(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気を吸い込む吸込口及び空気を吹き出す吹出口を有する筐体の内部に、燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器に供給する燃料量を調節する燃料量調節手段と、前記吸込口を介した前記筐体内への空気の吸気と前記吹出口を介した前記筐体内からの空気の吹き出しとを行うように空気を流動させる空気流動手段と、動作を制御する制御手段とを備え、前記吸込口から前記筐体内に吸い込んだ空気を前記燃焼器の燃焼排ガスと混合させることで空気の昇温を行って、昇温した空気を前記吹出口から吹き出す温風暖房装置であって、
前記吸込口から前記筐体内に吸い込む空気の温度を測定する吸込空気温度測定手段と、
運転に関する指示を使用者から受け付ける運転指示受付手段とを備え、
前記制御手段は、
前記運転指示受付手段が第1暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、前記吸込空気温度測定手段が測定する空気の温度が第1目標温度となるように、前記吸込空気温度測定手段が測定する空気の温度と前記第1目標温度との温度差に基づいて、最小供給燃料量と最大供給燃料量との間の全供給燃料量範囲の中から前記燃焼器に供給する目標供給燃料量を決定し、当該目標供給燃料量を前記燃料量調節手段により前記燃焼器へ供給させ、並びに、
前記運転指示受付手段が第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、前記燃焼器への供給燃料量と当該供給燃料量で燃焼を行ったときに前記吸込口から前記筐体内に吸い込んだ空気の温度が前記吹出口から吹き出される間に上昇すると予測される予測上昇温度との関係が予め規定されている予測昇温特性、及び、前記吸込空気温度測定手段が測定する空気の温度に基づいて、前記吹出口から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、前記全供給燃料量範囲の中から前記燃焼器に供給する目標供給燃料量を決定し、当該目標供給燃料量を前記燃料量調節手段により前記燃焼器へ供給させ、
前記運転指示受付手段は、使用者によって押し操作される毎に、前記第1目標温度としての複数の温度値と前記第2目標温度としての少なくとも一つの温度値とを含む温度値群のうちの何れか一つの温度値が順次設定変更される温度設定スイッチを有し、
前記制御手段は、前記温度設定スイッチによって前記第1目標温度としての温度値が設定されているときは前記運転指示受付手段が第1暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けていると判定し、前記温度設定スイッチによって前記第2目標温度としての温度値が設定されているときは前記運転指示受付手段が第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けていると判定する温風暖房装置。
前記制御手段は、前記第1暖房運転モードで運転中に、前記運転指示受付手段が前記第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けたとき、前記第1暖房運転モードで運転中に前記吹出口から相対的に高温の空気が吹き出される状態が所定期間以上継続していれば、前記吹出口から吹き出される空気の温度を相対的に低温にした状態を一定期間継続させる温度低下処理を行った後で、前記第2暖房運転モードでの運転を開始させる請求項1又は2に記載の温風暖房装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような温風暖房装置では、吸込口(4)から筐体(1)内に吸い込む空気の温度、即ち、室内の空気の温度が例えば22℃などの目標温度になるように燃焼器で燃焼される燃料量が調節されるため、吹出口から吹き出される温風の温度は上記目標温度よりも高い温度になる。例えば、燃焼器に最大燃料量を供給している最大燃焼時では、吹出口から吹き出される温風の温度は約100℃にもなることがある。そのため、人体がその高温の温風によって加熱された吹出口の部品に触れた場合には火傷又はそれに近い症状になる可能性もある。
【0006】
このように、従来の温風暖房装置は、室内全体の空気を温めるという高い暖房能力を発揮させる場面であれば非常に有用であるが、その暖房能力の高さ故に、吹き出される温風の温度が高くなることに伴う問題もあった。そのため、暖房能力は低いが、温風が高温で吹き出すことや部品が高温になるといった問題が相対的に小さい電気式の暖房機器が使用されることもある。尚、このような電気式の暖房機器を使用した場合には、その暖房能力の低さ故に部屋全体を快適な温度まで暖めることができない。そのため、エアコンなども併せて運転させなければならず、結果として、暖房に要するコスト(電気代)が高くなるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、暖房能力の高さは確保しながら、吹き出される温風の温度を所望の温度に調節できる温風暖房装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る温風暖房装置の特徴構成は、空気を吸い込む吸込口及び空気を吹き出す吹出口を有する筐体の内部に、燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器に供給する燃料量を調節する燃料量調節手段と、前記吸込口を介した前記筐体内への空気の吸気と前記吹出口を介した前記筐体内からの空気の吹き出しとを行うように空気を流動させる空気流動手段と、動作を制御する制御手段とを備え、前記吸込口から前記筐体内に吸い込んだ空気を前記燃焼器の燃焼排ガスと混合させることで空気の昇温を行って、昇温した空気を前記吹出口から吹き出す温風暖房装置であって、
前記吸込口から前記筐体内に吸い込む空気の温度を測定する吸込空気温度測定手段と、
運転に関する指示を使用者から受け付ける運転指示受付手段とを備え、
前記制御手段は、
前記運転指示受付手段が第1暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、前記吸込空気温度測定手段が測定する空気の温度が第1目標温度となるように、前記吸込空気温度測定手段が測定する空気の温度と前記第1目標温度との温度差に基づいて、最小供給燃料量と最大供給燃料量との間の全供給燃料量範囲の中から前記燃焼器に供給する目標供給燃料量を決定し、当該目標供給燃料量を前記燃料量調節手段により前記燃焼器へ供給させ、並びに、
前記運転指示受付手段が第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、前記燃焼器への供給燃料量と当該供給燃料量で燃焼を行ったときに前記吸込口から前記筐体内に吸い込んだ空気の温度が前記吹出口から吹き出される間に上昇すると予測される予測上昇温度との関係が予め規定されている予測昇温特性、及び、前記吸込空気温度測定手段が測定する空気の温度に基づいて、前記吹出口から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、前記全供給燃料量範囲の中から前記燃焼器に供給する目標供給燃料量を決定し、当該目標供給燃料量を前記燃料量調節手段により前記燃焼器へ供給させ
、
前記運転指示受付手段は、使用者によって押し操作される毎に、前記第1目標温度としての複数の温度値と前記第2目標温度としての少なくとも一つの温度値とを含む温度値群のうちの何れか一つの温度値が順次設定変更される温度設定スイッチを有し、
