注入される。
【0013】
水受槽4には、最底部に位置して排水管14の上端部が接続されており、排水管14には排水弁15が介在されている。排水弁15は排水弁モータ(図示略)を駆動源とするものであり、上記排水弁モータの回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切り換えられる。排水弁15の閉鎖状態では注水口13から水受槽4内に注入された水道水が水受槽4内に貯留され、排水弁15の開放状態では水受槽4内の水道水が排水管14を通して水受槽4の外部に排出される。
【0014】
外箱1aの底板には、水受槽4の下方に位置してメインダクト17が固定されている。メインダクト17は前後方向へ指向する筒状をなすものであり、メインダクト17の前端部には前ダクト18の下端部が接続されている。前ダクト18は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、前ダクト18の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の前端部で接続されている。メインダクト17の後端部にはファンケーシング19が固定されている。ファンケーシング19は貫通孔状の吸気口20および筒状の排気口21を有するものであり、ファンケーシング19の内部空間は吸気口20を介してメインダクト17の内部空間に接続されている。
【0015】
ファンケーシング19には、ファンケーシング19の外部に位置してファンモータ22が固定されている。ファンモータ22はファンケーシング19の内部に突出する回転軸23を有するものであり、回転軸23にはファンケーシング19の内部に位置してファン24が固定されている。ファン24は軸方向から空気を吸込んで径方向へ吐出する遠心式のものであり、ファンケーシング19の吸気口20はファン24にファン24の軸方向から対向し、ファンケーシング19の排気口21はファン24にファン24の径方向から対向している。
【0016】
ファンケーシング19の排気口21には、後ダクト25の下端部が接続されている。後ダクト25は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、後ダクト25の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の後端部で接続されている。後ダクト25とファンケーシング19とメインダクト17と前ダクト18と水受槽4とは、水受槽4の内部空間を始点および終点のそれぞれとする環状の循環ダクト26を構成するものであり、扉3の閉鎖状態でファンモータ22が運転されている場合にはファン24が一定方向へ回転することに基づいて水受槽4内の空気が前ダクト18内からメインダクト17内を通してファンケーシング19内に吸引され、ファンケーシング19内から後ダクト25内を通して水受槽4内に戻される。
【0017】
外箱1aの内部には、コンプレッサ(圧縮機)27が固定されている。コンプレッサ27は循環ダクト26の外部に配置されたものであり、冷媒を吐出する吐出口および冷媒を吸込む吸込口を有している。コンプレッサ27はコンプモータ28(
図2参照)を駆動源とするものであり、コンプモータ28は速度制御可能なDCブラシレスモータから構成されている。
【0018】
メインダクト17の内部には、コンデンサ(凝縮器)29が固定されている。コンデンサ29は空気を加熱するものであり、蛇行状に曲折する1本の冷媒管30の外周面に板状をなす複数の加熱フィン31のそれぞれを接触状態で固定することから構成されている。コンデンサ29の冷媒管30はコンプレッサ27の吐出口に接続されており、コンプモータ28の運転状態ではコンプレッサ27の吐出口から吐出された冷媒がコンデンサ29の冷媒管30内に進入する。
【0019】
メインダクト17の内部には、エバポレータ33が固定されている。エバポレータ33は空気を冷却するものであり、コンデンサ29よりも空気の流れの上流側に配置されている。また、図示は省略するが、この場合、コンデンサ29の下流側で冷媒の流れを絞る絞り器(減圧器)として、電子式膨張弁(PMV:Pulse Motor Valve)が用いられている。
【0020】
外箱1aの前面上部には操作パネル部34が設けられている。操作パネル部34(表示手段に相当)には、各種の情報を表示するための表示器、各種の操作を行うための操作スイッチ(図示略)、各種の制御動作を行う制御回路35A、35B(
図2参照)などが設けられている。
