(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アタッチメント及び前記コレットボディを取り外した後に、汎用のコレットボディを前記トーチボディに取り付けると共に、前記汎用のコレットボディに前記トーチノズルを取り付けることによって、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換されることを特徴とする請求項1に記載の溶接用トーチ。
前記アタッチメント及び前記ガスレンズが一体に取り付けられた前記コレットボディを取り外した後に、汎用のガスレンズ付コレットボディを前記トーチボディに取り付けると共に、前記汎用のガスレンズ付コレットボディに前記トーチノズルを取り付けることによって、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換されることを特徴とする請求項3に記載の溶接用トーチ。
前記アタッチメントには、前記第2のシールドガスを導入するガスホースが接続される接続部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の溶接用トーチ。
前記トーチボディの前記コレットボディが取り付けられる側とは反対側に取り付けられるトーチキャップを備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の溶接用トーチ。
前記トーチボディに取り付けられるハンドルを備え、このハンドルの内側を通して、前記給電部に電力を供給する給電ケーブルと、前記流路に第1のシールドガスを導入するガスホースとが一体化された溶接ケーブルが、前記トーチボディに設けられた接続部に接続されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の溶接用トーチ。
【背景技術】
【0002】
金属や非鉄金属などを母材として用いた構造物(被溶接物)の溶接には、従来よりTIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)又はGTAW(Gas Tungsten Arc welding)と呼ばれる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接方法が用いられている。
【0003】
TIG溶接では、一般に一重ノズル構造の溶接用トーチを使用し、電極と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。また、溶接中は電極の周囲を囲むノズルからアルゴンやヘリウムといった不活性ガス(シールドガス)を放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断しながら溶接が行われる。
【0004】
TIG溶接では、溶接部分の溶け込みを深くする目的で、アルゴンに水素を添加した混合ガスや、アルゴンにヘリウムを添加した混合ガスをシールドガスとして用いている。その他にも、例えばオーステナイト系ステンレス鋼のTIG溶接において、内側に不活性ガスを流し、外側に酸化性ガスを流す二重ノズル構造の溶接用トーチを使用することによって、溶け込み深さを更に深くすることが行われている(特許文献1を参照。)。
【0005】
ここで、
図7(a),(b)に示す従来の一重ノズル構造の溶接用トーチ100Aについて説明する。なお、
図7(a)は、溶接用トーチ100Aの要部断面図である。
図7(b)は、溶接用トーチ100Aの組立図である。
【0006】
溶接用トーチ100Aは、
図7(a),(b)に示すように、被溶接物との間でアークを発生させる電極101と、電極101を内側に挿入した状態で支持するコレット102と、電極101を先端側から突出させた状態でコレット102を内側に保持するコレットボディ103Aと、コレットボディ103Aが取り付けられるトーチボディ104と、電極101の周囲を囲んだ状態でコレットボディ103Aに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズル105Aと、トーチボディ104とトーチノズル105Aとの間に配置される前側ガスケット106と、トーチボディ104との間に後側ガスケット107を配置した状態で取り付けられるトーチキャップ108と、トーチボディ104に取り付けられるハンドル109とを概略備えている。
【0007】
溶接用トーチ100Aでは、溶接ケーブルCを接続した後、トーチノズル105Aからシールドガスを放出しながら、電極101と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。
【0008】
次に、
図8(a),(b)に示す従来のガスレンズタイプ(一重ノズル構造)の溶接用トーチ100Bについて説明する。なお、
図8(a)は、溶接用トーチ100Bの要部断面図である。
図8(b)は、溶接用トーチ100Bの組立図である。
【0009】
溶接用トーチ100Bは、
図8(a),(b)に示すように、上記溶接用トーチ100Aが備えるコレットボディ103A及びトーチノズル105Aの代わりに、ガスレンズ付コレットボディ103B及びトーチノズル105Bを備えている。
【0010】
