(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全や自然エネルギーの有効活用の観点から、洋上風力発電が注目されている。かかる洋上風力発電に使用される浮体構造物は、風荷重による定常傾斜角を低減するとともに不安定動揺を抑制するために、一定以上の復原力が要求される。復原力は、一般に、GM(メタセンタ高さ)×排水量で定式化されるところ、浮体構造物の設計において、一定の排水量に対してGMをどれだけ大きくできるかが重要である。
【0003】
ここで、GM(メタセンタ高さ)は、GM=KB(浮心高さ)+BM(メタセンタ半径)−KG(重心高さ)の計算式により求めることができる。したがって、GMを大きくするためには、(1)BMを大きくする手法、(2)KB−KGを大きくする手法、が採用される。
【0004】
「(1)BMを大きくする手法」は、BM=I(水線面モーメント)/V(排水容積)と表されることから、水線面付近に浮体を幅広に展開することによって、水線面モーメントIを大きくし、BM(メタセンタ半径)を大きくする手法である。この手法を用いた浮体構造物には、例えば、セミサブ型の浮体構造物が該当する(特許文献1参照)。
【0005】
「(2)KB−KGを大きくする手法」は、浮体を縦長に形成することによって、浮心高さKBと重心高さKGとの間隔を大きくし、「KB−KG」を大きくする手法である。この手法を用いた浮体構造物には、例えば、スパー型の浮体構造物が該当する(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、「(1)BMを大きくする手法」を採用した場合、水線面付近の波力の影響を受けやすく、浮体構造物の動揺が大きくなってしまうという問題がある。また、浮体構造物の喫水を浅くできるものの、水線面積が大きくなり過ぎてしまい、設置及び建造上の制約を受けやすいという問題もある。また、「(2)KB−KGを大きくする手法」を採用した場合、浮体の喫水が深くなり過ぎてしまい、設置及び建造上の制約を受けやすいという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、スパー型の浮体構造物を基礎として、復原力の向上及び動揺の低減を図ることができる、浮体構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、直立した状態で浮遊可能かつ水上に配置される上部構造物を接続可能な柱状の単数のコラム部を備えた浮体構造物において、喫水線近傍で前記コラム部より拡径した柱状のアッパーハルと、前記コラム部の下端に配置されバラストタンクを構成するとともに前記コラム部より拡径したロワーハルと、前記アッパーハルの没水部の外周の全周に渡って径方向外方に突出するように配置された板状の
フランジ部である張出部と、を有することを特徴とする浮体構造物が提供される。
【0010】
前記張出部は内部に空洞を有していてもよい。また、前記ロワーハルの上面に放射状に立設された複数のフィンを有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係る浮体構造物によれば、スパー型の浮体構造物を基礎として、喫水線近傍に拡径したアッパーハルを形成することにより、水線面モーメントIを大きくし、BM(メタセンタ半径)を大きくすることができる。また、コラム部の下端に拡径したロワーハルを形成してバラストタンクとすることにより、浮体構造物の重心を下げることができ、KG(重心高さ)を小さくすることができる。さらに、上述したアッパーハルとロワーハルをコラム部で連結することにより、浮体構造物のKB(浮心高さ)を大きくすることができる。したがって、KB(浮心高さ)+BM(メタセンタ半径)−KG(重心高さ)の計算式により求められるGM(メタセンタ高さ)を大きくすることができ、浮体構造物の復原力の向上を図ることができる。
【0015】
また、没水部で水平方向に拡径したロワーハルを形成することにより、浮体構造物の上下揺れ(Heaving)に対する抗力を増大させることができ、浮体構造物の上下揺れを低減することができる。また、アッパーハルの外周に張出部を形成することにより、浮体構造物の受ける波力を低減することができ、浮体構造物の縦揺れ(Pitching)及び横揺れ(Rolling)を低減することができる。したがって、浮体構造物の動揺の低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る浮体構造物について、
