特許第6366093号(P6366093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6366093近距離通信システム、近距離通信方法、通信処理装置、通信処理装置の制御プログラムおよび携帯端末のアプリケーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366093
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】近距離通信システム、近距離通信方法、通信処理装置、通信処理装置の制御プログラムおよび携帯端末のアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20180723BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20180723BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20180723BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20180723BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20180723BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20180723BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04M1/00 R
   G06F13/00 510A
   H04W84/10 110
   H04W92/18
   H04W8/00 110
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-127699(P2014-127699)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-9888(P2016-9888A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】松本 芳充
(72)【発明者】
【氏名】富澤 均
(72)【発明者】
【氏名】本田 直人
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 剛
(72)【発明者】
【氏名】北川 奨
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0005257(US,A1)
【文献】 特開2012−160917(JP,A)
【文献】 特開2010−011319(JP,A)
【文献】 特開2014−068076(JP,A)
【文献】 特開2007−329768(JP,A)
【文献】 中道 理,インサイド,日経エレクトロニクス 第1129号,日本,日経BP社,2014年 2月28日,20〜23ページ
【文献】 加藤 寛人,上を目指すプログラマーのための iPhoneアプリ開発テクニック iOS 7編 初版,株式会社インプレスジャパン 土田 米一,2013年12月21日,第1版,p.269-277
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
G06F 13/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信を行う少なくとも1つの第1機器が備える第1送信手段であって、前記第1機器を識別する機器識別子を含む第1信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第1信号フレームをブロードキャストする第1送信手段と、
近距離通信を行う少なくとも1つの第2機器が備える折り返し手段であって、受信した第1信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、かつ、受信した第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを送信した第1機器と前記第1信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内である場合に、前記受信した第1信号フレームを、前記第1信号フレームを送信した第1機器に折り返す第1折り返し手段と、
前記少なくとも1つの第1機器が備える通信確立手段であって、前記折り返された第1信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、前記折り返された第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第1信号フレームに含まれる機器識別子と前記記憶手段に記憶された第1信号フレームに含まれる機器識別子とが同じ場合に、前記第1信号フレームを折り返した第2機器との通信を認証して、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の通信接続を確立する通信確立手段と、
を備える近距離通信システム。
【請求項2】
前記第1送信手段は、さらに付加情報を特定する付加識別子を含む第1信号フレームを生成して前記記憶手段に記憶し、前記生成された第1信号フレームをブロードキャストし、
前記通信確立手段は、さらに、前記折り返された第1信号フレームに含まれる付加識別子が、前記記憶手段に記憶された前記第1信号フレームに含まれ付加識別子と同じ場合に、前記第1信号フレームを折り返した第2機器との通信を認証して、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の通信接続を確立する請求項1に記載の近距離通信システム。
【請求項3】
前記第1送信手段は、前記生成された第1信号フレームの送信電波出力レベルを調整してブロードキャストし、第1機器と、該第1機器から送信された第1信号フレームを受信して折り返す第2機器との距離範囲を調整する請求項1または2に記載の近距離通信システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1機器が備える第2送信手段であって、前記通信確立手段によって通信確立した前記第1機器と前記第2機器との近距離通信を監視するための監視用識別子を含む第2信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第2信号フレームをブロードキャストする第2送信手段と、
前記少なくとも1つの第2機器が備える第2折り返し手段であって、受信した第2信号フレームの信号種別が第2信号種別であり、かつ、受信した第2信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第2信号フレームを送信した第1機器と前記第2信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記受信した第2信号フレームを、前記第2信号フレームを送信した第1機器に折り返す第2折り返し手段と、
前記少なくとも1つの第1機器が備える通信監視手段であって、前記折り返された第2信号フレームの信号種別が前記第2信号種別であり、前記折り返された第2信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第2信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第2信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、
前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第2信号フレームに含まれる監視用識別子と前記記憶手段に記憶された第2信号フレームに含まれる監視用識別子とが同じ場合に、前記第2信号フレームを折り返した第2機器との通信を継続し、
前記検出した距離が前記閾値を超える場合、または、前記折り返された第2信号フレームに含まれる監視用識別子と前記記憶手段に記憶された第2信号フレームに含まれる監視用識別子とが同じでない場合に、前記第2信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第2信号フレームを受信した第1機器との間の通信を切断する通信監視手段と、
をさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の近距離通信システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1機器には測定データを取得する測定器が接続され、前記少なくとも1つの第2機器は前記測定データを表示する表示部を有し、
前記少なくとも1つの第1機器が備える第3送信手段であって、前記測定データを含む第3信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第3信号フレームをブロードキャストする第3送信手段と、
前記少なくとも1つの第2機器が備える第3折り返し手段であって、受信した第3信号フレームの信号種別が第3信号種別であり、かつ、受信した第3信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第3信号フレームを送信した第1機器と前記第3信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記受信した第3信号フレームに含まれる前記測定データを前記表示部に表示し、前記受信した第3信号フレームを、前記第3信号フレームを送信した第1機器に折り返す第3折り返し手段と、
前記少なくとも1つの第1機器が備える送信確認手段であって、前記折り返された第3信号フレームの信号種別が前記第3信号種別であり、前記折り返された第3信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第3信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第3信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第3信号フレームに含まれる測定データと前記記憶手段に記憶された第3信号フレームに含まれる測定データとが同じ場合に、前記第3信号フレームを折り返した第2機器への測定データの送信の完了を確認する第1送信確認手段と、
をさらに備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の近距離通信システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1機器にはメッセージ情報を提供するサーバがネットワークを介して接続され、前記少なくとも1つの第2機器は前記メッセージ情報を表示する表示部を有し、
前記少なくとも1つの第1機器が備える第4送信手段であって、前記メッセージ情報を含む第4信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第4信号フレームをブロードキャストする第4送信手段と、
前記少なくとも1つの第2機器が備える第4折り返し手段であって、受信した第4信号フレームの信号種別が第4信号種別であり、かつ、受信した第4信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第4信号フレームを送信した第1機器と前記第4信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記受信した第4信号フレームに含まれる前記メッセージ情報を前記表示部に表示し、前記受信した第4信号フレームを、前記第4信号フレームを送信した第1機器に折り返す第4折り返し手段と、
前記少なくとも1つの第1機器が備える送信確認手段であって、前記折り返された第4信号フレームの信号種別が前記第4信号種別であり、前記折り返された第4信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第4信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第4信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第4信号フレームに含まれるメッセージ情報と前記記憶手段に記憶された第4信号フレームに含まれるメッセージ情報とが同じ場合に、前記第4信号フレームを折り返した第2機器へのメッセージ情報の送信の完了を確認する第2送信確認手段と、