ガスレンズ付コレットボディ103Bは、トーチノズル105Bから放出されるシールドガスを整流するガスレンズ110がコレットボディ111の外周部に一体に取り付けられた構造を有している。トーチノズル105Bは、ガスレンズ付コレットボディ103B(ガスレンズ110)に取り付けられると共に、上記トーチノズル105Aよりも径が拡大されたノズル形状を有している。
【0011】
溶接用トーチ100Bは、それ以外の構成について上記溶接用トーチ100Aと基本的に同じ構成を備えている。したがって、それ以外の上記溶接用トーチ100Aと同等の構成については、説明を簡略化し、図面において同じ符号を付すものとする。
【0012】
溶接用トーチ100Bでは、溶接ケーブルCを接続した後、トーチノズル105Bからガスレンズ110により整流されたシールドガスを放出しながら、電極101と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。また、溶接用トーチ100Bでは、トーチノズル105Bから放出されるシールドガスをガスレンズ110で整流することによって、シールドガスによる大気(空気)の遮断効果を高めることが可能である。
【0013】
次に、
図9に示す従来の二重ノズル構造の溶接用トーチ100Cについて説明する。なお、
図9は、溶接用トーチ100Cの要部を断面で示す組立図である。
【0014】
溶接用トーチ100Cでは、
図9に示すように、上記溶接用トーチ100Aが備えるコレットボディ103A及びトーチノズル105Aの代わりに、コレットボディ103C、インナーノズル105a及びアウターノズル105bを備えている。インナーノズル105aは、電極101の周囲を囲んだ状態でコレットボディ103Cに取り付けられると共に、第1のシールドガスを放出する。アウターノズル105bは、インナーノズル105aの周囲を囲んだ状態でインナーノズル105aに取り付けられると共に、第2のシールドガスを放出する。
【0015】
溶接用トーチ100Cは、それ以外の構成について上記溶接用トーチ100Aと基本的に同じ構成を備えている。したがって、それ以外の上記溶接用トーチ100Aと同等の構成については、説明を簡略化し、図面において同じ符号を付すものとする。
【0016】
溶接用トーチ100Cでは、溶接ケーブルCを接続した後、インナーノズル105aから第1のシールドガスを放出し、アウターノズル105bから第2のシールドガスを放出しながら、電極101と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。また、溶接用トーチ100Cでは、シールドガスを二重にすることによって、溶け込み深さを更に深くすることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、上述した従来の一重ノズル構造の溶接用トーチ100A,100Bと、従来の二重ノズル構造の溶接用トーチ100Cとの間では、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換したり、一重ノズル構造から二重ノズル構造に変換したりすることができない。したがって、それぞれの溶接用トーチを別個に用意しなければならず、購入コストも嵩むため、非常に不便であった。
【0019】
そこで、本発明者らは、二重ノズル構造から一重ノズル構造に容易に変換できる溶接用トーチ、並びに、一重ノズル構造の溶接用トーチを二重ノズル構造に容易に変換できるアダプタキットを開発した(特許文献2を参照。)。
【0020】
しかしながら、特許文献2に記載の二重ノズル構造の溶接用トーチでは、上述した一重ノズル構造の溶接用トーチ100A,100Bが備えるトーチノズル105A,105Bをインナーノズルとして用いている。このため、アウターノズルの外径は、トーチノズル105A,105Bよりも大きくなる。この場合、溶接用トーチのノズル周りが大きくなり、例えば狭隘な場所での溶接作業を行う際の使い勝手が悪くなるといった課題がある。
【0021】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、二重ノズル構造から一重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つ使い勝手の更なる向上を可能とした溶接用トーチ、並びに、一重ノズル構造の溶接用トーチを二重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つノズル周りが大きくなることを防止できる変換用アダプタキットを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 被溶接物との間でアークを発生させる電極と、
前記電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持する貫通孔と、外周面の一部を軸線方向に切り欠くスリットと、前記貫通孔を介して供給された第1のシールドガスを放出するセンターノズルとが設けられたコレットボディと、
前記コレットボディが取り付けられると共に、前記コレットボディ及び前記コレットを介して前記電極に電力を供給する給電部と、前記第1のシールドガスを供給する流路とが設けられたトーチボディと、
前記センターノズルの周囲を囲んだ状態で前記コレットボディに取り付けられると共に、前記スリットを介して供給された第2のシールドガスを放出するトーチノズルと、
