(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、掃除運転中であって、前記通信信号に含まれる一時停止指示を前記通信部から取得した場合には、掃除運転を一時的に停止し、一時停止した後の経過時間が予め定める第二判定時間以内であって、前記通信信号に含まれる前記運転開始指示を前記通信部から取得した場合には、掃除運転を再開させる請求項2に記載の電気掃除機。
前記制御部は、掃除運転中であって、前記通信信号に含まれる一時停止指示を前記通信部から取得した場合には、掃除運転を一時的に停止し、一時停止した後の経過時間が予め定める第二判定時間以内では、前記通信部の動作を継続させて前記運転開始指示の受信を許可する請求項2に記載の電気掃除機。
前記制御部は、前記通信信号に含まれる前記運転開始指示を前記通信部から取得して掃除運転を開始するときに、掃除運転を開始すること、または開始したことを前記通信信号に含めて前記通信部から前記中継通信機器へ送信させる請求項2から5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
前記判定時間は、前記外部ネットワークに接続される遠隔操作端末からの運転開始指示に関連付けて設定される値よりも、前記構内通信網に接続される構内端末からの運転開始指示に関連付けて設定される値の方が長い請求項2に記載の電気掃除機。
前記第二判定時間は、前記外部ネットワークに接続される遠隔操作端末からの運転開始指示に関連付けて設定される値よりも、前記構内通信網に接続される構内端末からの運転開始指示に関連付けて設定される値の方が長い請求項3に記載の電気掃除機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について
図1から
図6を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機を含む運転制御システムを示すシステム構成図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、運転制御システム2に通信可能に接続されている。
【0014】
そして、運転制御システム2は、通信網5を経由して、遠隔操作端末6から電気掃除機1へ運転開始指示を含む通信信号を双方向通信する。また、運転制御システム2は、通信網5を経由して、構内端末7から電気掃除機1へ運転開始指示を含む通信信号を双方向通信する。
【0015】
通信網5は、外部ネットワーク8と、構内通信網9と、構内通信網9と外部ネットワーク8との間で通信を中継する中継通信機器11と、外部ネットワーク8に通信可能に接続されるサーバ12と、を含んでいる。
【0016】
構内通信網9は、中継通信機器11に一体化される無線または有線の通信網である。電気掃除機1および構内端末7は、構内通信網9に通信可能に接続されている。
【0017】
外部ネットワーク8は、インターネット13を含んでいる。中継通信機器11、サーバ12、および遠隔操作端末6は、公衆電話網や携帯電話網などを介してインターネット13に接続されている。
【0018】
サーバ12は、電気掃除機1と遠隔操作端末6との情報通信を仲立ちしている。
【0019】
サーバ12は、インターネット13を介して多数の電気掃除機1との間で通信している。サーバ12は、多数の電気掃除機1それぞれに識別子を付与している。電気掃除機1の使用者は、サーバ12が提供する識別子によって、携帯する遠隔操作端末6と自宅の電気掃除機1との間で双方向通信を確立する。
【0020】
遠隔操作端末6は、公衆無線回線や携帯電話回線を介してインターネットに接続し、サーバ12との間で双方向通信可能な装置であって、電気掃除機1の掃除運転開始指示、一時停止指示、および停止指示の入力と、運転中、一時停止中、および停止中など、電気掃除機1の状態を通知する通信信号を通信網5から取得して使用者へ出力と、を行う。
【0021】
他方、電気掃除機1は、自律走行して居室内を掃除する自律型掃除ユニット21と、自律型掃除ユニット21の充電台22と、を備えている。
【0022】
自律型掃除ユニット21は、いわゆるロボットクリーナである。自律型掃除ユニット21は、居室内の被掃除面を全域に渡って自律移動して塵埃を捕集し、この後、充電台22へ帰巣して次の掃除運転を待機する。自律型掃除ユニット21は、赤外線通信によって充電台22の相対的な位置を検出する。自律型掃除ユニット21は、中空円盤形状の本体ケース25に覆われ、本体ケース25内の二次電池26によって自律走行する。
【0023】
充電台22は、居室内の被掃除面上に設置されている。充電台22は、本体ケース25が接続または離脱可能であって、本体ケース25が接続されると二次電池26を充電する。充電台22は、商用交流電源から電力を導く電源コード27と、を備えている。
【0024】
