特許第6366091号(P6366091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6366091ミスアライメント検知装置、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366091
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ミスアライメント検知装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20180723BHJP
【FI】
   G01M99/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-122454(P2014-122454)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-3876(P2016-3876A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 敬喜
(72)【発明者】
【氏名】棗田 昌尚
(72)【発明者】
【氏名】笠原 梓司
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】井上 敬
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 司
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】生田 睦男
(72)【発明者】
【氏名】安達 勝
(72)【発明者】
【氏名】崎部 将弘
(72)【発明者】
【氏名】宮 健三
(72)【発明者】
【氏名】相馬 知也
(72)【発明者】
【氏名】高城 真弓
(72)【発明者】
【氏名】大石 敏之
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−149137(JP,A)
【文献】 特開平05−322641(JP,A)
【文献】 特開2013−200899(JP,A)
【文献】 特開2011−257362(JP,A)
【文献】 実開昭54−148187(JP,U)
【文献】 特開2003−293961(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099341(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00−13/04;99/00
F04C 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメントの発生を検出するミスアライメント検知装置であって、
前記ポンプへ流入する液体の液圧を測定して、流入液圧測定データを生成する流入圧力計と、
前記ポンプから流出する液体の液圧を測定して、流出液圧測定データを生成する流出圧力計と、
前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データを収集して蓄積データとして蓄積する情報蓄積部と、
正常時の蓄積データを取得する際に、前記ポンプ内の液体の液圧を少しずつ変化させる調整機と、
前記カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の前記蓄積データから、前記流入液圧測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出してモデルを構築するモデル構築部と、
前記抽出された相関関係と、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データとから、相関関係の崩れをミスアライメントの発生として検出し、検出結果を出力するミスアライメント検出部と、
を備えることを特徴とするミスアライメント検知装置。
【請求項2】
前記ミスアライメント検出部によってミスアライメントの発生が検出された場合に、その旨を通知する通知部をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載のミスアライメント検知装置。
【請求項3】
前記モデル構築部は、前記流入液圧測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を示す近似式およびフィット値を生成し、前記近似式およびフィット値をモデルとして記憶することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミスアライメント検知装置。
【請求項4】
前記モデル構築部は、生成された前記フィット値を予め定められた閾値と比較し、前記フィット値が予め定められた閾値以上である場合に、前記モデルを記憶することを特徴とする請求項に記載のミスアライメント検知装置。
【請求項5】
前記ミスアライメント検出部は、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データの一方を、前記近似式に代入することで、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データの他方の予測値を算出し、前記予測値と予め定められた閾値とを比較することにより、前記相関関係の崩れを判断することを特徴とする請求項または請求項に記載のミスアライメント検知装置。
【請求項6】
発電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメントの発生を検出する請求項1に記載のミスアライメント検知装置のミスアライメント検知方法であって、
前記ポンプへ流入する液体の液圧を測定して、流入液圧測定データを生成する流入圧力計と、前記ポンプから流出する液体の液圧を測定して、流出液圧測定データを生成する流出圧力計とを設け、
前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積し、
正常時の蓄積データを取得する際に、調整機で前記ポンプ内の液体の液圧を少しずつ変化させ、
前記カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の前記蓄積データから、前記流入液圧測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出してモデルを構築し、
抽出された相関関係と、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データとから、相関関係の崩れをミスアライメントの発生として検出し、検出結果を出力することを特徴とするミスアライメント検知方法。
