特許第6366307号(P6366307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366307
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】洗浄システム、および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20180723BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01L21/304 645Z
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 645C
   H01L21/304 651B
   H01L21/304 651K
   H01L21/304 651M
   B08B3/02 B
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-48941(P2014-48941)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-173209(P2015-173209A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】出村 健介
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将文
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−212639(JP,A)
【文献】 特開2005−136346(JP,A)
【文献】 特開2008−091920(JP,A)
【文献】 特開2005−136345(JP,A)
【文献】 特開2008−028102(JP,A)
【文献】 特開2009−267167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを含む第1の溶液を供給する第1の供給部と、
前記第1の溶液が供給された被処理物に第2の溶液を供給する第2の供給部と、
前記第2の溶液が供給された被処理物を乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥部において乾燥させた前記被処理物の表面の残留成分を除去する残留成分除去部と、を備え、
前記残留成分除去部は、前記乾燥部において乾燥させた前記被処理物を加熱する加熱部を有する洗浄システム。
【請求項2】
前記残留成分除去部は、
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能であって前記加熱部を内部に有する容器と、
前記容器の内部にガスを供給するガス供給部と、
前記容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、
をさらに備える請求項1記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記乾燥部は、前記容器の内部に設けられている請求項2記載の洗浄システム。
【請求項4】
被処理物に、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを含む第1の溶液を供給する第1の供給部と、
前記第1の溶液が供給されることで前記被処理物の表面の付着物が除去された前記被処理物に第2の溶液を供給する第2の供給部と、
前記第2の溶液が供給された被処理物を乾燥させる乾燥部と、
前記被処理物の表面の付着物が除去され、前記乾燥部において乾燥させた前記被処理物の表面の残留成分を除去する残留成分除去部と、を備え、
前記残留成分除去部は、
プラズマを発生させる領域に電磁エネルギーを供給するプラズマ発生部と、
前記プラズマを発生させる領域にプロセスガスを供給するプロセスガス供給部と、
を有する洗浄システム。
【請求項5】
前記第2の供給部は、前記残留成分除去部において、表面の残留成分が除去された前記被処理物に前記第2の溶液をさらに供給する請求項1〜4のいずれか1つに記載の洗浄システム。
【請求項6】
前記残留成分は前記硫酸イオンおよび前記アンモニウムイオンの少なくともいずれかを含み、
前記残留成分除去部は、
前記被処理物から脱離した硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを検出する検出部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄システム。
【請求項7】
前記検出された検出結果に基づいて、前記残留成分除去工程の終了を判断する制御部を有する請求項6記載の洗浄システム。
【請求項8】
前記プロセスガスは、酸素ガス、酸素ガスを含む混合ガス、水素ガス、および水素ガスを含む混合ガスの少なくとも1種を含む請求項4に記載の洗浄システム。
【請求項9】
被処理物に、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを含む第1の溶液を供給する工程と、
前記第1の溶液が供給された被処理物に第2の溶液を供給する工程と、
前記第2の溶液が供給された被処理物を乾燥させる工程と、
前記乾燥させる工程において乾燥させた前記被処理物の表面の残留成分を除去する残留成分除去工程と、を備え、
前記残留成分除去工程は、
前記乾燥させる工程において乾燥させた被処理物を加熱する工程を備えた洗浄方法。
【請求項10】
被処理物に、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを含む第1の溶液を供給することで前記被処理物の表面の付着物が除去される工程と、
前記第1の溶液が供給された被処理物に第2の溶液を供給する工程と、
前記第2の溶液が供給された被処理物を乾燥させる工程と、
前記乾燥させる工程において乾燥させた前記被処理物の表面の残留成分を除去する残留成分除去工程と、を備え、
前記残留成分除去工程は、
酸素原子および水素原子の少なくともいずれかを含むプロセスガスから生成されたプラズマ生成物を用いて、前記乾燥させる工程において乾燥させた被処理物を処理する工程と、
を備えた洗浄方法。
【請求項11】
前記表面の残留成分が除去された前記被処理物に前記第2の溶液を供給する工程をさらに備えた請求項9または10に記載の洗浄方法。
【請求項12】
前記残留成分は、硫酸イオンおよび前記アンモニウムイオンの少なくともいずれかを含み、前記被処理物から脱離した前記硫酸イオンおよび前記アンモニウムイオンの少なくともいずれかを検出する工程をさらに備えた請求項〜11のいずれか1つに記載の洗浄方法。
