(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の傾斜角度可変補助台では、基台上に配置されるアダプタ部品が電話機本体に取り付けられ、基台が設置面に接することで電話機筐体が設置される。すると、特許文献1に記載の傾斜角度可変補助台を用いる場合、基台が設置面において占める領域が、固定電話機が設置面において占める領域となるので、その面積は、インタフェース面の傾斜角にかかわらず一定となる。
【0007】
しかしながら、一般的に、電話機本体を安定して支持するために必要な面積は、インタフェース面の傾斜角に応じて異なる。すなわち、電話機本体を安定して支持するには、固定電話機が設置面において占める領域の面積は、通常、インタフェース面の傾斜角が小さい程大きくする必要がある。その一方で、設置面を有効に活用するには、固定電話機が設置面において占める領域の面積を小さくすることが望ましい。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、インタフェース面の傾斜角が調整される電話機本体を安定的に支持しつつ、固定電話機の設置面の有効活用を図ることが可能な固定電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明に係る固定電話機は、
設置面に設置される固定電話機であって、
電話機本体と、
前記電話機本体を支持する脚部とを備え、
前記電話機本体は、
ユーザ・インタフェースが設けられるインタフェース面と、
前記設置面に接する本体接地部とを有し、
前記脚部は、
前記設置面及び前記インタフェース面に平行な回転軸を中心として回転可能に前記電話機本体に取り付ける本体取付部と、
前記設置面に接する脚接地部と、
前記本体取付部と前記脚接地部との間を含んで延びる延在部とを有し、
前記設置面に垂直な方向から見て、前記回転軸に垂直な方向に位置する前記電話機本体の端部のうち、前記回転軸を挟んで前記本体接地部とは反対側の端部である後端部と前記回転軸との間の距離である第1距離と、前記脚接地部と前記回転軸との間の距離である第2距離とが
前記設置面に対する前記インタフェース面の傾斜角にかかわらず等し
く、前記回転軸は、前記本体接地部及び前記電話機本体の前記後端部を含む平面上にあり、前記設置面に対する前記インタフェース面の傾斜角にかかわらず、前記設置面に垂直な方向から見て前記本体接地部と前記電話機本体の後端部との中間に位置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インタフェース面の傾斜角が調整される電話機本体を安定的に支持しつつ、固定電話機の設置面の有効活用を図ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、前、後、上、下、左、右の方向を表す用語は、説明のために用いるのであって、本発明を限定する趣旨ではない。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る固定電話機100は、机、棚、専用台などに設置される電話機である。固定電話機100は、斜視図である
図1に示すように、電話機本体101と、2つの脚部102とを備える。以下では、「固定電話機100」、「電話機本体101」のそれぞれを単に「電話機100」、「本体101」とも表記する。
【0016】
本体101は、筐体103と、受話器104とを有する。
【0017】
筐体103は、図示しない各種の回路基板などが内部に収容される中空の部材であって、樹脂などを材料として作られる。筐体103には、接続配線105を介して受話器104が接続されている。
【0018】
筐体103は、
図1及び筐体103の左側面図である
図2に示すように、ユーザ・インタフェースが設けられるインタフェース面106と、電話機100が設置される面である設置面107に接する本体接地部108と、脚部102が取り付けられる脚取付部109とを有する。
【0019】
インタフェース面106には、ユーザが操作する複数のボタン110、ユーザが情報を閲覧するための液晶画面111、印刷された文字や記号など、電話機100のユーザとのインタフェースが設けられる面である。本実施の形態に係るインタフェース面は、例えばその中心の法線方向から見て、左右が短い略矩形をなす。
【0020】
本体接地部108は、本体101のうちの設置面107に接する部分であって、本体101の概ね下端に位置する。本実施の形態に係る本体接地部108は、左右に概ね直線状に延びており、
図2に示すように、本体101の前端よりもやや後方に位置している。
【0021】
