特許第6366296号(P6366296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366296
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】経路探索装置および経路探索方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20180723BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20180723BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20180723BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/01 A
   G08G1/13
   G08G1/137
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-31454(P2014-31454)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2015-155863(P2015-155863A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100097146
【弁理士】
【氏名又は名称】下出 隆史
(72)【発明者】
【氏名】田代 博之
(72)【発明者】
【氏名】廣尾 啓
(72)【発明者】
【氏名】中村 元裕
(72)【発明者】
【氏名】小段 友紀
(72)【発明者】
【氏名】池野 篤司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】小柴 定弘
(72)【発明者】
【氏名】前川 和輝
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−141145(JP,A)
【文献】 特開2005−122461(JP,A)
【文献】 特開2013−029421(JP,A)
【文献】 薄井 智貴,プローブカーデータによる時空間道路交通データベースの構築および自動更新手法,第70回(平成20年)全国大会講演論文集(3),日本,2008年 3月13日,p.309-310
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/01
G08G 1/13
G08G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する経路探索装置であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、且つ一つの確率分布の関数と、一つの確率分布の関数と所定の範囲の値において一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数とを含むことを特徴とする交通情報データを記憶する記憶部と、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう処理部と
を備えた経路探索装置
【請求項2】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する経路探索装置であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、且つ一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数と、確率分布の関数と旅行時間の所定の範囲の値において一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数とを含むことを特徴とする交通情報データを記憶する記憶部と、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう処理部と
を備えた経路探索装置
【請求項3】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する経路探索装置であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、前記確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、前記関数は、前記リンクに対応した前記通路の通路構造の種類に対応付けられており、前記通路の通路構造は、当該通路において通行を停止させる停止要因および通行を停滞させる渋滞要因を少なくとも含む形成要因より分類されている交通情報データを記憶する記憶部と、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう処理部と
を備えた経路探索装置
【請求項4】
前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数を含むことを特徴とする請求項3記載の経路探索装置
