(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般的に、チャンバーは水平方向に細長い形状をなしているので、その長手方向両端部を一対の支持機構で支持すると、長手方向中途部が撓みやすくなってしまう。特に、近年、幅広のウェブ(1500mmを超えるもの)に塗工液を塗工する要求が高まっていて、この要求を満たすために、チャンバーにおける長手方向の寸法が長くなってきており、チャンバーの長手方向中途部がさらに撓みやすくなっている。そうすると、両サイドシールによるグラビアロール外周面への圧接や液溜部に溜まる塗工液の液圧の影響、さらには、温度変化によるひずみや塗工後の残留ひずみによる変形などによってチャンバーが平面視で弓形に撓んでしまい、グラビアロール外周面に対するドクターブレードの接触状態がチャンバーの長手方向でばらつくおそれがある。それによって、グラビアロール外周面に対する塗工液の付着量がロール回転軸心方向にばらついてしまい、ひいては、ウェブに対して塗工液を均一に付着させることができなくなってしまう。
【0006】
また、印刷装置においても、チャンバーの長手方向両端部を一対の支持機構で支持すると、同様の問題が生ずる。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウェブに塗工液やインキといった転写液を転写する際にウェブに転写液を均一に付着させることができ、しかも、チャンバー周りのスペースを有効利用できる印刷塗工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、チャンバーの長手方向中途部において当該チャンバーが撓まないようになる工夫を凝らすか、又は、チャンバーの撓みを矯正する工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、チャンバーの液溜部に溜まる転写液に一部が浸されたグラビアロールのロール径方向
の両側からドクターブレードとシールプレートとを対向させて上記グラビアロールに圧接させるとともに、一対のサイドシールを上記グラビアロールの
両端部に圧接させ
ることにより、上記液溜部が密閉され
ている印刷塗工装置を対象とし、次のような
撓み抑制手段を
設けた。
【0010】
すなわち、
上記チャンバーは、細長いブロック状のチャンバー本体と、帯状の板部を有するベースプレートと、を備え、上記チャンバー
本体の長手方向
の両端部は、一対の支持手段で支持され
、上記板部の両端側が、上記チャンバー本体の中央部分を境に上記チャンバー本体に固定されることにより、上記ベースプレートは、上記チャンバー
本体の長手方向
の中途部
の反グラビアロール側に
、上記チャンバー本体の長手方向に沿って延びるように設けられ、上記板部の長手方向中途部に対応する位置に形成された螺合孔に、その先端で上記チャンバーを押圧するネジ部材が螺合されている。
【0011】
上記印刷塗工装置は、鉛直方向に搬送されるウェブに対して塗工するように配置されている、としてもよい。
【0012】
上記チャンバーの長手方向両端部には、回転軸心が上記チャンバーの長手方向に向く回転ローラが回転自在に設けられ、上記支持手段には、上記回転ローラを下方から支持するとともに上記チャンバーの長手方向と交差する水平方向に案内することで上記グラビアロールに対して上記チャンバーを接近・離間させるローラガイド部が設けられている
、としてもよい(追加工夫1)。
【0013】
上記支持手段には、上記グラビアロールに対して上記チャンバーを接近させ、且つ、上記液溜部を密閉した状態で上記回転ローラを上記ローラガイド部に固定可能なローラ固定部材が設けられている
、としてもよい(追加工夫2)。
【0014】
上記ローラガイド部における反グラビアロール側の端部には、上記グラビアロールに対して上記チャンバーを離間させた際、上記チャンバーの液溜部側が上向くよう上記チャンバーの姿勢を変更させる姿勢変更部が設けられている
、としてもよい(追加工夫3)。
【0015】
上記チャンバーは、複数の分割体と、該各分割体が組み合わさった状態で分割箇所をシールするシール部材とを備えている
