特許第6366113号(P6366113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366113
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】通信システム、通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/02 20090101AFI20180723BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20180723BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20180723BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20180723BHJP
【FI】
   H04W48/02
   H04W76/10
   H04W84/12
   H04W88/08
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-65623(P2016-65623)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-183890(P2017-183890A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
【審査官】 横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−119314(JP,A)
【文献】 特開2015−023481(JP,A)
【文献】 特開2013−115539(JP,A)
【文献】 特開2015−046660(JP,A)
【文献】 特開2015−100074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の通信装置から新規の通信装置に対して、既存の通信装置の通信設定情報と、当該既存の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより引継処理を実行する通信システムであって、
前記既存の通信装置は、
前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限し、
前記新規の通信装置は、
前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する通信システム。
【請求項2】
前記新規の通信装置は、
前記比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報とは別の通信設定情報に基づいて確立する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記既存の通信装置及び前記新規の通信装置は、ユーザの入力に応じて、前記引継処理の実行を開始する、請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項4】
前記新規の通信装置は、前記既存の通信装置から引継情報を受信し、所定の記憶手段に対する格納処理が完了したことに応じて、前記引継処理を終了し、前記端末装置との通信が可能な状態に移行する、請求項1〜3いずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
他の通信装置との間で引継処理を実行可能な通信装置であって、
前記引継処理によって他の通信装置に対して、自身の通信設定情報と、自身が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限し、
前記引継処理によって、他の通信装置から他の通信装置の通信設定情報と、他の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを受信することにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する通信装置。
【請求項6】
前記引継処理によって、他の通信装置から他の通信装置の通信設定情報と、他の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを受信することにより、引継処理を実行した場合に、前記比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報とは別の通信設定情報に基づいて確立する、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は、ユーザの入力に応じて、前記引継処理の実行を開始する、請求項5又は6記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信装置は、前記他の通信装置から引継情報を受信し、所定の記憶手段に対する格納処理が完了したことに応じて、前記引継処理を終了し、前記端末装置との通信が可能な状態に移行する、請求項5〜7いずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
既存の通信装置から新規の通信装置に対して、既存の通信装置の通信設定情報と、当該既存の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより引継処理を実行する通信方法であって、
前記既存の通信装置は、
前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するステップと、
当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較するステップと、
比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限するステップとを実行し、
前記新規の通信装置は、
前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するステップと、