【請求項13】
前記検出する工程によって検出された検出結果に基づいて、前記残留成分除去工程の終了が判断される請求項12記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗浄システム、および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やフォトマスクなどの製造においては、薬液を用いて被処理物の表面を処理し、洗浄液を用いて薬液処理された被処理物の表面を洗浄し、洗浄液が付着した被処理物をスピン乾燥させるようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、スピン乾燥させるだけでは、乾燥させた被処理物の表面に薬液成分などの残留成分が残るおそれがある。
乾燥させた被処理物の表面に薬液成分などの残留成分が残っていると、異物などが発生しやすくなる。
そのため、残留成分の除去を効果的に行うことができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−296899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、残留成分の除去を効果的に行うことができる洗浄システム、および洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る洗浄システムは、
被処理物に、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを含む第1の溶液を供給する第1の供給部と、
前記第1の溶液が供給された被処理物に第2の溶液を供給する第2の供給部と、
前記第2の溶液が供給された被処理物を乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥部において乾燥させた前記被処理物の表面の残留成分を除去する残留成分除去部と、を備え、
前記残留成分除去部は、前記乾燥部において乾燥させた前記被処理物を加熱する加熱部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、残留成分の除去を効果的に行うことができる洗浄システム、および洗浄方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る洗浄システムの模式レイアウト図である。
図2】洗浄乾燥部4を例示するための模式図である。
図3】残留成分除去部5を例示するための模式断面図である。
図4】他の実施形態に係る残留成分除去部105を例示するための模式断面図である。
図5】第2の実施形態に係る洗浄システムの模式レイアウト図である。
図6】洗浄除去部45を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る洗浄システムの模式レイアウト図である。
図1に示すように、洗浄システム1は、収納部2、搬送部3、洗浄乾燥部4、残留成分除去部5、および制御部6を備えている。
【0009】
収納部2は、被処理物100を収納する。被処理物100は、例えば、板状を呈する基板である。なお、被処理物100の平面形状は、例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。被処理物100は、例えば、半導体装置に用いられるウェーハや、フォトマスクなどに用いられるガラス基板などである。
収納部2は、複数の被処理物100を積層状(多段状)に収納可能なキャリアなどとすることができる。収納部2は、例えば、FOUP(Front-Opening Unified Pod)やSMIF(Standard Mechanical Interface)などとすることができる。FOUPは、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われている被処理物100の搬送、保管を目的とした正面開口式キャリアであり、SMIFは、底面開口式キャリアである。
また、被処理物100が露光に用いられるフォトマスクである場合、収納部2は、一枚の被処理物100を収納可能なキャリアとすることができる。収納部2は、例えば、マスクホルダなどとすることができる。マスクホルダは、例えば、露光装置と洗浄装置の装置間において、被処理物100を清浄に搬送することを目的としたキャリアである。
また、収納部2は、被処理物100の収納位置を上下方向に変化させる昇降装置を備えることもできる。
【0010】
収納部2は、洗浄乾燥部4に搬送される被処理物100(処理前の被処理物100)を収納する収納部2aと、残留成分除去部5から搬送された被処理物100(処理済みの被処理物100)を収納する収納部2bとを有することができる。
ただし、これに限定されるわけではなく、洗浄乾燥部4に搬送される被処理物100と、残留成分除去部5から搬送された被処理物100とを収納する収納部2a、2bとすることもできる。
【0011】
搬送部3は、収納部2aと洗浄乾燥部4との間、洗浄乾燥部4と残留成分除去部5との間、残留成分除去部5と収納部2bとの間における被処理物100の搬送を行う。
搬送部3には、保持部3a、アーム部3b、および駆動部3cが設けられている。
支持部3aは、被処理物100を支持する。支持部3aは、例えば、被処理物100を保持するための機械的なチャック、バキュームチャック、静電チャックなどの保持手段を備えたものとすることができる。なお、保持手段は、必ずしも必要ではなく、必要に応じて備えるようにすればよい。
【0012】
アーム部3bは、多関節構造を有し、屈曲動作と旋回動作ができるようになっている。 アーム部3bの一方の端部側には支持部3aが取り付けられている。アーム部3bは、取り付けられた支持部3aを旋回させることができる。
アーム部3bの他方の端部側は、駆動部3cに取り付けられている。
駆動部3cは、サーボモータなどの制御モータを有し、アーム部3bに屈曲動作と旋回動作を行わせる。また、駆動部3cは、アーム部3bに取り付けられた支持部3aに旋回動作を行わせる。
搬送部3は、例えば、水平多関節ロボットなどとすることができる。
ただし、搬送部3の構成は、例示をしたものに限定されるわけではなく、少なくとも被処理物100の搬送を行うことができるものであればよい。
【0013】
洗浄乾燥部4は、第1の溶液102を用いて被処理物100の表面を処理し、第2の溶液103を用いて、第1の溶液102により処理された被処理物100の表面を洗浄する。
またさらに、洗浄乾燥部4は、第2の溶液103が供給された被処理物100を乾燥させる乾燥部にもなる。
