(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各楽曲について歌唱区間毎に、歌唱者による歌唱を当該歌唱区間に合わせて少なくとも歌唱したピッチに対して歌唱すべきノート毎の音高との関係で分析、採点するための評価基準であるリファレンスデータを備えると共に、利用者の歌唱した楽曲の歌唱採点履歴を記憶しておくカラオケ装置であって、
利用者による歌唱音声のピッチを検出して前記リファレンスデータの各音高と比較することにより採点し、前記歌唱採点履歴に反映させる採点手段と、
当該利用者の各歌唱における歌唱採点履歴から音高毎の評価を集計して歌唱別音高評価情報を作成する歌唱別評価情報作成手段と、
当該利用者の複数の歌唱別音高評価情報から音高毎の評価を集計して利用者別音高評価情報を作成する利用者別評価情報作成手段と、
検索対象となる楽曲の歌唱すべき音高のそれぞれを前記利用者別音高評価情報に基づいて採点して、当該楽曲を利用者が歌唱したと仮想した場合に得られる採点結果である予想スコアを当該楽曲毎に算出する検索楽曲採点手段と、
検索対象となる楽曲から前記予想スコアを条件として選曲候補楽曲を抽出する楽曲検索手段と、
を有することを特徴とするカラオケ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カラオケ利用者は楽曲を原曲キーでイメージしており、キーの変更により曲の雰囲気が変わってしまうと感じられることも多く、また「生音曲」と呼ばれるオーディオデータ(MP3など)を再生するカラオケ装置もあってキー変更により発生するフラッター感を嫌う利用者も多いことから、原曲キー、すなわちキー・コントロール機能を利用しないで歌唱することにこだわるカラオケ利用者も少なくない。
【0006】
しかしながら、上記特許文献等の技術においては、歌唱者の声域を測定する際に、各音高の歌唱を分析して単純に「歌唱できる」、「歌唱できない」と判定するに止まり、例えば「多少、歌唱し難いところもあるが他のほとんどの部分は気持ちよく歌唱できる」とするような条件での絞込み検索を行うことができず、このような利用者のニーズに沿うことができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、キー変更を伴わずに歌唱者の声域に対処した楽曲のきめ細かい絞込み検索を可能とするカラオケ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、各楽曲について歌唱区間毎に、歌唱者による歌唱を当該歌唱区間に合わせて少なくとも歌唱したピッチに対して歌唱すべきノート毎の音高との関係で分析、採点するための評価基準であるリファレンスデータを備えると共に、利用者の歌唱した楽曲の歌唱採点履歴を記憶しておくカラオケ装置であって、利用者による歌唱音声のピッチを検出して前記リファレンスデータの各音高と比較することにより採点し、前記歌唱採点履歴に反映させる採点手段と、該利用者の各歌唱における歌唱採点履歴から音高毎の評価を集計して歌唱別音高評価情報を作成する歌唱別評価情報作成手段と、該利用者の複数の歌唱別音高評価情報から音高毎の評価を集計して利用者別音高評価情報を作成する利用者別評価情報作成手段と、索対象となる楽曲の歌唱すべき音高のそれぞれを前記利用者別音高評価情報に基づいて採点して、当該楽曲を利用者が歌唱したと仮想した場合に得られる採点結果である予想スコアを当該楽曲毎に算出する検索楽曲採点手段と、検索対象となる楽曲から前記予想スコアを条件として選曲候補楽曲を抽出する楽曲検索手段と、を有する構成とする。
【0009】
請求項2〜5の発明では、「前記歌唱採点履歴のそれぞれには少なくとも歌唱日時を含む属性情報を有し、前記歌唱
別評価情報作成手段は、歌唱毎にその属性情報が対応付けられた歌唱別音高評価情報を作成し、前記利用者別評価情報作成手段は、歌唱日時が所定条件を満たす前記歌唱別音高評価情報から利用者別音高評価情報を作成する」構成とし、
「前記歌唱採点履歴のそれぞれには少なくとも歌唱された楽曲の音楽ジャンル情報を含む属性情報を有し、前記歌唱
別評価情報作成手段は、歌唱毎にその属性情報が対応付けられた歌唱別音高評価情報を作成し、前記利用者別評価情報作成手段は、所定の音楽ジャンルに属する楽曲に係る前記歌唱別音高評価情報から利用者別音高評価情報を作成する」構成とし、