をさらに備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の近距離通信システム。
【請求項7】
近距離通信を行う少なくとも1つの第1機器が、前記第1機器を識別する機器識別子を含む第1信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第1信号フレームをブロードキャストする第1送信ステップと、
近距離通信を行う少なくとも1つの第2機器が、受信した第1信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、かつ、受信した第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを送信した第1機器と前記第1信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内である場合に、前記受信した第1信号フレームを、前記第1信号フレームを送信した第1機器に折り返す第1折り返しステップと、
前記少なくとも1つの第1機器が、前記折り返された第1信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、前記折り返された第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第1信号フレームに含まれる機器識別子と前記記憶手段に記憶された第1信号フレームに含まれる機器識別子とが同じ場合に、前記第1信号フレームを折り返した第2機器との通信を認証して、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の通信接続を確立する通信確立ステップと、
を含む近距離通信方法。
【請求項8】
通信処理装置を識別する機器識別子を含む信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された信号フレームをブロードキャストする送信手段と、
携帯端末から折り返された信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、携帯端末から折り返された信号フレーム電波送受信強度に基づいて前記携帯端末と前記通信処理装置との間の距離を検出し、前記検出した距離が閾値以内であって、かつ、前記折り返された信号フレームに含まれる機器識別子が、前記記憶手段に記憶された前記信号フレームに含まれる機器識別子と同じ場合に、前記携帯端末との通信を認証して、前記通信処理装置と前記携帯端末との間の通信接続を確立する通信確立手段と、
を備え
前記折り返された信号フレームは、前記携帯端末が受信した信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、かつ、前記携帯端末が、受信時に検出した前記信号フレームの電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置と前記携帯端末との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記携帯端末により折り返される通信処理装置。
【請求項9】
通信処理装置を識別する機器識別子を含む信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された信号フレームをブロードキャストする送信ステップと、
携帯端末から折り返された信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、携帯端末から折り返された信号フレーム電波送受信強度に基づいて前記携帯端末と前記通信処理装置との間の距離を検出し、前記検出した距離が閾値以内であって、かつ、前記折り返された信号フレームに含まれる機器識別子が、前記記憶手段に記憶された前記信号フレームに含まれる機器識別子と同じ場合に、前記携帯端末との通信を認証して、前記通信処理装置と前記携帯端末との間の通信接続を確立する通信確立ステップと、
をコンピュータに実行させる通信処理装置の制御プログラムであって、
前記折り返された信号フレームは、前記携帯端末が受信した信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、かつ、前記携帯端末が、受信時に検出した前記信号フレームの電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置と前記携帯端末との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に前記携帯端末により折り返される通信処理装置の制御プログラム
【請求項10】
近距離通信を行う通信処理装置を識別する機器識別子を含む第1信号フレームを少なくとも1つの通信処理装置から受信して、受信した第1信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、かつ、受信した第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを送信した通信処理装置と携帯端末との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内である場合に、前記第1信号フレームを送信した通信処理装置による通信確立のため、前記受信した第1信号フレームを、前記第1信号フレームを送信した通信処理装置に折り返す第1折り返しステップと、
通信確立した通信処理装置と前記携帯端末との近距離通信を監視するための監視用識別子を含む第2信号フレームを、前記通信確立した通信処理装置から受信し、受信した第2信号フレームの信号種別が第2信号種別であり、かつ、受信した第2信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第2信号フレームを送信した通信処理装置と前記携帯端末との間の距離を検出して、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記第2信号フレームを送信した通信処理装置による近距離通信監視のため、前記受信した第2信号フレームを、前記第2信号フレームを送信した通信処理装置に折り返す第2折り返しステップと、
をコンピュータに実行させる携帯端末のアプリケーションプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離通信システム、近距離通信方法、通信処理装置、通信処理装置の制御プログラムおよび携帯端末のアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、近距離通信における煩雑な接続確立操作を簡略化するために、近距離無線通信を行なうお互いの機器が応答要求信号の受信電力が閾値を上回ると送信元に応答信号を送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−049625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、互いに相手の応答要求信号の受信電力をチェックするのみなので、通信相手が近距離に近づいたことが分かるだけで、通信確立のためには後続の認証手続が必要であった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る近距離通信システムは、
近距離通信を行う少なくとも1つの第1機器が備える第1送信手段であって、前記第1機器を識別する機器識別子を含む第1信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第1信号フレームをブロードキャストする第1送信手段と、
近距離通信を行う少なくとも1つの第2機器が備える折り返し手段であって、受信した第1信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、かつ、受信した第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを送信した第1機器と前記第1信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内である場合に、前記受信した第1信号フレームを、前記第1信号フレームを送信した第1機器に折り返す第1折り返し手段と、
前記少なくとも1つの第1機器が備える通信確立手段であって、前記折り返された第1信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、前記折り返された第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第1信号フレームに含まれる機器識別子と前記記憶手段に記憶された第1信号フレームに含まれる機器識別子とが同じ場合に、前記第1信号フレームを折り返した第2機器との通信を認証して、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の通信接続を確立する通信確立手段と、
を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る近距離通信方法は、
近距離通信を行う少なくとも1つの第1機器が、前記第1機器を識別する機器識別子を含む第1信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された第1信号フレームをブロードキャストする第1送信ステップと、
近距離通信を行う少なくとも1つの第2機器が、受信した第1信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、かつ、受信した第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを送信した第1機器と前記第1信号フレームを受信した第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内である場合に、前記受信した第1信号フレームを、前記第1信号フレームを送信した第1機器に折り返す第1折り返しステップと、
前記少なくとも1つの第1機器が、前記折り返された第1信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、前記折り返された第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内であって、かつ、前記折り返された第1信号フレームに含まれる機器識別子と前記記憶手段に記憶された第1信号フレームに含まれる機器識別子とが同じ場合に、前記第1信号フレームを折り返した第2機器との通信を認証して、前記第1信号フレームを折り返した第2機器と前記折り返された第1信号フレームを受信した第1機器との間の通信接続を確立する通信確立ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信処理装置は、
通信処理装置を識別する機器識別子を含む信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された信号フレームをブロードキャストする送信手段と、
携帯端末から折り返された信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、携帯端末から折り返された信号フレーム電波送受信強度に基づいて前記携帯端末と前記通信処理装置との間の距離を検出し、前記検出した距離が閾値以内であって、かつ、前記折り返された信号フレームに含まれる機器識別子が、前記記憶手段に記憶された前記信号フレームに含まれる機器識別子と同じ場合に、前記携帯端末との通信を認証して、前記通信処理装置と前記携帯端末との間の通信接続を確立する通信確立手段と、
を備え
前記折り返された信号フレームは、前記携帯端末が受信した信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、かつ、前記携帯端末が、受信時に検出した前記信号フレームの電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置と前記携帯端末との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記携帯端末により折り返される
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信処理装置の制御プログラムは、
通信処理装置を識別する機器識別子を含む信号フレームを生成して記憶手段に記憶し、前記生成された信号フレームをブロードキャストする送信ステップと、
