特許第6366132号(P6366132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6366132電気的接触のための装置、及びかかる装置を備えるプラグ接続部、及びかかる装置を相手装置に連結する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366132
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】電気的接触のための装置、及びかかる装置を備えるプラグ接続部、及びかかる装置を相手装置に連結する方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20180723BHJP
   H01R 12/85 20110101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01R13/631
   H01R12/85
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-110710(P2014-110710)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-18795(P2015-18795A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】10 2013 210 122.8
(32)【優先日】2013年5月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】デュンケル ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シャール ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】パニーツ グレゴール
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−086581(JP,U)
【文献】 特開2002−170618(JP,A)
【文献】 実開平03−050783(JP,U)
【文献】 特開2010−073549(JP,A)
【文献】 特開2011−187282(JP,A)
【文献】 実開昭63−182074(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 12/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的接触のための装置であって、
接触面(15)を有する弾性的に方向転換可能なコンタクトアーム(5)と、前記コンタクトアーム(5)に平行に変位させることができる駆動部材(6)と
を備え、
接触位置(K)では前記駆動部材(6)が開始位置(A)から変位させられることによって、前記コンタクトアーム(5)を前記駆動部材(6)の変位方向(M)に関して交差する方向に弾性的に方向転換させ
前記駆動部材(6)は、コンタクト固定手段(7)である固定装置に固く連結される装置(1)。
【請求項2】
前記駆動部材(6)は、前記コンタクトアーム(5)上に変位可能に保持される請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)は、前記コンタクトアーム(5)と、前記開始位置(A)において前記コンタクトアーム(5)を覆う側壁(25)とを備えるコンタクト部材(9)を有する請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)は、前記コンタクトアーム(5)と、開始位置(A)において挿入方向(E)や変位方向(M)から見た場合前記接触面(15)を覆う保護部材(24)とを有するコンタクト部材(9)を備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置(1)は、前記コンタクトアーム(5)及びコンタクト本体(26)を備えるコンタクト部材(9)を備え、
前記コンタクトアーム(5)は、前記開始位置(A)では前記コンタクト本体(26)内に位置する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記コンタクトアーム(5)は、前記変位方向(M)に関して斜めに延在する方向転換部(16)であって、基部(22)に関して方向転換させられることができる方向転換部(16)を有し、
前記接触位置(K)では、前記駆動部材(6)は、前記方向転換部(16)上を前進させられる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記コンタクトアーム(5)は、湾曲部(21)によって基部(22)に関節接合された旋回部(17)を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記方向転換部(16)と前記旋回部(17)は、協働して、前記変位方向(M)に関して交差する方向に前記接触面(15)に対向する頂点(23)を有するV字形を形成する請求項6又は請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記装置(1)は2個のコンタクトアーム(5)を有し、
