(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記素電池は所定の厚みの略矩形の平面視形状を有し、前記素電池の厚みの増加を吸収することができる厚み増加吸収構造が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の非接触電力伝送手段を備えた電源。
前記保護回路に光センサーが接続され、前記成形樹脂が光透明性を有し、前記成形樹脂の外部から前記光センサーに充放電の開始又は停止を指令する光制御信号を照射し、前記光センサーが前記光制御信号を光電変換した電気制御信号を前記保護回路に送信し、前記保護回路が前記電気制御信号に基づいて前記素電池の充放電の開始又は停止を制御することを特徴とする請求項1に記載の非接触電力伝送手段を備えた電源。
前記保護回路に光センサーが接続され、前記光センサーの受光面と前記成形樹脂の外部との導光性を向上させるための導光体を設け、前記成形樹脂の外部から前記導光体を通じて前記光センサーに充放電の開始又は停止を指令する光制御信号を照射し、前記光センサーが前記光制御信号を光電変換した電気制御信号を前記保護回路に送信し、前記保護回路が前記電気制御信号に基づいて前記素電池の充放電の開始又は停止を制御することを特徴とする請求項1に記載の非接触電力伝送手段を備えた電源。
前記保護回路に押圧スイッチが接続され、前記押圧スイッチ面に当接するようにブロックが前記成形樹脂内に設けられ、前記成形樹脂の外部から前記ブロックを押圧することにより前記スイッチ面を押圧して前記押圧スイッチのオン/オフを行い、前記素電池の充放電の開始又は停止を制御することを特徴とする請求項1に記載の非接触電力伝送手段を備えた電源。
【背景技術】
【0002】
非接触で電力を伝送する方法(以下無線給電と呼ぶ)として、電磁誘導による電磁誘導方式、電界または磁界の共振を利用した共鳴給電方式、及びマイクロ波を利用したマイクロ波送電方式がよく知られている。
【0003】
特許文献1や特許文献2に開示されている電池パックは、非接触で電力を受電する受電コイルを内蔵しており、非接触で電力を受電することができる。
【0004】
図10は特許文献1に示された、電池パック30の分解斜視図である。特許文献1に示された電池パック30は、電力を非接触で受電するための2次コイル21が一体化されている点で、従来の電池パックと相違する。
【0005】
図11は特許文献1に示された、充電台10と携帯電子機器20の関係を模式的に示した図である。電池パック30は携帯電子機器20に取り付けられている。充電台10に携帯電子機器20を載置し、充電台10から携帯電子機器20に取り付けられた電池パック30に電力を送出する。この際、電池パック30に内蔵している2次コイル21を、充電台10の1次コイル11と電磁結合させて、電磁誘導方式によりワイヤレスで内蔵される電池パック30の電池31を充電する。
【0006】
携帯電子機器20を使用する際には、携帯電子機器20は電池パック30から電力の供給を受ける。携帯電子機器20と電池パック30は電池パック30に設けられた出力端子44を介して電気的に接続されており、電池パック30から携帯電子機器20への電力の供給は出力端子44を介して行われる。
【0007】
以上は、特許文献1の記載に基づいて背景技術を説明したが、特許文献2についても同様であるので詳細な説明は省略する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1や特許文献2では、充電台から電池パックに非接触で電力を伝送して電池パックを充電するが、電池パックから携帯電子機器に電力を伝送する際には電池パックの出力端子を介して電力が伝送される。そのため、電池パックには携帯電子機器に電力を伝送するための電気的な接点として出力端子を設ける必要がある。
【0010】
ところで、特許文献1や特許文献2の携帯電子機器は防水機能を有するものが増えており、近年、雨天での使用や水中での使用が増加している。そのため、防水機能を備えた携帯電子機器を雨天下で使用している場合や水中で使用している場合において、携帯電子機器に電力を供給する電源の電力の残量が少なくなった時には、その場で電力を供給できる電源に交換したいという要求が想定される。すなわち、今後は携帯電子機器だけでなく携帯電子機器に電力を供給できる電源にも防水機能が要求されることが想定される。