「前記歌唱採点履歴のそれぞれには少なくとも歌唱された楽曲のアーチスト情報を含む属性情報を有し、前記歌唱
別評価情報作成手段は、歌唱毎にその属性情報が対応付けられた歌唱別音高評価情報を作成し、前記利用者別評価情報作成手段は、所定のアーチストが歌唱する楽曲に係る前記歌唱別音高評価情報から利用者別音高評価情報を作成する」構成とし、
「前記検索楽曲採点手段は、楽曲の歌唱すべき音高のそれぞれを前記利用者別音高評価情報と当該音高の音符長とに基づいて採点して予想スコアを算出する」構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者の歌唱した楽曲の歌唱採点履歴を適宜歌唱日時、音楽ジャンル、楽曲アーチストを含む属性情報を含んで記憶しておき、利用者による歌唱をリファレンスデータに基づき採点して歌唱採点履歴に反映させ、歌唱採点履歴から音高毎の評価を集計して歌唱別音高評価情報を作成し、複数の歌唱別音高評価情報から音高毎の評価を適宜属性情報に基づき集計して利用者別音高評価情報を作成し、検索対象となる楽曲の歌唱すべき音高のそれぞれを利用者別音高評価情報等に基づいて採点して、当該楽曲を利用者が歌唱したと仮想した場合の予想スコアを当該楽曲毎に算出し、検索対象となる楽曲から予想スコアを条件として選曲候補楽曲を抽出する構成とすることにより、予想スコアによって原曲キーのままで歌唱できるかどうかを楽曲検索時の絞込み条件とさせることから、キー変更を伴わずに歌唱者の声域に対処した楽曲のきめ細かな絞込み検索を行わせることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係るカラオケ装置のブロック構成図を示す。
図1において、各カラオケ装置11は、主要装置としてのカラオケ本体12に、有線又は無線で外部接続されるものとして、表示部13、ミキシングアンプ14、マイク15、スピーカ16、遠隔入出力装置17が接続される。
【0013】
上記表示部13は、通常の楽曲選曲表示やカラオケ演奏時の背景映像等を表示するもので、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、その他種々のディスプレイを採用することができる。上記ミキシングアンプ14は、カラオケ本体12より送られてくる音楽演奏信号に、マイク15からの音声信号をミキシングし、増幅してスピーカ16より出力する。
【0014】
上記遠隔入出力装置17は、図示しない端末送受信部により、カラオケ本体12に対して有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、少なくともログイン・ログアウト処理手段17A、楽曲検索手段である選曲楽曲登録手段17B(条件抽出手段17C)及び端末表示手段17Dを適宜備える。
【0015】
上記ログイン・ログアウト処理手段17Aは、利用者によるログイン操作に応じて当該利用者より利用者IDを取得してログインを許可する処理を行うと共に、ログアウト操作に応じて利用終了の処理を行い、RAM23に記憶している歌唱採点履歴及び歌唱別音高評価情報をサーバ62に送出するプログラムである(
図10で説明する)。
【0016】
選曲楽曲登録手段17Bは条件抽出手段17Cを有して、楽曲を検索させ、選曲させるテーブルを備えて選曲された楽曲をカラオケ本体12における予約待ち行列41に登録するプログラムであり、選曲時に条件抽出手段17Cが検索対象となる楽曲から後述の予想スコアを条件として選曲候補楽曲を抽出する。上記端末表示手段17Cは、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチセンサとを積層して入出力用とし、表示されるアイコン等に対応して当該タッチセンサにより楽曲の選択などのデータを入力することができるGUIのユーザインタフェース機能を有するものである。
【0017】
