【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、電気的接触のための装置であって、接触面を有する弾性的に方向転換可能なコンタクトアームと、コンタクトアームと平行に変位させることができる駆動部材とを備え、接触位置では駆動部材が開始位置から変位させられることによって、コンタクトアームを駆動部材の変位方向に関して交差する方向に弾性的に方向転換させる装置によって達成される。
【0004】
本発明に係る解決手段では、コンタクトアームは開始位置では相手コンタクト部材から離れており、駆動部材の変位によってのみ相手接触面上へ方向転換される。本発明に係る方法では、好ましくは、コンタクトアームを変位方向に関して交差する方向に方向転換させ、相手コンタクト部材上に押圧することによって、少なくとも1個の接触面を相手コンタクト部材の相手接触面上に載置させる。それにより、接触面及び相手接触面は、引っ掻かれることや削られたりすることが少なくなり、或いは全く引っ掻かれることや削られたりすることがなく、損傷の危険性が減少する。
【0005】
本発明に係る解決手段は、以下の発展形態及び実施形態によって更に向上させることができ、これらの発展形態及び実施形態は、単独で有利であり、且つ互いに自由に組み合わせることができる。
【0006】
駆動部材は、可能な限り最も簡単な方法で連結することができるように、コンタクトアーム上に変位可能に保持されてもよい。駆動部材は、コンタクトアーム上に直接的又は間接的に変位可能に保持されることができる。駆動部材は装置のハウジング上に変位可能に保持されてもよい。特に、駆動部材は解除不能な方法でコンタクトアーム上に変位可能に保持されてもよい。他の実施形態では、駆動部材は、相手装置、例えば、相手コネクタ又は印刷回路基板上に配置されてもよい。駆動部材は、装置と相手装置との間に嵌合させることができる中間部材上に配置されてもよい。
【0007】
装置は、コンタクトアームと、開始位置においてコンタクトアームを覆う側壁とを有するコンタクト部材を有してもよい。側壁は、特にコンタクト部材が相手装置と共に押される時又はコンタクト部材がコネクタに差し込まれる時に、コンタクトアームを保護するように機能する。このために、側壁はコンタクトアームを越えて横方向や下方及び上方に突出してもよい。接触位置では、少なくとも1個の接触面が側壁から突出してもよい。
【0008】
或いは、又は上記に加え、装置は、コンタクトアームと、開始位置において挿入方向や変位方向にから見た時に接触面を覆う保護部材を備えてもよい。それにより、コンタクト部材が、例えばコネクタハウジングに差し込まれる時、及び駆動部材を前進させる時、接触面が、挿入方向や変位方向、即ち、前方での損傷から保護される。接触位置では、少なくとも接触面が保護部材によって覆われなくなってもよく、横方向に接触してもよい。保護部材は、例えば保護壁として構成されてもよい。保護壁は、例えば曲げ加工によって金属板から簡単に形成することができる。
【0009】
コンタクトアームを有するコンタクト部材は、コンタクト本体を備えてもよく、コンタクトアームは開始位置ではコンタクト本体内に位置する。コンタクト本体は、コンタクトアームを1個以上の側面に向かって保護することができる。特に、コンタクト本体は全ての側面の方向にコンタクトアームを保護してもよい。コンタクト本体は、コンタクトアームが相手装置に接続される時に又はコンタクト部材がコネクタに差し込まれる時にコンタクトアームを保護してもよい。コンタクト本体は、特に側壁及び保護部材を有してもよい。開始位置では、コンタクトアームはコンタクト本体の箱状部分の内側に位置してもよい。接触位置では、少なくとも接触面が、電気的に接触することができるように、コンタクト本体から、特にコンタクト本体の箱状部分から突出してもよい。
【0010】
側壁、保護部材やコンタクト本体は、コンタクトアームと一体でもよい。例えば、コンタクト部材は、打ち抜き加工又は曲げ加工されたコンタクト部材でもよい。
【0011】
自動的に方向転換するために、コンタクトアームは、変位方向に関して斜めに延出し、基部に関して方向転換させることができる方向転換部を有してもよく、駆動部材は接触位置において方向転換部上を前進する。駆動部材の前進により、方向転換部及びコンタクトアームは駆動部材の変位方向に関して交差する方向に弾性的に方向転換し、相手コンタクト上に載置され、それによって接触が生成される。
【0012】
方向転換部は、開始位置では部分的又は完全にコンタクト本体内に位置することができる。接触位置では、方向転換部はコンタクト本体の少なくとも部分的に外側に位置してもよい。
【0013】
接触面は、方向転換部に接続されるか、方向転換部上に配置されてもよい。例えば、接触面は方向転換部の一端に位置してもよい。
【0014】
