特許第6366119号(P6366119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366119
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】捕虫器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20180723BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   A01M1/10 A
   A01M1/02 P
   A01M1/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-562340(P2016-562340)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(86)【国際出願番号】JP2015079361
(87)【国際公開番号】WO2016088458
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】特願2014-261226(P2014-261226)
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598084600
【氏名又は名称】四国ケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井川 茂樹
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−538286(JP,A)
【文献】 特開2014−117274(JP,A)
【文献】 実開昭54−101182(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化する際に発熱する鉄粉を含む発熱性の粉体が通気性のある内袋に封入された構造とされた発熱体と、
複数の板状体を積層して構成され、害虫の進入経路となる隙間を有し、内部には前記発熱体を収納する収納空間が設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体及び前記内袋は、生分解性を有する素材によって構成され
前記積層体は複数枚の段ボールシートが積層された構造とされており、
前記段ボールシートは、平行に延びる複数の前記隙間を有する構造とされ、
前記段ボールシートの端面には、前記隙間への入口が開口し、
前記積層体中において隣接する位置にある前記段ボールシートは、それぞれに設けられた前記隙間の延びる方向が、前記段ボールシートの積層方向から見て互いに交差する方向に向けられている、捕虫器。
【請求項2】
請求項に記載の捕虫器であって、
前記積層体にはホウ酸が担持されている捕虫器。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の捕虫器であって、
隣接する位置にある前記板状体は、にかわで接着されている捕虫器。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の捕虫器であって、
前記積層体にはリモネンを含有する誘引剤が担持されている捕虫器。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の捕虫器であって、
前記内袋は、セロハンを基材とするフィルム材によって構成されている捕虫器。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の捕虫器であって、
前記積層体は、植物性のインクによって黒色に着色されている捕虫器。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の捕虫器であって、
気密性のある外袋に封入されている捕虫器。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の捕虫器であって、
前記積層体には開口部が設けられ、前記開口部において前記発熱体の一部が露出している捕虫器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2014年12月5日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願番号第2014−261226号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2014−261226号の全内容を参照により本国際出願に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は捕虫器に関する。