上記カラオケ本体12は、バス20、中央制御部21、ROM22、RAM23、映像表示制御手段24、音楽演奏制御部25、音源(シンセサイザ)26、送受信部27A,27B、採点手段28、A/D変換部29、記憶部30、利用者情報取得手段31、利用者別評価情報作成手段32、検索楽曲採点手段33及び歌唱別評価情報作成手段34を備える。上記RAM23には予約待ち行列41、利用者情報記憶領域42が形成され、利用者情報記憶領域42には利用者ID等の書誌的な情報の他に、歌唱採点履歴43、歌唱別音高評価情報44及び利用者別音高評価情報45が記憶される。また、記憶部30には、楽曲データベース(楽曲DB)51、映像データベース(映像DB)52及びリファレンスデータベース(リファレンスDB53)が記憶される。なお、上記各構成について、本発明の要旨と直接関連しない要素部分であっても、従前のカラオケシステムにおいても大部分が適用可能であることを示すために、構成要素の全体を説明する。
【0018】
上記中央制御部21は、このシステムを統括的に処理制御する物理的なCPUであり、ROM22に記憶されているプログラムに基づくアルゴリズム処理を行う。上記RAM23は、予約待ち行列41の記憶領域及び利用者情報記憶領域42が形成される他に、上記種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割をなすもので、例えば半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合をも含む概念である。
【0019】
上記映像表示制御手段24は、演奏時に、映像DB52より抽出された背景映像及び楽曲DB51より抽出された楽曲の歌詞データを表示部13に出力するプログラム乃至電子回路である。上記音楽演奏制御部25は、例えばシーケンスプログラムを備え、楽曲IDで楽曲DB51より抽出された音符データに従って音源(シンセサイザ)26を駆動するもので、当該音源26の出力は演奏信号としてミキシングアンプ14に出力される。
【0020】
上記送受信部27Aは、遠隔入出力装置17との間で有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための電子回路及びプログラムである。上記送受信部27Bは、カラオケ本体12とサーバ62とが通信ネットワーク61を介してデータ授受を行うための物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成されるものである。
【0021】
上記採点手段28は、所定の歌唱区間(例えば30mmsec)毎に、利用者による歌唱音声のピッチを検出して後述のリファレンスデータの各音高と比較することにより採点するもので、マイク15からの音声信号がミキシングアンプ14をスルーしてA/D変換部29でデジタル変換された音声信号に対して楽曲データに含まれる歌唱採点するためのリファレンスデータに基づいて採点処理を行うプログラムである。具体的には、例えば特許第4222915号公報に記載されている手法を用いることができる。
【0022】
また、採点においては、歌唱技法などを考慮し、不利な減点が起きないように採点処理する。例えば、歌唱に際して種々の歌唱技法を周波数などでデータ化した技法データを用いて採点を行うもので、ビブラート情報、抑揚情報、ロングトーン情報、走り情報、ため情報、こぶし情報、しゃくり情報、フォール情報、シャウト情報などの歌唱技法データなどがある(特開平10−078750号公報など参照)。
【0023】
採点手段28で処理された歌唱区間毎の採点値を含む採点値は、RAM23に記憶されている歌唱採点履歴43に反映される。なお、歌唱区間毎の採点値は、その都度表示部13に表示させてもよい。
【0024】
上記記憶部30に記憶されている楽曲DB51は、楽曲毎に、音符データ、歌詞データなどを格納する。演奏に関して、具体的には、楽曲ID、曲名及びアーチストID(アーチスト名)が関連付けられた楽曲テーブルを有し、楽曲毎に、楽曲IDで管理される所定データ形式のカラオケ楽曲の音符データ(例えば、MIDI(登録商標)形式の音符データ)等で構成される楽曲データ(ファイル)について当該楽曲IDをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースである。上記記憶部30に記憶されている映像DB52は、楽曲毎に応じた背景映像データについて楽曲IDをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースである。