携帯端末から折り返された信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、携帯端末から折り返された信号フレーム電波送受信強度に基づいて前記携帯端末と前記通信処理装置との間の距離を検出し、前記検出した距離が閾値以内であって、かつ、前記折り返された信号フレームに含まれる機器識別子が、前記記憶手段に記憶された前記信号フレームに含まれる機器識別子と同じ場合に、前記携帯端末との通信を認証して、前記通信処理装置と前記携帯端末との間の通信接続を確立する通信確立ステップと、
をコンピュータに実行させる通信処理装置の制御プログラムであって、
前記折り返された信号フレームは、前記携帯端末が受信した信号フレームの信号種別が前記第1信号種別であり、かつ、前記携帯端末が、受信時に検出した前記信号フレームの電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置と前記携帯端末との間の距離を検出し、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に前記携帯端末により折り返される
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る携帯端末のアプリケーションプログラムは、
近距離通信を行う通信処理装置を識別する機器識別子を含む第1信号フレームを少なくとも1つの通信処理装置から受信して、受信した第1信号フレームの信号種別が第1信号種別であり、かつ、受信した第1信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第1信号フレームを送信した通信処理装置と携帯端末との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内である場合に、前記第1信号フレームを送信した通信処理装置による通信確立のため、前記受信した第1信号フレームを、前記第1信号フレームを送信した通信処理装置に折り返す第1折り返しステップと、
通信確立した通信処理装置と前記携帯端末との近距離通信を監視するための監視用識別子を含む第2信号フレームを、前記通信確立した通信処理装置から受信し、受信した第2信号フレームの信号種別が第2信号種別であり、かつ、受信した第2信号フレームの電波送受信強度に基づいて、前記第2信号フレームを送信した通信処理装置と前記携帯端末との間の距離を検出して、前記検出した距離が前記閾値以内である場合に、前記第2信号フレームを送信した通信処理装置による近距離通信監視のため、前記受信した第2信号フレームを、前記第2信号フレームを送信した通信処理装置に折り返す第2折り返しステップと、
をコンピュータに実行させる
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、煩雑な操作処理なしに選別された機器の間で近距離無線通信を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る近距離通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る近距離通信システムの概要を説明する図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る近距離通信システムの機能構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る近距離通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図5】前提技術に係る近距離通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器の記憶構成を示す図である。
図8A】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器の処理手順を示すフローチャートである。
図8B】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器の処理手順を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る携帯端末の記憶構成を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る携帯端末の処理手順を示すフローチャートである。
図12】本発明の第3実施形態に係る近距離通信システムの機能構成を示すブロック図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る近距離通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る通信処理装置としてのセンサハブの記憶構成を示す図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る通信処理装置としてのセンサハブおよび携帯端末の処理手順を示すフローチャートである。
図16】本発明の第4実施形態に係る近距離通信システムの概要を説明する図である。
図17】本発明の第4実施形態に係る近距離通信システムの機能構成を示すブロック図である。
図18】本発明の第4実施形態に係る通信処理装置としてのゲートウェイの記憶構成を示す図である。
図19】本発明の第4実施形態に係る通信処理装置としてのゲートウェイの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下の説明中における「近距離」は「近接」と同義であり、例えば、「近距離無線通信」は「近接無線通信」とも称される。また、「信号フレーム」は、1つの通信信号の伝送単位を表わし、例えば、近距離通信における伝送情報を含む各Beacon信号の伝送単位などを表わす。
【0017】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての近距離無線通信システム100について、図1を用いて説明する。近距離無線通信システム100は、不特定多数の無線端末が近距離無線通信を行なうシステムである。
【0018】
図1に示すように、近距離無線通信システム100は、近距離通信を行う少なくとも2つの機器110、120を含む。近距離無線通信システム100においては、機器110、120間で折り返した信号フレーム121の電波送受信強度112、122に基づいて、双方の機器により検出された機器の間の距離113、123が、共に閾値130以内である場合に、機器110、120間の通信接続を確立する。
【0019】
本実施形態によれば、折り返した信号フレームから双方の機器が検出した機器の間の距離が共に閾値以下の場合に通信接続することにより、煩雑な操作処理なしに選別された機器の間で近距離無線通信を確立することができる。
【0020】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る近距離通信システムについて説明する。本実施形態に係る近距離通信システムは、近距離通信を行う少なくとも2つの機器を備え、機器の間で折り返した信号フレームの電波送受信強度に基づいて双方の機器により検出された機器の間の距離が、共に閾値以内である場合に機器の間の通信接続を確立する。そして、信号フレームが、信号フレームを生成した機器を識別する機器識別子を含み、他方の機器から折り返された信号フレームに含まれる機器識別子が、生成した信号フレームに含まれた機器識別子と同じ場合に、機器の間の通信接続を確立する。さらに、信号フレームが、信号フレームを生成した機器が付加した付加識別子を含み、他方の機器から折り返された信号フレームに含まれる付加識別子が、生成した前記信号フレームに含まれた付加識別子と同じ場合に、機器の間の通信接続を確立する。
【0021】
また、複数の機器から信号フレームの折り返しがあった場合に、電波送受信強度に基づいて検出した機器の間の距離が最短の機器を選別して通信接続を確立する。また、信号フレームを生成した機器は電波送信出力レベルを調整して、電波送受信強度に基づいて検出した装置間の距離が閾値以内の機器を絞る。
【0022】
なお、本明細書で使用する「機器識別子あるいは機器ID」は、通信機器を特定する識別可能な識別子であり、「サービス識別子あるいはサービスID」は、通信機器が提供するサービスを特定する識別可能な識別子である。しかし、「サービス識別子あるいはサービスID」は限定されたものではなく、ペアリングに代わる認証を確実にする識別可能な情報であればよく、「付加識別子」との文言で代表させている。また、「近距離監視用識別子あるいはID」も限定されたものではなく、確立した通信を継続するか否かの認証を確実にする識別可能な情報であればよい。また、「Beacon種別(ビーコン種別)」や「近距離監視用信号の種別」は、信号の周波数などの物理的特徴や、信号を表わすヘッダ内の種別コードなどの論理的特徴を含んでよい。
【0023】
《近距離通信システム》
図2乃至図5を参照して、本実施形態の近距離通信システム200の処理について説明する。
【0024】
(システム概要)
図2は、本実施形態に係る近距離通信システム200の概要を説明する図である。本実施形態においては、物理的なロケーションにより通信確立のための認証を行なう認証システムを示す。
【0025】
近距離通信システム200は、ハブとしての機能を持つ通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器210と、ウェアラブルデバイスの携帯端末220、231−232、240とを有する。以下、Bluetooth(登録商標)機器210を通信機器210と略して記載する場合もある。通信機器210と携帯端末220、231−232、240は、各々、Beacon通信における電波送受信強度により距離検出が可能である。
【0026】
携帯端末240のように、通信機器210のBeacon信号(ビーコン信号)の到達範囲外にいる時は、Beacon信号を受信できず通信は開始されない。通信機器210に携帯端末が近づくと、通信機器210からブロードキャスト送信されている機器ID&サービスIDを、携帯端末220、231−232が受信する。携帯端末220、231−232で、電波送受信強度により距離検出を行う。その結果、遠距離であれば、携帯端末231−232は折り返しの応答送信を行わない。距離検出を行った結果、近距離であれば、携帯端末220は通信機器210へ折り返しの応答送信を行なう。
【0027】
さらに、携帯端末220からの折り返しを応答受信した通信機器210が、電波送受信強度により距離検出を行う。その結果、遠距離であれば、通信機器210は、引き続き機器ID&サービスIDを送信し続けて、近距離の携帯端末からの応答受信を待つ。通信機器210は、電波送受信強度により距離検出を行った結果、近距離であれば、お互いの距離が近距離であると判断して通信を確立する。このように、本実施形態の近距離通信システム200は、距離の検出による端末の選別と認証とを行うことを目的とするシステムである。
【0028】
(システム構成)
図3は、本実施形態に係る近距離通信システム200の機能構成を示すブロック図である。近距離通信システム200は、通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器210と携帯端末220(あるいは、センサデバイス)とを含む。
【0029】
携帯端末220は、Beacon送受信部と(Beacon電波送受信強度による)距離検出部とで構成されているBeacon Inf部321と、Beacon制御部322と、ID管理部323と、モニタ表示部324とを備える。
【0030】
Beacon Inf部321には、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy) Beacon等で使われている既存の技術を用いてもよい。Beacon制御部322は、Beacon Inf部321にて検出したBeacon種別と距離情報(電波送受信強度により計測された位置特定範囲情報)とを確認する受信処理機能と、このBeacon種別確認結果と距離情報確認結果とを基に応答処理を決める送信処理機能とを有する。
【0031】
ID管理部323は、受信データ(機器ID&サービスIDや近距離監視用ID)の連続受信確認機能や、この結果を基に応答処理を決める送信処理機能や、モニタ表示部324へ送るデータの処理(変換、編集)機能を持つ。モニタ表示部324は、ID管理部323からのデータを表示させ、携帯端末所持者が機器ID&サービスIDや近距離監視用IDから処理されたデータのモニタ確認を行うことができる。
【0032】
通信機器210は、Beacon送受信部と(Beacon電波送受信強度による)距離探知部とで構成されているBeacon Inf部311と、Beacon制御部312と、ID管理部313とを備える。