【0021】
図2は、ドラムモータ5、ファンモータ22およびコンプモータ28の駆動制御系を概略的に示すものである。インバータ回路41は、6個のIGBT(スイッチング素子)42a〜42fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT42a〜42fのコレクタ・エミッタ間には、フライホイールダイオード43a〜43fが接続されている。インバータ回路41の各相出力端子は、ドラムモータ5の各相巻線に接続されている。
【0022】
下アーム側のIGBT42d、42e、42fのエミッタは、シャント抵抗44u、44v、44wを介してグランドに接続されている。また、IGBT42d、42e、42fのエミッタとシャント抵抗44u、44v、44wとの共通接続点は、制御回路35Aの入力端子に接続されている。制御回路35Aは、マイクロコンピュータ(マイコン)およびゲートドライバなどを備えている。
【0023】
制御回路35Aの内部では、図示しないが、オペアンプなどを含んで構成されレベルシフト回路により、シャント抵抗44u〜44wの端子電圧を増幅するとともに、その増幅信号の出力範囲が正側に収まるように(例えば、0〜+5V)バイアスを与える。また制御回路35Aには、インバータ回路41の上下アームが短絡した場合に回路の破壊を防止するために過電流検出を行う機能がある。
【0024】
制御回路35Aは、洗濯乾燥機1の作動全般を制御する。すなわち、制御回路35Aは、操作パネル部34の操作スイッチの操作に応じて給水弁10、ドラムモータ5および排水弁15などを制御し、洗い、すすぎおよび脱水の洗濯運転や、ファンモータ22およびコンプモータ28などを制御することにより乾燥運転を実行する。さらに、制御回路35Aは、ITアダプタ45(通信手段に相当)を介して、家庭内通信回線に接続可能であり、その家庭内通信回線に接続される外部の機器(通信端末)と通信を行うことが可能となっている。
【0025】
そして、ファンモータ22に対しては、同様に構成されるインバータ回路46およびシャント抵抗47(u、v、w)が配置され、コンプモータ28に対しては、インバータ回路48およびシャント抵抗49(u、v、w)が配置されている。インバータ回路46および48の制御は、もう1つの制御回路35Bによって行われ、制御回路35A、35Bは、シリアル通信による双方向通信が可能となっている。
【0026】
インバータ回路41、46、48の入力側には、駆動用電源回路50(直流電源回路に相当)が接続されている。駆動用電源回路50は、100Vの交流電源に対し、一端側にリアクトル51を介して接続され、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路52と、全波整流回路52の出力側に直列接続された2個のコンデンサ53a、53bとを備えている。コンデンサ53a、53bの共通接続点は、全波整流回路52の入力端子の一方に接続されている。駆動用電源回路50は、後述するリアクトル51を用いた昇圧動作を行わない場合には、100Vの交流電源を倍電圧全波整流するとともに平滑し、約280Vの直流電圧をインバータ回路41などに供給する。
【0027】
全波整流回路52の入力端子には、同様にダイオードブリッジで構成されるもう1つの全波整流回路54が並列に接続されている。全波整流回路54の出力端子間には、IGBT55が接続されている。IGBT55のオンオフ制御は、制御回路35Bにより行われる。なお、本実施形態では、リアクトル51、全波整流回路54およびIGBT55により、部分スイッチング方式の力率改善回路56が構成されている。
【0028】
インバータ回路41、46の入力端子間には、それぞれ抵抗57aおよび57bの直列回路、抵抗58aおよび58bの直列回路が接続されており、それぞれの共通接続点は、制御回路35A、35Bの入力端子に接続されている。制御回路35A、35Bは、上記各共通接続点の電圧を参照することで、インバータ回路41、46に入力される駆動電源電圧(直流電圧に相当)の電圧値を検出する。従って、本実施形態では、抵抗57a、57b、58a、58bは、電圧検出手段に相当する。
【0029】
また、ドラムモータ5に対しては、ロータ位置を検出するため、例えばホールICなどで構成される位置センサ59(u、v、w)が配置されており、位置センサ59が出力するセンサ信号は、制御回路35Aに与えられている。また、交流電源とリアクトル51との間には、例えばカレントトランス(CT)などからなる電流センサ60が介挿されており、電流センサ60が出力する検出信号(検出値)は、制御回路35Bに与えられている。制御回路35Bは、電流センサ60から与えられる検出信号を参照することで、駆動用電源回路50への入力電流を検出する。従って、本実施形態では、電流センサ60は、電流検出手段に相当する。
