特許第6366427号(P6366427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366427
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】サイトグラス
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   F25B49/02 530Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-173695(P2014-173695)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-48155(P2016-48155A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 淳
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭38−007197(JP,Y1)
【文献】 特開2007−076434(JP,A)
【文献】 特開平08−192363(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0034763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/00 〜 49/02
G09F 3/02
G01P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口と流出口とを有して内部に前記流体の流路を形成する本体と、
前記流路内を通過する流体を観察するための覗窓を設けた取付枠体と、
この覗窓の開口部を密閉する透明部材と、
前記透明部材の表面に貼り付けた透明保護材とを備え、
前記透明保護材を前記透明部材の表面に貼り付ける透明な下層シートと、この下層シートに貼り付ける透明な上層シートとで構成し、
前記上層シートを前記開口部の外周縁を含んで前記下層シートの表面を被覆するように貼り付けて、
前記取付枠体の内周縁に前記下層シートの厚さtに相当する深さを有して前記下層シートの外径とほぼ同じ環状の段差部を形成し、この段差部の底部と前記透明部材の上面とがほぼ面一に連続するようにして前記開口部の内周面に前記透明部材を嵌合させるとともに、この透明部材と段差部に跨るようにして前記下層シートを貼り付け、かつ、前記上層シートは前記下層シートと前記取付枠体の開口部外表面とに跨るようにして貼り付けたことを特徴とするサイトグラス。
【請求項2】
前記下層シートを前記透明部材より大きく、かつ、前記上層シートを前記下層シートよりも大きく形成したことを特徴とする請求項1に記載のサイトグラス。
【請求項3】
前記上層シートが交換可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイトグラス。
【請求項4】
前記流路内を通過する流体の水分を検知するモイスチャーインジケータをさらに備え、
前記上層シートの外周側には、前記モイスチャーインジケータにより検知された水分量を判定するための比較表示部が形成されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のサイトグラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れる流体の状態を監視するためのサイトグラスに関し、特に、流体の状態を視認するガラス等の透明部材の傷つき等を防止するのに好適なサイトグラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルにおいて冷媒中に水分が存在すると当該冷凍サイクルの不具合に繋がる虞れがあるため、本発明者は、冷媒の状態を判断するための手段として、既に、特許文献1に示すサイトグラスを発明し、それが公開されている。
【0003】
本発明者の発明による特許文献1は、冷媒等の流体の流れを阻害することなく、流体の状態や流体中の水分の存在を迅速かつ正確に確認することが可能なサイトグラスを提供するものである。これに示すサイトグラスは、冷媒の流入口と流出口とを有し、内部に流入口から流出口に至る流路を有する本体と、本体の上部開口を覆うガラスと、冷媒中の水分を検出するモイスチャーインジケータと、流路の一側に配置され、モイスチャーインジケータを、その一部が冷媒中に露出するとともに露出した部位がガラスの本体の内部に面する側に近接して対向した状態で支持する支持部材とを備える。そして、モイスチャーインジケータ及び支持部材等は当該サイトグラス内を通過する冷媒の移動を妨げることがないため圧損が小さい。