【請求項5】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する経路探索装置であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、前記関数は、前記リンクに対応した前記通路の通路構造の種類に加えて、当該通路に接続する周辺の通路の通路構造にも対応付けられており、前記通路の通路構造は、当該通路において通行を停止させる停止要因および通行を停滞させる渋滞要因を少なくとも含む形成要因より分類されている交通情報データを記憶する記憶部と、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう処理部と
を備えた経路探索装置
【請求項6】
前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数を含むことを特徴とする請求項5記載の経路探索装置
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の経路探索装置において、
前記確率分布の関数は、正規分布の関数であり、前記正規分布に用いられる特定の値は、前記正規分布の平均値及び標準偏差を含むことを特徴とする経路探索装置
【請求項8】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する方法であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、且つ一つの確率分布の関数と、一つの確率分布の関数と所定の範囲の値において一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数とを含むことを特徴とする交通情報データを用意し、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう
経路探索方法。
【請求項9】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する方法であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、且つ一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数と、確率分布の関数と旅行時間の所定の範囲の値において一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数とを含むことを特徴とする交通情報データを用意し、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう
を備えた経路探索方法
【請求項10】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する方法であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、前記確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、前記関数は、前記リンクに対応した前記通路の通路構造の種類に対応付けられており、前記通路の通路構造は、当該通路において通行を停止させる停止要因および通行を停滞させる渋滞要因を少なくとも含む形成要因より分類されている交通情報データを用意し、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう
を備えた経路探索方法。
【請求項11】
前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数を含むことを特徴とする請求項10記載の経路探索方法。
【請求項12】
交通ネットワークを移動する際の経路を探索する方法であって、
交通情報を算出するために用いる交通情報データであり、
交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、
前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報であり、前記関数は、前記リンクに対応した前記通路の通路構造の種類に加えて、当該通路に接続する周辺の通路の通路構造にも対応付けられており、前記通路の通路構造は、当該通路において通行を停止させる停止要因および通行を停滞させる渋滞要因を少なくとも含む形成要因より分類されている交通情報データを用意し、
前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう
を備えた経路探索方法。
【請求項13】
前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数を含むことを特徴とする請求項12記載の経路探索方法。
【請求項14】
請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の経路探索方法において、