【0030】
なお、この場合、電流センサ60(カレントトランス)は、力率改善回路56の動作を制御するために用いられるので、比較的大きい電流を精度よく検出できる仕様になっている。言い換えると、電流センサ60は、比較的小さい電流を検出することができない仕様であり、一定値(例えば、消費電力で80W程度)以上の電流が流れないときには、ゼロを表す検出信号(検出値)を出力するようになっている。
【0031】
制御回路35A、35Bは、モータ5、22、28の各相巻線に流れる電流を検出し、その電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θ及び回転角速度ωを推定するとともに、三相電流を直交座標変換及びdq(direct-quadrature)座標変換することで励磁電流成分Id、トルク電流成分Iqを得る。そして、制御回路35A、35Bは外部より速度指令が与えられると、推定した位相θおよび回転角速度ω並びに電流成分Id、Iqに基づいて電流指令Idref、Iqrefを生成し、それらを電圧指令Vd、Vqに変換すると直交座標変換および三相座標変換を行う。最終的には、駆動信号がPWM信号として生成され、インバータ回路41、46、48を介してモータ5、22、28の各相巻線に出力される。また、制御回路35Aは、例えば脱水運転などにおいてドラムモータ5を高速回転させる場合には、弱め界磁制御を行うようになっている。
【0032】
詳細は後述するが、制御回路35Aは、洗濯乾燥機1において消費される電力(機器全体の消費電力)を推定する機能、洗濯運転に係る消費電力量、電気料金、水道料金、総合的なコスト(金額)などを演算する機能を備えている。また、制御回路35Aは、推定または演算することにより取得される各種の情報を操作パネル部34の表示器に表示する機能を備えている。さらに、制御回路35Aは、ITアダプタ45を介した通信により上記各種の情報を外部の機器が有する表示器に表示する機能を有している。従って、本実施形態では、制御回路35Aは、電力推定手段、電気関係演算手段、電気料金演算手段、水道料金演算手段、総合演算手段および表示制御手段に相当し、操作パネル部34は、表示手段に相当する。
【0033】
電源回路61は、降圧型のDC−DCコンバータであり、駆動用電源回路50から与えられる直流電圧を降圧して出力する。電源回路61から出力される+5Vの直流電圧は、制御回路35A、35Bのマイコンに与えられる。また、電源回路61から出力される+15Vの直流電圧は、制御回路35A、35Bのゲートドライバに与えられる。
【0034】
上記構成の洗濯乾燥機1の一連の工程動作は、次のとおりである。すなわち、最初に、洗濯物の重量センシングが行われる。その後、ドラム7に注水した後、約46rpmの回転数でドラム7を正反転させて洗い動作が行われる。それから、中間脱水が行われた後、再度注水してすすぎ動作が行われるが、中間脱水におけるドラム7の回転数は約1200rpm、すすぎ動作については洗い動作と同様の約46rpmである。なお、すすぎ動作が行われる前には、シャワー給水および中間脱水が2回繰り返される。続いて、回転数:約1700rpmで最終脱水が行われると、コンプレッサ27およびファン24を動作させてドラム7に温風を送風しつつ、約46rpmで正反転させて除湿乾燥動作が行われる。
【0035】
制御回路35Bは、上記一連の動作中に、IGBT55のオン/オフを次のように制御することで、駆動電源電圧を制御する。すなわち、洗い動作やすすぎ動作において、ドラム7を約46rpmで正反転させている場合であれば、IGBT55をオフ状態に維持して、全波整流回路52の入力側は短絡させない。従って、この場合、後述する昇圧動作は行われない。
【0036】
中間脱水や最終脱水動作のようにドラム7を高速回転させる場合、電流センサ60による検出値を監視し、駆動用電源回路50への入力電流が所定の判定値(例えば、消費電力で500W)以上であるか否かが判断される。所定値以上の入力電流が流れていると判断されると、IGBT55を、交流電源電圧の半周期内(電圧波形のゼロクロス点間)で複数回(例えば2回)オンさせるようゲートにパルス信号(短絡パルス)を与え、全波整流回路52の入力側を短絡させる。IGBT55をオンさせて全波整流回路52の入力側を短絡させると、その間、リアクトル51に電磁エネルギーを蓄積させることができ、その後にIGBT55をオフさせれば、蓄積されたエネルギーに応じた分の電流をリアクトル51が流すことで昇圧動作が行われる。
