特許第6366183号(P6366183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366183
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】フィルム被覆形成装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/12 20060101AFI20180723BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20180723BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B29C51/12
   B29C51/14
   B29C45/16
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-218293(P2014-218293)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-83841(P2016-83841A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124454
【氏名又は名称】河西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069431
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 成則
(74)【代理人】
【識別番号】100154335
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】木内 忠和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大樹
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−288214(JP,A)
【文献】 特開2013−208749(JP,A)
【文献】 実開平06−049021(JP,U)
【文献】 特開2014−151596(JP,A)
【文献】 特開平08−183089(JP,A)
【文献】 特開平11−235753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C51/00−51/46
B29C45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開口し、内部にヒーターが配設された上チャンバーと、上面が開口し、内部に被覆形成対象製品が配設される下チャンバーとの間にフィルムを挟み、上チャンバーおよび下チャンバーを減圧し、前記ヒーターで前記フィルムを軟化させた後、前記上チャンバーの減圧を解除して前記フィルムで前記被覆形成対象製品を加圧被覆成形するフィルム被覆形成装置であって、
前記上チャンバーの開口部一辺の下面に、前記上チャンバーと下チャンバーとの間にフィルムを挟む際に該フィルムをカットするカット刃を設け、
前記カット刃に対応する前記下チャンバーの開口部一辺の上面に、前記カット刃を受ける受溝を設けた
ことを特徴とするフィルム被覆形成装置。
【請求項2】
前記下チャンバーの開口部の各辺の上面に前記フィルムとの間をシールするシール部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載のフィルム被覆形成装置。
【請求項3】
前記フィルムは、
接着層の上に、印刷層、上皮層を積層した3層構造の積層フィルムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム被覆形成装置。
【請求項4】
前記フィルムは、
接着層の上に、印刷層、紫外線硬化ハードコート層、キャリアフィルム層を積層した4層構造の積層フィルムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム被覆形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆形成対象製品をフィルムで加圧被覆成形するフィルム被覆形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に示されるように、下面が開口し、内部にヒーターが配設された上チャンバーと、上面が開口し、内部に被覆形成対象製品が配設される下チャンバーとの間にフィルムを挟み、上チャンバーおよび下チャンバーを減圧し、前記ヒーターで前記フィルムを軟化させた後、前記上チャンバーの減圧を解除して前記フィルムで前記被覆形成対象製品を加圧被覆成形するフィルム被覆形成装置が知られている。
【0003】
上記従来のフィルム被覆形成装置は、フィルムをロールから引き出した後、人手、又は自動カット機によりフィルムをカットして、下チャンバーの上にセットし、その後、上チャンバーと下チャンバーとの間を閉じて、上記加圧被覆成形を行うように構成されている。
【0004】
しかし、上記フィルムカット作業は、別工程のためフィルム被覆形成作業の全体の作業時間が長くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−288214号公報
【特許文献2】特開2013−208749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、上チャンバーと下チャンバーとの間にフィルムを挟むだけでフィルムをカットできるようにして作業時間の短縮化を図ったフィルム被覆形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、下面が開口し、内部にヒーターが配設された上チャンバーと、上面が開口し、内部に被覆形成対象製品が配設される下チャンバーとの間にフィルムを挟み、上チャンバーおよび下チャンバーを減圧し、前記ヒーターで前記フィルムを軟化させた後、前記上チャンバーの減圧を解除して前記フィルムで前記被覆形成対象製品を加圧被覆成形するフィルム被覆形成装置であって、前記上チャンバーの開口部一辺の下面に、前記上チャンバーと下チャンバーとの間にフィルムを挟む際に該フィルムをカットするカット刃を設け、前記カット刃に対応する前記下チャンバーの開口部一辺の上面に、前記カット刃を受ける受溝を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記下チャンバーの開口部の各辺の上面に前記フィルムとの間をシールするシール部材を配設したことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記フィルムは、接着層の上に、印刷層、上皮層を積層した3層構造の積層フィルムからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、前記フィルムは、接着層の上に、印刷層、紫外線硬化ハードコート層、キャリアフィルム層を積層した4層構造の積層フィルムからなることを特徴とする。
【0011】