【0011】
また、携帯電子機器は使用時に誤って落としてしまう場合もあり、落下にも耐えうる耐衝撃性能も要求される。この場合、携帯電子機器に電力を供給できる電源にも耐衝撃性能が要求されることになる。
【0012】
このように、近年は携帯電子機器も過酷な環境で使用される場合があり、今後の電源には信頼性の面から防水機能、機械的強度といった全天候型の特性が要求される。また、携帯電子機器に限らず、一般の電気機器に関しても安全志向の高まり等から防水機能、機械的強度は非常に重要な設計要件となっている。
【0013】
この観点から、特許文献1や特許文献2の電池パックを評価すると、特許文献1の電池パックは携帯電子機器に電力を伝送するための電気的な接点を必要とする点で問題があった。このような電気的な接点は、水に触れると腐食し、導電性が低下して電池パックから携帯電子機器に電力を伝送できなくなるからである。また、電池パックを誤って落下させた場合、露出した接点部が破壊されて電池パックが使用不能に陥る場合もあった。したがって、特許文献1や特許文献2の電池パックは全天候型の特性を満足するものではなかった。
【0014】
本出願は、電源の防水機能や耐衝撃性の要請に応える発明であり、従来の電気的な接点を設ける必要のない充放電可能な全天候型の電源を提供することを目的とする。
【0015】
さらに本出願は、電気的な接点を設ける必要のない充放電可能な全天候型の電源にするが故に発生する特有の新たな課題を抽出し、その課題を解決する手段をも提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の
非接触電力伝送手段を備えた電源は、素電池と、前記素電池の充放電を制御する保護回路と、送電コイル及び送電共振容量により構成された送電共振器と、受電コイル及び受電共振容量により構成された受電共振器と、前記受電共振器が受電する交流電力を前記素電池に充電するための所定の電圧の直流電力に変換するAC−DC変換器と、前記素電池に充電された直流電力を所定の周波数の交流電力に変換して前記送電共振器に電力を供給するインバーターを備え、前記素電池、前記保護回路、前記送電共振器、前記受電共振器、前記AC−DC変換器、及び前記インバーターが
成形樹脂を用いて一体化され、電気的な導電部材が表面に露出しない
樹脂モールド構造を有し、前記素電池は、前記素電池の内部で発生したガスを前記素電池の外部に放出するためのベントを備え、前記ベントから放出されるガスを前記成形樹脂の外側に放出するためのガス放出構造を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、素電池、素電池の保護回路、電力を送受電するためのコイル等を電気的な導通部が表面に露出しないように一体化させた電源である。本発明の電源は、非接触で電力を受電できる受電共振器と、非接触で電力を送電できる送電共振器とを備えるので、非接触で外部機器と電力の送受電が可能であり、電源に電気的な接点を設ける必要が無い。そのため、接点が腐食することによる接触不良の問題が発生することがない。さらに、電源に防水機能を持たせることができ、その結果、防水機能を備えた携帯電子機器を雨天下、もしくは水中で使用中に電源を交換することが可能となる。
【0018】
また、本発明の電源を誤って水中に落下させて水没させてしまった場合でも、従来の電池パックのように使用不能になることはなく、使用を継続することができる。さらに、本発明の電源は電気的な接点等が電源の表面に露出しない。そのため、電源を誤って落下させた場合でも、耐衝撃性を大幅に向上させることができる。すなわち、本発明によれば防水機能と耐衝撃性を兼ね備えた全天候型の電源を実現できる。
【0019】
さらに、保護回路等の電子回路の周りに水分を含んだ空気が存在しないため温度変化による結露が発生せず、内部の結露による電子回路等の故障を抑制できる。結露の問題は、電源を常温の室内・車内から高温多湿の屋外へ持ち込んだ場合、逆に低温の屋外から常温の室内・車内に入った場合等に生じうる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態における電源の構成について、図面を参照しながら詳説する。
【0022】