【0037】
この時、IGBT55をオンさせる時間を長くしてもリアクトル51に蓄積される電磁エネルギーが飽和するため、1回の短絡によって昇圧できる電圧には限界がある。しかし、交流電源電圧の半周期内でIGBT55を複数回オンさせて短絡を行うようにすると、その回数に応じて昇圧電圧を上昇させることができる。なお、本実施形態では、電流センサ60により交流電流(入力電流)を検出することになるが、商用交流電源では電圧、電流は同相であるから、交流電流のゼロクロス点は交流電圧のゼロクロス点に一致している。
【0038】
また、洗い・すすぎ動作のようにドラム7を正反転させず、且つ、脱水動作のようにドラム7を高速回転させない場合は、コンプレッサ27が動作していることで、判定値以上の入力電流が流れているか否かが判断される。大電流が流れていれば(例えば乾燥動作や室内に冷風を送風するエアコン機能で動作している場合などで、コンプモータ28の回転数、冷媒圧力が上昇した場合など)、IGBT55を、交流電源電圧の半周期内で1回だけオンさせて、全波整流回路52の入力側を短絡させる。この場合は、昇圧動作ではなく、交流電源の力率を改善する動作(高調波抑制動作)となる。
【0039】
図3は、上述した制御が行われることにより、駆動電源電圧が変化する状態を示すもので、洗濯乾燥機1の運転状態としては、脱水を行うとともにコンプレッサ27を動作させ、入力電力の合計が約650W(交流電源電圧105V)となっている場合である。
図3(a)に示すように、IGBT55をオフ状態に維持した場合、出力電流がゼロの状態で295Vであった直流電圧が、出力電流およびラインインピーダンスの影響により230Vまで低下している。この状態から、
図3(b)に示すように、IGBT55を交流電源電圧の半周期内で1回だけオンさせると、交流電流の力率が改善されて高調波も低減されるとともに、直流電圧は265Vまで上昇している。さらに、
図3(c)に示すように、IGBT55を交流電源電圧の半周期内で2回オンさせると、直流電圧は295Vまで上昇している。
【0040】
IGBT55のオンタイミングは、
図4に示すとおりである。すなわち、判定値以上の入力電流が流れている場合(500W以上の消費電力となる場合に相当)、ゼロクロス点(時刻t0)から時間Aだけ経過した後の時点(時刻t1)に時間B(時刻t1〜t2の期間)のパルス幅を持つ短絡パルスを発生する。この場合、時間Aは、交流電源の周波数および電流センサ60の検出値から求められる入力電流(ただし、以下では消費電力に換算した表示とする)の大きさに応じて変化させる。具体的には、交流電源の周波数が50Hzの場合、2.15m秒(500Wのとき)〜2.49m秒(1200Wのとき)の間で変化させる。また、交流電源の周波数が60Hzの場合、1.95m秒(500Wのとき)〜2.26m秒(1200Wのとき)の間で変化させる。なお、1200W以上の場合には、時間Aは1200Wのときと同じ時間となる。
【0041】
また、この場合、時間Bは、入力電流の大きさに応じて、0.58m秒(500Wのとき)〜0.647m秒(1200Wのとき)の間で変化させる。なお、前述したとおり、500W未満の場合には、短絡パルスは出力されないため、時間B=0となる。また、1200W以上の場合には、時間Bは1200Wのときと同じ時間となる。なお、
図4における時間C(時刻t2〜t3の期間)は、交流電源電圧の半周期を示している。従って、時間Cは、交流電源の周波数が50Hzのときには10m秒となり、60Hzのときには8.2m秒となる。このように、本実施形態では、入力電流が大きいほど力率の補正効果および昇圧効果を高めるべく、短絡パルスの幅を太くしたり、交流電圧の波高値が高いタイミングで短絡パルスを発生させたりしている。
【0042】
続いて、消費電力の推定方法について
図5のフローチャートを参照して説明する。
洗濯乾燥機1の消費電力は、駆動用電源回路50への入力電流を検出するための電流センサ60の検出値を用いた一次式で近似することができる(回帰分析)。しかし、電流センサ60の検出値だけが考慮された一次式では、力率改善回路56の動作による上記検出値の変化(減少)を補償することはできない上、駆動電源電圧の変化による消費電力の変動も補償することができない。