前記確率分布の関数は、正規分布の関数であり、前記正規分布に用いられる特定の値は、前記正規分布の平均値及び標準偏差を含むことを特徴とする経路探索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行時間演算装置、旅行時間の演算等に用いる交通情報データおよびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が移動する道路に相当するネットワークを構成する複数のリンクの各々に、プローブ情報を集計することにより得られる実際の集計値である旅行時間とその出現頻度との関係のヒストグラムを対応付けた地図情報データの技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−233815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、複数のリンクの各々に実際の集計値であるヒストグラムを対応付けているため、そのデータサイズが膨大になる。かと言ってヒストグラムを間引いたりデータ数を少なくしたのでは、旅行時間の算出やその結果を用いた経路探索の精度が不十分ものになってしまう可能性があった。
【0005】
また、こうした課題の他、装置の小型化や処理の容易化、使い勝手の向上なども求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態で実施することができる。
【0007】
(1)本発明の一形態として、交通ネットワークを移動する際の旅行時間を求める旅行時間演算装置が提供される。この旅行時間演算装置は、前記交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々について、旅行時間を算出するのに用いる交通情報データを記憶した記憶部と、前記記憶された交通情報データを用いて、前記各リンクを通って移動するのに要する時間を算出する算出部とを備えるものであって良い。かかる構成において、交通情報データは、前記リンクに対応する通路を通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を有し、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報前記確率分布に関する情報として良い。
【0008】
かかる旅行時間演算装置によれば、旅行時間を演算するための交通情報データを、リンクに対応する通路を通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を有するものとして記憶し、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報としているので、少ないデータ量により、旅行時間の演算を行なうことができる。
【0009】
(2)こうした旅行時間演算装置において、前記算出部は、各リンクの前記確率分布を畳み込み積分し、前記積分した結果に基づき前記各リンクを通って移動するのに要する時間を算出するものとしてよい。かかる旅行時間演算装置によれば、各リンクを通って移動するのに要する時間を、より正確に演算することができる。
【0010】
(3)上記旅行時間演算装置に対応する方法発明の形態として、交通ネットワークを移動する際の旅行時間を求める旅行時間演算方法が提供される。この旅行時間演算方法は 前記交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々について、旅行時間を算出するのに用いる交通情報データであって、前記リンクに対応する通路を通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報の形態で記憶し、前記記憶された交通情報データを用いて、前記各リンクを通って移動するのに要する時間を算出するものとして良い。かかる旅行時間演算方法によれば、上記旅行時間演算装置と同様に、少ないデータ量で、旅行時間の演算を実現することができる。
【0011】
(4)本発明の他の態様として、交通情報を算出するために用いる交通情報データが提供される。この交通情報データは、交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々に対応した通路を前記移動体が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、前記リンクに対応づけており、 前記確率分布に関する情報は、確率分布の関数および前記関数に用いられる特定の値を含む情報とすることができる。かかる交通情報データによれば、リンクの移動に関する演算を、少ないデータ量で実施することができる。
【0012】
(5)上記の交通情報データにおいて、前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、一つの確率分布の関数と所定の範囲の値において一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数とを含むことを特徴として良い。この交通情報データによれば、確率分布を用いて情報を表現できるので、データの構造を簡略化することができる。
【0013】
(6)こうした交通情報データにおいて、前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数を含むことを特徴として良い。この交通情報データによれば、元の情報が単一の確率分布に従わない場合でも、確率分布を用いて表現することができ、データの取り扱いを容易化することができる。
【0014】