【請求項7】
電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメントの発生を検出する請求項1に記載のミスアライメント検知装置に、コンピュータを用いて前記ミスアライメントを検出させるミスアライメント検知プログラムであって、
前記ポンプへ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と前記ポンプから流出する液体の液圧を測定する流出圧力計とから、それぞれ流入液圧測定データおよび流出液圧測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積する処理と、
正常時の蓄積データを取得する際に、前記ポンプ内の液体の液圧を少しずつ変化させるように調整機を制御する処理と、
前記カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の前記蓄積データから、前記流入液圧測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出してモデルを構築する処理と、
抽出された相関関係と、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定された測定データとから、相関関係の崩れをミスアライメントの発生として検出し、検出結果を出力する処理と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするミスアライメント検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメント(軸ズレ)の発生を検出するミスアライメント検知装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機、又は電動機によって駆動されるポンプや減速機(歯車装置)等の機械系からなる回転機械系の状態診断には、振動センサ等を設置して、測定パラメータとして振動を利用した方法及び装置が用いられている。
【0003】
また、電動機の可動時の負荷電流を検出する電流検出器を設置し、電流検出器による測定データを利用して、回転機械系の異常(ミスアライメント)を診断する方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−257362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような振動センサや電流検出器は、ミスアライメントの発生を検知することのみを目的とした専用品であり、専用品である振動センサや電流検出器を設置することで、設備投資が増大するという問題があった。また、ミスアライメント時の影響が外部に伝達しづらい構造の場合、振動センサでは、ミスアライメントを検知できないという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ミスアライメント検知に特化した専用のセンサを必要とすることなく、カップリングでのミスアライメント(軸ズレ)の発生を検知することが可能なミスアライメント検知装置、方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のミスアライメント検知装置は、発電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメントの発生を検出するミスアライメント検知装置であって、前記ポンプへ流入する液体の液圧を測定して、流入液圧測定データを生成する流入圧力計と、前記ポンプから流出する液体の液圧を測定して、流出液圧測定データを生成する流出圧力計と、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データを収集して蓄積データとして蓄積する情報蓄積部と、正常時の蓄積データを取得する際に、前記ポンプ内の液体の液圧を少しずつ変化させる調整機と、前記カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の前記蓄積データから、前記流入液圧測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出してモデルを構築するモデル構築部と、前記抽出された相関関係と、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データとから、相関関係の崩れをミスアライメントの発生として検出し、検出結果を出力するミスアライメント検出部と、を備える。
【0008】
また、本発明のミスアライメント検知方法は、発電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメントの発生を検出する上記ミスアライメント検知装置のミスアライメント検知方法であって、前記ポンプへ流入する液体の液圧を測定して流入液圧測定データを生成する流入圧力計と、前記ポンプから流出する液体の液圧を測定して流出液圧測定データを生成する流出圧力計とを設け、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積し、正常時の蓄積データを取得する際に、調整機で前記ポンプ内の液体の液圧を少しずつ変化させ、前記カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の前記蓄積データから、前記流入液圧測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出してモデルを構築し、抽出された相関関係と、前記流入液圧測定データおよび前記流出液圧測定データとから、相関関係の崩れをミスアライメントの発生として検出し、検出結果を出力する。
【0009】