【0043】
そこで、本実施形態では、まず、電流センサ60の検出値を用いた一次式により得られる消費電力の推定値を、駆動電源電圧の検出値を用いて補正する内容の下記(1)式に示す演算が行われる(S1)。ただし、電流センサ60の検出値を「CT値」とし、駆動電源電圧の検出値を「DC電圧値」とする。
消費電力=(CT値×5+80)/(2−(DC電圧値×6.33/100000)) …(1)
【0044】
駆動電源電圧の検出値による補正は、具体的には次のようなものである。すなわち、上記(1)式の右辺分母の項は、駆動電源電圧が定常値(例えば280V)であるときに「1」となるようになっている。そして、上記右辺分母の項は、駆動電源電圧が定常値より高くなるほど「1」より小さくなり、駆動電源電圧が低くなるほど「1」より大きくなる。つまり、上記(1)式によれば、一次式により推定された消費電力(=右辺分子の項)が、駆動電源電圧が高くなるほど大きくなるように補正されるとともに、低くなるほど小さくなるように補正される。
【0045】
本実施形態では、実機を用いた試験を事前に行い、電流センサ60の検出値および駆動電源電圧の検出値と、洗濯乾燥機1の消費電力(電力計などを用いた実測値)との関係を調査し、その結果に基づいて上記(1)式における各数値(パラメータ)を決定している。従って、上記(1)式の右辺分子の各パラメータは、使用する電流センサ60(カレントトランス)の特性に応じて適宜変更すればよい。また、上記(1)式の右辺分母の各パラメータは、使用する駆動用電源回路50、インバータ回路41、46、48およびモータ5、22、28などの特性に応じて適宜変更すればよい。
【0046】
このような(1)式により得られる消費電力の値は、洗濯乾燥機1の運転状態によっては、そのまま消費電力の推定結果として用いることができる場合(CT値≠0、入力電流≧400W相当、弱め界磁制御の実施の程度が大)も存在するが、それ以外の場合には、推定精度を高めるための更なる工夫を施す必要がある。そこで、本実施形態では、ステップS1の実行後、さらに次のような処理が行われる。
【0047】
前述したように、電流センサ60は、一定値以上の電流が流れない場合、その検出値がゼロのままとなり、入力電流を正確に検出することはできない。言い換えると、検出値がゼロである場合(CT値=0)、実際に入力電流が流れていないのか、あるいは、消費電力で80W相当未満の入力電流が流れているのか、のいずれであるかが分からない。そのため、上記(1)式では正確な消費電力を推定することができない。そこで、本実施形態では、次のような点に着目し、電流センサ60の検出値がゼロである場合に上記いずれのケースであるかを判別する。
【0048】
すなわち、上記各ケースのうち、前者は脱水後のブレーキ中である可能性が高く、後者は洗濯・すすぎ運転または低速の脱水運転の実行中である可能性が高い。脱水後のブレーキ中と、洗濯・すすぎ運転および低速の脱水運転の実行中とでは、ドラムモータ5の回転数が異なる。具体的には、本実施形態の場合、ドラムモータ5の回転数は、洗濯・すすぎ運転および低速の脱水運転の実行中には250rpm以下になるが、脱水後のブレーキ中には250rpmより高くなる。
【0049】
このような点を踏まえ、ステップS1の実行後、まず、電流センサ60の検出値がゼロであるか否かが判断される(S2)。そして、電流センサ60の検出値がゼロである場合(S2;YES)、ドラムモータ5の回転数が250rpm(所定値に相当)より高いか否かが判断される(S3)。ここで、ドラムモータ5の回転数が250rpmより高い場合(S3;YES)、脱水後のブレーキ中であるとみなされる。
【0050】
この場合、電力回生中であり、また商用交流電源側に電力を戻すことはできないため、機器の消費電力はゼロとなっている。なお、このときも、後述する操作パネル部34などの他の回路により消費される電力(10W程度)が発生する。しかし、本実施形態では、その電力の供給源がドラムモータ5(からの回生電力)となるように回路が構成されているため、商用交流電源からの消費が無い状態となる。従って、消費電力の推定値を「0」で確定し(S4)、処理が終了となる(エンド)。
【0051】
また、ドラムモータ5の回転数が250rpm以下である場合(S3;NO)、ドラムモータ5の回転数[rpm]を用いた下記(2)式により消費電力が推定される(S5)。この場合、(1)式により推定された値に代えて、(2)式により推定された値で消費電力の推定値が確定となり、処理が終了となる(エンド)。