前記開始位置(A)での前記コンタクトアーム(5)の接触面(15)同士は、前記接触位置(K)にある時よりも更に離間している請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
両コンタクトアーム(5)が同一の駆動部材(6)によって方向転換される請求項9に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接触のための装置、及びこのような装置を備えるプラグ接続部に関する。本発明は、更に、電気的接触のための装置を相手装置に連結する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、損傷のおそれを可能な限り低減した電気的接触のための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、電気的接触のための装置であって、接触面を有する弾性的に方向転換可能なコンタクトアームと、コンタクトアームと平行に変位させることができる駆動部材とを備え、接触位置では駆動部材が開始位置から変位させられることによって、コンタクトアームを駆動部材の変位方向に関して交差する方向に弾性的に方向転換させる装置によって達成される。
【0004】
本発明に係る解決手段では、コンタクトアームは開始位置では相手コンタクト部材から離れており、駆動部材の変位によってのみ相手接触面上へ方向転換される。本発明に係る方法では、好ましくは、コンタクトアームを変位方向に関して交差する方向に方向転換させ、相手コンタクト部材上に押圧することによって、少なくとも1個の接触面を相手コンタクト部材の相手接触面上に載置させる。それにより、接触面及び相手接触面は、引っ掻かれることや削られたりすることが少なくなり、或いは全く引っ掻かれることや削られたりすることがなく、損傷の危険性が減少する。
【0005】
本発明に係る解決手段は、以下の発展形態及び実施形態によって更に向上させることができ、これらの発展形態及び実施形態は、単独で有利であり、且つ互いに自由に組み合わせることができる。
【0006】
駆動部材は、可能な限り最も簡単な方法で連結することができるように、コンタクトアーム上に変位可能に保持されてもよい。駆動部材は、コンタクトアーム上に直接的又は間接的に変位可能に保持されることができる。駆動部材は装置のハウジング上に変位可能に保持されてもよい。特に、駆動部材は解除不能な方法でコンタクトアーム上に変位可能に保持されてもよい。他の実施形態では、駆動部材は、相手装置、例えば、相手コネクタ又は印刷回路基板上に配置されてもよい。駆動部材は、装置と相手装置との間に嵌合させることができる中間部材上に配置されてもよい。
【0007】
装置は、コンタクトアームと、開始位置においてコンタクトアームを覆う側壁とを有するコンタクト部材を有してもよい。側壁は、特にコンタクト部材が相手装置と共に押される時又はコンタクト部材がコネクタに差し込まれる時に、コンタクトアームを保護するように機能する。このために、側壁はコンタクトアームを越えて横方向や下方及び上方に突出してもよい。接触位置では、少なくとも1個の接触面が側壁から突出してもよい。
【0008】
或いは、又は上記に加え、装置は、コンタクトアームと、開始位置において挿入方向や変位方向にから見た時に接触面を覆う保護部材を備えてもよい。それにより、コンタクト部材が、例えばコネクタハウジングに差し込まれる時、及び駆動部材を前進させる時、接触面が、挿入方向や変位方向、即ち、前方での損傷から保護される。接触位置では、少なくとも接触面が保護部材によって覆われなくなってもよく、横方向に接触してもよい。保護部材は、例えば保護壁として構成されてもよい。保護壁は、例えば曲げ加工によって金属板から簡単に形成することができる。
【0009】
コンタクトアームを有するコンタクト部材は、コンタクト本体を備えてもよく、コンタクトアームは開始位置ではコンタクト本体内に位置する。コンタクト本体は、コンタクトアームを1個以上の側面に向かって保護することができる。特に、コンタクト本体は全ての側面の方向にコンタクトアームを保護してもよい。コンタクト本体は、コンタクトアームが相手装置に接続される時に又はコンタクト部材がコネクタに差し込まれる時にコンタクトアームを保護してもよい。コンタクト本体は、特に側壁及び保護部材を有してもよい。開始位置では、コンタクトアームはコンタクト本体の箱状部分の内側に位置してもよい。接触位置では、少なくとも接触面が、電気的に接触することができるように、コンタクト本体から、特にコンタクト本体の箱状部分から突出してもよい。
【0010】
側壁、保護部材やコンタクト本体は、コンタクトアームと一体でもよい。例えば、コンタクト部材は、打ち抜き加工又は曲げ加工されたコンタクト部材でもよい。