また、本発明のミスアライメント検知プログラムは、発電所内のポンプと電動機とを連結するカップリングでのミスアライメントの発生を検出する上記ミスアライメント検知装置に、コンピュータを用いて前記ミスアライメントを検出させるミスアライメント検知プログラムであって、前記ポンプへ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と前記ポンプから流出する液体の液圧を測定する流出圧力計とから、それぞれ流入液圧測定データと流出液圧測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積する処理と、正常時の蓄積データを取得する際に、前記ポンプ内の液体の液圧を少しずつ変化させるように調整機を制御する処理と、前記カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の蓄積データから、前記流入液力測定データと前記流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出してモデルを構築する処理と、抽出された相関関係と、前記流入液圧力測定データおよび前記流出液圧測定データとから、相関関係の崩れをミスアライメントの発生として検出し、検出結果を出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、液体の液圧を測定するために設置される既存の圧力計の測定データを利用して、カップリングでミスアライメントが発生したことを検知することが可能であるため、ミスアライメント検知に特化した専用のセンサを必要とすることなく、高感度にミスアライメントの発生を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態であるミスアライメント検知装置の構成を概略的に示す説明図である。
図2】圧力計および情報蓄積部の動作を示すフローチャートである。
図3】モデル構築部の動作を示すフローチャートである。
図4】ミスアライメント検出部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるミスアライメント検知装置について説明する。
【0013】
本実施形態のミスアライメント検知装置は、発電所内に設置されたポンプ2と電動機(図示せず)とを連結するカップリング(図示せず)でのミスアライメント(軸ズレ)の発生を検出するものである。
【0014】
ミスアライメント検知装置は、図1に示すように、流入圧力計10と、流出圧力計20と、調整機40と、情報蓄積部50と、モデル構築部60と、ミスアライメント検出部70と、通知部80とを備えている。本例では、配管1中を流れる液体が水である場合を例に挙げて説明する。
【0015】
流入圧力計10は、図1に示すように、液体収容部としてのポンプ2の流入口側に設置され、ポンプ2へ流入する水の水圧を測定して、流入液圧測定データを生成する。なお、流入圧力計10は、ポンプ2に設置してもよく、また、ポンプ2の流入口側の配管1に設置してもよい。
【0016】
流出圧力計20は、図1に示すように、ポンプ2の流出口側に設置され、ポンプ2から流出する水の水圧を測定して、流出液圧測定データを生成する。なお、流出圧力計20は、ポンプ2に設置してもよく、また、ポンプ2の流出口側の配管1に設置してもよい。
【0017】
調整機40は、配管1内の水の量や圧力等を調整する。本実施形態では、調整機40は、配管1内の水圧を制御する制御弁として構成されている。
【0018】
ポンプ2と流入圧力計10と流出圧力計20と調整機40とは、図1に示すように、配管1で繋がれている。
【0019】
情報蓄積部50とモデル構築部50とミスアライメント検出部70との組み合わせは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータ100で実現され得る。RAMは、データを一時的に記憶するワークメモリとして使用され、本例では、情報蓄積部50として働く。ROMは、プログラムを記憶するが、本例では、プログラムとしてミスアライメント検知プログラムを記憶する。CPUは、ROMに記憶されたミスアライメント検知プログラムに従って、RAMに記憶されている蓄積データを処理することにより、モデル構築部60およびミスアライメント検知部70として働く。
【0020】
情報蓄積部50は、流入圧力計10、流出圧力計20によってそれぞれ測定された流入液圧測定データおよび流出液圧測定データと測定時刻の時刻データとを、流入圧力計10、流出圧力計20から受けとって、蓄積データとして蓄積する。
【0021】
モデル構築部60は、カップリングでミスアライメントが発生していない正常時の一定時間分の蓄積データを、情報蓄積部50から受け取り、流入液圧測定データと流出液圧測定データとの間の相関関係を抽出する。
【0022】
ミスアライメント検出部70は、抽出された相関関係をモデル構築部60から受け取るとともに、情報蓄積部50から一定時間分の蓄積データを受け取り、これらを基に後述するようにカップリングでのミスアライメントの発生を検知する。
【0023】
通知部80は、アラーム機やディスプレイ等で構成され、ミスアライメント検出部70が検知したミスアライメントの発生をアラーム音やメッセージ等で通知する。
【0024】
つぎに、図2を用いて、流入圧力計10、流出圧力計20および情報蓄積部50の動作を説明する。
【0025】
まず、流入圧力計10、流出圧力計20は、ポンプ2の流入口側および流出口側において水圧を常に測定して、それぞれ、流入液圧測定データおよび流出液圧測定データを生成している(ステップ201)。
【0026】
次に、流入圧力計10、流出圧力計20によってそれぞれ測定された流入液圧測定データおよび流出液圧測定データは、測定時刻の時刻データとともに情報蓄積部50へ通知される(ステップ202)。
【0027】
次に、情報蓄積部50は、流入圧力計10、流出圧力計20から受け取ったデータ(流入液圧測定データ、流出液圧測定データおよび時刻データ)を蓄積データとして蓄積する。
【0028】
上述したステップ201〜203の動作は、常時、繰り返し行われる。
【0029】
なお、情報蓄積部50による情報蓄積の態様としては、リレーショナルデータベースのような機構を用いてもよいし、単純なテキストファイルで保持してもよい。また、蓄積データは、流入圧力計10、流出圧力計20による流入液圧測定データ、流出液圧測定データと測定時刻の時刻データとから構成され、一般に時系列データと呼ばれている形態となる。
【0030】
つぎに、図3を用いて、モデル構築部60の動作を説明する。
【0031】
まず、カップリングでミスアライメントが一切発生していない正常動作時において、調整機40を調整して配管1、ポンプ2に流れる水圧を少しずつ変化させる(ステップ301)。なお、この際、水圧を上げる方向、下げる方向が混在しても構わない。
【0032】
次に、調整機40の操作により変化する水圧を、流入圧力計10、流出圧力計20が検知し、その流入液圧測定データ、流出液圧測定データおよび時刻データを情報蓄積部50へ通知し、情報蓄積部50は、受け取った情報を随時、蓄積データとして蓄積する(ステップ302、図2のステップ201〜203)。
【0033】
