(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記環境光の色温度に関する情報に基づいて作成した色補正情報に基づいて、入力される映像信号の色補正を行う映像処理部を更に備えた、請求項1または2に記載の表示装置。
前記取得段階において、前記第2検出値と前記第1検出値との差分が規定値内である場合、前記第2検出値を与える前記駆動値を前記環境光の色温度に関する情報として取得する、請求項7または8に記載の取得方法。
前記検出段階において、前記反射媒体が前記表示パネルよりも下方で水平状に保持されている状態において前記第1検出値を取得する、請求項7から9の何れか1項に記載の取得方法。
前記検出段階において、前記反射媒体が前記表示パネルの表示面に正対して保持されている状態において前記第2検出値を取得する、請求項7から10の何れか1項に記載の取得方法。
請求項7から11の何れか1項に記載の取得方法の前記取得段階において取得された前記環境光の色温度に関する情報に基づいて作成された色補正情報に基づいて、入力される映像信号の色補正を行う段階と、
前記色補正が行われた映像信号に基づいて前記表示パネルを駆動する段階と、
を含む表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本発明の実施形態の記載をもって、請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態による表示装置10の構成例を示すブロック図である。
表示装置10は、入力される映像信号Pに基づき画像(映像)を表示するための装置であり、印刷媒体に印刷された画像(印刷物の画像)の色合いを表示画面上に再現する所謂印刷エミュレータとしての機能を有している。表示装置10は、センサ部11、記憶部12、信号制御部13、画質制御部14、映像処理部15、表示制御部16、表示パネル17、表示操作入力部18、映像信号生成部19を備える。表示パネル17は、液晶表示部(LCD)171およびバックライトユニット172を備える。
本実施形態において、印刷媒体は、例えば印刷用紙である。ただし、印刷用紙に限らず、画像や文字などの任意の視覚的要素を形成することが可能であることを限度に、印刷媒体は任意の材質の媒体であり得る。従って、本実施形態による表示装置10は、印刷用紙に限らず、任意の媒体上の任意の視覚的要素を再現するエミュレータとして機能することができる。このようなエミュレータとして表示装置10が機能する観点からすれば、印刷媒体は、光を反射する性質を有する媒体(以下、反射媒体と称す。)であればよく、印刷媒体なる用語を反射媒体なる用語に置き換えてもよい。
【0015】
センサ部11は、例えばRGB表色系に適合したカラーセンサであり、入射光の赤色光成分(R)の照度を検出するための照度センサ11Rと、緑色光成分(G)の照度を検出するための照度センサ11Gと、青色光成分(B)の照度を検出するための照度センサ11Bとを備えている。センサ部11は、入射光の各色成分の照度値を示す照度信号S(R,G,B)を出力する。本実施形態では、センサ部11の入射光は、例えば、光源(図示なし)からの環境光または印刷媒体の紙面からの反射光である。
【0016】
センサ部11は、後述する
図4に例示するように、表示パネル17の周囲の下辺側に配置されている。ただし、この例に限定されず、後述する第1検出値および第2検出値を得ることができることを限度に、センサ部11は任意の位置に配置し得る。従って、センサ部11は、例えば、表示パネル17の周囲の上辺側に配置してもよく、また、表示パネル17の周囲の右辺側または左辺側に配置してもよく、また、表示パネル17の周囲のコーナーに配置してもよい。
【0017】
記憶部12は、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。本実施形態では、記憶部12には、例えば、センサ部11により検出された照度値等が記憶される。
信号制御部13は、センサ部11から出力される照度信号S(R,G,B)によって示される照度値を記憶部12に書き込むための書込み制御と、記憶部12に記憶された照度値を読み出すための読み出し制御等を実施する要素である。信号制御部13は、後述する表示操作入力部18からの指示に基づいて、記憶部12に対する上記照度値の書き込み制御および読み出し制御を実施する。信号制御部13は、記憶部12から読み出した照度値DSを画質制御部14に供給する。
【0018】
