(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366312
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
E02F9/16 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-56462(P2014-56462)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-178733(P2015-178733A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2017年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−170387(JP,U)
【文献】
特開2013−133670(JP,A)
【文献】
実開平04−090430(JP,U)
【文献】
特開2000−319878(JP,A)
【文献】
特開2013−108245(JP,A)
【文献】
特開2013−091945(JP,A)
【文献】
実開昭60−081075(JP,U)
【文献】
実開平02−112751(JP,U)
【文献】
特開2004−293109(JP,A)
【文献】
特開2001−233134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
E02F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に設けた作業装置と前記上部旋回体の後端部に設けられたカウンタウエイトとを備えた建設機械において、前記カウンタウエイトの後部に、上部旋回体の後端面に沿って立ち上がった収納状態と上部旋回体の後方に水平方向に突出した使用状態とに回動可能な後部架台を設け、
前記後部架台は、取付板を介して着脱可能に取り付けられるとともに、該取付板に設けられた左右一対の支持部材に回動軸を介して回動可能に取り付けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記カウンタウエイトの後面に、前記取付板の前側面に設けられた下向き係合部材が係合して取付板を支持する上向き係合部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記後部架台を収納状態と使用状態とに回動させるシリンダを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械。
【請求項4】
前記後部架台を収納状態及び使用状態にそれぞれ保持する架台保持手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の建設機械。
【請求項5】
前記カウンタウエイトの上部に、着脱可能な補助カウンタウエイトが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、詳しくは、上部旋回体の後部に発電機(溶接機)などの機器を搭載するための後部架台を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の建設機械、例えば大型の杭打機では、発電機や油圧ユニットを搭載するための架台を上部旋回体の後部に設けたものが知られている。前記架台は、上部旋回体の後部、例えばカウンタウエイトの上方に着脱可能に形成したり、上部旋回体のフレームを後方に延長することで形成したりしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−233134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、上部旋回体に着脱可能とした架台は、前記特許文献1の従来技術の欄に記載されているように、各種大きさの機器を搭載できるような大きさで形成されているため、上部旋回体後方への張り出し量が大きくなり、架台を取り付けた状態では、狭い場所での旋回操作が行えなくなったりすることがある。一方、フレームを後方に延長した架台の場合は、フレームの突出量を小さくすることによって旋回操作に影響を与えることはなくなるものの、搭載する機器として、特許文献1に記載されているように、格納可能な作業用ステップを設けた機器を使用しなければならなかった。さらに、大型の杭打機では、架台に搭載した機器の操作が高所作業となるため、操作が面倒なだけでなく、安全にも配慮しなければならなかった。
【0005】
また、大型の杭打機は、下部走行体、上部旋回体、リーダ、バックステーなどを分解して輸送し、施工現場で組み立てるようにしているため、これらの分解、組立と同時に架台の脱着も行うことができるが、分解することなく輸送可能な小型の杭打機の場合は、架台の脱着だけを特別に行わなければならず、架台を輸送するためのトラックを別に手配しなければならないこともあった。
【0006】
そこで本発明は、作業状態のまま分解することなく、リーダを倒すだけで輸送可能な小型の杭打機に適した構造を有する機器搭載用の後部架台を備えた建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械は、下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に設けた作業装置と
前記上部旋回体の後端部に設けられたカウンタウエイトとを備えた建設機械において、
前記カウンタウエイトの後部に、上部旋回体の後端面に沿って立ち上がった収納状態と上部旋回体の後方に水平方向に突出した使用状態とに回動可能な後部架台を設け、