【0025】
上記記憶部30に記憶されているリファレンスDB53は、上記楽曲DB51に記憶されているカラオケ楽曲と当該カラオケ楽曲の十分に小さな歌唱区間(例えば30mmsec)に合わせた歌唱者による歌唱を評価、分析するための評価基準として用いられるリファレンスデータとを紐付けて記憶するデータベースである。当該リファレンスデータには、楽曲毎に、少なくともノート番号とベロシティ(大きさ)に応じて歌唱すべきピッチ(音高)が含まれる。なお、MIDI機器においては、ピアノの鍵盤(88鍵)の中央の「ド」を「C4」として、最高音の鍵盤「ド」を「C8」、最低音の鍵盤「ラ」を「A0」と表す。
【0026】
上記利用者情報取得手段31は、ログイン時に、取得した利用者IDを送受信部27B、通信ネットワーク61を介してサーバ62に対して当該利用者の利用者情報(歌唱採点履歴、歌唱別音高評価情報を含む)を要求し、サーバ62により取得した利用者情報をRAM23の利用者情報記憶領域42に、利用者ID等の書誌的な情報の他に、歌唱採点履歴43、歌唱別音高評価情報44として記憶するプログラムである。
【0027】
順番は相前後するが、上記歌唱別評価情報作成手段34は、利用者の各歌唱における歌唱採点履歴から音高毎の評価を集計して歌唱別音高評価情報を作成するプログラムであり、一の楽曲の歌唱後毎に作成、更新され、ログアウト時にサーバ62に送出されて後述の利用者データベース(利用者DB)74に記憶され、ログイン時にサーバ62より取得してRAM23の利用者情報記憶領域42に記憶される。歌唱別音高評価情報の詳細は
図3(B)で説明する。
【0028】
上記利用者別評価情報作成手段32は、楽曲検索時に、当該利用者の複数の歌唱別音高評価情報44から音高毎の評価を集計して利用者別音高評価情報45を作成するプログラムであり、作成された利用者別音高評価情報45はRAM23の利用者情報記憶領域42に記憶される。歌唱別音高評価情報44が更新された時に、必要に応じて当該利用者別音高評価情報45を更新してもよい。利用者別音高評価情報45の詳細は
図7で説明する。
【0029】
上記検索楽曲採点手段33は、利用者が楽曲予約のために楽曲を検索し、予約候補曲を絞り込む操作の所定段階で、検索対象となる楽曲の歌唱すべき音高のそれぞれを利用者別音高評価情報45に基づいて採点して、当該楽曲を利用者が歌唱したと仮想した場合に得られる採点結果である予想スコアを当該楽曲毎に算出するプログラムである。一例を
図8で説明する。
【0030】
続いて、
図2に
図1のカラオケ装置と通信自在なサーバの説明図を示すと共に、
図3に
図2のサーバの記憶する利用者情報の説明図を示す。
図2(A)において、サーバ62は、インターネットなどの通信ネットワーク61を介して端末としての所定数のカラオケ装置11(11A〜11N)を管理し、当該各カラオケ装置11に対する楽曲データの配信や各種データを送受する装置である。
【0031】
サーバ62は、
図2(B)に示すように、少なくとも制御部71、ネットワーク送受信部72及び利用者情報更新手段73を備える。上記制御部71は、当該サーバ62を統括的に制御する物理的なCPUであり、図示しないROMに格納されているプログラムを実行処理して統括的な処理を行う。
【0032】
上記ネットワーク送受信部72は、各カラオケ装置11(11A〜11N)との通信(データ授受)を行うために、通信ネットワーク61の通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成される。上記利用者情報更新手段73は、各カラオケ装置11より送られてくる利用者IDに関連付けられた新たな歌唱採点履歴43及び歌唱別音高評価情報44を含む利用者情報に基づいて利用者DB74の該当情報を更新するプログラムである。
【0033】
上記利用者DB74は、
図2(C)に示すように、利用者の利用者IDと属性情報とが関連付けられた顧客情報を格納する記憶装置である。その属性情報としては、図示しない氏名、住所、セカンドネーム等の書誌的な情報の他に、当該利用者の歌唱採点履歴及び歌唱別音高評価情報を少なくとも含む。
【0034】
上記歌唱採点履歴は、