【0011】
自動的に方向転換するために、コンタクトアームは、変位方向に関して斜めに延出し、基部に関して方向転換させることができる方向転換部を有してもよく、駆動部材は接触位置において方向転換部上を前進する。駆動部材の前進により、方向転換部及びコンタクトアームは駆動部材の変位方向に関して交差する方向に弾性的に方向転換し、相手コンタクト上に載置され、それによって接触が生成される。
【0012】
方向転換部は、開始位置では部分的又は完全にコンタクト本体内に位置することができる。接触位置では、方向転換部はコンタクト本体の少なくとも部分的に外側に位置してもよい。
【0013】
接触面は、方向転換部に接続されるか、方向転換部上に配置されてもよい。例えば、接触面は方向転換部の一端に位置してもよい。
【0014】
コンタクトアームは、湾曲部によって基部に関節接合された旋回部を有してもよい。この旋回部は、開始位置及び接触位置ではコンタクト本体内に位置してもよい。接触面及びコンタクトアームの旋回及び旋回の結果生じる方向転換は、旋回部によって促進させてもよい。旋回部は、方向転換部と隣接してもよく、例えば、湾曲部によって方向転換部に関節接合されてもよい。旋回部は、方向転換部と基部との間に配置されてもよい。特に、旋回部は方向転換部とは反対方向に延在してもよい。旋回部は、例えば、斜めであるがしかし変位方向に関して対角を有するように延在してもよい。例えば、旋回部は、方向転換部に対して実質的に垂直に延出してもよい。
【0015】
方向転換部及び旋回部は、協働して、変位方向に関して交差する方向に接触面と対向する頂点を有するV字形を形成してもよい。このV字形により、コンパクトな構造が得られる。このV字の頂点では、少なくとも接触位置では、コンタクトアームの方向転換が行われてもよい。それに相手して形成された変位方向と平行に延在する係合面によって、接触位置における接触面は、相手装置が装置に対して変位方向に大きく変位するか小さく変位するかに関わらず、均一に且つ一定の力によって方向転換される。他の実施形態では、係合面は、変位が増大するにつれて接触面が益々押圧されるように又は次第に押圧されなくなるように斜めに延在してもよい。
【0016】
装置は、ケーブルへの接続用に接続部を有してもよい。特に、かかる接続部は、圧着部として構成されてもよい。それにより、簡単な接続が可能である。
【0017】
装置は2個のコンタクトアームを有してもよく、開始位置での接触面同士が、接触位置にある時よりも互いから更に離間している。このように構成された装置により、差し込み操作時に相手装置及び接触面を互いに損傷させることなく接触面間に相手装置を差し込むことができる。接触位置に到達する直前に、コンタクトアームと接触面は、挿入方向に関して交差する方向に方向転換させ、相手装置上に押圧させることができる。有利な実施形態では、コンタクトアーム同士が変位方向に対して互いに対向している。接触位置では、2個のコンタクトアームは、相手装置を締め付けることにより、少なくとも部分的に保持機能を果たすことができる。
【0018】
2個のコンタクトアームが存在する場合、両コンタクトアームは同一の駆動部材によって方向転換させることができる。それにより、簡単に製造及び組立を行うことができる。かかる駆動部材は、例えば、スリーブ状又はキャリッジ(往復台)状でもよい。この駆動部材は、例えば、相手装置と装置との間に変位可能に配置されてもよい。或いは、例えば、駆動部材は相手装置上に剛性的に配置されてもよい。特に、開始位置における接触面同士が接触位置にある時よりも互いから更に離間している2個のコンタクトアーム、例えば、変位方向に対して互いに対向する2個のコンタクトアームは、同一の駆動部材によって方向転換させてもよい。駆動部材の変位により、相手装置を締め付けることができる。
【0019】
駆動部材は、固定デバイス、特にコンタクト固定手段に固く連結されてもよい。特に、コンタクト固定手段は駆動部材と一体でもよい。かかる駆動部材は、従って、2機能を果たし、コンタクトアームを方向転換させるためだけでなく、例えばコネクタハウジング内での固定のために使用してもよい。
【0020】
本発明に係る装置は、電気コネクタの一部でもよい。コネクタは、例えば、コネクタハウジング等のその他の部材を更に有してもよい。
【0021】
本発明に係るプラグ接続部は、装置と相手装置を備える。
【0022】
プラグ接続部の有利な実施形態において、駆動部材は、相手装置に対する止め部に固く連結される。本発明に係るプラグ接続部を互いに連結させる時、相手装置が止め部に当接してもよい。更に変位した場合、固い連結により、駆動部材も自動的に変位させ、コンタクトアームを自動的に方向転換させる。それにより、変位中に接触が自動的に生成される。
【0023】