図1は、本発明の第1の電源100の概略斜視図を示す。電源100は電池101と非接触送受電回路200を有し、電池101と非接触送受電回路200は接続コード104などによって電気的に接続されている。電池101と非接触総受電回路200間が狭くできる場合にはコード104を介さなくともコネクタによる結合も可能である。
【0023】
電池101は素電池とその素電池の充放電を制御する保護回路を備えている。素電池はリチウムイオン電池を用いている。電源100は、電源100の外部から電池101の充放電の開始及び停止を制御するために用いられる光センサー106a及び106b、同じく、電源100の外部から電池101の充放電を制御するために用いられる押圧スイッチ107a及び107bを有し、さらには、電池101の残量を表示する残量計108を有する。また、電池101は電池101の内部で発生したガスを電池101の外部に放出するためのベント105を有する。これら電源100を構成する構成要素101乃至108は一体化されている。
【0024】
図1では、本発明の電源100は成形樹脂109で一体化されており、電源100の全面が成形樹脂109で覆われている。電源100は、金型内の所定位置に構成要素101乃至108を配置し、その金型内に成形樹脂を射出することにより作ることができる。その場合、
図1に示した電源100は樹脂モールド構造を有する。本発明の電源では電気的な導通部が表面に露出していないことが従来の電池パックや電源にはない特徴である。
【0025】
以下では、本発明の電源の動作や構成を実施の形態に分けて詳しく説明する。
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第2の電源120の概略斜視図を示す。電源120は、非接触受電回路240と非接触送電回路250を有し、非接触受電回路240と電池101は、接続コード104aなどで接続され、非接触送電回路250と電池101は、接続コード104bで接続されている。
図1の場合と同様に、電池101と非接触総受電回路200間が狭くできる場合にはコード104を介さなくともコネクタによる結合も可能である。
図2の本発明の第2の電源120を
図1の本発明の第1の電源100と比較すると、本発明の第2の電源120は受電の機能を有する非接触受電回路240と送電の機能を有する非接触送電回路250を個別に設けるが、本発明の第1の電源100は送電と受電の機能を兼ね備える非接触送受電回路200である点で異なる。第1の実施の形態では、まず、
図2の本発明の電源120に基づいて充電時の動作、及び放電時の動作を説明する。
【0026】
本発明の電源120は非接触で電力を送受電する。非接触で電力を伝送する方式として、電磁誘導による電磁誘導方式、共振を利用した共鳴給電方式、及びマイクロ波を利用したマイクロ波送電方式が知られている。この中で既に実用化されているのは、電磁誘導方式である。これは技術的には相互誘導におよそ位置付けすることができ、従来から様々な検討がされているため安価な回路で構成できるという優位性はあるが、送電距離が短いという課題もある。そこで最近、共振を利用して電力を数m先まで伝送する共鳴給電方式が提案され、この技術を利用した製品開発が、電機メーカー、自動車メーカーを中心に進められている。以下では、本発明の電源は、非接触で電力を送受電する方式として共鳴給電方式を例にとって説明する。但し、本発明の電源は共鳴給電方式に限るものではなく、前述の電磁誘導方式等、別の非接触電力伝送方式を用いてもよい。
【0027】
まず、電源120の充電時の動作について説明する。
図3は、本発明の電源120を充電器300で充電する場合の概略図を示す。電源120を充電する際には、電源120の非接触受電回路240が用いられる。
【0028】
電源120は、充電器300に近づけて、非接触で充電器300から電力を受電する。充電器300において、DC電源301から送電回路302に供給された電力は、送電回路302で共鳴給電のための所定の周波数の高周波電力に変換される。送電回路302は、高周波電力を送電コイル304に供給する。なお、フェライト板303は、送電コイル304から発生する電磁波ノイズがDC電源301や送電回路302に漏洩することを防止する。送電コイル304はコンデンサ305に接続されており、送電コイル304とコンデンサ305で送電側共振ユニットを構成する。