前記制御手段は、前記温度設定スイッチによって前記第1目標温度としての温度値が設定されているときは前記運転指示受付手段が第1暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けていると判定し、前記温度設定スイッチによって前記第2目標温度としての温度値が設定されているときは前記運転指示受付手段が第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けていると判定する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、制御手段は、運転指示受付手段が第1暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、吸込口から筐体内に吸い込む空気の温度(例えば、温風暖房装置が設置されている室内空気の温度)が第1目標温度となるように燃焼器に供給する燃料量が調節される。その結果、温風暖房装置が設置されている室内の温度が使用者にとって快適な状態に近づくことなる。
【0010】
また、本特徴構成の温風暖房装置は、吹出口から吹き出す空気の温度を測定するための温度測定手段は備えていないが、吸込口から筐体内に吸い込む空気の温度を測定する吸込空気温度測定手段を利用して、吹出口から吹き出す空気の温度を所望の温度とするような運転(第2暖房運転モード)も、上記第1暖房運転モードと切り換えて実行できる。
【0011】
このような、吹出口から吹き出す空気の温度を測定するためのセンサ類を備えることなく、吹出口から吹き出す空気の温度を所望の温度とするような第2暖房運転モードを可能としたのは、燃焼器への供給燃料量が定まれば、その供給燃料量で燃焼を行ったときに吸込口から筐体内に吸い込んだ空気の温度が吹出口から吹き出される間に上昇すると予測される予測上昇温度を見積もることができるという知見に基づくものである。即ち、本特徴構成では、制御手段は、運転指示受付手段が第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、燃焼器への供給燃料量と当該供給燃料量で燃焼を行ったときに吸込口から筐体内に吸い込んだ空気の温度が吹出口から吹き出される間に上昇すると予測される予測上昇温度との関係が予め規定されている予測昇温特性、及び、吸込空気温度測定手段が測定する吸込口から筐体内に吸い込む空気の温度に基づいて、吹出口から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、全供給燃料量範囲の中から燃焼器に供給する目標供給燃料量を決定し、当該目標供給燃料量を燃料量調節手段により燃焼器へ供給させる。つまり、第1暖房運転モードでの運転でも利用される吸込空気温度測定手段を用いることでコストの上昇を抑制しながら、吹出口から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるような第2暖房運転モードでの運転が行われる。その結果、第1暖房運転モードでは、吸込口から筐体内に吸い込む空気の温度を第1目標温度にするために、吹出口からは相対的に高い温度の空気(第1目標温度よりも高い温度の空気)が吹き出されるが、第2暖房運転モードでは、吹出口から吹き出される空気の温度を第2目標温度にするような運転を行うことができる。
従って、暖房能力の高さは確保しながら、吹き出される温風の温度を所望の温度に調節できる温風暖房装置を提供できる。
また、上記特徴構成によれば、温度設定スイッチを使用者が押し操作する毎に、第1目標温度としての複数の温度値と第2目標温度としての少なくとも一つの温度値とを含む温度値群のうちの何れか一つの温度値が順次設定変更される。つまり、一つの温度設定スイッチを用いて第1暖房運転モード用の第1目標温度と第2暖房運転モード用の第2目標温度とを設定できるので、第1目標温度を設定するためのスイッチと第2目標温度を設定するためのスイッチとを温風暖房装置に別々に搭載しなくてもよい。
加えて、制御手段は、温度設定スイッチによって第1目標温度としての温度値が設定されているときは第1暖房運転モードでの運転が指示されていると判定し、温度設定スイッチによって第2目標温度としての温度値が設定されているときは第2暖房運転モードでの運転の運転が指示されていると判定するので、使用者が第1暖房運転モードでの運転を指示するためのスイッチと第2暖房運転モードでの運転を指示するためのスイッチとを温風暖房装置に別々に搭載しなくてもよい。
【0012】
本発明に係る温風暖房装置の別の特徴構成は、前記運転指示受付手段は、使用者から前記第2目標温度を変更するための指示を受け付けるように構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、使用者が第2目標温度を変更できるので、吹出口から吹き出される空気の温度(第2目標温度)を使用者にとって好ましい温度にすることができる。
【0018】
本発明に係る温風暖房装置の更に別の特徴構成は、前記制御手段は、前記第1暖房運転モードで運転中に、前記運転指示受付手段が前記第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けたとき、前記第1暖房運転モードで運転中に前記吹出口から相対的に高温の空気が吹き出される状態が所定期間以上継続していれば、前記吹出口から吹き出される空気の温度を相対的に低温にした状態を一定期間継続させる温度低下処理を行った後で、前記第2暖房運転モードでの運転を開始させる点にある。
【0019】
第1暖房運転モードで運転中に吹出口から相対的に高温の空気が吹き出される状態が所定期間以上継続していれば、その高温の空気に対して継続的に触れていた吹出口の部品も高温になっている可能性が高い。そのため、第1暖房運転モードでの運転から第2暖房運転モードでの運転に切り換えた時点では、吹出口の部品は未だ高温のままである可能性がある。そして、第2暖房運転モードで吹出口から吹き出される空気の温度が相対的に低い温度(第2目標温度)に抑えられているつもりで、使用者が吹出口に近付いてその吹出口の部品に触れてしまうと、未だ高温のままである吹出口の部品で火傷をしてしまう可能性がある。
ところが本特徴構成では、制御手段は、運転指示受付手段が第2暖房運転モードでの運転の実行指示を受け付けたとしても、第1暖房運転モードで運転中に吹出口から相対的に高温の空気が吹き出される状態が所定期間以上継続していれば、吹出口から吹き出される空気の温度を相対的に低温にした状態を一定期間継続させる温度低下処理を行った後で、第2暖房運転モードでの運転を開始させる。つまり、温度低下処理を行っている間に相対的に低温の空気を吹出口の部品に対して触れさせることで、その吹出口の部品の温度を低下させることができる。その結果、第2暖房運転モードで運転中に、使用者が吹出口に近付いてその吹出口の部品に触れてしまったとしても、火傷をすることなどが無くなる。
【0020】
本発明に係る温風暖房装置の更に別の特徴構成は、前記制御手段は、前記燃料量調節手段により前記燃焼器への燃料供給を遮断させた状態で前記温度低下処理を行う点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、制御手段は、燃料量調節手段により燃焼器への燃料供給を遮断させた状態で温度低下処理を行うので、その温度低下処理の間は、燃焼排ガスを含まない低温の空気のみが吹出口に触れることになる。その結果、吹出口の部品の温度を効果的に低下させることができる。
【0022】
本発明に係る温風暖房装置の更に別の特徴構成は、前記筐体の内部温度を測定する内部温度測定手段を備え、前記制御手段は、前記内部温度測定手段が測定した温度が所定の正常時上限温度以上になると、前記予測昇温特性に規定されている前記燃焼器への供給燃料量と前記予測上昇温度との関係において、前記供給燃料量が前記予測上昇温度に対して相対的に減少するような補正を行う点にある。
【0023】