【背景技術】
【0003】
ワクモ、トリサシダニなどは、鶏などを吸血する害虫である。養鶏業界において、これらの害虫による貧血や吸血ストレスによる飼料摂取量の減少及び産卵率の低下などが問題となっている。その対策として、鶏舎内に高温のスチームを噴射することが行われている。あるいは、殺虫剤などの薬剤を散布することが行われている。また、特許文献1には、ダニなどの害虫を捕獲可能な捕虫器が記載されている。このような捕虫器を使用すれば、ダニなどの害虫を捕獲することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−108607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載の捕虫器の場合、ダニの他、アリやゴキブリなども捕獲対象として想定されている。そのため、相応に大きな虫が侵入できるような構造になっている。具体的には、複数の床板が配置され、それらの床板間には上下方向に十分に大きな空間が確保されている。また、それらの床板を支えるために壁材等も設けられている。したがって、このような捕虫器を製造する際には、複雑な形状に切り出された部品が必要となり、また、部品点数が過度に多くなる。よって、捕虫器の製造に手間がかかる、という問題を招く。また、特許文献1には、使用後の捕虫器をどのように処分するのかについては、特に説明がない。
【0006】
本開示の一側面は、簡便に製造することができる捕虫器を提供することである。また、本開示の別の側面は、使用後の処理が簡便である捕虫器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、捕虫器であって、発熱体と積層体を備える。発熱体は、酸化する際に発熱する鉄粉を含む発熱性の粉体が通気性のある内袋に封入された構造とされる。積層体は、複数の板状体を積層して構成される。積層体は、害虫の進入経路となる隙間を有する。積層体の内部には発熱体を収納する収納空間が設けられている。また、積層体及び内袋は、生分解性を有する素材によって構成されている。
【0008】
このような捕虫器であれば、複数の板状体を積層することによって捕虫器を製造することができる。したがって、例えば、複数の床板間に間隔を設けて、それらの床板を壁面で支えるような複雑な構造とされた捕虫器に比べ、捕虫器の製造に必要な部品の形状が簡素化され、部品点数を削減しやすくなる。その結果、捕虫器を簡単かつ容易に製造可能な構造にすることができる。
【0009】
また、このような捕虫器において、積層体及び内袋は生分解性を有する素材、つまり、微生物によって分解される素材によって構成されている。そのため、このような捕虫器であれば、産業廃棄物として業者に処分を依頼しなくても、例えば、適宜破砕して土壌に埋める、といった手法で廃棄することが可能となる。特に、養鶏業では、鶏舎から大量に鶏糞が回収されるため、その鶏糞を鶏糞処理施設において肥料に加工することが行われている。鶏糞処理施設においては、鶏糞を攪拌機で攪拌することにより、鶏糞の発酵を促し、鶏糞を肥料化している。
【0010】
このような攪拌機を利用している場合には、捕虫器を攪拌機へ投入することにより、攪拌機を利用して捕虫器を破砕するとともに、その破砕物を鶏糞と混合して、破砕物の生分解を促すことができる。また、捕虫器が備える発熱性の粉体には鉄粉が含まれているため、捕虫器の破砕物と鶏糞とを混合すると、鶏糞を単独で肥料化する場合に比べ、肥料中の鉄分が増大する。したがって、使用済みの捕虫器を利用して、鉄分を必要とする農作物に対して施用するのに好適な肥料を製造することができる。さらに、鉄は、アンモニア、硫化水素、トリメチルアミンなどの悪臭の原因となる物質を吸着するため、鶏糞を処理する過程で発生する悪臭を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態の捕虫器を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の捕虫器の内部構造を示す分解図である。
図3図3は、第2実施形態の捕虫器を示す斜視図である。
図4図4は、第2実施形態の捕虫器の内部構造を示す分解図である。
図5図5は、他の実施形態の捕虫器を示す斜視図である。
図6図6は、さらに他の実施形態の捕虫器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