当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較するステップと、
比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行するステップとを実行する通信方法。
【請求項10】
前記新規の通信装置は、
前記比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報とは別の通信設定情報に基づいて確立する、
請求項9に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信装置及び通信方法に関するものであり、特に、通信装置の置き換えの際に、通信を引き継ぎ可能な通信システム、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントとパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの無線LAN機能を有する無線LAN端末との間で通信を確立するためには、無線LANアクセスポイントが有するSSID(Service Set Identifier)、暗号化キーなどの通信設定情報を無線LAN端末が取得する必要がある。
【0003】
ここで、既存の無線LANアクセスポイントから新規の無線LANアクセスポイントに置き換えをする場合、例えば、ユーザが無線LAN端末を操作して、新規の無線LANアクセスポイントの通信設定情報を取得する方法がある。この方法は、ユーザにとっては手間のかかる方法である。
【0004】
特許文献1には、無線接続装置の置き換えの際、既存の無線接続装置から新規の無線接続装置に無線設定情報を送信して引き継ぐことが開示されている。特許文献2には、無線LANアクセスポイント装置間で無線通信に関する無線設定内容の複製(コピー)をすることが可能な無線LANアクセスポイント装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、複数のSSIDを有するアクセスポイントが存在する場合、携帯端末装置が記憶する所定のBSSID(基本サービスセット識別子)が示すアクセスポイントとは接続しないことが開示されている。
【0006】
特許文献4には、障害が発生した現用系計算機の固有識別情報と待機系計算機の固有識別情報とを入れ替え、待機系計算機をブートする方法が開示されている。
【0007】
特許文献5には、無線LAN端末が、特定データフレームを無線LANアクセスポイントから受信した場合に、この無線LANアクセスポイントにローミングを行うことが開示されている。特許文献6には、無線LANアクセスポイント側で無線パラメータが変更された際、無線LAN端末側で容易にこの変更された無線パラメータに追従することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−119314号公報
【特許文献2】特開2013−115539号公報
【特許文献3】特開2011−049701号公報
【特許文献4】特開2011−018254号公報
【特許文献5】特開2006−157388号公報
【特許文献6】特開2011−211612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既存の無線LANアクセスポイントから新規の無線LANアクセスポイントに置き換えをする場合、新規の無線LANアクセスポイントに既存の無線LANアクセスポイントの設定情報をコピーする必要がある。しかしながら、コピーを行うと、同じ無線設定情報を有する無線LANアクセスポイントが複数存在することになる。これにより、無線LAN端末は、新規又は既存のどちらの無線LANアクセスポイントにも接続可能となってしまうという通信の不具合が発生し、所望のネットワークを構成することができず、通信をすることが難しいという課題があった。そして、特許文献1〜6のいずれにも、無線LANアクセスポイントの置き換えの際、通信の不具合を発生させることなく、所望のネットワークを構成して通信を引き継ぐことは開示されていない。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、例えば、アクセスポイント等の通信装置の置き換えの際、通信の不具合を発生させることなく通信を引き継ぎ可能な通信システム、通信装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る通信システムは、既存の通信装置から新規の通信装置に対して、既存の通信装置の通信設定情報と、当該既存の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより引継処理を実行する通信システムである。前記既存の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限する。前記新規の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する。
【0012】
本発明に係る通信装置は、他の通信装置との間で引継処理を実行可能な通信装置である。前記引継処理によって他の通信装置に対して、自身の通信設定情報と、自身が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限する。前記引継処理によって、他の通信装置から他の通信装置の通信設定情報と、他の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを受信することにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する。
【0013】
