特許第6366306号(P6366306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立造船株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6366306-廃棄物用放射能測定装置 図000002
  • 特許6366306-廃棄物用放射能測定装置 図000003
  • 特許6366306-廃棄物用放射能測定装置 図000004
  • 特許6366306-廃棄物用放射能測定装置 図000005
  • 特許6366306-廃棄物用放射能測定装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366306
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】廃棄物用放射能測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/167 20060101AFI20180723BHJP
   G01T 1/16 20060101ALI20180723BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20180723BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20180723BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20180723BHJP
   G01T 7/10 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G01T1/167 C
   G01T1/16 A
   G01T1/17 G
   G01T1/20 A
   G01T7/00 A
   G01T7/10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-48264(P2014-48264)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172514(P2015-172514A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年2月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 試験日 平成25年11月18日〜22日 試験場所 柏市環境部南部クリーンセンター (刊行物等) 試験日 平成26年1月14日〜18日 試験場所 福島県双葉郡楢葉町波倉処分場 (刊行物等) 試験日 平成26年1月20日〜24日 試験場所 福島県双葉郡楢葉町井出舘ノ沢処分場 (刊行物等) 開催日 平成26年2月12日 集会名、開催場所 平成25年度第1回廃棄物関連試料の放射能分析方法検討会 東京都港区芝5−14−15 機械工具会館6階ホール 事務局 一般社団法人廃棄物資源循環学会
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田窪 芳久
(72)【発明者】
【氏名】山田 紘義
(72)【発明者】
【氏名】坂井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩三
(72)【発明者】
【氏名】山本 常平
(72)【発明者】
【氏名】吉村 信二
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】高辻 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 有紀子
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−047544(JP,A)
【文献】 特開平11−326522(JP,A)
【文献】 特開2012−237618(JP,A)
【文献】 特開昭63−308590(JP,A)
【文献】 特開2015−148591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容袋に収容された廃棄物が載置される載置台と、この載置台が設けられる架台とを有し、上記廃棄物の放射能濃度を測定する廃棄物用放射能測定装置であって、
上記載置台を架台に対して回転させる回転機構と、
上記載置台により回転している廃棄物からの放射線量を当該廃棄物の側方で測定し得る側部測定手段と、
上記載置台に載置されている廃棄物から放射線量を当該廃棄物の下方で測定し得る底部測定手段と、
上記載置台に載置されている廃棄物の重量を測定し得る重量測定器と、
上記側部測定手段によって測定された放射線量および上記重量測定器により測定された重量から当該廃棄物の鉛直方向に平均的な放射能濃度と、上記底部測定手段によって測定された放射線量および上記重量から当該廃棄物の安全サイドの放射能濃度を算出する演算部と、
を有することを特徴とする廃棄物用放射能測定装置。
【請求項2】
底部測定手段が、載置台の回転軸に配置されたシンチレータであることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物用放射能測定装置。
【請求項3】