コンタクトアームは、湾曲部によって基部に関節接合された旋回部を有してもよい。この旋回部は、開始位置及び接触位置ではコンタクト本体内に位置してもよい。接触面及びコンタクトアームの旋回及び旋回の結果生じる方向転換は、旋回部によって促進させてもよい。旋回部は、方向転換部と隣接してもよく、例えば、湾曲部によって方向転換部に関節接合されてもよい。旋回部は、方向転換部と基部との間に配置されてもよい。特に、旋回部は方向転換部とは反対方向に延在してもよい。旋回部は、例えば、斜めであるがしかし変位方向に関して対角を有するように延在してもよい。例えば、旋回部は、方向転換部に対して実質的に垂直に延出してもよい。
【0015】
方向転換部及び旋回部は、協働して、変位方向に関して交差する方向に接触面と対向する頂点を有するV字形を形成してもよい。このV字形により、コンパクトな構造が得られる。このV字の頂点では、少なくとも接触位置では、コンタクトアームの方向転換が行われてもよい。それに相手して形成された変位方向と平行に延在する係合面によって、接触位置における接触面は、相手装置が装置に対して変位方向に大きく変位するか小さく変位するかに関わらず、均一に且つ一定の力によって方向転換される。他の実施形態では、係合面は、変位が増大するにつれて接触面が益々押圧されるように又は次第に押圧されなくなるように斜めに延在してもよい。
【0016】
装置は、ケーブルへの接続用に接続部を有してもよい。特に、かかる接続部は、圧着部として構成されてもよい。それにより、簡単な接続が可能である。
【0017】
装置は2個のコンタクトアームを有してもよく、開始位置での接触面同士が、接触位置にある時よりも互いから更に離間している。このように構成された装置により、差し込み操作時に相手装置及び接触面を互いに損傷させることなく接触面間に相手装置を差し込むことができる。接触位置に到達する直前に、コンタクトアームと接触面は、挿入方向に関して交差する方向に方向転換させ、相手装置上に押圧させることができる。有利な実施形態では、コンタクトアーム同士が変位方向に対して互いに対向している。接触位置では、2個のコンタクトアームは、相手装置を締め付けることにより、少なくとも部分的に保持機能を果たすことができる。
【0018】
2個のコンタクトアームが存在する場合、両コンタクトアームは同一の駆動部材によって方向転換させることができる。それにより、簡単に製造及び組立を行うことができる。かかる駆動部材は、例えば、スリーブ状又はキャリッジ(往復台)状でもよい。この駆動部材は、例えば、相手装置と装置との間に変位可能に配置されてもよい。或いは、例えば、駆動部材は相手装置上に剛性的に配置されてもよい。特に、開始位置における接触面同士が接触位置にある時よりも互いから更に離間している2個のコンタクトアーム、例えば、変位方向に対して互いに対向する2個のコンタクトアームは、同一の駆動部材によって方向転換させてもよい。駆動部材の変位により、相手装置を締め付けることができる。
【0019】
駆動部材は、固定デバイス、特にコンタクト固定手段に固く連結されてもよい。特に、コンタクト固定手段は駆動部材と一体でもよい。かかる駆動部材は、従って、2機能を果たし、コンタクトアームを方向転換させるためだけでなく、例えばコネクタハウジング内での固定のために使用してもよい。
【0020】
本発明に係る装置は、電気コネクタの一部でもよい。コネクタは、例えば、コネクタハウジング等のその他の部材を更に有してもよい。
【0021】
本発明に係るプラグ接続部は、装置と相手装置を備える。
【0022】
プラグ接続部の有利な実施形態において、駆動部材は、相手装置に対する止め部に固く連結される。本発明に係るプラグ接続部を互いに連結させる時、相手装置が止め部に当接してもよい。更に変位した場合、固い連結により、駆動部材も自動的に変位させ、コンタクトアームを自動的に方向転換させる。それにより、変位中に接触が自動的に生成される。
【0023】
電気的接触のための装置を相手装置に連結するための本発明に係る方法により、装置の少なくとも1個の接触面は、相手装置の相手接触面上に載置される。この例では、装置の接触面は、擦られることなく相手装置の相手接触面に接触することができる。しかしながら、方法の有利な実施形態では、装置の接触面は、例えば、製造プロセス中に生じる汚染物を除去するために、変位方向とは反対方向での接触中に、相手装置の相手接触面を拭って(ワイピングして)もよい。必要に応じて、接触面は、相手接触面上を比較的高い圧力をかけながら移動して相手接触面を擦ることもできる。
【0024】
本発明は、一例として有利な実施形態を参照し且つ図面を参照して以下により詳細に説明される。記述される実施形態は、考え得る実施形態に過ぎないが、個々の特徴は、上述したように、組み合わせたり互いに独立して省略したりすることができる。