前記トーチノズルと前記トーチボディとの間に挟み込まれた状態で取り付けられると共に、前記第2のシールドガスを供給する流路が設けられたアタッチメントとを備える溶接用トーチ。
〔2〕 前記アタッチメント及び前記コレットボディを取り外した後に、汎用のコレットボディを前記トーチボディに取り付けると共に、前記汎用のコレットボディに前記トーチノズルを取り付けることによって、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換されることを特徴とする前記〔1〕に記載の溶接用トーチ。
〔3〕 被溶接物との間でアークを発生させる電極と、
前記電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持する貫通孔と、前記貫通孔を介して供給された第1のシールドガスを放出するセンターノズルとが設けられたコレットボディと、
前記コレットボディの外周部に一体に取り付けられると共に、第2のシールドガスが供給される供給路と、前記供給路から供給された前記第2のシールドガスを整流する整流部材とが設けられたガスレンズと、
前記コレットボディが取り付けられると共に、前記コレットボディ及び前記コレットを介して前記電極に電力を供給する給電部と、前記第1のシールドガスを供給する流路とが設けられたトーチボディと、
前記センターノズルの周囲を囲んだ状態で前記ガスレンズに取り付けられると共に、前記ガスレンズで整流された前記第2のシールドガスを放出するトーチノズルと、
前記トーチノズルと前記トーチボディとの間に挟み込まれた状態で取り付けられると共に、前記第2のシールドガスを供給する流路が設けられたアタッチメントとを備える溶接用トーチ。
〔4〕 前記アタッチメント及び前記ガスレンズが一体に取り付けられた前記コレットボディを取り外した後に、汎用のガスレンズ付コレットボディを前記トーチボディに取り付けると共に、前記汎用のガスレンズ付コレットボディに前記トーチノズルを取り付けることによって、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換されることを特徴とする前記〔3〕に記載の溶接用トーチ。
〔5〕 前記アタッチメントには、前記第2のシールドガスを導入するガスホースが接続される接続部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の溶接用トーチ。
〔6〕 前記トーチボディの前記コレットボディが取り付けられる側とは反対側に取り付けられるトーチキャップを備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の溶接用トーチ。
〔7〕 前記トーチボディに取り付けられるハンドルを備え、このハンドルの内側を通して、前記給電部に電力を供給する給電ケーブルと、前記流路に第1のシールドガスを導入するガスホースとが一体化された溶接ケーブルが、前記トーチボディに設けられた接続部に接続されることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載の溶接用トーチ。
〔8〕 被溶接物との間でアークを発生させる電極と、
前記電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持するコレットボディと、
前記コレットボディが取り付けられると共に、前記コレットボディ及び前記コレットを介して前記電極に電力を供給する給電部と、第1のシールドガスを供給する流路とが設けられたトーチボディと、
前記電極の周囲を囲んだ状態で前記コレットボディに取り付けられると共に、前記第1のシールドガスを放出するトーチノズルとを備える一重ノズル構造の溶接用トーチを二重ノズル構造の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記コレットボディの代わりに前記トーチボディに取り付けられると共に、前記電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持する貫通孔と、外周面の一部を軸線方向に切り欠くスリットと、前記貫通孔を介して供給された第1のシールドガスを放出するセンターノズルとが設けられた変換用のコレットボディと、
前記トーチノズルと前記トーチボディとの間に挟み込まれた状態で取り付けられると共に、第2のシールドガスを供給する流路が設けられたアタッチメントとを備え、
前記トーチノズルは、前記センターノズルの周囲を囲んだ状態で前記コレットボディに取り付けられると共に、前記スリットを介して供給された第2のシールドガスを放出することを特徴とする変換用アダプタキット。
〔9〕 被溶接物との間でアークを発生させる電極と、
前記電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持するガスレンズ付コレットボディと、
前記ガスレンズ付コレットボディが取り付けられると共に、前記ガスレンズ付コレットボディ及び前記コレットを介して前記電極に電力を供給する給電部と
、第1のシールドガスを供給する流路とが設けられたトーチボディと、