消費電力=回転数×3+10 …(2)
【0052】
上記(2)式の各パラメータについても、(1)式の各パラメータと同様、実機を用いた試験を事前に行い、ドラムモータ5の回転数と洗濯乾燥機1の消費電力との関係を調査し、その結果に基づいて決定している。具体的には、各パラメータのうち、「3」は「ドラムモータ5のトルク[Nm]および効率などに基づいて決定され、「10」は制御回路35A、35B、操作パネル部34(LED、バックライトなど)などの他の回路による総消費電力と、駆動用電源回路50での損失電力との合計値などにより決定されている。
【0053】
つまり、(2)式は、ドラムモータ5の回転数およびパラメータからドラムモータ5の入力電力(消費電力)に相当する値(右辺第1項)を演算し、その値に対し、他の回路における総消費電力および損失電力などの合計値(右辺第2項)を加算することにより、洗濯乾燥機1の消費電力[W]を推定する、といった内容の演算である。
【0054】
なお、洗濯・すすぎ運転および低速の脱水運転が行われる際、ファンモータ22およびコンプモータ28は回転しておらず、また力率改善回路56が動作することはないため、それらによる消費電力を考慮していない上記(2)式による演算で問題は生じない。また、(2)式における各パラメータは、使用する負荷(ドラムモータ5)や各回路(インバータ回路41、制御回路35A、35Bなど)などの特性に応じて適宜変更すればよい。
【0055】
さて、電流センサ60の検出値がゼロではない場合(S2;NO)、高速の脱水運転または乾燥運転の実行中である可能性が高い。なお、乾燥運転の場合、ファンモータ22およびコンプモータ28が回転するため、電流センサ60の検出値は必ずゼロより大きくなる。
【0056】
この場合、電流センサ60の検出値が消費電力で400W相当であるか否かが判断される(S6)。電流センサ60の検出値は、400W相当を境界に、その直線性が変化する。そして、この場合、前述した(1)式における各パラメータは、400W相当以上であるときに最適化されている。従って、電流センサ60の検出値が400W相当未満である場合(S6;YES)には下記(3)式に示す内容の補正が行われ(S7)、400W相当以上である場合(S6;NO)には当該補正は行われない。ただし、(1)式により求められた消費電力をWとして示す。
消費電力=W×1.1−50 …(3)
【0057】
上記(3)式の各パラメータについても、(1)および(2)式の各パラメータと同様、事前に行った実機を用いた試験の結果に基づいて決定している。具体的には、各パラメータは使用する電流センサ60の特性に基づいて決定されている。上記(3)式は、(1)式による直線の傾きを大きくするとともに、マイナス側にオフセットを加えるといった内容の演算となっている。
【0058】
電流センサ60の検出値が400W相当未満である場合(S6;YES)、(1)式により推定された値を(3)式により補正した値で消費電力の推定値が確定となり、処理が終了となる(エンド)。一方、電流センサ60の検出値が400W相当以上である場合(S6;NO)、弱め界磁制御の実施の有無およびその程度に応じて、補正が行われる。具体的には、弱め界磁制御が実施されていない場合、または弱め界磁制御が実施されており且つその程度が小さい場合には補正が行われ、弱め界磁制御が実施されており且つその程度が大きい場合には補正が行われない。
【0059】
弱め界磁制御の実施の有無およびその程度は、ドラムモータ5の回転数、印加電流の位相に基づいて判断することができる。具体的には、回転数が740rpm未満であるという第1条件、または、印加電流の位相(進み角)が所定の閾値θth未満であるという第2条件を満たす場合(S8;YES)、弱め界磁制御が実施されていない、または、程度の小さい弱め界磁制御が実施されている、と判断することができる。一方、上記第1条件および第2条件をいずれも満たさない場合(S8;NO)、程度の大きい弱め界磁制御が実施されている、と判断することができる。
【0060】
ここで、程度の大きい弱め界磁制御が実施されていると判断された場合(S8;NO)、(1)式により推定された値で消費電力の推定値が確定となり、処理が終了となる(エンド)。一方、弱め界磁制御が実施されていない、または、程度の小さい弱め界磁制御が実施されている、と判断された場合(S8;YES)、下記(4)式に示す内容の補正が行われる(S9)。(4)式は、(1)式により推定された消費電力の値(Wとして示す)に対し、駆動電源電圧(DC電圧値として示す)および各パラメータを用いた補正を行う内容の演算となっている。そして、この場合、(1)式により推定された値を(4)式により補正した値で消費電力の推定値が確定となり、処理が終了となる(エンド)。