電気的接触のための装置を相手装置に連結するための本発明に係る方法により、装置の少なくとも1個の接触面は、相手装置の相手接触面上に載置される。この例では、装置の接触面は、擦られることなく相手装置の相手接触面に接触することができる。しかしながら、方法の有利な実施形態では、装置の接触面は、例えば、製造プロセス中に生じる汚染物を除去するために、変位方向とは反対方向での接触中に、相手装置の相手接触面を拭って(ワイピングして)もよい。必要に応じて、接触面は、相手接触面上を比較的高い圧力をかけながら移動して相手接触面を擦ることもできる。
【0024】
本発明は、一例として有利な実施形態を参照し且つ図面を参照して以下により詳細に説明される。記述される実施形態は、考え得る実施形態に過ぎないが、個々の特徴は、上述したように、組み合わせたり互いに独立して省略したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】開始位置におけるコネクタの一部としての本発明に係る装置及び相手装置の概略的な断面図である。
図2】中間位置における図1の本発明装置及び相手装置の概略的な断面図である。
図3】接触位置における図1及び図2の本発明装置及び相手装置の概略的な断面図である。
図4】本発明に係るコンタクト部材の概略的な斜視図である。
図5図4のコンタクト部材の別の概略的な斜視図である。
図6図4及び図5のコンタクト部材の概略的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、右側に電気的接触のための装置1を示す。装置1は、コネクタ2の一部である。装置は、本例では印刷回路基板4によって示す相手装置3に接続することができる。このために、相手装置3は、変位方向Mにコネクタ2に差し込まれる。図1は、装置1が相手装置3にまだ接触していない開始位置Aを示す。
【0027】
装置1は、変位方向Mに関して交差する方向に弾性的に方向転換させることができる複数のコンタクトアーム5を備える。コンタクトアーム5は、変位方向Mに関して互いに対向するように配置される。コンタクトアーム5は、印刷回路基板4の両面に関連付けられる。
【0028】
装置1は、変位方向Mに延在するコンタクトアーム5と平行にコンタクトアーム5上に方向転換可能に保持される駆動部材6を更に備える。
【0029】
駆動部材6は、コンタクト固定手段7に固く連結される。コンタクト固定手段7は、コネクタハウジング10にコンタクト部材9を保持する機能を果たす保持アーム8が方向転換するのを防止する。図示の開始位置Aでは、駆動装置6はコネクタハウジング10にまだ完全に挿入されておらず、コンタクト固定手段7は保持アーム8の後方に係合することも保持アーム8を阻止することもまだしていない。従って、コンタクト固定手段7は、コンタクト部材9をまだ固定していない。
【0030】
コネクタ2は更にシール11を有し、シール11によって、コネクタ2が相手装置3に接続された時にコネクタ2の内側が封止される。
【0031】
図2は中間位置Zを示す。中間位置Zでは、相手装置3は、コネクタ2に部分的に挿入されている。相手装置3の一部が、装置1の凹部12を塞ぎ、相手止め部13に衝突している。しかしながら、駆動部材6は、まだ相手装置3と共に変位方向Mに変位はしていない。コンタクトアーム5は、まだ図1からの開始位置Aと同じ位置にある。先の変位操作では、コンタクトアーム5は、まだ相手装置3に接触していない。コンタクトアーム5の端部に配置された接触面15は、まだ相手装置3上の相手接触面14と接触していない。接触面15は、まだコンタクト部材9の内側である。
【0032】
図3では、装置1は、相手装置3と共に接触位置Kで示されている。相手装置3は、装置1に接続される。装置1と相手装置3は、協働してプラグ接続部40を形成している。相手装置3は、変位方向Mにコネクタ2内に押し込まれており、止め部13上の駆動部材6を変位方向Mに変位させている。変位方向Mに対して斜めに延在する2個の方向転換部16は、同様に変位方向Mに対して斜めに延在する駆動部材6の2個の係合面18によって、変位方向Mに関して交差する方向に相手装置3上に方向転換している。ここで、方向転換部16の端部に配置された接触面15は、相手装置3上の相手接触面14に接触する。
【0033】
方向転換部16は、湾曲部20によって旋回部17に接続している。更に、旋回部17は、湾曲部21によって基部22に連結している。
【0034】
旋回部17及び方向転換部16は、協働してV字形を形成している。この形状は、特に変位方向Mに関して交差する方向にコンパクトである。更に、接触位置Kから駆動部材6が少し変位してもコンタクトアーム5の方向転換を変化させることがないので、変位方向Mに平行に内側係合面19を構成することにより、V形状の頂点23と共に、特定の部分に亘って一定に保たれる接触力を相手接触面14に加えることが保証される。
【0035】