本実施形態では、上述のセンサ部11と記憶部12と信号制御部13は、入射光の照度を検出し、その照度を示す照度値DSを、後述する第1検出値(後述の基準特性値)または第2検出値(後述の観測値)として取得する検出部を構成する。本実施形態では、上記検出部は、表示パネル17の表示状態が黒表示とされ、図示しない光源からの環境光が印刷媒体(反射媒体)に照射された場合に発生する上記印刷媒体からの反射光をセンサ部11で検出したときの照度値を第1検出値として取得する。第1検出値は、後述するように、表示パネル17の白色点を印刷媒体500の白色点に合わせるときの基準となる。そこで、以下では、第1検出値を「基準特性値」と称す。
【0019】
また、上記検出部は、表示パネル17の表示状態が白表示とされ、表示パネル17の表示光が上記印刷媒体に照射された場合に発生する上記印刷媒体からの反射光をセンサ部11で検出したときの照度値を第2検出値として取得する。この場合、上記印刷媒体は、例えば、表示パネル17の表示面に正対した状態に保持される。第2検出値は、上述するように、表示パネル17の白色点を印刷媒体の白色点に合わせる過程で観測されるセンサ部11の検出値である。そこで、以下では、第2検出値を「観測値」と称す。信号制御部13は、上記の基準特性値および観測値を照度値DSとして画質制御部14に出力する。
【0020】
画質制御部14は、信号制御部13から入力される照度値DS(基準特性値、観測値)から光源の色温度に関する情報を取得する取得部として機能する要素である。本実施形態では、光源から放射された光は環境光を形成するため、光源の色温度は、この光源による環境光の色温度を意味する。画質制御部14は、光源の色温度に関する情報を取得する過程で、色空間を制御するための画質制御値DCを出力する。また、画質制御部14は、環境光の光源の色温度に関する情報に基づいて、映像処理部15で用いられるICCプロファイルで規定される所定の基準色温度における表示パネル17の色空間を環境光の光源の色温度における色空間に補正する補正部として機能する。画質制御値DCは、映像処理部15に供給され、液晶表示部171の階調を制御するための階調駆動値DGに反映される。画質制御部14は、後述するように、上記観測値によって示される色度が上記基準特性値によって示される色度と等しくなるように画質制御値DCを修正し、上記修正された画質制御値DCから環境光の光源の色温度に関する情報を取得する。
【0021】
映像処理部15は、映像信号Pに基づいて表示パネル17の液晶表示部171を駆動する駆動部として機能する要素である。映像処理部15は、映像信号Pを復号処理して液晶表示部171を駆動するための階調駆動値DGを液晶表示部171に出力する。この際、映像処理部15は、上記環境光の色温度に関する情報に基づいて作成した色補正情報に基づいて、入力される映像信号Pの色補正を行う。
【0022】
表示制御部16は、バックライトユニット172の発光輝度を制御するための要素である。表示制御部16は、観測者の指示に基づき、表示操作入力部18から信号制御部13に輝度の設定に関する指令が出力された場合、画質制御部14から出力される輝度設定値DBに基づいて、発光輝度を制御するための輝度駆動値DRをバックライトユニット172に出力する。このようなバックライトユニット172の発光輝度は、観測者の操作により任意に設定し得る。
【0023】
表示パネル17のバックライトユニット172は、液晶表示部171を裏面照射するための要素であり、バックライトユニット172として例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。表示パネル17の液晶表示部171は、階調駆動値DGに応じてバックライトユニット172の照射光の透過を調節することにより、表示パネル17に形成される画像の階調を制御するための要素である。
【0024】
表示操作入力部18は、観測者から種々の操作を受け付けるための要素である。例えば、表示操作入力部18は、観測者から、上述の基準特性値および観測値を検出する指令を受け付ける。また、表示操作入力部18は、観測者から、バックライトユニット172の発光輝度に関する設定値を受け付ける。また、表示操作入力部18は、観測者から、後述の映像信号生成部19が生成する映像信号によって表示される各種の情報を受け付ける。
【0025】
映像信号生成部19は、表示操作入力部18によって受け付けられた各種の情報を示す映像信号DTを生成するための要素である。映像信号生成部19は、映像信号DTを映像処理部15に供給し、階調駆動値DGに反映させる。なお、本実施形態では、映像信号生成部19は、任意的要素であり、省略可能である。