図3(A)に一例として示すと、当該利用者が過去に歌唱した楽曲について、それぞれ、歌唱日時、歌唱楽曲ID、当該楽曲のアーチストを特定するアーチストID、当該楽曲のジャンルを特定するジャンルIDが付帯され、少なくとも当該楽曲の歌唱すべきノート毎の音高に関する採点値が含まれる。ノート毎の音高に関する採点値は、連続する同じ音高の歌唱区間の採点値を総合したものである。当該歌唱採点履歴はカラオケ装置11で作成、更新され、当該利用者がログアウトした後に当該サーバ62に送られてきて利用者情報更新手段73が利用者DB74に対して更新する。なお、採点手段28は、音高の他に音量や発声タイミング、各種歌唱技法などをもとに歌唱を総合的に評価し、歌唱全体の採点値を利用者に報知する。歌唱採点履歴には、これら(歌唱全体の採点値や音高以外の評価)を含めてもよい。
【0035】
上記歌唱別音高評価情報は、
図3(A)に示すような歌唱採点履歴に基づいて、歌唱された各楽曲の音高毎に平均点を算出して作成される。平均点の算出に際しては最高点と最低点を除外してもよい。例えば、
図3(B)は、当該利用者の最近5回分の歌唱について作成されたものを示しており、楽曲の属性として歌唱日時、ジャンルID、アーチストIDなどが紐付けされる。この属性が後述の利用者別音高評価情報を作成する際のピックアップ条件となる。因みに、
図3(B)に示される歌唱別音高評価情報における2014年6月15日分の音高評価は
図3(A)に示した歌唱採点履歴に基づいている。
【0036】
当該歌唱別音高評価情報は、カラオケ装置11の歌唱別評価情報作成手段34で作成、更新され、当該利用者がログアウトした後に当該サーバ62に送られてきて利用者情報更新手段73が利用者DB74に対して更新する。
【0037】
そこで、まず、
図4に、
図1のカラオケ装置におけるログイン時のフローチャートを示す。
図4において、利用者による遠隔入出力装置17を用いたログイン要求に応じてログイン・ログアウト処理手段17Aのログイン処理が開始され、利用者IDの要求に対して当該利用者より利用者IDを取得し、一旦RAM23の利用者情報記憶領域42に記憶する(ステップ1(S1))。ログイン処理が終了すると、利用者情報取得手段31が、サーバ62に対して利用者IDに基づき当該利用者の書誌的情報、歌唱採点履歴及び歌唱別音高評価情報を含む利用者情報を要求する(S2)。
【0038】
そして、サーバ62より利用者情報を取得すると、RAM23の利用者情報記憶領域42に当該利用者の書誌的情報、歌唱採点履歴43及び歌唱別音高評価情報44を記憶する(S3)。
【0039】
続いて、
図5及び
図6に
図1のカラオケ装置における楽曲検索のフローチャートを示すと共に、
図7に
図5の楽曲検索時に作成される利用者別音高評価情報の説明図を示し、
図8に
図5の楽曲検索時に算出される予想スコアの説明図を示す。ログインした利用者が遠隔入出力装置17を用いて楽曲検索を操作すると、選曲楽曲登録手段17Bが実行され、利用者IDの入力(若しくは会員カードからの利用者IDの読み取り)が行われることで検索開始される。ここでは、楽曲検索において当該利用者が声域対象曲検索を選択した場合として説明する。
【0040】
図5において、声域対象曲検索では、まず、検索対象として歌唱日時、楽曲ジャンル、アーチストの何れかが選択される(S11)。
図5では歌唱日時を検索対象との流れとし、楽曲ジャンル検索、アーチスト検索については
図6で示される。
【0041】
歌唱日時による検索対象では、利用者別評価情報作成手段32が、RAM23の利用者情報記憶領域42に記憶されている歌唱別音高評価情報44を読み出し、例えば、「最近1ヶ月以内の歌唱」や「最新の50件の歌唱」などとした歌唱をピックアップして集計する。ここでは当該利用者の歌唱のうち「最近の3回」の歌唱別音高平均点を集計して、
図7に示されるようなノート番号に応じた利用者別音高平均点を算出し、当該利用者についての利用者別音高評価情報45としてRAM23の利用者情報記憶領域42に記憶する(S12)。
【0042】
すなわち、
図3(B)に示される歌唱別音高評価情報44のうち、歌唱日時の最近3回として、2014年6月20日、2014年7月2日、2014年7月8日分が対象とされてノート番号に応じた利用者別音高平均点が算出される。
