(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ブームヘッドの先端の上部に第1連結部を設け、ジブ本体の後部に回動可能に設けられたジブサポートの後端の上部に第1連結部に着脱可能に連結される第2連結部を設け、前記ブームヘッドの先端の下部と前記ジブサポートの後端の下部とのどちらか一方に係止部を設け他方にこの係止部に係合する係合部を設け、前記ジブ本体を横たわらせるとともに該ジブ本体を起伏させるシリンダを伸長させて前記ジブサポートを該ジブ本体の後部とともにウインチによりワイヤで引っ張り上げることによって、前記ジブサポートの下部に設けた係合部又は係止部に前記ブームヘッドの先端の下部に設けた係止部または係合部を係合させ、この後、前記シリンダを収縮させることにより、ジブサポートをその係止部を中心にして所定量だけ回動させ、第1連結部に第2連結部を連結してジブをブームヘッドに装着させるジブの着脱機構であって、
前記ウインチによって前記ジブサポートをワイヤで引っ張り上げる際に、前記ジブサポートの係合部または係止部をブームヘッドの係止部または係合部に係合する位置へ案内し、且つ、前記シリンダを収縮させて前記係止部を中心にしてジブサポートを回動させた際に、前記ウインチによって引っ張り上げられているワイヤの状態が変化しないようにするガイド機構を設け、
前記ガイド機構は、前記ブームヘッドの先端に設けたガイド手段と、前記ジブサポートの後端に設けられるとともに前記ガイド手段に案内される被案内部材とを備え、前記被案内部材をワイヤで前記ウインチにより引っ張り上げて、この被案内部材を前記ガイド手段に接触させて該被案内部材を左右方向の位置を規制しながらガイド手段に案内させることによって、前記ジブサポートの係合部または係止部をブームヘッドの係止部または係合部に、左右方向のズレを防止して係合させ、
前記被案内部材は、上下方向に延びるとともに前記ガイド手段に案内されるガイド部材と、このガイド部材を保持する保持部材とを有し、
前記ガイド部材の下部に、ウインチによって引っ張り上げられるロープが固定され、
前記保持部材の下部が、前記ジブサポートの係合部または係止部の近傍位置に固定されることを特徴とするジブの着脱機構。
【実施例】
【0011】
[第1実施例]
図1に先端ブーム16Cの先端にジブ50を装着したオールテレーンクレーン10を示す。
【0012】
このオールテレーンクレーン10(以下クレーンとして記載する)は、走行機能を有する車両の本体部分となるキャリア11と、このキャリア11の前側に設けられた左右一対の前側アウトリガ12と、キャリア11の後側に設けられた左右一対の後側アウトリガ13と、キャリア11の上部に水平旋回可能に取り付けられた旋回台14と、旋回台14に設けたキャビン20と、旋回台14に固定されたブラケット15に取り付けられた伸縮ブーム16等とを備えている。
【0013】
伸縮ブーム16は、その基端部が支持軸(図示せず)を介して取り付けられており、支持軸を中心に起伏可能となっている。ブラケット15と伸縮ブーム16との間には起伏用シリンダ18が介装され、この起伏用シリンダ18の伸縮により伸縮ブーム16が起伏される。
【0014】
伸縮ブーム16は、ベースブーム16Aと複数の中間ブーム16Bと先端ブーム16Cとを有し、この順序でベースブーム16A内に外側から内側に入れ子式に組み合わされた複数のブームで構成され、伸縮シリンダ(図示せず)によって伸縮するようになっている。
【0015】
先端ブーム16Cには、
図2ないし
図4に示すように、ブームヘッド30が設けられており、このブームヘッド30には、複数のシーブ31a〜31dが設けられている。
【0016】
ブームヘッド30の先端には端板32が設けられており、この端板32の上部(
図4において)の両側には連結部(第1連結部)33,34が設けられている。連結部33,34は、相対向した一対の連結板33A,33B、34A,34Bから構成され、連結板33A,33B、34A,34Bにはピン穴33Aa,33Ba、34Aa,34Baがそれぞれ形成されている。
【0017】
同様に、端板32の下部の両側には軸保持部35,36が設けられており、軸保持部35,36は、相対向した一対の軸保持板35A,35B、36A,36Bから構成され、軸保持板35A,35B、36A,36Bにはピン穴35Aa,35Ba、36Aa,36Baがそれぞれ形成されている。軸保持板35A,35B、36A,36Bのピン穴35Aa,35Ba、36Aa,36Baには、後述する軸ピン(係止部)P1,P1が挿通されるようになっている。