【0033】
Beacon Inf部311は、Beacon Inf部321と同じ機能を有する。Beacon制御部312も、Beacon制御部322と同じ機能を有する。また、送信電波出力を調整し検出距離範囲を限定する機能も有する。
【0034】
ID管理部313は、近距離特定フェーズ用の機器ID&サービスIDの生成と送信処理機能と、近距離監視フェーズ用の近距離監視用IDの生成と送信処理機能を有する。ID管理部313は、これら送信データ(機器ID&サービスIDや近距離監視用ID)と、携帯端末220からの応答データ(機器ID&サービスIDや近距離監視用ID)との比較確認を行い、この結果を基に近距離携帯端末特定処理を行う機能を有する。
【0035】
なお、携帯端末220と通信機器210とは複数存在してもよい。携帯端末220の所持者が電源をONさせ、携帯端末220に接近することで、ロケーションによる認証システムが起動する。
【0036】
(前提技術の動作シーケンス)
まず、本実施形態の近距離通信システム200の動作シーケンスを説明する前に、その対比として、図5に従って前提技術としての動作シーケンスを説明する。図5は、一般的なペアリングによる手順例を示す。なお、ペアリング操作を行うためのアプリケーションは、携帯端末520にダウンロードしておくとする。
【0037】
ステップS501においては、Bluetooth(登録商標)機器510は電源OFF状態である。ステップS503においては、携帯端末所持者301が携帯端末520の電源ON(アプリケーション起動)を行なう。
【0038】
ステップS505においては、携帯端末所持者301が通信機器510へ接近(Beacon受信領域に入る)する。そして、ステップS507における、通信機器510の電源ONでペアリングモードが開始される。ステップS507においては、携帯端末520でペアリング操作を行い、通信機器510からの応答により通信機器510を検索する。ステップS509においては、端末機器の画面に表示されている通信機器510のモデル名を選択して通信機器510からの応答を待つ。
【0039】
ステップS511においては、携帯端末520の画面で認証コード(PINコード等)の入力を要求されたら入力する。その他要求あれば情報入力を行なう。ステップS513において、通信機器510は通信機器510内で持っている認証コードと比較し、同じであれば通信が可能となり、通信機器510の通信状態を表示するランプの状態等により、ペアリングされたことを確認する。
【0040】
しかしながら、上記前提技術において、一般的な無線通信システムでは、子機が親機と接続を行う度に事前にペアリングによる認証処理を行う必要がある。そのためには子機が親機の認証コードを入手し、親機から認証コードの入力を要求されると人手で認証コードを入力しなければならないといった問題がある。また、親機は子機に発行した認証コードとペアリング接続情報を個別に管理しなければならず、子機の登録数が増えると親機の認証コードとペアリング接続情報の管理処理が複雑化してしまうといった問題がある。
【0041】
(本実施形態の動作シーケンス)
図4は、本実施形態に係る近距離通信システム200の動作手順を示すシーケンス図である。本実施形態では、近距離無線システムの認証処理において、ペアリング等の特定の操作を行うことなく、子機が親機に接近することで物理的なロケーションにより子機と親機の自動認証を行うことを目的としている。また、親機は子機の数の制限を設けることなく、不特定多数と無限に通信できることを目的としている。
【0042】
ロケーションによる認証を行うためのアプリケーションを、携帯端末220にダウンロードしておく。Bluetooth(登録商標)機器210が携帯端末220の近距離特定をできていない初期状態では、近距離範囲に入った携帯端末220を特定する近距離特定フェーズとなり、以降の処理が行われる。
【0043】
ステップS401においては、通信機器210のID管理部313にて機器ID&サービスIDの生成を行い、Beacon Inf部311を経由してBeacon送信される。ステップS403においては、携帯端末所持者301が携帯端末220の電源をONさせて、ダウンロードしたアプリケーションを起動させる。電源ONと連動してアプリケーションを起動させてもよい。ステップS405において、携帯端末所持者301が通信機器210に接近し、通信機器210が送信するBeacon領域へ入る。
【0044】
ステップS407において、通信機器210に接近した携帯端末220が機器ID&サービスIDを受信し、Beacon Inf部321にて、Beacon種別の確認と、電波送受信強度により通信機器210から携帯端末220までの位置特定範囲情報(距離情報)を検出する。ステップS409の応答処理では、Beacon制御部322にてBeacon種別が同じか違うかを判断し、違えば処理終了して応答処理は行われない。同じであれば、応答処理準備となる。また、Beacon制御部322にて、距離情報が近距離か否かの判断を行い、近距離でなければ処理終了して応答処理は行われない。近距離であれば、応答処理準備となる
【0045】
これら条件で全てが応答処理準備となると応答処理が行われる。応答データは、携帯端末220と通信機器210の処理を簡略化するためにも、受信データ(機器ID&サービスID)をそのまま折り返すのが望ましい。なお、通信機器210のBeacon送信および携帯端末220の折り返しは、基本的にブロードキャストで行なわれる。しかしながら、絞った相手と送受信する場合には、お互いに取得した携帯端末IDや機器IDを用いて、ユニキャストでの送信も可能である。
【0046】
なお、これらBeacon種別と距離情報とは、複数回の連続検出および確認を行うことで、認証の精度を高めることができる。さらに精度を高めるために、ID管理部323にて、受信データ(機器ID&サービスID)が連続受信されているか否かの判断を行い、連続受信されていなければ処理終了して応答処理は行われず、連続受信されていれば応答処理準備となるといった機能を追加してもよい。また、通信機器210において送信電波出力レベルを落として検出距離範囲を限定し、携帯端末220が超近距離で応答処理を行うようにすることで、最接近の携帯端末の選別を絞るといった安全策を施すことができる。
【0047】
ステップS411においては、通信機器210が接近した携帯端末220からの応答処理による応答データ(ここでは折り返された機器ID&サービスIDとする)を受信する。そして、Beacon Inf部311において、Beacon種別の確認と、電波送受信強度により携帯端末220から通信機器210までの位置特定範囲情報(距離情報)を検出する。その後、Beacon制御部312においてBeacon種別が同じか違うかを判断し、違えば機器ID&サービスIDを送信継続し、新しい応答を待つ。同じであれば、近距離携帯端末特定準備となる。また、Beacon制御部312にて、距離情報が近距離か否かの判断を行い、近距離でなければ機器ID&サービスIDを送信継続し、新しい応答を待つ。近距離であれば、近距離携帯端末特定準備となる。また、ID管理部313にて、受信データ(機器ID&サービスIDの折り返し)と生成した送信データ(機器ID&サービスID)とを比較し、違えば機器ID&サービスIDを送信継続し、新しい応答を待つ。同じであれば、近距離携帯端末特定準備となる。
【0048】
なお、これらBeacon種別と距離情報と送受信データとの比較は、複数回の連続検出と確認を行うことで精度を高めることができる。さらに精度を高めるために、ID管理部313にて、受信データ(機器ID&サービスID)が連続受信されているか否かの判断を行い、連続受信されていなければ機器ID&サービスIDを送信継続し、連続受信されていれば近距離携帯端末特定準備となるといった機能を追加してもよい。これら条件で全てが近距離携帯端末特定準備となると、近距離に通信可能な携帯端末220の存在を確認したこととし、近距離携帯端末特定処理が行われ、認証された通信機器210と携帯端末220とが近距離内にいるか否かを監視する近距離監視フェーズへと移行する。
【0049】
近距離監視フェーズでは、まず、ステップS421において、通信機器210のID管理部313で近距離監視用IDを生成する。そして、通信機器210から送信するブロードキャストデータを機器ID&サービスIDから近距離監視用IDに切り替え、定期的に送信して捕捉した携帯端末220の定期観測を行う。すなわち、ステップS423において、携帯端末220が、近距離監視用信号の信号種別を確認し、通信機器210から携帯端末220までの距離を検出して、近距離内か否かを確認する。信号種別が合致し近距離であれば、携帯端末220は、ステップS425において、近距離監視用IDを通信機器210に向けて折り返す。
【0050】
通信機器210は、ステップS427において、携帯端末220から折り返された近距離監視用IDに対して、信号種別が合致するかと、携帯端末220から通信機器210までの距離が近距離内かと、近距離監視用IDが一致するかと、を確認する。確認できれば、通信機器210は、携帯端末220の捕捉が継続しているとする。一方、近距離監視フェーズ中に近距離特定していた携帯端末を捕捉できなくなったら、近距離特定フェーズに戻り、再び、ステップS401における機器ID&サービスIDの生成と送信が行われる。
【0051】
なお、近距離監視フェーズ中に、通信機器210において電波強度レベルの調整を行うことで、近距離特定している携帯端末以外からの干渉を防ぐことができる。また、近距離特定フェーズと近距離監視フェーズとの区別をつける必要のない場合は、送信するブロードキャストデータの切り替えを行わずに、機器ID&サービスIDをそのまま使って定期観測を行うことで処理を簡略化することができる。
【0052】
このように、図5に示すような複雑なペアリングを行うことなく、携帯端末所持者301は携帯端末220の電源をONさせて通信機器210に接近するだけで、携帯端末220と通信機器210とは互いの認証を行い通信確立することができる。
【0053】
《Bluetooth(登録商標)機器のハードウェア構成》
図6は、本実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器210のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0054】
図6で、CPU610は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3の通信機器210の機能構成部を実現する。ROM(Read Only Memory)620は、初期データおよびプログラムなどの固定データを記憶する。また、通信制御部630は、ネットワークを介して他の通信端末や各サーバと通信する。なお、CPU610は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPUを含んでもよい。また、通信制御部630は、CPU610とは独立したCPUを有して、RAM640の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM640とストレージ650との間でデータを転送するDMACを設けるのが望ましい(図示なし)。したがって、CPU610は、RAM640にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU610は、処理結果をRAM640に準備し、後の送信あるいは転送は通信制御部630やDMACに任せる。
【0055】
RAM640は、CPU610が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM640には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。送信信号種別641は、通信機器210からブロードキャストした信号の種別である。送信信号種別641には、送信したBeacon種別と送信した近距離監視用信号種別が含まれる。送信機器ID&サービスID642は、送信した機器およびサービスの識別子である。送信近距離監視用ID643は、送信した近距離監視用信号に含まれる識別子である。受信信号種別644は、携帯端末から折り返し受信した信号の種別である。受信信号種別644には、受信したBeacon種別と受信した近距離監視用信号種別が含まれる。受信機器ID&サービスID645は、携帯端末から折り返し受信した機器およびサービスの識別子である。受信送信近距離監視用ID646は、携帯端末から折り返し受信した近距離監視用信号に含まれる識別子である。
【0056】