本発明に係る通信方法は、既存の通信装置から新規の通信装置に対して、既存の通信装置の通信設定情報と、当該既存の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより引継処理を実行する通信方法である。前記既存の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するステップと、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較するステップと、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限するステップとを実行する。前記新規の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するステップと、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較するステップと、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行するステップとを実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、アクセスポイント等の通信装置の置き換えの際、通信を引き継ぎ可能な通信システム、通信装置及び通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1にかかる通信システムを例示するブロック図である。
図2】(A)は、実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントを例示するブロック図である。(B)は、通信設定情報記憶部を例示するブロック図である。
図3】(A)は、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末との接続をパッシブスキャン方式で確立する場合の手順を例示するシーケンス図である。(B)は、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末との接続をアクティブスキャン方式で確立する場合の手順を例示するシーケンス図である。
図4】実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントの引継方法を例示するシーケンス図である。
図5】実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントと端末のパッシブスキャン方式での接続確立の手順を例示するシーケンス図である。
図6】実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントと端末のアクティブスキャン方式での接続確立の手順を例示するシーケンス図である。
図7】実施の形態3にかかる通信システムを例示するブロック図である。
図8】実施の形態4にかかる無線LANアクセスポイントの引継方法を例示するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、実施の形態1にかかる通信システムを例示するブロック図である。
【0018】
図1に示すように、実施の形態1にかかる通信システムにおいては、既存の無線LANアクセスポイントである第1無線LANアクセスポイント100と、新規の無線LANアクセスポイントである第2無線LANアクセスポイント200と、端末81〜83が設けられる。
【0019】
第1無線LANアクセスポイント(既存の無線LANアクセスポイント)100は、通信設定情報J1と第1無線LANアクセスポイント100に帰属している端末を特定するための固有識別情報Id1を保有する。通信設定情報J1は、第1無線LANアクセスポイント100と端末81が通信を行っていたときの通信を行うための情報である。
【0020】
端末81〜83は、第1無線LANアクセスポイント100と過去に通信接続を確立していた端末である。
【0021】
第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200は、通信設定情報J1とは別の通信設定情報J2を保有する。第2無線LANアクセスポイント200は、固有識別情報Id1と固有識別情報Id2とを保有可能であるものとする。固有識別情報Id2は、第2無線LANアクセスポイント200と帰属した端末を特定するための情報である。
【0022】
通信設定情報J1と端末の固有識別情報Id1は、第2無線LANアクセスポイント200に引き継がれる。具体的には、第1無線LANアクセスポイント100から第2無線LANアクセスポイント200に対して、第1無線LANアクセスポイント100の保有する通信設定情報J1と、第1無線LANアクセスポイント100が過去に接続した端末の固有識別情報Id1とを含む引継情報とを送信する。そして、第2無線LANアクセスポイント200は、これらの情報、すなわち通信設定情報J1と端末の固有識別情報Id1を記憶または保存する。このようにして引継処理を行う。
【0023】
この引継処理の際、関連技術にかかる引継方法では、第1無線LANアクセスポイント100が保有する通信設定情報J1のみを第2無線LANアクセスポイント200に引き継いだ。このため、第1無線LANアクセスポイント100と第2無線LANアクセスポイント200が同じ通信設定情報J1を保有することになり、端末81〜83は、どちらの無線LANアクセスポイントにも接続する可能性があった。
【0024】
そこで、実施の形態1においては、通信設定情報J1と共に、端末の固有識別情報Id1も引き継ぐ。これにより、端末が、第1無線LANアクセスポイント100に接続していた端末であるかどうかを識別することができる。これにより、第1無線LANアクセスポイント100に接続していた端末のみを、第2無線LANアクセスポイント200に接続することが可能となる。
【0025】
具体的には、第1無線LANアクセスポイント100は、引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報Id2を取得するとともに、この取得した固有識別情報Id2と、引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報Id1とを比較する。第1無線LANアクセスポイント100は、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限する。
【0026】