1…捕虫器、2,3,4…段ボールシート、5…発熱体、5A…内袋、5B…粉体、6…外袋、7…にかわ、8…積層体、10…捕虫器、12,13,14…段ボールシート、31…捕虫器、32,33,34,35,36…段ボールシート、37…積層体、50…開口部、51…捕虫器、52,53,54…段ボールシート、58…積層体
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1及び図2に示す捕虫器1は、積層体8と、積層体8の内部に配置された発熱体5とを備える。また、捕虫器1は、気密性のある外袋6に封入されている。
【0014】
積層体8は、3枚の長方形の段ボールシート2,3,4(本明細書でいう板状体の一例に相当。)が積層された構造とされている。段ボールシート2,3,4は、一般的によく知られているものであり、波状加工された中芯材と、中芯材を挟む両側に貼り合わせられた2つのライナーから構成されている。なお、段ボールシート2,3,4は中芯材と1つのライナーから構成されたもの(片面段ボールと呼ばれるもの。)であってもよい。
【0015】
段ボールシート2,3,4は、生分解性の高いものが採用されている。具体的には、段ボールシート2,3,4としては、古紙100%のものが利用されている。このような段ボールシート2,3,4を利用すれば、パルプ配合率がより高い段ボールを利用する場合に比べ、段ボールシート2,3,4の生分解性が高くなる。また、段ボールシート2,3,4としては、坪量が100gのものが使用されている。坪量とは、面積1平方メートル当たりの紙の重さを表す単位である。このような段ボールシート2,3,4を利用すれば、坪量がより大きい(重い)段ボールを利用する場合に比べ、段ボールシート2,3,4の生分解性が高くなる。
【0016】
3枚の段ボールシート2,3,4のうち、真ん中の段ボールシート4は、中央あたりが切り抜かれて長方形の孔が設けられている。この段ボールシート4を2枚の段ボールシート2,3で挟み込むことにより、発熱体5を収納できる収納空間が設けられている。
【0017】
段ボールシート2,3,4は、にかわ7で接着されている。なお、図2で示すように、段ボールシート2,4の間において、にかわ7は4箇所に塗布されている。また、段ボールシート3,4の間において、にかわ7は4箇所に塗布されている。段ボールシート2,3,4において、中芯材とライナーは、平行に延びる複数の隙間を構成している。複数の隙間の入り口は、段ボールシート2,3,4の波状に見える端面において、外部に開口している。積層体8中において隣接する位置にある段ボールシート2,4は、それぞれに設けられた隙間の延びる方向が、段ボールシート2,4の積層方向から見て互いに直交する方向に向けられている。また、同じく隣接する位置にある段ボールシート3,4も、それぞれに設けられた隙間の延びる方向が、段ボールシート3,4の積層方向から見て互いに直交する方向に向けられている。
【0018】
段ボールシート2,3,4には、害虫に対して毒性のあるホウ酸が担持されている。具体的には、本実施形態の場合、ホウ酸の溶液をスプレーで吹き付けてから乾燥させてあり、これにより、主に段ボールシート2,3,4の表面にホウ酸が担持されている。ただし、段ボールシート2,3,4にホウ酸を担持させる方法は、これに限定されるものではない。例えば、ホウ酸の溶液をスプレーで吹き付ける代わりに、ホウ酸の溶液中に段ボールシート2,3,4を浸漬して、段ボールシート2,3,4にホウ酸の溶液を浸み込ませてもよいし、ホウ酸の溶液を刷毛などで段ボールシート2,3,4に塗布してもよい。
【0019】
また、段ボールシート2,3,4には、害虫の誘引剤としてリモネンを含有する誘引剤が担持されている。具体的には、本実施形態の場合、リモネンを含有するオレンジオイル、レモンオイル又はライムオイルなどの柑橘系の精油を、段ボールシート2,3,4に塗布してある。柑橘系の精油を塗布する箇所は発熱体5に近い位置であるとリモネンの放散を促すことができるので好ましい。本実施形態では、段ボールシート4に設けられた長方形の孔を構成する4つの内周面それぞれに前述の誘引剤(柑橘系の精油)を1滴ずつ(計4滴)滴下してある。
【0020】
発熱体5は、図2で示すように、通気性のある内袋5Aと、内袋5Aに封入された発熱性の粉体5Bと、を備える。なお、図2では、内袋5Aの内部の発熱性の粉体5Bを図示するために、内袋5Aの一部を破断してある。内袋5Aはセロハンを基材とするフィルム材によって構成されている。発熱性の粉体5Bは、酸化する際に発熱する還元鉄粉を含有する。
【0021】