洗浄乾燥部4に関する詳細は、後述する。
【0014】
残留成分除去部5は、乾燥させた被処理物100の表面に残留する第1の溶液102の成分(例えば、薬液成分)などの残留成分を除去する。
乾燥させた被処理物100の表面に残留する第1の溶液102の成分は、例えば、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかである。
残留成分除去部5に関する詳細は、後述する。
制御部6は、収納部2、搬送部3、洗浄乾燥部4、および残留成分除去部5に設けられた要素の動作を制御する。
【0015】
次に、洗浄乾燥部4についてさらに説明する。
図2は、洗浄乾燥部4を例示するための模式図である。
図2に示すように、洗浄乾燥部4には、処理部41、第1の供給部42、および第2の供給部43が設けられている。
【0016】
処理部41には、載置部41a、カバー41b、およびノズル41cが設けられている。
後述するように、処理部41は、第2の溶液103が供給された被処理物100を乾燥させる乾燥部にもなる。
載置部41aには、載置台41a1、回転軸41a2、および駆動部41a3が設けられている。
載置台41a1は、板状を呈している。
また、載置台41a1の一方の主面には、被処理物100の周縁を保持する複数の突出部41a4が設けられている。複数の突出部41a4により被処理物100の周縁を保持するようにすれば、被処理物100と載置台41a1側とが接触する部分を少なくすることができる。そのため、被処理物100の汚れや損傷などを抑制することができる。
【0017】
回転軸41a2は、柱状を呈している。
回転軸41a2の一方の端部は、載置台41a1の突出部41a4が設けられる側とは反対側の面に接続されている。
回転軸41a2は、挿通部41b2の内部を通り、カバー41bの外部に延びている。 回転軸41a2の他方の端部は、カバー41bの外部において駆動部41a3と接続されている。
【0018】
駆動部41a3は、モータなどの回転機器を有するものとすることができる。
駆動部41a3の回転力は、回転軸41a2を介して載置台41a1に伝達される。
そのため、駆動部41a3により載置台41a1、ひいては載置台41a1に載置された被処理物100を回転させることができる。
また、駆動部41a3は、回転と回転の停止のみならず、回転数(回転速度)を変化させるものとすることができる。この場合、駆動部41a3は、サーボモータなどの制御モータを有するものとすることができる。
【0019】
カバー41bは、載置台41a1の周囲を覆っている。
カバー41bは、被処理物100に供給され、被処理物100が回転することで被処理物100の外部に排出された第1の溶液102、第2の溶液103、および除去した付着物を受け止める。
カバー41bの側壁の上部には、中心方向に向けて屈曲する屈曲部41b1が設けられている。屈曲部41b1を設けるようにすれば、被処理物100の上方に飛び散る第1の溶液102、第2の溶液103、および除去した付着物の捕捉が容易となる。
カバー41bの底面の中央部分には、カバー41bの内部に向けて突出する筒状の挿通部41b2が設けられている。
挿通部41b2は、カバー41bの内部に向けて突出しているので、回転軸41a2がカバー41bの外部に出る部分から第1の溶液102や第2の溶液103が漏れるのを抑制することができる。
【0020】
カバー41bの底面には、排出口41b3が設けられている。
排出口41b3には、開閉弁41b4を設けることができる。
また、開閉弁41b4に配管41b5を接続し、配管41b5を介して開閉弁41b4と図示しない工場配管や回収装置などとを接続することもできる。
この場合、カバー41bの底面に排出口41b3に向けて傾斜する傾斜面を設けることもできる。この様な傾斜面を設けるようにすれば、カバー41bの底面側に流出した第1の溶液102、第2の溶液103、および除去した付着物の排出が容易となる。
【0021】
また、カバー41bを昇降させる昇降装置を設けることもできる。
カバー41bを昇降させる昇降装置を設けるようにすれば、被処理物100の搬入搬出時にはカバー41bを下降させ、載置台41a1がカバー41bから露出するようにすることができる。
そのため、被処理物100の載置台41a1への受け渡しを容易とすることができる。
【0022】
ノズル41cは、第1の溶液102または第2の溶液103を吐出する吐出口41c1を有する。
ノズル41cは、吐出口41c1が載置台41a1の方を向くように設けられている。 また、ノズル41cは、第1の溶液102を供給するための供給口41c2、第2の溶液103を供給するための供給口41c3を有する。
【0023】
なお、供給口41c2と供給口41c3を有するノズル41cを例示したが、第1の溶液102および第2の溶液103を供給する供給口を有するノズル41cとすることもできる。
また、第1の溶液102を吐出するノズルと、第2の溶液103を吐出するノズルを別個に設けることもできる。
ノズル41cは、所定の位置に固定されていてもよいし、載置台41a1の上方を移動できるように設けられていてもよい。
【0024】
第1の供給部42には、収納部42a、溶液供給部42b、流量調整部42c、および配管42dが設けられている。
収納部42aは、第1の溶液102を収納する。
第1の溶液102は、例えば、被処理物100の表面に付着した付着物を除去するための薬液である。第1の溶液102は、例えば、ウェットエッチング、ウェットアッシング、および洗浄などのウェット処理に用いる薬液である。第1の溶液102としては、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合液や、アンモニア水と過酸化水素水と純水の混合液などを例示することができる。
例えば、第1の溶液102は、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを含むものとすることができる。
【0025】
溶液供給部42bは、収納部42aに接続されている。溶液供給部42bは、収納部42aの内部に収納されている第1の溶液102をノズル41cに向けて供給する。
溶液供給部42bは、第1の溶液102に対する耐性を有するポンプなどとすることができる。溶液供給部42bは、例えば、ケミカルポンプなどとすることができる。
ただし、溶液供給部42bは、ポンプに限定されるわけではない。例えば、溶液供給部42bは、収納部42aの内部にガスを供給し、収納部42aの内部に収納された第1の溶液102を圧送するものとすることもできる。
【0026】