【0026】
次に、
図2から
図6を参照しながら、本実施形態による表示装置10の動作を説明する。
図2は、本発明の実施形態による表示装置10の動作の流れの一例を示すフロー図である。
図3は、本発明の実施形態による表示装置10の動作の詳細の一例を示すフロー図である。
図4は、本発明の実施形態による表示装置10の動作を補足説明するための図であり、印刷媒体500の設定方法を説明するための図である。
図5Aは、本発明の実施形態による表示装置10の動作を補足説明するための図であり、光源αによる環境光を印刷媒体500の紙面に照射したときの印刷媒体500の白色点を示す照度を検出する手法を説明するための図である。また、
図5Bは、表示パネル17の表示光(白色光)を印刷媒体500に照射したときの印刷媒体500の白色点を示す照度を検出する手法を説明するための図である。
図6は、本発明の実施形態による表示装置の動作において実施される色空間の補正の概念を説明するための図である。
【0027】
本実施形態による表示装置10は、映像信号Pに基づいて表示パネル17に画像を表示する動作を基本とするが、本実施形態では、表示装置10は、観測者の操作に基づき、表示パネル17に表示される画像の色合いを印刷媒体に印刷された画像の色合いに合わせる印刷エミュレータとしての動作を実施する。印刷エミュレータとしての動作では、表示装置10は、概略的には、印刷媒体の白色点に表示パネル17の白色点を合わせることにより光源の色温度に関する情報を取得し、この光源の色温度に関する情報に基づいて表示パネルの色空間を補正する。また、色空間の補正では、表示装置10は、取得した光源の色温度によって示される白色点と、ICCプロファイルで規定された白色点との差分に基づいて、ICCプロファイルで規定された色空間をシフトさせることにより、表示パネル17の色空間を再計算する。
【0028】
以下、印刷エミュレータとしての動作に着目して表示装置10の動作を詳細に説明する。
まず、表示装置10を印刷エミュレータとして使用する観測者(利用者)は、印刷エミュレータによって再現される画像が印刷される印刷媒体を準備する。印刷媒体は光沢がなく、拡散反射するものが望ましい。即ち、印刷媒体の反射光の輝度は安定していることが望ましい。ただし、この例に限定されず、印刷媒体として任意の用紙を用いることができる。
【0029】
表示装置10を印刷エミュレータとして機能させる場合、観測者は、表示操作入力部18から、表示装置10の動作モードを「白色合わせモード」に設定する。これにより、白色合わせモードが開始する(ステップS1)。
続いて、
図4に例示するように、観測者は、光源αからの環境光が、準備した印刷媒体500の紙面(印刷面)に照射されるように、印刷媒体500の印刷面を上に向けた状態で、センサ部11よりも下方の位置に水平状に配置する(ステップS2)。この場合、光源αからの環境光が印刷媒体に反射し、その反射光がセンサ部11に取り込まれるように、印刷媒体をセンサ部11の近傍に配置する。
【0030】
続いて、観測者は、表示操作入力部18を操作することにより、照度値取得指示(1)を表示装置10に与え、センサ部11で印刷媒体500からの反射光の照度値を取得(検出)する旨を指示する(ステップS3)。照度値取得指示(1)を受けて、信号制御部13は、
図5Aに例示するように、表示パネル17の表示状態を黒表示とする照度値DSを出力する(ステップS4)。または、照度値取得指示(1)を受けて、表示制御部16がバックライトユニット172を消灯させることにより、表示パネル17の表示状態を黒表示としてもよい。表示パネル17が黒表示の状態で、センサ部11は、印刷媒体500の反射光の各色成分の照度を検出し、その照度値を示す照度信号S(R,G,B)を信号制御部13に出力する。
【0031】
信号制御部13は、表示パネル17の表示状態が黒表示とされた状態でセンサ部11から入力される照度信号S(R,G,B)によって示される照度値(R,G,B)を読み取り、この照度値(R,G,B)を基準特性値(Rr,Gr,Br)として取得する(ステップS5)。そして、信号制御部13は、基準特性値(Rr,Gr,Br)を記憶部12に記憶させる(ステップS6)。このように、センサ部11は、光源αからの環境光が印刷媒体500に照射された場合に発生する印刷媒体500からの反射光を検出し、信号制御部13は、このときの照度値を基準特性値(Rr,Gr,Br)として取得して記憶部12に記憶させる。