一方、第2無線LANアクセスポイント200は、引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報Id2を取得するとともに、取得した固有識別情報Id2と、引継情報に含まれる固有識別情報Id1とを比較する。第2無線LANアクセスポイント200は、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する。
【0027】
このようにして、第1無線LANアクセスポイント100が過去に接続していた端末のみを、第2無線LANアクセスポイント200に接続させることが可能となる。
【0028】
なお、第1無線LANアクセスポイント100及び第2無線LANアクセスポイント200は、例えば、ユーザの入力に応じて、引継処理の実行を開始してもよい。
【0029】
また、第2無線LANアクセスポイント200は、第1無線LANアクセスポイント100から引継情報を受信し、所定の記憶手段に対する格納処理が完了したことに応じて、引継処理を終了し、端末との通信が可能な状態に移行してもよい。
【0030】
[実施の形態2]
図2(A)は、実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントを例示するブロック図である。
図2(B)は、通信設定情報記憶部を例示するブロック図である。
【0031】
図2(A)に示すように、第2無線LANアクセスポイント200は、無線LANインターフェース部201と、制御部202と、記憶部205とを有する。第2無線LANアクセスポイント200は、既存の無線LANアクセスポイント(第1無線LANアクセスポイント)100との間で引継処理を実行可能な無線LANアクセスポイントである。この例では、第1無線LANアクセスポイント100から第2無線LANアクセスポイント200に引継を行う場合について説明する。なお、第2無線LANアクセスポイント200は、第1無線LANアクセスポイント100と同様な構成であるので、第2無線LANアクセスポイント200から第1無線LANアクセスポイント100に引継を行うこともできる。
【0032】
無線LANインターフェース部201は、端末又は既存の無線LANアクセスポイント100との間で通信を行うため、無線LANの物理的なインターフェースを実現する。
【0033】
制御部202は、アクセスポイントモードApとクライアントモードCmとを切り替える。アクセスポイントモードApは、通常のアクセスポイントとして動作するモードであり、端末と通信を行い端末からの情報を取得したり端末へ情報を送信することができるモ−ドである。クライアントモードCmは、自身(第2無線LANアクセスポイント200)と、既存の無線LANアクセスポイント100との通信を行うためのモードである。
【0034】
記憶部205は、通信設定情報記憶部205aと、固有識別情報記憶部205bとを有する。通信の接続を確立するための設定である通信設定情報は、通信設定情報記憶部205aに記憶される。無線LAN端末を識別するための設定である固有識別情報は、固有識別情報記憶部205bに記憶される。
【0035】
図2(B)に示すように、通信設定情報記憶部205aは、第1通信設定情報記憶部205a1と第2通信設定情報記憶部205a2とを有する。初期の段階で予め保有している通信設定情報J2は、第2通信設定情報記憶部205a2に記憶される。既存の無線LANアクセスポイント100から引継処理によって引き継いだ通信設定情報J1は、第1通信設定情報記憶部205a1に記憶される。
【0036】
既存の無線LANアクセスポイント100が保有し、既存の無線LANアクセスポイント100と端末との通信の接続を確立するための設定である通信設定情報J1は、既存の無線LANアクセスポイント100から第2無線LANアクセスポイント200に伝送される。そして、通信設定情報J1は、クライアントモードCmで取得され、通信設定情報記憶部205aに記憶される。
【0037】
また、既存の無線LANアクセスポイント100に接続したことのある端末の固有識別情報Id1は、既存の無線LANアクセスポイント100から伝達され、クライアントモードCmで取得される。固有識別情報Id1は、固有識別情報記憶部205bに記憶される。
【0038】
また、第2無線LANアクセスポイント200がアクセスポイントモードApで端末から取得した端末の固有識別情報Id2は、固有識別情報記憶部205bに記憶される。
【0039】
制御部202は、既存の無線LANアクセスポイント100に接続したことのある端末の固有識別情報Id1と、端末から取得した端末の固有識別情報Id2と、が一致しているかを判定する。そして、判定が一致した場合、固有識別情報Id1を保有する端末との間の通信を通信設定情報J1に基づいて確立する。
【0040】
なお、通信設定情報Jは、無線LANアクセスポイントと端末との通信を行うための設定情報であり、例えば、無線LANアクセスポイントの識別子であるSSID(Service Set Identifier)、認証方式/暗号化方式、及び暗号化キー等の情報を含む。
【0041】
また、例えば、固有識別情報Id1や固有識別情報Id2などの固有識別情報Idは、無線LANアクセスポイントと接続していた端末を識別するための情報、例えば、端末のMAC(Media Access Control)アドレスを含む。
【0042】
引継先の第2無線LANアクセスポイント200と、引継元の第1無線LANアクセスポイント100のそれぞれの動作概要をまとめると以下のようになる。
【0043】
引継先の第2無線LANアクセスポイント200は、引継処理によって、第1無線LANアクセスポイント100から第1無線LANアクセスポイント100が保有する通信設定情報J1と、第1無線LANアクセスポイント100が過去に接続した端末装置の固有識別情報Id1とを含む引継情報とを受信する。これにより、引継処理を実行した場合には、第2無線LANアクセスポイント200は、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報Id2を取得する。そして、取得した固有識別情報Id2と、引継情報に含まれる固有識別情報Id1とを比較する。第2無線LANアクセスポイント200は、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、通信を実行する。