【0018】
また、端板32の下部の中央部には、後述するガイドローラ(被案内部材)70を保持する保持部37が設けられており、保持部37は筒部37Aとこの筒部37Aを端板32に固定する支持壁37Bとを有している。この筒部37Aには、
図5に示すように、ガイドローラ70の支持棒71が挿入されてガイドローラ70が保持部37に保持されるようになっている。
[ジブ]
ジブ50は、
図6に示すようにジブ本体51と、このジブ本体51の後部に回動可能に設けられたジブサポート60と、ジブサポート60に対してジブ本体51を起伏させるシリンダ52とを有している。
【0019】
シリンダ52の伸縮動作により、ジブ本体51はジブサポート60に対して軸53回りに回動して、ジブサポート60に対して起伏することになる。
図6はシリンダ52が伸長した状態を示すものであり、この状態からシリンダ52が縮小すると、軸53を中心にしてジブ本体51がジブサポート60に対して矢印方向へ回動していく。
【0020】
ジブサポート60の一側部には、
図7ないし
図9に示すように、ガイドローラ70が着脱可能に取り付けられており、また、ジブサポート60の後端には、ガイドサポート(ガイド手段)100が設けられている。
【0021】
そして、ガイドローラ70とガイドサポート100とでガイド機構が構成される。
[ジブサポート]
ジブサポート60は、
図7及び
図8に示すように、側壁61に設けたブラケット63に保持された筒状の軸受部62を有している。
軸受部62には、ガイドローラ70の支持棒71が着脱可能に挿入されてガイドローラ70が軸受部62に保持されている。
【0022】
ジブサポート60の後端の上壁部60Aの両端には、ブームヘッド30の連結部33,34に連結される連結部(第2連結部)64,65が設けられている。
【0023】
連結部64は、
図7,
図9及び
図10に示すように、それぞれ所定距離離間して配置された3つの連結板64A〜64Cを有しており、これら連結板64A〜64Cにはピン穴64Aa〜64Caがそれぞれ形成されている。
【0024】
そして、連結板64Aと連結板64Bとの間にはブームヘッド30の連結部33の連結板33Aが挿入され、連結板64Bと連結板64Cとの間には連結部33の連結板33Bが挿入されるようになっている。
【0025】
また、連結部65は、
図7,
図9及び
図10に示すように、それぞれ所定距離離間して配置された3つの連結板65A〜65Cを有しており、これら連結板65A〜65Cにはピン穴65Aa〜65Caがそれぞれ形成されている。
【0026】
そして、連結板65Aと連結板64Bとの間にはブームヘッド30の連結部34の連結板34Aが挿入され、連結板65Bと連結板65Cとの間には連結部34の連結板34Bが挿入されるようになっている。
【0027】
ジブサポート60の後端の下壁部60Bの両端には、係合部66,67が設けられている。係合部66は、所定距離離間した3つの係合板66A〜66Cを有しており、各係合板66A〜66Cには上方に向けって開放された凹部66Aa〜66Caが形成されている。この凹部66Aa〜66Caには後述する軸ピンP1が係合するようになっている。
【0028】
係合板66Aと係合板66Bとの間には、ブームヘッド30の軸保持部35の軸保持板35Aが挿入され、係合板66Bと係合板66Cとの間には、ブームヘッド30の軸保持部35の軸保持板35Bが挿入されるようになっている。
【0029】
同様に、係合部67は、所定距離離間した3つの係合板67A〜67Cを有しており、各係合板67A〜67Cには上方に向けって開放された凹部67Aa〜67Caが形成されている。この凹部67Aa〜67Caには後述する軸ピンが係合するようになっている。
【0030】
係合板67Aと係合板67Bとの間には、ブームヘッド30の軸保持部36の軸保持板36Aが挿入され、係合板67Bと係合板67Cとの間には、その軸保持部36の軸保持板36Bが挿入されるようになっている。
【0031】
係合部66,67の外側方には、
図7及び