また、自律型掃除ユニット21は、本体ケース25が充電台22に接続されて二次電池26への充電が可能になったか否かを判定する接続判定部28を備えている。接続判定部28は、接触式のセンサであっても良いし、非接触式のセンサであっても良く、本体ケース25が充電台22に接続されて充電が可能になると、電源コード27と二次電池26とを電気的に接続する電路を閉じて充電を始める。
【0025】
次に、本発明の実施形態に係る自律型掃除ユニット21について詳細に説明する。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の自律型掃除ユニットを示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る自律型掃除ユニット21は、中空円盤形状の本体ケース25と、本体ケース25の後部に設けられる塵埃容器29と、本体ケース25内に収容されて塵埃容器29に接続される電動送風機31と、被掃除面上の本体ケース25を移動させる移動部32と、移動部32を駆動させる駆動部33と、駆動部33を制御して被掃除面上の本体ケース25を自律で移動させるロボット制御部35と、中継通信機器11との間で運転開始指示を含む通信信号を送受信する通信部36と、ロボット制御部35への指示入力を受け付ける入力部37と、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得したロボット制御部35が掃除運転を開始するときに、掃除運転を開始することを報知する報知部38と、駆動部33に電力を供給する電源としての二次電池26と、を備えている。
【0028】
塵埃容器29は、電動送風機31が発生させる吸込負圧によって本体ケース25底面の吸込口(図示省略)から吸い込まれる塵埃を蓄積する。塵埃容器29は、塵埃を濾過捕集するフィルタや、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離などの慣性分離によって塵埃を蓄積する分離装置である。
【0029】
移動部32は、本体ケース25の底面に配置される左右一対の駆動輪(図示省略)と、本体ケース25の底面に配置される旋回輪(図示省略)と、を備えている。
【0030】
駆動部33は、一対の駆動輪のそれぞれに接続される一対の電動機である。駆動部33は、左右の駆動輪をそれぞれ独立に駆動させる。
【0031】
通信部36は、中継通信機器11から掃除運転開始指示、一時停止指示、および停止指示など、自律型掃除ユニット21に対する指示を含む通信信号を受信する一方、運転中、一時停止中、および停止中など、自律型掃除ユニット21の状態を通知する通信信号を送信する。
【0032】
通信部36は、中継通信機器11との間で無線通信回線を確立して、自律型掃除ユニット21に対する指示を含む通信信号を受信する一方、自律型掃除ユニット21の状態を通知する通信信号を送信する。
【0033】
入力部37は、本体ケース25に設けられる例えばスイッチの他に、赤外線を利用して指示入力するリモートコントローラであっても良い。
【0034】
二次電池26は、電動送風機31、駆動部33、およびロボット制御部35の電源である。二次電池26は、本体ケース25が充電台22に電気的に接続されることによって充電される。
【0035】
報知部38は、音声や警告音などの音、点灯や点滅などの光学的な表示によって、使用者や自律型掃除ユニット21周囲にいる第三者に掃除運転の開始を知らせる。なお、報知部38は、タイマー処理に従って掃除運転を開始する際にも、利用することができる。
【0036】
ロボット制御部35は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。ロボット制御部35は、電動送風機31および駆動部33に電気的に接続されている。ロボット制御部35は、入力部37から取得する指示内容、および通信部36から取得する指示内容に応じて電動送風機31および駆動部33を制御し、掃除を行う。
【0037】
ロボット制御部35が実行する指示内容には、電気掃除機1の掃除運転開始指示、一時停止指示、掃除運転再開指示、および停止指示などが含まれている。ロボット制御部35は、これらの指示内容を入力部37および通信部36から取得する。なお、掃除運転再開指示とは、掃除運転の一時停止中の運転開始指示のことである。
【0038】
また、ロボット制御部35は、計時部39を含み、電気掃除機1の掃除運転開始指示、一時停止指示、掃除運転再開指示、および停止指示をタイマー処理して使用者の所望する時宜に実行することもできる。ロボット制御部35は、掃除運転開始指示、一時停止指示、掃除運転再開指示、および停止指示などのタイマー処理を行うこと、あるいは行ったことを通信部36から通信網5を経て構内端末7、および遠隔操作端末6へ報知することができる。
【0039】