消費電力=W×(DC電圧値×1.5/100000+0.8) …(4)
【0061】
上記(4)式の各パラメータについても、(1)式などの各パラメータと同様、事前に行った実機を用いた試験の結果に基づいて決定している。具体的には、各パラメータは使用する駆動用電源回路50、インバータ回路41、46、48およびモータ5、22、28などの特性に基づいて決定されている。
【0062】
図6は、一連の洗濯運転(重量センサ→給水・洗い→脱水1→給水・すすぎ1→脱水2→ほぐし→脱水2のやり直し→給水・すすぎ2→脱水3→給水・最終すすぎ→最終脱水→乾燥)が行われる際における消費電力の実測値および推定値を示している。
図6の(a)は、比較例であり、電流センサ60の検出値を用いた一次式で近似することにより消費電力を推定した結果である。一方、
図6の(b)は、
図5に示した各処理を実施することにより消費電力を推定した本実施形態による結果である。また、
図7は、
図6の前半部分(乾燥より前の部分)を拡大した図である。なお、
図6および
図7では、実測値を濃い線で示し、推定値を淡い線で示している。
【0063】
図6および
図7に示すように、電流センサ60の検出値だけを用いた比較例の場合、実際の消費電力(実測値)と推定値との誤差が大きい結果となっている。特に、「脱水1」「脱水2」「脱水2のやり直し」「給水・最終すすぎ」「最終脱水」「乾燥」における誤差が顕著である。一方、電流センサ60の検出値および駆動電源電圧の検出値などを用いた本実施形態による消費電力の推定方法の場合、実際の消費電力と推定値との誤差は非常に小さく、ほぼ一致する結果となっている。
【0064】
上述したようにして推定された消費電力の値は、次の(a)〜(d)のように利用することができる。
(a)消費電力のリアルタイム表示
制御回路35Aは、操作パネル部34の操作部に対する所定の操作が行われると、推定した消費電力の値を操作パネル部34の表示器に表示する。なお、操作部に対する操作が無くても、制御回路35Aが消費電力の値を常時表示するように変更してもよい。
【0065】
(b)洗濯運転に要した消費電力量の表示
制御回路35Aは、洗濯運転が実行されると、その運転開始から終了までの期間に推定した消費電力の値を積算することにより、その洗濯運転に要した消費電力量を演算する。そして、制御回路35Aは、洗濯運転が終了すると、操作パネル部34の表示器に消費電力量を表示する。なお、ユーザにより表示を要求するための操作が行われた場合にのみ、上記消費電力量の表示を行うようにしてもよい。
【0066】
(c)洗濯運転に要した電気料金の表示
制御回路35Aは、(b)と同様に洗濯運転に要した消費電力量を演算し、さらに、その消費電力量から洗濯運転に要した電気料金を演算する。この場合、制御回路35Aは、消費電力量を電気料金に換算するための換算用データに基づいて電気料金を演算する。そして、制御回路35Aは、洗濯運転が終了すると、操作パネル部34の表示器に電気料金を表示する。なお、ユーザにより表示を要求するための操作が行われた場合にのみ、上記電気料金の表示を行うようにしてもよい。また、制御回路35Aは、地域情報や電力の契約情報などを入力可能とし、それらの情報に基づいて上記換算用データを適宜補正する機能(電気料金補正手段に相当)を備えてもよい。このようにすれば、より正確な電気料金を求めることが可能となる。
【0067】
(d)洗濯運転に要した総合的なコストの表示
制御回路35Aは、(c)と同様に洗濯運転に要した電気料金を演算する。また、これに加えて、制御回路35Aは、洗濯運転が実行されると、その洗濯運転に要した水道料金を演算する。なお、洗濯運転に要する水道料金(水道代)を算出する手法としては、例えば、特許第4940039公報に記載された手法などを採用することができる。制御回路35Aは、上記演算された電気料金および水道料金を加算することにより、洗濯運転に要した総合的なコスト(金額)を演算する。そして、制御回路35Aは、洗濯運転が終了すると、操作パネル部34の表示器に総合的なコストを表示する。なお、ユーザにより表示を要求するための操作が行われた場合にのみ、上記総合的なコストの表示を行うように変更してもよい。
【0068】