【0044】
一方、引継元の第1無線LANアクセスポイント100は、引継処理によって第2無線LANアクセスポイント200に対して、自身(第1無線LANアクセスポイント100)の通信設定情報J1と、自身が過去に接続した端末の固有識別情報Id1とを含む引継情報とを送信する。これにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報Id2を取得する。そして、取得した固有識別情報Id2と、引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報Id1とを比較する。この比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限する。
【0045】
次に、実施の形態2の詳細な動作を説明する。先ず、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末の接続を確立する手順について、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc)802.11で規格化されている方法を説明する。
【0046】
無線LANアクセスポイントと無線LAN端末の接続方法は、パッシブスキャン方式とアクティブスキャン方式の2つの方式が規格化されている。
図3(A)は、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末との接続をパッシブスキャン方式で確立する場合の手順を例示するシーケンス図である。
【0047】
図3(A)に示すように、パッシブスキャン方式では、無線LANアクセスポイントからBeaconと呼ばれるブロードキャスト信号が定期的に送信されている(S300)。このBeaconは、無線LANアクセスポイントの識別子であるSSIDを含んでいる。
【0048】
次に、無線LAN端末は、Beaconを受信すると、Beaconに含まれているSSIDと、無線LAN端末自身が保有し設定しているSSIDとが一致するかを判断する。
【0049】
SSIDが一致していた場合、さらに接続を許可して良いかの認証を行うため、Authenticationと呼ばれる暗号化キーを使用した認証のフェーズに移行する(S301)。
【0050】
次に、認証が成功した場合、無線LAN端末は、Association Requestと呼ばれる接続要求を無線LANアクセスポイントに送信する(S302)。
【0051】
次に、無線LANアクセスポイントは、Assosiation Responseを無線LAN端末に返信する(S303)。これにより、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末との通信接続を確立する。
【0052】
図3(B)は、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末との接続をアクティブスキャン方式で確立する場合の手順を例示するシーケンス図である。
【0053】
図3(B)に示すように、アクティブスキャン方式では、無線LAN端末からProbe Requestと呼ばれる信号を送出し、無線LAN端末自身が保有しているSSIDと一致する無線LANアクセスポイントがいないか探索する(S310)。これは、パッシブスキャン方式における無線LANアクセスポイントからのBeaconを、無線LAN端末が受信できなかった場合などにおいて、通信接続ができるようにしたものである。
【0054】
次に、無線LANアクセスポイントがこのProbeRequest信号を受信し、その信号に含まれるSSIDが、無線LANアクセスポイント自身のSSIDと一致した場合、Probe Response信号を返す(S311)。このやり取りによりお互いの存在を認識することができる。
【0055】
これ以降の接続手順は、前述のパッシブスキャン方式と同じである。なお、図3(A)及び図3(B)のシーケンスは、一般的な内容でありこれ以上の詳細な説明は割愛する。このようにして、無線LANアクセスポイントと無線LAN端末の接続確立は完了する。
【0056】
次に、実施の形態2において、第1無線LANアクセスポイント(既存の無線LANアクセスポイント)100の設定を、第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200に引き継ぐ動作手順について説明する。
【0057】
図4は、実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントの引継方法を例示するシーケンス図である。
【0058】
図4においては、第1無線LANアクセスポイント100は、自身が接続したことのある端末81の固有識別情報Id1を固有識別情報記憶部に記憶している状態である(S400)。
【0059】
次に、ユーザが端末81を操作して、第2無線LANアクセスポイント200に対して設定情報を引継ぐ契機となる情報を、例えばスイッチ押下またはボタン押下などの入力情報を通知する(S401)。
【0060】
次に、第2無線LANアクセスポイント200は、この通知を受け取ると、第1無線LANアクセスポイント100からの情報を取得するため、制御部202によりクライアントモードCmに切り替わり移行する(S402)。
【0061】
次に、制御部202は、無線LANインターフェース部201を通して、第1無線LANアクセスポイント100が保有する通信設定情報J1を要求する(S403)。
【0062】
次に、ユーザが端末81を操作し、例えばボタン押下などの入力情報によって、第1無線LANアクセスポイント100に対して、第1無線LANアクセスポイント100から第2無線LANアクセスポイント200に通信設定情報J1を送信するよう通知する(S404)。
【0063】
次に、第1無線LANアクセスポイント100は、この通知を受け取ると、通信設定情報J1を第2無線LANアクセスポイント200に送信し伝達する(S405)。
【0064】