さらに、ロボット制御部35は、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得して掃除運転を開始するときに、掃除運転を開始すること、または開始したことを通信信号に含めて通信部36から中継通信機器11へ送信させる。掃除運転を開始すること、または開始したことを含む通信信号は、中継通信機器11から遠隔操作を指示した構内端末7、または遠隔操作端末6へ送信され、使用者に掃除運転が開始されたことを知らせる。
【0040】
次に、本発明の実施形態に係る自律型掃除ユニット21の掃除運転開始制御について説明する。
【0041】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除運転開始制御を示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1のロボット制御部35は、本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断される場合には、運転開始指示に従って掃除運転を開始する一方、本体ケース25周囲の安全性が確保されているとの判断が満たされない場合には運転開始指示に反して掃除運転を抑止する。なお、
図3に示す自律型掃除ユニット21の掃除運転開始制御を安全性判断制御と呼ぶ。
【0043】
具体的には、ロボット制御部35は、タイマー処理または遠隔操作において、入力部37および通信部36を継続的に監視し(ステップS1、ステップS2 No)、運転開始指示を受け付けると(ステップS2 Yes)本体ケース25周囲の安全性が確保されているか否かを判断する(ステップS3)。
【0044】
そして、ロボット制御部35は、本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断される場合には(ステップS3 Yes)、運転開始指示に従って掃除運転を開始し(ステップS4)、電動送風機31および駆動部33を制御して居室の掃除を行う。他方、本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断できない場合には(ステップS3 No)、運転開始指示に反して掃除運転を抑止し(ステップS5)、その場に留まる。
【0045】
ここで、本体ケース25周囲の安全性が確保されているか否かの判断は、自律型掃除ユニット21と充電台22との相対的な位置関係から判断する方法、自律型掃除ユニット21が可搬されたことから判断する方法、および自律型掃除ユニット21周囲を撮影して判断する方法などが採用される。
【0046】
自律型掃除ユニット21と充電台22との相対的な位置関係から判断する具体例を説明する。具体的には、ロボット制御部35は、自律型掃除ユニット21の本体ケース25が充電台22に接続されている場合には本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断する。また、ロボット制御部35は、自律型掃除ユニット21の本体ケース25がビーコンユニット(図示省略)に衝突または接触しない程度に近接した位置に配置されている場合には本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断する。ビーコンユニットは、使用者によって安全が確保されている場所に予め設置されて用いられる。他方、ロボット制御部35は、本体ケース25が充電台22から離脱され、また、予め定める距離内にビーコンユニットを検知できない場合には、本体ケース25周囲の安全性確保を否定する。
【0047】
自律型掃除ユニット21が可搬されたことから判断する具体例を説明する。具体的には、ロボット制御部35は、入力部37の安全確認ボタン(図示省略)が入力された場合には本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断する。使用者は、自律型掃除ユニット21を任意の場所に配置し、本体ケース25周囲の安全を確認して安全確認ボタンを入力することによって、その後、遠隔操作端末6やタイマー処理によって掃除を開始できる。他方、ロボット制御部35は、自律型掃除ユニット21が第三者によって被掃除面から持ち上げられると、安全確認を解除して本体ケース25周囲の安全性確保を否定する。
【0048】
自律型掃除ユニット21周囲を撮影して判断する具体例を説明する。具体的には、ロボット制御部35は、自律型掃除ユニット21のカメラ(図示省略)で周囲の様子を撮影し、通信網5を経由して構内端末7または遠隔操作端末6へ撮影した画像を送って、使用者に本体ケース25周囲の安全性が確保されていることを確認させる。使用者は、構内端末7または遠隔操作端末6で受信する画像から自律型掃除ユニット21周囲の安全性を確認し、安全が確保されているか否かを判断する。
【0049】
また、自律型掃除ユニット21のカメラで周囲の様子を撮影し、この画像から本体ケース25周囲にグラスや陶磁器などの障害物を画像認識で検出できない場合には、本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断することもできる。ロボット制御部35は、カメラで撮影する自律型掃除ユニット21周囲の画像からグラスや陶磁器などの障害物を画像認識し、障害物を検出した場合には本体ケース25周囲の安全性確保を否定し、他方、障害物を検出できなかった場合には本体ケース25周囲の安全性確保を肯定する。