(7)あるいはこうした交通情報データにおいて、前記確率分布に関する情報は、一つの確率分布の関数と、複数の確率分布の関数を重み付け加算した関数と、確率分布の関数と旅行時間の所定の範囲の値において一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数とを含むことを特徴としてもよい。この交通情報データは、更に複雑な形状の交通情報データを、確率分布を用いて表現することができる。
【0015】
(8)こうした交通情報データにおける複数の関数は、前記リンクに対応した前記通路の通路構造の種類に対応付けられて良い。確率分布は、通路(道路や線路等)の通路構造による影響を受けるからである。更に、こうした複数の関数は、前記リンクに対応した前記通路の通路構造の種類に加えて、当該通路に接続する周辺の通路の通路構造にも対応付けられて良い。確率分布は、周辺通路の通路構造によっても影響を受けるからである。こうした通路の通路構造は、当該通路において通行を停止させる停止要因および通行を停滞させる渋滞要因を少なくとも含む形成要因より分類して良い。この2つが、確率分布に影響を与える要因のうち、旅行時間に影響を与える主たる要因だからである。もとより他の要因を加えても良い。
【0016】
(9)こうした交通量データにおいて、前記確率分布の関数は、正規分布の関数であり、前記正規分布に用いられる特定の値は、前記正規分布の平均値及び標準偏差を含むことを特徴としても良い。この場合、正規分布と平均値及び標準偏差を用いるので、交通情報データの取り扱いを、一層容易な物とすることができる。
【0017】
(10)本発明の他の形態として、交通ネットワークを移動する際の経路を探索する経路探索装置が提供される。この経路探索装置は、上記の交通情報データを記憶する記憶部と、前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なう処理部とを備えるものとして良い。この経路探索装置は、少ないデータ量の交通情報データを用いて、経路探索を好適に行なうことができる。
【0018】
(11)かかる経路探索装置に対応した方法発明として、交通ネットワークを移動する際の経路を探索する方法が提供される。この方法は、上記の交通情報データを用意し、前記交通情報データの前記確率分布に関する情報から算出された値に基づき経路探索処理を行なうものとして良い。かかる経路探索方法によれば、上記経路探索装置と同様、少ないデータ量の交通情報データを用いて、経路探索を好適に行なうことができる。
【0019】
(12)本発明の他の形態として、交通ネットワークを移動する際の旅行時間を求めるために用いる交通情報データを生成する方法が提供される。この交通情報データの生成方法は、前記交通ネットワークを移動するプローブ装置からのプローブデータを、前記交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々について蓄積し、前記蓄積されたプローブデータに基づいて、前記リンクに対応する通路を通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報を、確率分布の関数並びに前記確率分布の平均値及び標準偏差を含む情報の形態で生成するものとして良い。かかる交通情報データ生成方法によれば、旅行時間を求めるために利用する交通情報データを、好適に生成することができる。
【0020】
本発明は、この他、種々の態様で実現することができる。例えば、上述した各方法をコンピュータにより実現するプログラム、そうしたプログラムを記録した記録媒体、上述した各装置の製造方法、上述した交通量データの保存または記録方法や取り扱い方法、など、種々の態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1における経路探索装置の概略構成図である。
図2】道路ネットワークを示す説明図である。
図3】地図情報データを示す説明図である。
図4】旅行時間の確率分布のヒストグラムを例示する説明図である。
図5】旅行時間の確率分布のモデルを例示する説明図である。
図6】地図情報データの生成方法を示す工程図である。
図7】経路探索処理及び目的地までの到着時間を算出するための処理を示すフローチャートである。
図8】複数のリンクの旅行時間の確率分布の畳み込み積分の一例を示す説明図である。
図9】実施形態2における経路探索装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
図1は、実施形態1における交通情報データの一種である地図情報データを用いた経路探索装置1の概略構成を示す説明図である。経路探索装置1は、地図画像等を表示する表示部2、GPS等の信号を受信して現在地を算出する現在位置取得部3、経路探索装置の操作者が所望の操作を可能とする操作部4、CPU5,RAM6,ROM7を含む制御部8並びに地図データベース(DB)9,経路データベース(DB)10及び旅行時間情報データ(DB)11を含む記憶装置12を含んでいる。
【0023】
操作部4は、表示部2の表面に配置された感圧型のタッチパネルを備え、操作者が表示部の2に表示された地図やボタンなどの位置に指を接触することにより所望の指示、ひいては操作者の要求を、経路探索装置1に入力可能である。
【0024】
