(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る延長管および電気掃除機の実施形態について、
図1から
図7を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備えている。掃除機本体2と管部3とは、流体的に接続されている。
【0014】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右両側方にそれぞれ設けられる一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に配置される着脱自在な塵埃分離集塵部7と、本体ケース5の後半部に収納される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備えている。
【0015】
掃除機本体2は、電源コード11を経て供給される電力で電動送風機8を駆動させて、電動送風機8の駆動によって発生する負圧を管部3に作用させている。電気掃除機1は、管部3を通じて被掃除面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
【0016】
本体ケース5の正面部分には、本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離集塵部7とを流体的に接続している。
【0017】
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支えている。
【0018】
塵埃分離集塵部7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。塵埃分離集塵部7は、遠心分離方式であっても良いし、濾過分離方式であっても良い。
【0019】
電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
【0020】
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。記憶装置には、予め設定される複数の運転モードが記憶されている。予め設定される複数の運転モードは、電動送風機8の運転出力の大小に関連するものであって、管部3で受け付けられる使用者の操作に対応している。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)が設定されている。本体制御部9は、管部3で受け付けられる使用者の操作に応じて、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機8を制御する。
【0021】
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11の自由端部には、配線用差込接続器へ着脱自在な電源プラグ14が設けられている。
【0022】
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続される継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続される延長管25と、延長管25に着脱自在に接続される吸込口体26と、を備えている。
【0023】
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在に接続される継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
【0024】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
【0025】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
【0026】
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
【0027】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備えている。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、吸込口体26への電源供給に対応付けられるブラシスイッチ24cと、を備えている。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0028】
複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)には、照明装置27が設けられている。照明装置27は、吸込口体26の前方、つまり電気掃除機1の使用者が吸込口体26を前後方向へ往復動させる際の前進方向の被掃除面を照らして、被掃除面上の塵埃の視認性を高める。
【0029】