筐体の内部の空気の通り道に正常に空気が流れる状態であれば、筐体の内部には適切な流量の新鮮な空気が供給され続けるため、筐体の内部の温度が過度に上昇することはない。しかし、例えば、筐体の上記吸込口に塵埃等が付着すると、筐体の内部での空気の流れが悪くなる。そして、燃焼器には、燃焼される燃料量に対して必要な空気量よりも少ない量の空気しか供給できなくなるため、吹出口から吹き出す空気の温度も上昇することになる。その結果、第2暖房運転モードでの運転で、吹出口から吹き出される空気の温度を第2目標温度にしようとしても、実際に吹出口から吹き出される空気の温度は第2目標温度よりも大幅に高くなってしまう可能性がある。
ところが本特徴構成によれば、制御手段は、内部温度測定手段が測定した温度が所定の正常時上限温度以上になると、予測昇温特性に規定されている燃焼器への供給燃料量と予測上昇温度との関係において、供給燃料量が予測上昇温度に対して相対的に減少するような補正を行う。つまり、実際に吹出口から吹き出される空気の温度が上昇側に変化することを考慮に入れた上で、第2暖房運転モードでの運転が行われる。その結果、実際に吹出口から吹き出される空気の温度は第2目標温度よりも大幅に高くなる可能性を小さくできる。
【0024】
本発明に係る温風暖房装置の更に別の特徴構成は、前記燃料量調節手段は、前記燃焼器へ供給する燃料量に対応する弁開度を段階的に変化させる比例弁を有し、
前記制御手段は、前記比例弁の弁開度を段階的に変化させることで、前記燃焼器へ供給する燃料量を段階的に変化させる点にある。
【0025】
比例弁の弁開度が連続的に変化する場合、燃焼器へ供給される燃料量も連続的に変化する。その結果、上記予測昇温特性における予測上昇温度の値も、燃焼器へ供給する燃料量(比例弁の弁開度)の変化に応じて連続的に変化する値として用意しておく必要がある。従って、燃焼器へ供給する燃料量(比例弁の弁開度)に対する予測上昇温度の値を、実験によって決定する場合、燃焼器へ供給する燃料量(比例弁の弁開度)を細かく変化させる毎に、吸込口から筐体内に吸い込んだ空気の温度が吹出口から吹き出される間に上昇した温度を測定するという非常に手間のかかる実験を行う必要がある。
これに対して、本特徴構成によれば、制御手段は、比例弁の弁開度を段階的に変化させることで、燃焼器へ供給する燃料量を段階的に変化させる。つまり、上記予測昇温特性における予測上昇温度の値も、燃焼器へ供給する燃料量(比例弁の弁開度)の変化に応じて段階的に変化する値として用意しておけばよい。従って、燃焼器へ供給する燃料量(比例弁の弁開度)に対する予測上昇温度の値を、実験によって決定する場合であっても、燃焼器へ供給する燃料量(比例弁の弁開度)を段階的に変化させる毎に、吸込口から筐体内に吸い込んだ空気の温度が吹出口から吹き出される間に上昇した温度を測定するという比較的手間の小さい実験を行うだけでよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の温風暖房装置100について説明する。
図1は、第1実施形態の温風暖房装置の概略的な構成図である。具体的には、
図1(a)は温風暖房装置100の主要な構成部品の配置状態を示す正面透視図であり、
図1(b)は温風暖房装置100を側部から見た断面図である。図示するように、温風暖房装置100は、空気を吸い込む吸込口70及び空気を吹き出す吹出口72を有する筐体10の内部に、燃料を燃焼する燃焼器20と、燃焼器20に供給する燃料量を調節する燃料量調節手段Fと、吸込口70を介した筐体10内への空気の吸気と吹出口72を介した筐体10内からの空気の吹き出しとを行うように空気を流動させる対流用ファン40(本発明の「空気流動手段」の一例)と、動作を制御する制御手段80とを備え、吸込口70から筐体10内に吸い込んだ空気を燃焼器20の燃焼排ガスと混合させることで空気の昇温を行って、昇温した空気を吹出口72から吹き出すように構成されている装置である。加えて、温風暖房装置100は、吸込口70から筐体10内に吸い込む空気の温度を測定する室内温度センサ1(本発明の「吸込空気温度測定手段」の一例)と、運転に関する指示を使用者から受け付ける運転操作受付部50(本発明の「運転指示受付手段」の一例)とを備える。
【0028】
温風暖房装置100の筐体10には、背面に外気を燃焼用空気Aとして取り入れる吸込口70が設けられていると共に、前面に燃焼後の燃焼排ガスと空気との混合ガスを温風として吹き出す吹出口72が設けられている。また、吸込口70の外側には、塵埃を捕捉するためのエアフィルタ71が設定されている。
【0029】
燃焼器20は、燃料ガスGを燃焼用空気Aと共に燃焼させる。具体的には、燃焼器20には、燃料ガスGを導く燃料ガス流路24が連通接続されており、その燃料ガス流路24には、燃料ガスGの流通を止める又は許容する第1電磁弁26a及び第2電磁弁26bと、燃料ガスGの流量を調整可能な比例弁25と、燃料ガスGを燃焼器20に向けて噴射する噴射ノズル23とが、上流側から下流側へ順に設けられている。このうち、第1電磁弁26a及び第2電磁弁26b及び比例弁25が、燃焼器20に供給する燃料量を調節する燃料量調節手段Fとして機能する。二つの電磁弁(第1電磁弁26a及び第2電磁弁26b)が設けられている理由は、燃料ガスGが燃料ガス流路24の下流側へ漏出することを、より確実に防止するためである。加えて、燃焼器20は、その燃焼室22に導かれた燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合気に点火する点火器21と、形成された火炎を検出して火炎の立ち消えを検知可能な火炎センサ4とを備えている。
【0030】
本発明の空気流動手段としての対流用ファン40は、クロスフローファン41と、クロスフローファン41を周方向に回転させるファン駆動用モータ42とから構成されている。ファン駆動用モータ42が、クロスフローファン41を回転させることにより、吸込口70から筐体10の内部へと外気が取り入れられる。そして、筐体10の内部に吸い込まれた空気の一部は、燃焼用空気Aとして燃焼器20の燃焼室22へ導かれ、残りの空気は燃焼室22を迂回して流れながら燃焼器20の燃焼排ガスと混合される。これにより、吸込口70から筐体10の内部に吸い込まれた空気が昇温されて、吹出口72から筐体10の外部へと吹き出される。
【0031】
筐体10の背面には、周囲の空気の温度を測定できる、即ち、温風暖房装置100が使用されている室内の空気の温度を測定できる室内温度センサ1が設けられている。つまり、この室内温度センサ1は、吸込口70から筐体10内に吸い込む空気の温度を測定する吸込空気温度測定手段として機能する。
【0032】
図2は第1実施形態の運転操作受付部50の構成例を示す図であり、
図3は第1実施形態の設定室温表示部57で表示される第1目標温度の遷移例を示す図であり、
図4は、第1実施形態の温風暖房装置の機能ブロック図である。
運転操作受付部50は、筐体10の天面に設けられ、運転に関する指示を使用者から受け付ける。運転操作受付部50は、使用者等により操作させる操作スイッチとして、おやすみタイマースイッチS1と、おはようタイマースイッチS2と、エコ運転スイッチS3と、温風温度固定モードスイッチ(運転モード切換スイッチ)S4と、温度/時間設定スイッチ(温度設定スイッチ)S5(上方向スイッチS5a、下方向スイッチS5b)と、運転/停止スイッチS6とを有する。加えて、運転操作受付部50は、温風暖房装置100の状態を示す表示部として、おやすみタイマーの設定中に点灯されるおやすみタイマーランプ51と、おはようタイマーの設定中に点灯されるおはようタイマーランプ52と、エコ運転の実行中に点灯されるエコ運転ランプ53と、温風温度固定モード運転の実行中に点灯される温風温度固定モードランプ54と、吸込口70に設けられているフィルターの目詰まりを使用者に報知するために点灯されるフィルター掃除ランプ55と、運転が行われているときに点灯される運転状態表示ランプ56と、設定室温等を表す数字・文字・記号などを表示する設定室温表示部57と、現在室温等を表す数字・文字・記号などを表示する現在室温表示部58とを有する。