【0032】
続いて、観測者は、
図5Bに例示するように、印刷媒体500の印刷面に表示パネル17の表示光が照射され、且つ、印刷媒体500からの反射光がセンサ部11に取り込まれるように印刷媒体500の印刷面を表示パネル17の表示面に向け、表示パネル17の表示面と印刷媒体500の印刷面とを正対させた状態に保持する(ステップS7)。
【0033】
続いて、観測者は、表示操作入力部18を操作することにより、照度値取得指示(2)を表示装置10に与え、センサ部11で印刷媒体500からの反射光の照度値を取得(検出)する旨を指示する(ステップS8)。照度値取得指示(2)を受けて、信号制御部13は、
図5Bに例示するように、表示パネル17の表示状態を白表示とする照度値DSの初期値を出力する(ステップS9)。これにより、表示パネル17の表示光は白色光になる。センサ部11は、表示パネル17の表示光(白色光)が、表示パネル17の表示面と正対するように保持された印刷媒体500に照射された場合に発生する印刷媒体500からの反射光を検出し、その照度値を示す照度信号S(R,G,B)を信号制御部13に出力する。
【0034】
信号制御部13は、センサ部11からの照度信号S(R,G,B)によって示される照度値を読み取って、観測値(Rs,Gs,Bs)として取得する。このように、センサ部11は、信号制御部13から出力される照度値DSの初期値に基づく表示パネル17の表示光(白色光)が印刷媒体500に照射された場合に発生する印刷媒体500からの反射光を検出する。そして、信号制御部13は、センサ部11によって検出された各色成分の照度値(R,G,B)を観測値(Rs,Gs,Bs)として取得する。観測値(Rs,Gs,Bs)は、光源αからの環境光を印刷媒体500が反射したときの反射光の色度を示し、環境光下での印刷媒体500の白色点を示す。
【0035】
続いて、画質制御部14は、次に詳細に説明するように、上述の基準特性値(Rr,Gr,Br)と観測値(Rs,Gs,Bs)とから、表示パネル17の白色点と印刷媒体の白色点とを合わせることにより、光源の色温度に関する情報を取得する(ステップS10)。本実施形態では、画質制御部14は、信号制御部13により取得される観測値(Rs,Gs,Bs)が基準特性値(Rr,Gr,Br)に近づくように、又は、上記観測値によって示される色度(白色点)が上記基準特性値によって示される色度(白色点)に近づくように、表示パネル17の駆動値となる画質制御値DCを修正する。
【0036】
そして、基準特性値(Rr,Gr,Br)による色度と観測値(Rs,Gs,Bs)による色度との差が規定値内になったときの画質制御値DCから環境光の光源αの色温度に関する情報を取得する。上記規定値は、観測者の視覚上、基準特性値による色度と観測値による色度とが同じに感じる範囲内で任意に設定し得る。本実施形態では、画質制御値DCは、映像処理部15の階調駆動値DGに反映されるので、画質制御部14は、信号制御部13により取得される観測値によって示される色度が基準特性値によって示される色度と等しくなるように、階調駆動値DGを修正するものと言える。
【0037】
具体的に説明すると、画質制御部14は、上記画質制御値DCを修正する過程で、表示パネル17の白色の階調駆動値DGに反映される画質制御値DCを変化させる(ステップS10A)。画質制御値DCを変化させた後、画質制御部14は、センサ部11により検出される照度値(R,G,B)を観測値(Rs,Gs,Bs)として取得する(ステップS10B)。そして、画質制御部14は、基準特性値(Rr,Gr,Br)と観測値(Rs,Gs,Bs)とを比較し、観測値が基準特性値と一致するか否かを判定する(ステップS10C)。
【0038】
そして、上記比較の結果、観測値が基準特性値と一致しない場合(ステップS10C:NO)、即ち、観測値と基準特性値との差分が規定値内でない場合、処理をステップS10Aに戻し、観測値が基準特性値と一致するまで、同様の処理を繰り返す。そして、画質制御部14は、観測値が基準特性値と一致する場合(ステップS10C)、即ち、観測値と基準特性値との差分が規定値内になり、観測値が基準特性値によって示される色度を示す場合、そのときの観測値を与える画質制御値DC(または階調駆動値DG)を、光源αの色温度に関する情報として取得する。
【0039】
図3を参照して、更に詳しく、上述のステップS10(S10A〜S10C)における光源αの色温度に関する情報の取得について説明する。