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。また、吸込口体26は、吸込口28に配置されている回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備えている。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離集塵部7は、電動送風機8から吸込口28へ至る吸込風路である。電動機31は、ブラシスイッチ24cから操作信号を受け取る度に運転開始と停止とを交互に繰り返す。
【0030】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bに対する使用者の操作を受け付けると電動送風機8を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から空気を排気してその内部を負圧にする。
【0031】
塵埃分離集塵部7内の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機のブロック図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、電源プラグ14を介して商用交流電源Eに電気的に接続される本体制御回路35と、本体制御回路35に電気的に接続される吸込口体制御回路36と、を備えている。
【0034】
本体制御回路35は、商用交流電源Eへ直列に接続される電動送風機8と、商用交流電源Eと電動送風機8とを接続する電路を開閉させる第一スイッチング素子37と、商用交流電源Eと吸込口体制御回路36とを接続する電路を開閉させる第二スイッチング素子38と、商用交流電源Eに接続されて本体制御部9の動作電力を供給する本体電源部39と、第一スイッチング素子37および第二スイッチング素子38のスイッチング制御を行う本体制御部9と、を備えている。
【0035】
第一スイッチング素子37は、本体制御部9に接続されるゲートを有し、本体制御部9によるゲート電流の変化に応じて電動送風機8の入力を変化させる。第二スイッチング素子38は、本体制御部9に接続されるゲートを有し、本体制御部9によるゲート電流の変化に応じて吸込口体制御回路36の入力を変化させる。第一スイッチング素子37および第二スイッチング素子38は、双方向サイリスタや逆阻止3端子サイリスタなどの素子である。
【0036】
本体電源部39は、本体制御部9の制御電源である。
【0037】
操作部24は、停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bの操作に対応して本体電源部39の出力電圧の分圧値を変化させる電圧可変回路(図示省略)を備えている。操作部24が変化させる本体電源部39の出力電圧の分圧値は、本体制御部9が受け取る操作信号である。
【0038】
本体制御部9は、マイクロコンピュータからなり、中央処理部(図示省略)、メモリ(図示省略)、I/O部(図示省略)およびタイマ(図示省略)を備えている。メモリは、中央処理部が実行する制御プログラムや、制御プログラムの実行に必要な定数などのデータを予め記憶する。このデータは、予め設定された各運転モードに対応する入力値を示す定数を含んでいる。また、メモリは、中央処理部の演算データなどを一時記憶しておくデータ記憶領域および作業領域である。
【0039】
また、本体制御部9は、操作部24から出力される操作信号と、ゼロクロス検出器(図示省略)が検出する商用交流電源Eのゼロクロスタイミングと、を周期的に読み取り、選択された運転モードにしたがって第一スイッチング素子37および第二スイッチング素子38のスイッチング制御(位相制御)を行い電動送風機8および吸込口体制御回路36の入力を制御する。
【0040】
本体制御部9は、例えば、強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードからなる3つの運転モードに応じて電動送風機8の入力を制御する。本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る都度、運転モードを順次に切り換えて第一スイッチング素子37のスイッチング制御を行う。
【0041】
本体制御部9は、第二スイッチング素子38のスイッチング制御を行い商用交流電源Eと吸込口体制御回路36との間の電路を接続したり遮断したりする。
【0042】
本体制御部9は、商用交流電源Eと電動送風機8とを接続する電路および商用交流電源Eと電動機31とを接続する電路の電流値を計測して電動送風機8および電動機31のそれぞれの負荷を監視する。
【0043】
吸込口体制御回路36は、本体制御回路35側から供給される電力の電圧を検出する電源検出部42と、本体制御回路35から供給される交流電力を直流電力に変換する吸込口体電源部43と、吸込口体電源部43に接続して電動機31の入力を変化させるスイッチング回路45と、スイッチング回路45のスイッチング制御を行う吸込口体制御部46と、を備えている。
【0044】
電源検出部42は、本体制御回路35側から供給される電力の電圧波形を検出して吸込口体制御部46に出力する。