前記電極の周囲を囲んだ状態で前記ガスレンズ付コレットボディに取り付けられると共に、前記第1のシールドガスを放出するトーチノズルとを備える一重ノズル構造の溶接用トーチを二重ノズル構造の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記ガスレンズ付コレットボディの代わりに前記トーチボディに取り付けられると共に、前記電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持する貫通孔と、前記貫通孔を介して供給された
前記第1のシールドガスを放出するセンターノズルとが設けられた変換用のコレットボディと、
前記変換用のコレットボディの外周部に一体に取り付けられると共に、第2のシールドガスが供給される供給路と、前記供給路から供給された前記第2のシールドガスを整流する整流部材とが設けられたガスレンズと、
前記トーチノズルと前記トーチボディとの間に挟み込まれた状態で取り付けられると共に、前記第2のシールドガスを供給する流路が設けられたアタッチメントとを備え、
前記トーチノズルは、前記センターノズルの周囲を囲んだ状態で前記ガスレンズに取り付けられると共に、前記ガスレンズで整流された前記第2のシールドガスを放出することを特徴とする変換用アダプタキット。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、二重ノズル構造から一重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つ使い勝手の更なる向上を可能とした溶接用トーチ、並びに、一重ノズル構造の溶接用トーチを二重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つノズル周りが大きくなることを防止できる変換用アダプタキットを安価に提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した溶接用トーチ及び変換用アダプタキットについて、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1及び
図2(a),(b)に示す変換用アダプタキット20Aを換装した溶接用トーチ1Aについて説明する。なお、
図1は、溶接用トーチ1Aの構成を示す分解斜視図である。
図2(a)は、溶接用トーチ1Aの要部断面図である。
図2(b)は、溶接要トーチ1Aの組立図である。
【0026】
溶接用トーチ1Aは、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換可能なTIG溶接用トーチである。換言すると、この溶接用トーチ1Aは、上記
図7(a),(b)に示す溶接用トーチ100Aに、変換用アダプタキット20Aを換装することによって、一重ノズル構造から二重ノズル構造に変換されたTIG溶接用トーチである。
【0027】
具体的に、この溶接用トーチ1Aは、
図1及び
図2(a),(b)に示すように、電極2と、電極2を内側に挿入した状態で支持するコレット3と、電極2を先端側から突出させた状態でコレット3を内側に保持するコレットボディ4Aと、コレットボディ4Aが取り付けられるトーチボディ5と、コレットボディ4Aに取り付けられるトーチノズル6Aと、トーチノズル6Aとトーチボディ5との間に挟み込まれた状態で取り付けられるアタッチメント7Aと、トーチボディ5のコレットボディ4Aとは反対側に取り付けられるトーチキャップ8と、トーチボディ5の下方に取り付けられるハンドル9とを備えている。
【0028】
電極2は、非消耗電極として、例えばタングステンなどの融点の高い金属材料を用いて形成された長尺状の電極棒からなる。また、電極2には、タングステンの他に、例えば酸化トリウムや酸化ランタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物を添加したものを用いることができる。
【0029】
コレット3は、例えば銅又は銅合金などの電気伝導性及び熱伝導性に優れた金属材料を用いて形成された概略円筒状の部材からなる。コレット3は、軸線方向に貫通する貫通孔3aを有し、この貫通孔3aの内側に挿入された電極2を軸線方向にスライド可能に支持する。コレット3の先端側には、複数のスリット3bが周方向に並んで設けられている。複数のスリット3bは、コレット3の先端から軸線方向の中途部に亘って直線状に切り欠かれている。これにより、各スリット3bの間の先端部分3cが縮径方向に弾性変形可能となっている。また、コレット3の先端部には、漸次縮径されたテーパー部3dが設けられている。一方、コレット3の基端部には、その周囲よりも拡径された拡径部3eが設けられている。
【0030】
コレットボディ4Aは、アタッチメント7Aと共に変換用アダプタキット20Aを構成するものであり、上記
図7(a),(b)に示す溶接用トーチ100Aが備えるコレットボディ103Aの代わりに、トーチボディ5に対して着脱自在に取り付け可能となっている。
【0031】
具体的に、このコレットボディ4Aは、例えば銅又は銅合金などの電気伝導性及び熱伝導性に優れた材料を用いて形成された概略円筒状の部材からなる。コレットボディ4Aは、軸線方向に貫通する貫通孔4aを有し、この貫通孔4aの基端側から挿入されたコレット3を内側に保持する。また、コレットボディ4Aの貫通孔4aは、トーチボディ5側から供給された第1のシールドガスG1が流れる流路を形成している。貫通孔4aの内側には、コレット3のテーパー部3dが当接される縮径部4bが設けられている。縮径部4bは、電極2を貫通させる程度に縮径されている。これにより、コレットボディ4Aの先端部からは、貫通孔4aを貫通した電極2のみを突出させることが可能となっている。
