特許第6366364号(P6366364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユーエイキャスターの特許一覧

<>
  • 特許6366364-車輪 図000002
  • 特許6366364-車輪 図000003
  • 特許6366364-車輪 図000004
  • 特許6366364-車輪 図000005
  • 特許6366364-車輪 図000006
  • 特許6366364-車輪 図000007
  • 特許6366364-車輪 図000008
  • 特許6366364-車輪 図000009
  • 特許6366364-車輪 図000010
  • 特許6366364-車輪 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366364
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】車輪
(51)【国際特許分類】
   B60B 3/08 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   B60B3/08 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-108201(P2014-108201)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-223876(P2015-223876A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390003816
【氏名又は名称】株式会社ユーエイキャスター
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】雄島 耕太
(72)【発明者】
【氏名】満尾 あかね
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−173401(JP,U)
【文献】 特開2009−036463(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0248464(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体(1)(1)を結合したホイール(5)を備えた車輪に於て、
左右一対の上記ホイール半体(1)(1)は、同一形状であって、中心孔(10)を有する側壁部(11)と、該側壁部(11)の外周縁部からアキシャル方向(N)へ突出状に連設された円筒状の外周壁部(12)と、を有し、さらに、上記アキシャル方向(N)の凸部(21)と凹部(25)とを交互に有する凹凸波形状の開口端縁部(20)を上記外周壁部(12)が備え、
上記開口端縁部(20)は、上記凸部(21)と、該凸部(21)からラジアル外方(K)に突出する突出部(22)と、を有し、
さらに、上記結合の前の状態において、上記突出部(22)の突出幅寸法(Wd)は、上記突出部(22)と該突出部(22)の間の間隔寸法(We)よりも僅かに大きく形成され、
左右一方の上記ホイール半体(1)の上記凸部(21)の先端(21a)が、左右他方の上記ホイール半体(1)の上記凹部(25)の奥面(25a)に当接して、上記凸部(21)と上記凹部(25)とが噛み合った結合状態で、左右一方の上記ホイール半体(1)の上記突出部(22)が、左右他方の上記ホイール半体(1)の上記突出部(22)と上記突出部(22)の間に、圧入状に差し込まれていることを特徴とする車輪。
【請求項2】
金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体(1)(1)を結合したホイール(5)を備えた車輪に於て、
左右一対の上記ホイール半体(1)(1)は、同一形状であって、中心孔(10)を有する側壁部(11)と、該側壁部(11)の外周縁部からアキシャル方向(N)へ突出状に連設された円筒状の外周壁部(12)と、を有し、さらに、上記アキシャル方向(N)の凸部(21)と凹部(25)とを交互に有する凹凸波形状の開口端縁部(20)を上記外周壁部(12)が備え、
上記開口端縁部(20)は、上記凸部(21)と、該凸部(21)からラジアル外方(K)に突出する突出部(22)と、該突出部(22)から上記凸部(21)よりも上記アキシャル方向(N)に突出するラップ部(23)と、を有し、
さらに、上記結合の前の状態において、上記ラップ部(23)の円弧状の内面(23a)の曲率半径寸法(Ra)は、上記外周壁部(12)の外周面(12a)の半径寸法(Rb)よりも僅かに小さく形成され、