流量調整部42cは、溶液供給部42bに接続されている。流量調整部42cは、溶液供給部42bにより供給される第1の溶液102の流量を調整する。流量調整部42cは、例えば、流量調整弁とすることができる。
また、流量調整部42cは、第1の溶液102の供給の開始と供給の停止をも行えるものとすることもできる。
配管42dの一端は、流量調整部42cに接続されている。配管42dの他端は、ノズル41cの供給口41c2に接続されている。
【0027】
第2の供給部43には、収納部43a、溶液供給部43b、流量調整部43c、および配管43dが設けられている。
第2の供給部43は、第1の溶液102が供給された被処理物100に第2の溶液103を供給する。
またさらに、後述するパーティクルが被処理物100上に付着している場合には、第2の供給部43は、残留成分除去部5(例えば、加熱部55)により加熱された被処理物100、または、残留成分除去部105(例えば、プラズマ発生部112とプロセスガス供給部115)によりプラズマ処理された被処理物100に第2の溶液103をさらに供給する。
収納部43aは、第2の溶液103を収納する。
第2の溶液103は、例えば、純水などの洗浄水とすることができる。
溶液供給部43bは、収納部43aに接続されている。溶液供給部43bは、収納部43aの内部に収納されている第2の溶液103をノズル41cに向けて供給する。
溶液供給部43bは、ポンプなどとすることができる。
ただし、溶液供給部43bは、ポンプに限定されるわけではない。例えば、溶液供給部43bは、収納部43aの内部にガスを供給し、収納部43aの内部に収納された第2の溶液103を圧送するものとすることもできる。
【0028】
流量調整部43cは、溶液供給部43bに接続されている。流量調整部43cは、溶液供給部43bにより供給される第2の溶液103の流量を調整する。流量調整部43cは、例えば、流量調整弁とすることができる。
また、流量調整部43cは、第2の溶液103の供給の開始と供給の停止をも行えるものとすることもできる。
配管43dの一端は、流量調整部43cに接続されている。配管43dの他端は、ノズル41cの供給口41c3に接続されている。
【0029】
また、第1の溶液102および第2の溶液103の少なくともいずれかに超音波振動を印加する超音波振動装置を設けることもできる。
例えば、ノズル41cや載置台41a1などに超音波振動装置を内蔵させることができる。
また、カバー41bの排出口41b3から排出された第1の溶液102および第2の溶液103を回収して再利用する回収装置を設けることもできる。
【0030】
次に、残留成分除去部5について、さらに説明する。
図3は、残留成分除去部5を例示するための模式断面図である。
残留成分除去部5は、所定のガスGを含み大気圧よりも減圧された雰囲気中において、乾燥させた被処理物100を加熱する。
図3に示すように、残留成分除去部5には、容器51、載置部52、減圧部53、ガス供給部54、加熱部55、および検出部56が設けられている。
【0031】
容器51は、気密構造を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持することができる。
容器51の側壁には、被処理物100を搬入搬出するための搬入搬出口51bが設けられている。
また、搬入搬出口51bを気密に塞ぐことができる開閉扉51aが設けられている。
【0032】
載置部52は、容器51の内部に設けられている。
載置部52の一方の主面には、被処理物100の周縁を保持する複数の突出部52aが設けられている。複数の突出部52aにより被処理物100の周縁を保持するようにすれば、被処理物100と載置部52側とが接触する部分を少なくすることができる。そのため、被処理物100の汚れや損傷などを抑制することができる。
【0033】
減圧部53は、容器51の内圧を検出する図示しない真空計の出力に基づいて、容器51の内部を所定の圧力まで減圧する。
減圧部53には、排気部53aおよび圧力制御部53bが設けられている。
排気部53aは、圧力制御部53bを介して容器51と接続されている。
排気部53aは、例えば、ターボ分子ポンプ(turbomolecular pump)などとすることができる。
圧力制御部53bは、例えば、自動圧力制御装置(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0034】
ガス供給部54は、容器51の内部にガスGを供給する。
ガス供給部54には、ガス収納部54aおよび流量制御部54bが設けられている。
ガス収納部54aは、ガスGを収納するとともに、収納されているガスGを容器51の内部に流量制御部54bを介して供給する。
ガス収納部54aは、例えば、高圧のガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。
流量制御部54bは、ガス収納部54aから供給されるガスGの流量(供給量)を制御する。また、流量制御部54bは、ガスGの供給の開始と供給の停止をも制御するものとすることもできる。
流量制御部54bは、例えば、マスフローコントローラ(Mass Flow Controller)などとすることができる。
ガスGは、被処理物100と反応し難いものとすることができる。ガスGは、例えば、窒素ガスや、アルコンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスなどとすることができる。
【0035】
ここで、残留成分除去部5は、大気圧よりも減圧された雰囲気において、被処理物100を加熱する。また、被処理物100は、複数の突出部52aにより周縁を保持されている。そのため、主に輻射熱により、被処理物100が加熱されることになる。輻射熱のみで被処理物100を加熱すれば、加熱時間が長くなり、ひいては、生産性が悪くなるおそれがある。
そこで、ガス供給部54により所定量のガスGを容器51の内部に供給することで、輻射による熱伝導に加えて、対流による熱伝導が行われるようにしている。
【0036】
加熱部55は、被処理物100を加熱する。
加熱部55は、加熱体55bと、載置された被処理物100の近傍に設けられた温度センサ55aを備える。
加熱体55bは、例えば、ジュール熱を利用するヒータなどとすることができる。加熱体55bは、例えば、載置部52に内蔵させることができる。
ただし、加熱体55bの発熱方式や配設位置は、例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。加熱体55bは、被処理物100を加熱することができるものであればよく、被処理物100の加熱に適した位置に設けられていればよい。例えば、加熱体55bは、載置部52の上方に設けられた遠赤外線ヒータなどとすることもできる。