図10に示すようにフック68,69が軸68J,69J回りに回動可能に設けられており、係合板66A〜66C,67A〜67Cの凹部66Aa〜66Ca,67Aa〜67Caに軸ピンP1が係合された場合、フック68,69を軸68J,69J回りに回動させ、フック68,69の凹部68a,69aをその軸ピンP1に係合させて軸ピンP1が係合板66A〜66C,67A〜67Cの凹部66Aa〜66Ca,67Aa〜67Caから外れないようにするものである。
【0032】
ブームヘッド30の連結部33,34と軸保持部35,36と、ジブサポート60の連結部64,65及び係合部66,67とでジブ50の着脱機構が構成される。
[ガイドローラ]
ガイドローラ70は、
図11ないし
図13に示すように、ガイドローラ本体72と、このガイドローラ本体72を回動自在に保持した保持枠体73と、保持枠体73の底板73Aに設けられた支持棒71等とを有している。
[ガイドローラ本体]
ガイドローラ本体72は、周面の中央部に周方向に沿って形成された環状のガイド溝(環状溝)72Aと、このガイド溝72Aの両側に周方向に沿って形成されるとともに所定の幅の周面72B,72Bと、周面72B,72Bの外側に一段高く形成された段部72C,72Cとを有している。
【0033】
また、ガイドローラ本体72には、周面72Bの軸線方向に沿って軸穴72Hが形成されている。
[保持枠体]
保持枠体73は、ガイドローラ本体72の軸穴72Hに挿通された軸部73Jと、この軸部73Jの両端部を保持した側板部73B,73Bと、側板部73B,73Bを連結した底板73Aと、底板73Aの上方に配置された補強板73Kとを有している。
【0034】
補強板73Kには支持棒71の上部が固定され、この支持棒71が底板73Aを貫通しており、補強板73Kと底板73Aとに支持棒71が固定されている。そして、この支持棒71によってガイドローラ本体72は保持枠体73を介して支持された状態になっている。
【0035】
また、ガイドローラ本体72は、軸部73Jを中心にして回動自在となっている。
【0036】
側板部73B,73Bの上部には突出部74,74が形成され、この突出部74,74間にはロッド75が架け渡されている。ロッド75には、ワイヤを結び付けるための穴76Aを有する接続部材76が設けられている。
[ガイドサポート]
ガイドサポート100は、
図14(A),(B)に示すように、所定距離離間して相対向した一対のガイド壁(ガイド部材)101,101と、このガイド壁101,101を保持した保持部材110と、ガイド壁101,101間に配置されたワイヤ102とを有している。
[ガイド壁]
一方のガイド壁101の右側(
図14(B)において)の端面101Aはガイド面となっており、端面101Aの上部が垂直状に形成されて垂直ガイド面101Aaとなっている。この垂直ガイド面101Aaの上部が斜め上方に傾斜した上部ガイド面101Asとなっている。また、垂直ガイド面101Aaから下側が前方(
図14(B)において左側)へ傾斜した傾斜ガイド面101Abとなっている。他方のガイド壁101も同様な構成となっているので、その説明は省略する。
【0037】
ガイド壁101,101の下部には連結軸103が固定されており、この連結軸103に索端金具104の下部104Aが回動自在に取り付けられている。索端金具104内にはワイヤ102の端部が挿入されており、この端部が索端金具104内で固定されている。
【0038】
ガイド壁101,101は複数のピン105〜107で連結され、ガイド壁101,101間には、
図14(B)に示すように左側にはカバー壁108が配置され、右側にはカバー壁109が配置されている。
【0039】
索端金具104は、カバー壁108とピン107とによってガイド壁101の傾斜ガイド面101Abとほぼ平行となっている。そして、カバー壁109とピン105とカバー壁108の上部とによって、ワイヤ102を上方へ案内するようになっている。
【0040】
ワイヤ102を上方に引っ張り上げると、カバー壁108により
図14(B)に示すように、ワイヤ102と後述する脚部材111とが一直線状となるように設定されている。
[保持部材]
保持部材110は、下方に延びた一対の脚部材111,111を有し、この脚部材111,111の上部に上記のガイド壁101,101の上部が固定されている。脚部材111,111の下端部111A,111Aは、軸部材113,113を介して
図7や
図9及び
図10に示すように、ジブサポート60の下壁部60Bに設けた支持片60S,60Sに固定されている。脚部材111は、ガイド壁101,101に対して左右対称となっている。