【0045】
スイッチング回路45は、複数のスイッチング素子(図示省略)を有するブリッジ回路である。スイッチング回路45は、吸込口体制御部46の制御に応じて電動機31の入力や回転方向を変化させる。
【0046】
吸込口体制御部46も、本体制御部9と同様にマイクロコンピュータからなり、中央処理部(図示省略)、メモリ(図示省略)、I/O部(図示省略)およびタイマ(図示省略)を備える。メモリは、中央処理部が実行する制御プログラムや、制御プログラムの実行に必要な定数などのデータを予め記憶する。また、メモリは、中央処理部の演算データなどを一時記憶しておくデータ記憶領域および作業領域である。
【0047】
吸込口体制御部46は、第二スイッチング素子38のスイッチング制御によって本体制御回路35側から吸込口体制御回路36へ電力の供給が開始されると、吸込口体電源部43から電力を得て動作可能になる。また、吸込口体制御部46は、電源検出部42から電圧波形の情報を読み取り、この電圧波形に同期させてスイッチング回路45のスイッチング制御を行って電動機31の入力や回転方向を制御する。
【0048】
本体制御回路35と吸込口体制御回路36とを電気的に接続する電力線47には、照明装置27が電気的に接続されている。照明装置27は、光源48と、電力線47に電気的に接続されて電力線47に流れる入力電力を調整して光源48に出力電力を供給する電源回路49と、を備えている。
【0049】
なお、吸込口体制御回路36は、例えばイオン発生装置のように電力線47から電力を供給される機器を備えていても良い。
【0050】
次に、延長管25について詳細に説明する。
【0051】
図3は、本発明の実施形態に係る延長管を分解して示す斜視図である。
【0052】
図4および
図5は、本発明の実施形態に係る延長管の縦断面である。
【0053】
図3から
図5に示すように、本実施形態に係る延長管25は、管径に対して長尺な長さの外管本体51と、外管本体51の管内から引き出しまたは管内へ収納自在な内管本体52と、を備えている。
【0054】
外管本体51、および内管本体52はポリプロピレンの成形品である。
【0055】
外管本体51の一方の端部には、手元操作管22に接続される継手部53が設けられている。外管本体51の他方の端部には、内管本体52が挿入されている。外管本体51の他方の端部の上面には、トンネル部55が設けられている。トンネル部55は、外管本体51よりも短く、外管本体51の長手方向に開放されている。
【0056】
外管本体51は、その外面に設けられて外管本体51の長手方向に向けて略平行に並ぶ複数対、例えば4対のブラケット対56、57を備えている。ブラケット対56、57は、トンネル部55から外管本体51の一方の端部へ向かって並んでいる。ブラケット対56、57のそれぞれは、外管本体51の周方向に見て対面、対向している。なお、ブラケット対56、57は非対面、非対向な位置、つまり外管本体51の長手方向に見て互い違いに並んでいても良い。
【0057】
内管本体52の外径は、外管本体51の内径よりも若干小さい。
【0058】
内管本体52の一方の端部は外管本体51の管内に挿入されている。内管本体52の他方の端部は、内管本体52が外管本体51に最も深く挿入された状態であっても外管本体51の外部に残る。内管本体52は、内管本体52が外管本体51に最も深く挿入された状態において外管本体51の外部に残る部分に、吸込口体26に接続される継手部58を備えている。
【0059】
継手部58は、隣接構造体である吸込口体26を延長管25に固定または固定解除するフック59と、継手部58を囲んで保護する保護カバー61と、を備えている。フック59はコイルバネ62によって吸込口体26を固定する方向へ押し付けられている。
【0060】
保護カバー61は、継手部58を囲む環状のカバーであって、継手部58の開口方向に向かって拡開されている。保護カバー61は、内管本体52の継手部58の下面側で内管本体52に支持される留め具63を備えている。例えば掃除機本体2側に設けられる被留め具(図示省略)に留め具63が引っ掛けられると、延長管25は上下方向へ指向する姿勢で管部3を支持し、電気掃除機1をコンパクトな収納形態にする。
【0061】
継手部58には、照明装置27が設けられている。照明装置27は、保護カバー61に連接される照明カバー65と、照明カバー65内に設けられる光源48と、光源48へ電力を供給する電源回路49と、を備えている。電源回路49は、箱状の電源回路保護容器67内に収容されている。
【0062】
光源48および照明カバー65は、内管本体52の継手部58の上面側に配置されている。保護カバー61の上面は、継手部58の後方側から継手部58の中程に亘って緩やかに傾斜しつつ内管本体52の径外方向へ拡大し、フック59の押圧面68近傍で徐々に傾斜を強めて照明カバー65に連接する丘陵部69を有している。丘陵部69は、フック59の押圧面68を押し込む手指が隣接構造物側へ近づくことを阻止している。丘陵部69は、内管本体52の前方を照らす照明装置27に連接している。