図1〜
図5を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の第一実施形態に係る浮体構造物の正面図である。
図2は、
図1に示した浮体構造物の説明図であり、(A)は
図1におけるA−A矢視断面図、(B)は
図1におけるB−B矢視断面図、(C)は
図1におけるC−C矢視断面図、を示している。なお、各図において、バラストタンクを構成可能な空洞部分については、一点鎖線の交差線によって図示している。
【0018】
本発明の第一実施形態に係る浮体構造物1は、
図1及び
図2(A)〜(C)に示したように、直立した状態で浮遊可能かつ水上に配置される上部構造物2を接続可能な柱状の単数のコラム部3を備え、喫水線近傍でコラム部3より拡径したアッパーハル4と、コラム部3の下端に配置されバラストタンクを構成するとともにコラム部3より拡径したロワーハル5と、アッパーハル4の没水部の外周から径方向外方に突出した板状の張出部6と、を有している。
【0019】
浮体構造物1は、例えば、洋上風力発電用の浮体構造物であり、上部構造物2は、例えば、支柱21、ナセル22及びブレード23を有する風車により構成される。支柱21は、コラム部3の上端部に形成された連結部31に立設される。ナセル22は、内部に発電機を有し、ブレード23の回転によって電力を発生させる。ブレード23は、風力によって回転駆動する。また、図示しないが、支柱21には、太陽光パネルを配置するようにしてもよい。なお、上述した風力発電設備は、浮体構造物1に設置される上部構造物2の一例に過ぎず、上部構造物2は、風向計や風速計等の風況観測装置、太陽光発電装置、照明装置、無線通信装置等の設備であってもよい。
【0020】
コラム部3は、スパー型の浮体構造物1を構成するための略円柱形状の中心軸である。コラム部3の内部は、空洞に形成されており、浮体構造物1に対して浮力を与える浮力体の一部を構成している。また、コラム部3の内部には、ポンプルームや機械室等が必要に応じて配置される。ポンプルームには、バラスト水の注排水を処理するポンプが配置され、機械室には、内部電源として機能する補助発電機や各種制御装置が配置される。
【0021】
本実施形態に係る浮体構造物1は、スパー型を基礎としていることから、コラム部3は一つ(単数)のみ配置される。コラム部3の径の大きさや長さは、浮体構造物1が配置される海域の水深、必要な排水量、アッパーハル4及びロワーハル5の大きさ等の条件によって設定される。なお、コラム部3の一部をバラストタンク(固定又は可変の両方を含む)として利用するようにしてもよい。
【0022】
アッパーハル4は、例えば、
図2(A)に示したように、コラム部3に接続されたセンターハル41と、センターハル41の没水部から放射状に延出された複数の水平ブレース42と、水平ブレース42の先端に配置されたアウターハル43と、を有している。なお、
図2(A)において、没水部に配置される部分を灰色に塗り潰して表示している。
【0023】
センターハル41は、水平ブレース42を支持する部材であって、コラム部3の喫水線近傍に形成され、コラム部3よりも拡径された円柱形状又は角柱形状を有している。
【0024】
水平ブレース42は、センターハル41とアウターハル43とを連結する部材である。水平ブレース42は、喫水線上に配置すると波力によって荷重を受けることから、没水部に配置することが好ましい。また、水平ブレース42を水中に沈めることによって浮力で自重を支えることができ、空中に配置した場合よりも支持荷重の低減を図ることができる。また、水平ブレース42の内部を空洞に形成してバラストタンク(固定又は可変の両方を含む)として利用するようにしてもよい。なお、図示した水平ブレース42は、センターハル41から放射状に六本配置されているが、かかる本数に限定されるものではない。
【0025】