底部測定手段が、載置台の回転軸から偏心して配置されたシンチレータであることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物用放射能測定装置。
【請求項4】
側部測定手段が、鉛直方向に複数配置されたシンチレータであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の廃棄物用放射能測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の焼却可否を判断するために当該廃棄物の放射能濃度を測定する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2011年の東北地方太平洋沖地震により発生した大津波は、被災地の家屋や建造物を倒壊させるだけでなく、深刻な原発事故を引き起こした。このため、家屋や建造物の倒壊により生じた廃棄物(災害廃棄物)には放射能で汚染されているものも多く、これらを早期に処理することが、震災復興のために不可欠である。
【0003】
上記廃棄物の処理に際しては、今のところ、まず廃棄物の放射能濃度を測定し、その放射能濃度が一定の基準値以下の廃棄物については焼却処分できるものの、放射能濃度が上記基準値を超える廃棄物については放射性廃棄物として厳格に管理などしなければならない。ここで、廃棄物の放射能濃度を測定するために、廃棄物用放射能測定装置が使用される。
【0004】
従来の放射能測定装置として、被検体(例えば廃棄物)の放射能濃度を、当該被検体の底部からシンチレータで測定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、放射線遮蔽箱の内部にシンチレータを配置し、当該放射線遮蔽箱の上に被検体を載置するように構成することで、簡易な構成で容易に被検体の放射能濃度を測定できるようにされている。また、上記特許文献1には、被検体をフレキシブルコンテナバッグ(以下ではフレコンと略す)に収容した上で、測定してもよい点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3186377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、被検体が上記災害廃棄物でフレコンに収容されたものである場合、災害廃棄物は異なる大きさ、形状および比重のガレキからなるので、フレコンの内部で災害廃棄物の密度にバラツキが生ずる。このため、フレコンに収容された災害廃棄物は、底部ほど放射能濃度が高くなるとともに、鉛直方向および周方向に放射能濃度が不均一となる。
【0007】
したがって、上記特許文献1に記載の放射能測定装置では、被検体が上記災害廃棄物でフレコンに収容されたものである場合、被検体の底部ほど放射能濃度が高くなるので、上記被検体の鉛直方向に平均的な放射能濃度よりも高い値が測定されてしまう。これだと、安全性は担保されるが、放射能濃度が高精度に測定されない。
【0008】
また、上記被検体の鉛直方向に平均的な放射能濃度を測定するために、別途シンチレータを上記被検体の一側部に配置することが考えられる。しかしながら、被検体が上記災害廃棄物でフレコンに収容されたものである場合、被検体は周方向にも放射能濃度が不均一なので、周方向に平均的な放射能濃度が高精度に測定されない。
【0009】
このように、従来の放射能測定装置だと、廃棄物(特に災害廃棄物)をフレコンに収容したものに対して、放射能濃度を高精度に測定できないという問題があった。
そこで、本発明は、安全性を担保することができるとともに、放射能濃度を高精度に測定することができる廃棄物用放射能測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の廃棄物用放射能測定装置は、収容袋に収容された廃棄物が載置される載置台と、この載置台が設けられる架台とを有し、上記廃棄物の放射能濃度を測定する廃棄物用放射能測定装置であって、
上記載置台を架台に対して回転させる回転機構と、
上記載置台により回転している廃棄物からの放射線量を当該廃棄物の側方で測定し得る側部測定手段と、
上記載置台に載置されている廃棄物から放射線量を当該廃棄物の下方で測定し得る底部測定手段と、
上記載置台に載置されている廃棄物の重量を測定し得る重量測定器と、
上記側部測定手段によって測定されて放射線量および上記重量測定器により測定された重量から当該廃棄物の鉛直方向に平均的な放射能濃度と、上記底部測定手段によって測定された放射線量および上記重量から当該廃棄物の安全サイドの放射能濃度を算出する演算部と、を有するものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る廃棄物用放射能測定装置は、請求項1に記載の廃棄物用放射能測定装置における底部測定手段が、載置台の回転軸に配置されたシンチレータであるものである。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に係る廃棄物用放射能測定装置は、請求項1に記載の廃棄物用放射能測定装置における底部測定手段が、載置台の回転軸から偏心して配置されたシンチレータであるものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る廃棄物用放射能測定装置は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の廃棄物用放射能測定装置における側部測定手段が、縦方向に複数配置されたシンチレータであるものである。