上記(a)〜(d)では、制御回路35Aは、推定および演算により求めた各種情報(消費電力、消費電力量、電気料金、水道料金および総合的なコスト)を洗濯乾燥機1の操作パネル部34の表示器に表示させているが、これを次のように変更してもよい。すなわち、制御回路35Aは、上記各種情報を、ITアダプタ45を介して家庭内通信回線に接続される外部の機器(例えば、スマートフォンやタブレットPCなど)の表示器に表示させてもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態では、駆動用電源回路50への入力電流を検出するための電流センサ60の検出値および駆動電源電圧の検出値を用いて、洗濯乾燥機1の消費電力が推定される。従って、力率改善回路56の動作状態や駆動電源電圧の変動に依存することなく、機器全体の消費電力を精度良く推定することができる。また、電流センサ60の検出値および駆動電源電圧の検出値は、元々洗濯乾燥機1の制御に用いられる値である。従って、本実施形態によれば、新規な追加部品や回路を設けることなく、消費電力の推定精度を高めることができる。そして、推定した消費電力、それから求められる消費電力量、電気料金などを表示することにより、ユーザの利便性が高まる効果が得られる。
【0070】
また、電流センサ60の検出値がゼロであり、且つ、ドラムモータ5の回転数が所定値未満である場合、ドラムモータ5の回転数を用いて消費電力が推定される。これにより、電流センサ60が正確に検出できない程度の入力電流が流れている場合であっても、正確な消費電力を推定することができる。また、電流センサ60の検出値が所定値以上であるか否かに応じて推定した消費電力の値が補正される。これにより、電流センサ60の検出値の直線性に起因する消費電力の推定誤差が低減される。また、弱め界磁制御の実施の有無およびその程度に応じて推定した消費電力の値が補正される。これにより、ドラムモータ5が高速で回転している場合における消費電力の推定誤差が低減される。
【0071】
(第2の実施形態)
図8に示すように、住宅内に設置される家電機器である洗濯乾燥機1、冷蔵庫71、エアコンディショナ72(以下、エアコン72と称す)は、いずれもITアクセスポイント73を介して家庭内通信回線(家庭内LAN)および外部通信回線(インターネット)に接続可能となっている。
【0072】
冷蔵庫71およびエアコン72は、洗濯乾燥機1のITアダプタ45と同様のITアダプタ74、75(通信手段に相当)を備えている。ITアダプタ45、74、75とITアクセスポイント73との間は、無線通信方式による通信が行われる。洗濯乾燥機1、冷蔵庫71およびエアコン72は、家庭内通信回線に接続される通信端末76や、外部のサーバ77との間で通信可能となっている。通信端末76は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、パソコンなどであり、ITアクセスポイント73との間で、無線または有線により通信可能な構成となっている。
【0073】
この場合、冷蔵庫71およびエアコン72は、洗濯乾燥機1と同様、機器の消費電力を推定する機能などを備えている。このような構成によれば、各家電機器において推定および演算により求められた各種情報を家庭内通信回線に接続される通信端末76の表示器に表示させることができる。これにより、ユーザは、各家電機器の消費電力などを、通信端末76により一括して確認することができるため、その利便性が一層向上する。
【0074】
また、この場合、各家電機器は、外部のサーバ77から地域情報や電力の契約情報などを取得し、それらの情報に基づいて電気料金を演算するための換算用データを適宜補正する機能(電気料金補正手段に相当)を備えてもよい。このようにすれば、ユーザによる各種情報の入力を必要とすることなく、より正確な電気料金を求めることが可能となる。
【0075】
(その他の実施形態)
本実施形態による消費電力の推定方法は、洗濯乾燥機1、冷蔵庫71およびエアコン72に限らず、例えば、乾燥機能を備えない洗濯機など、インバータ回路により駆動されるモータおよび力率改善回路を備えた家電機器全般に適用することができる。
力率改善回路としては、部分スイッチング方式のものに限らずともよく、例えば昇圧チョッパを用いた構成(昇圧型PFC回路)など、他の構成であってもよい。
消費電力の推定精度を高めるための更なる工夫(
図5のS2〜S9の処理)は、必要に応じて行えばよく、適宜省略してもよい。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。