電波送受信強度と検出距離647は、携帯端末から折り返し受信したBeacon信号や近距離監視用信号から測定した電波送受信強度と、この電波送受信強度から検出した携帯端末から通信機器210までの距離とのデータである。距離閾値648は、検出距離647が近距離内か否かを判定するための閾値である。なお、距離閾値648は、距離そのものであっても受信電波強度であってもよい。認証結果649は、携帯端末でのBeacon種別や検出距離が確認されて折り返されたBeacon信号からの、Beacon種別、検出距離および機器ID&サービスIDの確認による、携帯端末と通信機器210との接続の認証結果である。また、認証結果649は、携帯端末での近距離監視用信号種別や検出距離が確認されて折り返された近距離監視用信号からの信号種別、検出距離および送信近距離監視用IDの確認による、携帯端末と通信機器210との接続継続の認証結果である。
【0057】
ストレージ650には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。機器ID651は、本通信機器210を識別する識別子である。距離閾値652は、RAM640の距離閾値648の基準となるデータである。ストレージ650には、以下のプログラムが格納される。機器制御プログラム653は、本通信機器210の全体を制御する制御プログラムである。機器ID&サービスID送信モジュール654は、機器ID&サービスIDを生成して、それを含むBeacon信号をブロードキャストするモジュールである。応答端末認証モジュール655は、ブロードキャストしたBeacon信号に応答した折り返しBeacon信号の、Beacon種別、検出距離および機器ID&サービスIDにより応答した携帯端末を認証するモジュールである。近距離監視モジュール656は、Beacon信号の折り返しにより認証されて接続された携帯端末との近距離通信を継続するか否かを、近距離監視用信号の折り返しによる、信号種別、検出距離および近距離監視用IDの確認により監視するモジュールである。
【0058】
なお、図6のRAM640やストレージ650には、通信機器210が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0059】
(記憶構成)
図7は、本実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器210の記憶構成を示す図である。
【0060】
通信機器210の記憶構成として、本実施形態では、Beacon信号の折り返しによる確認を行なうための近距離特定テーブル710と、近距離監視用信号の折り返しによる確認を行なうための近距離監視テーブル720と、を有する。
【0061】
近距離特定テーブル710は、送信Beacon711に対応付けて、受信Beacon712と、確認項目713と、確認結果714と、を記憶する。送信Beacon711の情報としては、Beacon種別と機器ID&サービスIDとを含む。受信Beacon712としては、Beacon種別と、機器ID&サービスIDと、応答端末IDと、検出距離と、を含む。確認項目713としては、Beacon種別が同一か否か、機器ID&サービスIDが同一か否か、検出距離が距離閾値以内か否か、を含む。確認結果714は、確認項目713の全てが確認されれば認証確認とする。
【0062】
近距離監視テーブル720は、監視用送信信号721に対応付けて、監視用受信信号722と、確認項目723と、確認結果724と、設定電波強度レベル725と、を記憶する。監視用送信信号721の情報としては、信号種別と近距離監視用IDとを含む。監視用受信信号722としては、信号種別と、近距離監視用IDと、検出距離と、受信電波強度レベルと、を含む。確認項目723としては、信号種別が同一か否か、近距離監視用IDが同一か否か、検出距離が距離閾値以内か否か、を含む。確認結果724は、確認項目723の全てが確認されれば認証確認とする。設定電波強度レベル725は、より近い携帯端末を絞るために設定した電波強度を記憶する。
【0063】
《Bluetooth(登録商標)機器の処理手順》
図8Aおよび図8Bは、本実施形態に係る通信処理装置としてのBluetooth(登録商標)機器210の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、通信機器210のCPU610がRAM640を使用しながら実行し、図3の通信機器210の機能構成部を実現する。
【0064】
通信機器210は、ステップS801において、Beacon信号に載せる機器ID&サービスIDを生成する。通信機器210は、ステップS803において、機器ID&サービスIDを含むBeacon信号を設定電波強度レベルでブロードキャストする。そして、通信機器210は、ステップS805において、携帯端末から折り返されたBeacon信号の受信を待つ。折り返されたBeacon信号がなければ、ステップS803におけるBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。なお、所定期間内に複数のBeacon信号の受信があれば、それらを受信する。
【0065】
折り返されたBeacon信号を受信すると、通信機器210は、ステップS807において、受信したBeacon信号の種別がブロードキャストしたBeacon信号の種別と同じであるか否かを判定する。Beacon信号の種別が同じでなければ、このBeacon信号を送信した携帯端末を認証せずにステップS803におけるBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。
【0066】
Beacon信号の種別が同じであれば、通信機器210は、ステップS809において、電波送受信強度からBeacon信号を折り返した携帯端末から通信機器210までの距離を検出する。そして、通信機器210は、ステップS811において、検出した距離が閾値αより短い(近距離内である)か否かを判定する。距離が閾値αより短くなければ、このBeacon信号を送信した携帯端末を認証せずにステップS803におけるBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。
【0067】
距離が閾値αより短ければ、通信機器210は、ステップS813において、受信したBeacon信号から機器ID&サービスIDを抽出する。そして、通信機器210は、ステップS815において、抽出した機器ID&サービスIDがブロードキャストしたBeacon信号の機器ID&サービスIDと同じであるか否かを判定する。機器ID&サービスIDが同じでなければ、このBeacon信号を送信した携帯端末を認証せずにステップS803におけるBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。
【0068】
上記認証条件の確認が全てできれば、通信機器210は、ステップS817において、認証されたと判断して、そのBeacon信号を折り返した携帯端末と通信を確立する。なお、複数の携帯端末が上記全条件を満たす場合には、最も近い(最も電波送受信強度の高い)携帯端末を通信確立の相手と決定する。そして、他の携帯端末を排除するために、電波強度レベルを下げてもよい。また、Beacon種別と、検出距離と、機器ID&サービスIDと、の確認の順番は、いずれでも認証としては同様であるが、上記順番が処理速度と対象の絞り込みの点から望ましい。
【0069】
通信が確立すると、次に、通信機器210は、ステップS819において、近距離監視用IDを生成する。通信機器210は、ステップS821において、近距離監視用IDを含む近距離監視用信号をブロードキャストする。そして、通信機器210は、ステップS823において、携帯端末から折り返された近距離監視用信号の受信を待つ。所定期間内に折り返された近距離監視用信号がなければ、通信機器210は、ステップS837において、確立していた通信の切断処理を行ない、ステップS803に戻ってBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。なお、所定期間内に複数の近距離監視用信号の受信があれば、それらを受信する。
【0070】
折り返された近距離監視用信号を受信すると、通信機器210は、ステップS825において、受信した近距離監視用信号の種別がブロードキャストした近距離監視用信号の種別と同じであるか否かを判定する。近距離監視用信号の種別が同じでなければ、通信機器210は、ステップS837において、確立していた通信の切断処理を行ない、ステップS803に戻ってBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。
【0071】
近距離監視用信号の種別が同じであれば、通信機器210は、ステップS827において、電波送受信強度から近距離監視用信号を折り返した携帯端末から通信機器210までの距離を検出する。そして、通信機器210は、ステップS829において、検出した距離が閾値αより短い(近距離内である)か否かを判定する。距離が閾値αより短くなければ、この近距離監視用信号を送信した携帯端末との通信を継続せずに、通信機器210は、ステップS837において、確立していた通信の切断処理を行ない、ステップS803に戻ってBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。
【0072】
距離が閾値αより短ければ、通信機器210は、ステップS831において、受信した近距離監視用信号から近距離監視用IDを抽出する。そして、通信機器210は、ステップS833において、抽出した近距離監視用IDがブロードキャストした近距離監視用信号の近距離監視用IDと同じであるか否かを判定する。近距離監視用IDが同じでなければ、この近距離監視用信号を送信した携帯端末との通信を継続せずに、通信機器210は、ステップS837において、確立していた通信の切断処理を行ない、ステップS803に戻ってBeacon信号のブロードキャストを繰り返す。
【0073】
近距離監視用IDが同じであれば、通信機器210は、ステップS835において、一定時間待って、再度、ステップS819に戻って、近距離監視用信号のブロードキャストによる接続中の近距離通信の監視を繰り返す。
【0074】
《携帯端末のハードウェア構成》
図9は、本実施形態に係る携帯端末220のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0075】
図9で、CPU910は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3の携帯端末220の機能構成部を実現する。ROM(Read Only Memory)920は、初期データおよびプログラムなどの固定データを記憶する。また、通信制御部930は、ネットワークを介して他の通信端末や各サーバと通信する。なお、CPU910は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPUを含んでもよい。また、通信制御部930は、CPU910とは独立したCPUを有して、RAM940の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM940とストレージ950との間でデータを転送するDMACを設けるのが望ましい(図示なし)。したがって、CPU910は、RAM940にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU910は、処理結果をRAM940に準備し、後の送信あるいは転送は通信制御部930やDMACに任せる。
【0076】
RAM940は、CPU910が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM940には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。Beacon種別941は、比較基準とするため記憶しているBeacon信号の種別である。近距離監視用信号種別942は、比較基準とするため記憶している近距離監視用信号の種別である。受信Beacon種別943は、通信機器210からブロードキャストされて受信したBeacon信号の種別である。受信送信近距離監視用信号種別944は、通信機器210からブロードキャストされて受信した近距離監視用信号の種別である。
【0077】
電波送受信強度と検出距離945は、通信機器210からブロードキャストされて受信したBeacon信号や近距離監視用信号から測定した電波送受信強度と、この電波送受信強度から検出した通信機器210から携帯端末までの距離とのデータである。距離閾値946は、検出距離945が近距離内か否かを判定するための閾値である。なお、距離閾値946は、距離そのものであっても受信電波強度であってもよい。確認結果947は、通信機器210からブロードキャストされたBeacon信号からのBeacon種別および検出距離の確認結果、または、通信機器210からブロードキャストされた近距離監視用信号からの信号種別および検出距離の確認結果である。確認結果947は、受信したBeacon信号や近距離監視用信号をそのまま通信機器210に折り返す条件である。