【0063】
なお、内管本体52の前方とは、延長管25の長手方向よりもやや上方であって、吸込口体26や延長管25の筒先で掃除を行う際に、吸込口体26や延長管25の筒先が前進する先を言う。
【0064】
次に、外管本体51と内管本体52との連結部分について説明する。
【0065】
延長管25は、外管本体51の管内に挿入される第一ガイドリング71と、外管本体51の他方の端部に設けられる第二ガイドリング72と、第一ガイドリング71と第二ガイドリング72との間に挟まれるシールリング73と、内管本体52に設けられるストッパー75と、を備えている。
【0066】
第一ガイドリング71、および第二ガイドリング72は、外管本体51内の内管本体52の移動を案内する。
【0067】
第二ガイドリング72は、トンネル部55の開口端に適合する鍔部76を備えている。鍔部76はトンネル部55の中空部分に繋がる開口77を有している。
【0068】
シールリング73は外管本体51の内周面と内管本体52の外周面との間から延長管25の管外の空気が管内へ流入することを防止している。
【0069】
ストッパー75は、内管本体52の一方の端部に設けられるストッパー保持部78に固定されている。ストッパー75は、外管本体51に対する内管本体52の回転を阻止する回り止めであり、かつ、外管本体51から内管本体52が抜け出ることを阻止する抜け止めでもある。
【0070】
次に、外管本体51側の電力線収容構造について説明する。
【0071】
延長管25は、外管本体51側の電力線収容構造として、外管本体51の外周面に設けられて外管本体51の長手方向に延びる絶縁体製の第一トンネルカバー79を備えている。
【0072】
第一トンネルカバー79は外管本体51の一方の端部から他方の端部に延びている。第一トンネルカバー79は、外管本体51の長手軸方向に長尺なトンネル部材81と、トンネル部材81の継手部53側の端部を外管本体51との間に挟み込んで保持する端部カバー82と、を備えている。
【0073】
端部カバー82および第一トンネルカバー79の一方の端部(継手部53に近い側の端部)は、螺子(図示省略)によって外管本体51のボス83に共締めされている。第一トンネルカバー79の他方の端部(外管本体51と内管本体52との連接部分に近い側の端部)は、トンネル部材81の被固定孔85を貫通する一対の固定片(図示省略)によって外管本体51の固定孔86に嵌め込まれている。
【0074】
次に、内管本体52側の電力線収容構造について説明する。
【0075】
延長管25は、内管本体52側の電力線収容構造として、内管本体52に設けられるトンネル内管87を備えている。トンネル内管87は、内管本体52の継手部58の近傍から外管本体51に向かって延び、トンネル部55に到達している。トンネル内管87は、内管本体52とともに移動して第一トンネルカバー79内から引き出され、または第一トンネルカバー79内へ収納される。
【0076】
外管本体51側の電力線収容構造と内管本体52側の電力線収容構造とは、協働して延長管25の全長に亘って電力線47を絶縁する。
【0077】
次に、外管本体51および内管本体52の電力線収容構造に納められる電力線47ついて説明する。
【0078】
延長管25は、外管本体51および内管本体52の外側に配置されて、掃除機本体2側、より詳しくは手元操作管22から吸込口体26へ給電する電力線47を備えている。
【0079】
電力線47は、その全長に亘ってコイルバネ状に構成され、延長管25の伸縮に追従できる。電力線47はシース88に納められている。シース88は、合成樹脂、例えばポリエチレン(PE)の成形品であり、絶縁体である。シース88は第一トンネルカバー79の全長またはトンネル内管87の全長よりも短く、延長管25の伸縮動作を阻害しない。延長管25を伸張させると、電力線47はシース88よりも長くなり、シース88からはみ出してしまう。そこで、延長管25の電力線収容構造は、シース88からはみ出る電力線47を覆い隠している。電力線47のそれぞれの端部には、手元操作管22または吸込口体26との電気的な接続を行うソケット89およびプラグ91が設けられている。
【0080】
また、延長管25は、伸縮する全長を段階的に位置決めして仮固定する全長調整機構92を備えている。全長調整機構92は、外管本体51に設けられる全長調整スイッチ93と、内管本体52のトンネル内管87に設けられる複数の全長位置決め凹部95と、を備える。
【0081】
全長位置決め凹部95はトンネル内管87の長手方向、ひいては内管本体52、延長管25の長手方向に略等間隔に離間されて並び、それぞれの位置で延長管25の長さを仮固定し、全長の調整と位置決めを可能にしている。
【0082】
外管本体51、および内管本体52は、含塵空気が通過する風路を有している。
【0083】