【0029】
電源120において、受電コイル241はコンデンサ242に接続されており、受電コイル241とコンデンサ242で受電側共振ユニットを構成する。共鳴給電方式に基づく非接触電力伝送では、充電器300の送電側共振ユニットと電源120の受電側共振ユニットが共振することにより、高効率の非接触電力伝送が可能になる。
【0030】
充電器300の送電コイル304から送られた高周波電力は、電源120の受電コイル241が受電する。受電コイル241が受けた高周波電力は、整流回路を含む受電回路244に供給されAC−DC変換など所定の電気的処理を経た後、電池充電回路245に供給される。電池充電回路245は、接続コネクタ104aを介して電池101に接続されており、定電流定電圧充電等、電池101に適した方式で電池101の充電を行う。なお、フェライト板243は、受電コイル241から発生する電磁波ノイズが受電回路244や電池充電回路245に漏洩することを防止する。
【0031】
次に、電源120の放電時の動作について説明する。
図4は、本発明の電源120から携帯電子機器400に電力を供給する場合の概略図を示す。電源120を放電する際には、電源120の非接触送電回路250が用いられる。
【0032】
電源120は、携帯電子機器400に近づけて、非接触で携帯電子機器400に電力を供給する。電源120において、電池101から接続コネクタ104bを介して高周波駆動回路254に供給された直流電力は、高周波駆動回路254で共鳴給電のための所定の周波数の高周波電力に変換される。直流電力を所定の周波数の高周波電力に変換する回路としては、一般的に知られているハーフブリッジ回路やフルブリッジ回路を用いればよい。高周波駆動回路254は、高周波電力を送電コイル251に供給する。なお、フェライト板253は、送電コイル251から発生する電磁波ノイズが高周波駆動回路254に漏洩することを防止する。送電コイル251はコンデンサ252に接続されており、送電コイル251とコンデンサ252で送電側共振ユニットを構成する。
【0033】
携帯電子機器400において、受電コイル401はコンデンサ402に接続されており、受電コイル401とコンデンサ402で受電側共振ユニットを構成する。電源120の送電側共振ユニットと携帯電子機器400の受電側共振ユニットが共振し、高効率の非接触電力伝送が行われる。
【0034】
電源120の送電コイル251から送られた高周波電力は、携帯電子機器400の受電コイル401が受電する。受電コイル401が受けた高周波電力は、整流回路を含む受電回路404に供給されAC−DC変換など所定の電気的処理を経た後、携帯電子機器400の動作を司る電気回路405に供給される。なお、フェライト板403は、受電コイル401から発生する電磁波ノイズが受電回路404や電気回路405に漏洩することを防止する。
【0035】
以上では、
図2に示した非接触受電回路240と非接触送電回路250を個別に設ける電源120を例として説明したが、非接触受電回路240と非接触送電回路250を一つの非接触送受電回路200としてもよい。その場合、電源の構成は
図1の電源100のようになる。非接触送受電回路200では、受電時と送電時とでコイルを共有し、受電時にはコイルを非接触受電回路240と接続し、送電時には非接触送電回路250と接続するようなスイッチを設ければよい。非接触送受電回路200では、受電時と送電時とでコイルを共有するので電源100の小型化に有利である。電源100の受電時と送電時で共振周波数が異なる場合があるが、送受電のコイルに可変容量コンデンサを接続するか、受電時と送電時で送受電のコイルに接続するコンデンサの容量を切り替えればよい。すなわち、受電時と送電時でコンデンサの容量を変化させれば、一つの送受電のコイルにおいて受電時と送電時で共振周波数を自由に設定できる。
【0036】
ところで、整流回路を含む受電回路244や直流電力を所定の周波数の高周波電力に変換する高周波駆動回路254は、非接触電力伝送時に大きな熱が発生する。電源100は全面が成形樹脂109で覆われていることを特徴とするが、一方、電源100内で発生した熱をいかに放熱させるかが問題となる。
【0037】