【0032】
コレットボディ4Aの先端側には、貫通孔4aを介して供給された第1のシールドガスG1を放出するセンターノズル4cが設けられている。センターノズル4cは、上記
図7(a),(b)に示すコレットボディ103Aの先端部よりも軸線方向に延長して設けられている。
【0033】
コレットボディ4Aの外周面には、トーチノズル6Aがネジ止めされるネジ部4dが設けられている。また、コレットボディ4Aの外周面には、複数のスリット4eが周方向に並んで設けられている。複数のスリット4eは、アタッチメント7A側から供給された第2のシールドガスG2が流れる流路を形成している。具体的に、各スリット4eは、ネジ部4dの一部を軸線方向に切り欠くように直線状に形成されている。そして、このコレットボディ4Aは、その基端側をネジ止めによってトーチボディ5に着脱自在に取り付けることが可能となっている。
【0034】
トーチボディ5は、上述したコレット3やコレットボディ4Aよりも熱伝導率が低い導電性金属材料、例えば軟鋼やステンレス鋼などの鋼材又は真鍮等を用いて形成された本体金具10を有し、この本体金具10が絶縁樹脂により被覆された構造を有している。
【0035】
本体金具10は、コレットボディ4A及びコレット3を介して電極2に電力を供給する給電部を形成している。また、本体金具10は、その内側がコレットボディ4Aに向かって第1のシールドガスG2を供給する流路を形成している。
【0036】
本体金具10は、概略円筒状に形成された部分(以下、円筒部分という。)10aの一端側(先端側)にコレットボディ4Aと、それとは反対側(後端側)にトーチキャップ8とを、それぞれネジ止めにより着脱自在に取り付けることが可能となっている。トーチキャップ8は、トーチボディ5との間に後側ガスケット11を配置した状態で取り付けられている。
【0037】
また、本体金具10は、円筒部分10aの中途部から下方に向かって概略管状に延長された部分(以下、延長部分という。)10bの先端に接続部10cを有し、この接続部10cに溶接ケーブルCをネジ止めにより着脱自在に接続することが可能となっている。
【0038】
溶接ケーブルCは、外部電源から本体金具10(給電部)に電力を供給する給電ケーブルと、本体金具10(流路)に第1のシールドガスG1を導入するガスホースと、本体金具10の内部で冷却水(冷却液)を循環させるための冷却ホースとが一体化されたものからなる。なお、溶接用トーチ1Aの冷却方式については、水冷式に限らず、空冷式であってもよい。空冷式の場合は、冷却ホースについては省略することが可能である。
【0039】
トーチノズル6Aは、例えば耐熱性に優れたセラミックなどを用いて概略円筒状に形成されると共に、その先端側が漸次縮径されたノズル形状を有している。トーチノズル6Aの内周面には、ネジ部6aが設けられている。そして、このトーチノズル6Aは、ネジ部6aをコレットボディ4Aのネジ部4dに螺合することによって、コレットボディ4Aの外周部にネジ止めにより着脱自在に取り付けられている。
【0040】
アタッチメント7Aは、コレットボディ4Aと共に変換用アダプタキット20Aを構成するものであり、上記
図7(a),(b)に示す溶接用トーチ100Aが備える前側ガスケット106の代わりに、トーチノズル6Aを内側に挿入した状態でトーチボディ5に対して着脱自在に取り付け可能となっている。
【0041】
具体的に、このアタッチメント7Aは、例えば絶縁性の樹脂材料を用いて概略円筒状に形成された部材からなる。アタッチメント7Aは、軸線方向に貫通する貫通孔7aを有し、この貫通孔7aの基端側からコレットボディ4Aを挿入すると共に、この貫通孔7aの先端側からコレットボディ4Aを突出させることが可能となっている。
【0042】
また、アタッチメント7Aには、第2のシールドガスG2を供給する流路7bと、第2のシールドガスG2を導入するガスホース(図示せず。)が接続される接続部7cと設けられている。このうち、流路7bは、アタッチメント7Aを半径方向に貫通することによって貫通孔7aと連通されている。一方、接続部7cは、アタッチメント7Aの外周部に設けられて流路7bと連通されている。また、接続部7cには、ガスホースの接続を容易にするため、例えば流量調整式のワンタッチカプラーが取り付けられている。
【0043】
トーチキャップ8は、後側ガスケット11と共にトーチボディ5の後端側を封止するものであり、電極2の後端側を内側に収納するように概略キャップ状に形成されている。また、トーチキャップ8は、トーチボディ5の本体金具10に取り付けられたとき、その先端部がコレット3の基端部(拡径部3e)に当接しながら、コレット3を先端側に向かって押圧する。このとき、コレットボディ4Aの貫通孔4aに挿入されたコレット3のテーパー部3dがコレットボディ4Aの縮径部4bに押し付けられることによって、このコレット3の先端部分3cが縮径方向に弾性変形する。これにより、コレット3の先端部分3cが電極2を挟持し、この電極2をコレット3内に固定した状態とすることができる。
【0044】