温度センサ55aからの検出信号は、制御部6に入力され、制御部6に内蔵された温度制御装置により加熱部55の温度制御、ひいては被処理物100の温度制御が行われる。制御部6に内蔵された温度制御装置は、例えば、加熱体55bに印加される電圧などを変化させるものとすることができる。
【0037】
検出部56は、容器51の内部の雰囲気に含まれる成分を検出する。
検出部56は、例えば、四重極形質量分析計(Quadrupole Mass Spectrometer)などの質量分析計などとすることができる。
検出部56は、被処理物100の表面に残留する残留成分の除去の程度や、容器51の内部の雰囲気に含まれるガスGの割合などを検出する。
例えば、検出部56は、加熱された被処理物100から脱離した硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを検出する。
残留成分の除去の程度は、残留成分の除去量と、検出部56における検出値との関係を予め実験やシミュレーションなどで求めておくことで知ることができる。
検出部56からの検出信号は、制御部6に入力される。
【0038】
後述するように、洗浄乾燥部4は、被処理物100を所定の回転数で回転させる。被処理物100が回転すると、被処理物100に付着した第2の溶液103が被処理物100の外方に排出される。そして、第2の溶液103が排出されることで、被処理物100が乾燥する。
【0039】
ところが、回転による乾燥だけでは、被処理物100の表面に残留する第1の溶液102の成分などの残留成分を除去するのが難しい。
残留成分としては、第1の溶液102に含まれていた硫酸イオンやアンモニウムイオンなどを例示することができる。
この場合、硫酸イオンやアンモニウムイオンなどの除去は、水の除去よりも困難である。そして、被処理物100の表面に硫酸イオンが残留していると、硫酸イオンと大気中にあるアンモニウムイオンとが反応して、硫酸アンモニウムが析出するおそれがある。硫酸アンモニウムの析出は、異物の発生要因となる。
【0040】
そこで、残留成分除去部5は、大気圧よりも減圧された雰囲気中において、被処理物100を加熱することで、被処理物100の表面に残留する硫酸イオンやアンモニウムイオンなどを除去するようにしている。
また、ガス供給部54により所定量のガスGを容器51の内部に供給することで、被処理物100の加熱時間を短縮するようにしている。
【0041】
制御部6は、収納部2に設けられた要素の動作を制御する。
例えば、制御部6は、収納部2に設けられた昇降装置を制御して、被処理物100の収納位置を上下方向に変化させる。
制御部6は、搬送部3に設けられた要素の動作を制御する。
例えば、制御部6は、保持部3aに設けられた保持手段を制御して、被処理物100の保持と解放を行う。
制御部6は、駆動部3cを制御して、被処理物100の搬送を行う。
【0042】
制御部6は、洗浄乾燥部4に設けられた要素の動作を制御する。
例えば、制御部6は、駆動部41a3を制御して、載置台41a1(被処理物100)の回転の開始、回転の停止、および回転数(回転速度)の変更を行う。
制御部6は、開閉弁41b4を制御して、第1の溶液102や第2の溶液103などのカバー41bからの排出を行う。
制御部6は、溶液供給部42bを制御して、第1の溶液102の供給の開始、供給の停止、供給時間の制御などを行う。
制御部6は、流量調整部42cを制御して、第1の溶液102の流量(供給量)を変化させる。
制御部6は、溶液供給部43bを制御して、第2の溶液103の供給の開始、供給の停止、供給時間の制御などを行う。
制御部6は、流量調整部43cを制御して、第2の溶液103の流量(供給量)を変化させる。
【0043】
制御部6は、残留成分除去部5に設けられた要素の動作を制御する。
例えば、制御部6は、開閉扉51aを制御して、搬入搬出口51bの封止と解放を行う。
制御部6は、排気部53aおよび圧力制御部53bを制御して、容器51の内部が所定の圧力となるようにする。
制御部6は、検出部56からの検出信号に基づいて流量制御部54bを制御することで、容器51の内部に所定量のガスGが含まれるようにする。
制御部6は、温度センサ55aからの検出信号に基づいて加熱体55bの温度、ひいては被処理物100の温度を変化させる。
制御部6は、検出部56からの検出信号に基づいて残留成分の除去の程度を演算する。そして、制御部6は、演算結果に基づいて、残留成分除去部5における除去処理の続行または除去処理の終了を行う。
【0044】
次に、他の実施形態に係る残留成分除去部105について例示する。
図4は、他の実施形態に係る残留成分除去部105を例示するための模式断面図である。
図3に例示をした残留成分除去部5は、所定のガスGを含み大気圧よりも減圧された雰囲気中において、被処理物100を加熱することで被処理物100の表面に残留する残留成分を除去する。
これに対して、図4に例示をする残留成分除去部105は、酸素原子および水素原子の少なくともいずれかを含むプロセスガスG1から生成されたプラズマ生成物を用いて、被処理物100の表面に残留する残留成分を除去する。
【0045】
図4に示すように、残留成分除去部105は、プラズマ発生部112、容器123、整流板116、マイクロ波発生部114、プロセスガス供給部115、減圧部53、および検出部56などを備えている。
プラズマ発生部112は、プラズマPを発生させる領域にマイクロ波(電磁エネルギー)を供給することでプラズマPを発生させる。
プラズマ発生部112には、透過窓112a、導入導波管112bが設けられている。 透過窓112aは平板状を呈し、マイクロ波Mに対する透過率が高くエッチングされにくい材料からなる。透過窓112aは、例えば、石英などから形成することができる。
透過窓112aは、容器123の上端に気密となるようにして設けられている。
【0046】
容器123の外側であって、透過窓112aの上面には導入導波管112bが設けられている。導入導波管112bは、マイクロ波発生部114から放射されたマイクロ波Mを伝播させて、プラズマPを発生させる領域にマイクロ波Mを導入する。
導入導波管112bと透過窓112aとの接続部分には、スリット112cが設けられている。スリット112cは、導入導波管112bの内部を導波されてきたマイクロ波Mを透過窓112aに向けて放射するためのものである。
【0047】
導入導波管112bの一端には、マイクロ波発生部114が設けられている。マイクロ波発生部114は、所定の周波数(例えば2.45GHz)のマイクロ波Mを発生させ、導入導波管112bに向けて放射することができるようになっている。
【0048】