【0041】
脚部材111,111の下部側とガイド壁101,101の下部とが連結部材114,114により連結固定されている。
【0042】
軸部材113,113の位置は、係合板66A〜66C, 67A〜67Cの凹部66Aa〜66Ca, 67Aa〜67Ca(
図10参照)に軸ピンP1,P1が係合した際の軸ピンP1,P1の軸線の近傍位置に設定されている。
【0043】
また、一方(
図9及び
図10において右側)の脚部材111は、この脚部材111に設けた接続部材112と、ジブサポート60の後端の支柱壁部60Cに設けた接続部材60FにピンP5により接続されている。これら接続などにより、ガイドサポート100は、
図7ないし
図10に示すようにジブサポート60の後端に固定されている。
[ジブの装着]
次に、上記のように構成されるジブ50のブームヘッド30への装着方法について説明する。
【0044】
先ず、
図15に示すように、ジブ50のシリンダ52を伸長動作させて、ジブサポート60に対してジブ本体51の起伏角が最大となるようにして、このジブ50を地上に横置きにする。なお、ジブサポート60の軸受部62には、
図7に示すように、ガイドローラ70の支持棒71が挿入されてガイドローラ70が軸受部62に保持されている。
【0045】
次に、クレーン10の伸縮ブーム16を格納した状態のままにして、伸縮ブーム16のブームヘッド30が
図16に示すように、ジブサポート60の上方の近傍に位置するようにクレーン10を移動させる。また、ブームヘッド30の軸保持板35A,35B、36A,36B(
図4参照)のピン穴35Aa,35Ba、36Aa,36Baに軸ピンP1(
図16のみ図示)をそれぞれ挿入させる。
【0046】
ワイヤ(図示せず)の先端部をガイドローラ70の接続部材76に結び、クレーン10のウインチ(図示せず)によってワイヤを引っ張り上げることにより、
図7に示すジブサポート60の軸受部62からガイドローラ70を取り外す。
【0047】
軸受部62から取り外されたガイドローラ70はワイヤによって引き上げていき、
図16に示すブームヘッド30の筒部37Aにガイドローラ70の支持棒71を挿入させる。この支持棒71の筒部37Aへの挿入は、ウインチの繰り出しによりガイドローラ70を下方に移動させることによって行う。
【0048】
ブームヘッド30の筒部37Aにガイドローラ70の支持棒71を挿入させることにより、
図17に示すように、ガイドローラ70をブームヘッド30の筒部37Aに保持させる。
【0049】
筒部37Aはブームヘッド30の下部に設けられているので、ガイドローラ30を装着させる位置は低い位置となるのでその装着作業は安全なものとなる。また、クレーンのワイヤでジブサポート60の軸受部62からガイドローラ30を引っ張り上げるようにしたものであるから、ガイドローラ30専用のウインチを設ける必要がない。
【0050】
この後、ガイドローラ70の接続部材76に結んだワイヤを外し、このワイヤW(
図17参照)の先端部Waが先端ブーム16Cの上面にくるまでワイヤを巻き戻す。
【0051】
次に、ガイドサポート100のワイヤ102を
図17に示すガイドローラ70のガイドローラ本体72のガイド溝72A(
図11参照)に挿入させ、さらにブームヘッド30のシーブ31b(
図2参照)に掛け渡し、このワイヤ102の後端部とワイヤWの先端部とを
図17に示すようにジョイント部材120を介して接続する。
【0052】
そして、ウインチによってワイヤWを巻き取ることにより、ワイヤ102が引っ張り上げられていく。このワイヤ102の引っ張り上げによって、ジブサポート60がジブ本体51の後部とともに引き上げられていく。このとき、ワイヤ102がガイドローラ体72のガイド溝72Aに挿入されていることにより、ブームヘッド30に対するジブサポート60の左右方向(伸縮ブーム16の幅方向)のズレが矯正され、ブームヘッド30の左右方向に対する所定位置にジブサポート60が移動されていくことになる。
【0053】
ジブサポート60が所定の高さまで引き上げられると、
図18に示すように、ガイドローラ本体72の周面72B,72B(
図11参照)にガイドサポート100のガイド壁101,101の上部ガイド面101As,101Asが当接する。さらに、ワイヤ102の引っ張り上げにより、ガイド壁101,101の垂直ガイド面101Aa,101Aaがガイドローラ本体72の周面72B,72Bに当接していき、この後、