左右一方の上記ホイール半体(1)の上記凸部(21)の先端(21a)が、左右他方の上記ホイール半体(1)の上記凹部(25)の奥面(25a)に当接して、上記凸部(21)と上記凹部(25)とが噛み合った結合状態で、左右一方の上記ホイール半体(1)の上記ラップ部(23)の上記内面(23a)が、左右他方の上記ホイール半体(1)の上記外周面(12a)に圧接していることを特徴とする車輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重量の重い荷物を搬送するための台車や移動作業台に用いられる車輪は、金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体を結合したホイールを備えたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−83201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、左右一対のホイール半体を結合する際に、適切な位置決めを行った仮組状態を保持しつつ、溶接やカシメ加工、鋲打ち等の固着加工を行うため、製造に手間と時間がかかるといった問題があった。
そこで、本発明は、容易かつ迅速に製造可能な車輪の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の車輪は、金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体を結合したホイールを備えた車輪に於て、左右一対の上記ホイール半体は、同一形状であって、中心孔を有する側壁部と、該側壁部の外周縁部からアキシャル方向へ突出状に連設された円筒状の外周壁部と、を有し、さらに、上記アキシャル方向の凸部と凹部とを交互に有する凹凸波形状の開口端縁部を上記外周壁部が備え、上記開口端縁部は、上記凸部と、該凸部からラジアル外方に突出する突出部と、を有し、さらに、上記結合の前の状態において、上記突出部の突出幅寸法は、上記突出部と該突出部の間の間隔寸法よりも僅かに大きく形成され、左右一方の上記ホイール半体の上記凸部の先端が、左右他方の上記ホイール半体の上記凹部の奥面に当接して、上記凸部と上記凹部とが噛み合った結合状態で、左右一方の上記ホイール半体の上記突出部が、左右他方の上記ホイール半体の上記突出部と上記突出部の間に、圧入状に差し込まれているものである。
【0006】
た、金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体を結合したホイールを備えた車輪に於て、左右一対の上記ホイール半体は、同一形状であって、中心孔を有する側壁部と、該側壁部の外周縁部からアキシャル方向へ突出状に連設された円筒状の外周壁部と、を有し、さらに、上記アキシャル方向の凸部と凹部とを交互に有する凹凸波形状の開口端縁部を上記外周壁部が備え、上記開口端縁部は、上記凸部と、該凸部からラジアル外方に突出する突出部と、該突出部から上記凸部よりも上記アキシャル方向に突出するラップ部と、を有し、さらに、上記結合の前の状態において、上記ラップ部の円弧状の内面の曲率半径寸法は、上記外周壁部の外周面の半径寸法よりも僅かに小さく形成され、左右一方の上記ホイール半体の上記凸部の先端が、左右他方の上記ホイール半体の上記凹部の奥面に当接して、上記凸部と上記凹部とが噛み合った結合状態で、左右一方の上記ホイール半体の上記ラップ部の上記内面が、左右他方の上記ホイール半体の上記外周面に圧接しているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、左右一対のホイール半体を、同一形状としながらも、溶接やカシメ加工が不要で、部品点数と製造工程の両方を削減でき容易かつ迅速に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態を示す断面正面図である。
図2】ホイール半体の一例を示す側面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2のB−B断面図である。
図5】ホイール半体の拡大断面正面図である。
図6】左右一対のホイール半体の結合前状態を示す断面正面図である。
図7】左右一対のホイール半体の結合前状態を示す要部拡大展開図である。
図8】左右一対のホイール半体の結合状態を示す断面正面図である。
図9】ホイールの一例を示す正面図である。
図10】ホイールの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明の車輪を詳説する。