以上のように構成された捕虫器1は、使用時に外袋6が開封されて、例えば鶏舎内の必要箇所に設置される。外袋6が開封された後は、発熱体5が空気にさらされるため、空気中の酸素によって発熱性の粉体5Bに含まれる還元鉄粉が酸化し、発熱体5が発熱する。発熱性の粉体5B中に含まれる成分は、40〜45℃の温度を、24時間以上維持できるように、各成分の配合比や還元鉄粉の量などが調整されている。
【0022】
発熱体5が発熱すると、捕虫器1の内部や周辺の温度が上昇し、そのような環境を好む害虫が捕虫器1に集まる。ワクモやトリサシダニのようなダニ類は狭い隙間や暗い環境を好むため、段ボールシート2,3,4の端面にある複数の隙間から、段ボールシート2,3,4の内部へと進入する。また、段ボールシート2と段ボールシート4との間や、段ボールシート3と段ボールシート4との間にも隙間があるため、この隙間にも害虫が進入する。また、本実施形態の場合、発熱体5が発熱すると、リモネンやにかわに含まれる成分が捕虫器1の外部へと放散するため、そのような成分を好む害虫が集まりやすくなる。
【0023】
捕虫器1は、鶏舎内に例えば半日〜5日程度設置された後に、回収、処分される。これにより、鶏舎内の害虫が駆除される。回収された捕虫器1は、廃棄することや焼却することなどもできるが、鶏糞肥料の原料として利用することもできる。具体的には、鶏糞処理施設において鶏糞を肥料化する際には、鶏糞を攪拌機で攪拌して鶏糞の発酵を促し、肥料化することが行われている。そこで、回収した捕虫器1を攪拌機へ投入することにより、攪拌機で捕虫器1を破砕し、その破砕物を鶏糞と混合して肥料化する。
【0024】
このようにして肥料化された混合物中には、段ボールシート2,3,4や内袋5Aの破砕物が含まれているが、これらはいずれも生分解性の高い材料でできているので、肥料化する際、もしくは肥料として施用された土壌中において生分解され、土に還すことができる。また、発熱性の粉体5Bも、そのまま土壌中に混ざることで土に還る。特に、発熱性の粉体5B中に含まれる酸化した鉄粉は、鉄分を好む植物に対する肥料となる。
【0025】
[1−2.捕虫器の性能評価]
本実施形態で説明した捕虫器1の性能を、次の方法によって評価した。
捕虫器1を鶏舎に設置し、ワクモなどのダニ類をどの程度捕獲できるのかを調べた。具体的には、鶏舎内には、鶏を飼育するためのケージが設置された段が3段あり、各段に複数のケージが並べられている。そこで、各段の上に捕虫器1を設置し、1日又は4日経過した後に捕虫器1を取り出して、捕虫器1の重量を測定し、重量の増加分に基づいてワクモの捕獲量を推定した。なお、捕獲されたワクモ1gを秤量して、その中に含まれるワクモの数を数えたところ、16200匹であった。そのため、本実施形態では、測定された重量1gをワクモ16200匹と換算した。
【0026】
また、比較のため、段ボールシートのみから構成された捕虫器(以下、対照捕虫器と称する)も用意した。対照捕虫器で使用された段ボールシートは、本実施形態の捕虫器1の段ボールシート2,3,4と同じ素材かつ同じ形状のものである。ただし、対照捕虫器には、発熱体5が設けられていない。また、対照捕虫器には、ホウ酸、及びリモネンを含有する誘引剤が担持されていない。また、対照捕虫器の3枚の段ボールシートは、にかわで接着されておらず、単に重ねられた状態になっている。このような対象捕虫器も、上述の捕虫器1と同様の条件で鶏舎内に設置して、同様の日数が経過した後に重量を測定した。これらの結果を以下の表1及び表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
以上の結果から、本実施形態の捕虫器1を利用すれば、対象捕虫器を利用する場合よりも、設置日数1日の場合、4.7倍、設置日数4日の場合、6.8倍多くのワクモを捕獲できることがわかる。
【0030】
[1−3.効果]
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態の捕虫器1は、3枚の段ボールシート2,3,4が積層された構造とされている。そのため、前述した特許文献1に記載の捕虫器に比べ、容易に薄型化を図ることができ、鶏舎内に設置されたケージ間の狭い設置スペースやケージの上下にある狭い設置スペースなどにも容易に設置することができる。また、使用前の捕虫器1を保管する際にも、本実施形態の捕虫器1であれば、特許文献1に記載の捕虫器ほどかさばらないので、容易に保管することができる。
【0031】
(1b)本実施形態の捕虫器1において、段ボールシート2,3,4は、平行に延びる複数の隙間を有する構造とされ、段ボールシート2,3,4の端面には、隙間への入口が開口している。このような構成によれば、段ボールシートが有する複数の隙間を利用して害虫の進入路を構成することができる。したがって、段ボールシート以外の材料で捕虫器を構成する場合に比べ、容易に害虫の進入路を設けるができる。