そして、外管本体51は、内管本体52を挿入する側の端部(つまり、外管本体51の他方の端部)の端面から所定の長さ(深さ、奥行き)に亘って、他の部分よりも内径の拡大された大内径部96を備えている。第一ガイドリング71、第二ガイドリング72、およびシールリング73は、大内径部96の内周面と内管本体52の外周面との間に挟み込まれて大内径部96内に収容されている。
【0084】
また、外管本体51の管内には、長手方向に延びるガイド溝97が設けられている。内管本体52に固定されるストッパー75は、ガイド溝97に挟まって外管本体51と内管本体52との相対的な回転を規制している。
【0085】
さらに、外管本体51は、大内径部96とガイド溝97との間を仕切る仕切部分98を備える。仕切部分98はストッパー75の移動範囲を規制して外管本体51から内管本体52が抜け出ることを防いでいる。
【0086】
全長調整機構92の全長調整スイッチ93は、トンネル部55に向かって開放する箱形状の押下部99と、押下部99に一体に設けられるとともに互いに離間する一対のアーム101と、トンネル内管87の全長位置決め凹部95に嵌脱可能なピン102と、ピン102を全長位置決め凹部95に嵌め込む方向へ押下部99を押し付けるコイルバネ103と、を備えている。
【0087】
押下部99は、同一線上に延びる一対の軸部105を備えている。軸部105は、トンネル部55側の軸受け半体と第一トンネルカバー79側の軸受け半体とからなる軸受部(図示省略)に配置されて押下部99を揺動可能に支えている。押下部99は軸部105周りにシーソー状に揺動してピン102を全長位置決め凹部95のいずれかに嵌め込んで外管本体51と内管本体52との全長を段階的に仮固定したり、ピン102を全長位置決め凹部95から引き抜いて仮固定を解除したりする。
【0088】
アーム101は、押下部99の揺動に伴ってピン102を全長位置決め凹部95に嵌め込んだり、全長位置決め凹部95から引き抜いたりする。
【0089】
延長管25の使用者は、コイルバネ103に抗して押下部99を押し下すことによって、押下部99を揺動させ、アーム101を介して全長位置決め凹部95からピン102を引き抜き、コイルバネ103に抗して外管本体51と内管本体52との仮固定を解除し、延長管25の伸縮を可能にする。他方、延長管25は、使用者が押下部99の押し下しをやめると、コイルバネ103のバネ力によって押下部99を揺動させ、アーム101を介してピン102を全長位置決め凹部95へ嵌め込み、外管本体51と内管本体52とを仮固定する。
【0090】
次いで、外管本体51の電力線収納部について説明する。
【0091】
第一トンネルカバー79は、外管本体51の一方の端部から他方の端部に延びる第一絶縁室106を区画している。第一絶縁室106は、外管本体51の管内部、つまり含塵空気が通過する管内通路から隔離されている。
【0092】
次いで、内管本体52の電力線収納部について説明する。
【0093】
トンネル内管87は、内管本体52の継手部58に固定される端部を基部として外管本体51側に向かって片持ち梁状に延び、外管本体51の第一絶縁室106に差し込まれている。トンネル内管87は、第二ガイドリング72の開口77を通じて外管本体51のトンネル部55を通過し第一絶縁室106に到達している。
【0094】
トンネル内管87は、内管本体52の径方向外側に配置される第二トンネルカバー107と、内管本体52の径方向内側に配置されて内管本体52を臨むカバー裏蓋108と、を備えている。
【0095】
第二トンネルカバー107、およびカバー裏蓋108は合成樹脂、例えばポリプロピレン(PP)やABS樹脂の成形品であり、絶縁体でもある。
【0096】
第二トンネルカバー107は、内管本体52と協働してフック59を支持するフックカバー部109を備えている。フックカバー部109は、内管本体52の継手部58であって、内管本体52の上面側に設けられている。フックカバー部109は中空な箱状のカバーである。
【0097】
フック59はフックカバー部109内に設けられている。フック59は、内管本体52とフックカバー部109との間に挟み込まれて揺動自在に保持されている。フック59は、内管本体52に差し込まれる隣接構造体としての吸込口体26の継手部に引っ掛かって継手部が内管本体52から抜け出るのを防ぐ。
【0098】
また、フック59は、内管本体52の断面(内管本体52の長手方向に対する直交面での断面)における周に対する接線方向に延びる中心線としてのフック軸111回りに揺動して吸込口体26の継手部に引っ掛かり、かつ吸込口体26の継手部との引っ掛かりを解除する際に吸込口体26へ近づく方向へ押し込まれる押圧面68を有している。
【0099】
内管本体52の長手方向であって継手部58から離れる方向(
図5中の二点鎖線A)を基準角度の0度とし、内管本体52の径方向であって内管本体52から離れる方向(