本発明に係る車輪は、図1に示すように、金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体1,1が結合した殻構造のホイール5と、ホイール5の外周面に固着したタイヤ部3と、を備えている。
左右一対のホイール半体1,1は、同一材質かつ同一形状(同じ部品)であり、鉄やステンレス等の金属製板材を、プレス加工にて塑性加工し、その後、メッキ処理している。
【0010】
ここで、水平面状の接地面Gを走行する基準姿勢において、ホイール5(結合状態の左右一対のホイール半体1,1)の左右方向Jの中心線Sを含む鉛直平面をホイール半体1の結合基準平面Eと呼ぶ。
【0011】
図2乃至図4に示すように、ホイール半体1は、中心孔10を有する側面視円形状の側壁部11と、側壁部11の外周縁部からアキシャル方向Nへ突出状に連設された円筒状外周壁部12と、を有している。
なお、外周壁部12が突出する側を、アキシャル一方向側Naと呼ぶ場合がある。
【0012】
さらに、外周壁部12の開口端縁部20を、アキシャル方向Nの凸部21と凹部25を周方向(軸心L廻り)に交互に有する凹凸波形状に形成している。
言い換えると、外周壁部12の開口端縁部20は、アキシャル一方向側Naに突出した凸部21と、凸部21と凸部21の間である凹部25と、を有している。
【0013】
図5に示すように、凸部21の先端21aは、結合基準平面Eよりもアキシャル一方向側Naに配設している。凹部25の奥面(底面)25aは結合基準平面Eよりもアキシャル他方向側Nbに配設している。
結合基準平面Eから凸部21の先端21aまでの突出寸法と、結合基準平面Eから凹部25の奥面(底面)25aまでの凹み寸法と、を同寸法としている。
【0014】
さらに、開口端縁部20は、凸部21からラジアル外方Kに突出する突出部22と、突出部22から凸部21よりもアキシャル一方向側Naへ突出するラップ部23と、を有している。
つまり、開口端縁部20は、凸部21と突出部22とラップ部23とを有する断面L字状の突片部29を有している。
【0015】
凸部21及びラップ部23と、凹部25は、軸心L(中心)からラジアル外方Kへ向かって見て、略矩形状に形成している。また、側面視では外周面12aに沿った円弧状に形成している。
また、突片部29(凸部21)を、軸心L廻りに等間隔に複数形成している。
図例では、突片部29を、軸心L廻りの中心角度を45度として、8個設けている。つまり、凹部25を8個設けている。突片部29と凹部25は4個乃至12個設けるのが好ましい。4個未満であると、十分な嵌合力が得られず、12個を越えると、プレス成形が困難になると共に、左右一対のホイール半体1,1を結合する際に手間がかかる虞れがある。
【0016】
そして、2つのホイール半体1,1を結合させる際は、図6に示すように、2つのホイール半体1,1を、開口端縁部20,20が対面状となるように配設し、左右一方のホイール半体1(1A)と、左右他方のホイール半体1(1B)とを、軸心L廻りに相対的に所定回転角度(例えば、凸部21と凹部25が夫々8個の場合は、22.5度)ずらして、左右一方のホイール半体1Aの凸部21と左右他方のホイール半体1Bの凹部25とを対応させ、左右一方のホイール半体1Aの凹部25と左右他方のホイール半体1Bの凸部21とを対応させる。
【0017】
ここで、説明を容易にするために、結合前の左右一対のホイール半体1,1の外周壁部12を帯状に展開して拡大した図7を用いて説明する。凸部21は、アキシャル一方向側Naへ突出するにつれて幅寸法が小さくなるようにテーパ状に突設している。従って、凹部25は、開口端からアキシャル他方向側Nbへ窪むにつれて幅寸法が小さくなるようにテーパ状に窪設している。
【0018】
そして、結合前の状態で、凸部21の結合基準平面E上の凸幅寸法Waを、凹部25の結合基準平面E上の凹幅寸法Wbよりも僅かに大きく形成している。
【0019】
図8に示すように、左右一対のホイール半体1,1を、凸部21の先端21aが、凹部25の奥面25aに当接するまで、相互に接近させると、結合基準平面Eが一致し、凸部21と凹部25が圧入状に噛み合って結合し、薄肉の殻形状(中空状)のホイール5を形成する。
左右一方のホイール半体1Aの凸部21と、左右他方のホイール半体1Bの凸部21とが相互に周方向に押し合って(圧接して)、強い摩擦力(嵌合力)を発揮し、左右一対のホイール半体1,1が相互に、周方向(軸心L廻りの回転方向)、アキシャル方向N、ラジアル方向へ位置ズレや分離するのを防止する。溶接やカシメ加工、或いは、リベット止め加工を省略して左右一対のホイール半体1,1を強い嵌合力をもって結合している。また、凸部21の先端21aが、凹部25の奥面25aに当接することで、適切なホイール5の左右方向寸法が確実に得られる。