【0050】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除運転開始制御の他の例を示すフローチャートである。
【0051】
図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1のロボット制御部35は、タイマー処理または遠隔操作において、本体ケース25が充電台22から離脱した後の経過時間Tpが予め定める判定時間Td1以内の場合には、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可する。
【0052】
具体的には、ロボット制御部35は、接続判定部28を継続的に監視し(ステップS11)、本体ケース25が充電台22に接続されて二次電池26への充電が可能な状態であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0053】
ロボット制御部35は、本体ケース25が充電台22に接続されて二次電池26への充電が可能な状態であれば(ステップS12 Yes)、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可する(ステップS13)。ロボット制御部35は、通信部36が動作している間、
図3の安全性判断制御を行う。
【0054】
他方、ロボット制御部35は、本体ケース25が充電台22に接続されていない、つまり本体ケース25が充電台22から離脱している場合には(ステップS12 No)、計時部39によって本体ケース25が充電台22から離脱した後の経過時間Tpを計時する(ステップS14)。ロボット制御部35は、経過時間Tpが予め定める判定時間Td1以内であるか否かを判定し(ステップS15)、経過時間Tpが予め定める判定時間Td1以内の場合には(ステップS15 Yes)、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可して(ステップS16)経過時間Tpの計時を継続する(ステップS14)。ロボット制御部35は、通信部36が動作している間、
図3の安全性判断制御を行う。
【0055】
他方、ロボット制御部35は、経過時間Tpが予め定める判定時間Td1を過ぎる場合には(ステップS15 No)、通信部36を停止させる(ステップS17)。ステップS17において、電気掃除機1は、構内端末7および遠隔操作端末6からの指示を受信できず、指示に従った制御を開始することもできない。また、ロボット制御部35は、タイマー処理による掃除動作も禁止する。この場合であっても、電気掃除機1は、入力部37の指示に従って運転を開始することができる。
【0056】
なお、判定時間Td1は、外部ネットワーク8に接続される遠隔操作端末6からの運転開始指示に関連付けて設定される値Td1_Rよりも、構内通信網9に接続される構内端末7からの運転開始指示に関連付けて設定される値Td1_Lの方が長い。例えば、値Td1_Rは1分に設定され、値Td1_Lは10分に設定されている。
【0057】
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一時停止制御を示すフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1のロボット制御部35は、掃除運転中であって、通信信号に含まれる一時停止指示を通信部36から取得した場合には、掃除運転を一時的に停止し、一時停止した後の経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2以内であって、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得した場合には、掃除運転を再開させる。
【0059】
具体的には、ロボット制御部35は、掃除運転開始制御(
図3、
図4)によって掃除運転を開始すると(ステップS21)入力部37および通信部36を継続的に監視し(ステップS22、ステップS23 No)、一時停止指示を受け付けると(ステップS23 Yes)電動送風機31、および駆動部33への給電を遮断して電気掃除機1を一時停止させる(ステップS24)。
【0060】
そして、ロボット制御部35は、一時停止中、計時部39によって一時停止した後の経過時間Tpを計時する(ステップS25)。ロボット制御部35は、経過時間Tpが予め定める判定時間Td1以内であるか否かを判定し(ステップS26)、経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2以内の場合には(ステップS26 Yes)、入力部37および通信部36の監視を継続し(ステップS27)、運転再開指示(運転開始指示)を受け付けると(ステップS28 Yes)指示に従って掃除運転を再開し(ステップS29)、電動送風機31および駆動部33を制御して居室の掃除を行う。