脚取付部109は、脚部102が取り付けられる部位であって、脚部102が回転軸Oを中心として回転できるように取り付けられる。回転軸Oは、設置面107及びインタフェース面106に平行に延びる直線であって、本実施の形態では左右に延びる。
【0022】
本実施の形態では、脚取付部109は、後述するように脚部102が有する本体取付部113の軸部材が嵌合する孔を形成する。脚取付部109が形成する孔は、回転軸方向に延びる。ここで、回転軸方向とは、回転軸Oに沿った方向であり、本実施の形態では左右方向である。
【0023】
2つの脚部102は、電話機100が設置面107に設置された場合に、本体101を後方から支持する部材である。脚部102の各々は、回転軸Oを中心として回転可能に筐体103に取り付けられ、インタフェース面106とは反対の筐体背面112から後方斜め下へ向けて延びる。
【0024】
詳細には、2つの脚部102は、左右に並べて筐体103に取り付けられており、例えば、筐体103の左端近傍と右端近傍とに左右対称となる位置に取り付けられている。なお、脚部102は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。1つの場合、脚部102は、例えば筐体103の左右の中央に取り付けられるとよい。
【0025】
脚部102の各々は、本体取付部113と、脚接地部114と、延在部115とを有する。
【0026】
本体取付部113は、回転軸Oを中心として回転可能に脚部102を本体101に取り付ける部位である。本実施の形態に係る本体取付部113は、左右に延びる延柱状の軸部材であり、上述のように脚取付部109に嵌合する。
【0027】
本体取付部113と脚取付部109とは、例えば本体取付部113の周面に設けられたゴムなどの摩擦係数が大きくかつ弾性を有する部材を介して接することで、任意の角度で固定される。ここでの固定は、側方から見たインタフェース面106に対する脚部102の角度を変更することができ、かつ、電話機100を設置した場合に、側方から見たインタフェース面106に対する脚部102の角度が電話機100の重みによって変化しない程度にその角度を保持できることをいう。なお、本体取付部113と脚取付部109とを固定する方法は、ここで例示した方法に限られず、例えばネジ止めなどが採用されてもよい。
【0028】
脚接地部114は、設置面107に接する部位である。本実施の形態では、脚接地部114は曲面であり、
図2に示すように、側方から見て下へ突き出した曲線をなす。そして、脚接地部114は、側方から見た場合、設置面107と概ね点で接している。
【0029】
脚接地部114のうち、設置面107と接する点の位置は、
図3(a)〜
図6(a)に示すように、側方から見たインタフェース面106に対する脚部102の角度に応じて変化する。
図3(a)〜
図6(a)は、本体101の傾斜角が異なる状態での電話機100の左側面図である。なお、
図3(a)〜
図6(a)では、図を簡明にするため、受話器104を省略している。
【0030】
延在部115は、本体取付部113と脚接地部114との間で延びる部分である。
【0031】
本実施の形態に係る脚部102の各々は、
図2及び
図3(a)〜
図6(a)に示すように、側方から見たインタフェース面106に対する角度にかかわらず、第1距離L1と第2距離L2と第3距離L3とが等しくなる位置に設けられる。
【0032】
第1距離L1は、設置面に垂直な方向(例えば、上方)から見て、本体101の後端部116と回転軸Oとの間の前後方向の距離である。本実施の形態の前後方向は、設置面に垂直な方向から見て、回転軸Oに垂直な方向に相当する。
【0033】
本体101の後端部116は、回転軸Oに垂直な方向に位置する本体101の端部のうち、回転軸Oを挟んで本体接地部108とは反対側の端部である。言い換えると、本体101の後端部116は、回転軸方向から見て、本体接地部108から回転軸Oを通って延びる直線LN上に位置する本体101の端部である。すなわち、回転軸Oは、本体接地部108及び本体101の後端部116を含む平面上にある。
【0034】
第2距離L2は、設置面に垂直な方向から見て、脚接地部114と回転軸Oとの間の前後方向の距離である。詳細には、本実施の形態では脚接地部114は上述の通り、回転軸方向から見て長さを有する曲線を形成するところ、第2距離L2は、設置面に垂直な方向から見て、脚接地部114の後端部Eと回転軸Oとの間の距離である。
【0035】
第3距離L3は、設置面107に垂直な方向から見て、本体接地部108と回転軸Oとの間の前後方向の距離である。
【0036】