前記後部架台は、取付板を介して着脱可能に取り付けられるとともに、該取付板に設けられた左右一対の支持部材に回動軸を介して回動可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の建設機械は
、前記カウンタウエイトの後面に、前記取付板の前側面に設けられた下向き係合部材が係合して取付板を支持する上向き係合部材が設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、前記後部架台を収納状態と使用状態とに回動させるシリンダを備えていること、前記後部架台を収納状態及び使用状態にそれぞれ保持する架台保持手段を備えていること、前記
カウンタウエイトの上部に着脱可能な補助カウンタウエイトが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建設機械によれば、上部旋回体の後部に収納状態と使用状態とに回動可能な後部架台を設けているので、溶接機などの機器を必要とする際には、後部架台を回動させて使用状態にすることにより、上部旋回体の後部に各種機器を搭載した状態で所定の作業を行うことができる。また、機器が不要の際には、後部架台を回動させて収納状態にすることにより、狭い場所での作業性を向上させることができる。
【0011】
さらに、取付板を介して上部旋回体やカウンタウエイトの後部に取り付けることにより、後部架台の取り付けや取り外しを容易に行うことができ、係合部材を設けておくことにより、後部架台を着脱する際の後部架台の落下を防止できる。また、後部架台の収納状態と使用状態とへの回動をシリンダで行うことにより、後部架台の回動を安全かつ容易に行うことができ、後部架台を使用状態や収納状態に保持する保持手段を設けておくことにより、後部架台を使用状態又は収納状態に確実に保持しておくことができる。さらに、補助カウンタウエイトを設けることにより、下部走行体への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の建設機械の一形態例を示す側面図である。
【
図5】使用状態として機器を搭載した状態を示す後部架台の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図7は、本発明を、鋼管杭埋設仕様とした小型杭打機に適用した形態例を示している。この杭打機11は、下部走行体12の上に旋回ベアリングを介して上部旋回体13を旋回可能に設けたベースマシン14と、上部旋回体13の前部にリーダサポート15を介して起伏可能に設けられた上部リーダ16と、上部旋回体13の前端部に設けられて前記上部リーダ16の下部に連結される下部リーダ17と、上部リーダ16を後方から支持するリーダ起伏シリンダ18と、上部旋回体13の前部で上部リーダ16の後方に起伏可能に設けられたホース支持支柱19と、該ホース支持支柱19を後方から支持するホース支持支柱起伏シリンダ20と、上部旋回体13の前後左右の4箇所にそれぞれ設けられたジャッキ21と、上部旋回体13の後端部に設けられたカウンタウエイト22と、該カウンタウエイト22の後部に設けられた後部架台23とを備えている。
【0014】
上部リーダ16及び下部リーダ17には、左右一対のガイドパイプ24が長手方向に連続して設けられ、該ガイドパイプ24にガイドギブ25を介してオーガドライブなどの作業装置26が昇降可能に設けられている。また、下部リーダ17の下端部には、下部振止27が設けられている。前記作業装置26は、上部リーダ16及び下部リーダ17の前面に連続して設けられたラック28に歯合して作業装置26を昇降させるラックピニオン式昇降装置を備えるとともに、作業装置26を貫通した出力軸29を回転駆動する駆動装置を備えている。出力軸29は、下部及び上端部に前記駆動装置の出力部に嵌合する角軸部29a,29bを備えており、下端部には、埋設する鋼管杭の上端部が連結される鋼管杭連結部29cが設けられている。
【0015】
鋼管杭埋設作業時は、
図1に示す状態で、出力軸29の鋼管杭連結部29cに鋼管杭(図示せず)の上端部を連結し、出力軸29を介して鋼管杭を回転させながら作業装置26を上部リーダ16及び下部リーダ17に沿って下降させることにより、鋼管杭を地中に圧入する。複数の鋼管杭を接続して埋設する際には、先に埋設した鋼管杭と出力軸29との連結を解除して作業装置26を上部リーダ16の上部に上昇させ、次に埋設する鋼管の上部を出力軸29に連結するとともに、次の鋼管の下端部と先に埋設した鋼管の上端部とを溶接によって接続した後、鋼管杭の回転と作業装置26の下降とを繰り返して行う。
【0016】
また、杭打機11を輸送する際には、
図3に示すように、下部リーダ17の部分に作業装置26を下降させた後、リーダ起伏シリンダ18によって上部リーダ16を、ホース支持支柱起伏シリンダ20によってホース支持支柱19を、それぞれ後方に倒し、リーダ上端のトップシーブブロック16aを水平状態にすることにより、下部走行体12を作動させて低床トレーラ(グースネックトレーラー)30の荷台に自力で上がることができ、この状態で輸送可能となる。このように、本形態例に示す杭打機11は、ベースマシン14やリーダ16,17などを分解することなく、輸送できる大きさに形成されている。
【0017】