図5中の二点鎖線B)を90度とする場合、押圧面68の法線nは、0度から45度の範囲Rを向いていることが好ましい。本実施形態に係る押圧面68の法線nは、45度を向いている。つまり、押圧面68の法線nが範囲R内を向いている場合において、フック59がフック軸111回りを揺動すると、押圧面68は、内管本体52の中心線へ近づくよりも隣接構造体としての吸込口体26へ近づく距離の方が大きい、または同等となる。このとき、使用者は押圧面68を吸込口体26に近づく方向へ押しているように感じる。特に、本実施形態に係る押圧面68は、フック軸111から内管本体52の径方向へ向かってまっすぐに延びる壁部112に連接している。つまり、内管本体52の長手方向にみて押圧面68がフック軸111に近接しているために、フック59が押し込まれる過程においても内管本体52の中心線へ近づくよりも隣接構造体としての吸込口体26へ近づく距離の方が大きく、押圧面68を押し込む使用者は、より明確に押圧面68を吸込口体26に近づく方向へ押しているように感じる。
【0100】
カバー裏蓋108は、第二トンネルカバー107と協働して電力線47を配置する第二絶縁室113を区画している。第二絶縁室113は、内管本体52の管内部、つまり含塵空気が通過する管内通路から隔離されている。第二絶縁室113は外管本体51側の第一絶縁室106に繋がっている。
【0101】
電力線47に接続されるソケット89は、トンネル内管87の他方の端部(継手部58に近い側の端部)においてトンネル内管87、特にフックカバー部109内に収容されている。ソケット89は、隣接構造体である吸込口体26が継手部58に接続されるのに伴って、第二絶縁室113内に挿入される吸込口体26側のプラグ(図示省略)を通じて吸込口体26側の電気回路(図示省略)に電気的に接続される電極である。
【0102】
フックカバー部109は手元操作管22側のプラグをソケット89に到達させるためのプラグ挿入孔115を有している。
【0103】
次いで、第一トンネルカバー79の一方の端部(外管本体51の継手部53に近い側の端部)について説明する。
【0104】
電力線47に接続されるプラグ91は、第一トンネルカバー79の一方の端部(継手部53に近い側の端部)において外管本体51の長手方向に沿って第一絶縁室106から突出している。プラグ91は、隣接構造体である手元操作管22が継手部53に接続されると、手元操作管22側のソケット(図示省略)に差し込まれて電気的に接続される。
【0105】
次いで、内管本体52の継手部58に設けられる照明装置27について説明する。
【0106】
照明装置27は、内カバーとしてのフックカバー部109の外面部116に設けられる光源48と、内管本体52の外側に配置される電源回路49と、内管本体52の継手部58に設けられてフックカバー部109および電源回路49を覆い隠す外カバーとしての保護カバー61と、を備えている。
【0107】
光源48は、フックカバー部109に支持される発光回路基板117と、発光回路基板117に設けられて内管本体52の前方を照らす発光素子118と、発光回路基板117および発光素子118を覆う光源保護カバー119と、発光素子118が照射する光を透過するとともに光源保護カバー119に組み合わされて発光回路基板117および発光素子118を保護する透過カバー121と、を備えている。
【0108】
発光回路基板117は、フックカバー部109に設けられる左右一対の立壁122に設けられる切り欠き対123に保持され、フックカバー部109に突き立てられて内管本体52の径方向に向かって延びている。発光回路基板117は、保護カバー61によって押さえられており、切り欠き対123から抜け出ることはない。発光回路基板117には、発光素子118の周囲を囲む素子カバー125が設けられている。素子カバー125は、発光素子118の周囲にあって発光素子118から発せられる光の方向へラッパ形に拡がっている。
【0109】
発光素子118は、LED(Light Emitting Diode)であって電球に比べると照射する光の指向性が強く、延長管25の前方を強く照らすことができる。
【0110】
光源保護カバー119は、保護カバー61に連接して滑らかに繋がり、発光回路基板117および発光素子118の左右、後方、および上方を囲んでいる。
【0111】
電源回路49は、内管本体52の継手部58の下面側に配置されている。電源回路49は、留め具63と内管本体52との間に挟み込まれて配置されている。
【0112】
電源回路49は、内管本体52に保持されている。内管本体52には、電源回路49を保持する電源回路保持枠126が設けられている。電源回路保持枠126は、内管本体52の下面側に配置されており、下方へ向かって箱状に突出している。電源回路保持枠126は、下方に向かって開放され、保護カバー61によって塞がれている。電源回路49の電源回路基板127は、電源回路保持枠126内で内管本体52の接線方向に向けて保持されている。
【0113】
また、電源回路49は、電源回路保護容器67を介して電源回路保持枠126に保持されている。電源回路保護容器67は、継手部58の開口と同じ方向へ開放されている。電源回路49は、先ず電源回路保護容器67内に差し込まれて保持され、次いで電源回路保護容器67ごと電源回路保持枠126に嵌め込まれて内管本体52に保持される。