前述のステップS2〜S9により基準特性値(Rr,Gr,Br)が取得された後、画質制御部14は、表示パネル17の表示状態を初期値の白色表示状態とするように、画質制御値DCを調節する(ステップS101)。信号制御部13は、表示パネル17が初期値の白色表示状態であるときのセンサ部11の観測値(Rs,Gs,Bs)を取得する(ステップS102)。この場合、信号制御部13は、観測値(Rs,Gs,Bs)を色座標に展開できるよう、RGB表色系の観測値(Rs,Gs,Bs)を、例えばCIE表色系の値(xs,ys,Ys)に変換する。
【0040】
そして、画質制御部14は、信号制御部13により取得される観測値のCIE表色系の値(xs,ys,Ys)によって示される色度が基準特性値のCIE表色系の値(xr,yr,Yr)によって示される色度と等しくなる方向に、画質制御値DCを修正する。即ち、画質制御部14は、CIE表色系の値(xs,ys)によって示される白色点と、CIE表色系の基準特性値(xr,yr)によって示される白色点との差(Δx,Δy)を求め、その差(Δx,Δy)が予め設定された規定値以下になるように、画質制御値DCを変化させる。
【0041】
具体的には、画質制御部14は、CIE表色系の値(xs,ys)によって示される白色点と、CIE表色系の基準特性値の色票(xr,yr)によって示される白色点との差(Δx,Δy)が規定値内であるか否かを判定する(ステップS107)。差(Δx,Δy)が規定値内でなければ(ステップS107:NO)、画質制御部14は、画質制御値DCによって示される(x,y)を変えることにより白色点を設定し直し(ステップS108)、その白色点に応じた画質制御値DCを出力する。映像処理部15は、画質制御値DCに基づいた色度を示す階調駆動値DGを液晶表示部171に出力する。これにより、表示パネル17の白色表示の画像を更新する(ステップS109)。
【0042】
この後、処理は上述のステップS102に戻され、差(Δx,Δy)が規定値内になるまで、同様の処理が繰り返される。差(Δx,Δy)が規定値内になると(ステップS107:YES)、画質制御部14は、表示パネル17の白色点を確定し(ステップS110)、そのときの画質制御値DC(または階調駆動値DG)を光源αの色温度を示す情報として特定して取得する。
【0043】
なお、上述の例では、光源の色温度を特定する過程で、基準特性値および観測値を、RGB表色系からCIE表色系に変換して、基準特性値と観測値との差(Δx,Δy)を求めたが、任意の表色系で基準特性値と観測値との差を求めてもよい。例えば、RGB表色系の基準特性値とRGB表色系の観測値との差を求めて、その差が規定値内になるように、画質制御値DC(または階調駆動値DG)を設定してもよい。この場合、「差」ではなく、基準特性値と観測値との「比」が1になるように、画質制御値DC(または階調駆動値DG)を設定してもよい。例えば、基準特性値(Rr,Gr,Br)から、「Rr/Br」、「Gr/Br」を求め、観測値(Rs,Gs,Bs)から、「Rs/Bs」、「Gs/Bs」を求める。そして、(Rr/Br)/(Rs/Bs)が1になり、且つ、(Gr/Br)/(Gr/Br)が1になるように、画質制御値DC(または階調駆動値DG)を設定してもよい。このようにRGB表色系で「比」を用いることにより、各色成分に含まれる輝度の影響を低減させ、白色点(色度)を精度よく知ることができる。
【0044】
上述のように光源αの色温度に関する情報が取得されると、映像処理部15は、取得された光源αによる環境光の色温度に関する情報に基づいて、入力される映像信号Pの色補正を行い、これにより、ICCプロファイルで規定された所定の基準色温度(例えば、5000K)における表示パネル17の色空間を、光源αの色温度における色空間に補正する(ステップS11)。本実施形態では、映像処理部15は、上記の差(Δx,Δy)に基づいて、表示パネル17の色空間を再計算する。そして、映像処理部15は、色補正が行われた映像信号に基づいて表示パネル17を駆動する。
【0045】
ここで、
図6を参照して、色空間の補正の概念を説明する。
図6は、本発明の実施形態による表示装置10の動作において実施される色空間の補正の概念を説明するための図である。
図6に模式的に示す色空間CSは、例えばICCプロファイルで規定された補正前の色空間である。色空間CSには、RGB表色系の階調値(R,G,B)が規定され、各階調値(R,G,B)の位置は、階調駆動値DGに対応している。このようなRGB表色系の階調値(R,G,B)が、色空間CSの全体にわたって規定されている。