【発明の効果】
【0014】
上記廃棄物用放射能測定装置によると、安全性を担保することができるとともに、放射能濃度を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における廃棄物用放射能測定装置の平面図である。
図2】同廃棄物用放射能測定装置の側面図である。
図3】同廃棄物用放射能測定装置の拡大平面図である。
図4】同廃棄物用放射能測定装置の拡大側面図である。
図5】同廃棄物用放射能測定装置の自立制御盤を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る廃棄物用放射能測定装置について図面に基づき説明する。
上記廃棄物用放射能測定装置により放射能濃度を測定する対象となるのは、図1および図2に示すように、フレキシブルコンテナバッグ7(収容袋の一例であり、以下ではフレコン7と略す)に収容された災害廃棄物8(以下では単に廃棄物8という)である。廃棄物8の収容にフレコン7を使用することは、ドラム缶を使用するのとは異なり、様々なメリットがある。このメリットは、例えば、安価で大容量の廃棄物8を収容できる、軽くて折りたためるので現場作業での取り扱いが容易、収容した廃棄物8とともに焼却できる、などである。しかしながら、フレコン7に収容された廃棄物8は異なる大きさ、形状および比重のガレキからなるので、フレコン7の内部で廃棄物8の密度にバラツキが生ずる。このため、図3および図4に示すように、フレコン7に収容された廃棄物8は、底部ほど放射能濃度が(放射線量γも)高くなるとともに、鉛直方向および周方向に放射能濃度が(放射線量γも)不均一となる。
【0017】
図1および図2に示すように、上記廃棄物用放射能測定装置1は、下面に移動用車輪6(固定脚でもよい)が設けられた架台5と、この架台5の上に配置された放射線測定機器2〜4とを有する。なお、図示しないが、上記架台5の周縁には壁(一部に扉を有する)が設けられており、この壁の上端には屋根が設けられている。すなわち、上記架台5、壁および屋根により、内部に放射線測定機器2〜4を配置した部屋が形成される。
【0018】
上記放射線測定機器2〜4は、上記架台5の中央に配置された台座体2と、上記架台5の一端側に配置された測定用柱体3と、上記架台5の他端側に配置された自立制御盤4とが具備される。上記台座体2は、フレコン7に収容された廃棄物8がパレット9ごと載置されるものである。上記測定用柱体3は、側部測定手段(詳しくは後述する)33により、台座体2に載置された廃棄物8の鉛直方向に平均的な放射線量γを測定するものである。上記自立制御盤4は、上記台座体2および測定用柱体3を制御する一方、これら台座体2および測定用柱体3から測定データが入力され、これら入力された測定データに基づいて演算を行うものである。
【0019】
上記台座体2は、上記架台5の上に設置された重量測定器21と、この重量測定器21の上に設置された支持具22と、この支持具22に設置された底部測定手段(詳しくは後述する)23と、上記支持具22の上に設置された円盤状のターンテーブル(載置台の一例である)24と、このターンテーブル24を鉛直方向軸25の周りに回転させる回転機構(図示省略)とを具備する。次に、上記台座体2の構成部材を、上方から順に詳細に説明する。上記台座体2の最も上方に位置する構成部材であるターンテーブル24は、フレコン7に収容された廃棄物8がパレット9ごと載置されるとともに、当該廃棄物8を上記鉛直方向軸25(以下では回転軸25という)の周りに回転させるものである。上記回転機構は、図示しないが、ターンテーブル24の内部に固定された当該ターンテーブル24と同心の水平歯車と、上記支持具22に設けられてピニオンにより上記水平歯車を回転させるモータとを備える。上記底部測定手段23は、上記ターンテーブル24に載置された廃棄物8からの放射線量γを当該廃棄物8の下方から測定し得るものである。上記支持具22は、天板22tおよび脚22lを有するテーブル状のものであり、上記ターンテーブル24の回転に同調しない非回転物である。上記天板22tは、上記底部測定手段23およびモータを固定するとともに、上記ターンテーブル24を回転伝達部(例えばガイドレール、ベアリングなど)26により上記回転軸25の周りに回転自在に支持するものである。上記重量測定器21は、ターンテーブル24に載置された廃棄物8の重量を測定し得るものである。なお、上記モータ(図示省略)、底部測定手段23および重量測定器21は、いずれも配線11により上記自立制御盤4に接続されている。
【0020】
ここで、図4に示すように、上記側部測定手段33は、上記ターンテーブル24に載置された廃棄物8からの放射線量γを当該廃棄物8の側方から測定し得るものであり、鉛直方向に3つ(複数であればよい)並んで等間隔に配置された放射線量測定器13である。また、上記底部測定手段23は、上記ターンテーブル24の回転軸25に配置された放射線量測定器13である。これら上記側部測定手段33および底部測定手段23を構成する放射線量測定器13は、それぞれ、シンチレータ13sと、このシンチレータ13sを被覆するとともに放射線遮蔽材(鉛など)からなる厚肉円筒部13cと、これら厚肉円筒部13cの外周囲に設けられたフランジ13fとから構成される。上記厚肉円筒部13cは、肉厚が25〜50mm程度であり、シンチレータ13sを全て被覆するのではなく、シンチレータ13sにおける放射線量測定側(廃棄物8側)を長さ方向に50mm程度露出させている。