ここで上述の通り、回転軸Oは、本体接地部108及び本体101の後端部116を含む平面上にあり、かつ、第1距離L1と第3距離L3が等しい。このことは、回転軸Oが、本体接地部108及び本体101の後端部116を含む平面上にあり、かつ、設置面107に垂直な方向と回転軸方向とのいずれから見ても、本体接地部108と本体101の後端部116との中間に位置することを意味する。
【0037】
これまで、本発明の一実施の形態に係る電話機100の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る電話機100の動作について、
図3〜
図7を参照して説明する。
【0038】
図3(a)〜
図6(a)は、上述の通り、本体101の傾斜角が異なる状態での、受話器104を図示省略した電話機100の左側面図である。
図3(b)〜
図6(b)は、それぞれ、
図3(a)〜
図6(a)に示す各状態で左方から見た電話機100をモデル化した図である。
【0039】
本体101の傾斜角は、設置面107に対するインタフェース面106の傾斜角に相当するところ、この傾斜角は、例えば、側方から見たインタフェース面106に対する脚部102の角度、設置面107に対する直線LNの角度θに対応づけることができる。
【0040】
図3〜
図6に示す電話機100の状態は、それぞれ、左方から見て設置面107に対する直線LNの角度θがα(度)、β(度)、γ(度)、δ(度)である状態である。
【0041】
角度θがα(度)である場合、
図3に示すように、本体101の後端部116、回転軸O、脚接地部114の後端部E、本体接地部108、直線LNのそれぞれを、後端部116_α、回転軸O_α、後端部E_α、本体接地部108_α、直線LN_αとする。この場合の、第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3のそれぞれを、L1_α、L2_α、L3_αとすると、L1_α、L2_α、L3_αは、等しい。
【0042】
すなわち、L1_α、L2_αが等しく、かつ、回転軸O_αは、本体接地部108_α及び本体101の後端部116_αを含む平面上にあり、設置面107に垂直な方向から見て本体接地部108_αと本体101の後端部116_αとの中間に位置する。
【0043】
角度θがβ(度)である場合、
図4に示すように、本体101の後端部116、回転軸O、脚接地部114の後端部E、本体接地部108、直線LNのそれぞれを、後端部116_β、回転軸O_β、後端部E_β、本体接地部108_β、直線LN_βとする。この場合の、第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3のそれぞれを、L1_β、L2_β、L3_βとすると、L1_β、L2_β、L3_βは、等しい。
【0044】
すなわち、L1_β、L2_βが等しく、かつ、回転軸O_βは、本体接地部108_β及び本体101の後端部116_βを含む平面上にあり、設置面107に垂直な方向から見て本体接地部108_βと本体101の後端部116_βとの中間に位置する。
【0045】
角度θがγ(度)である場合、
図5に示すように、本体101の後端部116、回転軸O、脚接地部114の後端部E、本体接地部108、直線LNのそれぞれを、後端部116_γ、回転軸O_γ、後端部E_γ、本体接地部108_γ、直線LN_γとする。この場合の、第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3のそれぞれを、L1_γ、L2_γ、L3_γとすると、L1_γ、L2_γ、L3_γは、等しい。
【0046】
すなわち、L1_γ、L2_γが等しく、かつ、回転軸O_γは、本体接地部108_γ及び本体101の後端部116_γを含む平面上にあり、設置面107に垂直な方向から見て本体接地部108_γと本体101の後端部116_γとの中間に位置する。
【0047】
角度θがδ(度)である場合、
図6に示すように、本体101の後端部116、回転軸O、脚接地部114の後端部E、本体接地部108、直線LNのそれぞれを、後端部116_δ、回転軸O_δ、後端部E_δ、本体接地部108_δ、直線LN_δとする。この場合の、第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3のそれぞれを、L1_δ、L2_δ、L3_δとすると、L1_δ、L2_δ、L3_δは、等しい。
【0048】
すなわち、L1_δ、L2_δが等しく、かつ、回転軸O_δは、本体接地部108_δ及び本体101の後端部116_δを含む平面上にあり、設置面107に垂直な方向から見て本体接地部108_δと本体101の後端部116_δとの中間に位置する。