このサイトグラスでは、冷媒の状態を確認するためのモイスチャーインジケータと、このモイスチャーインジケータを視認するための開口部にガラスを嵌め込んだ覗窓を備え、覗窓からサイトグラス内のモイスチャーインジケータを確認することによって、当該サイトグラス内を通過する冷媒の状態のみならず冷媒中の水分の存在を確認することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−43249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示すサイトグラスは、通過冷媒や内部のモイスチャーインジケータを確認するガラス表面が直接外部に露出する構造であるため、ガラスの表面の汚れや細かな傷や汚れが付着しやすい構造であり、ガラスの表面の汚れや細かな傷や汚れがついてしまうと、通過冷媒やモイスチャーインジケータを確認する際の視認性が低下する、という懸念が残っていた。
【0006】
このような視認性の低下を防止する方法として、例えば、図5(a)に示すように、サイトグラスの覗窓aを塞ぐように装着したガラスbの表面に透明保護シートcを貼り付け、透明保護シートcの表面が傷付いたり汚れた場合、透明保護シートcを剥がして新たな透明保護シートcに交換することでガラスbからの視認性を良好な状態に保つことが考えられる。
【0007】
しかし、単に、サイトグラスの上面全体に一枚の透明保護シートcを貼り付けただけでは、図5(a)に示すように、ガラスbを取り付けるための開口部dの外周部分に斜め上方から外力Fが加わった場合、透明保護シートcの周縁部分が部分的に捲れてしまい、透明保護シートcが簡単に剥がれてしまう虞れがある。
【0008】
このような構造では、透明保護シートcが傷付いた場合などにおいても、傷付いた透明保護シートcを剥がして新たな透明保護シートcをガラスbに貼り代えることも可能であるが透明保護シートcが剥がれてから新しい透明保護シートに貼りかえるまでの間に、ガラスbの表面に汚れや傷が付くという懸念もあり、長期に渡ってモイスチャーインジケータの視認性を保つことが難しい、という課題が残っていた。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、覗窓に設けられた透明部材を保護する透明保護シート材の耐剥離性を高め、透明部材からの視認性を良好な状態に長期間保つことができるサイトグラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るサイトグラスは、流体の流入口と流出口とを有して内部に前記流体の流路を形成する本体と、前記流路内を通過する流体を観察するための覗窓を設けた取付枠体と、この覗窓の開口部を密閉する透明部材と、前記透明部材の表面に貼り付けた透明保護材とを備え、前記透明保護材を前記透明部材の表面に貼り付ける透明な下層シートと、この下層シートに貼り付ける透明な上層シートとで構成し、前記上層シートを前記開口部の外周縁を含んで前記下層シートの表面を被覆するように貼り付けて、
前記取付枠体の内周縁に前記下層シートの厚さtに相当する深さを有して前記下層シートの外径とほぼ同じ環状の段差部を形成し、この段差部の底部と前記透明部材の上面とがほぼ面一に連続するようにして前記開口部の内周面に前記透明部材を嵌合させるとともに、この透明部材と段差部に跨るようにして前記下層シートを貼り付け、かつ、前記上層シートは前記下層シートと前記取付枠体の開口部外表面とに跨るようにして貼り付けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るサイトグラスは、前記下層シートを前記透明部材より大きく、かつ、前記上層シートを前記下層シートよりも大きく形成したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るサイトグラスは、前記上層シートが交換可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るサイトグラスは、前記流路内を通過する流体の水分を検知するモイスチャーインジケータをさらに備え、前記上層シートの外周側には、前記モイスチャーインジケータにより検知された水分量を判定するための比較表示部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のサイトグラスによれば、透明部材を保護する透明保護材を上下に重ね合わせた二層のシート(上層シート及び下層シート)で構成することによって、透明保護材の厚さが増し、透明部材に対する耐衝撃性も高めることができる。
【0016】