【0021】
上記測定用柱体3は、上記架台5に固定された柱部31と、この柱部31に保持された上記側部測定手段33とを具備する。上記柱部31は、側部測定手段33を構成する上記3つの放射線量測定器13の保持のために、これら放射線量測定器13が挿入される3つの穴部32を有する。当然ながら、これら穴部32は、鉛直方向に並んで等間隔に配置される。なお、上記側部測定手段33は、配線11により上記自立制御盤4に接続されている。
【0022】
上記自立制御盤4には、図1図3に示すように、この自立制御盤4を操作する作業者Oの安全(被曝の防止)のためにも、放射線遮蔽板(例えば鉛ガラス板)14が設けられている。すなわち、この放射線遮蔽板14は、廃棄物8からの放射能を遮蔽して、自立制御盤4の正面側における操作スペースSでの作業者Oの被曝を防止するものである。
【0023】
上記自立制御盤4は、図示しないが、上記モータによりターンテーブル24を回転させるとともに、放射線量測定器13および重量測定器21による測定を開始させる測定開始ボタンを備える。また、上記自立制御盤4は、同様に図示しないが、放射線量測定器13による測定時間を計測するタイマーと、ターンテーブル24の回転速度を調整する回転速度調整ダイヤルとを備える。さらに、上記自立制御盤4は、図5に示すように、側部測定手段33を構成する3つの放射線量測定器13からの放射線量γの測定データが入力される側部量入力部41と、この側部量入力部41に入力された3つの測定データを平均化する鉛直方向平均部42と、底部測定手段23を構成する放射線量測定器13からの放射線量γの測定データが入力される底部量入力部43と、重量測定器21からの重量の測定データが入力される重量入力部44とを備える。上記鉛直方向平均部42は、入力された3つの放射線量測定器13からの放射線量γの測定データを合算するとともに、合算された測定データを3(側部測定手段33を構成する放射線量測定器13の個数)で除するものである。すなわち、上記鉛直方向平均部42は、廃棄物8からの放射線量γが鉛直方向に不均一であっても、鉛直方向に並んで等間隔に(異なる高さに)配置された3つの放射線量測定器13からの測定データを平均化することで、廃棄物8の鉛直方向に平均的な放射線量γを算出するものである。また、上記自立制御盤4は、鉛直方向平均部42で算出された測定データを単位時間で平均化する側部時間平均部45と、底部量入力部43に入力された測定データを単位時間で平均化する底部時間平均部46とを備える。これら側部時間平均部45および底部時間平均部46は、測定データを単位時間で平均化するために、測定データを上記タイマーで計測された測定時間で積分するとともに、積分された測定データを上記測定時間で除するものである。さらに、上記自立制御盤4は、側部時間平均部45および底部時間平均部46によりそれぞれ単位時間で平均化された測定データを、重量入力部44に入力された測定データで除する放射能濃度算出部(演算部の一例である)47を備える。この放射能濃度算出部47は、側部測定手段33で測定された放射線量γに基づく放射能濃度(以下では鉛直方向に平均的な放射能濃度という)と、底部測定手段23で測定された放射線量γに基づく放射能濃度(以下では安全サイドの放射能濃度という)とを算出するものである。加えて、上記自立制御盤4は、上記放射能濃度算出部47でそれぞれ算出された放射能濃度を記憶する記憶部48と、これら放射能濃度を外部機器に出力可能にする出力部49とを備える。
【0024】
本発明の要旨は、第1に、鉛直方向に並んで等間隔に配置された放射線量測定器13(側部測定手段33を構成する)と、これら放射線量測定器13からの測定データを平均化する鉛直方向平均部42と、放射能濃度算出部47とにより、フレコン7に収容された廃棄物8のように底部ほど放射能濃度が高くなるものであっても、鉛直方向に平均的な放射能濃度が得られることにある。第2に、架台5に固定された放射線量測定器13に対して、廃棄物8を回転させることにより、フレコン7に収容された廃棄物8のように周方向に放射能濃度が不均一となるものであっても、測定データが単位時間で平均化され、すなわち、周方向に平均的な放射能濃度が得られることにある。第3に、廃棄物8からの放射線量γを当該廃棄物8の下方から測定し得る放射線量測定器13(底部測定手段23を構成する)と、放射能濃度算出部47とにより、安全サイドの放射能濃度が得られることにある。第4に、上記支持具22を介してターンテーブル24が設置される重量測定器21により、廃棄物8の放射線量γを測定している際に、当該廃棄物8の重量を測定することにある。
【0025】
以下、上記廃棄物用放射能測定装置1の使用方法について説明する。
まず、フレコン7に廃棄物8を収容してパレット9に載置する。そして、フォークリフトなどにより、フレコン7に収容された廃棄物8をパレット9ごと上記廃棄物用放射能測定装置1まで運搬し、上記廃棄物8をパレット9ごとターンテーブル24に載置する。このとき、図3に示すように、廃棄物8が収容されたフレコン7の平面中心を、ターンテーブル24の回転軸25上に位置するようにする。