次に、第2無線LANアクセスポイント200は、通信設定情報J1を受け取ると、通信設定情報J1を第1通信設定情報記憶部205a1に記憶する(S406)。
【0065】
次に、第1無線LANアクセスポイント100に記憶されている端末81の固有識別情報Id1を、第1無線LANアクセスポイント100から第2無線LANアクセスポイント200に送信し伝達する(S407)。
【0066】
次に、第2無線LANアクセスポイント200は、この固有識別情報Id1を固有識別情報記憶部205bに記憶する(S408)。
【0067】
次に、第2無線LANアクセスポイント200は、端末81からの情報を取得するため、制御部202によりクライアントモードCmからアクセスポイントモードApに切り替わる(S409)。これにより、通信設定情報と固有識別情報の引継が完了する。
【0068】
続いて、通信設定情報J1と固有識別情報Id1の引き継ぎが完了した後の、無線LANアクセスポイントと端末の接続確立の手順について説明する。
【0069】
先ず、パッシブスキャン方式での接続確立の手順について図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントと端末のパッシブスキャン方式での接続確立の手順を例示するシーケンス図である。
【0070】
図5においては、第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200と第1無線LANアクセスポイント(既存の無線LANアクセスポイント)100の動作を別々に表している。
【0071】
なお、第1無線LANアクセスポイント100と第2無線LANアクセスポイント200の動作は、後述のS503a、S503bまでは同じなので、無線LANアクセスポイントとして説明する。
【0072】
図5に示すように、無線LANアクセスポイントは、Beaconを一定間隔でブロードキャストしている状態である(S500a、S500b)。
【0073】
次に、端末81は、Beaconをもとに、端末81自身のSSIDと一致しているかを確認する。一致していた場合、Authenticationを無線LANアクセスポイントに送信する(S501a、S501b)。
【0074】
次に、無線LANアクセスポイントは、端末81からAuthenticationを受け取ると、このAuthentication信号に含まれる固有識別情報Id2を取得して固有識別情報Id2内の送信元のMACアドレスを取得する(S502a、S502b)。
【0075】
次に、固有識別情報Id2内の送信元のMACアドレスと、無線LANアクセスポイントの固有識別情報記憶部、例えば第2無線LANアクセスポイントでは固有識別情報記憶部205bに記憶されている固有識別情報Id1内のMACアドレスとを照合する(S503a、S503b)。
【0076】
固有識別情報のMACアドレスの照合が一致していると判定した場合、この信号の送信元の端末は引き継いだ端末であるということが、第1無線LANアクセスポイント100、第2無線LANアクセスポイント200の双方で識別できる。
【0077】
そして、固有識別情報Id1は、第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200に引継がれた情報であると判断できる。このため、判定が一致した固有識別情報のMACアドレスを有する端末に対するAuthenticationは、第2無線LANアクセスポイント200が返信する。判定が一致した固有識別情報のMACアドレスを有する端末と第2無線LANアクセスポイント200との間の通信を、通信設定情報J1に基づいて確立する(S504b)。
【0078】
一方、この端末と第1無線LANアクセスポイント(既存の無線LANアクセスポイント)100との間の通信は、それ以降の接続手順を行わない(S504a)。すなわち、この端末と第1無線LANアクセスポイント100との間の通信は行わない。
【0079】
また、固有識別情報の照合が不一致であると判定した場合、この信号の送信元の端末は、新しく第1無線LANアクセスポイントへ接続しようとしている端末であると判断できる。このため、判定が不一致である、例えばMACアドレス等の固有識別情報を有する端末に対するAuthenticationは、第1無線LANアクセスポイント100が返信する。この端末と第1無線LANアクセスポイント100との間の通信を、通信設定情報J1に基づいて確立する(S505a)。
【0080】
一方、この端末と第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200との間の通信は、それ以降の接続手順を行わない(S505b)。
【0081】
なお、無線LANアクセスポイントから端末へAuthenticationを返信した後の通信の確立手順は、前述したとおりの手順のため、説明は省略する。
【0082】
次に、アクティブスキャン方式での接続確立の手順について図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態2にかかる無線LANアクセスポイントと端末のアクティブスキャン方式での接続確立の手順を例示するシーケンス図である。
【0083】
図6においても図5と同様に、第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200と第1無線LANアクセスポイント(既存の無線LANアクセスポイント)100の動作を別々に表している。
【0084】
なお、第1無線LANアクセスポイント100と第2無線LANアクセスポイント200の動作は、後述のS603a、S603bまでは同じなので、無線LANアクセスポイントとして説明する。
【0085】
図6に示すように、アクティブスキャン方式では端末81が無線LANアクセスポイントにProbe RequestをBroadcast信号として送信する(S600a、S600b)。Probe Requestは、端末81が保有する端末通信設定情報MJを含む。端末通信設定情報MJは、例えば、SSID、認証方式、暗号化方式及び暗号化キーのいずれかの情報を含む。
【0086】