、としてもよい(追加工夫4)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、チャンバー下方の両支持手段の間にスペースが形成されるので、当該スペースを有効利用することができる。また、撓み抑制手段によってチャンバーの撓みを抑制することでグラビアロール外周面に対する転写液の付着量がロール回転軸心方向に不均一になり難くなるので、グラビアロールでウェブに転写液を転写する際に転写液をロール回転軸心方向に均一に付着させることができる。
【0017】
チャンバーの長手方向中途部をグラビアロール側に移動させることができるので、もし仮にチャンバーが平面視で弓形に撓んだとしても、チャンバーの撓みを矯正することができる。
【0018】
ネジ部材の螺進退動作により、チャンバーにおける長手方向中途部の押圧量を細かく調整できるので、チャンバーにおける長手方向中途部のグラビアロールに向かう移動量を細かく変更させることができる。
【0019】
更に追加工夫1によれば、作業者は、チャンバーのメンテナンスをする際、回転ローラによってチャンバーをグラビアロールから簡単に離間させることができる一方、メンテンスが終了して印刷又は塗工を行う際、回転ローラによってチャンバーをグラビアロールに対して簡単に接近させることができるので、チャンバーの操作に対する負荷がかからない。しかも、メンテナンスの際にチャンバーがグラビアロールから離れているので、作業者は安全にメンテナンスを行うことができる。
【0020】
更に追加工夫2によれば、塗工又は印刷時において、グラビアロールに対するチャンバーの位置が正確に定まるので、チャンバーのメンテナンス後においてもウェブに対して転写液をロール回転軸心方向に均一に付着させることができる。
【0021】
更に追加工夫3によれば、ドクターブレードやシールプレートが上向く姿勢になるので、作業者がチャンバーに取り付けられたドクターブレードやシールプレートのメンテナンスを行う際、メンテナンスを簡単に行うことができて作業者の負荷を減らすことができる。
【0022】
更に追加工夫4によれば、分割箇所にシール部材が介在する複数の分割体からなるチャンバーは、一度撓むとシール部材の粘性等によって元の状態(形状)に戻りにくいが、このようなチャンバーであっても撓み抑制手段によってチャンバーの撓みを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0025】
《
実施形態1》
図1乃至
図3は、
実施形態1に係る塗工装置1を示す。該塗工装置1は、複数のガイドロール11に巻き掛けられて上方向に連続搬送されるウェブWの塗工面に対して塗工を施すものであり、水平方向に離間して配設された一対のサイドフレーム2と、該サイドフレーム2間に回転軸心が水平方向に向く姿勢で設けられ、当該両サイドフレーム2に回転可能に軸支されたグラビアロール3とを備え、該グラビアロール3の外周面には、図示しない多数のセルが凹陥形成されている。
【0026】
上記グラビアロール3におけるロール径方向の一方側には、当該グラビアロール3の回転軸心方向に延びるチャンバー4が並設され、該チャンバー4の長手方向両端部は、一対の支持機構5(支持手段)で支持されている。
【0027】
上記チャンバー4は、細長いブロック形状で、且つ、上記グラビアロール3側に開口する断面略U字状のチャンバー本体40を備え、
図4に示すように、チャンバー本体40の内方は、塗工液Lを溜める液溜部4aとなっている。
【0028】
上記チャンバー本体40は、上記チャンバー4の反グラビアロール3側を構成する第1分割体40aと、該第1分割体40a上部のグラビアロール3側に位置する第2分割体40bと、上記第1分割体40a下部のグラビアロール3側に位置する第3分割体40cとに分割されている。
【0029】
上記第1分割体40a上部の上記第2分割体40bとの分割箇所には、第1シール部材9aが設けられ、該第1シール部材9aは、上記第1分割体40aと第2分割体40bとを組み合わせた状態でその間をシールするようになっている。
【0030】
一方、上記第1分割体40a下部の上記第3分割体40cとの分割箇所には、第2シール部材9bが設けられ、該第2シール部材9bは、上記第1分割体40aと第3分割体40cとを組み合わせた状態でその間をシールするようになっている。尚、
図4の第1及び第2シール部材9a,9bは、便宜上、誇張して記載している。
【0031】