【0020】
なお、凸幅寸法Waを凹幅寸法Wbよりも僅かに大きくとは、例えば、外周壁部12を展開していない状態(図3図4及び図6参照)での凸幅寸法Waを凹幅寸法Wbよりも0.02mm以上0.5mm以下で大きく形成していることであり、より好ましくは0.05mm以上0.35mm以下で大きく形成する。
下限値未満であると、製造工程において搬送中の衝撃や振動で位置ズレや分離する虞れがある。上限値を越えると、結合が困難になって、大型で高圧の結合圧入用工具や圧入装置(プレス装置)が必要となる。
【0021】
図8及び図9に示すように、左右一対のホイール半体1,1の結合状態で、ラップ部23の内面23aが、結合相手側のホイール半体1の外周壁部12の外周面12aに接触するように構成している。特に、内面23aと外周面12aとを圧接させるのが、さらに好ましい。
つまり、図6に示すように、結合前の状態で、ラップ部23の側面視円弧状の内面23aの曲率半径寸法Raを、外周壁部12の外周面12aの半径寸法Rbと同じ、又は、外周面12aの半径寸法Rbよりも僅かに小さく設定している。
言い換えると、結合前の状態で、ラップ部23の内面23aの曲率半径寸法を、Raとし、外周壁部12の外周面12aの半径寸法をRbとして関係式で表わすと、Ra≦Rbに設定している。
【0022】
このように、ラップ部23と外周面12aを設定することで、左右一対のホイール半体1,1を接近させる際に、凸部21と凹部25が噛み合う前に、外周面12aにラップ部23が摺接して案内し、同心状に位置決めする。さらに、結合後に、外周面12aとラップ部23とが相互にラジアル方向に押し合って、強い摩擦力(嵌合力)を発揮して、位置ズレや分離を防止する。
【0023】
なお、曲率半径寸法Raを半径寸法Rbよりも僅かに小さく設定しているとは、例えば、曲率半径寸法Raを半径寸法Rbよりも0.02mm以上0.5mm以下で小さく形成していることであり、より好ましくは0.05mm以上0.35mm以下で小さく形成する。下限値未満であると、製造工程において搬送中の衝撃や振動で位置ズレや分離する虞れがある。上限値を越えると、結合が困難で大型で高圧の結合圧入用工具や圧入装置(プレス装置)が必要となる。
また、ラップ部23は、アキシャル一方向側Naへ突出するにつれて幅寸法が、小さくなるようにテーパ状に形成している。
【0024】
また、結合前の状態で、突出部22の結合基準平面E上の突出幅寸法Wd(図2及び図9参照)を、突出部22と突出部22の間の結合基準平面E上の間隔寸法Weよりも僅かに大きく形成している。従って、結合状態において、突出部22が、結合相手側ホイール半体1の突出部22と突出部22の間に、圧入状に差し込まれる。
つまり、左右一方のホイール半体1Aの突出部22と、左右他方のホイール半体1Bの突出部22と、が相互に周方向に押し合うように噛み合って結合し、強い摩擦力(嵌合力)を発揮して、左右一対のホイール半体1,1の位置ズレや分離を確実に防止する。
【0025】
なお、突出幅寸法Wdを間隔寸法Weよりも僅かに大きくとは、例えば、0.02mm以上0.5mm以下で大きく形成していることであり、より好ましくは0.05mm以上0.35mm以下で大きく形成する。
下限値未満であると、製造工程において搬送中の衝撃や振動で位置ズレや分離する虞れがある。上限値を越えると、結合が困難になって、大型の結合圧入用工具や圧入装置(プレス装置)が必要となる。
【0026】
図10に於て、左右一対のホイール半体1,1を結合(嵌合)して形成したホイール5の外周面側に、二点鎖線で示すように、ゴム製又は樹脂製のタイヤ部3を設けている。
タイヤ部3の成形及び固着工程としては、生ゴム材をタイヤ素材とし、ホイール5の接着剤を塗布した外周面側に棒状の生ゴム材を巻設し、成形金型に入れ、加硫(加圧・加熱)して、タイヤ部3を成形すると共にホイール5の外周面に一体に固着する。
或いは、ウレタン等の樹脂又は半加硫ゴムをタイヤ素材として用いて、射出成形(金型)にてタイヤ部3を成形すると共にホイール5に一体に固着しても良い。
または、流動性の中間樹脂材料をタイヤ素材とし、硬化剤を混入させて、注型成形(金型)にてタイヤ部3を成形すると共にホイール5に一体に固着しても良い。このときも、予め接着剤をホイール5の外周面側に塗布しておく。
【0027】
ここで、タイヤ部3の成形及び固着工程において、タイヤ素材が、ホイール5の外周面側から内部に浸入しようとする。ところが、ラップ部23が外周面12aに当接乃至圧接していることや、左右一方のホイール半体1Aの突出部22と左右他方のホイール半体1Bの突出部22とが圧接しているため、凸部21の先端21aと凹部25の奥面25aの間といった凸部21と凹部25の噛み合い部からタイヤ素材がホイール内部に浸入するのを阻止する。