制御部7は、操作部4を介した操作者の要求に応じて、経路探索装置1全体を制御するものであり、CPU5は、ROM6に記憶されたプログラムをRAM5にロードして実行することで、現在地・目的地特定部13、処理部14及び算出部15として機能し、後述する種々の処理を実行する。そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されたものをRAM5(またはフラッシュROMにより構成されたROM6)に転送しても良いし、通信ネットワークを介してサーバー等に保存されたものをダウンロードしても良い。なお、記録装置12と算出部15とで旅行時間演算装置を構成している。
【0025】
図DB9は、日本国全体の通路情報、背景情報等の地図表示に必要な情報を保存しており、経路DB10は、通路の交差点等に対応するノードに関する情報、ノードとノードの間を接続する通路に相当するリンクに関する情報等を保存している。旅行時間情報DB11は、各々のリンクに相当する通路を通過するために要する旅行時間情報を保存している。
【0026】
次に、図2及び図3を用いて、経路探索装置1が後述する経路探索処理及び/又は旅行時間の算出処理の結果得られる出発地から目的地までの経路や旅行時間等の交通情報を算出するために用いられる地図情報データのデータ構造について説明する。
【0027】
図2は、車両、人等の移動体が移動する通路(道路、歩道等)に相当するネットワークを構成する複数のノード20と、ノードとノードの間を接続するリンク21の関係を示す図である。図2では、ノードAとノード日をつなぐリンクを、リンクL1として、またノードBとノードCとをつなぐリンクを、リンクL2として示した。本実施形態では、車両が移動する道路を想定している。
【0028】
図3は、経路探索装置1が後述する経路探索処理及び/又は旅行時間の算出処理を行うときに用いられる地図情報データのデータ構造であり、図2で示したリンクに関する情報を示す図である。リンクに関する情報30は経路DB10の一部であり、また、旅行時間情報テーブル31と関数テーブル32とで旅行時間情報DB11を構成している。
【0029】
リンクに関する情報30は、リンクID、接続ノード及び旅行時間情報を持っている。ここで、接続ノードは、そのリンクが接続している両端のノードを規定している。また、旅行時間情報は、そのリンクに対応する道路を車両が通過するために要する旅行時間の確率分布に関する情報であり、その情報は、正規分布の関数並びにその関数の平均値(μ)及び標準偏差(σ)を含む情報によりあらわされている。
【0030】
以下、旅行時間情報について、具体的に説明する。まず、旅行時間の確率分布について説明する。ある曜日のある時間帯にそのリンクに対応する道路を通過した複数の車両のプローブ情報を収集し、収集したプローブ情報からそのリンクの旅行時間を算出し、それを同じ旅行時間毎に頻度を算出することにより確率分布が得られる。こうした旅行時間のデータは、プローブ車両からのデータを収集し解析する専用のサーバによって生成される。プローブ車両からのデータに基づいて、生成された旅行時間のデータの一例を図4に示した。この例では、旅行時間が短いものと長いものの発生する確率は低く、比較的その中間の旅行時間となるものの発生確率が高いことを示している。こうした旅行時間データの生成の手法について、併せて説明する。
【0031】
本実施形態では、図4のようにヒストグラムの形式で各々のリンクに対応して旅行時間の確率分布を持つのではなく、以下に説明する形態で旅行時間に関する情報を用意している。
【0032】
本実施形態では、旅行時間情報テーブル31は、曜日及び時間帯単位で確率分布のモデル(モデルA、モデルB等)を持っており、具体的なパターンとして、例えばモデルAであれば、関数1とパラメータ(μ=a,σ=b)によって関連付けられている。なお、確率分布のモデルは、曜日及び時間帯単位でなくても、曜日単位やリンク単位のみであっても、さらに細かい単位であっても良い。
【0033】
関数は、関数テーブル32で示す通り、本実施形態では、xを旅行時間とする6つの関数が用意されている。モデル1に対応する関数は一つの正規分布の関数であり、モデル2〜4に対応する各関数は2つの正規分布の関数を重み付け加算(p1を変数として重み付けを変える)した関数であり、モデル5に対応する関数は一つの正規分布の関数と所定の区間に一定値を持つ関数とを重み付け加算した関数(p1を変数として重み付けを変える)であり、また、モデル6に対応する関数は、3つの正規分布の関数を重み付け加算した関数(p1およびp2を変数として重み付けを変える)である。本実施形態では、旅行時間の確率分布を上記の6つのモデルであらわしている。これは以下に説明する理由による。
【0034】
図5は、モデル形状、形成要因及び関数の対応を示したものであり、形成要因は、さらに停止要因と混雑要因に分けられる。停止要因とは、あるリンクに対応する道路が、信号、踏切、有人料金所等(併せて以下「信号等」という。)の必ず車両が停止する要因があるか、右左折、信号無交差点での合流、横断歩道、ETC等(併せて以下「右左折等」という。)の条件によって車両が減速又は停止する要因があるかをあらわすものであり、信号等、右左折等によって車両が止まる要因がない場合は「なし」、信号等によって必ず車両が止まる要因がある場合は「重度」、そして、右左折等により条件によって車両が減速又は停止する要因がある場合は「軽度」としている。混雑要因とは、あるリンクに対応する道路が、渋滞の度合いをあらわすものであり、渋滞するときがない場合は「なし」、激しく渋滞するときがある場合は「重度」、そして、「渋滞するときがある場合は「軽度」としている。