前記後部架台23は、上部旋回体13の後端に設けられる前記カウンタウエイト22の後面に、6本の固定ボルト31によって着脱可能な状態で固定される取付板32を介して取り付けられている。取付板32の下部には、左右一対の支持部材33が設けられており、該支持部材33に回動軸34を介して架台フレーム35の後部から突出した回動板部36が回動可能に取り付けられている。支持部材33及び回動板部36には、回動軸34を中心とする一つの円弧上に、回り止めピン37を挿入するための複数のピン孔33a,33b,36a,36bがそれぞれ設けられている。また、取付板32の上部及び下部には、回動板部36の回動端部に当接して架台フレーム35の回動位置を規定するためのストッパボルト38a,38bがそれぞれ設けられている。さらに、取付板32の前側面、すなわち、カウンタウエイト側の面には、カウンタウエイト22の後面に設けられた上向き係合部材39に係合して取付板32の落下を防止するための下向き係合部材40が設けられている。
【0018】
また、取付板32の上部中央には、架台フレーム35を回動させるための架台回動シリンダ41が、カバー42に覆われた状態で設けられており、一側には、架台回動シリンダ41を伸縮させるための油圧配管43が設けられている。架台回動シリンダ41のロッド先端41aと、架台フレーム35の後部に突設した回動腕44の先端とは、連結ピン45によって連結されており、架台フレーム35は、架台回動シリンダ41を短縮させることにより、
図5に示すように、上部旋回体13の後部下端から後方に向かって水平に突出した使用状態に回動し、架台回動シリンダ41を伸長させることにより、カウンタウエイト22の後面に沿って立ち上がった収納状態に回動するように形成されている。
【0019】
前記架台フレーム35の上面には、載置板46が取付ボルト47によって取り付けられ、さらに、架台フレーム35の左右両端縁及び後端縁には、載置板46の上面より上方に突出して載置板46の位置決めを行うための複数のガイド突片48,48がそれぞれ設けられている。載置板46に載置される機器、例えば溶接用電源49は、底部を載置板46にビス留めすることにより、作業中の振動によって後部架台23から落下するようなことを防止できる。
【0020】
一方、カウンタウエイト22の上部中央には、補助カウンタウエイト50を収納するための凹部22aが設けられている。補助カウンタウエイト50は、後部架台23に溶接用電源49などの機器を搭載したときに取り外すことにより、上部旋回体13の重量バランスをとるとともに、旋回ベアリングを含む下部走行体12への負担を軽減することができる。
【0021】
このように、上部旋回体13の後端下部に収納状態と使用状態とに回動可能な後部架台23を設け、本形態例に示すように、溶接作業を伴う鋼管埋設作業を行う際に、後部架台23に溶接用電源49を搭載しておくことにより、杭打機11が次の作業位置に移動した際に、溶接用電源49をクレーンを用いて移動させる必要がなくなり、作業性を向上させることができる。また、溶接用電源49などの機器が不要の際には、後部架台23を収納状態にしておくことにより、旋回半径を小さくできるので、狭い場所での各種作業の作業性を損なうことがなくなる。さらに、後部架台23を取付板32に組み付けておき、取付板32をカウンタウエイト22に着脱するように形成することにより、上部旋回体13への後部架台23の着脱を容易に行うことができる。
【0022】
また、上向き係合部材39及び下向き係合部材40を設けておくことにより、後部架台23をカウンタウエイト22の後面に仮止めした状態にできるので、固定ボルト31の締結作業を容易かつ安全に行うことができる。さらに、所定のピン孔33a,33b,36a,36bに回り止めピン37を挿入してベータピン37aで固定しておくことにより、後部架台23を使用状態又は収納状態に確実に保持しておくことができる。
【0023】
そして、比較的小型で、分解せずに輸送可能な大きさの杭打機11における上部旋回体13の後端下部に後部架台23を設けることにより、載置板46の高さを1m程度にすることが可能となり、載置板46に載置した溶接用電源49のスイッチ類の操作を地上から行うことができる。これにより、後部架台23の周囲に、従来のような足場や手摺を設ける必要がなくなり、後部架台23の製造コストの削減や機器類の操作性の向上を図ることができる。
【0024】
なお、前述のように、小型の杭打機は、輸送の際にカウンタウエイトの着脱を行わないため、上部旋回体とカウンタウエイトとは一体化しているので、カウンタウエイトに後部架台を取り付けてもまったく問題はない。一方、カウンタウエイトを着脱する建設機械の場合は、上部旋回体の後端下部に突設されているカウンタウエイト搭載部の後面に取付板を取り付けたり、架台フレームを支持する支持部材を設けたりすればよい。また、本発明は、杭打機の他、クレーン、アースドリル、地盤改良機などの各種建設機械に適用可能であり、後部架台には、前述の溶接用電源の他、可搬式発電機、油圧ユニット、コンプレッサなどの各種機器を載置することができる。
【符号の説明】
【0025】
11…杭打機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…リーダサポート、16…上部リーダ、16a…トップシーブブロック、17…下部リーダ、18…リーダ起伏シリンダ、19…ホース支持支柱、20…ホース支持支柱起伏シリンダ、21…ジャッキ、22…カウンタウエイト、22a…凹部、23…後部架台、24…ガイドパイプ、25…ガイドギブ、26…作業装置、27…下部振止、28…ラック、29…出力軸、29a,29b…角軸部、29c…鋼管杭連結部、30…低床トレーラ、31…固定ボルト、32…取付板、33…支持部材、33a,33b…ピン孔、34…回動軸、35…架台フレーム、36…回動板部、36a,36b…ピン孔、37…回り止めピン、37a…ベータピン、38a,38b…ストッパボルト、39…上向き係合部材、40…下向き係合部材、41…架台回動シリンダ、41a…ロッド先端、42…カバー、43…油圧配管、44…回動腕、45…連結ピン、46…載置板、47…取付ボルト、48…ガイド突片、49…溶接用電源、50…補助カウンタウエイト