図19に示すように、ガイド壁101,101の傾斜ガイド面101Ab,101Abがガイドローラ本体72の周面72B,72Bに当接していく。
【0054】
このガイド壁101,101の上部ガイド面101As, 101As、垂直ガイド面101Aa,101Aa、傾斜ガイド面101Ab,101Abへのガイドローラ本体72の周面72B,72Bの当接は、ガイドローラ本体72のガイド溝72A内にワイヤ102が挿入されてこのガイド溝72Aに案内されることにより、確実に行われることになる。
【0055】
また、ガイド壁101,101の傾斜ガイド面101Ab,101Abにガイドローラ本体72の周面72B,72Bが当接していくことにより、ジブサポート60が
図20及び
図21に示す所定の位置まで案内されることになる。
【0056】
すなわち、
図21に示すように、ガイドローラ本体72の周面72B,72Bがガイド壁101,101の傾斜ガイド面101Ab,101Abの下部に当接する位置にくると、ブームヘッド30の軸保持板35A,35B、36A,36Bのピン穴35Aa,35Ba、36Aa,36Ba(
図4参照)に挿入された軸ピンP1,P1の下方の位置に、ジブサポート60の係合板66A〜66C,67A〜67Cの凹部66Aa〜66Ca,67Aa〜67Ca(
図7参照)が位置する。
【0057】
この位置は、ジブサポート60を引っ張り上げるとブームヘッド30の軸保持部35,36の軸ピンP1,P1にジブサポート60の係合部66,67が係合する位置である。
【0058】
つまり、ガイドローラ70のガイドローラ本体72にガイドサポート100のガイド壁101,101が案内されて、ジブサポート60が上記位置に案内されることになる。
【0059】
図21に示す状態から、さらにワイヤ102の引っ張り上げによりジブサポート60がさらに持ち上げられていくと、
図22に示すように、係合板67Aの凹部67Aaに軸ピンP1が挿入されていく。
【0060】
すなわち、
図22Aに示すように、ジブサポート60の係合板66A〜66C,67A〜67Cの凹部66Aa〜66Ca,67Aa〜67Caにブームヘッド30の軸保持部35の軸ピンP1が挿入されていく。
【0061】
そして、
図23に示すように、係合板67Aの凹部67Aaに軸ピンP1が係合される。すなわち、ジブサポート60の係合板66A〜66C,67A〜67Cの凹部66Aa〜66Ca,67Aa〜67Caにブームヘッド30の軸保持部35,36の軸ピンP1,P1が係合される。
【0062】
この係合は、
図22Aに示すように、係合部66の係合板66Aと係合板66Bとの間にブームヘッド30の軸保持部35の軸保持板35Aが挿入され、係合板66Bと係合板66Cとの間にブームヘッド30の軸保持部35の軸保持板35Bが挿入されていき、同様に、係合部67の係合板67Aと係合板67Bとの間にブームヘッド30の軸保持部36の軸保持板36Aが挿入され、係合板67Bと係合板67Cとの間に軸保持部36の軸保持板36Bが挿入されていくことにより行われる。
【0063】
これら挿入は、ワイヤ102がガイドローラ本体72のガイド溝72A内に挿入されていることにより、ブームヘッド30に対するジブサポート60の左右方向のズレが防止されるので、確実に行うことができる。
【0064】
係合板66A,66B、67A,67Bの凹部66Aa,66Ba、67Aa,67Ba(
図23参照)に軸ピンP1,P1が係合されたらウインチの動作を停止させる。この後、
図24に示すように、フック69を回動させてフック69の凹部69aを軸ピンP1に係合させる。同様に、フック68(
図10参照)の凹部68aを軸ピンP1に係合させる。
【0065】
次に、ジブ50のシリンダ52を収縮動作させていくと、
図24Aに示すように、ジブ本体51が軸53を中心にして矢印方向に回動する力が働き、ジブ本体51の先端部のシーブ55が地上に当接した状態となっていることにより、軸53がせり上がっていく。このせり上がりにより、ジブ50のジブサポート60は、
図25に示すように、軸ピンP1,P1を中心にして時計回りに回動していく。
【0066】
ジブサポート60が
図25に示す鎖線位置へ回動していくと、