【0046】
図6の例では、色空間CSの領域Zに階調値(255,255,255)が規定されている。従って、例えば階調値(255,255,255)を示す映像信号Pが映像処理部15に入力された場合、階調値(255,255,255)が規定された領域Zに対応した階調駆動値DGが映像処理部15から表示パネル17の液晶表示部171に供給される。
【0047】
前述した光源αの色温度に関する情報から、その光源αの色温度に対応した色空間CS上の白色点(色度)を知ることができる。即ち、光源αの色温度に関する情報を得たときの観測値(Rs,Gs,Bs)によって示されるICCプロファイルの色空間CS上の位置が、光源αの色温度に対応した色空間上の白色点になる。
図6の例では、観測値として得られる基準特性値(Rr,Gr,Br)に相当する階調値が規定された領域Qaが光源αの色温度に対応した白色点を示している。画質制御部14は、基準特性値(Rr,Gr,Br)に相当する階調値によって示される領域Qaの階調値を白色点とするように、色空間CS全体における階調値(R,G,B)と階調駆動値DGとの対応関係を再計算して、色空間CS上の階調値(R,G,B)の配置を変更する。
【0048】
具体的には、補正前の白色点である値(Rw,Gw,Bw)の領域Qを始点とし、補正後の白色点である値(Rr,Gr,Br)の領域Qaを終点とするベクトルVCによって示される方向成分および距離成分に基づいて、色空間CSを補正(変換)する。これにより、光源αの色温度を示す観測値(Rs,Gs,Bs)によって特定される領域Qaを白色点とした色空間が形成される。色空間の補正後は、例えば、階調値(255,255,255)は、領域Zから領域Zaに移動する。従って、階調値(255,255,255)を示す映像信号Pが映像処理部15に入力された場合、領域Zaに対応した階調駆動値DGが映像処理部15から表示パネル17の液晶表示部171に供給される。
なお、上述の例に限らず、色空間の補正(変換)は任意の手法で実現してもよい。
【0049】
上述の色空間の補正が行われると、表示パネル17の白色点は、光源αの色温度を示す観測値(Rs,Gs,Bs)によって示される白色点になる。ここで、光源αの色温度を示す観測値(Rs,Gs,Bs)によって示される白色点は、基準特性値に対応した白色点と一致する。基準特性値に対応した白色点は、印刷媒体500の白色点を示している。従って、色空間が補正された後の表示パネル17の表示画面の白色点は印刷媒体500の白色点と一致し、表示パネル17の白色点と印刷媒体500の白色点とが合う。白色点が合えば、表示パネル17の表示画像の色合いは、印刷媒体500に印刷された画像の色合いと一致する。ただし、この段階では、表示パネル17の表示画像の輝度は、印刷媒体500に印刷された画像の輝度と必ずしも一致していない。
【0050】
そこで、表示パネル17の表示画像の輝度と印刷媒体500に印刷された画像の輝度とを一致させるため、観測者は、印刷媒体500を観測光下に置いて本来の観測状態とし、印刷媒体上の白色輝度と表示パネル17の白色輝度とを見比べながら、表示操作入力部18を操作することにより、表示パネル17の輝度を調節するための指示を入力する。表示制御部16は、観測者からの指示に応じた輝度駆動値DRを出力し、バックライトユニット172の輝度を調節する。これにより、表示パネル17上の画像の色合いが維持された状態で、輝度のみが調節される。この結果、観測者には、環境光の下での印刷媒体500の白色および輝度が、表示パネル17の表示画面の白色の白色および輝度と同じに見えるようになる。
なお、バックライトユニット172の輝度の調節に代えて、CIE表色系の色度成分(x,y)が一定になるよう液晶表示部171の階調を制御すれば、上述の輝度を調節した場合と同様の効果を得ることができる。
【0051】
上述の実施形態によれば、光源αの色温度に関する情報を取得する過程で、センサ部11により基準特性値と観測値とを取得し、これらの相対値(差)を用いて光源の色温度に関する情報を取得している。このため、センサ部11が劣化下し、センサ部11の検出精度が低下したとしても、基準特性値と観測値との相対値(差)を得る過程で、劣化や検出精度の影響がキャンセルされる。即ち、例えば、劣化によりセンサ部11の検出値と真の値との間に誤差が存在するとしても、この誤差は、基準特性値と観測値との両方に同じように含まれる。従って、基準特性値と観測値との差を演算すれば、基準特性値の誤差と観測値の誤差が相殺され、原理上、誤差の影響がなくなる。センサ部11の入力と出力との間に1対1の対応関係があれば、その対応関係がどのようなものであったとしても、センサ部11の劣化等の影響を低減することができる。従って、光源の色温度を正しく知ることができる。