【0043】
利用者による検索で楽曲数がある程度絞られた状態(例えば5曲、10曲など)の時に当該利用者による予想スコア条件が設定される(S13)。予想スコアは所定の楽曲を利用者が歌唱したと仮想した場合に得られる採点結果であり、例えば、「予想スコア80点以上」を選択設定する。
【0044】
そこで、検索楽曲採点手段33が、利用者による楽曲検索で絞り込まれた所定数の予約候補曲のそれぞれについて、対応のリファレンスデータをリファレンスDB53より読み出し、当該リファレンスデータに基づき歌唱すべきノートの音高に作成した利用者別音高評価情報45の対応する各音高平均点を適用して採点し(S14)、各楽曲について、ノート番号の採点結果の平均値を予想スコアとして算出する(S15)。なお、適用すべきデータが無い音高は採点されない。
【0045】
予想スコアは、例えば各ノートの採点結果の平均値とする。例えば「最近の3回」の歌唱別音高平均点を集計して利用者別音高平均点を算出していた場合、選曲対象楽曲S10(ドレミファソファミレド)を歌唱したと仮定した場合の予想スコアは
図8(A)に示すような「84.6点」と算出され、また、選曲対象楽曲S20(ドレミファソラシド)を歌唱したと仮定した場合の予想スコアは
図8(B)に示すような「78.7点」と算出される。なお、上記集計では単純に平均点を求めたが、平均点を算出する際に最高点と最低点を除外してから算出してもよく、あるいは、他の統計的手法を用いてもよい。また、歌唱すべき音符長により重み付けを行って採点してもよい。
【0046】
そこで、選曲楽曲登録手段17Bにおける条件抽出手段17Cが、設定された予想スコア条件に基づいて、上記予想スコアが算出された楽曲から条件合致の楽曲を抽出する(S16)。
【0047】
すなわち、「予想スコア80点以上」という条件で検索すれば、楽曲S10が抽出され、楽曲S20は抽出されない。これは、当該利用者の歌唱実績に基づいて両曲を仮想的に採点しているからである。つまり楽曲S20は、当該利用者が苦手としている音域のノートが、楽曲S10と比べて多く含まれていることとなる。この場合、利用者にとって苦手な音高を含む楽曲であっても、その出現比率が小さければ歌唱を楽しむ上でさほど障害にはならないことから、そのような楽曲の予想スコアは悪くならずに抽出から漏れる可能性が小さく、逆に利用者の声域範囲内の音高しか含まない楽曲であっても、声域上限に近く普段からあまり点数が伸びない音高の出現比率が大きいと歌唱しづらいものであることから、そのような楽曲の予想スコアは悪くなって抽出される可能性が下がることとなる。このように、よりきめ細やかな絞込みを実現可能とすることができるものである。
【0048】
そして、抽出された楽曲が端末表示部17Dに表示され(S17)、そのうち選択された楽曲がカラオケ本体12のRAM23の予約待ち行列41に登録されるものである(S18)。なお、抽出された楽曲を表示する際に、絞込み対象となる各楽曲の予想スコアを所定の順序で並べて表示してもよい。
【0049】
上記検索対象(S11)において、楽曲ジャンルが選択された場合には、
図6(A)に示すように、利用者別評価情報作成手段32が、RAM23より読み出した当該利用者の歌唱別音高評価情報44に基づいて、利用者指定のジャンルの楽曲を所定数抽出して歌唱別音高平均点を集計し、ノート番号に応じた利用者別音高平均点を算出し、当該利用者についての利用者別音高評価情報45としてRAM23の利用者情報記憶領域42に記憶する(S21)。
【0050】
例えば、当該利用者の歌唱のうち、
図3(B)に示す歌唱別音高評価情報44のうち音楽ジャンル「J1」に属する楽曲の歌唱別音高平均点をピックアップして集計する。ここでは、
図3(B)に示す歌唱別音高評価情報44の2014年6月15日、2014年6月19日、2014年7月2日の歌唱が対象となり(音楽ジャンル「J1」に属する楽曲の2014年6月15日以前の歌唱を含ませてもよい)、これらの歌唱別音高平均点を集計して利用者別音高平均点を算出する。このような集計により得られた利用者別音高平均点を当該音楽ジャンルの楽曲に適用すれば、予想スコアの精度をより高めることができるものである。
【0051】