ハンドル9は、使用者が把持する部分であり、概略パイプ状に形成されて、トーチボディ5の延長部分10bに取り付けられている。そして、溶接ケーブルCは、このハンドル9の内側を通して上記トーチボディ5の接続部10cに接続可能となっている。また、図示を省略するものの、ハンドル9には、オン/オフ(ON/OFF)を切り換えるトーチスイッチが結束バンド等により別途取り付けられる。
【0045】
以上のような構造を有する溶接用トーチ1Aでは、コレットボディ4A(センターノズル4c)の先端から第1のシールドガスG1を放出し、トーチノズル6Aの先端から第2のシールドガスG2を放出しながら、電極2と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。
【0046】
第1のシールドガスG1は、トーチボディ5の本体金具10からコレットボディ4Aの貫通孔4aを介してセンターノズル4cの先端へと供給される。第1のシールドガスG1には、例えばアルゴン(Ar)やヘリウム(He)といった不活性ガスを単体、若しくはアルゴン(Ar)に水素(H
2)を添加した混合ガス、アルゴン(Ar)にヘリウム(He)を添加した混合ガス、アルゴン(Ar)に窒素(N
2)を添加した混合ガスなどを用いることができる。さらに、アルゴン(Ar)に、ヘリウム(He)、水素(H
2)窒素(N
2)の中から何れか2種類を添加した三種混合ガスなどを用いることができる。
などを用いることができる。
【0047】
一方、第2のシールドガスG2は、アタッチメント7Aの接続部7cから流路7bを介して貫通孔7aに流入し、この貫通孔7aからコレットボディ4Aの複数のスリット4eを介してトーチノズル6Aの先端へと供給される。第2のシールドガスG2には、第1のシールドガスG1とは異なる、例えば酸素(O
2)や炭酸ガス(CO
2)といった酸化性ガスを単体、若しくは不活性ガスに酸化性ガスを添加した混合ガスなどを用いることができる。また、アルゴン(Ar)に水素(H
2)を添加した混合ガス、アルゴン(Ar)にヘリウム(He)を添加した混合ガス、アルゴン(Ar)に窒素(N
2)を添加した混合ガスなどを用いることができる。さらに、アルゴン(Ar)に、ヘリウム(He)、水素(H
2)窒素(N
2)の中から何れか2種類を添加した三種混合ガスなどを用いることができる。
【0048】
本実施形態の溶接用トーチ1Aでは、上述したコレットボディ4Aのセンターノズル4cを第1のシールドガスG1を放出するインナーノズルとして用い、トーチノズル6Aを第2のシールドガスG2を放出するアウターノズルとして用いている。このため、アウターノズル(トーチノズル6A)の外径は、上記
図7(a),(b)に示す溶接用トーチ100Aが備えるトーチノズル105Aと同じである。これにより、本実施形態の溶接用トーチ1Aでは、ノズル周りが大きくなることを防止できるため、例えば狭隘な場所での溶接作業を行う際の使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0049】
また、本実施形態の溶接用トーチ1Aでは、上記
図9に示す溶接用トーチ100Cのインナーノズル105a及びアウターノズル105bに比べて、インナーノズルとなるセンターノズル4c及びアウターノズルとなるトーチノズル6Aの小径化を図ることにより、第1のシールドガスG1及び第2のシールドガスG2の消費を削減できる。これにより、本実施形態の溶接用トーチ1Aでは、第1のシールドガスG1及び第2のシールドガスG2の消費を抑制した効率の良い溶接作業を行うことが可能である。
【0050】
また、本実施形態の溶接用トーチ1Aでは、上記変換用アダプタキット20Aを構成するコレットボディ4A及びアタッチメント7Aを取り外した後に、上記
図7(a),(b)に示す溶接用トーチ100Aが備える汎用のコレットボディ103A及び前側ガスケット106を取り付ける。これにより、二重ノズル構造の溶接用トーチ1Aを一重ノズル構造の溶接用トーチ100Aに容易に変換できる。
【0051】
逆に、上記
図7(a),(b)に示す溶接用トーチ100Aでは、コレットボディ103A及び前側ガスケット106を取り外した後に、上記変換用アダプタキット20Aを構成するコレットボディ4A及びアタッチメント7Aを取り付ける。これにより、一重ノズル構造の溶接用トーチ100Aを二重ノズル構造の溶接用トーチ1Aに容易に変換できる。
【0052】
したがって、二重ノズル構造の溶接用トーチ1Aが備える電極2、コレット3、トーチボディ5、トーチノズル6A、トーチキャップ8及びハンドル9、後側ガスケット11については、一重ノズル構造の溶接用トーチ100Aが備える電極101、コレット102、トーチボディ104、トーチノズル105A、トーチキャップ108、ハンドル109、後側ガスケット107をそのまま流用することが可能である。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、二重ノズル構造から一重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つ使い勝手の更なる向上を可能とした溶接用トーチ1A、並びに、一重ノズル構造の溶接用トーチ100Aを二重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つノズル周りが大きくなることを防止できる変換用アダプタキット20Aを安価に提供することが可能である。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図3及び