上記第2分割体40bの反第1分割体40a側には、板状をなす樹脂製ドクターブレード41が固定ブロック40dによって下方に真っ直ぐに延びる姿勢で固定されている。
【0032】
上記ドクターブレード41の下端は、上記グラビアロール3の外周面に圧接して上記液溜部4aのロール回転方向下流側をシールするとともに、上記外周面に付着する余分な塗工液Lを上記グラビアロール3の回転動作により掻き取って計量するようになっている。
【0033】
一方、上記第3分割体40cの反第1分割体40a側には、板状をなす樹脂製シールプレート42が固定ブロック40eによって上方に真っ直ぐに延びる姿勢で固定されている。
【0034】
上記シールプレート42は、上記ドクターブレード41に対向するとともに上端が上記グラビアロール3の外周面に圧接していて、上記液溜部4aのロール回転軸心方向上流側をシールしている。
【0035】
さらに、上記チャンバー4の回転軸心方向両端部には、樹脂製サイドシール43がグラビアロール3に対して接近・離間可能に取り付けられ、上記両サイドシール43を上記グラビアロール3に接近させてその外周面に圧接させることにより、上記ドクターブレード41と上記シールプレート42とで上記液溜部4aを密閉するとともに、液溜部4aに溜まる塗工液Lにグラビアロール3の一部が浸されるようになっている。
【0036】
そして、上記塗工装置1は、図示しない塗工液循環装置で上記液溜部4aに溜まる塗工液Lを循環させながら上記グラビアロール3の回転動作によって上記ウェブWに塗工液Lを付着させるようになっている。
【0037】
上記チャンバー本体40における長手方向中途部の反グラビアロール3側には、上記チャンバー本体40の長手方向に沿って延びる断面略T字状のベースプレート44が設けられている。
【0038】
該ベースプレート44は、上記チャンバー本体40の長手方向に沿って延び、且つ、一方の面が上記チャンバー本体40の背面に密着する帯状の第1板部44aと、該第1板部44aの他方の面における上下方向中途部から反チャンバー本体40側に突出する帯状の第2板部44bとを備え、上記第1板部44aの延出方向両端側が上記チャンバー本体40における反グラビアロール3側の中央部分を境に互いに離間した位置にそれぞれ複数の固定ボルトB1によって固定されている。
【0039】
また、上記第1板部44aの延出方向両端部分には、作業者が把持可能な把手部44eが反チャンバー本体40側に突設されている。
【0040】
さらに、上記第1板部44aの上記チャンバー4における長手方向中途部に対応する位置には、チャンバー4の長手方向に離間する一対の第1螺合孔44cが上記第1板部44aの上部と下部とにそれぞれ形成され、上記各第1螺合孔44cには、ネジ部材44dが螺進・螺退可能に螺合している。
【0041】
そして、上記ベースプレート44と上記ネジ部材44dとで本発明の押圧手段12(撓み抑制手段)を構成していて、上記ネジ部材44dを螺進させることによりその先端で上記チャンバー本体40の延出方向中途部をグラビアロール3側に押圧するようになっている。
【0042】
尚、チャンバー4の長手方向中途部における反グラビアロール3側には、液溜部4aに塗工液Lを流出入させる流出入管(図示せず)が接続されていて、上記各ネジ部材44dは、当該各ネジ部材44d及びこれらを操作する工具が上記流出入管に干渉しない位置に設けられている。
【0043】
上記チャンバー4における長手方向両端部の反グラビアロール3側には、L字フレーム45が平面視で対称となるよう一対設けられている。
【0044】
該L字フレーム45は、上記チャンバー4の長手方向に沿ってその端部から飛び出すように延びる板状の第1フレーム45aと、該第1フレーム45aと交差する水平方向に延びて当該第1フレーム45aの延出端に連結された板状の第2フレーム45bとを備え、該第2フレーム45bの外側面には、
図3に示すように、回転軸心が上記チャンバー4の長手方向に向く回転自在の回転ローラ46が上記グラビアロール3の回転軸心方向と交差する水平方向に一対並設されている。
【0045】
また、上記第1フレーム45aのサイドシール43に対応する位置には、一対の第2螺合孔45cが上下に離間して設けられている。
【0046】
該各第2螺合孔45cには、調整ボルトB2が螺進・螺退可能に螺合しており、該調整ボルトB2を螺進させてその先端でサイドシール43を押すことにより、グラビアロール3外周面に対するサイドシール43の圧接状態を調整可能となっている。