アウターハル43は、水平ブレース42の先端部に配置された直方体形状の浮力体である。アウターハル43の内部は、バラストタンク(固定又は可変の両方を含む)として利用される。なお、アウターハル43の形状は、直方体形状に限定されるものではなく、球形状や回転楕円体形状であってもよい。
【0026】
図2(A)に示したように、隣り合うアウターハル43同士の間には一定の隙間が形成されている。このように、アウターハル43を円周上に分散して配置することにより、波の一部をアウターハル43の隙間から内部に浸入させることができ、波力によって受ける荷重を低減することができる。また、アウターハル43の隙間を利用して作業船をセンターハル41の近傍にまで接近させることができ、機械室等を備えたコラム部3へ容易にアクセスすることができ、メンテナンス等の負担を軽減することができる。
【0027】
また、浮体構造物1の中心軸を構成するコラム部3から、離隔した位置に浮力体であるアウターハル43を配置することにより、水線面モーメントIを大きくし、BM(メタセンタ半径)を大きくすることができる。アウターハル43の容積やアウターハル43のコラム部3からの離隔距離(すなわち、水平ブレース42の長さ)は、浮体構造物1に求められる復原力に応じて設定される。
【0028】
ロワーハル5は、
図1及び
図2(C)に示したように、コラム部3の下端に配置された略円盤形状の重量物(錘)である。ロワーハル5の内部は、例えば、放射状に配置された複数の仕切り板によって複数の空間に区分けされており、それぞれバラストタンクを構成している。バラストタンクは、一定の重量を有する固定バラストであってもよいし、海水を注排水することによって重量を調整することができる可変バラストであってもよい。
【0029】
このように、コラム部3の下端に重量物を配置することにより、浮体構造物1の重心を下げることができ、KG(重心高さ)を小さくすることができる。また、没水部に水平方向に平面展開されたロワーハル5を配置することにより、浮体構造物1が上下方向に移動しようとした際に生じる抗力を増大させることができ、浮体構造物1の上下揺れ(Heaving)を低減することができる。
【0030】
また、ロワーハル5は、上面に放射状に立設された複数のフィン51を有していてもよい。没水したロワーハル5に略鉛直方向に平面展開されたフィン51を複数配置することにより、浮体構造物1がコラム部3を中心に回転しようとする際に生じる抗力を増大させることができ、浮体構造物1の船首揺れ(Yawing)を低減することができる。フィン51の本数や面積等の条件は、浮体構造物1の排水量や設置環境等に応じて任意に設定することができる。
【0031】
張出部6は、アウターハル43の没水部の外周に形成された板状のフランジ部である。浮力体を構成するアウターハル43に略水平方向に平面展開された張出部6を形成することにより、浮体構造物1が風荷重や波力によって傾斜しようとする際に生じる抗力を増大させることができ、浮体構造物の縦揺れ(Pitching)及び横揺れ(Rolling)を低減することができる。張出部6の張り出し量は、浮体構造物1の排水量や設置環境等に応じて任意に設定することができる。
【0032】
また、
図1に示した浮体構造物1は、アウターハル43とロワーハル5とを連結する複数の斜めブレース7と、隣り合う斜めブレース7を連結して環状に形成されるミドルブレース8と、を有している。これらの斜めブレース7及びミドルブレース8は、アウターハル43を支持する補強材として機能する。
【0033】
斜めブレース7は、例えば、下端がロワーハル5の中央部上面に配置された支持金具71に連結され、上端がアウターハル43の下面に連結される。したがって、斜めブレース7は、下端から上端に向かって放射状に配置されることとなる。なお、斜めブレース7の下端はコラム部3の周面に連結されてもよいし、斜めブレース7の上端は水平ブレース42に連結されてもよい。
図2(B)に示したように、斜めブレース7の内部を空洞に形成してバラストタンクとして利用するようにしてもよい。
【0034】
ミドルブレース8は、隣り合う斜めブレース7を連結することにより、斜めブレース7の構造体として剛性を向上させる部材である。したがって、
図2(B)に示したように、ミドルブレース8は、斜めブレース7の本数に応じて多角形状に配置される。斜めブレース7の本数やミドルブレース8の配置位置(高さ)は、アウターハル43に求められる強度に応じて任意に設定することができる。なお、ミドルブレース8を鉛直方向に複数配置するようにしてもよい。