【0078】
ストレージ950には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。端末ID951は、本携帯端末220を識別する識別子である。距離閾値952は、RAM940の距離閾値946の基準となるデータである。ストレージ950には、以下のプログラムが格納される。端末制御プログラム953は、本携帯端末220の全体を制御する制御プログラムである。受信信号確認モジュール954は、受信したBeacon信号や近距離監視用信号の信号種別および近距離を確認するモジュールである。受信信号返信モジュール955は、受信したBeacon信号や近距離監視用信号の信号種別および近距離が確認された場合に、受信したBeacon信号や近距離監視用信号を通信機器210に折り返すモジュールである。
【0079】
なお、図9のRAM940やストレージ950には、携帯端末220が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0080】
(記憶構成)
図10は、本実施形態に係る携帯端末220の記憶構成を示す図である。
【0081】
携帯端末220の記憶構成として、本実施形態では、Beacon信号を折り返すため確認を行なうBeacon信号確認テーブル1010と、近距離監視用信号を折り返すため確認を行なう近距離監視信号確認テーブル1020と、を有する。
【0082】
Beacon信号確認テーブル1010は、受信Beacon1011に対応付けて、確認項目1012と、確認結果1013と、返信処理のフラグ1014と、を記憶する。受信Beacon1011の情報としては、Beacon種別と検出距離とを含む。確認項目1012としては、Beacon種別が同一か否か、検出距離が距離閾値以内か否か、を含む。確認結果1013は、確認項目1012の全てが確認されれば確認とする。そして、返信処理のフラグ1014は、確認結果1013が確認であれば、受信したBeacon信号の折り返し処理を示す。
【0083】
近距離監視信号確認テーブル1020は、受信近距離監視用信号1021に対応付けて、確認項目1022と、確認結果1023と、返信処理のフラグ1024と、を記憶する。受信近距離監視用信号1021の情報としては、近距離監視用信号種別と検出距離とを含む。確認項目1022としては、信号種別が同一か否か、検出距離が距離閾値以内か否か、を含む。確認結果1023は、確認項目1022の全てが確認されれば確認とする。そして、返信処理のフラグ1024は、確認結果1023が確認であれば、受信した近距離監視用信号の折り返し処理を示す。
【0084】
《携帯端末の処理手順》
図11は、本実施形態に係る携帯端末220の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、携帯端末220のCPU910がRAM940を使用しながら実行し、図3の携帯端末220の機能構成部を実現する。
【0085】
携帯端末220は、ステップS1101において、本実施形態の折り返し処理を含むアプリケーションをダウンロードする。携帯端末220は、ステップS1103において、ダウンロードしたアプリケーションを起動する。なお、このアプリケーションに、Beacon種別や近距離監視用信号種別、距離閾値が含まれていてもよいし、アプリケーションの初期化時に、Beacon種別や近距離監視用信号種別、距離閾値を取得してもよい。
【0086】
携帯端末220は、ステップS1105において、Beacon信号の受信を待つ。Beacon信号の受信があれば、携帯端末220は、ステップS1107において、受信したBeacon信号の種別があらかじめ取得しているBeacon信号の種別と同じであるか否かを判定する。Beacon信号の種別が同じでなければ、ステップS1105に戻って次のBeacon信号の受信を待つ。
【0087】
Beacon信号の種別が同じであれば、携帯端末220は、ステップS1109において、電波送受信強度からBeacon信号をブロードキャストした通信機器210から携帯端末220までの距離を検出する。そして、携帯端末220は、ステップS1111において、検出した距離が閾値αより短い(近距離内である)か否かを判定する。距離が閾値αより短くなければ、ステップS1105に戻って次のBeacon信号の受信を待つ。
【0088】
距離が閾値αより短ければ、携帯端末220は、ステップS1113において、受信したBeacon信号をそのままブロードキャストした通信機器210に折り返す。そして、携帯端末220は、ステップS1115において、通信機器210からブロードキャストされた近距離監視用信号の受信を待つ。携帯端末220は、ステップS1117において、所定時間を計時し、一定時間内に近距離監視用信号を受信せずにタイムアウトになったことを判定する。タイムアウトになれば、携帯端末220は、ステップS1129において、認証不成立として、再度、Beacon信号の受信を待つ。
【0089】
近距離監視用信号を受信すれば、携帯端末220は、ステップS1119において、認証成立を確認し、通信機器210との通信接続の確立を確認する。携帯端末220は、ステップS1121において、近距離監視用信号の種別があらかじめ取得している近距離監視用信号の種別と同じであるか否かを判定する。近距離監視用信号の種別が同じでなければ、携帯端末220は、ステップS1117において、所定時間を計時し、一定時間内に種別が同じ近距離監視用信号を受信せずにタイムアウトになったことを判定する。
【0090】
種別が同じ近距離監視用信号を受信すれば、携帯端末220は、ステップS1123において、近距離監視用信号をブロードキャストした通信機器210から携帯端末220までの距離を検出する。そして、携帯端末220は、ステップS1125において、検出した距離が閾値αより短い(近距離内である)か否かを判定する。距離が閾値αより短くなければ、携帯端末220は、ステップS1117において、所定時間を計時し、一定時間内に種別が同じで近距離内の近距離監視用信号を受信せずにタイムアウトになったことを判定する。
【0091】
種別が同じで近距離内の近距離監視用信号を受信すれば、携帯端末220は、ステップS1127において、受信した近距離監視用信号をそのままブロードキャストした通信機器210に折り返す。そして、携帯端末220は、ステップS1115に戻って、通信機器210から一定期間ごとにブロードキャストされる近距離監視用信号の受信を待つ。
【0092】
本実施形態によれば、折り返した信号フレームから双方の機器が検出した機器の間の距離が共に閾値以下の近距離無線通信確立の条件に、さらに、信号種別や信号に含まれるデータの一致の条件を加える。これにより、煩雑な操作処理なしに、かつ、誤った通信確立なしに、選別された機器の間で近距離無線通信を確立することができる。
【0093】
すなわち、同じアドレスの折り返しによる認証を行う際、従来のペアリングで必要な、子機の登録処理、認証コード入手、サービス利用時の認証コード入力といった操作が不要となる。また、親機では個別の認証コード発行、個別の認証コード照合、個別のリンクキー生成といった操作や処理が不要となる。その結果、子機は煩わしい登録や入力の必要がなく、認証コードの管理を行う必要もない。さらに、親機はアドレス管理の簡略化が可能となり処理の効率化を図れる。
【0094】
よって、複雑なペアリングの手順を踏むことなく、ブロードキャストデータ送受信による電波送受信強度から計測された距離情報によって通信の確立が行える。また、不特定多数のユーザへ、ブロードキャストデータ送受を用いた半二重通信を行うことで、接続対象は無限となる。
【0095】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る近距離通信システムについて説明する。本実施形態に係る近距離通信システムは、上記第2実施形態と比べると、測定器が測定した測定量を通信処理装置としてのセンサハブから携帯端末処理に送信して表示させる点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0096】
本実施形態においては、子機と親機間の通信の特徴を利用して、親機に測定器を既存の通信システムで接続させる。これにより、子機所有者が測定器を用いた計測を行うと、親機は測定器からの計測データを受信し、その計測データを近距離特定している子機へと送信する応用形態について説明する。
【0097】
《近距離通信システム》
図12および図13に従って、本実施形態の近距離通信システム1200について説明する。
【0098】
(システム構成)
図12は、本実施形態に係る近距離通信システム1200の機能構成を示すブロック図である。近距離通信システム1200は、通信処理装置としてのセンサハブ1210と携帯端末220(あるいは、センサデバイス)とを含む。なお、図12において、図3と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0099】
センサハブ1210は、Beacon送受信部と(Beacon電波送受信強度による)距離検出部とで構成されているBeacon Inf部311と、Beacon制御部312と、ID管理部313との外に、測定器インタフェース1214を備える。ID管理部313は、測定器インタフェース1214からデータを取り込み、この測定(情報)データを送信データに組込む機能を持つ。測定器インタフェース1214は、測定器1230からの測定データの受信を行い、時刻条件判定とデータチェックとを行う機能を有する。測定器1230は、センサハブ1210と既存の通信システム(例えばWifi)で接続されており、測定器1230での測定結果をセンサハブ1210へ送信する機能を持つ。
【0100】
なお、携帯端末220と、センサハブ1210と、測定器1230とは複数存在してもよい。また、センサハブ1210は、測定器1230に組み込まれていてもよい。携帯端末220の所持者301が電源をONさせて測定器1230(あるいは、測定器1230と接続されているセンサハブ1210)に接近することで、ロケーションによる認証システムが起動する。
【0101】
(動作シーケンス)
図13は、本実施形態に係る近距離通信システム1200の動作手順を示すシーケンス図である。なお、図13において、図4と同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0102】
センサハブ1210と測定器1230間では、既存の通信システムの送受により認証確立させる。また、ロケーションによる認証を行うためのアプリケーションを携帯端末220にダウンロードしておく。
【0103】
センサハブ1210が携帯端末220の近距離特定できていない初期状態では、近距離特定フェーズとなり、以降の処理が行われる。ステップS1301において、センサハブ1210のID管理部313にてハブID&サービスIDの生成を行い、Beacon Inf部311を経由して、ハブID&サービスIDを含むBeacon信号がブロードキャストされる。以下、携帯端末220での図4と同様の処理があって、センサハブ1210は、携帯端末220からのBeacon信号の折り返しを受信して、ステップS1311において、折り返されたBeacon信号の確認を行なって、認証をする。かかるステップS1311の処理は、確認する識別子が機器ID&サービスIDからハブID&サービスIDに代わるのみで、図4のステップS411と同様であり、説明の重複を避ける。
【0104】
そして、ステップS1311において、条件で全てが近距離携帯端末特定準備となると、近距離に通信可能な携帯端末の存在を確認したこととし、近距離携帯端末特定処理が行われ、近距離監視フェーズへと移行する。この時間を認証完了時刻として記録しておく。以降の近距離監視フェーズは、ステップS1321にID管理部313における近距離監視用IDの生成が図示されているが、図4と同様である。
【0105】
近距離監視フェーズの間に、ステップS1331において、携帯端末所持者301が測定器1230において所定の測定値を測定し、測定完了すると測定器1230はセンサハブ1210へ測定データ送信する。測定データをセンサハブ1210が受信すると、センサハブ1210から携帯端末220に情報を送信してモニタに表示する情報データ送信フェーズへと移行する。
【0106】