【0026】
次に、作業者Oが操作スペースSに立ち、自立制御盤4の測定開始ボタンを押す。すると、回転軸25を中心にターンテーブル24とともに廃棄物8がパレット9ごと回転する。そして、図4に示すように、回転している廃棄物8の側方から側部測定手段33を構成する鉛直方向に3つの放射線量測定器13(具体的にはシンチレータ13s)により放射線量γが測定されるとともに、廃棄物8の下方から底部測定手段23を構成する放射線量測定器13(具体的にはシンチレータ13s)により放射線量γが測定される。この際に、重量測定器21により廃棄物8の重量が測定される。
【0027】
側部測定手段33で測定された放射線量γの測定データは、鉛直方向平均部42により鉛直方向に平均化された後に、側部時間平均部45により単位時間で平均化される。また、底部測定手段23で測定された放射線量γの測定データは、底部時間平均部46により単位時間で平均化される。そして、放射能濃度算出部47により、これら平均化された測定データと重量測定器21からの重量の測定データとに基づき、鉛直方向に平均的な放射能濃度と、安全サイドの放射能濃度とが算出される。これら算出された鉛直方向に平均的な放射能濃度と、安全サイドの放射能濃度とは、記憶部48に記憶されるとともに、出力部49により外部機器に出力可能にされる。
【0028】
このように、上記廃棄物用放射能測定装置1によると、鉛直方向および周方向に平均的な放射能濃度が得られることにより、放射能濃度を高精度に測定することができる。
また、安全サイドの放射能濃度が得られることにより、安全性を担保することができるとともに、パレット9の放射能汚染も検知することができる。
【0029】
さらに、廃棄物8の放射線量γを測定している際に、当該廃棄物8の重量を測定するので、放射能濃度を短時間で得ることができる。
加えて、放射線量測定器13が着脱式なので、廃棄物用放射能測定装置1を移動させる際に、当該廃棄物用放射能測定装置1から放射線量測定器13を取り外すことにより、高価な放射線量測定器13(特にシンチレータ13s)の破損を防ぐことができる。
【0030】
また、上記底部測定手段23を構成する放射線量測定器13がターンテーブル24の回転軸25に配置されているので、フレコン7が小さい場合でも、確実に廃棄物8の下方から放射線量γが測定され、放射能濃度をより高精度に測定することができる。
【0031】
さらに、上記厚肉円筒部13cは、肉厚が25〜50mm程度であり、シンチレータ13sにおける放射線量測定側(廃棄物8側)を長さ方向に50mm程度露出させているので、放射線量測定器13で廃棄物8以外からの放射線量γが測定されず、放射能濃度をより高精度に測定することができる。
【0032】
ところで、上記実施の形態では、シンチレータ13sについて詳しく説明しなかったが、例えば、廃棄物8の高濃度汚染にも対応できるようにするために、プラスチックシンチレータが用いられる。
【0033】
また、上記実施の形態では、側部測定手段33を構成する放射線量測定器13が柱部31に保持されるとして説明したが、廃棄物8への出退機構を有していてもよい。具体的には、図示省略するが、柱部31に、この柱部31と廃棄物8との距離を測定する距離センサと、上記放射線量測定器13を廃棄物8の方向へ出退させるアクチュエータと、上記距離センサで測定された距離に基づいて上記放射線量測定器13と廃棄物8との距離が一定になるようにアクチュエータを制御する制御部とが設けられる。この構成により、側部測定手段33により測定される放射線量γの測定がより高精度になるので、放射能濃度をより高精度に測定することができる。
【0034】
さらに、上記実施の形態では、側部測定手段33を構成する放射線量測定器13が等間隔に配置されるとして説明したが、これに限定されるものではなく、放射線量γの測定がより高精度となるための適切な間隔が選定される。
【0035】
加えて、上記実施の形態では、底部測定手段23を構成する放射線量測定器13がターンテーブル24の回転軸25に配置されているとして説明したが、この回転軸25から偏心して配置されてもよい。この構成により、安全サイドの放射線量γの測定がより高精度になるので、放射能濃度をより高精度に測定することができる。また、この放射線量測定器13(底部測定手段23を構成する)を水平方向に移動させ得る別途のアクチュエータが設けられてもよい。
【0036】
さらに、上記実施の形態では、フレコン7に収容された廃棄物8の放射能濃度を測定するとして説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施の形態では、放射線量測定器13について詳しく説明しなかったが、必要とする精度に基づき適宜選定されるものであり、さらに、サーベイメータやガイガーカウンタなどを使用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 廃棄物用放射能測定装置
2 台座体
3 測定用柱体
4 自立制御盤
5 架台
7 フレコン
8 廃棄物
11 配線
13 放射線量測定器
13s シンチレータ
13c 厚肉円筒部
13f フランジ
14 放射線遮蔽板
21 重量測定器
22 支持具
23 底部測定手段
24 ターンテーブル
31 柱部
33 側部測定手段
図1
図2
図3
図4
図5