また、下層シートは、周縁部が直接外部に露出しないで開口部の内周面に形成する段差部内に収まった状態で透明部材の表面に貼り付けられ、その下層シートの表面に上層シートが貼り付けられているため、取付枠体の上表面に外力Fが加わったとしても上層シート及び取付枠体の先端部にのみ外力Fが作用し、下層シートには直接、外力Fが加わらない構造であるため、透明部材を保護する下層シートが剥がれることはない。このため、仮りに上層シートの周縁が剥がれたとしても下層シートによって透明部材の表面を確実に保護することができ、長期に渡って透明部材の視認性を安定的に保つことができる。この効果は、上層シートを1枚のみ貼り付ける場合にも相応の効果を発揮する。
【0017】
さらに、上層シートが傷ついたり汚れたりする場合に、交換することも可能であり、視認性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例を示すサイトグラスの全体断面図である。
図2】本発明の一実施例を示すサイトグラスの平面図である。
図3】本発明の一実施例を示す覗窓を拡大して一部を切り欠いた斜視図である。
図4】本発明の一実施例を示す覗窓の拡大断面図であり、図4(a)は透明保護材に加わる外力を説明するための図、図4(b)は外力の作用によってラベルシートが剥がれた状態を示す図である。
図5】本発明の従来例を示す覗窓の拡大断面図であり、図5(a)は透明保護材に加わる外力を説明するための図、図5(b)は外力の作用によって透明保護材が剥がれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のサイトグラスとして、例えばエアコン等の冷凍サイクルに使用されるサイトグラスに適用した場合を例にして本発明の実施例について説明する。
【0020】
図1乃至図4は、本発明のサイトグラス1の一実施例を示している。同図に示すように、サイトグラス1は、内部に冷媒Cが通過する流路2dを有する中空状の本体2と、冷媒C中の水分を検知するモイスチャーインジケータ3と、モイスチャーインジケータ3を挟持する第1及び第2支持部材4、5と、本体2の上部に設けた覗窓2cに装着された透明部材(具体的にはガラス)6と、本体2にガラス6を装着するための取付枠体7と、前記冷凍サイクルの配管に接続される流体口20、21とを備えている。
【0021】
本体2の上部には流路2dと連通するようにして前記ガラス6を取り付けるための短管状の筒部8が連設され、この筒部8の上端縁部に前記取付枠体7を装着している。この取付枠体7の中央には覗窓2cとなる開口部7aが形成されており、この開口部7aの内周面にガラス6を嵌合させることによって、開口部7aをガラス6で密閉している。
【0022】
前記モイスチャーインジケータ3は、円板状の紙等から成り、接触した冷媒C中の水分により変色する。このモイスチャーインジケータ3を支持する第1支持部材4は、円筒状部4aを備え、その円筒状部4aの下端中央部を直径方向に繋ぐように帯状のリブ4bを一体形成するとともに、円筒状部4aの上端部から外側に向かって鍔部4cを一体形成している。また、第2支持部材5は第1支持部材4のリブ4bに形成した凹部に収容したモイスチャーインジケータ3を上方から押圧して挟持するために備えられており、第1支持部材4に載置したモイスチャーインジケータ3を第2支持部材5によって上方から押えた状態で保持することによって、モイスチャーインジケータ3は上面を露出した状態で第1及び第2支持部材4,5の間に保持される。
【0023】
また、第1支持部材4の鍔部4cは、本体2の筒部8に載置させており、その鍔部4cを介してガラス6を装着した取付枠体7を筒部8に固定することによって、ガラス6の内面に近接して対向した状態でモイスチャーインジケータ3が支持され、ガラス6を介してモイスチャーインジケータ3の上面の色を観察することで、水分の存在を確認することができる。
【0024】
前記モイスチャーインジケータ3を確認するガラス6の表面には、ガラス6を保護するための透明保護材10が貼り付けられている。この透明保護材10は上下二層のシート(シール)からなり、下層の透明保護シート(下層シート)12がガラス6の表面に直接、貼り付けられ、後述する比較表示部を備えた上層のラベルシート(上層シート)11が透明保護シート12を含む取付枠体7の表面に貼り付けられている。
【0025】
また、前記ラベルシート11は、図2に示すように、中央部がモイスチャーインジケータ3を視認するための透明部14となっており、その周辺に「WET」「DRY」などの表示を施した比較表示部15を形成し、「WET」の部分の表示色は、モイスチャーインジケータ3の冷媒C中の水分を検知した場合に変化する色に対応させ、「DRY」の部分の色は、モイスチャーインジケータ3の元々の色に対応する表示色(水分がない場合の色)と対応している。すなわち、ラベルシート11の外周側には、前記モイスチャーインジケータ3により検知された水分量を判定するための比較表示部15が形成されている。これにより、ラベルシート11の透明部14及び透明保護シート12、ガラス6を介してモイスチャーインジケータ3を確認する際、比較表示部15によって冷媒C中の水分の有無を瞬時に判別することできる。