ステップS1333において、測定器1230からの測定データは、センサハブ1210の測定器インタフェース1214へと送られる。測定器インタフェース1214では、まず測定データの受信時刻を記録し、記録しておいた認証完了時刻がこの測定データ受信時刻よりも遅ければ、受信した測定データを廃棄する。認証完了時刻が測定データ受信時刻よりも早ければ、ID管理部313へ測定データを送信する。また、測定データ自体もデータとして不適応がないかのチェックも行い、不適応データ検出時は廃棄する。また、認証完了時刻から測定データ受信時刻までの間にタイマー制限を持たせて、測定データ受信までに長時間経った場合の測定データは廃棄する等の処理もつけておくとよい。
【0107】
センサハブ1210のID管理部313では、測定データ受信をトリガにして情報データのユーザ定義領域に測定データを組み込み、Beacon Inf部311を経由してBeacon信号により送信される。測定データを組み込む情報データは、ハブID&サービスIDのエリアや近距離監視用IDのエリアを使用してもよいし、新たに情報用IDのエリアを作成して送信してもよい。
【0108】
ステップS1335においては、存在の確認がとれた携帯端末220が測定データを受信し、Beacon Inf部321において、Beacon種別の確認と、電波送受信強度によりセンサハブ1210から携帯端末220までの位置特定範囲情報(距離情報)を検出する。ステップS1337の応答処理では、Beacon制御部322にて、Beacon種別が同じか違うかを判断し、違えば処理終了して応答処理は行われない。同じであれば、応答処理準備となる。また、Beacon制御部322にて、距離情報が近距離か否かの判断を行い、近距離でなければ処理終了して応答処理は行われない。近距離であれば、応答処理準備となる。これら条件で全てが応答処理準備となると応答処理が行われる。
【0109】
なお、応答データは、携帯端末220とセンサハブ1210との処理を簡略化するためにも受信データ(情報用ID)をそのまま折り返してもよい。また、これらBeacon種別と距離情報は、複数回の連続検出と確認を行うことで精度を高めることができる。さらに精度を高めるために、ID管理部323にて、受信データ(情報用ID)が連続受信されているか否かの判断を行い、連続受信されていなければ処理終了して応答処理は行われず、連続受信されていれば応答処理準備となるといった機能を追加してもよい。また、センサハブ1210において送信電波出力レベルを落として検出距離範囲を限定し、携帯端末220が超近距離で応答処理を行うことで最接近の携帯端末の選別を絞るといった安全策を施すことができる。
【0110】
ステップS1339においては、携帯端末220からの応答処理によりセンサハブ1210が応答データ(ここでは折り返された情報用IDとする)を受信する。そして、Beacon Inf部311において、Beacon種別の確認と、電波送受信強度により携帯端末220からセンサハブ1210までの位置特定範囲情報(距離情報)を検出する。その後、Beacon制御部312において、Beacon種別が同じか違うかを判断し、違えば情報用IDを送信継続し、新しい応答を待つ。同じであれば、情報データ送信完了準備となる。また、Beacon制御部312にて、距離情報が近距離か否かの判断を行い、近距離でなければ情報用IDを送信継続し、新しい応答を待つ。近距離であれば、情報データ送信完了準備となる。また、ID管理部313にて、受信データ(情報用IDの折り返し)と生成した送信データ(情報用ID)とを比較し、違えば情報用IDを送信継続し、新しい応答を待つ。同じであれば、情報データ送信完了準備となる。
【0111】
なお、これらBeacon種別と距離情報と送受信データとの比較は、複数回の連続検出と確認を行うことで精度を高めることができる。さらに精度を高めるために、ID管理部313にて、受信データ(情報用ID)が連続受信されているか否かの判断を行い、連続受信されていなければ情報用IDを送信継続し、連続受信されていれば情報データ送信完了準備となるといった機能を追加してもよい。
【0112】
これら条件で全てが情報データ送信完了準備となると、近距離特定している携帯端末220への情報データ送信が完了したと判断し、情報データ送信完了処理が行われ、ステップS1345においては、近距離特定フェーズ、もしくは近距離監視フェーズへ移行する。以降は、前記近距離特定フェーズ、前記近距離監視フェーズ、前記情報データ送信フェーズの処理が繰り返される。
【0113】
一方、携帯端末220は、ステップS1341において応答処理された情報用IDから測定データを抜き出してモニタ表示部324へと変換表示され、携帯端末所持者301が携帯端末220のモニタ表示部324において測定結果を確認することができる。
【0114】
(センサハブの記憶構成)
図14は、本実施形態に係る通信処理装置としてのセンサハブ1210の記憶構成を示す図である。なお、センサハブ1210には、図7に図示した通信機器210の近距離特定テーブル710および近距離監視テーブル720も記憶される。
【0115】
センサハブ1210の記憶構成として、本実施形態では、さらに、測定器1230が測定した測定値の送信ための測定値テーブル1430と、測定値を送信するBeacon信号の折り返しによる確認を行なうための測定値確認テーブル1440と、を有する。
【0116】
測定値テーブル1430は、測定器ID1431に対応付けて、測定された複数の測定値をタイムスタンプ1432と、測定位置1433と、測定値1434との組で記憶する。
【0117】
測定値確認テーブル1440は、送信Beacon1441に対応付けて、受信Beacon1442と、確認項目1443と、確認結果1444と、を記憶する。送信Beacon1441の情報としては、Beacon種別と情報用IDとを含む。受信Beacon1442としては、Beacon種別と、情報用IDと、応答端末IDと、検出距離と、を含む。確認項目1443としては、Beacon種別が同一か否か、情報用IDが同一か否か、検出距離が距離閾値以内か否か、を含む。確認結果1444は、確認項目1443の全てが確認されれば認証確認とする。
【0118】
《センサハブおよび携帯端末の処理手順》
図15は、本実施形態に係る通信処理装置としてのセンサハブ1210および携帯端末220の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、センサハブ1210および携帯端末220のCPUがRAMを使用しながら実行して、図12のセンサハブ1210および携帯端末220の機能構成部を実現する。なお、センサハブ1210のハードウェア構成は記憶構成が追加されるが基本的に図6と同様であり、携帯端末220のハードウェア構成は記憶構成が追加されるが基本的に図9と同様である。また、図15のフローチャートは、図8Aおよび図8Bの後、図11の後に追加されるものであり、その部分は省略のシンボルで図示されている。
【0119】
センサハブ1210は、ステップS1521において、測定器1230から測定データを受信する。センサハブ1210は、ステップS1523において、測定データが正しく取得したものか否かを判定する。測定データが正しく取得したものと判定されれば、センサハブ1210は、ステップS1525において、測定データを携帯端末220に送信する。そして、センサハブ1210は、ステップS1527において、携帯端末220からの測定データ受信の応答を待つ。
【0120】
携帯端末220は、ステップS1501において、測定データを持ったBeacon信号の受信を待つ。Beacon信号の受信がなければ、携帯端末220は、近距離監視に戻る。Beacon信号の受信があれば、携帯端末220は、ステップS1503において、受信したBeacon信号の種別があらかじめ取得しているBeacon信号の種別と同じであるか否かを判定する。Beacon信号の種別が同じでなければ、携帯端末220は、近距離監視に戻る。
【0121】
Beacon信号の種別が同じであれば、携帯端末220は、ステップS1505において、電波送受信強度から測定データを持ったBeacon信号を送信したセンサハブ1210から携帯端末220までの距離を検出する。そして、携帯端末220は、ステップS1507において、検出した距離が閾値αより短い(近距離内である)か否かを判定する。距離が閾値αより短くなければ、携帯端末220は、近距離監視に戻る。
【0122】
距離が閾値αより短ければ、携帯端末220は、ステップS1509において、受信した測定データを持ったBeacon信号をそのままセンサハブ1210に折り返す。そして、携帯端末220は、ステップS1511において、モニタ表示部324に測定データを表示する。
【0123】
センサハブ1210は、ステップS1527において、携帯端末220からの測定データを持ったBeacon信号の折り返しを受信すると、センサハブ1210は、ステップS1529において、受信したBeacon信号の種別があらかじめ取得しているBeacon信号の種別と同じであるか否かを判定する。Beacon信号の種別が同じでなければ、センサハブ1210は、近距離監視に戻る。
【0124】
Beacon信号の種別が同じであれば、センサハブ1210は、ステップS1531において、電波送受信強度から測定データを持ったBeacon信号を折り返した携帯端末220からセンサハブ1210までの距離を検出する。そして、センサハブ1210は、ステップS1533において、検出した距離が閾値αより短い(近距離内である)か否かを判定する。距離が閾値αより短くなければ、センサハブ1210は、近距離監視に戻る。
【0125】
距離が閾値αより短ければ、センサハブ1210は、ステップS1535において、折り返されたBeacon信号から情報用IDを抽出する。そして、センサハブ1210は、ステップS1537において、抽出した情報用IDが抽出した情報用IDと同じか否かを判定する。情報用IDが同じでなければ、センサハブ1210は、近距離監視に戻る。
【0126】
情報用IDが同じであれば、センサハブ1210は、ステップS1539において、測定データの携帯端末220への送信を確認し、保存が必要でなければ測定データを削除する。
【0127】
本実施形態によれば、煩雑な操作処理なしに、かつ、誤った通信確立なしに、選別された機器の間で近距離無線通信を確立することができ、さらに、測定器の測定データを収集して選別された端末でモニタすることができる。
【0128】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る近距離通信システムについて説明する。本実施形態に係る近距離通信システムは、上記第3実施形態と比べると、通信処理装置としてのゲートウェイが、広域ネット網インタフェースや構内LANインタフェースから定期的に収得したデータを情報用IDに組み込んでおく。これにより、測定結果だけでなく各種データ(地域情報、店舗情報、広告情報等)を抜き出して携帯端末処理に送信して表示させる点で異なる。を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0129】
《近距離通信システム》
図16および図17を参照して、本実施形態の近距離通信システム1600の処理について説明する。
【0130】
(システム概要)
図16は、本実施形態に係る近距離通信システム1600の概要を説明する図である。近距離通信システム1600は、広域ネットワーク(クラウドサービスとの融合例)を示す。なお、図16において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0131】
店舗1610内の物理的なロケーションで検出されたデバイス(携帯端末220等)への情報には、測定器1230からのゲートウェイ(以下、GW)1650を介した測定データの他に、店舗1610内で構築されている店舗サーバ1660からGW1650を介して店舗情報を送信することも可能である。なお、店舗サーバ1660はGW1650に組み込まれていてもよい。また、GW1650はアクセス網1620を経由して、インターネット1630と接続されているクラウドサーバ1640にアクセスし、地域情報や広告情報といった各種情報を取り込んで携帯端末220に送信することができる。
【0132】
GW1650は定期的に店舗サーバ1660やクラウドサーバ1640へアクセスし、最新の情報を更新しておくとよい。また、このクラウドサーバ1640はGW1650を介さず、携帯端末220からアクセス網1620を経由して、インターネット1630と接続されているクラウドサーバ1640に直接アクセスすることも可能である。
【0133】
(システム構成)