【0047】
上記支持機構5は、上記サイドフレーム2の上部内側面に取り付けられ、上記グラビアロール3と交差する水平方向に延びるスライドレール51と、外側面に上記スライドレール51にスライド可能に外嵌合する一対のスライダ52aを有するスライドプレート52とを備えている。
【0048】
上記サイドフレーム2内側の上記スライドレール51下方には、ピストンロッド53aがグラビアロール3側に向かって水平方向に伸縮する流体圧シリンダ53が取り付けられている。
【0049】
そして、上記ピストンロッド53aの先端は上記スライドプレート52の外側面に連結されていて、上記ピストンロッド53aが伸縮すると、上記スライドプレート52が上記サイドフレーム2に対してスライドするようになっている。
【0050】
また、上記スライドレール51におけるグラビアロール3側の端部には、上記スライドプレート52が上記グラビアロール3側にスライドした際、その端部が当接してそれ以上のスライドを阻止するストッパ51aが取り付けられている。
【0051】
上記スライドプレート52の内側面には、接続プレート54を介してローラ支持ユニット6が設けられている。
【0052】
該ローラ支持ユニット6は、
図3に示すように、グラビアロール3と交差する水平方向に延びる厚みのある略板状の支持プレート61を備え、該支持プレート61の上端には、下方に窪むとともに上記支持プレート61に沿って延びるローラガイド部61aが形成されている。
【0053】
該ローラガイド部61a上面には、
図5に示すように、当該ローラガイド部61aに沿って延びる凹条溝61bが凹陥形成されている。
【0054】
該凹条溝61bは、上記一対の回転ローラ46を支持するとともに上記チャンバー4の長手方向と交差する水平方向に案内することにより、上記グラビアロール3に対して上記チャンバー4を接近・離間させるようになっている。
【0055】
上記ローラガイド部61aにおける反グラビアロール3側の端部には、上記ローラガイド部61aよりもさらに深く窪む縦長凹部61c(姿勢変更部)が設けられ、上記グラビアロール3に対して上記チャンバー4を離間させるとともに、上記各回転ローラ46を上記縦長凹部61cに順に嵌め込んで上下に並ぶようにすると、上記液溜部4aが上向くように上記チャンバー4の姿勢が変更されるようになっている。
【0056】
上記支持プレート61の上方には、上記チャンバー4の長手方向と交差する水平方向に延びるローラ固定部材62が設けられ、該ローラ固定部材62のグラビアロール3側は、上記支持プレート61上面のグラビアロール3側に上方突設された突出プレート61dにチャンバー4の長手方向に延びる支軸63により回動可能に軸支されている。
【0057】
上記ローラ固定部材62の中途部及び反グラビアロール3側には、それぞれ第1突出部62a及び第2突出部62bが下方に向かって突設されている。
【0058】
また、上記ローラ固定部材62の上記第1突出部62aが形成されている部分には、上下に延びる取付孔62cが貫通形成され、該取付孔62cには固定用ピンP1がスライド可能に嵌挿されている。
【0059】
さらに、上記ローラガイド部61aの中途部には、上記固定用ピンP1の先端側が嵌合可能な嵌合凹部61eが設けられている。
【0060】
そして、上記ローラ固定部材62をグラビアロール3側に回動させた状態において上記グラビアロール3に対して上記チャンバー4を接近させるとともに上記液溜部4aを密閉させ、且つ、上記ローラ固定部材62を反グラビアロール3側に回動させると、上記第1及び第2突出部62a,62bの突出端が上記ローラガイド部61aに当接するとともに、当該ローラガイド部61aにおけるグラビアロール3側の端部と上記第1突出部62aとの間、及び、上記第1及び第2突出部62a,62bの間に形成される空間S1,S2に一対の回転ローラ46がそれぞれ嵌合するようになっている。そして、固定用ピンP1を下方にスライドさせてその先端を上記嵌合凹部61eに嵌合させることにより、上記各回転ローラ46が上記ローラ固定部材62によって上記ローラガイド部61aに固定されるようになっている。
【0061】