そこで、成形樹脂109にカーボン等の導電性フィラーを含ませる。導電性フィラーを含ませることで非接触電力伝送時に発生する熱を効率的に放熱することができる。ただし、成形樹脂109に導電性フィラーを多量に含ませると電力伝送効率が大きく劣化してしまう。そのため、熱が発生する受電回路244や高周波駆動回路254の周辺のみに回路動作に影響が出ないようにしながらフィラー密度の高い樹脂を用いることが有効である。或いは窒化ボロンなどの高熱伝導かつ絶縁体であるセラミック等を配置することも有効である。これにより受電回路244や高周波駆動回路254から発生する熱を効率的に放熱できるとともに受電回路244や高周波駆動回路254への電磁ノイズも防ぐことができる。
(第2の実施の形態)
図1に示した本発明の第1の電源100において、充電若しくは放電を開始する際には、電源100の外部から、電源100に充電若しくは放電の指示信号を与える必要がある。充電若しくは放電の指示信号を与える方法として、電源100の外部から光信号を用いる場合、及び電源100の外部から外力を加える場合が考えられる。そのため、電源100は、外部から電池101の充放電の開始及び停止を制御するために用いられる光センサー106a及び106bや、電源100の外部から電池101の充放電を制御するために用いられる押圧スイッチ107a及び107bを有している。
【0038】
電源100は全面が成形樹脂109で覆われていることを特徴とするが、一般的に成形樹脂は光透過性が低いものが多く、成形樹脂で覆われた光センサー106a、106bに光が十分に到達しない場合がある。また、一般的に成形樹脂109は硬いものが多く、成形樹脂109で覆われた押圧スイッチ107a、107bに外力が十分に到達しない場合がある。
【0039】
そこで、第2の実施の形態では、電源の全面を成形樹脂で覆いつつ、光センサー106a及び106bや、押圧スイッチ107a及び107bの機能を妨げない構成について説明する。
【0040】
図5Aは、
図1の電源100に充電若しくは放電を開始するための補助部品を加えた電源130概略斜視図を示す。補助部品を加えることにより、光センサー106a、106bに光を十分に到達させ、押圧スイッチ107a、107bに外力を十分に到達させることができる。
【0041】
以下では、
図5Aに示す電源130を例として、充電若しくは放電の指示信号を与える方法について説明する。まずは、光信号を用いて電源130に充電若しくは放電の指示信号を与える場合について説明する。
【0042】
電源130では、光センサー106a上に導光体111aを、光センサー106b上に導光体111bを配置する。電源100の充電を開始する際には、外部から111aを通じて光センサー106aに光を照射する。光センサー106aは受光した光を光電変換した電気信号を、電池101に備えられた保護回路に充電開始信号として送信する。
【0043】
一方、電源130の放電を開始する際には、外部から111bを通じて光センサー106bに光を照射する。光センサー106bは受光した光を光電変換した電気信号を、電池101に備えられた保護回路に放電開始信号として送信する。
【0044】
電源130を成形樹脂109で一体化する際に、光透過性が高い導光体111aと111bを、それぞれ光センサー106aと106b上に配置しておくことにより電源130を作成できる。
【0045】
電源130の充電を開始する際に、外部から111aを通じて光センサー106aに光を照射する外部機器としては、例えば
図3で示した充電器300が考えられる。一方、電源130の放電を開始する際に、外部から111bを通じて光センサー106bに光を照射する外部機器としては、例えば
図4で示した携帯電子機器400が考えられる。
【0046】
なお、電源130の充電若しくは放電を開始する際の信号としては、充電若しくは放電の開始時のみパルス的に光を照射してもよいし、充電時若しくは放電時に継続して光を照射してもよい。放電時に継続して光を照射する場合、携帯電子機器400が何らかの理由で電源130からの放電を断ちたい場合は、携帯電子機器400からの光照射を停止することにより電源130の放電を停止することができる。この場合、光センサー106bに緊急停止スイッチとしての機能も持たせることができる。
【0047】
次に電源130の外部から外力を加えて電源130に充電若しくは放電の指示信号を与える場合について説明する。