【0035】
道路条件を調査、解析した結果、各々のリンクに対応する道路の状況は、6つのモデルに当てはめて説明できることが判明した。モデル1は、停止要因及び混雑要因が「なし」の場合であり、正規分布の関数による一つの正規分布の形状であらわされたものである。モデル2は、停止要因「軽度」又は混雑要因「軽度」の場合であり、二つの正規分布の関数を所定の重み付けで加算することにより、右裾長の略正規分布の形状であらわされたものである。モデル3及びモデル4は、停止要因「重度」又は混雑要因「重度」の場合である。そして、周辺リンクとの関係等の他の要因により、モデル3及びモデル4にさらに分割している。モデル3は、二つの正規分布の関数を所定の重み付けで加算することにより、高さの高い正規分布の形状が前側にあり、高さの低い正規分布の形状が後ろ側にある形状であらわされたものである。
【0036】
モデル4は、二つの正規分布の関数を所定の重み付けで加算することにより、高さの低い正規分布の形状が前側にあり、高さの高い正規分布の形状が後ろ側にある形状であらわされたものである。モデル5は、停止要因「重度」及び混雑要因「なし」の場合であり、一つの正規分布の関数と所定の区間に一定値を持つ関数とを所定の重み付けで加算することにより、前側が正規分布の形状となり、後ろ側が矩形の形状となる形状であらわされたものである。モデル6は、停止要因「なし」、「軽度」又は「重度」及び混雑要因「なし」の場合であり、三つの正規分布の関数を所定の重み付けで加算することにより、3つの正規分布があらわれる形状であらわされたものである。
【0037】
次に、各々のリンクと関数及びパラメータとの対応付けについて説明する。この対応付は、ネットワーク上に存在するサーバ(図示省略)において実行される。サーバは、CPUを備えた通常のハードウェア構成を有するものであり、プローブデータを保存する大規模な記憶装置や、統計的な演算を行なう数値プロセッサを備える。この対応付けの結果を用いて地図情報データが生成される。
【0038】
サーバは、複数のプローブ車両からのプローブデータを、ネットワークを介して収集しており、これをハードディスクなどの記憶装置に、リンクごとのデータとして記憶している。所定の期間毎に、サーバは、このプローブデータに基づいて、各々のリンクと関数及びパラメータとの対応付けを行なう。この処理を、図6に示した。
【0039】
サーバは、あるリンクに対応する道路を通過する車両からのプローブ情報を集計し、図4で示すようなヒストグラムを求める(工程T10)。そして、プローブ情報を集計した結果、その道路の停止要因と混雑要因とを解析し、もっとも近いモデル形状を選択して(工程T15)、このモデル形状へのあてはめを行なう(工程T20)。例えば停止要因「なし」及び混雑要因「なし」であった場合、この形成要因を持つ場合はモデル形状1に該当する可能性が高いため、1つの正規分布へあてはめを行い、モデルへの適合度を評価する。具体的には、旅行時間の平均と分散を算出することで正規分布の式N(μ、σ2)のパラメータを求める。さらに、カルバック・ライブラー情報量が所定の値(例えば、0.2)以下になるかを判定する(工程T30)。カルバック・ライブラー情報量が所定の値以下になる場合は、正規分布への当てはめが適切であると判断できるため、正規分布の関数とそこで求められた平均値及び標準偏差を対応づけるようにする(工程T40)。
【0040】
一方で、カルバック・ライブラー情報量が所定の値以下にならない場合には(工程T30、「NO」)、全てのモデル形状へのあてはめが終了したかを判断し(工程T45)、まだ判断していないモデル形状が残っていれば、別のモデルの選択を行なう(工程T50)。選択は、形成要因とモデル形状には関連が強いもののから順に行なう。これは、他の要因によって異なるモデル形状になる場合もあるためである。上記の例で場合は、停止要因「なし」及び混雑要因「なし」のリンクに着目しているため、この形成要因に比較的類似している、停止要因「軽度」及び混雑要因「軽度」の分布であるモデル2を、まず選択する。その上で上記の工程20に戻って、選択したモデル形状への当てはめを試みる。
【0041】
モデル2は、2つの正規分布からなる混合正規分布であるため、k-means法とEMアルゴリズムを併用して各パラメータを求める。次に、1つの正規分布の場合と同様、カルバック・ライブラー情報量による判定を行い、モデルとして採用するか否かを判断する(工程30)。
【0042】
以下、形成要因が類似している順にモデルを当てはめていき、カルバック・ライブラー情報量が所定の値以下になるモデルを求める。
全てのモデル形状へ当てはめてもカルバック・ライブラー情報量が所定の値以下にならなかった場合は、最もカルバック・ライブラー情報量が小さいモデルへ当てはめ(工程T60)、着目した一つのリンクについての関数及びパラメータとの対応付け処理を完了する。
【0043】
以上のように、確率分布を6つのモデルでモデル化したことにより、データサイズを大幅に削減できると共に、実際のヒストグラムに近い精度であらわすことも出来る。サーバは、図Aに示した処理をプローブデータが存在する全てのリンクについて行なう。