また、流体圧シリンダ53のピストンロッド53aを縮めると、チャンバー4を支持する支持機構5がスライドプレート52のスライド移動によって反グラビアロール3側に移動するので、グラビアロール3とチャンバー4との間に大きなスペースが形成されてグラビアロール3のメンテナンスが容易に行えるようになっている。
【0062】
次に、塗工装置1におけるチャンバー4のメンテナンスについて説明する。
【0063】
まず、作業者は、稼働中の塗工装置1を停止させ、その後、
図3に示す状態から固定用ピンP1を上方にスライドさせてその先端を嵌合凹部61eから抜く。
【0064】
次いで、
図6に示すように、ローラ固定部材62を反グラビアロール3側に回動させる。すると、各回転ローラ46のローラガイド部61aへの固定が解除される。
【0065】
しかる後、作業者は、把手部44eを持ってチャンバー4を反グラビアロール3側に引っ張る。すると、各回転ローラ46が各ローラガイド部61aに案内されて上記チャンバー4が上記グラビアロール3から離間する。
【0066】
さらに、作業者は、チャンバー4をローラガイド部61aにおける反グラビアロール3側の端部まで移動させた後、上記各回転ローラ46を上記縦長凹部61cに順に嵌め込む。すると、上記液溜部4aが上向くように上記チャンバー4の姿勢が変更される。このように、ドクターブレード41やシールプレート42が上向く姿勢になるので、作業者がチャンバー4に取り付けられたドクターブレード41やシールプレート42のメンテナンスを行う際、メンテナンスを簡単に行うことができて作業者の負荷を減らすことができる。
【0067】
作業者は、チャンバー4のメンテナンスが終わると、把手部44eを持ってチャンバー4を上方に持ち上げ、且つ、液溜部4a側がグラビアロール3側に向くようにチャンバー4の姿勢を変更させ、ローラガイド部61aに各回転ローラ46を載せる。
【0068】
その後、作業者は、チャンバー4をグラビアロール3側に押す。すると、各回転ローラ46が各ローラガイド部61aに案内されて上記チャンバー4が上記グラビアロール3に接近するとともに、ドクターブレード41、シールプレート42及び各サイドシール43がグラビアロール3外周面に接触して液溜部4aが密閉される。
【0069】
そして、ローラ固定部材62をグラビアロール3側に回動させるとともに固定用ピンP1を下方にスライドさせてその先端を嵌合凹部61eに嵌合させる。すると、空間S1,S2に一対の回転ローラ46が嵌合してチャンバー4が上記ローラガイド部61aに固定される。したがって、塗工時において、グラビアロール3に対するチャンバー4の位置が正確に定まるので、チャンバー4のメンテナンス後においてもウェブWに対して塗工液をロール回転軸心方向に均一に付着させることができる。
【0070】
このように、作業者は、チャンバー4のメンテナンスをする際、回転ローラ46によってチャンバー4をグラビアロール3から簡単に離間させることができる一方、メンテンスが終了して塗工を行う際、回転ローラ46によってチャンバー4をグラビアロール3に対して簡単に接近させることができるので、チャンバー4の操作に対する負荷がかからない。しかも、メンテナンスの際にチャンバー4がグラビアロール3から離れているので、作業者は安全にメンテナンスを行うことができる。
【0071】
以上より、
実施形態1によると、チャンバー4下方の両支持機構5の間にスペースが形成されるので、当該スペースを有効利用することができる。また、押圧手段12によってチャンバー4の撓みを抑制することでグラビアロール3外周面に対する塗工液の付着量がロール回転軸心方向に不均一になり難くなるので、グラビアロール3でウェブWに塗工液を塗工する際に塗工液をロール回転軸心方向に均一に付着させることができる。
【0072】
また、押圧手段12によってチャンバー4の長手方向中途部をグラビアロール3に向かって移動させることができるので、もし仮にチャンバー4が平面視で弓形に撓んだとしても、チャンバー4の撓みを矯正することができる。
【0073】
さらに、ネジ部材44dの螺進退動作により、チャンバー4における長手方向中途部の押圧量を細かく調整できるので、チャンバー4における長手方向中途部のグラビアロール3に向かう移動量を細かく変更させることができる。
【0074】