【0033】
運転/停止スイッチS6は、運転の開始及び停止を指示するためのスイッチである。温風暖房装置100が運転を停止した状態にあるとき使用者が運転/停止スイッチS6を押し操作すると、制御手段80は、その操作を運転開始の指示として受け付けると共に運転状態表示ランプ56を点灯させる。また、温風暖房装置100が運転を行っている状態にあるときに使用者が運転/停止スイッチS6を押し操作すると、制御手段80は、その操作を運転停止の指示として受け付けると共に運転状態表示ランプ56を消灯させる。
【0034】
制御手段80は、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理機能及び例えば半導体メモリなどの情報記憶機能を有する電気回路部を用いて構成される装置である。そして、制御手段80は、温風暖房装置100を、通常モード(本発明の「第1暖房運転モード」に相当)での運転と温風温度固定モード(本発明の「第2暖房運転モード」に相当)での運転とを、使用者からの指示に応じて切り換えて実行する。本実施形態では、制御手段80は、後述する温風温度固定モードスイッチS4が「入り」操作されていなければ、通常モードでの運転の実行指示を受けていると判定し、温風温度固定モードスイッチS4が「入り」操作されていれば、温風温度固定モードでの運転の実行指示を受けていると判定する。つまり、本実施形態では、温風温度固定モードスイッチS4が本発明の「運転モード切換スイッチ」に相当する。
【0035】
制御手段80は、通常モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、吸込空気温度測定手段としての室内温度センサ1が測定する空気の温度が第1目標温度となるように、室内温度センサ1が測定する空気の温度と第1目標温度との温度差に基づいて、最小供給燃料量と最大供給燃料量との間の全供給燃料量範囲の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。本実施形態では、燃料量調節手段Fを構成する比例弁25は、燃焼器20へ供給する燃料量に対応する弁開度を段階的に変化させる段階比例弁である。そして、制御手段80は、比例弁25の弁開度を段階的に変化させることで、燃焼器20へ供給する燃料量を段階的に変化させる。表1に示すのは、燃料量調節手段Fが燃焼器20に供給可能な最小供給燃料量と最大供給燃料量との間の全供給燃料量範囲の例である。表1に示すように、比例弁25の弁開度は1段(最小供給燃料量)〜12段(最大供給燃料量)までの合計12段階ある。例えば、弁開度が1段のときの燃焼器20への供給燃料量は、暖房能力で0.76kWに相当する。そして、弁開度の段数が大きくなるにつれて、燃焼器20への供給燃料量(暖房能力)が多くなる。また、制御手段80は、燃焼器20への供給燃料量に応じた空気を燃焼器20に供給するべく、対流用ファン40の運転状態を制御する。
【0037】
制御手段80が通常モードで運転を行うときの上記第1目標温度は、使用者が温度/時間設定スイッチ(温度設定スイッチ)S5を操作して設定できる。例えば、制御手段80は、通常モードで運転を行っているとき、設定室温表示部57に使用者が入力した第1目標温度又は初期値を表示している。そして、使用者が上方向スイッチS5aを押し操作する毎にその温度の表示値が順次増加変更され、下方向スイッチS5bを押し操作する毎にその温度の表示値が順次減少変更される。
【0038】
図3は、第1実施形態の設定室温表示部57で表示される第1目標温度の遷移例を示す図である。この例では、使用者は、12℃〜26℃までの温度を通常モードでの第1目標温度として1℃刻みで設定できる。図示は省略するが、このとき、現在室温表示部58には室内温度センサ1で測定されている温度が表示されている。加えて、使用者は、12℃よりも低い設定温度に対応する設定状態として「L(ロー)」を設定でき、26℃よりも高い設定温度に対応する設定状態として「H(ハイ)」を設定できる。例えば、「L(ロー)」が設定された場合には設定温度は10℃等の低温度となり、「H(ハイ)」が設定された場合には設定温度は45℃などの高温度になる。これらの設定状態は、上方向スイッチS5a及び下方向スイッチS5bを使用者が押し操作する毎に一段階ずつ順次設定変更される。
【0039】
おやすみタイマースイッチS1は、運転停止の予約を行うためのスイッチである。使用者がおやすみタイマースイッチS1を「入り」操作すると、制御手段80は、その操作を、現在運転中である温風暖房装置100の運転停止の予約指示として受け付ける。例えば、使用者がおやすみタイマースイッチS1を「入り」操作すると、制御手段80は、おやすみタイマーランプ51を点灯させると共に、設定室温表示部57に、何分後に運転停止するのかを示す数字(初期値)を表示させる。そして、制御手段80は、温度/時間設定スイッチS5の上方向スイッチS5aを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を増加させること、或いは、温度/時間設定スイッチS5の下方向スイッチS5bを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を減少させることで、その表示された時間を運転停止するまでの残り時間として設定させる。但し、このおやすみタイマーで設定可能な時間は例えば60分を上限とする。
【0040】
おはようタイマースイッチS2は、運転開始の予約を行うためのスイッチである。使用者がおはようタイマースイッチS2を「入り」操作すると、制御手段80は、その操作を、現在停止中である温風暖房装置100の運転開始の予約指示として受け付ける。例えば、使用者がおはようタイマースイッチS2を「入り」操作すると、制御手段80は、おはようタイマーランプ52を点灯させると共に、設定室温表示部57に、何時間後に運転開始するのかを示す数字(初期値)が表示される。そして、制御手段80は、温度/時間設定スイッチS5の上方向スイッチS5aを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を増加させること、或いは、温度/時間設定スイッチS5の下方向スイッチS5bを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を減少させることで、その表示された時間を運転開始するまでの残り時間として設定させる。
【0041】
エコ運転スイッチS3は、温風暖房装置100で消費される燃料量を相対的に少なくさせる運転の実行を指令するためのスイッチである。使用者がエコ運転スイッチS3を「入り」操作すると、制御手段80は、その操作を、エコ運転の実行指示として受け付ける。例えば、使用者がエコ運転スイッチS3を押し操作すると、制御手段80は、エコ運転ランプ53を点灯させると共に、エコ運転モードでの運転を開始する。このエコ運転モードの運転では、制御手段80は、通常モードでの運転を行いつつ室内温度センサ1が測定した室内の温度が上記第1目標温度まで上昇すると30分間はその第1目標温度のままで運転を行い、その後、実際の運転制御上の目標温度を第1目標温度よりも1℃下げた状態で通常モードでの運転を継続する。尚、設定室温表示部57に表示される第1目標温度は、使用者が設定した第1目標温度のままである。そして、制御手段80は、更に30分間運転を行い、室内温度センサ1が測定した室内の温度が目標温度(第1目標温度よりも1℃低い温度)以上であれば、更に実際の運転制御上の設定温度を1℃下げる。このように、体感温度を大きく損なうことなく、徐々に設定室温を低くすることで、燃料費を節約することができる。