図4(a),(b)に示す変換用アダプタキット20Bを換装した溶接用トーチ1Bについて説明する。なお、
図3は、溶接用トーチ1Bの構成を示す分解斜視図である。
図4(a)は、溶接用トーチ1Bの要部断面図である。
図4(b)は、溶接用トーチ1Bの組立図である。
【0055】
溶接用トーチ1Bは、二重ノズル構造から一重ノズル構造に変換可能なTIG溶接用トーチである。換言すると、この溶接用トーチ1Bは、上記
図8(a),(b)に示す溶接用トーチ100Bに、変換用アダプタキット20Bを換装することによって、一重ノズル構造から二重ノズル構造に変換されたTIG溶接用トーチである。
【0056】
具体的に、この溶接用トーチ1Bは、
図3及び
図4(a),(b)に示すように、上記溶接用トーチ1Aが備えるコレットボディ4A、トーチノズル6A及びアタッチメント7Aの代わりに、ガスレンズ付コレットボディ4B、トーチノズル6B及びアタッチメント7Bを備えている。
【0057】
ガスレンズ付コレットボディ4Bは、アタッチメント7Bと共に変換用アダプタキット20Bを構成するものであり、上記
図8(a),(b)に示す溶接用トーチ100Bが備えるガスレンズ付コレットボディ103Bの代わりに、トーチボディ5に対して着脱自在に取り付け可能となっている。
【0058】
ガスレンズ付コレットボディ4Bは、トーチノズル6Bから放出される第1のシールドガスG1を整流するガスレンズ12がコレットボディ13の外周部に一体に取り付けられた構造を有している。
【0059】
具体的に、このガスレンズ12は、概略円筒状の周壁14aと、周壁14aの基端側の開口部を閉塞する端壁14bとを含む筐体14を有している。筐体14は、例えば真鍮等の金属材料を用いて、周壁14aと端壁14bとが一体に形成されたものからなる。端壁14bの中央部には、中心孔14cが設けられている。また、端壁14bの中心孔14cの周囲には、複数の貫通孔14dが並んで設けられている。各貫通孔14dは、アタッチメント7B側から供給される第2のシールドガスG2の供給路を形成している。筐体14の外周面には、トーチノズル6Bがネジ止めされるネジ部14eが設けられている。
【0060】
ガスレンズ12は、周壁14aの基端側の開口部を閉塞する整流部材15を有している。整流部材15は、金属製のメッシュ部材からなる。また、整流部材15の中央部には、中心孔15aが設けられている。ガスレンズ12は、筐体14の中心孔14c及び整流部材15の中心孔15aにコレットボディ13を挿通させた状態で、コレットボディ13の外周部に一体に取り付けられている。ガスレンズ12は、複数の貫通孔14dから供給された第2のシールドガスG2を整流部材15により整流する。
【0061】
コレットボディ13は、上記コレットボディ4Aのネジ部4dを省略し、このネジ部4dが設けられた位置にガスレンズ12が一体に取り付けられている以外は、上記コレットボディ4Aと基本的に同じ構成を有している。
【0062】
トーチノズル6Bは、上記トーチノズル6Aよりも径が拡大されたノズル形状を有している。トーチノズル6Bの内周面には、ネジ部6bが設けられている。そして、このトーチノズル6Bは、ネジ部6bをガスレンズ12のネジ部14eに螺合することによって、ガスレンズ付コレットボディ4Bの外周部(ガスレンズ12)にネジ止めにより着脱自在に取り付けられている。
【0063】
アタッチメント7Bは、ガスレンズ付コレットボディ4Bと共に変換用アダプタキット20Bを構成するものであり、上記
図8(a),(b)に示す溶接用トーチ100Bが備える前側ガスケット106の代わりに、トーチノズル6Bの内側に挿入された状態でトーチボディ5に対して着脱自在に取り付け可能となっている。
【0064】
アタッチメント7Bは、トーチノズル6Bの径の拡大に伴って、トーチノズル6Bとトーチボディ5との間に挟み込まれた状態で取り付けるための形状やサイズ等の変更が行われている以外は、上記アタッチメント7Aと基本的に同じ構成を有している。
【0065】
溶接用トーチ1Bは、それ以外の構成について上記溶接用トーチ1Aと基本的に同じ構成を備えている。したがって、それ以外の上記溶接用トーチ1Aと同等の構成については、説明を簡略化し、図面において同じ符号を付すものとする。
【0066】
以上のような構造を有する溶接用トーチ1Bでは、ガスレンズ付コレットボディ4B(センターノズル4c)の先端から第1のシールドガスG1を放出し、トーチノズル6Bの先端からガスレンズ12により整流された第2のシールドガスG2を放出しながら、電極2と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。
【0067】
第1のシールドガスG1は、トーチボディ5の本体金具10からコレットボディ13の貫通孔4aを介してセンターノズル4cの先端へと供給される。一方、第2のシールドガスG2は、アタッチメント7Bの接続部7cから流路7bを介して貫通孔7aに流入し、この貫通孔7aからガスレンズ12の複数の貫通孔14dを介してトーチノズル6Bの先端へと供給される。
【0068】