【0061】
他方、ロボット制御部35は、経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2を過ぎる場合には(ステップS26 No)、通信部36の監視を迂回し、運転再開指示(運転開始指示)を受け付けても、指示に反して掃除運転の再開を抑制する(ステップS30)。
【0062】
ステップS30において、電気掃除機1は、構内端末7および遠隔操作端末6からの指示に従わず、掃除運転を再開させない。この場合であっても、電気掃除機1は、入力部37の指示に従って運転を開始することができる。
【0063】
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一時停止制御の他の例を示すフローチャートである。
【0064】
図6に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1のロボット制御部35は、掃除運転中であって、前記通信信号に含まれる一時停止指示を通信部36から取得した場合には、掃除運転を一時的に停止し、一時停止した後の経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2以内であって、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得した場合には、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可する。
【0065】
具体的には、ロボット制御部35は、掃除運転開始制御(
図3、
図4)によって掃除運転を開始すると(ステップS31)入力部37および通信部36を継続的に監視し(ステップS32、ステップS33 No)、一時停止指示を受け付けると(ステップS33 Yes)電動送風機31、および駆動部33への給電を遮断して電気掃除機1を一時停止させる(ステップS34)。
【0066】
そして、ロボット制御部35は、一時停止中、計時部39によって一時停止した後の経過時間Tpを計時する(ステップS35)。ロボット制御部35は、経過時間Tpが予め定める判定時間Td1以内であるか否かを判定し(ステップS36)、経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2以内の場合には(ステップS36 Yes)、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可する(ステップS37)。ロボット制御部35は、入力部37および通信部36の監視を継続し(ステップS38)、運転開始指示を受け付けると(ステップS39 Yes)指示に従って掃除運転を再開し(ステップS40)、電動送風機31および駆動部33を制御して居室の掃除を行う。
【0067】
他方、ロボット制御部35は、経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2を過ぎる場合には(ステップS36 No)、通信部36を停止させて(ステップS41)運転開始指示の受信を不許可にする。ステップS41において、電気掃除機1は、構内端末7および遠隔操作端末6からの指示を受信できず、指示に従った制御を開始することもできない。この場合であっても、電気掃除機1は、入力部37の指示に従って運転を開始することができる。
【0068】
なお、第二判定時間Td2は、外部ネットワーク8に接続される遠隔操作端末6からの運転開始指示に関連付けて設定される値Td2_Rよりも、構内通信網9に接続される構内端末7からの運転開始指示に関連付けて設定される値Td2_Lの方が長い。例えば、値Td2_Rは1分に設定され、値Td2_Lは10分に設定されている。
【0069】
自律型の電気掃除機1をタイマー処理や遠隔操作によって掃除運転を開始させる場合、充電台22に接続されている状態や、ビーコンユニットの検知可能領域に配置されている状態からの運転開始においては、使用者が、移動の妨げになる障害物を予め片付けて、電気掃除機1の掃除運転の円滑な実施に働きかける傾向があるため、掃除運転の安全性は確保されやすい。
【0070】
また、充電台22から離脱した後、所定経過時間内(例えば、判定時間Td1)では、使用者が所望の居室を掃除するために自律型掃除ユニット21を移動させた状況が判断され、使用者が意図的に自律型掃除ユニット21を充電台22から離脱させた可能性が高い。このような場合、使用者の意図が明確であって、自律型掃除ユニット21の近くにいることも考えられ、遠隔操作による掃除運転を許可しても、自律型掃除ユニット21の安全性は確保されていると判断できる。
【0071】