図26に示すように、ジブサポート60の連結部65の連結板65Aと連結板65Bとの間にはブームヘッド30の連結部34の連結板34Aが挿入され、連結板65Bと連結板65Cとの間には連結部34の連結板34Bが挿入されていく。同様に、ジブサポート60の連結部64の連結板64Aと連結板64Bとの間にはブームヘッド30の連結部33の連結板33Aが挿入され、連結板64Bと連結板64Cとの間には連結部33の連結板33Bが挿入されていく。
【0067】
これら挿入が完了したら、ウインチの動作を停止させるとともに、連結板64A〜64Cのピン穴64Aa〜64Ca及び連結板33A,33Bのピン穴33Aa,33BaにピンP3を挿通し、連結板65A〜65Cのピン穴65Aa〜65Ca及び連結板34A,34Bのピン穴34Aa,34BaにピンP4を挿通する。これにより、ジブサポート60の連結部64,65の連結板64A〜64C、65A〜65Cと、ブームヘッド30の連結部33,34の連結板33A,33B、34A,34Bとが接続されて、ジブサポート60がブームヘッド30に装着されることになる。すなわち、ジブ50がブームヘッド30に装着されることになる。
【0068】
ジブ50のブームヘッド30からの取り外しは、上記と逆の作業を行えばよいので、その説明は省略する。
【0069】
上述のように、ジブ本体51の起伏用のシリンダ52を収縮動作させることにより、ジブサポート60の連結部64,65をブームヘッド30の連結部33,34の連結位置へ移動させることができるので、ジブサポート60をブームヘッド30に装着させるための専用のシリンダは不要となる。
【0070】
シリンダ52の収縮動作により、ジブサポート60は、
図25に示すように、軸ピンP1を中心にして時計回りに回動していくが、ガイドサポート100の脚部材111,111の下端部111A,111Aを固定した軸部材113,113の位置H1が軸ピンP1の軸線近傍に設定されていることにより、その回動によって軸部材113,113の位置H1はほとんど移動しない。このため、その回動によってワイヤ102の張力が変化することがなく、このワイヤ102の張力の変化によってジブサポート60が落下してしまうことがない。
【0071】
軸部材113,113の位置H1が移動しないことにより、ワイヤ102の引っ張り状態が変化しないことになる。このため、シリンダ52の収縮動作によってワイヤ102に必要以上の力が加わってしまうことによる不具合も生じない。
【0072】
また、ワイヤ102によってジブサポート60を引っ張り上げるとき、
図14(B)に示すように、カバー壁108によりワイヤ102とガイドサポート100の脚部材111とが一直線状となるので、脚部材111,111の上方を持ち上げる状態となり、
図14(A)に示すように、脚部材111,111の上方の位置F1と脚部材111の下端部111A,111Aの軸部材113,113との各点を結ぶと二等辺三角形となり、この二等辺三角形の頂点(F1)を持ち上げていく状態となるので、ジブサポート60を安定させた状態で持ち上げていくことができる。
【0073】
ガイドサポート100とガイドローラ70は、ブームヘッド30とこのブームヘッド30に装着されたジブサポート60との間に収納される状態となるので、クレーン10が大型化してしまうことがない。
【0074】
上記実施例では、ブームヘッド30に軸ピンP1を取り付ける軸保持部35,36(
図4参照)を設け、ジブサポート60に軸ピンP1に係合する係合部66,67(
図7参照)を設けているが、この逆であってもよい。また、軸ピンP1,P1の軸線の位置からずれた位置に、脚部材111の下端部111A,111Aの軸部材113,113が設けられているので、ブームヘッド30からジブ50を取り外す際に軸ピンP1,P1を取り外すが、この軸ピンP1,P1を軸線方向に沿って取り外すときに軸部材113,113が邪魔にならない。
【0075】
また、上記実施例では、ガイドローラ70を使用しているが、これに限らず、例えば表面の摩擦抵抗の小さい材質のものを使用すれば、ローラである必要はない。
【0076】
上記実施例では、クレーン10の伸縮ブーム16のブームヘッド30にジブ50を装着させる着脱機構について説明したが、これに限らず、固定式の作業機械のブームの先端部にジブを装着する着脱機構であってもよい。
【0077】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。