【0042】
温風温度固定モードスイッチS4は、本発明の第2暖房運転モード(本実施形態で説明する温風温度固定モード)の実行を指令するためのスイッチである。温風温度固定モードスイッチS4が「入り」操作された状態にあると、制御手段80は温風暖房装置100を温風温度固定モードで動作させ、温風温度固定モードスイッチS4が「切り」操作された状態にあると、制御手段80は温風暖房装置100を通常モードで動作させる。上述のように、この温風温度固定モードスイッチS4は、通常モード(第1暖房運転モード)と温風温度固定モード(第2暖房運転モード)とを切り換える運転モード切換スイッチとして機能する。このように、温風温度固定モードスイッチS4は、使用者から温風温度固定モードでの運転の実行及び停止を受け付けるための専用の運転モード切換スイッチである。本実施形態では、使用者が温風温度固定モードスイッチS4を「入り」操作すると、その制御手段80は、運転を温風温度固定モードに切り換えると共に、温風温度固定モードスイッチS4が「入り」状態であることを記憶し、運転が停止された後も温風温度固定モードスイッチS4が「入り」状態であることを記憶し続けている。
【0043】
筐体10の内部には、内部温度を測定する本体内用温度センサ2が設けられている。
図1に示した例では、本体内用温度センサ2は、燃焼器20よりも下流側で、且つ、燃焼排ガスと空気とが混合された後の混合ガスが流れる部位での温度を測定する。そして、制御手段80は、本体内用温度センサ2の測定温度が、異常高温域に達していると判定した場合には、燃焼器20を停止する等の制御を行う。本体内用温度センサ2の測定温度がこのような異常高温域に達するのは、吸込口70に設けられているフィルターの目詰まりである可能性が高い。そのため、制御手段80は、本体内用温度センサ2の測定温度が異常高温域に達していると判定した場合には、この問題を使用者に報知するためにフィルター掃除ランプ55を点灯する。
更に、制御手段80等を構成する電気回路の途中には、その電気回路の温度が所定以上となった場合に、その電気回路を断線させる回路用温度ヒューズ3が設けられている。つまり、回路用温度ヒューズ3が所定の温度で溶断することで、電気回路の耐え得る温度を超える前に電気回路(即ち、制御手段80)の動作が停止されて温風暖房装置100の動作が停止され、その電気回路が熱によって故障することなどを防止している。
【0044】
制御手段80は、運転指示受付手段としての温風温度固定モードスイッチS4が温風温度固定モード(第2暖房運転モード)での運転の実行指示を受け付けているとき、予測昇温特性及び室内温度センサ1が測定する空気の温度に基づいて、吹出口72から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、表1及び表2に示す全供給燃料量範囲の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。ここで、予測昇温特性は、燃焼器20への供給燃料量とその供給燃料量で燃焼を行ったときに吸込口70から筐体10内に吸い込んだ空気の温度が吹出口72から吹き出される間に上昇すると予測される予測上昇温度との関係を予め規定している。表2は、本実施形態で制御手段80が参照する予測昇温特性の例である。尚、表2に示す比例段数に対する予測上昇温度の値は、所定の条件下での実験結果に基づいて決定された値である。また、表2には、室温が22℃、7℃のときに、吹出口72から吹き出される空気の温度が何度になるのかを導出した例も併せて記載する。
本実施形態では、第2目標温度は予め制御手段80が記憶している一つの温度値(例えば、60℃)であり、使用者による第2目標温度の設定変更はできないものとしている。
【0046】
表2に示すように、例えば、比例弁25の弁開度の段数が12段であるときに燃焼器20へ供給される燃料量で燃焼が行われたとき、吸込口70から筐体10内に吸い込んだ室内空気の温度は、吹出口72から吹き出される間に64(K)だけ上昇されると予測できる。つまり、室温が7℃であれば、比例弁25の弁開度の段数を12段とすると、室温(7℃)に対して、その段数(12段)に該当する予測上昇温度(64K)を加算して得られる値(71℃)が、吹出口72から吹き出される空気の予測温度となる。同様に、比例弁25の弁開度の段数が9段であるときに燃焼器20へ供給される燃料量で燃焼が行われたとき、吸込口70から筐体10内に吸い込んだ室内空気の温度は、吹出口72から吹き出される間に52(K)だけ上昇されると予測できる。つまり、室内の温度が7℃であれば、59℃の温風が吹出口72から吹き出されると予測できる。
【0047】
次に、温風暖房装置100の運転制御について説明する。
図5は、第1実施形態の暖房運転を説明するフローチャートである。制御手段80は、運転/停止スイッチが「入り」操作されると、工程#10に移行して運転開始処理を行う。制御手段80は、この運転開始処理において、温風暖房装置100を運転停止状態から運転状態へ切り替える場合、第1電磁弁26a及び第2電磁弁26bを開状態とし、比例弁25を所定の開度に設定して、燃料ガスGを噴射ノズル23から燃焼器20の燃焼室22へ噴射させる。制御手段80は、それと同時に、ファン駆動用モータ42を駆動させて対流用ファン40を働かせ、燃焼室22へ燃焼用空気Aを導く。そして、制御手段80は、点火器21により燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合気に点火して燃焼させる。
【0048】
次に工程#11において制御手段80は、温風温度固定モードが「入り」状態であるか否かを判定し、温風温度固定モードが「入り」状態でない場合には工程#12に移行して通常モードでの運転を行い、温風温度固定モードが「入り」状態である場合には工程#13に移行して温風温度固定モードでの運転を行う。
【0049】
工程#12において制御手段80は、通常モードでの運転、つまり、室内温度センサ1が測定する空気の温度と第1目標温度との温度差に基づいて、表1に示した全供給燃料量範囲(即ち、比例段数の1段〜12段の範囲)の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量(即ち、設定する比例段数)を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。その結果、室内温度センサ1が測定する空気の温度が第1目標温度よりも低いほど、目標供給燃料量が多くなるように(即ち、高い比例段数になるように)な制御が行われる。このように、制御手段80は、吸込口70から筐体10内に吸い込む空気の温度(即ち、温風暖房装置100が設置されている室内空気の温度)が第1目標温度となるように燃焼器20に供給する燃料量が調節されるので、温風暖房装置100が設置されている室内の温度が使用者にとって快適な状態に近づくことなる。
【0050】
工程#13において制御手段80は、温風温度固定モードでの運転、つまり、表2に示した予測昇温特性及び室内温度センサ1が測定する空気の温度に基づいて、吹出口72から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、表2に示した全供給燃料量範囲の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量(即ち、設定する比例段数)を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。例えば、制御手段80は、温風温度固定モードでの運転を行うとき、室内温度センサ1で測定される空気の温度が7℃であり、温風温度固定モードでの第2目標温度が60℃と予め設定されていれば、表2の予測昇温特性を参照して、比例弁25の弁開度の段数を「9段」にさせる。尚、制御手段80は、吹出口72から吹き出される空気の予測温度が第2目標温度(60℃)と同じにはならない場合には、例えば第2目標温度と最も近い予測温度となる段数、又は、第2目標温度以下で最も近い予測温度となる段数などを選択すればよい。