次に、このProbe Rrequestを受信した無線LANアクセスポイントは、Probe Requestに含まれるSSIDが、無線LANアクセスポイント自身のSSIDと一致しているかを確認する(S601a、S601b)。
【0087】
SSIDが一致した場合、無線LANアクセスポイントは、Probe Requestに含まれる固有識別情報Id2内の送信元のMACアドレスを取得する(S602a、S602b)
【0088】
次に、固有識別情報Id2内の送信元のMACアドレスと、無線LANアクセスポイント自身の固有識別情報記憶部に記憶または保存されている固有識別情報Id1内のMACアドレスとを照合する(S603a、S603b)。
【0089】
この照合が一致した場合、第2無線LANアクセスポイント200は、Probe Response信号を端末81に返信する(S604b)。一方、第1無線LANアクセスポイント100は、それ以降の接続手順を行わない(S604a)。
【0090】
照合が不一致だった場合、第1無線LANアクセスポイント100は、端末81へProbe Requestを返信する(S605a)。一方、第2無線LANアクセスポイント200は、それ以降の接続手順を行わない(S605b)。
【0091】
無線LANアクセスポイントから端末へProbe Requestを返信した後の手順は、前述したとおりの手順のため、説明は省略する。
【0092】
通信設定情報を引き継いだ後、固有識別情報Id1とId2とを照合し、端末がどの無線LANアクセスポイントと接続すればよいかを判断する。これにより、端末が、新規又は既存のどちらの無線LANアクセスポイントにも接続可能となってしまうという通信の不具合の発生を防止する。
【0093】
このような手順により、無線LANアクセスポイントを置き換えする際、既存の無線LANアクセスポイントと新規の無線LANアクセスポイントの設定が同じになっても、端末の接続先を固定でき、通信の不具合が発生する可能性を低減できる。
【0094】
その結果、通信装置の置き換えの際、通信を引き継ぎ可能な通信システム、通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0095】
なお、既存の無線LANアクセスポイント(第1無線LANアクセスポイント)100と新規の無線LANアクセスポイント(第2無線LANアクセスポイント)200との間の距離が離れている場合、無線LANアクセスポイントは、固有識別情報Idによる端末の接続可否を判断せず接続可としても良い。
【0096】
例えば、無線LANアクセスポイントは定期的にその他の無線LANアクセスポイントが送信しているBeaconを監視し、自身と同じSSIDを持つ無線LANアクセスポイントがないと判断できた場合、固有識別情報Idによる接続判断の処理を停止するとしても良い。
【0097】
また、実施の形態2においては、無線LANアクセスポイントを例に挙げて説明したが、これには限定されない。中継器やモバイルルータなどでも良い。
【0098】
[実施の形態3]
次に、実施の形態3について説明する。
図7は、実施の形態3にかかる通信システムを例示するブロック図である。
【0099】
図7に示すように、第2無線LANアクセスポイント200は、第1無線LANアクセスポイント100に接続していた端末81に加えて、新しく第2無線LANアクセスポイント200と接続を確立したい端末91と接続することがある。
【0100】
この場合、端末91の固有識別情報を照合すると不一致となる。第2無線LANアクセスポイント200は、初期の段階で予め設定され保有された通信設定情報J1とは別の通信設定情報J2に基づいて、不一致である固有識別情報を保有する端末91との間で通信の接続を確立して通信を行う。
【0101】
すなわち、第2無線LANアクセスポイント(新規の無線LANアクセスポイント)200は、引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報Id2を取得するとともに、取得した固有識別情報Id2と、引継情報に含まれる固有識別情報Id1とを比較する。この比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報J1とは別の通信設定情報J2に基づいて通信を確立する。
【0102】
このようにして、パッシブスキャン方式、アクティブスキャン方式ともに通信の接続確立手順の中で、 第1無線LANアクセスポイント100及び第2無線LANアクセスポイント200のそれぞれが、端末との接続手順を続行するかを判断する。このため、第1無線LANアクセスポイント100に接続していた端末を、第2無線LANアクセスポイント200に接続させることが可能となる。
【0103】
このように、実施の形態3によっても、通信装置の置き換えの際、通信を引き継ぎ可能な通信システム、通信装置及び通信方法を提供することができる。
[実施の形態4]
次に、実施の形態4について説明する。
図8は、実施の形態4にかかる無線LANアクセスポイントの引継方法を例示するシーケンス図である。
【0104】
図8に示すように、実施の形態4においては、端末81に、引き継ぎの機能を持たせる。
【0105】
例えば、スマートフォン等の端末81に、引き継ぎ手段のアプリケーションをインストールする(S800)。
【0106】
第1無線LANアクセスポイント100は、自身が接続したことのある端末81の固有識別情報Id1を記憶する(S801)。
【0107】
次に、端末81から第1無線LANアクセスポイント100に、第1無線LANアクセスポイント100が保有する通信設定情報J1と、端末81の固有識別情報Id1を要求する(S802)。
【0108】
次に、第1無線LANアクセスポイント100から端末81に、通信設定情報J1と固有識別情報Id1を送信して渡す(S803)。
【0109】
次に、第2無線LANアクセスポイント200と端末81で初期設定を行い、第2無線LANアクセスポイント200が端末81の固有識別情報Id2を端末81から取得して記憶する(S804)と、
【0110】
次に、端末81から第2無線LANアクセスポイント200に、第1無線LANアクセスポイント100が保有する通信設定情報J1と、第1無線LANアクセスポイント100が接続したことのある端末81の固有識別情報Id1とを渡す(S805)。