【0035】
また、浮体構造物1は、海底に固定された複数の係留索9に接続されており、所定の海域に滞留される。係留索9の上端は、例えば、
図1に示したように、アウターハル43の外側面に固定され、係留索9の下端は、張出部6に配置されたムアリングパイプ91に挿通されて海底に固定される。係留索9をコラム部3から離隔した位置にあるアウターハル43に接続することにより、浮体構造物1が回転しようとする船首揺れ(Yawing)に対する抗力を増大させることができる。
【0036】
したがって、かかる係留索9により、浮体構造物1を所定の海域に留まらせることができるとともに、船首揺れ(Yawing)、前後揺れ(Surging)及び左右揺れ(Swaying)を低減することができる。なお、係留索9は、張出部6や斜めブレース7に固定するようにしてもよい。
【0037】
ところで、復原力は、一般に、GM(メタセンタ高さ)×排水量で定式化されるところ、GM(メタセンタ高さ)は、GM=KB(浮心高さ)+BM(メタセンタ半径)−KG(重心高さ)の計算式により求めることができる。そこで、上述した第一実施形態に係る浮体構造物1では、(1)アッパーハル4を形成することにより水線面モーメントIを大きくしてBM(メタセンタ半径)を大きくし、(2)ロワーハル5を形成することにより浮体構造物1の重心を下げてKG(重心高さ)を小さくし、(3)アッパーハル4とロワーハル5をコラム部3で連結することにより浮体構造物1のKB(浮心高さ)を大きくするようにしている。したがって、GM(メタセンタ高さ)の数値を大きくすることができ、浮体構造物1の復原力を向上させることができる。
【0038】
また、上述した第一実施形態に係る浮体構造物1によれば、ロワーハル5を形成したことにより浮体構造物1の上下揺れ(Heaving)を低減することができ、張出部6を形成したことにより浮体構造物1の縦揺れ(Pitching)及び横揺れ(Rolling)を低減することができ、フィン51を形成したことにより浮体構造物1の船首揺れ(Yawing)を低減することができ、浮体構造物1の動揺の低減を図ることができる。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態に係る浮体構造物1について説明する。ここで、
図3は、本発明の他の実施形態に係る浮体構造物を示す図であり、(A)は第二実施形態、(B)は第三実施形態、(C)は第四実施形態、(D)は第五実施形態、を示している。
図4は、第四実施形態に係る浮体構造物の外観図であり、(A)は俯瞰図、(b)は仰視図、を示している。
図5は、本発明の第六実施形態に係る浮体構造物を示す図であり、(A)は正面図、(B)は
図5(A)におけるB−B矢視断面図、(C)は
図5(A)におけるC−C矢視断面図、を示している。なお、各図において、上述した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0040】
図3(A)に示した第二実施形態に係る浮体構造物1は、上述した第一実施形態に係る浮体構造物1のミドルブレース8を省略したものであり、
図3(B)に示した第三実施形態に係る浮体構造物1は、上述した第一実施形態に係る浮体構造物1の斜めブレース7及びミドルブレース8を省略したものである。このように、アッパーハル4(例えば、アウターハル43)の補強構造は、斜めブレース7及びミドルブレース8を用いて必要に応じて設計することができる。
【0041】
図3(C)に示した第四実施形態に係る浮体構造物1は、上述した第一実施形態に係る浮体構造物1のフィン51を省略したものである。例えば、係留索9により船首揺れ(Yawing)を十分に低減することができる場合には、フィン51を省略することができる。ここで、浮体構造物1の構造の理解を促すために、第四実施形態に係る浮体構造物1の俯瞰図を
図4(A)に示し、仰視図を
図4(B)に示している。なお、各図において、説明の便宜上、支持金具71及びコラム部3の一部(センターハル41より上の部分)の図を省略してある。
図4(A)及び(B)に示した浮体構造物1の形状は、平面部分をメッシュで表示した3Dモデリングである。