【0044】
なお、上記の例では、6つのモデルを利用したが、6つのモデルを用いなくても良い。例えば、例えば、モデル1のみであらわしたり、モデル形状1とモデル形状5のみであらわしたり、モデル1、モデル3、モデル4及びモデル6のみであらわすようにしても良い。この場合、上記の6つのモデルを利用した場合よりも実際のヒストグラムとモデルとの差異が大きくなる場合があるが、最もカルバック・ライブラー情報量が小さいものを当てはめるようにすれば良い。検定の方法として、カルバック・ライブラー情報量以外の方法を用いても良い。なお、こうした検定を行なうことなく、停止要因と混雑要因、あるいはその他の要因を判断することで、あらかじめ用意したいずれかのモデル形状に当てはめるものとしてもよい。
【0045】
次に、図7を用いて、上記で説明した地図情報データを経路探索処理及び目的地までの到着時間を算出するための処理に適用した場合について説明する。なお、以下で説明する処理は、CPU4によって実行される。図7に示した処理は、使用者が経路探索装置に経路探索を行なわせることを契機として開始される。
【0046】
図7に示した処理が開始されると、まず位置取得部3で入力したGPS等の信号に基づき、経路DB10に保存されているノードに関する情報から現在地に対応するノードを検索し、特定する(S10)。次に、操作者によって入力された目的地に基づき、経路DB10に保存されているノードに関する情報から目的地に対応するノードを検索し、特定する(S20)。以上の処理が、現在地・目的地特定部13による現在地及び目的地を特定する処理に想到する。
【0047】
まず、経路DB10に保存されている各々のリンクに対して、各々のリンクに対応した旅行時間情報の関数とパラメータより確率分布を再現し、その分布における少ない旅行時間からカウントして50%の順番となる旅行時間(中央値)(以下「50%旅行時間」という。)を算出する。そして、各々のリンクに対して50%旅行時間をコストとして設定する(ステップS30)。なお、本実施形態では、旅行時間の確率分布が歪んだ形状になっている場合に、正規分布の平均値を代表値とするよりも妥当な代表値となり得る50%旅行時間を用いている。
【0048】
次に、ステップS10で特定された出発地に対応するノードから、ステップS20で特定された目的地に対応するノードまでの最短経路を公知のダイクストラ法等を用いて経路探索し、最短経路となるリンクを特定する(ステップS40)。図8の例では、最短経路は、リンクA→リンクB→リンクCとなる。かかる処理が、処理部14による出発地から目的地までの経路探索処理に相当する。
【0049】
次に、ステップS40で特定された経路に含まれる各々のリンク(図8のリンクA、リンクB及びリンクC)の旅行時間情報をRAM6に読み出す(ステップS50)。続いて、読み出された各々の旅行時間情報の関数とパラメータより確率分布(図8のリンクAの確率分布、リンクBの確率分布及びリンクCの確率分布)を再現する。その上で、リンクAの確率分布とリンクBの確率分布について畳み込み積分を行い、更に、この畳み込み積分の結果とリンクCの確率分布との畳み込み積分を行なう(ステップS60)。これにより、経路に含まれる各々のリンクに対応した各々の旅行時間情報の畳み込み積分結果が算出されることになる。
【0050】
次に、ステップS60で得られた畳み込み積分結果より50%旅行時間、並びに少ない旅行時間からカウントして40%及び60%の順番となる旅行時間を算出する(ステップS70)。そして、ステップS70で得られた50%旅行時間を出発地から目的地まで到達するために要する旅行時間として、目的地に到着する到着予想時間を表示部に表示する。また、ステップS70で得られた40%及び60%の順番となる旅行時間を、実際に到着する時間が到着予想時間よりも早かったり遅かったりする恐れのある時間幅として表示する(ステップS80)。これらの処理が、算出部15による出発地から目的地に到達するまでの旅行時間の算出処理に相当する。以上で図7に示した処理を終了する。
【0051】
以上説明した本実施形態では、各々のリンクに対して旅行時間の確率分布のタイプ(図5)と平均値および標準偏差を記憶し、これを用いて到着予想時間を算出している。従って、各リンクの旅行時間のヒストグラムを記憶しているものと比べて、より少ないデータ量で、到着予想時間を求めることができる。しかも、旅行時間の確率分布を畳み込み積分した値により求めてるので、単に各リンクの旅行時間の平均値を足し合わせたものより、正確な旅行時間を提示することが可能となる。もとより、地図情報データは、確率分布のタイプに代えて、直接関数の形態で記憶しても良いし、関数に予め平均値や標準偏差の値を代入した形態で記憶しておいても良い。また、各リンクを経由する旅行時間を求める際、畳み込み積分に代えて、他の演算方法を用いることも差し支えない。
【0052】