図17は、本実施形態に係る近距離通信システム1600の機能構成を示すブロック図である。なお、図17において、図3または図12と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、説明を省略する。携帯端末220は図3および図12の構成と同様である。また、GW1650のセンサハブ部は図12の構成と同様である。
【0134】
通信処理装置としてのGW1650には、新たにGateWay部として、広域ネット網インタフェース1651と、構内LANインタフェース1652とが付加されている。ID管理部313は、広域ネット網インタフェース1651や、構内LANインタフェース1652からデータを取り込み、これら測定(情報)データを送信データに組込む機能を持つ。
【0135】
広域ネット網インタフェース1651は、例えば図16に示す外部のインターネット1630にぶら下がっているクラウドサーバ1640から、地域情報や広告情報の収集を行う機能を持つ。構内LANインタフェース1652は、例えば図16に示す店舗サーバ1660から店舗情報の収集を行う機能を持つ。
【0136】
携帯端末220の所持者301が電源をONさせてGW1650に接近することで、ロケーションによる認証システムが起動する。
【0137】
(ゲートウェイの記憶構成)
図18は、本実施形態に係る通信処理装置としてのゲートウェイ1650の記憶構成を示す図である。なお、ゲートウェイ1650には、図7に図示した通信機器210の近距離特定テーブル710および近距離監視テーブル720、図14に図示した測定値テーブル1430および測定値確認テーブル1440も記憶される。
【0138】
ゲートウェイ1650の記憶構成として、本実施形態では、さらに、クラウドサーバ1640から収集した情報を保持するための受信情報テーブル1850と、店舗サーバ1660から収集した店舗情報を保持するための店舗情報テーブル1860と、を有する。
【0139】
受信情報テーブル1850は、クラウドサーバID1851に対応付けて、クラウドサーバ1640から収集された複数の情報をタイムスタンプ1852と、受信メッセージ1853と、受信情報1854との組で記憶する。
【0140】
店舗情報テーブル1860は、店舗サーバID1861に対応付けて、店舗サーバ1660から収集された複数の店舗情報をタイムスタンプ1862と、受信メッセージ1863と、店舗情報1864との組で記憶する。
【0141】
なお、保持された情報は、携帯端末220への送信が確認されれば削除するように制御してもよい。
【0142】
《ゲートウェイの処理手順》
図19は、本実施形態に係る通信処理装置としてのゲートウェイ1650の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、ゲートウェイ1650のCPUがRAMを使用しながら実行して、図17のゲートウェイ1650の機能構成部を実現する。なお、ゲートウェイ1650のハードウェア構成は記憶構成が追加されるが基本的に図6と同様である。また、図19においては、上記実施形態における認証処理による携帯端末220との通信確立手順や、近距離監視処理、測定データ送信処理などの詳細な信号のやりとりや、確認ステップは省略して、全体の流れを示している。したがって、詳細な手順については、図8A図8Bおよび図15を参照されたい。
【0143】
ゲートウェイ1650は、ステップS1901において、携帯端末220との間の近距離通信の認証処理であるか否かを判定する。認証処理であれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1903において、携帯端末220との近距離通信の認証処理を行なう。近距離通信の認証処理は、上述のBeacon信号の折り返しによる認証である。近距離通信の認証がされ通信が確立すると、次に、ゲートウェイ1650は、ステップS1905において、近距離通信の監視処理を行なう。近距離通信の監視処理は、上述の近距離確認用信号の折り返しによる近距離通信の監視である。ゲートウェイ1650は、ステップS1907において、近距離通信の継続を判定して、近距離から外れた場合はステップS1903に戻って、近距離の携帯端末の認証から始める。一方、近距離にあって通信継続であれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1911以降において、それぞれに携帯端末へのデータ送信処理を行なう。
【0144】
ゲートウェイ1650は、ステップS1911において、測定器1230からの測定データの携帯端末への送信か否かを判定する。測定データの携帯端末への送信であれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1913において、測定データを携帯端末に送信する。この測定データの送信処理の詳細は、図15に図示されている。
【0145】
測定データの携帯端末への送信でなければ、ゲートウェイ1650は、ステップS1921において、クラウドサーバ1540からのメッセージか否かを判定する。クラウドサーバ1540からのメッセージであれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1923において、メッセージを受信し、受信情報を抽出して保持する。そして、携帯端末への送信タイミングになれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1925において、携帯端末にクラウドサーバ1540からの受信情報を送信する。なお、携帯端末への受信情報の送信の確認は、図15の測定データの送信を受信情報の送信に変えればよい。
【0146】
測定データの携帯端末への送信でもクラウドサーバからの受信でもなければ、ゲートウェイ1650は、ステップS1931において、店舗サーバ1660からのメッセージか否かを判定する。店舗サーバ1660からのメッセージであれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1933において、メッセージを受信し、店舗情報を抽出して保持する。そして、携帯端末への送信タイミングになれば、ゲートウェイ1650は、ステップS1935において、携帯端末に店舗サーバ1660からの受信情報を送信する。なお、携帯端末への受信情報の送信の確認は、図15の測定データの送信を店舗情報の送信に変えればよい。
【0147】
なお、各データあるいは情報の送信は、受信と同期する必要はなく、所定期間保持された情報を携帯端末が近距離の来た時に、一括して携帯端末に送信してもよい。
【0148】
本実施形態によれば、煩雑な操作処理なしに、かつ、誤った通信確立なしに、選別された機器の間で近距離無線通信を確立することができ、さらに、クラウドサーバや店舗サーバなどから情報を収集して選別された端末でモニタすることができる。
【0149】
[他の実施形態]
なお、上記実施形態においては、近距離無線通信としてBluetooth(登録商標)の例を説明したが、Wi-Fi(Wireless Fidelity)などにおいても同様である。特に、IEEE802.15あるいはIEEE802.11に準拠する近距離無線通信に適用される。
【0150】
また、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0151】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
【0152】
[実施形態の他の表現]
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
近距離通信を行う少なくとも2つの機器を備え、前記機器の間で折り返した信号フレームの電波送受信強度に基づいて、双方の機器により検出された前記機器の間の距離が、共に閾値以内である場合に、前記機器の間の通信接続を確立する近距離通信システム。
(付記2)
前記信号フレームは、前記信号フレームを生成した機器を識別する機器識別子を含み、他方の機器から折り返された信号フレームに含まれる機器識別子が、生成した前記信号フレームに含まれた前記機器識別子と同じ場合に、前記機器の間の通信接続を確立する付記1に記載の近距離通信システム。
(付記3)
前記信号フレームは、前記信号フレームを生成した機器が付加した付加識別子を含み、前記他方の機器から折り返された信号フレームに含まれる付加識別子が、生成した前記信号フレームに含まれた前記付加識別子と同じ場合に、前記機器の間の通信接続を確立する付記2に記載の近距離通信システム。
(付記4)
前記双方の機器は、受信したビーコン信号のビーコン種別が所定のビーコン種別と確認された場合に、前記機器の間の通信接続を確立する付記2または3に記載の近距離通信システム。
(付記5)
前記信号フレームを生成した前記機器は前記信号フレームをブロードキャストし、他方の前記機器は前記信号フレームを折り返す付記1乃至4のいずれか1項に記載の近距離通信システム。
(付記6)
複数の機器から前記信号フレームの折り返しがあった場合に、電波送受信強度に基づいて検出した前記機器の間の距離が最短の機器を選別して通信接続を確立する付記1乃至5のいずれか1項に記載の近距離通信システム。
(付記7)
前記信号フレームを生成した前記機器は電波送信出力レベルを調整して、電波送受信強度に基づいて検出した装置間の距離が前記閾値以内の機器を絞る付記1乃至5のいずれか1項に記載の近距離通信システム。
(付記8)
近距離通信を行う第1機器が、信号フレームをブロードキャストする送信ステップと、
近距離通信を行う第2機器が、前記信号フレームを受信した電波送受信強度に基づいて前記第1機器と前記第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記信号フレームを前記第1機器に折り返す折り返しステップと、
前記第1機器が、前記折り返された信号フレームを受信した電波送受信強度に基づいて前記第1機器と前記第2機器との間の距離を検出して、前記検出した距離が前記閾値以内の場合に、前記第2機器との通信を認証して通信接続を確立する認証ステップと、
を含む近距離通信方法。
(付記9)
信号フレームを生成してブロードキャストする送信手段と、
携帯端末から折り返された前記信号フレームを受信して、電波送受信強度に基づいて前記携帯端末との距離を検出する距離検出手段と、
前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記携帯端末との通信を認証して通信接続を確立する認証手段と、
を備える通信処理装置。
(付記10)
信号フレームを生成してブロードキャストする送信ステップと、
携帯端末から折り返された前記信号フレームを受信して、電波送受信強度に基づいて前記携帯端末との距離を検出する距離検出ステップと、
前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記携帯端末との通信を認証して通信接続を確立する認証ステップと、
を含む通信処理装置の制御方法。
(付記11)
信号フレームを生成してブロードキャストする送信ステップと、
携帯端末から折り返された前記信号フレームを受信して、電波送受信強度に基づいて前記携帯端末との距離を検出する距離検出ステップと、
前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記携帯端末との通信を認証して通信接続を確立する認証ステップと、
をコンピュータに実行させる通信処理装置の制御プログラム。
(付記12)
通信処理装置が生成してブロードキャストした信号フレームを受信して、電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置との距離を検出する距離検出手段と、
前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記信号フレームを前記通信処理装置に折り返す折り返し手段と、
を備える携帯端末。
(付記13)
通信処理装置が生成してブロードキャストした信号フレームを受信して、電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置との距離を検出する距離検出ステップと、
前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記信号フレームを前記通信処理装置に折り返す折り返しステップと、
を含む携帯端末の制御方法。
(付記14)
通信処理装置が生成してブロードキャストした信号フレームを受信して、電波送受信強度に基づいて前記通信処理装置との距離を検出する距離検出ステップと、
前記検出した距離が閾値以内の場合に、前記信号フレームを前記通信処理装置に折り返す折り返しステップと、
をコンピュータに実行させる携帯端末の制御プログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19