【0032】
また、本実施形態の捕虫器1の場合、積層体8中において段ボールシート2,4は、それぞれに設けられた隙間の延びる方向が、段ボールシート2,4の積層方向から見て互いに直交する方向に向けられている。段ボールシート3,4に関しても同様である。したがって、このような捕虫器1を用いれば、四方から進入してくる害虫を捕獲することができる。
【0033】
(1c)本実施形態の捕虫器1の場合、積層体8に、害虫に対して毒性のあるホウ酸が担持されている。したがって、捕虫器1に進入してきた害虫を殺すことができる。
(1d)本実施形態の捕虫器1の場合、隣接する位置にある段ボールシート2,3,4は、にかわ7で接着されている。そのため、生分解性の低い合成樹脂が使われている接着剤とは異なり、鶏糞処理施設にて鶏糞と共に捕虫器1を処理して肥料化することができる
また、にかわ7には、接着剤としての機能の他、害虫を誘引する作用もある。したがって、にかわ7を接着剤として用いれば、他の接着剤を用いた場合よりも、害虫が誘引されやすくなり、より多くの害虫を捕獲できるようになる。
【0034】
(1e)本実施形態の捕虫器1の場合、積層体8に、リモネンを含有する誘引剤が担持されている。したがって、リモネンの作用によって害虫を誘引することができるので、リモネンを含有する誘引剤が担持されていない場合に比べ、より多くの害虫を捕獲することができる。
【0035】
(1f)本実施形態の捕虫器1の場合では、内袋5Aは、セロハンを基材とするフィルム材によって構成されている。したがって、生分解性の低い材質の内袋が使われている場合とは異なり、鶏糞処理施設にて鶏糞と共に捕虫器1を処理して肥料化することができる。
【0036】
(1g)本実施形態の捕虫器1の場合、捕虫器1全体が気密性のある外袋6に封入されている。そのため、発熱体5そのものを気密性のある袋に封入しておかなくても、外袋6を開封しない限り、発熱体5が発熱することはない。また、捕虫器1を使用する際には、外袋6を開封するだけで、発熱体5を発熱させることができる。したがって、発熱体5そのものが気密性の袋に封入されているものとは異なり、気密性の袋に入った発熱体5をわざわざ積層体8から取り出してから袋を開封しなくても済み、簡便な作業により、捕虫器1を使用し始めることができる。
【0037】
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0038】
[2−1.構成]
図3及び図4に示す捕虫器31は、積層体37と積層体37の内部に配置された発熱体5とを備える。
【0039】
積層体37は、5枚の正方形の段ボールシート32,33,34,35,36が積層された構造とされている。
5枚の段ボールシート32,33,34,35,36のうち、積層体の最表層の位置にある2枚の段ボールシート32,36に挟まれた段ボールシート33,34,35は、それぞれに中央あたりが切り抜かれて正方形の孔が設けられている。これらの段ボールシート33,34,35を2枚の段ボールシート32,36で挟むことにより、発熱体5を収納できる収納空間が設けられている。
【0040】
[2−2.効果]
(2a)第2実施形態の捕虫器31は、5枚の段ボールシート32,33,34,35,36が積層された構造とされている。そのため、第1実施形態の捕虫器1に比べ、捕虫器31は、害虫の入り口となる隙間が多く開口している。したがって、このような捕虫器31を用いれば、捕虫器31よりも少ない数の段ボールシートを積層して構造される捕虫器よりも、害虫は捕虫器31に進入しやすくなる。
【0041】
(2b)第2実施形態の捕虫器31は、3枚の段ボールシート33,34,35が切り抜かれて発熱体5の収納空間が設けられている。そのため、第1実施形態の捕虫器1に比べ、捕虫器31はより広い収納空間を設けることができる。したがって、捕虫器31は、捕虫器1の収納空間に収納される発熱体5のサイズよりも大きいサイズの発熱体5を収納することができ、発熱時間がより長時間維持することができる。
【0042】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0043】
(3a)上記実施形態では、積層体として、3枚の段ボールシート2,3,4及び5枚の段ボールシート32,33,34,35,36が積層される例を示したが、3枚及び5枚に限らず何枚の段ボールシートを積層してもよい。
【0044】