本実施形態の溶接用トーチ1Bでは、上述したコレットボディ13のセンターノズル4cを第1のシールドガスG1を放出するインナーノズルとして用い、トーチノズル6Bを第2のシールドガスG2を放出するアウターノズルとして用いている。このため、アウターノズル(トーチノズル6B)の外径は、上記
図8(a),(b)に示す溶接用トーチ100Bが備えるトーチノズル105Bと同じである。これにより、本実施形態の溶接用トーチ1Bでは、ノズル周りが大きくなることを防止できるため、例えば狭隘な場所での溶接作業を行う際の使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0069】
また、本実施形態の溶接用トーチ1Bでは、インナーノズルとなるセンターノズル4c及びアウターノズルとなるトーチノズル6Bの小径化を図ることにより、第1のシールドガスG1及び第2のシールドガスG2の消費を削減できる。これにより、本実施形態の溶接用トーチ1Bでは、第1のシールドガスG1及び第2のシールドガスG2の消費を抑制した効率の良い溶接作業を行うことが可能である。
【0070】
また、本実施形態の溶接用トーチ1Bでは、上記変換用アダプタキット20Bを構成するガスレンズ付コレットボディ4B及びアタッチメント7Bを取り外した後に、上記
図8(a),(b)に示す溶接用トーチ100Bが備える汎用のガスレンズ付コレットボディ103B及び前側ガスケット106を取り付ける。これにより、二重ノズル構造の溶接用トーチ1Bを一重ノズル構造の溶接用トーチ100Bに容易に変換できる。
【0071】
逆に、上記
図8(a),(b)に示す溶接用トーチ100Bでは、ガスレンズ付コレットボディ103B及び前側ガスケット106を取り外した後に、上記変換用アダプタキット20Bを構成するガスレンズ付コレットボディ4B及びアタッチメント7Bを取り付ける。これにより、一重ノズル構造の溶接用トーチ100Bを二重ノズル構造の溶接用トーチ1Bに容易に変換できる。
【0072】
したがって、二重ノズル構造の溶接用トーチ1Bが備える電極2、コレット3、トーチボディ5、トーチノズル6B、トーチキャップ8及びハンドル9、後側ガスケット11については、一重ノズル構造の溶接用トーチ100Bが備える電極101、コレット102、トーチボディ104、トーチノズル105B、トーチキャップ108、ハンドル109、後側ガスケット107をそのまま流用することが可能である。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、二重ノズル構造から一重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つ使い勝手の更なる向上を可能とした溶接用トーチ1B、並びに、一重ノズル構造の溶接用トーチ100Bを二重ノズル構造に容易に変換でき、なお且つノズル周りが大きくなることを防止できる変換用アダプタキット20Bを安価に提供することが可能である。
【0074】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記センターノズル4cについては、
図5に示すように、コレットボディ13(コレットボディ4Aにおいても同様。)の先端側においてネジ止め等により着脱自在に取り付けられる構成とすることも可能である。
【0075】
また、上記ガスレンズ付コレットボディ4Bについては、
図6に示すように、整流部材15を省略した構成(コレットボディ4C)とすることも可能である。具体的に、このコレットボディ4Cは、貫通孔14dの位置が筐体14の端壁14bから周壁14aに変更されている。また、筐体14は、コレットボディ13とは別体に、その基端側をネジ止めによってトーチボディ5に着脱自在に取り付けることが可能となっている。それ以外の構成については、ガスレンズ付コレットボディ4Bと基本的に同じ構成を有している。
【0076】
なお、上記溶接用トーチ1A,1Bでは、第2のシールドガスG2を導入するガスホースを固定するためのバンド等の保持具をトーチボディ5に取り付けることも可能である。さらに、上記接続部7cは、アタッチメント7A,7Bの上方に配置された構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、アタッチメント7A,7Bの下方や側方等に配置することも可能である。
【0077】
上記変換用アダプタキット20A,20Bは、上記溶接用トーチ100A,100Bに換装される場合に限らず、別のタイプ(異なるメーカ)の溶接用トーチに換装させることも可能である。すなわち、本発明を適用した変換用アダプタキットは、タイプの異なる溶接用トーチの間で互換性を持たせることも可能である。
【0078】
また、溶接用トーチのタイプの違いによって、上記前側ガスケット106や上記後側ガスケット107(11)が省略されたタイプもある。本発明を適用した変換用アダプタキットでは、そのような溶接用トーチのタイプの違いに合わせて、(ガスレンズ付)コレットボディ4A,4Bやアタッチメント7A,Bの取付部分の形状やサイズ等を適宜変更して実施することが可能である。
【0079】
なお、本発明は、上述したハンドルタイプの溶接用トーチに限らず、ペンシルタイプの溶接用トーチにも本発明を適用することが可能である。また、空冷式や水冷式に限らず、さらに、手動型や(半)自動型の溶接用トーチといった本発明が適用可能な溶接用トーチに対して、本発明を幅広く適用することが可能である。