【0051】
このように、温風温度固定モードでの運転では、室温が7℃の場合には比例弁25の弁開度の段数は9段に調節されるため、吹出口72から吹き出される空気の温風温度(第2目標温度)を例えば60℃としても、表2に示すように暖房能力は3.17kWとなる。一般的な電気暖房機器の暖房能力が1.2kWであることを考慮すると、温風温度固定モードであっても一般的な電気暖房機器の約2.5倍以上の暖房能力を発揮できていることになる。このように、使用者の安全性を特に考慮した温風温度固定モードで運転を行った場合であっても、温風暖房装置100が設置されている部屋の暖房を良好に行うことができる。更に、温風温度固定モードであっても十分な暖房能力が発揮されているため、複数の暖房機器や空調機器などを併用する必要性が低いため、ランニングコストを安くするこができる。
【0052】
次に、工程#14において制御手段80は、運転/停止スイッチS6が「切り」操作されたか否かを判定し、「切り」操作されていなければ工程#11に帰還し、「切り」操作されていれば温風暖房装置100の運転を停止させる。
【0053】
以上のように、本実施形態の温風暖房装置100は、吹出口72から吹き出す空気の温度を測定するための温度センサ等は備えていないが、吸込口70から筐体10内に吸い込む空気の温度を測定する室内温度センサ1を利用して、吹出口72から吹き出す空気の温度を第2目標温度とするような温風温度固定モードでの運転も、上記通常モードと切り換えて実行できる。
【0054】
<第2実施形態>
第2実施形態の温風暖房装置は、温風温度固定モードの第2目標温度を使用者が設定変更可能に構成されている点で上記第1実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の温風暖房装置について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、制御手段80は、温風温度固定モードスイッチS4が「入り」操作されると、設定室温表示部57に「SF」と表示させ、且つ、現在室温表示部58に第2目標温度の現在の設定値を表示させる。使用者は、設定室温表示部57に表示されている「SF(Softの略)」を見ることで温風温度固定モードでの運転が行われていることを認識でき、現在室温表示部58に表示されている数値を見ることで第2目標温度の現在の設定値(即ち、吹出口72から吹き出される空気の温度)を認識することができる。
【0056】
図6は、第2実施形態の設定室温表示部57で表示される第2目標温度の遷移例を示す図である。この例では、使用者は、60℃、55℃、50℃の3つの温度の中から、所望の温度を第2目標温度として設定できる。この設定変更は、設定室温表示部57に「SF」と表示された状態で温度/時間設定スイッチS5の上方向スイッチS5a及び下方向スイッチS5bを使用者が押し操作する毎に一段階ずつ順次行われる。このように、運転操作受付部50の温度/時間設定スイッチS5は、使用者から第2目標温度を変更するための指示を受け付けるように構成されている。そして、制御手段80は、使用者によって設定された第2目標温度を記憶する。
【0057】
図7は、第2実施形態の暖房運転を説明するフローチャートである。
図7に示すフローチャートの工程#20〜工程#22及び工程#24〜工程#25は、
図5に示した工程#10〜工程#14と同様である。
【0058】
制御手段80は、運転/停止スイッチが「入り」操作されると、工程#20に移行して運転開始処理を行う。この運転開始処理の内容は、第1実施形態の
図5の工程#10で説明した内容と同様である。次に工程#21において制御手段80は、温風温度固定モードが「入り」状態であるか否かを判定し、温風温度固定モードが「入り」状態でない場合には工程#22に移行して通常モードでの運転を行い、温風温度固定モードが「入り」状態である場合には工程#23に移行する。
【0059】
工程#22において制御手段80は、通常モードでの運転、つまり、室内温度センサ1が測定する空気の温度と第1目標温度との温度差に基づいて、表1に例示した全供給燃料量範囲(即ち、比例段数の1段〜12段の範囲)の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量(即ち、設定する比例段数)を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。
【0060】
工程#23において制御手段80は、自身が記憶している第2目標温度の設定値、即ち、
図6を参照して説明したように使用者によって設定された第2目標温度を読み出して、第2目標温度が何度であるのかを判別する。そして、工程#24において制御手段80は、温風温度固定モードでの運転、つまり、表2に示した予測昇温特性及び室内温度センサ1が測定する空気の温度に基づいて、吹出口72から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、表1及び表2に示した全供給燃料量範囲の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量(即ち、設定する比例段数)を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。
【0061】
以上のように、本実施形態では使用者が第2目標温度を設定変更できるので、吹出口72から吹き出される空気の温度(第2目標温度)を使用者にとって好ましい温度にすることができる。
【0062】
<第3実施形態>
第3実施形態の温風暖房装置は、温風温度固定モードスイッチS4を備えない点で上記実施形態と異なっている。以下に、第3実施形態の温風暖房装置について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0063】
図8は、第3実施形態の運転操作受付部の構成例を示す図である。
図8に示すように、本実施形態では、上記実施形態で設けられていた温風温度固定モードスイッチS4が運転操作受付部50に設けられていない。その代わり、本実施形態では、温度/時間設定スイッチS5が、使用者から温風温度固定モード(第2暖房運転モード)での運転の実行及び停止を受け付けるために利用される。
【0064】
図9は、第3実施形態の設定室温表示部及び現在室温表示部で表示される情報の遷移例を示す図である。この例では、使用者は、通常モードの第1目標温度としての12℃〜26℃並びに「L」状態及び「H」状態よりも下の段階に、第2目標温度としての60℃、55℃、50℃の3つの温度を設けている。そして、制御手段80は、通常モードの第1目標温度を設定室温表示部57で表示させるとき、現在室温表示部58には室内温度センサ1で測定される現在の室温(
図9では「7℃」)を表示させる。また、制御手段80は、温風温度固定モードでの第2目標温度を現在室温表示部58で表示させるとき、設定室温表示部57には「SF(Softの略)」と表示させる。使用者は、設定室温表示部57に表示されている「SF(Softの略)」を見ることで温風温度固定モードでの運転が行われていることを認識でき、現在室温表示部58に表示されている数値を見ることで第2目標温度の設定値(即ち、吹出口72から吹き出される空気の温度)を認識することができる。
【0065】