【0111】
次に、第2無線LANアクセスポイント200は、通信設定情報J1と固有識別情報Id1を記憶する(S806)。
【0112】
これ以降は、例えば、実施の形態2と同じなので省略する。このように、実施の形態4によっても、通信装置の置き換えの際、通信を引き継ぎ可能な通信システム、通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0113】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0114】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0115】
(付記1)既存の通信装置から新規の通信装置に対して、既存の通信装置の通信設定情報と、当該既存の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより引継処理を実行する通信システムであって、前記既存の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限し、前記新規の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する通信システム。
(付記2)前記新規の通信装置は、前記比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報とは別の通信設定情報に基づいて確立する、付記1に記載の通信システム。
(付記3)前記既存の通信装置及び前記新規の通信装置は、ユーザの入力に応じて、前記引継処理の実行を開始する、付記1又は2記載の通信システム。
(付記4)前記新規の通信装置は、前記既存の通信装置から引継情報を受信し、所定の記憶手段に対する格納処理が完了したことに応じて、前記引継処理を終了し、前記端末装置との通信が可能な状態に移行する、付記1〜3いずれかに記載の通信システム。
(付記5)他の通信装置との間で引継処理を実行可能な通信装置であって、前記引継処理によって他の通信装置に対して、自身の通信設定情報と、自身が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限し、前記引継処理によって、他の通信装置から他の通信装置の通信設定情報と、他の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを受信することにより、引継処理を実行した場合には、その引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するとともに、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較し、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行する通信装置。
(付記6)前記引継処理によって、他の通信装置から他の通信装置の通信設定情報と、他の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを受信することにより、引継処理を実行した場合に、前記比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報とは別の通信設定情報に基づいて確立する、付記5に記載の通信装置。
(付記7)前記通信装置は、ユーザの入力に応じて、前記引継処理の実行を開始する、付記5又は6記載の通信装置。
(付記8)前記通信装置は、前記他の通信装置から引継情報を受信し、所定の記憶手段に対する格納処理が完了したことに応じて、前記引継処理を終了し、前記端末装置との通信が可能な状態に移行する、付記5〜7いずれかに記載の通信装置。
(付記9)既存の通信装置から新規の通信装置に対して、既存の通信装置の通信設定情報と、当該既存の通信装置が過去に接続した端末装置の固有識別情報とを含む引継情報とを送信することにより引継処理を実行する通信方法であって、前記既存の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するステップと、当該取得した固有識別情報と、前記引継処理前に接続した端末装置の固有識別情報とを比較するステップと、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信を制限するステップとを実行し、前記新規の通信装置は、前記引継処理後に新たに通信を実行する場合に、周辺の端末装置より固有識別情報を取得するステップと、当該取得した固有識別情報と、前記引継情報に含まれる固有識別情報とを比較するステップと、比較の結果、固有識別情報が一致する端末装置との通信については、制限することなく、実行するステップとを実行する通信方法。
(付記10)前記新規の通信装置は、前記比較の結果が不一致である固有識別情報を保有する端末装置との間の通信を、引継情報に含まれる通信設定情報とは別の通信設定情報に基づいて確立する、付記9に記載の通信方法。
(付記11)前記既存の通信装置及び前記新規の通信装置は、ユーザの入力に応じて、前記引継処理の実行を開始する、付記9又は10記載の通信方法。
(付記12)前記既存の通信装置は、前記新規の通信装置から引継情報を受信し、所定の記憶手段に対する格納処理が完了したことに応じて、前記引継処理を終了し、前記端末装置との通信が可能な状態に移行する、付記9〜11いずれかに記載の通信方法。
【符号の説明】
【0116】
81〜83、91…端末 100…第1無線LANアクセスポイント 200…第2無線LANアクセスポイント 201…無線LANインターフェース部 202…制御部 205…記憶部 205a…通信設定情報記憶部 205a1…第1通信設定情報記憶部 205a2…第2通信設定情報記憶部 205b…固有識別情報記憶部 Ap…アクセスポイントモード Cm…クライアントモード J、J1、J2…通信設定情報 Id、Id1、Id2…固有識別情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8