(3b)上記実施形態では、生分解性のある板状体として、段ボールシート2,3,4,32,33,34,35,36の例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、段ボールシートと同等又は類似の板状体を生分解性プラスチックなどで構成してもよい。ただし、段ボールシート以外の板状体を採用する場合でも、板状体には害虫の進入経路となる隙間が設けられていると好ましい。あるいは、板状体自体には隙間が設けられていなくても、隣り合う位置に積層される板状体間に隙間が設けられていれば、そのような積層体であってもよい。なお、積層体に設けられる隙間の寸法は0.1〜10mmがよく、特に0.5〜5mmが好ましい。
【0045】
(3c)上記第1実施形態では、板状体の配置として、隣接する位置にある段ボールシート2,4は、それぞれに設けられた隙間の延びる方向が、段ボールシート2,4の積層方向から見て互いに直交する方向に向けられている例を示した。また、同じく隣接する位置にある段ボールシート3,4も、それぞれに設けられた隙間の延びる方向が、段ボールシート3,4の積層方向から見て互いに直交する方向に向けられている例を示した。上記第2実施形態においても、同様である。しかし、板状体の配置は直交する方向に限定されるものではない。例えば、図5に示す捕虫器10ように、隣接する位置にある段ボールシート12,13,14は、それぞれに設けられた隙間の延びる方向が、段ボールシートの積層方向から見て互いに平行な方向に向けられていてもよい。
【0046】
(3d)上記実施形態では、接着剤として、にかわ7を用いた例を示したが、接着剤はこれに限定されるものではなく、天然素材の接着剤でもよい。例えば、米のりを原料としたでんぷんのりなどを用いてもよい。
【0047】
(3e)上記実施形態では、にかわ7の接着箇所の数として、段ボールシート2,3,4,32,33,34,35,36の4箇所で接着する例を示したが、接着箇所の数はこれに限定されるものではない。例えば、段ボールシートの任意の1箇所又はそれ以上の箇所ににかわ7を塗布して、貼りあわせてもよい。あるいは、にかわを段ボールシート全体に薄く塗布して貼りあわせてもよい。
【0048】
また、前述したように、にかわ7には害虫を誘引する効果があるため、にかわ7を接着剤としては利用せず、単なる誘引剤として用いてもよい。
(3f)上記実施形態では、内袋がセロハンを基材とするフィルム材によって構成される例を示したが、これに限定されるものではなく、内袋は生分解性のある材料であればセロハン以外の材料で構成されてもよい。また、上記実施形態では言及しなかったが、内袋の生分解を妨げない範囲内であれば、内袋を構成するフィルム材は、基材の表面に、基材とは別材料による表面処理(例えばコーティング処理等。)が施されていてもよい。例えば、セロハンを基材とするフィルム材で内袋を構成する場合、基材(セロハン)の表面が防湿剤で表面処理されていてもよい。
【0049】
(3g)上記実施形態では、特に説明していないが、段ボールシート2,3,4,32,33,34,35,36は着色されていてもよいし、着色されていなくてもよい。段ボールシート2,3,4を着色する場合は、黒色に着色するのが好ましい。
【0050】
一般的にダニ類は黒色などの暗い色に集まりやすいと言われている。そのため、段ボールシートを黒色に着色すれば、明るい色の捕虫器よりも、ダニ類をたくさん集めることができる。また、段ボールシート2,3,4を着色する場合は、植物性のインクによって着色すると好ましい。植物性のインクを用いて着色すれば、捕虫器を破砕して土壌に埋めたときに、インクが土壌汚染の原因物質になるのを抑制することができる。
【0051】
(3h)上記実施形態では、捕虫器の構造として、発熱体5が積層体8又は積層体37の内部に収納されている例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、積層体に開口部が設けられ、開口部において発熱体の一部が外部に露出していてもよい。具体的には、図6に示す捕虫器51のように、3枚の段ボールシート52,53,54のうち、最も外側に位置する段ボールシート52の中央あたりに、丸い開口部50を設ける。そして、積層体58内部に収納されている発熱体5の一部を、開口部50において積層体58の外部に露出させる。
【0052】
このように構成された捕虫器51によれば、磁石を利用して捕虫器51を所定の場所に固定することができる。具体的には、例えば、鶏舎のケージの壁に磁石を備え付け、その磁石に露出した発熱体をくっつけることにより、捕虫器をケージの壁に設置することができる。
【0053】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6