次に、モデル構築部60は、情報蓄積部50から、調整機40を操作して水圧を変化させた期間の蓄積データを受け取る(ステップ303)。
【0034】
次に、モデル構築部60は、受け取った蓄積データから、ポンプ2の流入口側で測定された流入水圧値とポンプ2の流出口側で測定された流出水圧値との間の、相関関係を確認する(ステップ304)。
【0035】
ここでは、情報蓄積部50から入手した2点の一定時間の時系列データから、モデル構築部60は、2点間の相関関係として、B=f(A)のような近似式を生成する。近似式の生成方法としては、例えば、線形回帰と呼ばれている方法や、ほかにも既に様々な方法が提案されているため、ここでは詳細について述べない。さらに、モデル構築部60は、生成した近似式と、生成時に利用した時系列データとから、実際のデータを近似式がどの程度近似できているかどうかの指標であるフィット値を生成する。線形回帰として最小二乗法を用いて近似した場合、フィット値は最小二乗法における決定係数とすることができる。
【0036】
次に、モデル構築部60は、フィット値と予め定められた閾値を比較し、閾値以上であれば(ステップ305のN)、2点間の関係(近似式およびフィット値)をモデルとして記憶して処理を終了する(ステップ306)。また、フィット値が閾値以下の場合(ステップ305のY)、処理を終了する。
【0037】
なお、以下では、記憶された2点間の関係をモデルと呼ぶ。
【0038】
ここで、ポンプや電動機の分解点検によるカップリングでのミスアライメントを検出するためには、分解直前にモデルを構築することが望ましい。さらに、ミスアライメントを検出するためには、モデル構築と同じ状態(例えば、システム負荷が同じ状態)で運転されていることが望ましい。モデルはシステム負荷ごとに作成するなど、システムの状態ごとに複数作成し、システムの状態遷移に伴って切り替えて利用してもよい。
【0039】
つぎに、図4を用いて、ミスアライメント検出部70の動作を説明する。
【0040】
なお、ミスアライメント検出部70の動作のためには、予め、モデル構築部60によってモデルが構築されている必要がある。さらに、情報蓄積部50には、常に流入圧力計10、流出圧力計20からの流入液圧測定データ、流出液圧測定データが充分に蓄積データとして蓄積されているものとする。
【0041】
まず、ミスアライメント検出部70は、情報蓄積部50から、ミスアライメントを検知したい、ある時刻tから過去一定時間分の蓄積データを取得する(ステップ401)。ここで、ある時刻tとは、現在時刻より若干の過去の時刻とする。仮に現在時刻の測定データが常に情報蓄積部50に蓄積されている場合は、時刻tは現在時刻でも構わない。
【0042】
次に、ミスアライメント検出部70は、モデル構築部60に記憶されているモデルを取得する(ステップ402)。
【0043】
次に、ミスアライメント検出部70は、モデルから、流入圧力と流出圧力との間の相関関係(近似式B=f(A)およびフィット値)を取得する(ステップ403)。
【0044】
次に、ミスアライメント検出部70は、情報蓄積部50から入手した蓄積データに含まれる流出圧力の値を近似式B=f(A)へ代入し、結果である流入圧力の予測値を求める(ステップ404)。
【0045】
次に、ミスアライメント検出部70は、求められた流入圧力予測値と情報蓄積部50から入手した流入圧力値との間の差異Rを算出する(ステップ405)。
【0046】
次に、差異Rが予め定められた閾値を超えている場合(ステップ406のY)、ミスアライメント検出部70は、近似式B=f(A)の関係が成り立っていない状態と判断し、ポンプ2でミスアライメントが発生している可能性があると判断して、通知部80へ通知する(ステップ407)。
【0047】
次に、ステップ407で通知を行った後、および、差異Rが予め定められた閾値を超えていない場含(ステップ406N)、ミスアライメント検出部70は、時刻tを一定時間△t分だけ進めて、ステップ401からの処理を繰り返す。
【0048】
ここで△tは、ミスアライメントを検知したい間隔から設定されるものであるが、流入圧力計10、流出圧力計20が情報蓄積部50へ測定した結果(流入液圧測定データ、流出液圧測定データ)を通知する間隔よりも大きい必要がある。
【0049】
なお、二点A、B間の相関関係としては、B=f(A)と、A=g(B)という二つの関係性が存在する可能性がある。ここで、fとgとは何らかの関数である。上記実施形態では、二点間の関係としては、B=f(A)という片方向の関係性だけ説明してきたが、A=g(B)という逆方向の関係性も同時に考慮しても良い。この場合、図3のステップ304において、相関関係を確認するときに、モデル構築部60は、B=f(A)だけでなく、A=g(B)についても確認し、フィット値が閾値以上の関係をモデルとして記憶する。もし、両方のフィット値が閾値以上の場合は、モデル構築部60は、よりフィット値が高い方をモデルとして記憶する。
【0050】
このようにして得られた本実施形態のミスアライメント検知装置では、水圧を測定するために設置される既存の流入圧力計10、流出圧力計20の流入液圧測定データ、流出液圧測定データを利用して、カップリングでミスアライメントが発生したことを検知することが可能である。そのため、ミスアライメント検知に特化した専用のセンサを必要とすることなく、高感度にミスアライメントの発生を検知することができる。
【0051】
また、本実施形態のミスアライメント検知装置では、ミスアライメント発生の初期段階で検知することができる。
【0052】
さらに、ミスアライメント発生の初期段階で、運転を停止し、再度組み立てることで、ポンプ2内の部品がミスアライメントによって破損することを防ぐことができる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、液体が水であるものとして説明したが、液体の具体的態様は、カップリングでミスアライメントが生じうるものであれば如何なるものでもよい。また、実施例として、圧力センサの場合について言及したが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、他のセンサ(流量センサ等)を用いても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 ・・・ 配管
2 ・・・ ポンプ(液体収容部)
10 ・・・ 流入圧力計
20 ・・・ 流出圧力計
40 ・・・ 調整機
50 ・・・ 情報蓄積部
60 ・・・ モデル構築部
70 ・・・ ミスアライメント検出部
80 ・・・ 通知部
100 ・・・ マイクロコンピュータ
図1
図2
図3
図4