【0042】
図3(D)に示した第五実施形態に係る浮体構造物1は、センターハル41とアウターハル43との水上部に掛け渡された連絡橋44を有するものである。かかる連絡橋44を配置することにより、浮体構造物1を浮遊させた状態、すなわち、水平ブレース42が没水した状態であっても、センターハル41とアウターハル43との間を往来することができ、メンテナンス時等の移動に要する時間を短縮することができる。連絡橋44は、例えば、センターハル41とアウターハル43とを連結する床板と、床板の両側部に配置される手摺と、により構成される。
【0043】
また、第五実施形態に係る浮体構造物1は、図示したように、連絡橋44に加えて、アウターハル43から外方に延出された補助床板45を有していてもよい。アウターハル43に補助床板45を配置することにより、メンテナンス時等に作業員が補助床板45を介してアウターハル43から乗り降りすることができ、利便性を向上することができる。すなわち、本実施形態において、作業員は、浮体構造物1に対してセンターハル41又はアウターハル43のいずれからでも乗り降りすることができ、作業内容や作業の進捗状況に合わせて乗り降りする場所を任意に選択することができる。
【0044】
図5(A)〜(C)に示した第六実施形態に係る浮体構造物1は、アッパーハル4の構成を簡略化したものである。具体的には、アッパーハル4は、コラム部3から拡径された多角柱形状を有している。アッパーハル4の径(幅)は、例えば、ロワーハル5の径(幅)と同等程度が好ましいが、浮体構造物1の排水量や設置環境等に応じて任意に変更することができる。なお、アッパーハル4の形状は、多角柱形状に限定されるものではなく、円柱形状であってもよい。
【0045】
図5(A)及び(B)に示したように、アッパーハル4の没水部の外周には、径方向外方に突出した板状の張出部6が配置されている。張出部6の内部を空洞に形成して、バラストタンク(固定又は可変の両方を含む)として利用するようにしてもよい。なお、
図5(A)において、説明の便宜上、喫水線を一点鎖線で仮想的に図示している。
【0046】
図5(C)に示したように、第六実施形態におけるロワーハル5は、扁平の八角柱形状を有しており、その内部は放射状に配置された仕切り板による区分けされており、各部屋はバラストタンク(固定又は可変の両方を含む)として利用される。また、ロワーハル5の上面には、八枚のフィン51が放射状に配置されている。
【0047】
第六実施形態に係る浮体構造物1は、アッパーハル4が第一実施形態のように浮島状に分散配置されたアウターハル43を有していないことから、容易に設計することができ、補強構造(斜めブレース7やミドルブレース8)の必要性も少なく、構造的に製造しやすく頑強な浮力体を容易に形成することができる。
【0048】
上述した第二実施形態〜第六実施形態に係る浮体構造物1においても、第一実施形態に係る浮体構造物1と同様に、喫水線近傍に拡径したアッパーハルを形成したことにより水線面モーメントIを大きくしてBM(メタセンタ半径)を大きくすることができ、コラム部3の下端に拡径したロワーハル5を形成してバラストタンクとすることにより浮体構造物1の重心を下げてKG(重心高さ)を小さくすることができ、アッパーハル4とロワーハル5をコラム部3で連結することにより浮体構造物のKB(浮心高さ)を大きくすることができ、KB(浮心高さ)+BM(メタセンタ半径)−KG(重心高さ)の計算式により求められるGM(メタセンタ高さ)を大きくすることができ、浮体構造物の復原力の向上を図ることができる。
【0049】
また、上述した第二実施形態〜第六実施形態に係る浮体構造物1によれば、第一実施形態に係る浮体構造物1と同様に、没水部で水平方向に拡径したロワーハル5を形成することにより浮体構造物1の上下揺れに対する抗力を増大させることができ、アッパーハルの外周に張出部を形成することにより全方位において浮体構造物1の受ける波力を低減することができ、浮体構造物1の上下揺れ(Heaving)、縦揺れ(Pitching)及び横揺れ(Rolling)を低減することができ、浮体構造物1の動揺の低減を図ることができる。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。