さらに、掃除運転中に電気掃除機1を一時停止した場合では、所定経過時間内(例えば、第二判定時間Td2)であれば、使用者が掃除場所に放置されている障害物を片付け、この後に掃除運転を再開させる状況が判断される。この場合においても、使用者の意図が明確であって、自律型掃除ユニット21の近くにいることも考えられ、遠隔操作による掃除運転を許可しても、自律型掃除ユニット21の安全性は確保されていると判断できる。
【0072】
つまり、電気掃除機1は、充電台22に接続されている場合、ビーコンユニットの検知可能領域に配置されている場合、充電台22から離れて所定経過時間内(例えば、判定時間Td1)、および一時停止状態になってから所定経過時間内(例えば、第二判定時間Td2)の少なくともいずれかの状況において、掃除運転を許可することで、タイマー処理や遠隔操作による運転操作の利便性と安全性を両立することができる。
【0073】
そこで、本実施形態に係る電気掃除機1は、本体ケース25周囲の安全性が確保されていると判断される場合には、タイマー処理あるいは遠隔操作による運転開始指示に従って掃除運転を開始する一方、本体ケース25周囲の安全性が確保されているとの判断が満たされない場合にはタイマー処理あるいは遠隔操作による運転開始指示に反して掃除運転を抑止する。これにより、本実施形態に係る電気掃除機1は、運転操作の利便性と安全性を両立することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、本体ケース25が充電台22から離脱した後の経過時間Tpが予め定める判定時間Td1以内の場合には、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可することによって、運転操作の利便性と安全性を両立することができる。
【0075】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、掃除運転中であって、通信信号に含まれる一時停止指示を通信部36から取得した場合には、掃除運転を一時的に停止し、一時停止した後の経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2以内であって、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得した場合には、掃除運転を再開させることによって、運転操作の利便性と安全性を両立することができる。
【0076】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1は、掃除運転中であって、前記通信信号に含まれる一時停止指示を通信部36から取得した場合には、掃除運転を一時的に停止し、一時停止した後の経過時間Tpが予め定める第二判定時間Td2以内であって、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得した場合には、通信部36を動作させて運転開始指示の受信を許可する。これにより、本実施形態に係る電気掃除機1は、運転操作の利便性と安全性を両立することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、報知部38を備えることによって、タイマー処理、あるいは遠隔操作によって掃除運転を開始する際に、周囲にいる第三者へ注意を促し、安全性の確保に資することもできる。
【0078】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、通信信号に含まれる運転開始指示を通信部36から取得して掃除運転を開始するときに、掃除運転を開始すること、または開始したことを通信信号に含めて通信部36から中継通信機器11へ送信させることによって、遠隔操作の成否を知ることができる。
【0079】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1は、判定時間Td1、および第二判定時間Td2について、外部ネットワーク8に接続される遠隔操作端末6からの運転開始指示に関連付けて設定される値Td1_R、Td2_Rよりも、構内通信網9に接続される構内端末7からの運転開始指示に関連付けて設定される値Td1_L、Td2_Lの方を長くする。これによって、本実施形態に係る電気掃除機1は、使用者が自律型掃除ユニット21の比較的近くに居ると類推され、掃除運転の安全性確保が容易と判断される場合には条件を緩和し、使用者が自律型掃除ユニット21から比較的遠くに居ると類推され、掃除運転の安全性確保が不明確な場合には、条件を厳しくして、運転操作の利便性と安全性を両立することができる。
【0080】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1によれば、遠隔指示やタイマー指示による掃除開始指示の利便性と、掃除運転の安全性を両立できる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。