そして、運転操作受付部50が有する温度/時間設定スイッチS5(本発明の「温度設定スイッチ」に相当)が使用者によって押し操作される毎に、第1目標温度としての複数の温度値と第2目標温度としての少なくとも一つの温度値とを含む温度値群のうちの何れか一つの温度値が順次設定変更される。具体的には、設定室温表示部57に通常モード用の設定である「L」が表示されている状態で更に下方向スイッチS5bが押し操作されると、温風温度固定モード用の「60℃」という設定に表示が切り換わる。そして、制御手段80は、温度/時間設定スイッチS5によって第1目標温度としての温度値が設定されているときは(即ち、設定室温表示部57に第1目標温度が表示されているときは)運転指示受付手段としての運転操作受付部50が通常モードでの運転の実行指示を受け付けていると判定し、温度/時間設定スイッチS5によって第2目標温度としての温度値が設定されているときは(即ち、設定室温表示部57に「SF」と表示され、現在室温表示部58に第2目標温度が表示されているときは)運転指示受付手段としての運転操作受付部50が温風温度固定モードでの運転の実行指示を受け付けていると判定する。
【0066】
このように、第1目標温度としての複数の温度値(H、26℃、25℃、・・・、13℃、12℃、L)には、温度/時間設定スイッチS5が通常押操作される毎に順次設定変更されるときの変更順序が定められており、温度/時間設定スイッチS5が通常押操作される毎に第1目標温度としての一つの温度値から第1目標温度としての他の温度値へと順次設定変更される。また、第2目標温度としての複数の温度値(60℃、55℃、50℃)には、温度/時間設定スイッチS5が通常押操作される毎に順次設定変更されるときの変更順序が定められており、温度/時間設定スイッチS5が通常押操作される毎に第2目標温度としての一つの温度値から第2目標温度としての他の温度値へと順次設定変更される。また、第1目標温度としての複数の温度値の中に一つの第1境界温度値(L)があり、第2目標温度としての複数の温度値の中に一つの第2境界温度値(60℃)があり、第1目標温度としての一つの温度値から第1境界温度値である温度値(L)に設定変更された後で温度/時間設定スイッチS5の下方向スイッチS5bが通常押操作されると、第2境界温度値(60℃)に設定変更される。更に、第2目標温度としての一つの温度値から第2境界温度値である温度値(60℃)に設定変更された後で温度/時間設定スイッチS5の上方向スイッチS5aが通常押操作されると、第1境界温度値(L)に設定変更される。
【0067】
以上のように、温度/時間設定スイッチS5を使用者が押し操作する毎に、第1目標温度としての複数の温度値と第2目標温度としての少なくとも一つの温度値とを含む温度値群のうちの何れか一つの温度値が順次設定変更される。つまり、一つの温度/時間設定スイッチS5を用いて通常モード(第1暖房運転モード)用の第1目標温度と温風温度固定モード(第2暖房運転モード)用の第2目標温度とを設定できるので、第1目標温度を設定するためのスイッチと第2目標温度を設定するためのスイッチとを温風暖房装置100に別々に搭載しなくてもよい。
加えて、制御手段80は、温度/時間設定スイッチS5によって第1目標温度としての温度値が設定されているときは通常モード(第1暖房運転モード)での運転が指示されていると判定し、温度/時間設定スイッチS5によって第2目標温度としての温度値が設定されているときは温風温度固定モード(第2暖房運転モード)での運転の運転が指示されていると判定するので、使用者が通常モードでの運転を指示するためのスイッチと温風温度固定モードでの運転を指示するためのスイッチとを温風暖房装置100に別々に搭載しなくてもよい。
【0068】
<第4実施形態>
第4実施形態の温風暖房装置は、温風温度固定モードの運転を開始する前に温度低下処理を行うか否かを判定する点で上記実施形態と異なっている。以下に、第4実施形態の温風暖房装置について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
図10は、第4実施形態の暖房運転を説明するフローチャートである。
図10に示すフローチャートの工程#30〜工程#32及び工程#35〜工程#36は、
図5に示した工程#10〜工程#14と同様である。
【0070】
通常モードで運転中に吹出口72から相対的に高温の空気が吹き出される状態が所定期間以上継続していれば、その高温の空気に対して継続的に触れていた吹出口72の部品も高温になっている可能性が高い。例えば、比例弁25の弁開度を表2の12段に調節した状態で燃焼していると、吹出口72での温風温度は室温が7℃の時では約71℃で、室温が22℃では86℃とかなりの高温になっている。そのため、通常モードでの運転から温風温度固定モードでの運転に切り換えた時点では、吹出口72の部品は未だ高温のままである可能性がある。そして、温風温度固定モードで吹出口72から吹き出される空気の温度が相対的に低い温度(第2目標温度)に抑えられているつもりで、使用者が吹出口72に近付いてその吹出口72の部品に触れてしまうと、未だ高温のままである吹出口72の部品で火傷をしてしまう可能性がある。
そこで、後述するように、制御手段80は、通常モードで運転中に、運転操作受付部50の温風温度固定モードスイッチS4が温風温度固定モードでの運転の実行指示を受け付けたとき、通常モードで運転中に吹出口72から相対的に高温の空気が吹き出される状態が所定期間以上継続していれば、吹出口72から吹き出される空気の温度を相対的に低温にした状態を一定期間継続させる温度低下処理を行った後で、温風温度固定モードでの運転を開始させる。
【0071】
具体的には、先ず、制御手段80は、運転/停止スイッチS6が「入り」操作されると、工程#30に移行して運転開始処理を行う。この運転開始処理の内容は、第1実施形態の
図5の工程#10で説明した内容と同様である。次に工程#31において制御手段80は、温風温度固定モードが「入り」状態であるか否かを判定し、温風温度固定モードが「入り」状態でない場合には工程#32に移行して通常モードでの運転を行い、温風温度固定モードが「入り」状態である場合には工程#33に移行する。
【0072】
工程#32において制御手段80は、通常モードでの運転、つまり、室内温度センサ1が測定する空気の温度と第1目標温度との温度差に基づいて、表1に例示した全供給燃料量範囲(即ち、比例段数の1段〜12段の範囲)の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量(即ち、設定する比例段数)を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。
【0073】
工程#33において制御手段80は、温風温度固定モードが「入り」状態となる前の過去の所定期間以上(例えば1分間以上)の間、通常モードで運転中に吹出口72から相対的に高温(例えば、第2目標温度を超える温度)の空気が吹き出される状態が継続していたか否かを判定する。具体的には、制御手段80は、過去の所定期間以上(例えば1分間以上)の間、比例弁25の弁開度を表2に示したどの段数に調節していたのかを記憶している。その結果、制御手段80は、過去の所定期間以上(例えば1分間以上)の間に室内温度センサ1で測定された室内の温度(吸込口70から筐体10内に吸い込んだ空気の温度)と、表2に示した予測昇温特性とに基づいて、吹出口72から吹き出される空気の温度を導出できる。
【0074】
そして、制御手段80は、過去の所定期間以上(例えば1分間以上)の間、通常モードで運転中に吹出口72から相対的に高温(例えば、第2目標温度を超える温度)の空気が吹き出される状態が継続していなければ工程#35に移行する。これに対して、制御手段80は、過去の所定期間以上(例えば1分間以上)の間、通常モードで運転中に吹出口72から相対的に高温(例えば、第2目標温度を超える温度)の空気が吹き出される状態が継続していたならば工程#34に移行する。