それに加えて、分割箇所にシール部材9a,9bが介在する第1,第2及び第3分割体40a,40b,40cからなるチャンバー4は、一度撓むとシール部材9a,9bの粘性等によって元の状態(形状)に戻りにくいが、このようなチャンバー4であっても押圧手段12によってチャンバー4の撓みを抑制することができる。
【0075】
《
実施形態2》
図8(a),(b)は、
別形態の塗工装置1のチャンバー4を示す。この実施形態2では、チャンバー4の構造の一部が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0076】
実施形態2のチャンバー本体40における長手方向中途部の反グラビアロール3側には、上記チャンバー本体40の長手方向に沿って延びる補強プレート47が取り付けられている。
【0077】
上記チャンバー4においてこの補強プレート47が取り付けられた部分の構造X1(撓み抑制手段)は、上記チャンバー4の長手方向と交差する断面の断面係数がチャンバー4の長手方向に亘る全領域の中で最大となる断面形状を有している。
【0078】
したがって、
実施形態2によると、上記構造X1によってチャンバー4の長手方向中途部がその構造上曲がり難くなるので、チャンバー4の長手方向両端部を一対の支持機構5で支持した状態であってもチャンバー4が撓むのを抑制することができる。
【0079】
また、簡単な取付加工でチャンバー4における長手方向中途部の断面係数が大きくなるので、塗工装置1の加工コストを低く抑えることができる。
【0080】
《
実施形態3》
図9(a),(b)は、
別形態の塗工装置1のチャンバー4を示す。この実施形態3では、補強プレート47の構造が実施形態2と異なるだけでその他は実施形態2と同じであるため、以下、実施形態2と異なる部分のみを説明する。
【0081】
実施形態3の補強プレート47は、上記チャンバー4の長手方向と交差する断面が略H形状をなし、上下の面にそれぞれチャンバー4の長手方向に延びる凹条溝47aが形成されている。
【0082】
このように、実施形態3の補強プレート47は、実施形態2の補強プレート47とは断面形状が異なるが、実施形態2と同様にチャンバー4の長手方向中途部がその構造上曲がり難くなるので、チャンバー4の長手方向両端部を一対の支持機構5で支持した状態においてチャンバー4が撓むのを抑制することができる。
【0083】
《
実施形態4》
図10(a),(b)は、
別形態の塗工装置1のチャンバー4を示す。この実施形態4では、チャンバー4の構造の一部が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0084】
実施形態4の第1分割体40aは、実施形態1の第1分割体40aよりも反グラビアロール3側に厚みが増していて、その反グラビアロール3側の面には、矩形状をなす凹陥部47bがチャンバー4の長手方向に所定の間隔をあけて4つ形成されている。
【0085】
すなわち、上記4つの凹陥部47bの間には、上記チャンバー4の長手方向と交差する垂直方向に延びる3つの突条部47cが形成され、上記チャンバー4において3つのうちの中央に位置する突条部47cを含む部分の構造X2(撓み抑制手段)は、チャンバー4の長手方向中途部に位置していて、その上記チャンバー4の長手方向と交差する断面の断面係数がチャンバー4の長手方向に亘る全領域の中で最大となる断面形状を有している。
【0086】
したがって、
実施形態4によると、実施形態2,3の
塗工装置1よりも部品点数が少なくシンプルな構造でチャンバー4における長手方向中途部の断面係数を大きくすることができる。
【0087】
尚、
実施形態4では、突条部47cがチャンバー4の長手方向と交差する方向に延びているが、チャンバー4の長手方向中途部の断面係数がチャンバー4の長手方向に亘る全領域の中で最大値となるならば、突条部47cはチャンバー4の長手方向に延びる形状であってもよい。
【0088】
また、
実施形態1〜4では、チャンバー4における長手方向の各端部にそれぞれ2つの回転ローラ46が設けられているが、1つの回転ローラ46だけ設けるようにしてもよいし、3つ以上の回転ローラ46を設けるようにしてもよい。
【0089】
さらに、
実施形態1〜4では、チャンバー4が分割構造をなしているが、一体構造のチャンバー4で
も適用できる。
【0090】
それに加えて、
実施形態1〜4で塗工装置1に適用した構造は、ウェブWにインキで印刷を施す印刷装置にも流用できる。