【0026】
このように本発明の最良の実施例においては、ガラス6を二層の透明保護材10で保護し、下層側の透明保護シート12でガラス6の表面を保護し、さらに、その透明保護シート12を上層側のラベルシート11で保護する構造である。また、上層側のラベルシート11は下層側の透明保護シート12より大きく形成されており、ラベルシート11を貼り付ける際、透明保護シート12の周辺を含んで取付枠7の先端面にもラベルシート11が貼り付けられている。この時、透明保護シート12と取付枠7の先端面とが連続した平面となるように、ガラス6を装着する開口部7aの内周面には透明保護シート12の厚さtに相当する環状の段差部13が形成され、その段差部13の底部とガラス6の表面とが面一になるように開口部7aにガラス6を嵌合させるように装着している。これにより、ガラス6の表面と段差部13の底部とがほぼ同一平面として連続し、そのガラス6と段差部13の底部に透明保護シート12を貼り付けると、透明保護シート12の表面と取付枠体7の先端面とがほぼ同一平面として連続する面一状態となり、上層側のラベルシート11は、透明保護シート12と取付枠体7の境界部分に段差が生じることなく、透明保護シート12の表面と取付枠体7の先端面とに跨るように平坦に貼り付けられる。
【0027】
なお、上層側のラベルシート11の接着層は剥離可能な接着力に設定され、ラベルシート11が傷ついたり汚れた場合、ラベルシート11を剥がして新たなラベルシート11を貼り付けることで簡単に交換することができるように構成することも可能である。これにより、ガラス6を保護するラベルシート11を常にクリアな状態に保つことができる。この際に、下層の透明保護シート12の接着層の接着力はより強力なものを用いることができる。
【0028】
以上のように、本発明の最良の実施例においては、二層のラベルシート11と透明保護シート12でガラス6を保護することによって、透明保護材10自体の厚さが増し、ガラス6に対する耐衝撃性が高めることができる。さらに、下層側の透明保護シート12は、直接外部に露出しないで取付枠体7の内周面に形成する段差部13内に収まった状態でガラス6の表面に貼り付けられているため、図4(a)に示すように、たとえ取付枠体7の先端部分(開口部7aの外周縁)に外力Fが加わったとしても下層側の透明保護シート12には直接、外力Fが作用することはない。すなわち、段差部13の外周から取付枠7の外周縁までの領域A(図4(b)に示す)が緩衝領域となり、ガラス6を直接的に保護する透明保護シート12は外力Fによって剥がれることはない。このため、外力Fによって上層側のラベルシート11の周縁が剥がれたとしても透明保護シート12はガラス6の表面に貼り付いた状態を維持でき、ガラス6を直接、保護する透明保護シート12の耐剥離性を高めることで長期に渡ってガラス6を安定的に保護することができる。さらに、ラベルシート11によって透明保護シート12の損傷や汚れなども防ぐことができ、直接外部に露出するラベルシート11については傷ついたり汚れた場合、簡単に交換できるため、モイスチャーインジケータ3の視認性を良好に保つことができる。
【0029】
以上、本発明の最良の実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
すなわち、本発明の上記実施例ではサイトグラスを、冷凍サイクルの冷媒の観察や冷媒中に存在する水分を検出するために用いる場合を例示したが、いかなる流体回路に適用可能であることは言うまでもない。
また、透明部材としてガラスを用いた例を示したが、透明な樹脂など、要は通過流体やモイスチャーインジケータ3を確認できる透明素材であればよい。
さらに、モイスチャーインジケータ3の取付構造やサイトグラス1の基本的構成も前記実施例に限定されるものではなく、各種タイプに適用可能である。
さらにまた、本発明においては、モイスチャーインジケータは必ずしも設けられる必要はなく、当該サイトグラス内を通過する流体を観察するだけのものであっても良いことは当然である。
【符号の説明】
【0030】
1 サイトグラス
2 本体
2a 流入口
2b 流出口
2d 流路
3 モイスチャーインジケータ
6 ガラス(透明部材)
7 取付枠
7a 開口部
10 透明保護材
11 ラベルシート(上層シート)
12 透明保護シート(下層シート)
13 段差部
15 比較表示部
C 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5