【0075】
工程#34において制御手段80は、吹出口72から吹き出される空気の温度を相対的に低温にした状態を一定期間継続させる温度低下処理を実行する。例えば、制御手段80は、吹出口72から吹き出される空気の温度が、少なくとも第2目標温度未満となるように比例弁25の弁開度を調節して、一定期間(例えば1分30秒間など)継続的に運転させる。或いは、制御手段80は、燃料量調節手段Fにより燃焼器20への燃料供給を遮断させた状態で温度低下処理を行う。このとき、制御手段80は、吹出口72からは空気が継続的に吹き出されるように、対流用ファン40は動作させておく。
【0076】
その後、工程#35において制御手段80は、温風温度固定モードでの運転、つまり、表2に示した予測昇温特性及び室内温度センサ1が測定する空気の温度に基づいて、吹出口72から吹き出される空気の温度が第2目標温度となるように、表1及び表2に示した全供給燃料量範囲の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量(即ち、設定する比例段数)を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。
【0077】
次に、工程#36において制御手段80は、運転/停止スイッチS6が「切り」操作されたか否かを判定し、「切り」操作されていなければ工程#31に帰還し、「切り」操作されていれば温風暖房装置100の運転を停止させる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、温度低下処理を行っている間に相対的に低温の空気を吹出口72の部品に対して触れさせることで、その吹出口72の部品の温度を低下させることができる。その結果、温風温度固定モードで運転中に、使用者が吹出口72に近付いてその吹出口72の部品に触れてしまったとしても、火傷をすることなどが無くなる。
【0079】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、温風暖房装置100の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、比例弁25が12段階の比例段数を有する例を説明したが、12段階よりも多い又は少ない比例段数を有する比例弁25を用いることもできる。他にも、比例弁25が、燃焼器20へ供給する燃料量に対応する弁開度を段階的に変化させる段階比例弁である例を説明したが、燃焼器20へ供給する燃料量に対応する弁開度を連続的に変化させる無段階比例弁を用いることもできる。
【0080】
<2>
上記実施形態では、通常モード(第1暖房運転モード)の第1目標温度、及び、温風温度固定モード(第2暖房運転モード)の第2目標温度等について具体的な数値を挙げて説明したが、それらの数値は適宜変更可能である。また、表1及び表2において、比例弁25の弁開度の比例段数と暖房出力との関係や、比例段数と予測上昇温度との関係についても具体的な数値を挙げて説明したが、それらの数値についても適宜変更可能である。
また、第2実施形態では、第2目標温度として60℃、55℃、50℃という3つの温度値を有する例を説明したが、第2目標温度が2つ又は4つ以上の温度値を有するように構成することもできる。
【0081】
<3>
表2に示した予測昇温特性での供給燃料量(比例弁25の弁開度の段数)と予測上昇温度との関係を必要に応じて補正してもよい。
例えば、筐体10の内部の空気の通り道に正常に空気が流れる状態であれば、筐体10の内部には適切な流量の新鮮な空気が供給され続けるため、筐体10の内部の温度が過度に上昇することはない。しかし、例えば、筐体10の上記吸込口70のエアフィルタ71に塵埃等が付着すると、筐体10の内部での空気の流れが悪くなる。そして、燃焼器20には、燃焼される燃料量に対して必要な空気量よりも少ない量の空気しか供給できなくなるため、吹出口72から吹き出す空気の温度も上昇することになる。その結果、温風温度固定モードでの運転で、吹出口72から吹き出される空気の温度を第2目標温度にしようとしても、実際に吹出口72から吹き出される空気の温度は第2目標温度よりも大幅に高くなってしまう可能性がある。
【0082】
そのような問題に鑑みて、制御手段80は、本体内用温度センサ2(内部温度測定手段)が測定した温度が所定の正常時上限温度以上になると、表2の予測昇温特性に規定されている燃焼器20への供給燃料量(比例弁25の弁開度の段数)と予測上昇温度との関係において、供給燃料量が予測上昇温度に対して相対的に減少するような補正(即ち、同じ予測上昇温度が、より少ない供給燃料量で得られるようにする補正)を行う。例えば、表2の予測上昇温度に対して例えば4℃ずつ加算することで、供給燃料量を予測上昇温度に対して相対的に減少させる補正(以下の、表3の補正例1を参照)や、表2の比例段数を例えば1ずつ減算することで、供給燃料量を予測上昇温度に対して相対的に減少させる補正(以下の、表4の補正例2を参照)などを行う。つまり、実際に吹出口72から吹き出される空気の温度が上昇側に変化することを考慮に入れた上で、温風温度固定モードでの運転が行われる。その結果、実際に吹出口72から吹き出される空気の温度は第2目標温度よりも大幅に高くなる可能性を小さくできる。
【0085】
<4>
上記第3実施形態において、温度/時間設定スイッチS5が押し操作されたときの設定温度の遷移形態を異ならせることもできる。例えば、第3実施形態では、温度/時間設定スイッチS5を使用者が押し操作する毎に、第1目標温度としての複数の温度値と第2目標温度としての少なくとも一つの温度値とを含む温度値群のうちの何れか一つの温度値が順次設定変更される例を説明した。この場合、温度/時間設定スイッチS5を何度も押し操作しなければ、第1目標温度を設定している状態から、第2目標温度を設定している状態へと遷移させることができない。例えば、第1目標温度としての「26℃」が設定されている状態から、第2目標温度としての「55℃」が設定されている状態へと遷移させるために、使用者は温度/時間設定スイッチS5の下方向スイッチS5bを17回も押し操作しなければならない。
【0086】
そのような問題に鑑みて、制御手段80が、温度/時間設定スイッチS5に対する相対的に短時間の押し操作(通常押操作)と相対的に長時間の押し操作(長押操作)とを区別して受け付け、第1目標温度の中の何れかの温度値が設定されている状態で、使用者による温度/時間設定スイッチS5に対する押し操作が設定時間以上連続した長押操作されると、第2目標温度の中の特定の温度値に設定変更し、第2目標温度の中の何れかの温度値が設定されている状態で、使用者による温度/時間設定スイッチS5に対する押し操作が設定時間以上連続した長押操作されると、第1目標温度の中の特定の温度値に設定変更するように構成することもできる。
【0087】
例えば、制御手段80は、第1目標温度としての「26℃」が設定されている状態から、使用者が温度/時間設定スイッチS5の下方向スイッチS5bを長押操作すると、第2目標温度の中の特定の温度値としての「55℃」が設定されている状態へと遷移させる。これに対して、制御手段80は、第2目標温度としての「55℃」が設定されている状態から、使用者が温度/時間設定スイッチS5の上方向スイッチS5aを長押操作すると、第1目標温度の中の特定の温度値としての「26℃」が設定されている状態へと遷移させる。ここで、制御手段80は、通常モードから温風温度固定モードへ切り換えられる段階での、当該通常モードでの第1目標温度(この場合は「26℃」)を記憶しており、この記憶している第1目標温度を、上記第1目標温度の中の特定の温度値としている。
このような構成を採用することで、多数の温度値を設定可能な構成において、使用者が温度/時間設定スイッチS5を何度も押し操作しなければならないという問題を解消できる。