【0048】
電源130では、押圧スイッチ107a上にブロック112aを、押圧スイッチ107b上にブロック112bを配置する。電源130の充電を開始する際には、外部からブロック112aを押すことにより押圧スイッチ107aを押圧する。押圧スイッチ107aは押圧により得られた電気信号を、電池101に備えられた保護回路に充電開始信号として送信する。
【0049】
一方、電源130の放電を開始する際には、外部からブロック112bを押すことにより押圧スイッチ107bを押圧する。押圧スイッチ107bは押圧により得られた電気信号を、電池101に備えられた保護回路に放電開始信号として送信する。
【0050】
電源130を成形樹脂109で一体化する際に、ブロック112aと112bを、それぞれ押圧スイッチ107aと107b上に配置しておくことにより電源130を作成できる。
【0051】
外部から112aを通じて押圧スイッチ107aに外力を加え、外部から112bを通じて押圧スイッチ107bに外力を加えるのは、主として電源130のユーザーである。
【0052】
なお、充電若しくは放電の指示信号を与える方法として、電源130の外部から光信号を用いる場合、及び電源130の外部から外力を加える場合を説明したが、これらは個別に用いてもよいし、併用してもよい。
【0053】
図5Bは、
図5AにおけるA−A線断面図を示す。導光体111aは必ずしも光センサー106aに接する必要はなく、また、必ずしも電源130の表面に露出させる必要もない。外部からの光信号が十分に光センサー106aに伝わる構成であればよい。ブロック112aについても、必ずしも押圧スイッチ107aに接する必要はなく、また、必ずしも電源130の表面に露出させる必要もない。外部からの外力が十分に押圧スイッチ107aに伝わる構成であればよい。
【0054】
図6は、本発明の第3の電源140の概略斜視図を示す。電源140は、電池101と非接触送受電回路200を電気的に接続した後、電池101と非接触送受電回路200に勘合するように両側から光透過性ケース110を貼り合せた構造を有する。光透過性ケース110を貼り合せる方法としては、ねじ止め、超音波溶接、接着剤などいずれの方法でも構わない。なお、電源140は、防水の観点から光透過性ケース110を貼り合せた部分にゴムパッキン113を設けている。
【0055】
光透過性ケース110は光透過性を有する樹脂で形成する。光透過性を有する樹脂としては、例えば、ポリカーボネートを用いることができる。光透過性ケース110が光透過性を有するので、光センサー106aや106bに十分な光を到達させることができる。
【0056】
以上は、
図1の電源100に充電若しくは放電を開始するための補助部品を加えた電源130、及びゴムパッキンを介して光透過性ケース110を貼り合せた電源140について説明した。なお、成形樹脂109にポリカーボネート等の光透過性樹脂を用いれば、
図1の電源100においても充電若しくは放電の指示信号を与えることができる。この場合、電池101の残量を表示する残量計108の視認性も向上するので好適である。
(第3の実施の形態)
先述と同様に、第3の実施の形態でも素電池にはリチウムイオン電池を用いており、素電池はアルミの深絞りによって形成された電池ケースに電極とセパレータの巻回体が封入されるとともに、電解液が封入されている。したがって、第3の実施の形態の素電池は所定の厚みの略矩形の外観を有する。
【0057】
このリチウムイオン電池を満充電の状態で高温下に長期間放置した場合や誤って過充電すると、電解液が分解されて素電池の内部でガスが発生することがある。また、充電と放電のサイクルを重ねることによりガスが発生することがある。わずかなガスの発生でも素電池の電池ケース内の内圧が上昇し、電池ケースの厚さ方向に目に見える膨れが生じる。また、万一電池内部での短絡等により熱暴走が生じ、電池ケース内の内圧が一定の値以上に上昇した場合、安全面の観点から電池ケース内部のガスを外部に放出するする必要があり、ガス放出機能を有するベントが素電池に設けられるのが通常である。
【0058】
なお、本発明の素電池としてラミネート電池を用いることができるが、ラミネート電池でも膨れについては同じであるので説明は省略する。
【0059】