【0114】
照明装置27、フックカバー部109、およびフック59は、内管本体52の上面側に配置されている一方、電源回路49、および留め具63は、内管本体52の下面側に配置されている。
【0115】
延長管25は、内管本体52の開口端に設けられるブラシ毛128と、ブラシ毛128を支持する基台129と、を備えている。ブラシ毛128は、継手部58の開口の周囲を環状に囲んで延長管25の長手方向に向かって延びている。ブラシ毛128の先端は、使用者が延長管25をやや後方へ傾けた状態で被掃除面に接触しやすいように延長管25の上面側から下面側へ傾斜する面に沿って並んでいる。基台129も継手部58の開口の周囲を環状に囲んでいる。基台129は、継手部58の左右それぞれの側面に支持される支持アーム部131を備えている。
【0116】
図6は、本実施形態に係る延長管のフックカバー部の内側を示す斜視図である。
【0117】
図6に示すように、本実施形態に係る延長管25のフックカバー部109は、左右一対のソケット89を保持している。ソケット89には、電力線47が接続されている。電力線47には、電力線47から電源回路49へ電力を導く照明用電力線133が接続されている。
【0118】
図7は、本実施形態に係る延長管について内管本体の継手部を示す分解斜視図である。
【0119】
図7に示すように、本実施形態に係る延長管25の照明用電力線133は、フックカバー部109の後端部においてフックカバー部109の外側へ引き出され、内管本体52の左右両側の外面に倣って内管本体52の下面側に配置される電源回路保持枠126内の電源回路49に到達する入力側電力線134と、電源回路49から内管本体52の左右両側の外面、およびフックカバー部109の外面に倣ってフックカバー部109の上面側に配置される光源48に到達する出力側電力線135と、を備えている。照明用電力線133、つまり入力側電力線134および出力側電力線135は、保護カバー61によって覆い隠されている。
【0120】
このように構成される本実施形態に係る延長管25および電気掃除機1は、内管本体52の上面側に配置されるフックカバー部109内に収容される電力線47に接続されるソケット89と、フックカバー部109の外面部116に設けられる光源48と、内管本体52の下面側に配置される電源回路49と、を備え、電流や電圧の異なるそれぞれの電気回路を別々の空間に分散させることによって、延長管25に敷設される電力線47の総数を減らすことができる。
【0121】
また、本実施形態に係る延長管25および電気掃除機1は、内管本体52の上面側に配置されるフックカバー部109内に収容される電力線47に接続されるソケット89と、フックカバー部109の外面部116に設けられる光源48と、内管本体52の下面側に配置される電源回路49と、を備え、電流や電圧の異なるそれぞれの電気回路を別々の空間に分散させることによって、延長管25の筒先の大型化を回避できる。例えば、光源48は、発光素子118を延長管25の筒先へ向けるために、発光回路基板117をフックカバー部109に突き立てているが、仮に発光回路基板117に電源回路49を一体化すれば発光回路基板117の大面積化、大型化は免れられず、延長管25の筒先の大型化を招くことになる。本実施形態に係る延長管25は、光源48および電源回路49を延長管25の上面側と下面側とに分散して配置することで、光源48および電源回路49の保持姿勢を最適化して延長管25の筒先の大型化を回避できる。
【0122】
さらに、本実施形態に係る延長管25および電気掃除機1は、内管本体52の上面側に配置されるフックカバー部109の外面部116に設けられる光源48と、内管本体52の下面部に配置される電源回路49と、を備え、電流や電圧の異なるそれぞれの電気回路を別々の空間に分散させることによって、光源48とフック59の押圧面68を内管本体52の継手部58に集中的に配置できる。例えば、光源48は、発光素子118を延長管25の筒先へ向けるために、発光回路基板117をフックカバー部109に突き立てているが、仮に発光回路基板117に電源回路49を一体化すれば発光回路基板117の大面積化、大型化は免れられず、フック59の押圧面68を継手部58の上面側に近接させて配置する空間的な余裕を確保し難くなる。本実施形態に係る延長管25は、光源48が内管本体52の継手部58の上面側に配置されているので延長管25の進行方向を照明しやすく、かつフック59の押圧面68が内管本体52の継手部58の上面側に配置されているので吸込口体26の取り外し操作もしやすい。
【0123】
したがって、本発明に係る延長管25および電気掃除機1によれば、延長管25に敷設される電力線47の増加を回避し、筒先の大型化を抑制しつつ照明装置27および電源回路49を配置して利便性が高い。
【0124】
なお、本実施形態に係る電気掃除機1は、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。