プロセスガス供給部115は、容器123の側壁上部に接続されている。
プロセスガス供給部115には、ガス収納部115aおよび流量制御部(MFC;Mass Flow Controller)115bが設けられている。
ガス収納部115aは、プロセスガスG1を収納するとともに、収納されているプロセスガスG1を容器123の内部に流量制御部115bを介して供給する。
ガス収納部115aは、例えば、高圧のプロセスガスG1を収納した高圧ボンベなどとすることができる。
流量制御部115bは、ガス収納部115aから供給されるプロセスガスG1の流量(供給量)を制御する。また、流量制御部115bは、プロセスガスG1の供給の開始と供給の停止をも制御するものとすることもできる。
流量制御部115bは、例えば、マスフローコントローラ(Mass Flow Controller)などとすることができる。
【0049】
プロセスガスG1は、酸素原子および水素原子の少なくともいずれかを含んでいる。
プロセスガスG1は、例えば、酸素ガスおよび水素ガスの少なくともいずれかを含むものとすることができる。この場合、プロセスガスG1は、例えば、酸素ガス、酸素ガスを含む混合ガス、水素ガス、および水素ガスを含む混合ガスの少なくとも1種を含むものとすることができる。酸素ガスを含む混合ガスは、例えば、酸素ガスと窒素ガスなどとの混合ガスとすることができる。水素ガスを含む混合ガスは、例えば、水素ガスと窒素ガスなどとの混合ガスとすることができる。
【0050】
容器123は、有底の略円筒形状を呈し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能となっている。すなわち、容器123は、プラズマPを発生させる領域を内部に有し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能となっている。
容器123の側壁には、被処理物100を搬入搬出するための搬入搬出口123aが設けられている。
また、搬入搬出口123aを気密に塞ぐことができる開閉扉123bが設けられている。
載置部113aは、容器123の内部に設けられている。載置部113aは、プラズマPを発生させる領域の近傍に設けられている。
整流板116は、容器123の内部に設けられている。
整流板116は、容器123とプロセスガス供給部115との接続部分よりは下方であって、載置部113aの上方に設けられている。
整流板116は、載置部113aの上面(載置面)と対向させるようにして設けられている。
整流板116は、プラズマPを発生させる領域において生成されたプラズマ生成物を含んだガスの流れを整流し、被処理物100の処理面上におけるプラズマ生成物の量が略均一となるようにするためのものである。
また、整流板116は、多数の孔部116aが設けられた略円形の板状体であり、容器123の内壁に固定されている。そして、整流板116と載置部113aの上面(載置面)との間の領域が、被処理物に対する処理が行われる処理空間120となる。また、容器123の内壁面、整流板116の表面は、中性活性種と反応しにくい材料(例えば、四弗化樹脂(PTFE)またはアルミナ等のセラミック材料など)で覆われている。
載置部113aは、硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを表面に有する被処理物100を載置する。
載置部113aの内部には、被処理物100を保持するための図示しない保持手段を設けることができる。図示しない保持手段は、例えば、静電チャックなどとすることができる。
【0051】
載置部113aの内部には、被処理物100の温度を制御するための温度制御部113bを設けることができる。
温度制御部113bは、例えば、ジュール熱を利用するヒータや、加熱または冷却された媒体を循環させる温度制御装置などとすることができる。
なお、温度制御部113bは、必ずしも必要ではなく、被処理物100の温度制御を行う場合に設けるようにすることができる。
また、載置部113aには、被処理物100の受け渡しを行うための図示しないリフトピンなどを設けることができる。
【0052】
制御部6は、残留成分除去部105に設けられた各要素の動作を制御する。
制御部6は、例えば、容器123に設けられた開閉扉123bの開閉動作を制御する。
制御部6は、例えば、載置部113aに設けられた図示しない保持手段やリフトピンの動作を制御する。
制御部6は、例えば、載置部113aに設けられた温度制御部113bを制御して、被処理物100の温度制御を行う。
制御部6は、例えば、マイクロ波発生部114を制御して、プラズマPの発生と停止を制御する。
この際、制御部6は、マイクロ波発生部114を制御して、処理時間を制御することができる。
制御部6は、例えば、ガス収納部115aおよび流量制御部115bを制御して、容器123内のプラズマPを発生させる領域に所定流量のプロセスガスG1を供給する。
制御部6は、例えば、排気部53aと圧力制御部53bを制御して、容器123の内圧が所定の圧力となるようにする。
【0053】
前述した残留成分除去部105は、一例として、SWP(Surface Wave Plasma:表面波プラズマ)処理を行う装置を例示したが、ラジカルの生成に適した装置であればよい。
例えば、リモートプラズマ処理装置のように、処理容器とは離隔した容器においてプラズマを生成し、ラジカルを含むガスを、ガス搬送管を介して処理容器内に導入して、被処理物の処理を行う装置であってもよい。
また、ラジカルともにイオンなどの荷電粒子が生成される装置であってもよい。例えば、電極間に高周波(RF;Radio Frequency)の電圧を印加してプラズマを発生させる装置であってもよい。
すなわち、プラズマPを発生させる電磁エネルギーとして、マイクロ波を用いることもできるし、高周波を用いることもできる。
また、減圧環境下においてプラズマPを発生させる装置を例示したが、大気圧環境下でプラズマPを発生させる装置とすることもできる。
【0054】
次に、洗浄システム1の作用とともに、本実施の形態に係る洗浄方法について例示をする(図1を参照)。
まず、被処理物100が、搬送部3により収納部2aから取り出される。
次に、被処理物100が、搬送部3により洗浄乾燥部4に向けて搬送される。
次に、被処理物100が、搬送部3により、載置部41aの主面に設けられた突出部41a4の上に載置される。
次に、載置部41aが、駆動部41a3により回転される。載置部41aが回転することで、載置された被処理物100が回転する。