【0049】
これまで説明したように、本実施の形態では、電話機100を回転軸方向から見て、設置面107に対する直線LNの角度θにかかわらず、言い換えると、設置面107に対するインタフェース面106の傾斜角にかかわらず、L1とL2の長さが等しい。また、設置面107に対するインタフェース面106の傾斜角にかかわらず、回転軸Oは、本体接地部108及び本体101の後端部116を含む平面上にあり、設置面107に垂直な方向から見て本体接地部108と本体101の後端部116との中間に位置する。
【0050】
これにより、
図7に示すように、設置面107に対するインタフェース面106の傾斜角にかかわらず、設置面107に垂直な方向から見て、本体101の後端部116と脚接地部114の後端部Eとが同じ位置に位置付けられる。
【0051】
そのため、設置面107に垂直な方向から見て、脚接地部114の後端部Eが、本体101の後端部116よりも前方に位置する場合よりも、本体接地部108と脚接地部114の後端部Eとの間の距離を長くすることができる。従って、インタフェース面106の傾斜角が調整される本体101を安定的に支持することが可能になる。
【0052】
また、設置面107に垂直な方向から見て、脚接地部114の後端部Eが、本体101の後端部116よりも後方に位置する場合よりも、電話機100が設置面107において占める領域の面積を小さくすることができる。従って、インタフェース面106の傾斜角が調整される電話機100の設置面107の有効活用を図ることが可能になる。
【0053】
このように、本実施の形態に係る電話機100によれば、インタフェース面106の傾斜角が調整される本体101を安定的に支持しつつ、電話機100の設置面107の有効活用を図ることが可能になる。
【0054】
例えば
図2〜7に示すように、電話機100は、しばしば、設置面107に垂直な壁Wに付けて配置されることがある。
図7は、各状態の比較を容易にするため、
図3(b)〜
図6(b)を1つにまとめて表した図である。
【0055】
仮に、設置面107に垂直な方向から見て、脚接地部114の後端部Eが、本体101の後端部116よりも前方に位置する場合、本体101の後端部116を壁Wに接触させて電話機100を設置することができる。しかしながら、本体接地部108と脚接地部114の後端部Eとの間の距離が、本実施の形態に係る電話機100よりも短くなる。そのため、本実施の形態に係る電話機100よりも安定性が悪くなる。
【0056】
また、仮に、設置面107に垂直な方向から見て、脚接地部114の後端部Eが、本体101の後端部116よりも後方に位置する場合、本体101の後端部116を壁Wに接触させて電話機100を設置することができない。本体101の後端部116と壁Wとの間にすき間ができる分、本体接地部108が前方へ位置づけられる。そのため、本実施の形態に係る電話機100よりも設置面107を占める領域の面積が大きくなる。
【0057】
本実施の形態に係る電話機100によれば、本体101の後端部116を壁Wに接触させながら、本体接地部108と脚接地部114の後端部Eとの間の距離を可能な限り長くすることができる。従って、インタフェース面106の傾斜角が調整される本体101を安定的に支持しつつ、電話機100の設置面の有効活用を図ることが可能になる。
【0058】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本実施の形態は、以下のように変形されてもよい。
【0059】
(変形例)
延在部115が、その長さを調整するための長さ調整機構を含んでもよい。長さ調整機構によって、設置面107に対する直線LNの角度θに応じて、延在部115の長さを調整することで、設置面107に対するインタフェース面106の傾斜角にかかわらず、L1とL2の長さを等しくすることができる。これにより、設置面107に垂直な方向から見て、本体101の後端部116と脚接地部114の後端部Eとが同じ位置に位置付けられる。
【0060】
従って、この変形例によっても実施の形態と同様に、インタフェース面106の傾斜角が調整される本体101を安定的に支持しつつ、電話機100の設置面の有効活用を図ることが可能になる。
【0061】
以上、本発明の一実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、これらに限られない。例えば、本発明は、これまで説明した実施の形態及び変形例の一部又は全部を適宜組み合わせた形態、その形態に適宜変更を加えた形態をも含む。