を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、下面が開口し、内部にヒーターが配設された上チャンバーと、上面が開口し、内部に被覆形成対象製品が配設される下チャンバーとの間にフィルムを挟み、上チャンバーおよび下チャンバーを減圧し、前記ヒーターで前記フィルムを軟化させた後、前記上チャンバーの減圧を解除して前記フィルムで前記被覆形成対象製品を加圧被覆成形するフィルム被覆形成装置であって、前記上チャンバーの開口部一辺の下面に、前記上チャンバーと下チャンバーとの間にフィルムを挟む際に該フィルムをカットするカット刃を設け、前記カット刃に対応する前記下チャンバーの開口部一辺の上面に、前記カット刃を受ける受溝を設けて構成したので、上チャンバーと下チャンバーとの間にフィルムを挟むだけでフィルムをカットすることができ、これにより作業時間を短縮化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係るフィルム被覆形成装置の一実施例を示す側面図である。
図2図2は、図1に示したフィルム被覆形成装置の下チャンバーの上面図である。
図3図3は、図1に示したフィルム被覆形成装置の動作を説明する図である。
図4図4は、図1に示したフィルム被覆形成装置の動作を説明する図である。
図5図5は、図1に示したフィルム被覆形成装置で用いるフィルム構成の一例を示す図である。
図6図6は、図5(B)示したフィルムを用いた場合の転写動作を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るフィルム被覆形成装置の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るフィルム被覆形成装置の一実施例を側面図で示すもので、図2は、図1に示したフィルム被覆形成装置の下チャンバーの上面図を示すものである。
【0016】
図1において、このフィルム被覆形成装置は下面が開口し、内部にヒーター11が配設された上チャンバー10と上面が開口し、内部に被覆形成対象製品30が配設される下チャンバー20とを具備して構成される。
【0017】
被覆形成対象製品30は、下チャンバー20内のテーブル21上に載置され、テーブル21の下面には、このテーブル21を上下するリフター22が設けられている。なお、このテーブルには、後に説明するフィルム被覆形成を可能にするための複数の孔が形成されている。
【0018】
下チャンバー20の上面各辺には、フィルム40を載置するためのフランジ23が形成されている。
【0019】
上チャンバー10の開口部一辺の下面には、上チャンバー10と下チャンバー20との間にフィルム40を挟む際に、このフィルム40をカットするカット刃12が設けられ、下チャンバー20には、上記カット刃12に対応する下チャンバー20の開口部一辺の上面に、カット刃を受ける受溝24が形成されている。
【0020】
下チャンバー20の開口部の各辺の上面には、図2に示すように、下チャンバー20の開口部の各辺の上面とフィルム40との間をシールするシール部材(Oリング)25が配設されている。
【0021】
次に、このフィルム被覆形成装置による被覆形成対象製品30のフィルム被覆形成動作を図3及び図4を参照して説明する。
【0022】
まず、図3(A)に示すようように、フィルム40をロール41から引き出して、下チャンバー20の上面の開口部を覆うように載置する。ここで、フィルム40の各辺は、下チャンバー20のフランジ23で支えられている。
【0023】
この状態で、上チャンバー10を下降させて、上チャンバー10と下チャンバー20との間を図3(B)に示すように閉じる。
【0024】
この上チャンバー10と下チャンバー20との間を閉じる動作に際して、上チャンバー10の開口部一辺の下面に設けられたカット刃12により、フィルム40がカットされる。このフィルム40をカットしたカット刃12はこのカット刃12に対応して下チャンバー20の開口部一辺の上面に設けられた受溝24に収容される。
【0025】
これにより、上チャンバー10及び下チャンバー20は、カットされたフィルム40を挟んで、それぞれ気密空間を形成する。
【0026】
そして、上チャンバー10及び下チャンバー20の内部を減圧して真空状態にし、上チャンバー10内のヒーター11によりフィルム40を加熱して軟化させる。
【0027】
次に、図3(C)に示すように、リフター22によりテーブル21を上昇させて、被覆形成対象製品30をフィルム40に押し当てる。
【0028】
この状態で、図4(D)に示すように、上チャンバー10内の減圧を解除する。すると、フィルム40の上面側から被覆形成対象製品30に空圧がかかり、これによりフィルム40は被覆形成対象製品30の上面に密着する。
【0029】
ここで、上記フィルム40は、図5(A)に示すように、被覆形成対象製品30の上面に接触する部分が接着剤層41からなり、この接着層41の上に種々の模様等が印刷された印刷層42、アクリル等からなる上皮層43を積層した3層構造の積層フィルムから構成されているので、被覆形成対象製品30の表面を所望の模様で覆った耐久性のある美的に優れたフィルム被覆形成を行うことができる。
【0030】
その後、図4(E)に示すように、上チャンバー10を上昇させて、上チャンバー10と下チャンバー20との間を開き、フィルム被覆形成された被覆形成対象製品30を取り出し、図4(F)に示すように、製品外のあまったフィルム40を切り取るトリミングが行われて、被覆形成対象製品30のフィルム被覆形成処理が終了する。
【0031】
上記構成によると、上チャンバー10と下チャンバー20との間を閉じる動作に際して、フィルム40が自動的にカットされるので、別工程であったフィルムカット作業は不要になるので、フィルム被覆形成作業の全体の作業時間を短くすることができる。
【0032】
なお、上記フィルム40としては、図5(B)に示すように、接着層41の上に、印刷層42、紫外線硬化ハードコート層(UV硬化層)44、キャリアフィルム層45を積層した4層構造の転写タイプのフィルムを用いて構成してもよい。
【0033】
この転写タイプのフィルムを用いると、図4(E)でフィルム被覆形成された被覆形成対象製品30を取り出した後、キャリアフィルム層45を剥がすと、図6に示すように、被覆形成対象製品30以外の部分は、キャリアフィルム層45に付着して剥がれるので、図4(F)に示したようなトリミング処理は不要になる。
【0034】
また、図4(D)に示す減圧解除に際して、上チャンバー10内に加熱された水蒸気を加えるように構成してもよい。このように構成すると、水蒸気による追加熱でフィルム40と被覆形成対象製品30との接着強度がアップし、被覆形成対象製品30に対するフィルム40の追従性も向上し、更に耐久性のある優れた製品を成形することができる。
【0035】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 上チャンバー
11 ヒーター
12 カット刃
20 下チャンバー
21 テーブル
22 リフター
23 フランジ
24 受溝
25 シール部材(Oリング)
図1
図2
図3
図4
図5
図6