また、ホイール5の外周面には、ラップ部23が周方向に千鳥状に配設され、タイヤ素材との接触面積を増やして(タイヤ素材を食い付きやすくして)タイヤ部3の固着力を高め剥離を防止する。
【0028】
また、左右一対のホイール半体1,1を結合して形成したホイール5は、プレス機にて、金属製板材を、塑性加工した部品を結合した殻構造(形状)となり、鋳物品や切削加工品に比べて軽量でありながら、十分な強度と剛性が得られ、重い荷物を乗せる高荷重用の台車や作業台等のキャスター用車輪として好適である。
【0029】
キャスターに使用した一例としては、図1に示すように、各ホイール半体1の中心孔10に、夫々、ベアリング等の軸受部材6を介装し、2つの軸受部材6,6を挿通する車軸部材8の両端部を、支持ヨーク部材(フォーク部材)9の左右一対の支持片部91,91に両持ち梁状に支持させ、本発明にかかる車輪を回転自在とする。
本発明において、キャスターとは、水平面状の接地面Gを走行する基準使用状態において、鉛直状軸心廻りに旋回自在なもの(自在キャスター)と、鉛直状軸心廻りに旋回不可能なもの(固定キャスター)の両者を含む。
【0030】
なお、本発明は、設計変更可能であって、側壁部11は、アキシャル他方向側Nbへ膨出状のリブ11aを、軸心L廻りに所定の間隔をもって、図例では8つ設けているが、リブ11aの形状や数は自由である。また、ホイール半体1の素材としては、1.0mm以上3.6mm以下の板材が望ましい。また、上記凸部21,凹部25を略矩形状以外の形状(半円形,半長円形,三角形状等)としても、自由である。
【0031】
以上のように、本発明の車輪は、金属プレス加工品から成る左右一対のホイール半体1,1を結合したホイール5を備えた車輪に於て、左右一対のホイール半体1,1は、同一形状であって、中心孔10を有する側壁部11と、側壁部11の外周縁部からアキシャル方向Nへ突出状に連設された円筒状外周壁部12と、を有し、さらに、アキシャル方向Nの凸部21と凹部25とを周方向に交互に有する凹凸波形状の開口端縁部20を外周壁部12が備え、左右一対のホイール半体1,1を、凹凸波形状の開口端縁部20の凸部21と凹部25の噛み合いにより結合したので、左右一対のホイール半体1,1を、同一形状としながらも、溶接やカシメ加工が不要で、部品点数と製造工程の両方を削減でき容易かつ迅速に製造できる。芯合わせ等の位置決めを容易に行うことができると共にホイール半体1,1同士を強い嵌合力をもって結合できる。左右一対のホイール半体1,1をアキシャル方向N(軸心L方向)に相互に接近させる小型や低圧(低荷重)のプレス機や工具或いは人力で、容易かつ迅速に結合できる。なお、図示の実施の形態のように凸部21,凹部25を略矩形状とすれば、確実に強い嵌合力をもって結合できて好ましい。
【0032】
また、凸部21の凸幅寸法Waを、凹部25の凹幅寸法Wbよりも僅かに大きく形成して、凸部21と凹部25を相互に圧入状に噛み合い結合したので、左右一対のホイール半体1,1の芯だし等の位置決め、及び、結合を、小型の圧入装置や工具で容易かつ迅速に結合可能としながらも、タイヤ部3を形成する際の加圧や加熱に十分に耐えられる強い嵌合力を得ることができる。タイヤ部3の成形の際にタイヤ素材がホイール5内に浸入するのを防止できる。
【0033】
また、開口端縁部20は、凸部21と、凸部21からラジアル外方Kに突出する突出部22と、突出部22から凸部21よりもアキシャル方向Nに突出するラップ部23と、を有し、左右一対のホイール半体1,1の結合状態で、ラップ部23の内面23aが、結合相手側のホイール半体1の外周面12aに接触するように構成したので、凸部21と凹部25を嵌合する際にガイドでき、スムーズに左右一対のホイール半体1,1を接近させることができる。左右一対のホイール半体1,1を強い嵌合力をもって結合できると共に、高精度に芯合わせすることができる。タイヤ部3を形成する際にタイヤ素材がホイール5の内部に浸入するのを確実に防止でき、製造不具合品を削減できる。
【符号の説明】
【0034】
1 ホイール半体
5 ホイール
10 中心孔
11 側壁部
12 外周壁部
12a 外周面
20 開口端縁部
21 凸部
21a 先端
22 突出部
23 ラップ部
23a 内面
25 凹部
25a 奥面
K ラジアル外方
N アキシャル方向
Ra 曲率半径寸法
Rb 半径寸法
Wa 凸幅寸法
Wb 凹幅寸法
Wd 突出幅寸法
We 間隔寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10