次に、収納部42aに収納されている第1の溶液102が、溶液供給部42bによりノズル41cに向けて送られる。この際、第1の溶液102の供給量が、流量調整部42cにより制御される。ノズル41cに向けて送られた第1の溶液102は、ノズル41cから吐出され、被処理物100の表面に供給される。被処理物100の表面に供給された第1の溶液102により、被処理物100の表面に付着した付着物が除去される。除去された付着物と、第1の溶液102は、被処理物100の回転により被処理物100の外方に排出される。
【0055】
次に、収納部43aに収納されている第2の溶液103が、溶液供給部43bにより、ノズル41cに向けて送られる。この際、第2の溶液103の供給量が、流量調整部43cにより制御される。ノズル41cに向けて送られた第2の溶液103は、ノズル41cから吐出され、被処理物100の表面に供給される。被処理物100の表面に供給された第2の溶液103により、被処理物100の表面に残留している付着物や第1の溶液102が除去される。すなわち、被処理物100の表面に残留している付着物や第1の溶液102が、第2の溶液103により洗い流される。
【0056】
次に、被処理物100の表面に残留している第2の溶液103が、載置部41aの回転により、被処理物100の外方に排出される。この際、載置部41aの回転数が高くなるようにすることができる。被処理物100の表面に残留している第2の溶液103が排出されることで、被処理物100が乾燥する。
【0057】
前述したように、被処理物100を乾燥させただけでは、被処理物100の表面に残留する第1の溶液102の成分などの残留成分を除去するのが難しい。
そこで、次に、被処理物100の表面に残留する第1の溶液102の成分などの残留成分が、残留成分除去部5、または残留成分除去部105により除去される。
【0058】
まず、被処理物100が、搬送部3により洗浄乾燥部4から取り出される。
次に、被処理物100が、搬送部3により残留成分除去部5、または残留成分除去部105に向けて搬送される。
以下においては、まず、残留成分除去部5の作用について例示する。
まず、容器51の開閉扉51aが開かれ、被処理物100が搬送部3により容器51の内部に搬入される。
次に、被処理物100が、搬送部3により、載置部52に設けられた突出部52aの上に載置される。
次に、搬送部3が容器51の外部に退避し、容器51の開閉扉51aが閉じられる。
【0059】
次に、容器51の内部が、排気部53aと圧力制御部53bとにより、所定の圧力まで減圧される。
この際、所定量のガスGが、ガス供給部54により、容器51の内部に供給される。
容器51の内圧やガスGの供給量は、残留成分の種類などに応じて適宜設定することができる。容器51の内圧やガスGの供給量は、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
例えば、ガスGが供給された状態で、容器51の内圧が1Pa以上、500Pa以下となるようにすることができる。
また、温度センサ55aからの検出結果に基づいて、制御部6に内蔵された温度制御装置による加熱部55の制御、ひいては被処理物100の温度制御が行われる。
加熱温度は、残留成分の種類などに応じて適宜設定することができる。加熱温度は、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
例えば、被処理物100の近傍における温度が400℃以下となるようにすることができる。
【0060】
次に、被処理物100の表面にある残留成分の除去の程度が、検出部56により検出される。
例えば、検出部56は、加熱された被処理物100から脱離した硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを検出する。
残留成分の除去の程度に関する検出結果は制御部6に入力され、検出結果に基づいて、残留成分除去部5における除去処理の続行または除去処理の終了が判断される。この判断は、予め定められた閾値を用いて行うことができる。また、検出部56で検出可能な範囲外となった時点で除去処理の終了と判断してもよい。
また、容器51の内部の雰囲気に含まれるガスGの割合を検出部56により検出することもできる。
ガスGの割合に関する検出結果は制御部6に入力され、検出結果に基づいて、ガスGの供給量が制御される。
次に、容器51の開閉扉51aが開かれ、被処理物100が搬送部3により容器51の外部に搬出される。
【0061】
次に、残留成分除去部105の作用について例示する。
まず、容器123の開閉扉123bが開かれ、被処理物100が搬送部3により容器123の内部に搬入される。
次に、被処理物100が、搬送部3により、載置部113aの上に載置される。
次に、搬送部3が容器123の外部に退避し、容器123の開閉扉123bが閉じられる。
【0062】
気密に密閉された容器123の内部が、減圧部53により所定の圧力まで減圧される。例えば、容器123の内圧が、減圧部53により120Pa程度となるようにされる。なお、容器123の内圧は、プラズマPの発生が阻害されない範囲で適宜変更することができる。
また、プロセスガスG1が、プロセスガス供給部115により容器123の内部に供給される。
プロセスガスG1は、酸素原子および水素原子の少なくともいずれかを含んでいる。
プロセスガスG1は、例えば、酸素ガスおよび水素ガスの少なくともいずれかを含むものとすることができる。プロセスガスG1は、例えば、酸素ガス、酸素ガスを含む混合ガス、水素ガス、および水素ガスを含む混合ガスの少なくとも1種を含むものとすることができる。この場合、酸素ガスを含む混合ガスは、例えば、酸素ガスと窒素ガスなどとの混合ガスとすることができる。水素ガスを含む混合ガスは、例えば、水素ガスと窒素ガスなどとの混合ガスとすることができる。
【0063】
また、マイクロ波発生部114からマイクロ波Mを放射させ、スリット112cを介してマイクロ波Mを透過窓112aに導入する。導入されたマイクロ波Mは、透過窓112aの表面を伝搬して、容器123内のプラズマPを発生させる領域に放射される。プラズマPを発生させる領域に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プロセスガスG1のプラズマPが形成される。プラズマP中の電子密度が、透過窓112aを透過して導入されるマイクロ波Mを遮蔽できる密度(カットオフ密度)以上になると、マイクロ波Mは透過窓112aの下面から一定距離(スキンデプス)だけ入るまでの間に反射されるようになる。そのため、マイクロ波Mの定在波が形成されることになる。
【0064】