【0052】
また、上述の実施形態では、実際の環境光と印刷媒体を用いるため、あらゆる未知の光源の色温度を知ることができる。また、印刷媒体をセンサ部11に近づけて計測することにより、センサ部11の周辺の反射等による影響を低減することができる。
また、上述の実施形態では、プリンタのプロファイルで定義された印刷媒体及び光源を用いることなく、更には、色温度を計測するための専用の計測器を用いることなく、印刷媒体と表示パネル17の白色を合わせることができる。従って、印刷前の出来上がり状態をモニタ表示上で手軽に確認することができ、印刷の失敗に伴う印刷媒体やインクの消耗を抑制することが可能となる。
【0053】
また、上述の実施形態では、観測光による白色点を基準特性値による白色点に合わせる過程(ステップS10)で、CIE表色系(x,y,Y)を用いたので、輝度の影響を回避しながら、精度よく白色点(色度)を合わせることができる。従って、光源の色温度を精度よく知ることができる。
【0054】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
図7は、本発明の他の実施形態による表示装置20の構成例を示すブロック図である。
表示装置20は、検出部21、取得部22、駆動部23、表示パネル24を備える。
検出部21は、印刷媒体25からの図示しない光源の環境光の反射光、または、印刷媒体25からの表示パネル24の表示光の反射光を検出する。駆動部23は、映像信号Pに基づいて表示パネル24を駆動する。検出部21は、図示しない光源の環境光が印刷媒体25に照射された場合に発生する印刷媒体25からの反射光を検出して第1検出値を取得する。また、検出部21は、表示パネル24の表示光が印刷媒体25に照射された場合に発生する印刷媒体25からの反射光を検出して第2検出値を取得する。取得部22は、上記第2検出値が上記第1検出値に近づくように、又は、上記第2検出値によって示される色度が上記第1検出値によって示される色度に近づくように、駆動部23が表示パネル24の駆動値を修正し、上記修正された駆動値から上記環境光の色温度に関する情報を取得する。
【0055】
検出部21は、
図1に示すセンサ部11、記憶部12、信号制御部13に対応する。取得部22は、
図1に示す画質制御部14に対応する。駆動部23は、
図1に示す映像処理部15に対応する。表示パネル24は、
図1に示す表示パネル17に対応する。
図7に示す他の実施形態による表示装置20によれば、
図1に示す実施形態による表示装置10と同様の効果を得ることができる。
【0056】
上述した実施形態の主要な効果をまとめる。
(1)センサの劣化や検出精度の影響を抑制しつつ、環境光の光源の色温度を知ることができる。
(2)環境光の色温度が未知であっても、印刷エミュレートを実現することができる(請求項2の効果)。従って、ICC規格等で規定された基準色温度の光源を要することなく、環境光の下での印刷媒体上の画像の色度を表示パネル上に再現することができる。
(3)未知の環境光の色温度に対応した表示パネルの駆動値を得ることができる。
(4)環境光の影響を抑制しつつ、表示パネルの表示光を印刷媒体の印刷面に照射させ、印刷面からの反射光を検出することができる。
(5)印刷媒体の透過光の影響を受けることなく、環境光を印刷媒体の印刷面に照射させ、印刷面からの反射光を検出することができる。
(6)表示パネル17の表示光の輝度を安定化させることができ、表示光の輝度の変動の影響を抑制しつつ、環境光の色温度を知ることができる。
【0057】
上述した実施形態による表示装置の動作(処理)は、表示方法として表現することもできる。この場合、本発明による表示方法は、映像信号に基づいて表示パネルを駆動する段階と、環境光が印刷媒体に照射された場合に発生する前記印刷媒体からの反射光を検出して基準特性値を取得し、前記表示パネルの表示光が前記印刷媒体に照射された場合に発生する前記印刷媒体からの反射光を検出して観測値を取得する段階と、前記観測値によって示される色度が前記基準特性値によって示される色度と等しくなる方向に、前記表示パネルを駆動するための駆動値を修正し、前記修正された駆動値から前記環境光の光源の色温度に関する情報を取得する段階と、を含む表示方法として表現することができる。