ここで、上記の動作では、固定値として50%旅行時間をリンクのコストとして設定したが、各々のリンクに対応した旅行時間の確率分布として持っていることを利用して、それを任意に可変できるようにしても良い。つまり、操作者の選択により、その分布における少ない旅行時間からカウントして60%の順番となる旅行時間や70%の順番となる旅行時間をコストとして設定できるようにする。例えば、操作者が運転に自信がなかったり、時間に余裕がありゆっくり運転したい場合には、上記のような選択を可能とすることにより、その条件に適した経路を探索することが可能となり、操作者の状況にあった経路探索をすることが出来る。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、確率分布に関する情報を正規分布の関数並びに前記正規分布の平均値及び標準偏差を含む情報とすることにより、データサイズを大幅に抑制することができると共に、その情報に基づき、例えば、到着予想時間の算出や操作者の状況に応じた経路探索等の応用が可能となる。
【0054】
<実施形態2>
実施形態1では、経路探索装置1に全ての機能を持たせていたが、本実施形態では、図9に示すように実施形態1で説明した経路DB10及び旅行時間情報DB11をサーバー50側に持たせ、経路探索装置50側には、簡易的なリンク情報を持つ経路DB40及び簡易的な旅行時間情報を持つ簡易旅行時間情報DB41を持たせるようにした。なお、図1で説明に用いた番号と同じ番号のものは同じ構成を示す。
【0055】
簡易的なリンク情報とは、図3のリンク情報30の旅行時間情報の部分において、あるリンクにおける曜日及び時間帯等の細分化の条件をより簡易的にすることにより情報量の削減を行ったものである。簡易旅行時間情報DB41は、上記の細分化の条件をより簡易的にしたことに伴い、パターンの数を少なくしたものである。
【0056】
上記のような構成にすることにより、経路探索装置50は、実施形態1で説明した効果に加え、通信状態が良好なときは、サーバー51側の経路DB10及び旅行時間情報DB11の情報を、ネットワーク51を介して読み込み、その情報に基づき処理を行い、何らかの原因で通信状態が遮断された場合には、経路DB40及び簡易旅行時間情報DB41の情報に基づき処理を行うことが可能となる。
【0057】
また、上記の実施形態1及び2と異なり、サーバー側に現在地・目的地特定部13、処理部14及び算出部15を設け、端末側からの要求に応じて、実施形態1で説明したステップS10ないしS80の処理をサーバー側で行ない、処理結果を端末側に返すような構成であっても良い。
【0058】
<その他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、種々の形態や変形例としてで実施可能である。
変形例1:
上述した実施形態では、交通情報データを表す確率分布として正規分布を用いるものとして説明したが、ポアソン分布やラプラス分布などを用いても良い。この場合でも、上述した実施形態と同様、確率分布は、ポアソン分布などの一つの確率分布の関数(モデル1’)、2つの確率分布の関数を重み付け加算した関数(モデル2’、モデル3’、モデル4’)、一つの確率分布の関数と所定の区間に一定の値を持つ関数との重み付け加算した関数(モデル5’)、及び3つの確率分布の関数を重み付け加算した関数(モデル6’)の6つのモデルを利用しても良い。あるいはモデル1’のみで元の確率分布を表したり、モデル1’とモデル5’のみで表したり、モデル1’、モデル3’、モデル4’及びモデル6’のみで表すようにしても良い。
【0059】
変形例2:
上述した実施形態では、停止要因と混雑要因に基づいて分類される道路構造に基づいて予め用意した複数の確率分布モデルに順次あてはめを行い、モデルの適合度を評価して、適合度の高いモデルを選択した。これに対して、対象となっているリンク自体の道路構造に加えて周辺リンクの道路構造等も考慮して、モデルを選択して、あてはめを行うものとしてもよい。ヒストグラムの形状は、対象となっているリンクの道路構造に加えて、このリンクに接続する周辺リンクの道路構造によっても影響を受けるからである。
【0060】
例えば、着目しているリンクが、信号があり且つリンク長が短いリンクに接続している場合、着目したリンク自体に信号がなくても、信号があるリンクのヒストグラムに似た形状が現れることが経験的に知られている。こうした場合には、そのリンクに停止要因(信号)がなくても、軽度の停止要因があるとしたモデルを選択して、あてはめを行えばよい。
【0061】
以上本発明のいくつかの実施形態や変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態や変形例に限定されるものではなく、種々なる態様で実施できることは、勿論である。例えば、車両に代えて、オートバイや自転車などの移動体、あるいは人の移動に要する旅行時間の演算に適用しても良い。また、交通情報データの生成方法として実施することも可能である。あるいは確率分布の情報をノードに持たせることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…経路探索装置
2…表示部
3…位置取得部
4…操作部
5…CPU
6…RAM
7…ROM
8…制御部
9…地図DB
10…経路DB
11…旅行時間情報DB
12…記録装置
13…現在地・目的地特定部
14…経路探索部
15…到着時間算出・表示部
40…地図DB
41…簡易旅行時間情報DB
50…経路探索装置
51…サーバー
52…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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