すると、マイクロ波Mの反射面がプラズマ励起面となって、このプラズマ励起面において安定的にプラズマPが励起されるようになる。プラズマ励起面において励起されたプラズマP中においては、イオンなどがプロセスガスG1の分子と衝突することで励起された原子や分子、遊離原子などのラジカル(中性活性種)を含むプラズマ生成物が生成される。この場合、プロセスガスG1は、酸素原子および水素原子の少なくともいずれかを含んでいるので、酸素ラジカルおよび水素ラジカルの少なくともいずれかが生成される。
生成された前述のラジカルを含むプラズマ生成物は、容器123内を下方に向けて拡散する。そして、被処理物100の表面に到達した酸素ラジカルおよび水素ラジカルの少なくともいずれかにより、硫酸イオンなどの残留成分の除去が行われる。
【0065】
なお、温度制御部113bにより被処理物100の温度制御を行うこともできる。
例えば、被処理物100の温度が、プラズマPの輻射熱により高くなりすぎる場合には被処理物100の温度を低下させることができる。また、硫酸イオンなどの残留成分とラジカルとの反応が促進されるように被処理物100の温度を制御することもできる。
なお、被処理物100の温度は、例えば、100℃程度とすることができるが、硫酸イオンなどの残留成分と前述したラジカルとの反応が阻害されない範囲で適宜変更することができる。
【0066】
次に、被処理物100の表面にある残留成分の除去の程度が、検出部56により検出される。
例えば、検出部56は、被処理物100から脱離した硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを検出する。
残留成分の除去の程度に関する検出結果は制御部6に入力され、検出結果に基づいて、残留成分除去部105における除去処理の続行または除去処理の終了が判断される。この判断は、予め定められた閾値を用いて行うことができる。また、検出部56で検出可能な範囲外となった時点で除去処理の終了と判断してもよい。
次に、容器123の開閉扉123bが開かれ、被処理物100が搬送部3により容器123の外部に搬出される。
【0067】
次に、被処理物100が、搬送部3により洗浄乾燥部4に向けて搬送される。
そして、前述した手順と同様にして、被処理物100の表面に第2の溶液103を供給して被処理物100の表面に付着しているパーティクルなどを洗浄する。また、被処理物100の表面に第2の溶液103を供給して、加熱部55やプラズマPの熱によって加熱された被処理物100の冷却を行う。
残留成分除去部5、または残留成分除去部105により、被処理物100上にある残留成分は、前述したように加熱やラジカルとの化学反応により除去することができる。
ところが、残留成分除去部5、または残留成分除去部105による処理を行う際に、ガス供給部54から供給されたガスGや、プロセスガス供給部115から供給されたガスG1に含まれるパーティクルや、残留成分除去部5、または残留成分除去部105内に存在するパーティクルが被処理物100上に付着する場合がある。
この場合は、洗浄乾燥部4による再洗浄を行うことで、付着したパーティクルを物理的に除去することができる。
次に、前述した手順と同様にして、被処理物100を回転させることで乾燥させる。
なお、第2の溶液103による再洗浄または冷却と、乾燥は必要に応じて行う様にすればよい。
【0068】
次に、被処理物100が、搬送部3により収納部2bに向けて搬送され、収納部2bに収納される。
次に、必要に応じて、前述した手順を繰り返すことで、被処理物100が連続的に処理される。
【0069】
以上に説明したように、本実施の形態に係る洗浄方法は、以下の工程を備えることができる。
被処理物100に第1の溶液102を供給する工程。
第1の溶液102が供給された被処理物100に第2の溶液103を供給する工程。
第2の溶液103が供給された被処理物100を乾燥させる工程。
所定のガスGを含み大気圧よりも減圧された雰囲気中において、乾燥させた被処理物100を加熱する工程。
または、加熱する工程に代えて、酸素原子および水素原子の少なくともいずれかを含むプロセスガスG1から生成されたプラズマ生成物を用いて、乾燥させた被処理物100を処理する工程。
またさらに、被処理物100から脱離した硫酸イオンおよびアンモニウムイオンの少なくともいずれかを検出する工程を備えることもできる。
【0070】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る洗浄システムの模式レイアウト図である。
図5に示すように、洗浄システム1aは、収納部2、搬送部3、洗浄除去部45、および制御部6を備えている。
図6は、洗浄除去部45を例示するための模式図である。
洗浄除去部45は、前述した洗浄乾燥部4と残留成分除去部5を一体化したものである。
すなわち、図6に示すように、容器51の内部には、前述した載置部52に代えて処理部41が設けられている。
この場合、加熱体55bは、例えば、載置台41a1の内部に設けることができる。
洗浄除去部45の作用は、前述した洗浄乾燥部4の作用と残留成分除去部5の作用を併せたものとすることができる。
すなわち、洗浄除去部45は、洗浄乾燥部4の作用である以下の作用を有する。
洗浄除去部45は、第1の溶液102を用いて被処理物100の表面を処理し、第2の溶液103を用いて、第1の溶液102により処理された被処理物100の表面を洗浄する。
またさらに、洗浄除去部45は、第2の溶液103が供給された被処理物100を乾燥させる乾燥部にもなる。
また、洗浄除去部45は、残留成分除去部5の作用である以下の作用を有する。
洗浄除去部45は、乾燥させた被処理物100の表面に残留する第1の溶液102の成分(例えば、薬液成分)などの残留成分を除去する。
そのため、洗浄システム1aに設けられた要素の構成に関する詳細や、洗浄システム1aの作用に関する詳細は省略する。
【0071】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、洗浄システム1、1aが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0072】
1 洗浄システム、1a 洗浄システム、2 収納部、3 搬送部、4 洗浄乾燥部、5 残留成分除去部、6 制御部、41 処理部、41a 載置部、41c ノズル、42 第1の供給部、43 第2の供給部、45 洗浄除去部、51 容器、53 減圧部、54 ガス供給部、55 加熱部、55a 温度センサ、56 検出部、100 被処理物、102 第1の溶液、103 第2の溶液、105 残留成分除去部、112 プラズマ発生部、114 マイクロ波発生部、115 プロセスガス供給部、123 容器、G ガス、G1 プロセスガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6