本発明は、電源の全面を、例えば成形樹脂で覆うことを特徴とするが、ベントの部分も成形樹脂で覆うことになり、ベントが持つガス放出機能を妨げる場合がある。
【0060】
そこで、第3の実施の形態では、電源の全面を成形樹脂で覆いつつ、ベントが持つガス放出機能を妨げない構成について説明する。
【0061】
以下では、ベントがアルミの深絞りによって形成された電池ケースの蓋部分に設けられる場合と、電池ケースの側面に設けられる場合に分けて説明する。まず、ベントが電池ケースの蓋部分に設けられる場合について説明する。
【0062】
図7Aは、素電池101のベント105の開口方向に成形樹脂109の薄肉部150を設けた場合の電源100の断面図を示す。薄肉部150を設けたことにより、ベント105を覆う樹脂の強度が弱くなり、ベント105のガス放出機能が保たれる。なお、電源100の全面積に対するベント105の面積比は極めて小さいので、薄肉部150を設けても本発明の目的である防水機能、機械的強度といった全天候型の特性を阻害することはない。
【0063】
図7Bは、素電池101のベント105の開口方向に鋭角部品152を設けた場合の電源100の断面図を示す。鋭角部品152を設けたことにより、ベント105が開裂する際に鋭角部品152により成形樹脂109が裂け、ベント105のガス放出機能が保たれる。
【0064】
図7Cは、素電池101のベント105の開口方向に成形樹脂109の薄肉部151を設けるとともに鋭角部品152を設けた場合の電源100の断面図を示す。薄肉部151と鋭角部品152を併せ持つことにより、さらにベント105のガス放出機能が保たれることになる。
【0065】
次に、ベントが電池ケースの側面に設けられる場合について説明する。
【0066】
図8Aは、素電池101のベント160の開口方向に成形樹脂109の薄肉部150を設けた場合の電源100の断面図を示す。薄肉部150を設けたことにより、ベント160を覆う樹脂の強度が弱くなり、ベント160のガス放出機能が保たれる。なお、電源100の全面積に対するベント160の面積比は極めて小さいので、薄肉部150を設けても本発明の目的である防水機能、機械的強度といった全天候型の特性を阻害することはない。
【0067】
図8Bは、素電池101のベント160の開口方向に鋭角部品152を設けた場合の電源100の断面図を示す。鋭角部品152を設けたことにより、ベント160が開裂する際に鋭角部品152により成形樹脂109が裂け、ベント160のガス放出機能が保たれる。
【0068】
図8Cは、素電池101のベント160の開口方向に成形樹脂109の薄肉部151を設けるとともに鋭角部品152を設けた場合の電源100の断面図を示す。薄肉部151と鋭角部品152を併せ持つことにより、さらにベント160のガス放出機能が保たれることになる。
【0069】
なお、ベントは通常、電池101の内圧が0.1−0.4MPaになると開口するように設計するが、その作動圧の設計上の許容上限以下で成形樹脂の薄肉部150、151が開口し、鋭角部品152で樹脂109が開口するように設定する。具体的には、電池のベントが裂ける方向と樹脂が裂ける方向(裂けやすい方向)を同一方向とするのが好ましい。
(第4の実施の形態)
素電池はリチウムイオン電池を用いており、ガスの発生により電池ケース内の内圧が上昇し、電池ケースの厚さ方向に目に見える膨れが生じることは、第3の実施の形態で述べた。
【0070】
第4の本実施の形態では、電源の全面を成形樹脂で覆いつつ、電池ケースの膨れを吸収するための膨れ吸収構造を有する電源について説明する。
【0071】
図9は、本発明の第4の電源180の概略斜視図を示す。電源180は、膨れ吸収構造170を有する。膨れ吸収構造170は弾力性を有し、電池ケースの膨れを吸収する。膨れ吸収構造170は、乾燥エアまたはArに代表される不活性ガスを充填しておけばよい。
【0072】
電源180は、さらに浮力カプセル171を有する。浮力カプセル171は、電源180が水中に落下した場合でも、電源180を浮き上がらせる程度の浮力を有する。浮力カプセル171は、乾燥エアまたはArに代表される不活性ガスを充填しておけばよい。また、膨れ吸収構造170と浮力カプセル171を併せて電源を浮き上がらせる程度の浮力になるように、膨れ吸収構造170と浮力カプセル171の大きさを設計してもよい。