また、上記検索対象(S11)において、アーチストが選択された場合には、
図6(B)に示すように、利用者別評価情報作成手段32が、RAM23より読み出した当該利用者の歌唱別音高評価情報44に基づいて、利用者指定のアーチストの楽曲を所定数抽出して歌唱別音高平均点を集計し、ノート番号に応じた利用者別音高平均点を算出し、当該利用者についての利用者別音高評価情報45としてRAM23の利用者情報記憶領域42に記憶する(S22)。
【0052】
例えば、当該利用者の歌唱のうち、
図3(B)に示す歌唱別音高評価情報44のうちアーチスト「A1」に属する楽曲の歌唱別音高平均点をピックアップして集計する。ここでは、
図3(B)に示す歌唱別音高評価情報44の2014年6月15日、2014年6月19日、2014年6月20日、2014年7月2日の歌唱が対象となり(アーチスト「A1」に属する楽曲の2014年6月15日以前の歌唱を含ませてもよい)、これらの歌唱別音高平均点を集計して利用者別音高平均点を算出する。このような集計により得られた利用者別音高平均点を当該アーチストの楽曲に適用すれば、予想スコアの精度をより高めることができるものである。
【0053】
次に、
図9に、
図1のカラオケ装置における歌唱終了後の処理フローチャートを示す。
図9において、所定の利用者がログイン中に所定の楽曲を歌唱すると、採点手段28により当該楽曲のリファレンスデータをリファレンスDB53より読み出して歌唱区間毎に採点処理が実行される(S31)。採点結果は、RAM23の利用者情報記憶領域42に記憶されている歌唱採点履歴43に対し、楽曲ID、歌唱日時、ジャンルID、アーチストID、採点結果を追記して更新する(S32)。
【0054】
そして、歌唱別評価情報作成手段34が、当該採点結果に基づいて音高毎に平均点を算出し、RAM23の利用者情報記憶領域42に記憶されている歌唱別音高評価情報44に対して楽曲IDに関連付けて歌唱日時、ジャンルID、アーチストID、当該音高毎の平均点を追記して更新するものである。(S33)。
【0055】
次に、
図10に、
図1のカラオケ装置におけるログアウト時のフローチャートを示す。
図10において、所定の利用者が遠隔入出力装置17を用いてログアウト要求をすると、ログイン・ログアウト処理手段17Aによりログアウト処理が行われる(S41)。そして、ログアウト時にRAM23の利用者情報記憶領域42に記憶されている歌唱採点履歴43及び歌唱別音高評価情報44を利用者IDに関連付けてサーバ62に送信して終了する(S42)。
【0056】
サーバ62では、利用者情報更新手段73が取得した歌唱採点履歴43及び歌唱別音高評価情報44を、利用者DB74の対応する利用者IDの利用者情報中に書き換えて更新することで、常に最新の歌唱採点履歴及び歌唱別音高評価情報として記憶されるものである。
【0057】
ところで、利用者別音高評価情報における利用者別音高平均点を更新する対象を歌唱日時とする場合には、利用者別評価情報作成手段32をサーバ62に備えさせ、歌唱別音高平均点が算出、記憶される度に、あるいは定期的なタイミングで利用者別音高平均点を更新してもよい。例えば、対象数が多い(例えば最新の50件など)場合の時間情報に係る条件で利用者別音高平均点を更新するに際して効率的である。このことは、処理を単にサーバ62に委ねただけであり、カラオケ装置11に備えさせる場合と実質的には同一である。なお、音楽ジャンルやアーチストに係る条件で利用者別音高平均点を更新する場合には、選曲予約のための検索操作の流れの中での処理を実行する必要がある。
【0058】
また、選曲楽曲登録手段17B、利用者別評価情報作成手段32、検索楽曲採点手段33、歌唱別評価情報作成手段34及び楽曲DB51、リファレンスDB53をサーバ62に備えさせ、カラオケ装置11とオンライン状態で上記のような楽曲検索処理を行わせてもよいが、このような場合であっても処理を単にサーバ62に委ねただけであり、カラオケ装置11に備えさせる場合と実質的には同一である。
【0059】
このように、予想スコアを算出することによって原曲キーのままで歌唱できるかどうかを楽曲検索時の絞込み条件とさせることから、キー変更を伴わずに歌唱者の声域に対処した楽曲のきめ細かな絞込み検索を行わせることができるものである。