ここで示す接触位置Kでは、コンタクトアーム5の接触面15同士は、開始位置A及び中間位置Zにあるときよりも間隔が狭くなっている。本発明に係る連結方法では、装置1の接触面15は、削られたり摩耗したりすることなく相手装置3の相手接触面14に接触する。この接触は、変位方向Mに関して交差する方向に行われる。接触面15は、相手接触面14上に載置される。しかしながら、この接触中でも、接触面15は、変位方向Mとは反対方向にまだ変位させることができ、相手接触面14から汚れを拭き取ったり相手接触面14を擦ったりすることができる。この拭き取り動作(ワイピング)中には、コンタクトアーム5の自由端は、接触面15と共に変位方向とは反対方向に相手接触面14上を移動する。このとき、旋回部17と方向転換部16によって形成されるV字形の角度が増加する。対向する基部22は固定支持されている。これにより、ほとんど抵抗のない接触が可能である。
【0036】
接触位置K、及び中間位置Zでは、コネクタ2の内側は、シール11によって封止される。
【0037】
更に、駆動部材6と一体であり、駆動部材6の一部と見なすことができるコンタクト固定手段7がコンタクト部材9をコネクタハウジングから脱落しないように固定するので、駆動部材6は接触位置Kにおいて2機能を果たす。このために、コンタクト固定手段7は、少なくとも部分的に保持アーム8の背後に係合し、変位方向Mに関して交差する方向に保持アーム8が方向転換することを阻止する。
【0038】
駆動部材6は、同時に2個のコンタクトアーム5を方向転換させるように機能する。駆動部材6は、コンタクト部材9に被さるキャリッジ又はスリーブのように押される。
【0039】
図1乃至図3は、夫々コンタクトアーム5を備える2個のコンタクト部材9を示す。当然のことながら、コネクタ2にはコンタクト部材9を3個以上又はコンタクト部材9を1個だけ収容させることもできる。コンタクト部材9は、例えば、図面の平面に関して図示のコンタクト部材9の手前又は奥に配置してもよい。駆動部材6は、全てのコンタクト部材9を同時に方向転換させると有利である。
【0040】
図4乃至6は、夫々コンタクトアーム5を備える本発明に係るコンタクト部材9を示す。
【0041】
図4では、コンタクト部材9を下方から見ることができる。コンタクト部材9は、挿入方向Eに、例えば、コネクタハウジング10に挿入される。この挿入方向Eは、駆動部材6が変位する変位方向Mと平行に且つこの変位方向Mと反対方向に延在する。この挿入操作中及び駆動部材6が係合される際に接触面15を保護するために、コンタクト部材9は、少なくとも開始位置Aにおいて、挿入方向E及び変位方向から見た場合、接触面15を覆う保護部材24を有する。保護部材24は、本例では保護壁として構成されている。接触位置Kでは、接触面15は、挿入方向E及び変位方向Mに関して交差する方向に保護部材24よりも突出する。
【0042】
コンタクトアーム5を更に保護するために、コンタクト部材9は、開始位置Aにおいてコンタクトアーム5を覆う側壁25を有する。
【0043】
保護部材24及び側壁25は、コンタクトアーム5を保護するコンタクト本体26の一部である。開始位置Aでは、コンタクトアーム5は、コンタクト本体26の内側にある。特に、コンタクトアーム5はコンタクト本体26の箱状部分、即ち、包囲面の内側にある。接触位置Kでは、コンタクトアーム5、特に接触面15は、コンタクト本体26から、即ち、コンタクト本体26の箱状部分から突出する。
【0044】
コンタクト本体26は、コンタクトアーム5と一体である。コンタクト部材9全体は、金属板から打ち抜かれ、曲げ加工によって成形された打ち抜き部である。
【0045】
図5では、コンタクト部材9を上方から見ることができる。コンタクト部材9は、ケーブル28に接続されている。接続部29は、ケーブル28の撚り線30を保持する圧着部として構成される。
【0046】
変位方向Mに対して斜めに延在する方向転換部16も見ることができ、接触位置Kでは方向転換部16上を駆動部材が前進する。方向転換部16もまた、側壁25によって保護される。
【0047】
図6は、コンタクト部材9の断面図である。旋回部17は湾曲部21によって基部22に関節接合されている。更に、方向転換部16が、湾曲部20によって旋回部17に関節接合されている。本実施形態により、方向転換部16は、変位方向Mに関して交差する方向に簡単に方向転換させることができる。これにより、コンタクトアーム5は、変位方向Mに関して交差する方向にコンパクトになる。接触面15に対向する頂点23により、変位方向Mに平行に延在する係合面19に当接した時に、一定の接触力及び方向転換が保証される。
【符号の説明】
【0048】
1 装置
2 コネクタ
3 相手装置
4 印刷回路基板
5 コンタクトアーム
6 駆動部材
7 コンタクト固定手段
8 保持アーム
9 コンタクト部材
10 コネクタハウジング
11 シール
12 凹部
13 止め部
14 相手接触面
15 接触面
16 方向転換部
17 旋回部
18 係合面
19 係合面
20 湾曲部
21 湾曲部
22 基部
23 頂点
24 保護部材
25 側壁
26 コンタクト本体
28 ケーブル
29 接続部
30 撚り線
40 プラグ接続部
A 開始位置
E 挿入方向
K 接触位置
M 変位方向
Z 中間位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6